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特許拒絶査定不服審判

2022-006288

タッチパネル装置

審判番号
2022-006288
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-045243外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月26日
審決日
2022年11月21日
公報発行日
2022年12月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018- 45243「タッチパネル装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月19日出願公開、特開2019-159765、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年3月13日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 令和2年11月30日 :手続補正書の提出 令和3年 6月22日付け:拒絶理由通知書 令和3年 8月24日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 1月31日付け:拒絶査定(原査定) 令和4年 4月26日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和4年1月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1-5の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1-5の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由3(進歩性) 本願請求項1-5に係る発明は、以下の引用文献1,2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2017-199067号公報 2.特開2013-222283号公報 第3 本願発明 本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和4年4月26日提出の手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 複数のセンサから構成されるタッチセンサパネルと、 前記タッチセンサパネルに接続され、容量計測して、前記タッチセンサパネルへの指示体によるタッチの有無とタッチ座標を検出すると共に、前記指示体と前記タッチセンサパネル間のタッチ状況の情報を出力するタッチ検出手段と、 前記指示体によるタッチによって前記タッチセンサパネルに加わる圧力を検出する押圧検出手段と、 前記タッチ検出手段と前記押圧検出手段の出力された情報から有効タッチと見なす機能を有する複数の判定モードを設定し、前記出力された情報の遷移条件に応じて、前記複数の判定モードのうちいずれかの判定モードへの切り替えを制御するタッチ判定モード切替手段と、 前記タッチ判定モード切替手段が設定した前記判定モードに基づき、前記タッチ検出手段が出力した前記タッチ状況の情報と、前記押圧検出手段が出力した前記圧力の情報とから、前記タッチ検出手段が出力した前記タッチ座標が有効か無効かを判定する有効タッチ判定手段と、 前記有効タッチ判定手段が有効と判断した前記タッチ座標を外部に出力するタッチ情報出力手段と、を備え、 前記タッチ状況の情報は、前記指示体と前記タッチセンサパネル間のタッチ面積の値、及び前記指示体と前記タッチセンサパネル間の静電容量の変化の情報を含み、 前記複数の判定モードの設定は、前記出力された情報のうち前記タッチ検出手段から出力された前記タッチ面積の値と前記押圧検出手段から出力された前記圧力の情報から前記有効タッチとみなす機能を有する前記複数の判定モードを設定し、 前記複数の判定モードは、前記タッチ面積の値と前記圧力の情報から前記有効タッチとみなす第1の判定モードと、前記タッチ面積の値から前記有効タッチとみなす第2の判定モードとを備え、 前記第1の判定モードは、前記タッチ面積の値が第1閾値未満であり、かつ、前記圧力の情報である押圧が第2閾値以上で前記有効タッチとみなし、 前記第2の判定モードは、前記タッチ面積の値が前記第1閾値未満で前記有効タッチとみなし、 前記遷移条件は、第1の遷移条件と第2の遷移条件とを有し、 前記第1の遷移条件は、前記第1の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値未満であり、前記有効タッチ判定手段で前記タッチ座標が繰り返し有効と判断されていることであり、 前記第2の遷移条件は、前記第2の判定モードが設定されており、前記静電容量の変化が第3閾値未満である状態が一定時間以上継続する、または、前記第2の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値以上であり、 前記タッチ判定モード切替手段は、前記第1の遷移条件を満たす場合は、前記第1の判定モードから前記第2の判定モードに切替え、前記第2の遷移条件のいずれか一つを満たす場合は、前記第2の判定モードから前記第1の判定モードに切り替える ことを特徴とするタッチパネル装置。 【請求項2】 前記タッチ判定モード切替手段は、前記タッチ面積の値を前記第1の遷移条件及び前記第2の遷移条件に含み、前記タッチ面積の値に応じて前記判定モードを切り替え、 前記第2の遷移条件は、 前記第2の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値より小さい第4閾値未満であり、前記静電容量の変化が前記第3閾値未満である状態が一定時間以上継続する、または、 前記第2の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第4閾値以上で前記第1閾値未満であり、前記静電容量の変化が前記第3閾値より小さい状態が一定時間以上継続する、または、 前記第2の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値以上であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。 【請求項3】 前記タッチ検出手段は、付着物判定を行い、この付着物判定結果を前記タッチ状況の情報として前記タッチ判定モード切替手段に出力し、 前記タッチ判定モード切替手段は、前記付着物判定結果を前記遷移条件に含み、前記付着物判定結果に基づいて、前記判定モードを切り替え、 前記第1の遷移条件は、前記第1の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値未満であり、前記有効タッチ判定手段で前記タッチ座標が繰り返し有効と判断されており、さらに、前記付着物判定結果で付着物なしと判定されていることであり、 前記第2の遷移条件は、 前記第2の判定モードが設定されており、前記静電容量の変化が前記第3閾値未満である状態が一定時間以上継続する、または、 前記第2の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値以上である、または、 前記付着物判定結果で、付着物ありと判定された場合であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。 」 第4 引用文献、引用発明 1 引用文献1、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。 「【0016】 図1において、電子機器1は、タッチパネル層2、押圧センサ3、表示部4、記憶部5、および制御部6を備える。電子機器1としては、例えば、スマートフォンまたはタブレットなどが挙げられる。 【0017】 タッチパネル層2(タッチパネル部の一例)は、表示部4の表示を透過する。また、タッチパネル層2は、静電容量方式を採用したものであり、タッチ操作だけでなく、ホバー操作も受付可能とする。タッチ操作とは、指示体がタッチパネル表面(タッチパネル層2の表面)に直に触れて行われる操作をいう。一方、ホバー操作とは、指示体がタッチパネル表面に直に触れずにその表面から所定の距離離れた位置で行われる操作をいう。ホバー操作の一例は、手袋をした指でタッチパネル表面を触れる操作が挙げられる。タッチパネル表面とは、タッチパネル層2においてユーザの操作を受け付ける面をいう。 【0018】 指示体は、例えば、人間の指(例えば、素手、手袋をした指)、または、導電率を有する物体(例えば、スタイラスペン)などが挙げられる。スタイラスペンとしては、例えば、アクティブペン(デジタイザともいう)、パッシブペンが挙げられる。 【0019】 アクティブペンは、静電式、電磁誘導式、または光学式のいずれであってもよい。また、アクティブペンは、タッチパネル層2と直接通信するものでもよいし、タッチパネル層2とBluetooth(登録商標)接続するものでもよい。また、アクティブペンは、筆圧対応のものでもよいし、筆圧非対応のものでもよい。また、アクティブペンは、ホバー操作対応のものでもよいし、ホバー操作非対応のものでもよい。また、アクティブペンは、電池式でもよいし、充電式でもよいし、電池不要のものでもよい。 【0020】 また、アクティブペンは、アクティブペンが指として認識されるタイプでもよいし、アクティブペンとして認識されるタイプでもよい。後者のタイプは、アクティブペンであることを示す信号をタッチパネル層2へ送信するため、タッチパネル層2は、その信号に基づいて、アクティブペンと、それ以外(素手の指、手袋をした指、パッシブペン、水滴など)とを区別することができる。 【0021】 タッチパネル層2は、図2に示すように、送信電極101と受信電極102を備え、これらが板状の誘電体100の下面に離間して配置される。送信電極101には、送信信号に基づく駆動パルスが印加される。送信電極101に駆動パルスが印加されることで送信電極101から電界が発生し、この電界中に指が入った場合に、送信電極101と受信電極102の間の電気力線の数が減少し、その数の変化が受信電極102における電荷の変化として現れる。 【0022】 そして、タッチパネル層2は、受信電極102における電荷の変化に応じた受信信号に基づいて、指示体の数(例えば、指の本数)、指示体により指示された表示部4における二次元座標(x,y)、タッチパネル表面と指との間の垂直距離(z)を検出する。なお、ここで説明した検出処理は、タッチパネル層2に含まれるタッチパネル用制御部(図示せず)において行われる。そして、タッチパネル層2は、指示体の数、二次元座標、垂直距離を示す情報(以下、座標情報という)を制御部6へ出力する。 【0023】 また、タッチパネル層2は、アクティブペンから、指示体がアクティブペンであることを示す信号を受け取った場合、その旨を示す情報も上記座標情報に含めて制御部6へ出力する。 【0024】 上記垂直距離(z)は、図3に示すように、タッチパネル層2のタッチパネル表面と指70との間の距離をいう。指70は、素手の指である。この垂直距離(z)が所定値以下の場合、タッチパネル層2は、二次元座標(x,y)座標を検出することができる。なお、図3では図示を省略しているが、タッチパネル表面には、タッチパネル層2を保護するためのガラス11(図6等参照。透明部材の一例)が備えられている。ガラス11は、表示部4の表示を透過する。 【0025】 押圧センサ3(押圧検出部の一例)は、ガラス11の歪みを検出し、検出した歪みの量を示す信号(以下、歪み量情報という)を制御部6へ出力する。ガラス11の歪みは、指示体の押圧によって発生し、水滴等の付着では発生しないとする。 【0026】 ここで、タッチパネル層2と押圧センサ3の配置を説明する。図4に示すように、電子機器1は、直方体状の筐体10を有する。図4において、この筐体10の前面(正面)側には、タッチパネル層2および押圧センサ3が配置されている。タッチパネル層2と押圧センサ3は、平面視すると縦長長方形状(矩形状)に形成されており、筐体10の前面の面積より小さい面積である。図4では、押圧センサ3の面積は、タッチパネル層2の面積よりも僅かに大きく形成されているが、小さくてもよい(図14参照)。そして、タッチパネル層2は、押圧センサ3より前面側になるように、押圧センサ3に重ねて配置されている。」 「【0038】 次に、図8を参照して、制御部6が行う座標判定処理の具体例について説明する。座標判定処理とは、座標情報に示される二次元座標を有効にするかまたは無効にするかを判定する処理である。なお、ここでは水滴を例に挙げて説明するが、水に限らず、所定の導電性を有する液体の液滴についても同様である。 【0039】 図8Aに示すように、降雨などにより水滴80がガラス11に付着したとする。このとき、タッチパネル層2は、水滴80が付着した箇所の二次元座標(x0,y0)を示す座標情報を制御部6へ出力する。また、押圧センサ3は、ガラス11の歪み量がゼロである旨を示す歪み量情報を制御部6へ出力する。制御部6は、歪み量がゼロである旨を示す歪み量情報を受け取ったことで、座標情報に示される二次元座標(x0,y0)を有効化しない。有効化とは、有効な座標として扱うことである。よって、二次元座標(x0,y0)に対応する処理(例えば、表示部4における情報の表示等)は行われない。 【0040】 図8Aに示したように水滴80がガラス11に付着した状態において、図8Bに示すように、ユーザが手袋71をした指70でガラス11に触れてホバー操作を行ったとする。このとき、タッチパネル層2は、出力中の二次元座標(x0,y0)に加えて、手袋71が接触した箇所の二次元座標(x1,y1)を示す座標情報を制御部6へ出力する。また、押圧センサ3は、手袋71での押圧によりガラス11に生じた歪み量を示す歪み量情報を制御部6へ出力する。制御部6は、歪み量情報に示される歪み量が予め定められた有効歪み量を超えている場合、時間的に後に受け取った(最も新しく検出された)二次元座標(x1,y1)だけを有効化する。よって、二次元座標(x1,y1)に対応する処理が行われる。 【0041】 このようにすることで、タッチパネルに水滴等の導電体が続けて付着する状態において、素手および手袋で操作されて押圧を検出した直前(最後)の二次元座標を有効にし、それより前の二次元座標を有効にしないので、押圧直前である可能性が高い手および手袋の操作をより確実に実行できるとともに、それより前である可能性が高い水滴等の付着を操作であると誤検出することをより防ぐことができる。 【0042】 図8Bに示したようにガラス11に水滴80が付着しており、かつ、ユーザが手袋71をした指70でガラス11に触れてホバー操作を行った状態において、図8Cに示すように、水滴81がガラス11に付着したとする。このとき、タッチパネル層2は、出力中の二次元座標(x0,y0)および(x1,y1)を示す座標情報に加えて、水滴81が付着した箇所の二次元座標(x2,y2)を示す座標情報を制御部6へ出力する。このとき、上述したとおり、押圧センサ3は、手袋71での押圧により生じた歪み量を示す歪み量情報を制御部6へ出力中である。制御部6は、その歪み量情報を受け取ってはいるものの、既に二次元座標(x1,y1)を有効化しているため、時間的に後に受け取った座標情報に示される二次元座標(x2,y2)を有効化しない。よって、二次元座標(x1,y1)に対応する処理は行われるが、二次元座標(x2,y2)に対応する処理は行われない。このように、有効化済みの二次元座標が既に存在している場合、制御部6は、押圧センサ3が歪み有りを検出したとしても、新たな二次元座標の有効化を行わない。 【0043】 このようにすることで、タッチパネルに水滴等の導電体が続けて付着する状態で有効化を継続する場合、有効化の後に判定された二次元座標は有効化しないことで、有効化の後の水滴の付着を操作であると誤検出することを防ぐことができる。 【0044】 なお、図8において、水滴80、81の付着および手袋71の接触による二次元座標は、静止状態でもよいし、移動してもよい。また、制御部6は、一度有効化した二次元座標について、リリースを検出するまで有効化を継続する。リリースとは、指示体がタッチパネル層2から離れて垂直距離(z)の値が予め定められた所定値以上になることである。制御部6は、例えば、タッチパネル層2から受け取った座標情報に示される垂直距離(z)が所定値以上となった場合に、リリースを検出する。なお、二次元座標の有効化の継続中において、押圧センサ3の制御部6へ出力される歪み量情報は、歪みがゼロである旨を示す情報でもよいし、ゼロより大きい歪み量を示す情報でもよい。」 「【図1】 [図:0001391912000001.jpg] 」 「【図4】 [図:0001391912000002.jpg] 」 「【図6】 [図:0001391912000003.jpg] 」 「【図8】 [図:0001391912000004.jpg] 」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「タッチパネル層2、押圧センサ3、表示部4、および制御部6を備える、電子機器1であって、 タッチパネル層2は、静電容量方式を採用したものであり、送信電極101と受信電極102を備え、これらが板状の誘電体100の下面に離間して配置されており、受信電極102における電荷の変化に応じた受信信号に基づいて、指示体の数(例えば、指の本数)、指示体により指示された表示部4における二次元座標(x,y)、タッチパネル表面と指との間の垂直距離(z)を検出する検出処理は、タッチパネル層2に含まれるタッチパネル用制御部において行われ、指示体の数、二次元座標、垂直距離を示す情報(以下、座標情報という)を制御部6へ出力し、 押圧センサ3(押圧検出部の一例)は、ガラス11の歪みを検出し、検出した歪みの量を示す信号(以下、歪み量情報という)を制御部6へ出力し、 制御部6が行う座標判定処理の具体例として、 降雨などにより水滴80がガラス11に付着したとき、タッチパネル層2は、水滴80が付着した箇所の二次元座標(x0,y0)を示す座標情報を制御部6へ出力し、押圧センサ3は、ガラス11の歪み量がゼロである旨を示す歪み量情報を制御部6へ出力した場合に、制御部6は、歪み量がゼロである旨を示す歪み量情報を受け取ったことで、座標情報に示される二次元座標(x0,y0)を有効化せず、 水滴80がガラス11に付着した状態において、ユーザが手袋71をした指70でガラス11に触れてホバー操作を行ったとき、タッチパネル層2は、出力中の二次元座標(x0,y0)に加えて、手袋71が接触した箇所の二次元座標(x1,y1)を示す座標情報を制御部6へ出力し、押圧センサ3は、手袋71での押圧によりガラス11に生じた歪み量を示す歪み量情報を制御部6へ出力し、制御部6は、歪み量情報に示される歪み量が予め定められた有効歪み量を超えている場合、時間的に後に受け取った(最も新しく検出された)二次元座標(x1,y1)だけを有効化することで、水滴等の付着を操作であると誤検出することをより防ぎ、 一度有効化した二次元座標について、リリースを検出するまで有効化を継続し、 リリースとは、指示体がタッチパネル層2から離れて垂直距離(z)の値が予め定められた所定値以上になることであり、 タッチパネル層2から受け取った座標情報に示される垂直距離(z)が所定値以上となった場合に、リリースを検出し、 二次元座標の有効化の継続中において、押圧センサ3の制御部6へ出力される歪み量情報は、歪みがゼロである旨を示す情報でもよいし、ゼロより大きい歪み量を示す情報でもよい、 電子機器1。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)。 「【0052】 したがって、(1)接触領域が所定の接触面積を満たすこと(例えば、縦横2-3mm程度以内)、(2)接触領域における静電容量値が所定の静電容量値を満たすこと(例えば、通常想定される水滴の静電容量値以下)および(3)条件(1)、(2)を満たす接触領域が複数個存在すること(例えば、3つ以上)、の3つの条件を全て満たした場合に、CPU102は、水滴がタッチパネル106に付着したと判定する。なお、当該接触領域の個数が3つ以上としたのは、ユーザが指でタッチ操作をする際に、想定されるタッチ位置は2つまでであることが多く(2本指でタッチ操作)、3つ以上の点でタッチ操作することは少ないためである。このように、CPU102は、静電容量が小さく、面積も比較的小さい接触領域が複数個存在する場合には、タッチパネル106に水滴が付着していると判定する。図6の例に従うと、例えば、CPU102は、各領域に対応する電極(各領域に含まれる互いに隣接したXY座標値)で占められる面積を各領域の接触面積として算出し、接触領域の個数は3つと算出する。また、CPU102は、接触領域に対応する電極から出力された信号に基づいて、接触領域の静電容量値を算出する。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを比較すると、次のことがいえる。 ア 引用発明における「タッチパネル層2」の、「送信電極101」と「受信電極102」は、「受信電極102における電荷の変化に応じた受信信号に基づいて、指示体の数(例えば、指の本数)、指示体により指示された表示部4における二次元座標(x,y)、タッチパネル表面と指との間の垂直距離(z)を検出」しているから、本願発明1の「センサ」に相当する。 イ 静電容量方式のタッチパネルにおいて、送信電極と受信電極を複数備えることは技術常識であるから、上記アを踏まえると、引用発明の「タッチパネル層2」は、本願発明1の「複数のセンサから構成されるタッチセンサパネル」に相当する。 ウ 引用発明において、「指示体の数(例えば、指の本数)」、「タッチパネル表面と指との間の垂直距離(z)」を検出することは、本願発明1における「タッチの有無」を検出することに相当する。 エ 引用発明における「タッチパネル用制御部」は、「タッチパネル層2」に含まれており、「受信電極102における電荷の変化に応じた受信信号に基づいて」、「指示体の数(例えば、指の本数)、指示体により指示された表示部4における二次元座標(x,y)、タッチパネル表面と指との間の垂直距離(z)を検出」し、「指示体の数、二次元座標、垂直距離を示す情報(以下、座標情報という)を制御部6へ出力」しているから、上記ウを踏まえると、本願発明1の「前記タッチセンサパネルに接続され、容量計測して、前記タッチセンサパネルへの指示体によるタッチの有無とタッチ座標を検出すると共に、前記指示体と前記タッチセンサパネル間のタッチ状況の情報を出力するタッチ検出手段」に相当する。 オ 引用発明における「押圧センサ3」は、本願発明1の「押圧検出手段」に相当する。 カ 引用発明において「降雨などにより水滴80がガラス11に付着したとき、タッチパネル層2は、水滴80が付着した箇所の二次元座標(x0,y0)を示す座標情報を制御部6へ出力し、押圧センサ3は、ガラス11の歪み量がゼロである旨を示す歪み量情報を制御部6へ出力した場合に、制御部6は、歪み量がゼロである旨を示す歪み量情報を受け取ったことで、座標情報に示される二次元座標(x0,y0)を有効化せず、水滴80がガラス11に付着した状態において、ユーザが手袋71をした指70でガラス11に触れてホバー操作を行ったとき、タッチパネル層2は、出力中の二次元座標(x0,y0)に加えて、手袋71が接触した箇所の二次元座標(x1,y1)を示す座標情報を制御部6へ出力し、押圧センサ3は、手袋71での押圧によりガラス11に生じた歪み量を示す歪み量情報を制御部6へ出力し、制御部6は、歪み量情報に示される歪み量が予め定められた有効歪み量を超えている場合、時間的に後に受け取った(最も新しく検出された)二次元座標(x1,y1)だけを有効化する」ことは、タッチパネル層2からの座標と押圧センサ3の情報を用いて有効な座標を出力するか否かを判定しているということができ、また、引用発明において「一度有効化した二次元座標について、リリースを検出するまで有効化を継続し、リリースとは、指示体がタッチパネル層2から離れて垂直距離(z)の値が予め定められた所定値以上になることであり、タッチパネル層2から受け取った座標情報に示される垂直距離(z)が所定値以上となった場合に、リリースを検出し、二次元座標の有効化の継続中において、押圧センサ3の制御部6へ出力される歪み量情報は、歪みがゼロである旨を示す情報でもよいし、ゼロより大きい歪み量を示す情報でもよい」ことは、タッチパネル層2からの座標と同垂直距離を用いて有効な座標を出力するか否かを判定しているといえる。 そして、引用発明は、上記2つの判定動作をユーザの操作に応じて切替可能に備えているといえるから、このことは、本願発明1における「前記タッチ検出手段と前記押圧検出手段の出力された情報から有効タッチと見なす機能を有する複数の判定モードを設定し、前記出力された情報の遷移条件に応じて、前記複数の判定モードのうちいずれかの判定モードへの切り替えを制御する」ことと、「前記タッチ検出手段と前記押圧検出手段の出力された情報から有効タッチと見なす機能を有する複数の判定モードを設定し、前記複数の判定モードのうちいずれかの判定モードへの切り替えを制御する」点で共通する。 キ 上記カを踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記タッチ判定モード切替手段が設定した前記判定モードに基づき、前記タッチ検出手段が出力した前記タッチ状況の情報と、前記押圧検出手段が出力した前記圧力の情報とから、前記タッチ検出手段が出力した前記タッチ座標が有効か無効かを判定する有効タッチ判定手段」に相当する構成を備えるといえる。 ク 上記ウ、エ、カ、キを踏まえると、引用発明の「タッチパネル層2」は「前記有効タッチ判定手段が有効と判断した前記タッチ座標を外部に出力するタッチ情報出力手段」に相当する構成を備えるといえる。 ケ 引用発明における「電子機器1」は、「タッチパネル層2」を備えるから、本願発明1の「タッチパネル装置」に相当する。 (2)一致点・相違点 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] 「複数のセンサから構成されるタッチセンサパネルと、 前記タッチセンサパネルに接続され、容量計測して、前記タッチセンサパネルへの指示体によるタッチの有無とタッチ座標を検出すると共に、前記指示体と前記タッチセンサパネル間のタッチ状況の情報を出力するタッチ検出手段と、 前記指示体によるタッチによって前記タッチセンサパネルに加わる圧力を検出する押圧検出手段と、 前記タッチ検出手段と前記押圧検出手段の出力された情報から有効タッチと見なす機能を有する複数の判定モードを設定し、前記複数の判定モードのうちいずれかの判定モードへの切り替えを制御するタッチ判定モード切替手段と、 前記タッチ判定モード切替手段が設定した前記判定モードに基づき、前記タッチ検出手段が出力した前記タッチ状況の情報と、前記押圧検出手段が出力した前記圧力の情報とから、前記タッチ検出手段が出力した前記タッチ座標が有効か無効かを判定する有効タッチ判定手段と、 前記有効タッチ判定手段が有効と判断した前記タッチ座標を外部に出力するタッチ情報出力手段と、を備える、 ことを特徴とするタッチパネル装置。」 [相違点1] 本願発明1では「前記出力された情報の遷移条件に応じて、前記複数の判定モードのうちいずれかの判定モードへの切り替えを制御する」のに対し、引用発明では、この点が特定されていない点。 [相違点2] 本願発明1では「前記タッチ状況の情報は、」「前記指示体と前記タッチセンサパネル間のタッチ面積の値」を含むのに対し、引用発明では、この点が特定されていない点。 [相違点3] 本願発明1では「前記複数の判定モードの設定は、前記出力された情報のうち前記タッチ検出手段から出力された前記タッチ面積の値と前記押圧検出手段から出力された前記圧力の情報から前記有効タッチとみなす機能を有する前記複数の判定モードを設定」するのに対し、引用発明では、この点が特定されていない点。 [相違点4] 本願発明1では「前記複数の判定モードは、前記タッチ面積の値と前記圧力の情報から前記有効タッチとみなす第1の判定モードと、前記タッチ面積の値から前記有効タッチとみなす第2の判定モードとを備え、前記第1の判定モードは、前記タッチ面積の値が第1閾値未満であり、かつ、前記圧力の情報である押圧が第2閾値以上で前記有効タッチとみなし、前記第2の判定モードは、前記タッチ面積の値が前記第1閾値未満で前記有効タッチとみな」すのに対し、引用発明では、この点が特定されていない点。 [相違点5] 本願発明1では「前記遷移条件は、第1の遷移条件と第2の遷移条件とを有し、前記第1の遷移条件は、前記第1の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値未満であり、前記有効タッチ判定手段で前記タッチ座標が繰り返し有効と判断されていることであり、前記第2の遷移条件は、前記第2の判定モードが設定されており、前記静電容量の変化が第3閾値未満である状態が一定時間以上継続する、または、前記第2の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値以上であり、前記タッチ判定モード切替手段は、前記第1の遷移条件を満たす場合は、前記第1の判定モードから前記第2の判定モードに切替え、前記第2の遷移条件のいずれか一つを満たす場合は、前記第2の判定モードから前記第1の判定モードに切り替える」のに対し、引用発明では、この点が特定されていない点。 (3)相違点についての判断 事案に鑑みて、相違点5について検討する。 本願発明1の相違点5に係る、「前記遷移条件は、第1の遷移条件と第2の遷移条件とを有し、前記第1の遷移条件は、前記第1の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値未満であり、前記有効タッチ判定手段で前記タッチ座標が繰り返し有効と判断されていることであり、前記第2の遷移条件は、前記第2の判定モードが設定されており、前記静電容量の変化が第3閾値未満である状態が一定時間以上継続する、または、前記第2の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値以上であり、前記タッチ判定モード切替手段は、前記第1の遷移条件を満たす場合は、前記第1の判定モードから前記第2の判定モードに切替え、前記第2の遷移条件のいずれか一つを満たす場合は、前記第2の判定モードから前記第1の判定モードに切り替える」構成について、引用文献1,2には記載も示唆もなく、当該構成が周知であったとも認められない。 よって、引用発明および引用文献2記載の技術事項に基づいて、当業者であっても本願発明1の相違点5に係る構成を容易に想到することはできない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2,3について 本願発明2,3は、本願発明1を減縮したものであって、上記相違点1-5に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明および引用文献2記載の技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定についての判断 1 理由1(特許法第36条第6項第2号)及び理由2(特許法第36条第6項第1号)について 本件補正により、 「前記複数の判定モードは、前記タッチ面積の値と前記圧力の情報から前記有効タッチとみなす第1の判定モードと、前記タッチ面積の値から前記有効タッチとみなす第2の判定モードとを備え、前記第1の判定モードは、前記タッチ面積の値が第1閾値未満であり、かつ、前記圧力の情報である押圧が第2閾値以上で前記有効タッチとみなし、前記第2の判定モードは、前記タッチ面積の値が前記第1閾値未満で前記有効タッチとみな」すものであること、及び、「前記遷移条件は、第1の遷移条件と第2の遷移条件とを有し、前記第1の遷移条件は、前記第1の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値未満であり、前記有効タッチ判定手段で前記タッチ座標が繰り返し有効と判断されていることであり、前記第2の遷移条件は、前記第2の判定モードが設定されており、前記静電容量の変化が第3閾値未満である状態が一定時間以上継続する、または、前記第2の判定モードが設定されており、前記タッチ面積の値が前記第1閾値以上であり、前記タッチ判定モード切替手段は、前記第1の遷移条件を満たす場合は、前記第1の判定モードから前記第2の判定モードに切替え、前記第2の遷移条件のいずれか一つを満たす場合は、前記第2の判定モードから前記第1の判定モードに切り替える」ことが明らかとなったため、原査定の理由1,2はいずれも解消した。 2 理由3(特許法第29条第2項)について 上記「第5」において検討したとおり、本件補正後の、本願発明1-3は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由3を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1-3は、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-006288

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