2022-008088
走行制御装置及び車載システム
- 審判番号
- 2022-008088
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-156038外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月30日
- 審決日
- 2023年02月28日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (B60W) / P18 .55 -WY (B60W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年2月4日(優先権主張 平成27年4月3日)に出願した特願2016-19920号の一部を令和元年8月28日に新たな特許出願としたものであって、令和元年8月28日に上申書及び手続補正書が提出され、令和2年10月28日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年11月30日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年4月6日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年6月3日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年10月7日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年12月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年3月15日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和4年5月30日に拒絶査定不服審判の請求がされこれと同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年3月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1及び14に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、本願請求項3ないし13に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2015-54547号公報
2.特開2014-058229号公報
3.国際公開第2013/008299号
4.特開2014-24367号公報
第3 本願発明
本願請求項1ないし13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、令和4年5月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】車両(A)内に搭載される運転者を撮像することで前記運転者の異常を自動で検知する撮像部(11)から、前記運転者の異常を検知した情報を取得する異常情報取得部(81)と、前記運転者の異常の検知が継続した場合に、当該運転者が運転困難状態にあると判定する状態判定部(80)と、前記状態判定部によって前記運転困難状態と判定されたことに基づき、前記車両を自動で停車させる自動退避制御を開始する退避制御部(82)と、異常が検知されたときから前記運転困難状態と判定されるまでの間に、前記車両の車線逸脱の防止機能と、前記車両の走行速度及び前走車までの車間距離を制御する巡航制御機能とを実質的に同時に開始する支援制御部(83)と、前記車線逸脱の防止機能及び前記巡航制御機能が前記支援制御部にて開始されることに基づき、前記自動退避制御への移行を問い合わせる報知を要求する報知要求情報を、前記運転者を除く前記車両の乗員にも視認可能な情報報知部(13)の報知制御を行う報知制御部(20)に出力する出力部と、を備え、前記報知制御部は、前記運転者への報知を行う運転者報知部(12,14)と、前記情報報知部である乗員報知部との報知制御を行い、前記乗員報知部を用いた前記自動退避制御への移行を問い合わせる報知は、前記運転者報知部を用いた前記自動退避制御への移行を問い合わせる報知よりも前記自動退避制御に関する文字情報を多くした内容とされる走行制御装置。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同様。)。
「【発明が解決しようとする課題】【0004】ここで、上記の従来技術では、例えば走行中にドライバが運転不能となったとき等の異常時において、十分に対応することが困難となる場合がある。そこで、近年の自動停車装置では、ドライバの異常時における安全性を高めることが求められている。【0005】そこで、本発明は、ドライバの異常時における安全性を高めることが可能な自動停車装置を提供することを課題とする。」
「【0014】図1は、実施形態に係る自動停車装置を示す概略ブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る自動停車装置1は、車両Vに搭載され該車両Vを自動で停車させるものであり、ここでは、車両Vのドライバの異常を検知し、操舵制御及び制動制御を組み合わせ自動で車両Vを停車させる。【0015】適用される車両Vとしては、例えばバス等の商用車が挙げられる。なお、車両Vとしては、特に限定されるものではなく、例えば大型車両や中型車両、普通乗用車、小型車両又は軽車両等の何れであってもよい。【0016】この自動停車装置1は、車線認識部2、ドライバ状態検出部3、及び走行情報取得部4を備えている。車線認識部2は、車両Vが走行する車線を認識するものであり、例えば単眼カメラ等の車線センサを含んでいる。ドライバ状態検出部3は、ドライバの状態(顔向きや心拍数等)を検出するものであり、例えば車内カメラ及び心拍数計測器等を含んでいる。走行情報取得部4は、車両Vの車速やヨーレート等の走行状態に関する走行情報を取得するものであり、車速センサ及びヨーレートセンサ等を含んでいる。【0017】また、自動停車装置1は、操舵アクチュエータ5、パーキングブレーキ6、ドアエンジン7及びHMI(Human Machine Interface)装置8を備えている。操舵アクチュエータ5は、車両Vの操舵を制御するためのアクチュエータである。この操舵アクチュエータ5は、例えば、モータによる駆動力をステアリング機構に伝達し、該ステアリング機構に操舵トルクを付与する。」
「【0019】ドアエンジン7は、車両Vのドアを開閉するためのものである。ドアエンジン7は、ドア開バルブ7aを有し、このドア開バルブ7aの作動によってドアを開扉状態又は開扉可能状態とする。HMI装置8は、音、表示及び体感の少なくとも何れかによる注意喚起をドライバに発する。【0020】また、自動停車装置1は、自動停車ECU(Electronic Control Unit,制御部)10を備えている。この自動停車ECU10は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータにより構成されている(以下のECUにおいて同様)。続きを表示(全12行)【0021】自動停車ECU10には、上記の各要素2~8が有線又は無線で接続されていると共に、エンジン制御ECU11とブレーキ制御ECU12とボディ制御ECU13とTM制御ECU14とが有線又は無線で接続されている。なお、自動停車ECU10の接続としては、例えばCAN(Controller Area Network)等の車内LAN回路を利用することができる。【0022】エンジン制御ECU11は、車両Vのエンジンを制御するものである。ブレーキ制御ECU12は、車両Vのブレーキ装置を制御するものである。当該ブレーキ装置としては、特に限定されるものではないが、例えば液圧ブレーキ装置や回生ブレーキ装置等が挙げられる。ボディ制御ECU13は、車両Vのボディに係る機器(ドア、ウィンカ及び車外表示灯等)を制御するものである。TM制御ECU14は、車両Vのトランスミッションを制御するものである。【0023】このような自動停車ECU10は、ドライバの異常を検知した場合において、車両Vが車線逸脱しないように操舵アクチュエータ5を制御する操舵制御と、非常ブレーキを作動させて車両Vを停車させる制動制御と、車両Vの停車後にパーキングブレーキ6を作動させるパーキングブレーキ制御と、車両Vの停車後にドアを開扉状態又は開扉可能状態させるドア制御と、を実行する(詳しくは、後述)。【0024】制動制御における非常ブレーキとしては、ブレーキ制御ECU12で上記ブレーキ装置を作動させることによるブレーキを含んでいる。また、非常ブレーキとしては、エンジン制御ECU11及びTM制御ECU14の制御によるエンジンブレーキを含んでいてもよい。なお、このような制動制御については、一般的な標準設定されたPCSシステムを利用することができる。」
「【0025】次に、上述した自動停車装置1により車両Vを自動的に停車させる場合の一例について、図2のフローチャートを参照しつつ説明する。【0026】図2は、図1の自動停車装置の動作を示すフローチャートである。図2に示すように、自動停車装置1では、自動停車ECU10により次の自動停車制御が実行される。すなわち、まず、車線認識部2で認識した車線情報及び走行情報取得部4で取得した走行情報に基づいて、車両Vの車線逸脱可能性が判定される(S1)。続きを表示(全24行)【0027】車両Vの車線逸脱可能性が無い場合(上記S1でOKの場合)、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される(S50)。一方、車両Vの車線逸脱可能が有る場合(上記S1でNGの場合)、ドライバ操作の有無が判定される(S2)。ここで、ドライバ操作については、各ECU11~14での制御状況に基づき判定してもよいし、別途設けられたセンサ(ペダルセンサ等)からの入力に基づき判定してもよい。また、ドライバ操作には、例えば、車両Vの運転に係る操作及び各種装置に対する操作等が含まれていてもよい。【0028】続いて、ドライバ操作が有る場合、ドライバ状態検出部3で検出されたドライバ状態に基づいてドライバ状態が異常(NG)であるか正常(OK)であるかが推定される(S3)。ドライバ状態がOKと推定された場合、上記S50へ移行し、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される。【0029】一方、上記S2にてドライバ操作が無い場合、又は、上記S3にてドライバ状態がNGと推定された場合、ドライバに何らかの異常が発生したと判断され(ドライバ異常が検知され)、車両Vが車線逸脱する可能性がある旨の逸脱警報がHMI装置8からドライバへ発せられる(S4)。【0030】続いて、逸脱警報が発せられた後に再び、上記S2と同様に、ドライバ操作の有無が判定される(S5)。ドライバ操作が有る場合、ドライバ状態検出部3で検出されたドライバ状態に基づいてドライバ状態が異常又は正常であるかが推定される(S6)。ドライバ状態がOKと推定された場合、上記S50へ移行し、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される。【0031】一方、逸脱警報が発せられたのにも関わらず、未だドライバ操作が無い場合、又は、ドライバ状態がNGと推定された場合、ドライバ異常が検知され、例えば車線情報及び走行情報に基づいて次の操舵制御に係る各処理が実行される。すなわち、車線の基準位置に対する車両Vの車幅方向のずれである横偏差が算出され、車両Vの車線逸脱を回避するための目標ヨーレートが設定され、当該目標ヨーレートに応じた目標操舵角が設定される(S7~S9)。そして、車両Vの操舵角が目標操舵角となるように操舵アクチュエータ5により操舵制御が実行されると共に、警報がHMI装置8によりドライバに発せられる(S10)。【0032】続いて、上記S2と同様に、ドライバ操作の有無が再度判定される(S11)。ドライバ操作が有る場合、ドライバ状態検出部3で検出されたドライバ状態に基づいてドライバ状態が異常又は正常であるかが推定される(S12)。ドライバ状態がOKと推定された場合、上記S50へ移行し、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される。【0033】一方、操舵制御が実行され且つ警報が発せられたのにも関わらず、未だドライバ操作が無い場合、又は、ドライバ状態がNGと推定された場合、ドライバ異常が検知され、当該警報よりも強い強警報がHMI装置8によりドライバに発せられる(S13)。なお、ここでの強警報として、少なくとも音及び体感による警報を用いることが好ましい。【0034】強警報が発せられた後に再び、上記S2と同様に、ドライバによる操作の有無が判定される(S14)。ドライバの操作が有る場合、ドライバ状態検出部3で検出されたドライバ状態に基づいてドライバ状態が異常又は正常であるかが推定される(S15)。ドライバ状態がOKと推定された場合、上記S50へ移行し、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される。【0035】一方、強警報が発せられたのにも関わらず、未だドライバ操作が無い場合、又は、ドライバ状態がNGと推定された場合、ドライバ異常が検知され、ボディ制御ECU13により車外表示灯が作動(点灯)され、車両Vの周囲にドライバ異常が通知される(S16)。そして、制動制御が実行されて非常ブレーキが作動され、これにより、車両Vが減速されて停車される(S17)。【0036】制動制御による車両Vの停車後、パーキングブレーキ制御が実行され、車両Vが逸走しないようにパーキングブレーキ6が作動される。具体的には、パーキングブレーキ6においてPKBエア排出弁6aが作動されてエアが排出され、これにより、車輪に制動力が付与されて車両Vの逸走が防止される(S18)。」
「【0038】以上、本実施形態の自動停車装置1においては、車両Vの走行中にドライバが例えば健康起因による運転不能状態(危篤状態等)となった場合、このドライバの異常が検知され、制動制御により自動的に車両Vが衝突することなく停車させられる(上記S14,S15,S17)。そして、かかる停車後においては、パーキングブレーキ制御によりパーキングブレーキ6を作動され、車両Vの逸走が防止される(上記S18)。これと共に、ドア制御によりドアエンジン7が制御され、ドアが開扉状態又は開扉可能状態とされ、乗客が車外へ容易に避難可能となる(上記S19)。従って、本実施形態によれば、ドライバの異常時における安全性を高めることが可能となる。」
「【0040】また、本実施形態では、上述したように、制動制御で車両Vを停車させる前に、車両Vが車線逸脱しないように操舵アクチュエータ5を制御する操舵制御を実行している。すなわち、車線逸脱防止システムを利用した操舵制御による車両逸脱防止を制動制御と連携させ、ドライバ異常時における安全性を一層高めることが可能となる。」
「【符号の説明】【0046】1…自動停車装置、3…ドライバ状態検出部(ドライバ異常検知部)、5…操舵アクチュエータ、6…パーキングブレーキ、6a…PKBエア排出弁(エア排出弁)、7…ドアエンジン、7a…ドア開バルブ、10…自動停車ECU(制御部)、11…エンジン制御ECU(主ブレーキ,ドライバ異常検知部)、12…ブレーキ制御ECU(主ブレーキ,ドライバ異常検知部)、13…ボディ制御ECU(ドライバ異常検知部)、14…TM制御ECU(主ブレーキ,ドライバ異常検知部)、V…車両。」
「[図:0001395031000001.jpg]」(【図1】)
「[図:0001395031000002.jpg]」(【図2】)
したがって、上記引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「車両V内に搭載されるドライバを撮像することで前記ドライバ状態が異常(NG)と推定する車内カメラを含むドライバ状態検出部3及び自動停車ECU10から、ドライバの操作が無い場合、又は、前記ドライバ状態が異常(NG)と推定した場合にドライバ異常を検知する自動停車ECU10と、前記ドライバ異常が複数回検知され、強警報が発せられたのにも関わらず、未だドライバ操作が無い場合、又は、ドライバ状態がNGと推定された場合に、当該ドライバが例えば健康起因による運転不能状態(危篤状態等)のドライバ異常を検知するドライバ異常検知部と、前記ドライバ異常検知部によって前記例えば健康起因による運転不能状態(危篤状態等)のドライバ異常を検知することに基づき、前記車両Vを自動停車する自動停車制御を実行する自動停車ECU10と、ドライバ状態が異常(NG)と推定したときから前記例えば健康起因による運転不能状態(危篤状態等)のドライバ異常を検知するまでの間に、前記車両Vの車線逸脱を回避する操舵制御を実行する自動停車ECU10と、前記車線逸脱を回避する操舵制御が前記自動停車ECU10にて実行されると共に、警報を発するように、前記ドライバに注意喚起するHMI装置8を制御する自動停車ECU10により実行されるようにする機能と、を備え、前記自動停車ECU10は、前記ドライバに警報を発するHMI装置8により警告を発する、自動停車装置1。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【技術分野】【0001】本発明は、ドライバが運転困難な状態に陥った場合に運転を支援する運転支援装置に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】【0005】しかしながら、上記の特許文献1のシステムでは、ドライバが昏睡状態であると判定されると、自車両を自動的に路肩に退避させているが、退避先である路肩が常に安全な場所であるとは限らない。例えば、路肩に他車両が停止していたり歩行者が存在していたりした場合は、安全とは言い難い。また、路肩が存在しない道路の場合は退避先がすぐに見つからないこともある。また、ドライバが運転困難な状態になったと判定された時に自動で減速を開始した場合は、後続車両が追突してしまうおそれが生じる。【0006】本件はこのような課題に鑑み案出されたもので、ドライバが運転困難な状態になった場合に、二次的な被害を軽減することができるようにした、運転支援装置を提供することを目的とする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。」
「【0019】[1.装置構成]本実施形態の運転支援装置は、図2に示す自車両10に搭載される。本運転支援装置は、自車両10を運転するドライバの状態が運転困難になった場合に自車両10を自動で制御し、ドライバに代わって運転を支援するとともに、周囲の他車両や歩行者等に異常を知らせる支援制御を実施する。【0020】支援制御は、自車両10に搭載される車両ECU(電子制御装置)1によって制御される。ここではまず、車両ECU1の入力側及び出力側にそれぞれ接続される装置を順に説明する。図1に示すように、自車両10には、車両ECU1の入力側に接続されるカメラ11,レーダ12,通信装置13及びドライバ状態検出センサ14が設けられる。さらに自車両10には、車両ECU1の出力側に接続されるエンジン21,自動ブレーキ装置22,自動操舵装置23,警笛装置24,前照灯25及び方向指示器26が設けられる。」
「【0025】ドライバ状態検出センサ15は、自車両10を運転しているドライバの状態を検出するものである。ここで検出されるドライバの状態とは、例えばドライバの運転姿勢や心拍状態,呼吸状態等がある。ドライバの運転姿勢は、例えば車内に設置されたドライバを撮像するカメラにより、運転中のドライバの姿勢や目線(目の動き)を撮像することで把握される。また、ドライバの心拍状態は、例えばステアリングホイールに内蔵された電極により、ステアリングホイールを握っているドライバの心拍数を検出することで把握される。また、ドライバの呼吸状態は、ドライバが着座する座席シートに内蔵された荷重センサの検出値の変化を観察することで把握される。なお、ドライバの状態を検出する手法は特に限られず、後述する状態判定部2においてドライバが運転困難な状態であるか否かを判定できるものであればよい。【0026】エンジン21は自車両10の駆動源であり、エンジン21で発生する駆動力は図示しない動力伝達経路を介して駆動輪に伝達される。エンジン21は、後述する車両制御部4によって燃料の噴射量や噴射タイミング,スロットル開度等が制御され、これにより自車両10の駆動力が制御される。なお、ここでは自車両10の駆動源としてエンジン21を例示しているが、自車両10はエンジン21のみを駆動源とするものに限られず、エンジンとモータとを駆動源とするハイブリッド電気自動車や、モータのみを駆動源とする電気自動車であってもよい。続きを表示(全16行)【0027】自動ブレーキ装置22は、ブレーキ装置とブレーキアクチュエータとから構成され、ドライバのブレーキ操作に係わらず自動的に各車輪へ制動力を付与するものである。ブレーキ装置は、ドライバによるブレーキペダルの踏み込み操作に応じ、エア圧を利用して前輪及び後輪に制動力(ブレーキ力)を発生させるフルエア式のドラムブレーキ等の一般的なブレーキ装置である。ブレーキアクチュエータは、ドライバによるブレーキ操作とは別に、後述する車両制御部4からの指令に基づいて、自動ブレーキとして各車輪に任意の大きさの制動力を発生させるものである。【0028】自動操舵装置23は、ステアリングとステアリングアクチュエータとから構成され、ドライバのステアリング操作に係わらず自動的に操舵角を制御するものである。ステアリングは、ドライバによる操舵操作に応じて車輪の向きを変える一般的な操舵装置である。ステアリングアクチュエータは、ドライバによる操舵操作とは別に、後述する車両制御部4からの指令に基づいて、自動操舵として車輪の向きを変更するものである。【0029】警笛装置24は、例えばステアリングホイールに内蔵された警笛スイッチが操作されることで音(クラクション)を発し、車外へ報知する報知装置である。通常、警笛装置24は、ドライバにより必要に応じて警笛スイッチが操作され、警笛スイッチが操作されている間のみ通電されて警笛を鳴らし続けるものであるが、ここでは後述する報知制御部5により、ドライバのスイッチ操作に係わらず自動的に警笛スイッチが操作される。【0030】前照灯25は、自車両10の前面の左右にそれぞれ設けられ、自車両10の前方を照らす照明装置である。この前照灯25には、ハイビームとロービームの二種類があり、ロービームの点灯中にハイビームを点滅させる(すなわちロービームとハイビームとを交互に点灯させる)、いわゆるパッシングを行うことで車外へ報知する報知装置としても機能する。【0031】前照灯25は、例えばステアリングに設けられたヘッドランプスイッチが操作されることで点灯されたりハイビームとロービームとが切り替えられたりする。パッシングは、例えばこのヘッドランプスイッチを手前に引いている間だけ実施されるものであり、通常はドライバの操作によって行われる。ここでは、前照灯25は後述する報知制御部5からの指令に基づいて、通常とは異なるハイビームの点滅速度で自動的にパッシングが行われる。【0032】方向指示器26は、少なくとも自車両10の前後の左右両端にそれぞれ設けられ、自車両10の進行方向を他車両等に知らせる報知装置である。方向指示器26は、例えばステアリングに設けられたウィンカースイッチが操作されることで左右何れか一方の方向指示器26が点滅し、進行方向を車外に示す。また、方向指示器26は、ウィンカースイッチとは別体で設けられたハザードスイッチが操作されることで全ての方向指示器26が点滅し、ハザードランプとして機能する。ここでは、方向指示器26は後述する報知制御部5からの指令に基づいて、通常とは異なる点滅速度で自動的にハザードランプとして作動される。」
「【0034】[2.制御構成]本実施形態の車両ECU1では、自車両10を運転するドライバが運転困難な状態に陥った場合に、自車両10を安全に停車させる運転支援制御と、自車両10の異常を周囲へ知らせる報知支援制御(報知制御)とが実施される。車両ECU1は、上記の各制御を実現するために、状態判定部2としての機能要素と、制御判定部3としての機能要素と、車両制御部4としての機能要素と、報知制御部5としての機能要素とを有している。【0035】状態判定部2は、ドライバ状態検出センサ25から伝達される情報に基づき、ドライバの状態(健康状態)に異常があるか否か(すなわち、ドライバが運転困難な状態であるか否か)を判定するものである。なお、ここでいう「ドライバに異常がある」とは、例えばドライバの心拍数が停止してしまった場合や、ドライバが死亡してしまった場合や、ドライバが深い眠りについてしまった(すなわち昏睡状態に陥ってしまった)場合等、自車両10を運転することが困難な状態、あるいは自車両10を全く運転することができない状態を意味する。【0036】状態判定部2において、ドライバが異常であると判定された場合は、その判定結果が制御判定部3及び報知制御部5に伝達される。一方、状態判定部2において、ドライバは異常ではない(正常である)と判定された場合は、その判定結果が車両制御部4に伝達される。なお、状態判定部2での判定は、一度ドライバが異常であるという判定結果が出たとしても、継続して行われる。【0037】制御判定部3は、状態判定部2においてドライバが異常であると判定されると、カメラ11,レーダ12,通信装置13及びナビゲーション装置14から取得された周辺情報に基づいて、運転支援制御を実施するための要件を判定するものである。なお、状態判定部2においてドライバの状態が正常であると判定されているときは、状態判定部2での判定結果が制御判定部3に伝達されないため、制御判定部3による判定は実施されない。」
「【0042】車両制御部4は、制御判定部3により判定された制御対象に対して自車両10が追従するように、自動的に追従制御を実施するものである。また、制御判定部3により制御対象がいないと判定された場合に、自動的に待機制御を実施するものである。さらに、車両制御部4は、状態判定部2によりドライバの状態が正常であるという判定結果が伝達された場合に、何れかの支援制御を実施中であればその全ての支援制御を停止させる、あるいは何れの支援制御も実施していないのであればそのまま何もしない(何れの支援制御も実施しない)ものである。【0043】まず、追従制御について説明する。車両制御部4は、自車両10の車速を制御する車速制御及び操舵角を制御する操舵角制御を行うことで、制御対象とされた先行車31,32(以下、追従先行車30という)に対して追従制御を実施する。車両制御部4は、追従先行車30の車速に合わせて、エンジン21の駆動力及び自動ブレーキ装置22の制動力を制御することで自車両10の車速を制御し、追従先行車30に追従する。また、追従先行車30の右左折に合わせて、自動操舵装置23のステアリングアクチュエータを制御することで車輪の向きを制御し、追従先行車30に追従する。これにより、自車両10は安全に走行を継続することができる。【0044】さらに車両制御部4は、追従先行車30に追従しているときに追従先行車30が一旦停止したら、自車両10を停止させるとともに、追従制御を終了する。つまり、追従制御中に自車両10が一度停止したら、たとえ追従先行車30が再び走りだしたとしても車両制御部4は追従制御を実施せず、自車両10は追従先行車30に追従しない(言い換えると自車両10は停止し続ける)。これにより、自車両10は安全な場所に停止することができる。【0045】なお、ここでいう「安全な場所」とは、例えば一般道であれば一時停止の標識がある場所,信号待ちのために停止する場所,駐車場等を意味し、高速道路であればサービスエリア,パーキングエリア,料金所等を意味する。つまり、「安全な場所」とは、一般的に、後続車が追突し難く、車両が安全に停止することのできる場所を意味し、必ずしもそのまま停止し続けることができる場所(例えば駐停車可能な路側帯や駐車場)のみを意味するわけではない。」
「【0047】次に待機制御について説明する。待機制御は、ドライバが運転困難な状態になった時に、すぐに追従できる先行車がいない場合に行われる制御である。ここでは車両制御部4は、待機制御として、制御判定部3により制御対象が存在すると判定されるまでの間、カメラ11及びレーダ12により取得された周辺情報に基づいて、自車両10を追突されない程度に速度を落として自動的に走行させる自動走行制御を実施する。」
「【0048】例えば高速道路のように片側二車線以上の道路を走行中に、第二先行車32は存在するものの隣接後続車33がいるために制御対象なしと判定された場合は、自車両10の速度を追突されない程度に低速にし、隣接後続車33が自車両10を追い越すのを待つ(待機する)。そして、この隣接後続車33が自車両10を追い越せば、この隣接後続車33が新たな第二先行車32になり得る。また、例えば一般道を走行中に、自車両10の前方に他車両が進入してくるように低速走行を継続して実施し、自車両10の前方に進入してきた場合は、この他車両が追従先行車30と判定される。【0049】車両制御部4は、このような待機制御の実施中に自車両10が一度停止したときは、待機制御を終了し、自車両10を停止させたままとする。例えば、自車両10が周辺情報に基づいて自動で走行している場合に、前方に赤信号があれば自車両10を自動的に停止させ、その後信号が青に変わっても自車両10を走行させず停止状態のままとする。続きを表示(全21行)【0050】報知制御部5は、状態判定部2においてドライバが異常であると判定されたときに、警笛装置24,前照灯25及び方向指示器26を制御して、自車両10の周囲にいる他車両や歩行者等に自車両10の異常を報知するものである。ここでは、報知制御部5は、警笛装置24に対して通常とは異なるリズムや音の警笛を鳴らすように指令を発する。また、前照灯25に対して通常とは異なるハイビームの点滅速度のパッシングを行うように指令を発し、方向指示器26に対して通常とは異なる点滅速度で全方向指示器26を点滅させてハザードランプとして機能するように指令を発する。【0051】なお、報知制御部5は、警笛装置24,前照灯25及び方向指示器26の全てを制御して車外へ報知するのではなく、これらのうち少なくとも一つを制御する構成であってもよい。また、ナビゲーション装置14の音声機能やブザー等を用いて、車室内へ報知する構成を追加してもよい。これは、ドライバが昏睡状態であるような場合に有効である。【0052】[3.フローチャート]次に、図3のフローチャートを用いて、車両ECU1で実施される制御手順を説明する。このフローチャートは所定の制御周期で動作する。また、下記の各ステップは、コンピュータのハードウェアに割り当てられた各機能(手段)が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することによって実施される。【0053】本支援制御装置は、ドライバによるイグニッションスイッチ(図示略)のオン操作が行われると、以下の制御フローをスタートする。図3に示すように、まずステップS10において、ドライバ状態検出センサ15によりドライバの状態が検出される。次いでステップS20において、ドライバが異常であるか否かが判定される。ここで、ドライバが異常であると判定された場合は、ドライバが運転を継続して行うことが困難であるため、支援制御が実施される。【0054】ステップS30では、報知制御部5により警笛装置24,前照灯25及び方向指示器26が制御され、自車両10の異常を周囲へ知らせる報知制御が実施される。この報知制御は、ドライバが異常ではない(正常である)と判定されるか、あるいは自車両10が停止した後イグニッションスイッチがオフ操作されるまで継続される。ステップS40では、カメラ11,レーダ12,通信装置13及びナビゲーション装置14により自車両10の周辺情報が取得される。【0055】次いでステップS50では、フラグFがF=1であるか否かが判定される。フラグFは、現在の自車両10の制御状態をチェックするための変数であり、F=0が何れの制御も実施していないことに対応し、F=1が追従制御実施中に対応し、F=2が待機制御実施中に対応する。なお、初期値はF=0に設定されている。最初にステップS50に進んだときはフラグFはF=0であるため、ステップS60へ進み、自車両10の前方を走行する先行車が存在するか否かが判定される。【0056】ここで、先行車が存在すると判定されたときは、ステップS70において先行車が自車線41を走行する第一先行車31であるか否かが判定される。先行車が第一先行車31であれば、この第一先行車31が追従先行車30とされ、ステップS80において追従制御が実施される。そして、ステップS90においてフラグFがF=1に設定され、この制御周期を終了しリターンする。【0057】次の制御周期でドライバが異常のままであれば、ステップS50からステップS100へ進み、追従先行車30が停止したか否かが判定される。追従先行車30が走行中であればステップS80へ進んで追従制御が継続される。また、追従先行車30が停止したときはステップS110に進み、自車両10も停止されて追従制御が終了され、この制御フローを終了する。つまり、ステップS110へ進んだ場合は、自車両10が安全な場所まで走行して安全な場所に停止することができたため、その場に停止し続ける(停止保持される)。なお、このときステップS30で開始した報知制御は継続中であるため、停止し続ける自車両10が異常な状態であると周囲に報知し続ける状態となる。」
「[図:0001395031000003.jpg]」(【図1】)
「[図:0001395031000004.jpg]」(【図3】)
したがって、上記引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「自車両10内に設置されたドライバを撮像することでドライバの状態が異常と判定するドライバ状態検出センサ15車両ECU1の状態判定部2から、ドライバの状態が異常と判定した判定結果を伝達される車両ECU1の制御判定部3と、前記ドライバの状態が異常と判定した場合に、当該ドライバが運転困難な状態にあると判定する車両ECU1の状態判定部2と、前記車両ECU1の状態判定部2によって前記運転困難な状態と判定されたことに基づき、前記自車両10を停車させる運転支援制御を実施する車両ECU1の車両制御部4と、ドライバの状態が異常と判定し前記運転困難な状態と判定された場合に、前記自車両10の操舵角制御と、前記車速制御とを含む追従制御を実施する車両ECU1の車両制御部4と、前記操舵角制御及び前記車速制御が前記車両ECU1の車両制御部4にて実施される前に、報知するように、ドライバ及び自車両10の周囲にいる他車両や歩行者等に知らせるナビゲーション装置14、ブザー等、警笛装置、前照灯25及び方向指示器26の報知制御を実施する車両ECU1の報知制御部5より実施されるようにする機能と、を備え、前記車両ECU1の報知制御部5は、前記ドライバに報知するナビゲーション装置14、ブザー等と、警笛装置、前照灯25及び方向指示器26により報知する、運転支援装置。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。
「[0001] 本発明は、自動車等の車両に於ける運転者の緊急時に、走行中の車両を自動的に停止させ、停車中の車両の停車状態を維持する緊急退避装置に係る。」
「[0024] 図1(A)は、車両の緊急退避装置と関連する装置とのシステム構成をブロック図の形式にて示している。同図を参照して、車両の緊急退避装置本体10(判定処理ECU)は、体調悪化や意識低下の有無等の運転者の状態を監視するための運転者状態認識部40(運転者状態認識ECU)が運転者の体調の異常又は悪化を検知して緊急退避処理の必要性を判定したとき、或いは、運転者が運転者指示入力70の受容器70a(スイッチ等)を通じて緊急退避処理を要求したとき、走行中の車両に於いては安全に停車可能な位置への停車を実行し、停車中の車両に於いては停車状態を維持するべく、車両の周囲の状況を検知するための環境情報認識部20(環境情報認識ECU)及び車両の走行状態を検知するための車両情報認識部30(車両情報認識部ECU)からの情報又はデータを用いて、車両の制駆動制御と操舵制御とを実行する走行制御部50(走行制御ECU)へ指示を与える。また、かかる指示の送信に伴って、緊急退避装置10は、運転者又は乗員、或いは、車両の周囲の他車に、緊急退避制御処理の必要性の存在又はその処理が実行されていることを認識させるための各種通知を実行する運転支援HMI(Human Interface)60の各部を作動する。[0025] かかる緊急退避処理に関して、既に触れた如く、上記の如き自動停車制御又は停車継続制御は、車両の操縦の主権を運転者から電子制御装置へ委譲する処理を含むため、かかる緊急退避処理を実行するか否かの判定は、原則として、運転者の意思確認をした上で慎重に為される必要がある。そこで、上記の構成に於いて、緊急退避処理が必要であると判定されたとき或いは運転者から緊急退避処理が要求されたとき、原則として、判定処理ECUは、運転支援HMIのディスプレイの表示又はスピーカからの音声を通じて、運転者に対して、緊急退避処理の実行の許可若しくは要求の再確認の指示(実行指示)又は取消の指示(不実行指示)を運転者指示入力部70の受容器70aへ指示入力を与えるよう要求する(意思確認処理)。そして、かかる意思確認処理に対する運転者の応答の態様に応じて、後に詳細に説明する態様にて、緊急退避処理を実行するか否かの決定が行われ、緊急退避処理の実行が決定されたときに、自動停車制御又は停車継続制御が実行される。」
「[0030] (b)運転者状態認識部(運転者生理状態推定部)運転者状態認識部は、上記の如く、運転中の運転者の体調を監視して、運転者の体調の悪化や意識の低下を検出する。運転者状態認識部に於いては、例えば、運転者の脳波、心拍数、発汗量、血圧、呼気中の成分を検出して、それらの検出データに基づいて、体調がどのような状態にあるかの検出が可能な任意の装置と同様であってよい。また、運転者の体調の監視に於いて、運転者の顔や姿勢を撮像するカメラにより、運転者の視線、顔向きの変化等が考慮されていてもよい。かくして、運転者状態認識部に於いて、運転の続行が困難であるほどの運転者の体調の異常又は悪化が検知されると、その情報が判定処理ECUへ伝達される。[0031] (c)緊急退避処理の実行開始判定処理緊急退避処理の実行を開始するか否かの判定は、運転者からの要求の有無と運転者の体調とを参照して為される。また、特に、本発明に於いては、既に述べた如く、車両が停止しているときには、道路状況も参照される。図2(A)は、判定処理ECUに於いて実行される緊急退避処理の実行を開始するか否かの判定の処理を示している。なお、同図の処理は、車両の運転中に、判定処理ECUのメモリに保存されたコンピュータ・プログラムに従って反復して実行される。[0032] 図2(A)を参照して、緊急退避処理の実行を開始するか否かの判定処理に於いては、まず、運転者が運転者指示入力部70の受容器を通じて緊急退避処理の要求をしたか否か(ステップ10)及び運転者状態認識ECU40による運転者の生理状態の監視結果が運転者の体調の悪化を示しているか否かが判定される。そして、運転者が緊急退避処理の要求をしたこと、或いは、運転者の体調の異常又は悪化が検知されていることが示されたときには、車両が停車中か否かが判定される(ステップ30)。判定は、車速>0であるか否かを参照することによってなされてよい。[0033] 車両が停車中ではないとき、即ち、車両が走行中であるときには、緊急退避処理として自動停車制御が実行される。しかしながら、緊急退避処理の実行の前に、緊急退避処理の実行を開始してよいか否かについて運転者の意思を確認する処理が実行される(ステップ40)。意思確認処理の一つの態様に於いては、図2(B)に示されている如く、まず、スピーカからの音声又はモニター画面に於ける表示を用いて、緊急退避処理の実行開始を許可する場合には受容器70aを押圧又は操作することなど、即ち、操縦の主権委譲の意思確認処理として緊急退避処理の実行開始の許可操作が、運転者に対して要求される(ステップ100)。そして、この要求に応答して、運転者が所定時間内に許可操作を行ったと判定されたときには(ステップ110、120)、緊急退避処理の実行の意思ありと判定される。しかしながら、運転者が許可操作を行ったと判定される前に所定時間が経過したときには、緊急退避処理の実行の意思なしと判定される。意思確認処理のもう一つの態様に於いては、図2(C)に示されている如く、スピーカからの音声又はモニター画面に於ける表示を用いて、緊急退避処理の実行開始を取り消す場合には受容器70aを押圧又は操作すること、即ち、操縦の主権委譲の意思確認処理として緊急退避処理の実行開始の取消操作が、運転者に対して要求される(ステップ200)。そして、この要求に応答して、運転者が所定時間内に取消操作を行ったと判定されたときには(ステップ210、220)、緊急退避処理の実行の意思なしと判定されるが、運転者が取消操作を行ったと判定されることなく所定時間が経過したときには、緊急退避処理の実行の意思ありと判定される。意思確認処理として図2(B)の処理と図2(C)の処理とのいずれを選択するかは、任意に選択されてよいところ、運転者の体調の悪化の程度が検知できる場合には、典型的には、悪化の程度が低いときには、図2(B)の処理が選択され、悪化の程度が高いときには、図2(C)の処理が選択されてよい。」
「[0042] 具体的には、図2(A)の処理に於いて、車両の走行中に緊急退避処理の実行開始が決定された後、走行中の道路が自動車専用道路又は高速道路であるか一般道であるかが環境情報認識部20からの情報を用いて判定される。走行中の道路が自動車専用道路又は高速道路であるときには、白線検出用のカメラ及びシステム(LKA(レーンキーピングアシストシステム)等が用いられてよい。)により、自車Oの走行中の車線の白線wlを検出し、図4(A)に模式的に描かれている如く、対向車線opに近い側の白線wlに沿って停車位置が決定される。かくして自車Oが停車したとき、後続車Fは、対向車線にはみ出ることなく、矢印aにて示されている如く、自車Oの対向車線から離れた側を通って自車Oを回避しながら走行することとなる。なお、自車が、中央分離線CLに隣接した車線を走行しているときには、対向車線から遠い側の白線wlに沿って停車位置が決定されてもよい。その場合でも、自車Oの対向車線から離れた側が広いので、後続車Fは、自車Oの対向車線から離れた側を通って自車Oを回避しながら走行することが可能である。また、路端REに於いて、壁W等の工作物と路端REとの間の路肩RSに、自車を停車可能な幅があることが検出されたときには、路肩RS内に停車位置O’が決定されてもよい。[0043] 一方、走行中の道路が一般道であるときには、自車と路端との距離を高精度に制御する必要性を排除すべく、図4(B)に模式的に描かれている如く、路端RE及び中央分離線CLのいずれにも近づくことなく停車される。その場合、後続車Fが自車Oを回避することは、対向車線に進入することとなり、好ましくないので、後続車Fにも確実に停車してもらうよう後続車Fに対して、ハザードランプ等を点灯させるなどして自車Oが停車することを通知することが好ましい。なお、一般道にて上記の如く停車する場合、車両の減速度は、図4(C)中のbにて例示されている如く、交差点や踏切の直前までに確実に車速が0になるよう設定される。また、その際、後続車の追突を防止するべく、図4(C)中のcにて例示されている如く、制御開始後の減速度の立ち上がりをできるだけ遅くして、後続車やその他の周囲への自車Oが停車することの報知が確実に行われるようにすべきである。」
「[図:0001395031000005.jpg]」([図1](A))
「[図:0001395031000006.jpg]」([図2](A))
「[図:0001395031000007.jpg]」([図4](A)(B))
したがって、上記引用文献3には、以下の技術的事項(以下、「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「車両内に搭載される運転者を撮像することで前記運転者の体調の異常又は悪化を検知するカメラを含む運転者状態認識部及び判定処理ECUから、前記運転者の体調の異常又は悪化を検知した情報が伝達される判定処理ECUと、前記運転者の体調の異常又は悪化を検知した場合に、当該運転者が運転の続行が困難な状態を検知する判定処理ECUと、前記判定処理ECUによって前記運転の続行が困難な状態を検知することに基づき、前記車両を自動停車させる緊急退避処理として自動停車制御を実行する判定処理ECUと、前記緊急待避処理の実行を開始してよいか否かについて運転者の意思を確認するように、前記運転者に視認可能な運転支援HMIのディスプレイの表示を行う判定処理ECUにより実行されるようにする機能と、を備え、前記判定処理ECUは、前記運転者への表示を行う運転支援HMIのディスプレイにより表示する、車両の緊急退避装置。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 本願発明1における「異常情報取得部(81)」に関して
引用発明における「車両V」は、本願発明1における「車両(A)」に相当し、同様に、「ドライバ」は「運転者」に相当する。
また、引用発明における「ドライバ状態が異常(NG)」であることは、本願発明1における「運転者の異常」に相当する。そして、本願発明1における「撮像部(11)」は、本願明細書の段落【0029】の記載からみて「近赤外光源」によって近赤外光を照射し「近赤外線カメラ」によって撮影した撮像画像を「制御ユニット」によって画像解析されて運転者の異常を示す検知信号をHCU20へ出力するものと理解できることから、引用発明における「ドライバ状態が異常(NG)と推定する車内カメラを含むドライバ状態検出部3及び自動停車ECU10」は、本願発明1における「運転者の異常を自動で検知する撮像部(11)」に相当するといえる。
さらに、引用発明における「ドライバの操作が無い場合、又は、ドライバ状態が異常(NG)と推定した場合にドライバ異常を検知する自動停車ECU10」は、本願発明1における「運転者の異常を検知した情報を取得する異常情報取得部(81)」に相当するものを含んでいる。
イ 本願発明1における「状態判定部(80)」に関して
引用発明における「ドライバ異常が複数回検知され、強警報が発せられたのにも関わらず、未だドライバ操作が無い場合、又は、ドライバ状態がNGと推定された場合」は、本願発明1における「運転者の異常の検知が継続した場合」に相当する。
また、引用発明における「ドライバが例えば健康起因による運転不能状態(危篤状態等)のドライバ異常を検知する」ことは、本願発明1における「運転者が運転困難状態にあると判定する」ことに相当する。
そうすると、引用発明における「ドライバ異常検知部」は、本願発明1における「状態判定部(80)」に相当するものである。
ウ 本願発明1における「退避制御部(82)」に関して
引用発明における「自動停車する」ことは、本願発明1における「自動で停車させる」ことに相当することから、引用発明における「自動停車制御」は、本願発明1における「自動退避制御」に相当し、引用発明における「自動停車制御を実行する」ことは、本願発明1における「自動退避制御を開始する」に相当する。
そうすると、引用発明における「ドライバ異常検知部によって例えば健康起因による運転不能状態(危篤状態等)のドライバ異常を検知することに基づき、車両Vを自動停車する自動停車制御を実行する自動停車ECU10」は、本願発明1における「退避制御部(82)」に相当するものである。
エ 本願発明1における「支援制御部(83)」に関して
引用発明における「車線逸脱を回避する操舵制御」は、本願発明1における「車線逸脱の防止機能」に相当し、同様に、「車線逸脱を回避する操舵制御を実行する」ことは「車線逸脱の防止機能を開始する」ことに相当する。
そうすると、引用発明における「ドライバ状態が異常(NG)と推定したときから例えば健康起因による運転不能状態(危篤状態等)のドライバ異常を検知するまでの間に、車両Vの車線逸脱を回避する操舵制御を実行する自動停車ECU10」は、本願発明1における「支援制御部(83)」と、「異常が検知されたときから運転困難状態と判定されるまでの間に、車両の車線逸脱の防止機能を開始する支援制御部(83)」という限りにおいて一致する。
オ 本願発明1における「報知制御部」、「出力部」及び「運転者報知部(12,14)」に関して
(ア) 本願発明1における「報知制御部」に関して
引用発明における「車線逸脱を回避する操舵制御が自動停車ECU10にて実行される」ことは、本願発明1における「車線逸脱の防止機能及び巡航制御機能が支援制御部にて開始される」ことと、「車線逸脱の防止機能が前記支援制御部にて開始される」ことという限りにおいて一致する。また、引用発明における「と共に」は、本願発明1における「ことに基づき」に相当する。
また、引用発明における「警報を発するように」することは、本願発明1における「自動退避制御への移行を問い合わせる報知を要求する報知要求情報」と、「報知要求情報」という限りにおいて一致する。
さらに、引用発明における「ドライバに注意喚起するHMI装置8」は、本願発明1における「運転者を除く車両の乗員にも視認可能な情報報知部(13)」と、「車両の乗員に認識可能な報知部」という限りにおいて一致する。そして、引用発明における「ドライバに注意喚起するHMI装置8を制御する自動停車ECU10」は、本願発明1における「運転者を除く車両の乗員にも視認可能な情報報知部(13)の報知制御を行う報知制御部(20)」と、「車両の乗員に認識可能な情報報知部(13)の報知制御を行う制御部」という限りにおいて一致する。
(イ) 本願発明1における「出力部」に関して
引用発明における「警報を発するように」、「自動停車ECU10により実行されるようにする機能」を備えていることは、本願発明1における「自動退避制御への移行を問い合わせる報知を要求する報知要求情報を」、「報知制御部(20)に出力する出力部」を備えていることと、「報知要求情報」を、「制御部に出力する出力部」を備えているという限りにおいて一致する。
(ウ) 本願発明1における「運転者報知部(12,14)」及び「報知制御部」に関して
引用発明における「ドライバに警報を発するHMI装置8」は、本願発明1における「運転者への報知を行う運転者報知部(12,14)」に相当する。そして、引用発明における「自動停車ECU10は、ドライバに警報を発するHMI装置8により警告を発する」ことは、本願発明1における「報知制御部は、運転者への報知を行う運転者報知部(12,14)と、情報報知部である乗員報知部との報知制御を行」うことと、「報知制御部は、運転者への報知を行う運転者報知部(12,14)の報知制御を行」うことという限りにおいて一致する。
カ 本願発明1における「走行制御装置」に関して
引用発明における「自動停車装置1」は、本願発明1における「走行制御装置」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「車両内に搭載される運転者を撮像することで前記運転者の異常を自動で検知する撮像部から、前記運転者の異常を検知した情報を取得する異常情報取得部と、前記運転者の異常の検知が継続した場合に、当該運転者が運転困難状態にあると判定する状態判定部と、前記状態判定部によって前記運転困難状態と判定されたことに基づき、前記車両を自動で停車させる自動退避制御を開始する退避制御部と、異常が検知されたときから前記運転困難状態と判定されるまでの間に、前記車両の車線逸脱の防止機能を開始する支援制御部と、前記車線逸脱の防止機能が前記支援制御部にて開始されることに基づき、報知要求情報を、前記乗員に視認可能な報知部の報知制御を行う制御部に出力する出力部と、を備え、前記制御部は、前記運転者への報知を行う運転者報知部の報知制御を行う、走行制御装置。」
(相違点1)
「支援制御部」について、異常が検知されたときから運転困難状態と判定されるまでの間に、本願発明1は、
車両の車線逸脱の防止機能と、「車両の走行速度及び前走車までの車間距離を制御する巡航制御機能」とを「実質的に同時に」開始するものであるのに対し、
引用発明は、
車両V(車両)の車線逸脱を回避する操舵制御(車線逸脱の防止機能)を実行する(開始する)ものではあるものの、「車両の走行速度及び前走車までの車間距離を制御する巡航制御機能」はなく、「実質的に同時に」開始するものでもない点。
(相違点2)
本願発明1は、
車線逸脱の防止機能「及び前記巡航制御機能」が支援制御部にて開始されることに基づき、「自動退避制御への移行を問い合わせる報知を要求する報知要求情報」を、「運転者を除く車両の乗員にも視認可能な情報報知部(13)」の報知制御を行う報知制御部(20)に出力する出力部を備え、
報知制御部は、運転者への報知を行う運転者報知部(12,14)と、「情報報知部である乗員報知部」との報知制御を行い、
「乗員報知部を用いた自動退避制御への移行を問い合わせる報知は、運転者報知部を用いた自動退避制御への移行を問い合わせる報知よりも自動退避制御に関する文字情報を多くした内容とされる」ものであるのに対し、
引用発明は、
車線逸脱を回避する操舵制御(車線逸脱の防止機能)が自動停車ECU10(支援制御部)にて実行される(開始される)と共に(ことに基づき)、「警報」を発するように、「ドライバ」(運転者)に視認可能なHMI装置8(情報報知部(13))を制御する(の報知制御を行う)自動停車ECU10(報知制御部(20))により実行されるようにする機能(に出力する出力部)、を備え、
自動停車ECU10(報知制御部)は、「ドライバ」(運転者)に「警報」を「発する」(への報知を行う)HMI装置8(運転者報知部(12,14))により「警告」を発する(の報知制御を行う)ものではあるものの、
本願発明1のように、報知要求情報の出力部への出力が、「巡航機能」が支援制御にて開始されることに基づくものではなく、「自動退避制御への移行を問い合わせる報知を要求する報知要求情報」を「運転者を除く車両の乗員にも視認可能な情報報知部(13)」の報知制御を行う報知制御部(20)に出力する出力部、を備えるものではなく、
報知制御部(20)が「情報報知部である乗員報知部」の報知制御を行うものではなく、
「乗員報知部を用いた自動退避制御への移行を問い合わせる報知は、運転者報知部を用いた自動退避制御への移行を問い合わせる報知よりも自動退避制御に関する文字情報を多くした内容とされる」ものでもない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
事案に鑑み、相違点2から検討する。
引用文献2及び3に記載された技術的事項は、「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2について」及び「3.引用文献3について」に記載のとおりである。
しかしながら、引用文献2及び3に記載された技術的事項のいずれも、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項のように、「自動退避制御への移行を問い合わせる報知を要求する報知要求情報」を「運転者を除く車両の乗員にも視認可能な情報報知部(13)」の報知制御を行う報知制御部(20)に出力する出力部、を備え、報知制御部(20)が「情報報知部である乗員報知部」の報知制御を行い、「乗員報知部を用いた自動退避制御への移行を問い合わせる報知は、運転者報知部を用いた自動退避制御への移行を問い合わせる報知よりも自動退避制御に関する文字情報を多くした内容とされる」ものではないことから、当業者といえども、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項から、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項に容易に想到することはできない。
なお、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4は、本願発明8の「自動退避制御の開始後において、運転者による運転操作の受け付けを禁止する操作受付部」なる発明特定事項に対して引用されたものであり、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を開示するものではない。
(3)まとめ
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2ないし12について
本願発明2ないし12も、本願発明1と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明13について
本願発明13は、本願発明1の走行制御装置に対応する車載システムの発明であり、本願発明1の「異常情報取得部(81)」、「状態判定部(80)」、「退避制御部(82)」、「支援制御部(83)」、「報知制御部」及び「出力部」に対応する発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし13は、当業者が引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-008088