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特許拒絶査定不服審判

2022-007867

生分解性の構成要素を有するペン針組立体

審判番号
2022-007867
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-165893
請求日
2022年05月25日
審決日
2023年01月24日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エンベクタ コーポレイション
  • 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 村上 聡
  • 審判官 井上 哲男
  • 審判官 栗山 卓也
分類
P18 .121-Z (A61M) / P18 .575-Z (A61M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-165893号「生分解性の構成要素を有するペン針組立体」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月14日出願公開、特開2021-3594号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2010年(平成22年) 2月 4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年 2月 6日 US(アメリカ合衆国))を国際出願日とする出願である特願2011-549155号の一部を、平成28年 2月 4日に新たな特許出願とした特願2016-19781号の一部を、平成30年 9月27日に新たな特許出願とした特願2018-182350号の一部を、令和 2年 9月30日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 9月30日提出:上申書 令和3年 6月25日付け:拒絶理由通知 令和3年 8月19日提出:意見書 令和4年 1月21日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) 令和4年 5月25日提出:審判請求書及び手続補正書 令和4年10月 6日提出:上申書 第2 令和 4年 5月25日に提出された手続補正書でされた補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 4年 5月25日提出の手続補正書でされた補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(下線部は補正箇所である。)。 「【請求項1】 薬剤投与針組立体であって、 ハブ基部から延びるハブ突出部に第一端を有し、前記ハブ基部に第二端を有するハブ、 上記ハブに固定して結合された、第一端および第二端を有する針であって、上記針の第二端が薬剤カートリッジのセプタムの穿孔のために上記ハブの第二端内に配置されている針、 上記針の上記第一端を覆うための取り除かれるカバー部材、および、 上記針の上記第二端を覆うための取り除かれるラベルタブを含み、 上記カバー部材は、上記カバー部材と上記ハブ突出部との間に、滅菌シールを提供し、 上記ラベルタブは、上記ラベルタブと上記ハブとの間に、滅菌シールを提供し、 上記カバー部材は、遠位端にフランジを備え、上記ハブ突出部に取り外し可能に結合され、上記ラベルタブは、上記ハブに取り外し可能に結合され、 上記ハブ、上記カバー部材および上記ラベルタブの少なくとも一つが、生分解性材料で製造されていることを特徴とする薬剤投与針組立体。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、願書に添付された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 薬剤投与針組立体であって、 ハブ基部から延びるハブ突出部に第一端を有し、前記ハブ基部に第二端を有するハブ、 上記ハブに固定して結合された、第一端および第二端を有する針であって、上記針の第二端が薬剤カートリッジのセプタムの穿孔のために上記ハブの第二端内に配置されている針、 上記針の上記第一端を覆うための取り除かれるカバー部材、および、 上記針の上記第二端を覆うための取り除かれるラベルタブを含み、 上記カバー部材は、上記カバー部材と上記ハブ突出部との間に、滅菌シールを提供し、 上記ラベルタブは、上記ラベルタブと上記ハブとの間に、滅菌シールを提供し、 上記カバー部材は、上記ハブ突出部に取り外し可能に結合され、上記ラベルタブは、上記ハブに取り外し可能に結合され、 上記ハブ、上記カバー部材および上記ラベルタブの少なくとも一つが、生分解性材料で製造されていることを特徴とする薬剤投与針組立体。」 2 本件補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に係る発明のカバー部材について、明細書の段落【0030】及び図5の記載に基いて、「遠位端にフランジを備え」る点を限定するものであって、本件補正の前後で請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。また、本件補正は同条第3項及び第4項の規定に違反するものではない。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明 ア 原査定の拒絶の理由で示された本願の優先日前に外国において頒布された国際公開第2007/047403号(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与。以下、同じ。)。 (ア)「The following description and details of exemplary embodiments of the present invention, while generally disclosed in a typical pen needle hub configuration, could more broadly apply to a needle and hub assembly for use in conjunction with, or incorporated onto, other injection devices such as syringes and infusion devices. In the case of a disposable pen needle application, the user would generally handle embodiments of the invention in the same manner as a typical commercially available pen needle. A pen needle assembly according to an embodiment of the present invention is shown in FIG. 2. The pen needle assembly 2 comprises a cover 100, an inner shield 200, a needle cannula 300, and a hub 400 The proximal end 310 of the needle cannula 300 is inserted into a center opening in the distal (patient) end 405 of the hub 400 until a predetermined length of the distal end 305 of the needle cannula 300 remains extended. The needle cannula 300 is secured by epoxy or adhesive in the distal end 405 of the hub 400 within the hub protrusion 420.」(6頁10~22行) (訳:本発明の例示的な実施形態の以下の説明と詳細は、典型的なペン針ハブの形態において概略的に開示されるが、注射器や輸液用器具のような他の注射器具と連携して又はそれらに組み込まれて用いられるための、針及びハブの組立体にもより広くあてはまるであろう。使い捨てのペン針の用途の場合には、使用者は、典型的に商業的に利用可能なペン針と同じ方法で、本発明の実施形態を一般に取り扱うであろう。 本発明の実施形態によるペン針組立体が図2に示されている。ペン針組立体2は、カバー100、内側のシールド200、針カニューレ300及びハブ400を備えている。針カニューレ300の基端部310は、針カニューレ300の末端部305の所定の長さが延在して残るまで、ハブ400の末(患者側)端部405における中心開口内に挿入される。針カニューレ300は、ハブ突出部420内のハブ400の末端部405にエポキシ樹脂又は接着剤により固定される。) (イ)「Distal end 105 of the cover 100 is closed to prevent contamination and damage to the inner components of pen needle assembly 2, and to prevent injury to anyone who may handle it prior use. The proximal end 410 of the hub 400 is typically covered by a sanitary cover on end 110 of cover 100, which is not shown since it is not an essential element of the instant invention. The pen needle assembly 2 is then ready for shipment to a user. When the user is ready to use the pen needle assembly 2, the sanitary cover (not shown) is removed, the hub 400 is screwed onto a standard pen or medication cartridge (not shown), and the cover 100 and shield 200 are removed from the hub 400/cannula 300 subassembly by a pulling action.」(6頁29行~7頁3行) (訳:カバー100の末端部105は、ペン針組立体2の内側の構成部品への汚染及び損傷を防止し、使用の前にそれを取り扱う者への傷害を防止すべく、閉じられている。ハブ400の基端部410は、典型的には、カバー100の端部110における不図示の衛生カバーによりカバーされる。衛生カバーは本発明の必須の要素ではないので図示されていない。そこで、ペン針組立体2は、使用者への出荷の用意ができている。使用者がペン針組立体2を使う用意ができたとき、(不図示の)衛生カバーが外されて、ハブ400が標準のペン又は(不図示の)医薬品カートリッジにねじ込まれて、カバー100とシールド200とがハブ400/カニューレ300のサブ組立体から、引き動作によって取り外される。) (ウ)「In yet another embodiment of the present invention, a hub design can be provided with the cannula-protective benefits of a deeper well along with an adhesive run-off feature, without having to have inner/outer center hub protrusions and a shield mounted between. FIGS. 21 through 24 are perspective views of a pen needle hub assembly according to another embodiment of the present invention. In the embodiment of FIGS. 21 through 24, the hub 2000 comprises a hub protrusion 2002 and a shield 2004. The embodiment provides a deeper well 2006 along with an adhesive run-off feature via opening 2008. The coring can be done from the bottom side and with the hub protrusion diameter reduced, the shield can mount over the hub protrusion. In yet another embodiment of the present invention, the above features can be combined in any number of arrangements. FIGS. 25 through 30 are perspective views of a pen needle hub assembly according to another embodiment of the present invention. Specifically, FIG. 25 illustrates a side-by-side comparison between a conventional hub device 3000 and an exemplary embodiment 3050 of the present invention in which a number of features described above have been provided. As can be noted from FIG. 25, the adhesive bump 3045 of the conventional hub device 3000 is not detectable in the exemplary embodiment 3050. Further, as shown in FIG. 26, the exemplary embodiment 3050 can be further provided with a shield 3060. FIG. 26 illustrates an embodiment of the present invention wherein a shield 3060 is shown in a removed state. FIGS. 27, 28 and 29 illustrate an exemplary embodiment of the shield 3060.」(15頁14~最終行) (訳:本発明のさらに他の実施形態では、ハブデザインに、接着剤の流出特徴に加えて、より深いくぼみのカニューレ保護利益が、内側/外側の中心ハブ突出部とそれらの間に搭載されるシールドとを有させる必要もなく、設けられ得る。図21から24までは、本発明の他の実施形態による、ペン針ハブ組立体の斜視図である。図21から24までの実施形態では、ハブ2000がハブ突出部2002とシールド2004とを備えている。該実施形態は、開口2008を経る接着剤の流出特徴に加えて、より深いくぼみ2006を設けている。芯抜き加工は底側から行われ得、ハブ突出部の直径が低減されている。シールドはハブ突出部の上に搭載できる。 本発明のさらに他の実施形態では、上記の特徴が、多数の配列で組み合わされ得る。図25から30は、本発明の他の実施形態によるペン針ハブ組立体の斜視図である。特に、図25は、従来のハブ器具3000と、上に説明された多くの特徴が設けられている、本発明の例示的な実施形態3050との間の並列比較を図解している。図25から知られるように、従来のハブ器具3000の接着剤のこぶ3045は、例示的な実施形態3050では認められない。さらに、図26に示されるように、例示的な実施形態3050はシールド3060がさらに設けられ得る。図26は、シールド3060が取り除かれた状態において示される、本発明の例示的な実施形態を図解している。図27、28及び29は、シールド3060の例示的な実施形態を図解している。) (エ)「The shield 3060 of FIGS. 27, 28 and 29 is shown having a serrated upper cylindrical body 3062 and a multi-sided shoulder 3064 having a plurality of flat surfaces. As shown in an exemplary embodiment in FIG. 28, the multi-sided shoulder 3064 can be provided with nine flat surfaces, but is not limited thereto. Any number of flat surfaces can be provided to substantially prevent the device from rolling when placed horizontally upon a surface. In the exemplary embodiment shown in Fig. 28, the nine flat surfaces (or any uneven number of flat surfaces) can also be used to provide maximal land area for the part when traveling along automated assembly feeder rails (not shown). Further, the uneven number of flat surfaces prevents two flat surfaces from being formed directly across from each other, which would minimize the 180 degree span and minimize the land area for engaging automated assembly feeder rails. The elongated upper body 3062 provides further distance between a user and the needle point when assembling the shield with the hub (not shown). A lower body 3066 is provided having an opening for receiving the hub. FIGS. 30A through 30F are perspective views of a pen needle hub full assembly, including cover, shield and hub, according to an embodiment of the present invention. FIG. 30A illustrates an exemplary cover 4100, and FIG. 30B illustrates the cover 4100 positioned to cover the shield 3060 already in place upon a hub 4110. FIG. 30C is a cross-sectional view of the shield 3060 in place upon the hub 4110, and FIG. 30D is a view showing the shield 3060 removed from the hub 4110. The hub 4110 is shown in greater detail in FIGS. 30E and 30F, and comprises features described in greater detail above. In the embodiment shown in FIGS. 30A through 30F, the NP shield is not required and all center hub protrusion coring is done from the top. The shield sleeve is longer, providing more engagement with the hub for a more secure fit and is provided with a finger grip surface with full radial serration.」(16頁1~23行) (訳:図27、28及び29のシールド3060は、ぎざぎざ付の上部円筒形本体3062及び複数の平らな表面を有する多側面肩部3064を有して、示されている。図28における例示的な実施形態に示されるように、多側面肩部3064には、限定はされないが、9つの平らな表面が設けられてもよい。ある表面に水平に置かれたときに、器具が転がることを実質的に防止するためには、如何なる数の平らな表面が設けられてもよい。図28に示された例示的な実施形態においては、自動化された組立て供給レール(不図示)に沿って移動するとき、部品に最大限の接地面積を提供するべく、9つの平らな表面(又は、如何なる奇数の平らな表面)が用いられ得る。さらに、奇数の平らな表面は、180度の間隔を最小化し、且つ自動化された組立て供給レールとの係合のための接地面積を最小化するであろう、2つの平らな表面が互いに直接に反対側に形成されることを防ぐ。細長い上部本体3062は、シールドとハブ(不図示)を組み立てるとき、使用者と針先端との間に、より一層の距離を提供する。下側の本体3066には、ハブを受け入れるための開口が設けられている。 図30Aないし図30Fは、本発明の一実施形態による、カバー、シールド及びハブを含む、ペン針ハブの完全な組立体の斜視図である。図30Aは例示的なカバー4100を示し、図30Bは、ハブ4110の上に既に置かれたシールド3060をカバーすべく位置されたカバー4100を示している。図30Cは、ハブ4110の上に置かれたシールド3060の断面図であり、図30Dは、ハブ4110から取外されたシールド3060を示す図である。ハブ4110が図30E及び図30Fにより詳細に示され、上により詳細に説明された特徴を備えている。図30Aないし図30Fに示された実施形態では、非患者側のシールドは必要とされず、全ての中心ハブ突出部の芯抜き加工は頂部側から行われる。シールドのスリーブはより長く、より確実な嵌合のためにハブとのより多くの係合量をもたらし、そして、完全な放射方向ぎざぎざでもって、指グリップ表面がもたらされている。) (オ)「図2 [図:0001398976000001.jpg] 」 (カ)「図3 [図:0001398976000002.jpg] 」 (キ)「図22 [図:0001398976000003.jpg] 」 (ク)「図24 [図:0001398976000004.jpg] 」 (ケ)「図25 [図:0001398976000005.jpg] 」 (コ)「図26 [図:0001398976000006.jpg] 」 (サ)「図27 [図:0001398976000007.jpg] 」 (シ)上記(ア)、(オ)、(カ)の記載からすれば、上記(キ)、(ク)記載の実施形態においても、針カニューレをハブにエポキシ樹脂または接着剤により固定し、ペン針ハブ組立体として構成されていることが認定できる。 (ス)上記(ア)、(オ)、(カ)の記載からすれば、上記(キ)、(ク)記載の実施形態においても、針カニューレの端部はハブ内に配置されていることが推認される。 上記(ウ)、(エ)の特に下線部の記載、(キ)、(ク)の図面の記載及び(シ)、(ス)の認定からすれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「ペン針ハブ組立体であって、 ハブ突出部を有するハブ、 ハブに固定され、一方端部がハブ内に配置された針カニューレ、 ハブ突出部の上に搭載でき針カニューレの他方端部を覆うシールドを含み、 シールドはぎざぎざを備えるペン針ハブ組立体。」 イ 原査定の拒絶の理由で示された本願の優先日前に国内において頒布された特表2001-515767号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0026】 図5に、本発明の一つの実施例で一体になったしゃ血システム100を示す。システム100には、バレルアセンブリー110、 それにしっかりと固定された注射針40(図5では隠れている)、フロント注射針プロテクタ112、及びバックシール114が含まれる。バレルアセンブリー110と注射針40が主要機能装置又はユニット(一般に、図6で115と番号を付けられている)を構成する。プロテクタ112及びシール114は採血を行う前に取り外される。」 (イ)「【0029】 シール114は、開口部126上からバレルアセンブリー110に取り外し可能なように粘着させ、バレルアセンブリー110から使用の為取り外されるまで菌の混入を防ぐ障害となり、また不正使用の目印となるのが好ましい。シール114はタブ132を持ち、シールの取り外しを容易にするのが好ましい。同様な目的のシールはよく知られており医用装置の分野では広く使用されている。システム100を医療用として準備するには、図6に示すようにシール114とプロテクタ112をバレルアセンブリー110から単に取り外すだけでよい。図6のバレルアセンブリー110は図5のものに対して180°回転されていることに注意。カバーを取り外すと、伸長可能な注射針さや又はシュラウド140(一般に、他の図では140'の番号が付けられている)が医用注射針40の周りに位置しているのが見られる。この実施例では、注射針40はバレル124にしっかりと固定されている。注射針40をバレル124に取り付ける方法に関しては後に詳しく述べる。」 (ウ)「図5 [図:0001398976000008.jpg] 」 ウ 原査定の拒絶の理由で周知例として示された本願の優先日前に国内において頒布された特表2003-522823号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0009】 【課題を解決するための手段】 本発明は、数平均分子量が9,000~90,000で、重量平均分子量が30,000~600,000で、融点が40~150℃で、メルト指数(190℃、2160g)が0.1~50g/10分である生分解性ポリエステル樹脂組成物を用いて射出成形により製造した生分解性使い捨て注射器に関する。」 (イ)「【0017】 【実施の態様】 本発明によって製造した注射器は、使い捨て注射器、予め充填式の注射器、一般的な注射器等の種々の形で作製することができる。 【0018】 例えば、図1は、針キャップ1、バレル2及びプランジャー3を有する本発明の生分解性使い捨て注射器を示し、該法射器は針を除いて特定の射出成形条件下に本発明のポリエステル樹脂租成物を用いて製造したものである。」 (ウ)「図1 [図:0001398976000009.jpg] 」 エ 原査定の拒絶の理由で周知例として示された本願の優先日前に国内において頒布された特表2003-531646号公報(以下、「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0025】 本発明の他の実施例によれば、図3に示すように、ペンニードル100は、包囲体106と、針状カニューレ102と、ニードル取付部104とを有する。針状カニューレ102は、包囲体106を貫通しており、カートリッジ24の弾性隔膜28内に挿入できる。包囲体106をカートリッジリテーナ16の末端部20に取付ける。ペンニードル100をカートリッジリテーナ16に接続すると、針状カニューレ102は弾性隔膜28内に貫入する。この構成で、患者は針状カニューレ102を患者の皮膚の中に直接挿入できる。本発明において使用できるペンニードルは、現在商業的に入手可能で、例えば、Novofine(R) 30 1/3 inch (8mm) ペンニードル (Novo Nordisk, Princeton, NJ)がある。ペンニードルの更に詳細な記載及びその動作方法については、参考までに本明細書に挙げた、Joel Douglas氏らにより「再利用可能な薬剤供給装置」と題して2000年9月29日に提出された訴訟事件(Attorney Docket)番号第 032994-012号に見ることができる。」 (イ)「図3 [図:0001398976000010.jpg] 」 オ 本願の優先日前に国内において頒布された特開2006-314554号公報(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0032】 外筒の先端開放部を密封する封止キャップ12は、ゴムや熱可塑性エラストマーのような再シール性を有する弾性材料で形成したキャップ状のもので筒先を包み込む様に覆い被せてもよく、また前記の合成高分子樹脂組成物で天面に透孔を設けたキャップ状の成型物を作成し、その透孔を塞ぐようにゴムやエラストマーのような再シール性材料を配置したキャップ状のものを筒先に覆い被せてもよい。筒先に封止キャップ12が確実に固定され抜け落ちたりしないようにするため、筒先の外表面及び封止キャップの内表面にお互いが係合するように凹部凸部、凹条凸条、雄ねじ雌ねじ、あるいはこれらを組み合わせたものなどを設けて固定しても良い。また、アルミリングによる巻き締め、収縮チューブによる押圧、接着、融着等で固定しても良い。外筒の先端(筒先)に取り付けられた封止キャップは、後述するようにプレフィルドシリンジを用いてアンプルやバイアル瓶中に入っている薬剤をプレフィルドシリンジに充填したり、充填してある薬剤を輸液容器に収入したりあるいは患者に投与する場合には、両端に穿刺部を設けた両頭針を接続し、それらの操作を行う。両頭針の接続は両頭針に設けられているハブ(接続部)に封止キャップを挿入し、ハブの内面と封止キャップの外面を接触させてプレフィルドシリンジに両頭針を固定する。ハブに封止キャップを挿入しプレフィルドシリンジに両頭針を装着した際に、両頭針が脱落しないようにするためハブの内面に形成されている凹部凸部、凹条凸条等に対応する凸部凹部、凸条凹条等を封止キャップの外表面に形成しておくことが好適である。なお、プレフィルドシリンジは上述のような操作が行われるため、封止キャップ12に用いられる再シール性を有する材料に与えられる再シール性はより高度なものであることが好ましい。具体的には、封止キャップ12の材料としては、SEBS、SEPS等のエラストマーあるいはこれらエラストマーとポリプロピレンまたはポリエチレンとの組成物、ブチルゴムが挙げられる。」 (イ)「図2 [図:0001398976000011.jpg] 」 カ 本願の優先日前に国内において頒布された特表2007-507308号公報(以下、「周知例2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0074】 先端キャップ14は、先端24またはルアー式留め具34に連結することができ、かつ注射外筒12の内容物が漏れないように液密封止を形成することのできる、可撓性および弾性ある材料から作製する。図2に示すように、先端キャップ14は、軸方向の内腔を画定し、かつ開放端部48を形成する、円筒状の側壁46を有する本体部分44を含む。円筒状側壁46および開放端部48は、先端24と嵌合することが可能な内部寸法を持った内面を有する。図示される実施形態では、先端キャップ14の本体44は、先端24用の栓を画成する突起52を持った、閉じた下端部50を有する。突起52は、本体44の下端部50の内部に向けられ、先端キャップ14を先端24上に位置付けたときに、先端24の軸方向の通路26内に挿入されるような寸法を有する。図2Aに示す一実施形態では、ルアー式留め具34の雌ねじに連結させるため、先端キャップ14には、円筒状側壁46の表面に雄ねじ47を切ることができる。あるいは、先端キャップ14には、注射器表面に切られたねじに連結させるため、雌ねじを切ることができる。好ましい実施形態では、円筒状側壁46の内面が、注射器の円錐台形状(frustoconical)先端24に連結しかつその先端24を封止することができるよう、先端キャップ14を、弾性および可撓性のポリマー組成物から射出成型する。先端キャップは、熱可塑性環状オレフィンコポリマーと熱可塑性エラストマーとのブレンドを含んだポリマー成分を有する樹脂組成物から作製することが好ましい。」 (イ)「図1 [図:0001398976000012.jpg] 」 キ 本願の優先日前に国内において頒布された特開2000-202026号公報(以下、「周知例3」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0014】 【実施例2】図8~12を参照して、実施例2は、前記実施例1に示されると同様の第一の指掛け部材(10)を薬液カートリッジ(4)の外端に設けると共に、注射器本体(1)の先端に挿着される保護キャップ(9)に一体に平板状の指掛け板(13)を形成し、該指掛け板(13)を第二の指掛け部材としたものである。第一の指掛け部材(10)は、好ましくは前記プランジャーロッド(7)の押圧用ヘッド(8)よりも大径に形成され、指掛け位置の間違いを少なくしている。使用に際しては、図10に示すように第二の指掛け部材(13)に親指をかけ、第一の指掛け部材(10)に他の2本の指をかけて互いに接近させる。薬液カートリッジ(4)が注射器本体(1)に対して相対的に接近し、密封栓(5)を注出針(2)が刺通して薬液の注出が可能な状態となる。尚、第二の指掛け部材(13)を図示のような構造とすることなく、注射器本体(1)の先端を保護する保護キャップ(9)の先端を第二の指掛け部材として、直接保護キャップ(9)の先端に指をかけるようにしても良い。このように、注射器本体(1)と薬液カートリッジ(4)とに指掛け部材(13)、(10)を設けて片方の手指で薬液カートリッジ(4)を注射器本体に対して相対的に移動させるようにしてあるので、操作が簡便となると共に操作後に薬液カートリッジに取り付けた指掛け部材を取り外す必要がない。片手による操作のため、大きく外方に延び出したプランジャーヘッド(8)に指が掛かるおそれがなく、プランジャーロッド(7)が押圧されることがなく、密封栓(5)を注出針が刺通するまでは、プランジャーロッド(7)で薬液が加圧されることはない。刺通後は、第二の指掛け部材(12)が注射器本体(1)の後端の指掛けフランジ(3)に接近しているため、注射器本体の指掛けフランジ(3)とプランジャーヘッド(8)とに誤りなく指をかけて、プランジャーロッド(7)を押圧することが出来る。」 (イ)「図8 [図:0001398976000013.jpg] 」 ク 本願の優先日前に国内において頒布された特開平8-52213号公報(以下、「周知例4」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0051】続いて、本注射器を使用する場合は、まず、針部2にてシール26を剥がす一方、本体部1にて先端キャップ11から蓋部材12を外す。蓋部材12が先端キャップ11の円盤部11cに熔着されているので、フランジ12aに指を引っ掛けて外すだけで、薄肉部11dが簡単に破壊され、円盤部11cが蓋部材12とともに先端キャップ11から外れる。これにより、ゴム栓10は円盤部11cがあった部分のみ開放される。」 (イ)「図1 [図:0001398976000014.jpg] 」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「ペン針ハブ組立体」は、注射器等に組み込まれて使用するものであるから、本件補正発明の「薬剤投与針組立体」に相当する。 (イ)引用発明の「ハブ」は、針カニューレが設けられる「ハブ突出部」とハブ基部とからなり、ハブ突出部の先端及び当該先端と反対側の当該ハブ基部の後端は、それぞれ「第一端」及び「第二端」といえるから、「ハブ基部から延びるハブ突出部に第一端を有し、前記ハブ基部に第二端を有」している。 (ウ)引用発明の「針カニューレ」は、機能及び構造上、本件補正発明の「針」に相当し、引用発明のハブ内に配置された「一方端部」は、本件補正発明の針の「第二端」に相当する。 (エ)引用発明の針カニューレの「他方端部」は、本件補正発明の針の「第一端」に相当し、引用発明の「シールド」は、当該ハブ突出部に搭載され針の第一端を覆うものであるから、本件補正発明の「針の第一端を覆うための取り除かれるカバー部材」に相当する。また、当該シールドはハブ突出部に搭載されるものであるから、「ハブ突出部に取り外し可能に結合され」ているものである。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「薬剤投与針組立体であって、 ハブ基部から延びるハブ突出部に第一端を有し、前記ハブ基部に第二端を有するハブ、 上記ハブに固定して結合された、第一端および第二端を有する針であって、上記針の第二端が上記ハブの第二端内に配置されている針、 上記針の上記第一端を覆うための取り除かれるカバー部材を含み、 上記カバー部材は、上記ハブ突出部に取り外し可能に結合されている薬剤投与針組立体。」 【相違点1】 本件補正発明は、針の第二端が薬剤カートリッジのセプタムの穿孔のためのものであるのに対して、本件補正発明はそのような特定がない点。 【相違点2】 本件補正発明は、針の第二端を覆うための取り除かれるラベルタブを含み、上記ラベルタブは、上記ハブに取り外し可能に結合されているのに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点。 【相違点3】 本件補正発明は、カバー部材が、上記カバー部材とハブ突出部との間に、滅菌シールを提供し、ラベルタブは、上記ラベルタブとハブとの間に、滅菌シールを提供するのに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点。 【相違点4】 本件補正発明は、カバー部材が、遠位端にフランジを備えているのに対し、引用発明は、シールドがぎざぎざを備えている点。 【相違点5】 本件補正発明は、ハブ、カバー部材およびラベルタブの少なくとも一つが、生分解性材料で製造されているのに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点。 (4)判断 以下、上記相違点について検討する。 ア 相違点1について ペンニードル100(薬剤投与針組立体)の包囲体106(ハブ)に結合された針状カニューレ102(針)をカートリッジ24(薬剤カートリッジ)の弾性隔膜(セプタム)の穿孔のために用いることは、例えば引用文献5(上記(2)エ(ア)、(イ)参照。)に記載されているように通常の態様にすぎず、引用発明の針カニューレがそのような態様で用い得る構成であることは明らかであり、相違点1は実質的な相違点ではない。 また、仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明の用途や構造に照らせば、上記通常の態様から当業者であれば容易に想到し得ることである。 イ 相違点2について 引用文献1には、ペン針組立体2(薬剤投与針組立体)の内側の構成部品への汚染及び損傷を防止するためにハブ400の基端部410を衛生カバーによりカバーする旨の記載がある(上記(2)ア(イ)参照。)。 そして、引用文献2(上記(2)イ(ア)~(ウ)参照。)には、バレルアセンブリー110(ハブ)内への菌の混入を防ぐためにタブ132を持つシール114(ラベルタブ)をバレルアセンブリー110(ハブ)に取り外し可能に粘着させる事項が記載されている。 してみれば、引用文献1記載の上記ペン針組立体2(薬剤投与針組立体)の内側の構成部品への汚染及び損傷を防止するという課題に照らして、引用発明に上記引用文献2に記載の事項を適用して、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。 ウ 相違点3について 引用発明において、ハブ400を含むペン針組立体2の内側の構成部品への汚染及び損傷の防止は引用文献1(上記(2)ア(イ)参照。)にも記載があるように自明の課題であり、引用発明の針カニューレをカバーするシールド(カバー部材)及び上記相違点2で検討した衛生カバー(ラベルタブ)が、汚染防止のための滅菌シールを提供することは当業者にとって自明のことであるから、相違点3に係る事項は実質的な相違点ではない。 また、仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明の用途や構造に照らせば、当業者であれば容易に想到し得ることである。 エ 相違点4について 引用発明の「ぎざぎざ」は、指グリップのためにシールドに設けられている(上記(2)ア(エ)、(キ)、(コ)、(サ)参照。)。 そして、指グリップのためにフランジを用いることは、例えば周知例3(上記(2)キ(ア)、(イ)参照。)や周知例4(上記(2)ク(ア)、(イ)参照。)に記載されているように周知の技術的事項であり、具体的に遠位端にフランジを設けたカバー部材は周知例1(上記(2)オ(ア)、(イ)参照。)や周知例2(上記(2)カ(ア)、(イ)参照。)に例示されるように周知技術にすぎないから、引用発明の「ぎざぎざ」を当該遠位端に設けたフランジに置き換えることは当業者にとって容易である。 オ 相違点5について 注射器の針以外の部分を生分解性材料で製造することは、例えば引用文献3(上記(2)ウ(ア)~(ウ)参照。)に記載されているように周知の技術にすぎず、引用発明においてハブやシールド等を当該周知の技術に基いて、生分解性材料で製造することは当業者にとって容易である。 カ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献1、2及び周知の技術的事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 キ したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1、2及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)本件補正についてのむすび よって、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 4年 5月25日提出の手続補正書でされた補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみてその請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略以下のとおりである。 本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1,2記載された発明及び周知の技術的事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献一覧: 1.国際公開第2007/047403号 2.特表2001-515767号公報 3 引用文献の記載事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2及び周知例の記載事項並びに引用発明は、上記第2の[理由]2(2)ア~エに記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明と引用発明を対比すると、上記第2の[理由]2(3)イの【相違点1】~【相違点3】、【相違点5】で相違する。 そして、上記【相違点1】~【相違点3】、【相違点5】については、上記第2の[理由]2(4)ア、イ、ウ、オで検討したとおり、引用発明及び引用文献1、2の記載並びに周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-007867

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