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特許拒絶査定不服審判

2022-007802

凹型ピストンヘッドのエンジンと排気ガス連動吸気装置

審判番号
2022-007802
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-139677
請求日
2022年05月06日
審決日
2023年01月31日
公報発行日
2023年04月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】早川 秀樹
審判長/審判官
  • 審判長 山本 信平
  • 審判官 木村 麻乃
  • 審判官 河端 賢
分類
P18 .113-Z (F02D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第37条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-139677「凹型ピストンヘッドのエンジンと排気ガス連動吸気装置」拒絶査定不服審判事件〔令和4年2月7日出願公開、特開2022-22938〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯・本願発明 1 手続の経緯 この出願(以下「本願」という。)は、令和2年7月9日の出願であって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 9月 7日付け(発送日:9月14日):拒絶理由通知書 令和3年10月18日 :意見書の提出 令和4年 2月 1日付け(発送日:2月15日):拒絶査定 令和4年 5月 9日 :審判請求書の提出 2 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 凹型ピストンヘッドのエンジン」 第2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由はおおむね次のとおりである。 1(発明の単一性)この出願は、下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。 (1)特別な技術的特徴に基づく審査対象の決定 請求項1に係る発明は、引用文献1-3により新規性が欠如しており、特別な技術的特徴を有しない。 (2)審査の効率性に基づく審査対象の決定 請求項3に係る発明は、特別な技術的特徴に基づいて審査対象となった発明と、まとめて審査を行うことが効率的である発明であり、審査対象に加える。 請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの発明ではない。そして、請求項2に係る発明は、審査対象とされた発明を審査した結果、実質的に追加的な先行技術調査や判断を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明ではなく、当該発明とまとめて審査を行うことが効率的であるといえる他の事情も無い。 2(新規性)この出願の請求項1及び3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された刊行物である下記引用文献1ないし3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 3(進歩性)この出願の請求項1及び3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された刊行物である下記引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2011-074836号公報 2.特開2007-107423号公報 3.国際公開第2007/061020号 第3 引用文献の記載事項 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された特開2011-074836号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審で付与した。以下、同様。)。 (1)「【0024】 (1).構造 本実施形態は4サイクル内燃機関に適用しており、内燃機関は、シリンダボア1を有するシリンダブロック2と、シリンダボア1に往復動自在に嵌め込まれたピストン3と、シリンダボア1を覆うようにシリンダブロック2に固定されたシリンダヘッド4とを有している。ピストン3にピストンリング5及びオイルリング6が嵌まっていると共に、連接棒7が連結されている。」 (2)「【0028】 ピストン3のううちスキッシュ面15で囲われた部位にはメイン凹所18が形成されている。また、ピストン3の冠面には、吸気バルブ10を逃がすための前後2つの第1サブ凹所19と、排気バルブ12を逃がすための前後2つの第2サブ凹所20とが形成されている。第1サブ凹所19はメイン凹所18とかなりの範囲で重なっているが、第2サブ凹所20はメイン凹所18とは僅かしか重なっていない。」 (3)図1 「 [図:0001396092000001.jpg] 」 (4)上記(3)の図1を参酌すると、ピストン3の冠面にメイン凹所18が形成されていることが看取できる。 (5)上記(1)~(4)の記載事項より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という)が記載されていると認められる。 〔引用発明1〕 「メイン凹所18が形成されている冠面を有する内燃機関」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由で引用された特開2007-107423号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「【0016】 以下、本発明の内燃機関の燃焼室構造を説明する。 本発明に係る内燃機関の燃焼室構造は、内燃機関としてのDOHC―4バルブ式の4気筒エンジン(以後単にエンジン1と記す)に適用されている。 ここでエンジン1はその本体が燃焼室Cを形成するシリンダSをエンジン長手方向(紙面垂直方向)Xに4つ順次等間隔で配設するシリンダブロック2と、その下部に結合されるオイルパン3と、その上部に結合されるシリンダヘッド4及びヘッドカバー5とで形成される。 【0017】 シリンダブロック2は各シリンダSを覆うウオータージャケット6、外壁201、下部のスカート部202、その内部に枢支する長手方向(紙面垂直方向)Xに長いクランクシャフト7、そのクランクシャフト7の各シリンダSとの対向部にそれぞれ連結されるコンロッド8、各コンロッド8の上端にピン結合されるピストン9とを備える。なお、図1には1気筒のみ示し、他の気筒は同一構成のため、重複説明を略す。」 (2)「【0023】 図1、2に示すように、シリンダS内に上下摺動自在に嵌挿されたピストン9はその頂部901が燃焼室Cと対向し、頂部901の下部周縁より筒状スカート部902及びその下方に連続して延びるコンロッド枢支部903とを一体的に形成した形状を成す。コンロッド枢支部903はピストン中心線Lpと交差するピストンピン904を介してコンロッド8にピン結合され、これによりピストン9、コンロッド8、クランクシャフト7とがクランク機構を成し、ピストン9がエンジン1の燃焼行程で受ける燃焼圧力をクランクシャフト7の回転力に変換している。 ピストン9の頂部901は図1~図4に示すように、そのピストン頂面Fpの周縁に沿って同周縁からピストン中心方向に向かう円錐状のテーパ部16が突き出し形成され、テーパ部16に囲まれる中央に中央凹部17が形成される。」 (3)図1 「 [図:0001396092000002.jpg] 」 (4)上記(3)の図1を参酌すると、ピストン9の頂部901に中央凹所17が形成されていることが看取できる。 (5)上記(1)~(4)の記載事項より、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という)が記載されていると認められる。 〔引用発明2〕 「中央凹部17が形成されている頂部901を有するエンジン1」 3 引用文献3 原査定の拒絶の理由で引用された国際公開第2007/061020号(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「 図1は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す概略縦断面図である。図2は図1の筒内噴射式火花点火内燃機関のシリンダへッドの底面図である。これらの図において、1は気筒上部略中心に配置されて気筒内へ直接的に燃料を噴射するための燃料噴射弁であり、2は燃料噴射弁1の近傍に配置された点火ブラグである。3はピストンであり、4は一対の吸気弁であり、5は一対の排気弁である。」(第14ページ第10行-第16行) (2)「 しかしながら、シリンダへッドを厚くして吸気ポートの形状配置を工夫したり、吸気ポート内に吸気流制御弁を設ける等しない限り、一般的に気筒内に形成されるタンブル流は、それほど強いものではなく、本実施形態のように、ピストン3の頂面にタンブル流の減衰を抑制するための部分円弧断面のキャビティ3aが形成されていても、それだけでは、圧縮行程中の減衰により点火時期までには容易に消滅し、点火時期においてタンブル流により気筒内に乱れを存在させることはできない。それにより、本実施形態においては、吸気行程において気筒内に形成されたそれほど強くない夕ンブル流Tを、吸気行程末期において燃料噴射弁1によりシリンダボアの排気弁側へ向けて噴射された燃料Fの貫徹力を利用して強めるようにしている。こうして強められたタンブル流は、圧縮行程末期の点火時期まで良好に持続して気筒内に乱れを存在させることができる。」(第15ページ第2行-第14行) (3)図1 「 [図:0001396092000003.jpg] 」 (4)上記(3)の図1を参酌すると、ピストン3の頂面に形成されているキャビティ3aは凹部の形状であると認められる。 (5)上記(1)~(4)の記載事項より、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という)が記載されていると認められる。 〔引用発明3〕 「部分円弧断面のキャビティ3aが形成されているピストン3の頂面を有する筒内噴射式火花点火内燃機関」 第4 対比・判断 1 引用発明1との対比 本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「メイン凹所18が形成されている冠面」は、その機能、構成又は技術的意義からみて本願発明における「凹型ピストンヘッド」に相当する。同様に、引用発明1における「内燃機関」は、本願発明における「エンジン」に相当する。 また、引用発明1の「を有する」(内燃機関)は、本願発明の「の」(エンジン)に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明1とは、以下の点で一致し、相違点はない。 〔一致点〕 「凹型ピストンヘッドのエンジン」 よって、本願発明は、引用発明1である。 2 引用発明2との対比 本願発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「中央凹部17が形成されている頂部901」は、その機能、構成又は技術的意義からみて本願発明における「凹型ピストンヘッド」に相当する。同様に、引用発明2における「エンジン1」は、本願発明における「エンジン」に相当する。 また、引用発明2の「を有する」(エンジン1)は、本願発明の「の」(エンジン)に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明2とは、以下の点で一致し、相違点はない。 〔一致点〕 「凹型ピストンヘッドのエンジン」 よって、本願発明は、引用発明2である。 3 引用発明3との対比 本願発明と引用発明3とを対比すると、引用発明3における「部分円弧断面のキャビティ3aが形成されているピストン3の頂面」は、その機能、構成又は技術的意義からみて本願発明における「凹型ピストンヘッド」に相当する。同様に、引用発明3における「筒内噴射式火花点火内燃機関」は、本願発明における「エンジン」に相当する。 また、引用発明3の「を有する」(筒内噴射式火花点火内燃機関)は、本願発明の「の」(エンジン)に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明3とは、以下の点で一致し、相違点はない。 〔一致点〕 「凹型ピストンヘッドのエンジン」 よって、本願発明は、引用発明3である。 4 請求人の主張の検討 請求人は、令和3年10月18日に提出された意見書及び令和4年5月9日に提出された審判請求書において、以下の主張をしている。 <意見書における主張> 「引用文献の1,2,3は図面上は排気バルブ以外からの排気ができる構造ではありません。参考図面で赤線を引いてある排気管の部分よりも排気いたしますのでご確認ください。私の発明した特願2020-139677は例えばピストンが5cm以上下がりますとエンジンの上部排気管の部分より、ピストンが上死点の残り5cmまで凹型ピストンヘッドの隙間より上部排気管に排気する構造になっています。排気バルブ以外にも排気いたしますので、その分は排気損失を軽減して、熱も普通のエンジンより少し排気します。普通のエンジンとは違います。進歩性があり新規性もあります。一般的なエンジン660cc直列3気筒エンジンとの比較一般的なエンジン2.92cm高さ8cm×3とします。2.92π×8×3=634.099062ml隙間全部に混合気が入るとすると25.900938mlピストンが1cm下がるまで混合気が入ると2.92π×1合計105.163321ml高さ8cmをかけると841.306568になります。私の発明の場合は、9cm×6cm×13cm(参考図)凹型なので1.5cm×2×6cm×5cm=90mlを引きます。702ml-90ml=612mlで隙間に全部混合気が入るとすると48mlピストンが1cm下がるまで混合気が入ると6cm×6cm=36ml合計84mlで高さ13cmをかけると1092になります。対比は、841.306568=1092→1.2979867倍になります。使用する混合気も105.163321=84→0.79875758倍になり燃費もいいです。それ以外に発明において、少量ではありますが排気損失を軽減いたします。」 <審判請求書における主張> 「「4、本願発明が特許されるべき理由」 従来のエンジンは排気バルブ以外から排気ができない構造であり、排気損失は35%位と言われています。本願発明は、例えばピストン上死点の5cm手前までは排気バルブ以外より排気できる構造になっており、排気損失を軽減して.性能を向上させています。また一般の3気筒660ccのエンジンは1本220ccになり直径6cm高さ7.5cm位になります。本願発明は、例えば9cm×6cm高さ13cm凹型になっています。参考図面で確認できます。ピストンエンジンは上下運動を回転運動に変化させていますが、回転運動に変化させると普通のエンジンは、7.5cmの回転運動で本願発明は13cmの回転運動になり、7.5:13=1.733333倍性能はいい計算になります。従来のエンジンよりも全体の体積は小さくなりコンパトですこしだけ軽量です。」 及び「「5、むすび」引用文献と本願発明は図面上相違があり.また性能においても向上しているので特許すべきである。」 上記主張について以下に検討する。 請求人は本願発明の「構造」について以下の主張をしている。 (主張1) 「私の発明した特願2020-139677は例えばピストンが5cm以上下がりますとエンジンの上部排気管の部分より、ピストンが上死点の残り5cmまで凹型ピストンヘッドの隙間より上部排気管に排気する構造になっています。」(上記<意見書における主張>) (主張2) 「ピストン上死点の5cm手前までは排気バルブ以外より排気できる構造になっており」(上記<審判請求書における主張>) (主張3) 「本願発明は、例えば9cm×6cm高さ13cm凹型になっています。」(上記<審判請求書における主張>) また、請求人は本願発明と引用発明との相違について意見書及び審判請求書に新たに参考図面を添付しつつ以下の主張をしている。 (主張4) 「引用文献と本願発明は図面上相違があり」(上記<審判請求書における主張>) しかしながら、本願発明は、「凹型ピストンヘッドのエンジン」と特定されているのみであり、請求人が主張する上記(主張1)ないし(主張3)の「ピストンが5cm以上下がりますとエンジンの上部排気管の部分より、ピストンが上死点の残り5cmまで凹型ピストンヘッドの隙間より上部排気管に排気する構造」、「ピストン上死点の5cm手前までは排気バルブ以外より排気できる構造」及び「9cm×6cm高さ13cm」並びに上記(主張4)のうち願書に最初に添付された図面に図示されたかかる構造については何ら特定されていない。 よって、上記主張は請求項の記載に基くものではないため採用できない。 また、請求人は本願発明の効果に関し以下の主張をしている。 (主張5) 「私の発明した特願2020-139677は例えばピストンが5cm以上下がりますとエンジンの上部排気管の部分より、ピストンが上死点の残り5cmまで凹型ピストンヘッドの隙間より上部排気管に排気する構造になっています。排気バルブ以外にも排気いたしますので、その分は排気損失を軽減して、熱も普通のエンジンより少し排気します。」(上記<意見書における主張>)及び「ピストン上死点の5cm手前までは排気バルブ以外より排気できる構造になっており、排気損失を軽減して.性能を向上させています。」(上記<審判請求書における主張>) (主張6) 「私の発明の場合は、9cm×6cm×13cm(参考図)凹型なので1.5cm×2×6cm×5cm=90mlを引きます。702ml-90ml=612mlで隙間に全部混合気が入るとすると48mlピストンが1cm下がるまで混合気が入ると6cm×6cm=36ml合計84mlで高さ13cmをかけると1092になります。対比は、841.306568=1092→1.2979867倍になります。使用する混合気も105.163321=84→0.79875758倍になり燃費もいいです。」(上記<意見書における主張>) (主張7) 「従来のエンジンよりも全体の体積は小さくなりコンパトですこしだけ軽量です。」(上記<審判請求書における主張>) しかしながら、上記(主張5)及び(主張6)における効果は、上記(主張1)の「ピストンが5cm以上下がりますとエンジンの上部排気管の部分より、ピストンが上死点の残り5cmまで凹型ピストンヘッドの隙間より上部排気管に排気する構造」ないし(主張2)の「ピストン上死点の5cm手前までは排気バルブ以外より排気できる構造」を含んだ発明によって初めて奏されるものである。 また、上記(主張7)における効果は、上記(主張3)の「9cm×6cm高さ13cm」を含んだ発明によって初めて奏されるものである。 しかしながら、本願発明は、「凹型ピストンヘッドのエンジン」と特定されているのみであり、上記請求人が主張する効果を奏するための構造が何ら特定されていない。 よって、上記請求人が主張する効果を本願発明の有利な効果として認めることはできない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1又は引用発明2又は引用発明3であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-007802

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