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特許拒絶査定不服審判

2022-005742

決定装置、決定方法、および決定プログラム

審判番号
2022-005742
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-081376外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月15日
審決日
2023年04月27日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 81376「決定装置、決定方法、および決定プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月11日出願公開、特開2019-114307〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年12月15日に出願された特願2017-240627号の一部を平成31年4月22日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 3年 6月21日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 8月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 1月12日付け:拒絶査定
令和 4年 4月15日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年12月21日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 5年 3月 6日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1ないし10に係る発明は、令和5年3月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。下線部は補正箇所を示す。

「利用者と関連する利用者情報として、インターネット上において前記利用者が入力した検索クエリの履歴を取得する取得部と、
前記利用者情報に基づいて推定される前記利用者の属性に応じて、当該利用者に対して各事象が及ぼす影響のスコアリングをモデルを用いて行い、モデルを用いたスコアリング結果が所定の閾値を超えた事象を補償する保険に関連する保険関連商品の組合せを、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せとして決定する決定部と
を有することを特徴とする決定装置。」

第3 当審において通知した拒絶理由

当審において通知した、令和4年12月21日付け拒絶理由のうち、理由3(進歩性)の概要は、次のとおりである。

この出願の請求項1~11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である引用文献1~5記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引 用 文 献 等 一 覧

引用文献1.特開2001-243281号公報

引用文献2.特開2015-5052号公報

引用文献3.特開2017-97488号公報

引用文献4.特開2002-132822号公報

引用文献5.特許第6035404号公報

第4 引用文献と引用発明

1.引用文献1について

(1)引用文献1の記載

引用文献1は、以下のとおりの記載がある。(下線は当審が付与した。)

(記載事項1)

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は保険設計技術に関する。特に、顧客から抽出したリスクに応じて補償内容を設定する保険設計システムに関する。
【0002】
【従来の技術】保険には、火災保険、自動車保険、傷害保険、賠償責任保険など多くの種類があり、一の顧客に対してこれら複数の保険が販売されることが多い。また、保険の内容は、保険が販売される際に各種保険ごとに顧客に応じて設定されるのが一般的である。
【0003】従来においては、補償内容の設定は以下のようなステップで行われていた。すなわち、(ステップ1)顧客の有する情報(例えば、企業規模、財務情報、既加入の保険情報など)に基づいて顧客のリスクを抽出する。(ステップ2)抽出したリスクを補償するように既存の保険商品を選択する。(ステップ3)通常、ステップ2において複数の保険商品が選択されることになるため、選択した保険商品について担保内容が重複しないように免責条項などを設定する。(ステップ4)設定された補償内容について妥当性をチェックする。」

(記載事項2)

「【0042】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下に本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態であるリスク分析システムの構成をあらわすブロック図である。図1に示すように、本リスク分析システム1は、事故例情報記憶手段10、顧客リスク抽出手段11を含んで構成される。
・・・
【0044】事故例情報記憶手段10は、補償の対象となった過去の事故例の情報を複数記憶している。かかる事故例の情報は、事故対象者の業種、事故対象者の地域情報、事故対象者の顧客規模、実損害額、保険金支払額、事故区分、事故形態、事故原因、事故内容などの属性情報を含んで構成されており、例えば図2に示すような表形式で、リレーショナルデーターベース等の従来のデーターベースにより管理される。」

(記載事項3)

「【0052】顧客リスク抽出手段11は、顧客に関する情報を入力とし、かかる顧客に関する情報に含まれる属性値を検索キーとして前記事故例情報記憶手段10を検索し、検索キーに整合した事故例の情報を読み出す。
【0053】顧客に関する情報には、例えば顧客が法人の場合には、法人名、所在地、業種、業務内容、業績、売上高、従業員数、財務内容、所有施設の明細(所在地、構造、面積、用途、取得価額、取得年月等)などの属性値が含まれる。また、例えば顧客が個人の場合には、氏名、住所、職業、年齢、家族構成、収入、所有自動車の明細(台数、車種、安全装備の有無)などの属性値が含まれる。
【0054】このような属性値のうち、検索キーとしては例えば業種、所在地、企業規模等(個人の場合は、職業、住所、収入等)を組み合わせて用いることが考えられるが、どの属性値を検索キーとして用いるかは顧客に応じて定めれば良い。
【0055】これらの顧客に関する情報は、ユーザが入力するようにしても良いし、外部のデータベース(図示せず)から取得するようにしても良い。ユーザが入力する場合は、顧客リスク抽出手段11はユーザの入力を受け付ける入力手段(図示せず)を備える。前記入力手段は、例えば、表示装置に入力用画面を表示し、対話形式によってユーザに必要な情報を入力させるように構成する。
続きを表示(全17行)
【0056】顧客リスク抽出手段11は、前記整合した事故例の情報に含まれる事故区分、事故形態、事故原因等の属性情報を、顧客の有するリスク情報として抽出し出力する。顧客の属性値を検索キーとして整合した事故例の情報は、顧客に発生する可能性のある事故例の情報とみなすことができるため、かかる事故例の情報に含まれる事故区分等の属性情報を顧客の有するリスク情報とみなすことができる。
【0057】ここで、前記事故例情報記憶手段10に記憶されている事故例の情報に細分化担保区分を含ませることにより、前記顧客リスク抽出手段11は、かかる細分化担保区分を顧客の有するリスク情報として抽出することができる。
【0058】細分化担保区分とは、保険商品の担保内容において互いに重複しないように細分化された、同等でフラットな構造におけるカテゴリを指し、少なくとも事故区分、事故形態、事故原因の組み合わせを含んで特定される。例えば、細分化担保区分1=(財産、火災、漏電)、細分化担保区分2=(賠償責任、対人賠償、施設の管理ミス)といった細分化担保区分が考えられる。
【0059】前記事故例情報記憶手段10において、事故発生頻度情報、事故単価情報、予想損害額情報といった統計情報を記憶しておくようにしても良い。各統計情報は、例えば図3に示すような表形式で細分化担保区分ごとに記憶される。各統計情報は、図示しないデータ管理システムによって所定のタイミング(例えば、1年に1度)で更新されることになる。
【0060】例えば事故発生頻度情報であれば、事故例情報記憶手段10に記憶されている事故例情報について、業種、地域情報、顧客規模及び細分化担保区分の組み合わせごとの事故例件数を求め、データ管理システムに記憶されている前記組み合わせに対応する総契約件数で除算することにより、更新することができる。なお、かかる例では総契約件数に対する事故例件数の比率を事故発生頻度情報として用いているが、事故発生頻度情報として他の値を用いることもできる。例えば、事故例件数を前記組み合わせに対応する顧客の売上高で除算することにより単位売上高あたりの事故例件数を求め、これを事故発生頻度情報として用いてもよい。また、例えば、事故例件数を前記組み合わせに対応する顧客の所有施設の面積で除算することで、単位面積あたりの事故例件数を求め、これを事故発生頻度情報として用いることもできる。
・・・
【0063】統計情報が記憶されている場合、前記顧客リスク抽出手段11は、顧客の属性に対応する統計情報に基づいて、前記抽出した細分化担保区分ごとにリスク評価値を計算し、顧客の有するリスク情報に含めて出力する。
【0064】リスク評価値とは、補償内容を設定する際にどのリスクを大きく(又は小さく)補償すべきかの尺度を表わす。かかるリスク評価値としては、例えば、事故発生頻度に事故単価を乗算した値(予想損害額)、予想損害額に所定の定数を乗算した値などを用いることができる。
・・・
【0066】また、前記事故例情報記憶手段10において、細分化担保区分ごとに、同一業種における標準的なリスク評価値(以下、「標準リスク評価値」と呼ぶ。)、同一地域における標準リスク評価値、同一顧客規模における標準リスク評価値等を記憶しておくようにしても良い。更に、同一業種、同一地域、同一顧客規模のうち、任意の組み合わせに対して標準リスク評価値を記憶しておくようにしても良い。
【0067】この場合、前記顧客リスク抽出手段11は、前記抽出した細分化担保区分ごとに、顧客の属性値に整合する標準リスク評価値をそれぞれ読み出す。そして、前記抽出した細分化担保区分ごとに、前記計算したリスク評価値と比較し、その比較結果を顧客の有するリスク情報に含めて出力する。比較結果としては、例えば両者の差を用いることが考えられる。かかる差は当該顧客に特有のリスク傾向を示す値とみなすことができる。
・・・
【0069】本実施の形態によれば、顧客に関する情報、例えば業種、地域情報、顧客規模などから検索した、顧客に発生する可能性のある事故例に基づいて顧客の有するリスクを自動的に抽出するため、リスク分析を行うものの経験に依存しない均一な抽出結果を得ることができる。」

(記載事項4)

「【0074】・・・
(第3の実施形態)次に、図5を参照して、本発明の第3の実施の形態である保険設計システムを説明する。図5に示すように、本保険設計システム3は、補償内容設定手段30を備えている。
・・・
【0076】補償内容設定手段30は、顧客の有するリスク情報に基づいて、顧客の有するリスクを全て担保するように細分化担保区分を組み合わせて補償内容を設定し、かかる設定した補償内容を保険設定情報として出力する。
・・・
【0083】補償内容設定手段30が出力する保険設定情報は、例えば{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}のような情報となる。」

(記載事項5)

「【0115】・・・
(第7の実施形態)次に、図10を参照して、本発明の第7の実施の形態である保険設計システムを説明する。図10に示すように、本保険設計システム7は、第3の実施の形態の保険設計システム3の構成に加え、更にリスク分析システム1を備えている。
【0116】リスク分析システム1における事故例情報記憶手段10及び顧客リスク抽出手段11の構成・動作は、第1の実施の形態のリスク分析システム1と同様である。
【0117】補償内容設定手段30の構成・動作は、第3の実施の形態の保険設計システム3と同様である。
【0118】補償内容設定手段30は、前記リスク分析システム1から、顧客の有するリスク情報を受け取り、かかる顧客の有するリスク情報に含まれる細分化担保区分に基づいて動作する。前記補償内容設定手段30は、受け取った顧客の有するリスク情報に、リスク評価値が含まれている場合は、かかるリスク評価値に基づいて前記カバー係数を定めるようにしても良い。
【0119】例えば、全てのリスク評価値が等しい場合、全ての細分化担保区分について前記カバー係数を1とすることが考えられる。また、例えば、リスク評価値が所定のしきい値以上の細分化担保区分を重点的に補償すべき細分化担保区分とみなし、かかる細分化担保区分についてのみ前記カバー係数を1とし、残りの細分化担保区分については前記カバー係数を1より小さい値(例えば、0)とすることも考えられる。
【0120】また、受け取った顧客の有するリスク情報に、リスク評価値と標準リスク評価値の比較結果が含まれている場合は、かかる比較結果に基づいて前記カバー係数を定めるようにしても良い。
【0121】例えば、リスク評価値と標準リスク評価値の差が所定のしきい値以上の細分化担保区分を重点的に補償すべき細分化担保区分とみなし、かかる細分化担保区分についてのみ前記カバー係数を1とし、残りの細分化担保区分については前記カバー係数を1より小さい値(例えば、0)とすることも考えられる。」
「図3
[図:0001398906000001.jpg]
」
「図10
[図:0001398906000002.jpg]
」

(2)引用文献1に記載された発明

ア.記載事項1から、引用文献1には、「顧客から抽出したリスクに応じて補償内容を設定する保険設計システム」が記載されている。

イ.記載事項5から、引用文献1の第7の実施形態の「保険設計システム」は、「リスク分析システム1と保険設計システム3とを備える」こと、

「リスク分析システム1は、事故例情報記憶手段10及び顧客リスク抽出手段11を備える」こと、及び、

「保険設計システム3は、補償内容設定手段30を備える」ことが読み取れる。

また、引用文献1の第7の実施形態の「事故例情報記憶手段10及び顧客リスク抽出手段11」の構成・動作は、第1の実施形態の「リスク分析システム1」と同様であること、第7の実施形態の「補償内容設定手段30」の構成・動作は、第3の実施形態の「保険設計システム3」と同様であることが読み取れる。

ウ.記載事項2から、引用文献1の第1の実施形態の「リスク分析システム1」は、「事故例情報記憶手段10及び顧客リスク抽出手段11を含んで構成される」こと、及び、

「事故例情報記憶手段10は、補償の対象となった過去の事故例の情報を複数記憶しており、事故例の情報は、事故対象者の地域情報、事故区分、事故形態、事故原因等の属性情報を含んで構成される」ことが読み取れる。

エ.記載事項3から、引用文献1の第1の実施形態の「顧客リスク抽出手段11」は、「顧客に関する情報を入力とし、かかる顧客に関する情報に含まれる属性値を検索キーとして事故例情報記憶手段10を検索し、検索キーに整合した事故例の情報を読み出す」こと、

「顧客に関する情報は、氏名、住所、職業、年齢、家族構成、収入、所有自動車の明細(台数、車種、安全装備の有無)などの属性値を含み、外部のデータベースから取得される」こと、

「検索キーは、職業、住所、収入等を組み合わせて用いられる」こと、

「顧客の属性値を検索キーとして整合した事故例の情報に含まれる事故区分等の属性情報を顧客の有するリスク情報とする」こと、

「事故例の情報は、細分化担保区分、及び、事故発生頻度情報、事故単価情報といった統計情報を含み、細分化担保区分とは、保険商品の担保内容において互いに重複しないように細分化されたカテゴリを指し、事故区分、事故形態、事故原因の組み合わせを含んで特定されるものである」こと、

「顧客リスク抽出手段11は、補償内容を設定する際にどのリスクを大きく(又は小さく)補償すべきかの尺度を表わすリスク評価値として、例えば、事故発生頻度に事故単価を乗算した値(予想損害額)を、抽出した細分化担保区分ごとに計算し、顧客の有するリスク情報に含めて出力する」ことが読み取れる。

オ.上記イによれば、引用文献1の第7の実施形態の「事故例情報記憶手段10及び顧客リスク抽出手段11」の構成・動作は、第1の実施形態の「リスク分析システム1」と同様であるから、上記ウ及びエの第1の実施形態の「リスク分析システム1」の備える「事故例情報記憶手段10」、「顧客リスク抽出手段11」の構成・動作は、引用文献1の第7の実施形態の「事故例情報記憶手段10及び顧客リスク抽出手段11」が有するものである。

よって、上記事項によれば、引用文献1の第7の実施形態の「事故例情報記憶手段10」は、「補償の対象となった過去の事故例の情報を複数記憶しており、事故例の情報は、事故対象者の地域情報、事故区分、事故形態、事故原因等の属性情報を含んで構成され、細分化担保区分、及び、事故発生頻度情報、事故単価情報といった統計情報を含み、細分化担保区分とは、保険商品の担保内容において互いに重複しないように細分化されたカテゴリを指し、事故区分、事故形態、事故原因の組み合わせを含んで特定されるものである」こと、及び、

「顧客リスク抽出手段11」は、「顧客に関する情報を入力とし、かかる顧客に関する情報に含まれる属性値を検索キーとして事故例情報記憶手段10を検索し、検索キーに整合した事故例の情報を読み出し、
顧客に関する情報は、氏名、住所、職業、年齢、家族構成、収入、所有自動車の明細(台数、車種、安全装備の有無)などの属性値を含み、外部のデータベースから取得され、
検索キーは、職業、住所、収入等を組み合わせて用いられ、
顧客の属性値を検索キーとして整合した事故例の情報に含まれる事故区分等の属性情報を顧客の有するリスク情報とし、
顧客リスク抽出手段11は、補償内容を設定する際にどのリスクを大きく(又は小さく)補償すべきかの尺度を表わすリスク評価値として、例えば、事故発生頻度に事故単価を乗算した値(予想損害額)を、抽出した細分化担保区分ごとに計算し、顧客の有するリスク情報に含めて出力する」ものと認められる。

カ.記載事項4から、引用文献1の第3の実施形態の「保険設計システム3は、補償内容設定手段30を備えている」こと、及び、

「補償内容設定手段30は、顧客の有するリスク情報に基づいて、顧客の有するリスクを全て担保するように細分化担保区分を組み合わせて、{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容を設定し、かかる設定した補償内容を保険設定情報として出力する」ことが読み取れる。

キ.記載事項5から、引用文献1の第7の実施形態の「補償内容設定手段30」は、「リスク分析システム1から、顧客の有するリスク情報を受け取り、リスク情報に含まれているリスク評価値に基づいて、カバー係数を定め、リスク評価値が所定のしきい値以上の細分化担保区分を重点的に補償すべき細分化担保区分とみなし、かかる細分化担保区分についてのみ前記カバー係数を1とし、残りの細分化担保区分については前記カバー係数を0とする」ことが読み取れる。

ここで、上記オによれば、「リスク分析システム1」が備える「顧客リスク抽出手段11」が「顧客の有するリスク情報」を「出力」するものである。

よって、これらの事項から、引用文献1の第7の実施形態の「補償内容設定手段30」は、「顧客リスク抽出手段11から、顧客の有するリスク情報を受け取り、リスク情報に含まれているリスク評価値に基づいて、カバー係数を定め、リスク評価値が所定のしきい値以上の細分化担保区分を重点的に補償すべき細分化担保区分とみなし、かかる細分化担保区分についてのみ前記カバー係数を1とし、残りの細分化担保区分については前記カバー係数を0とする」ものと認められる。

ク.上記イによれば、引用文献1の第7の実施形態の「補償内容設定手段30」の構成・動作は、第3の実施形態の「保険設計システム3」と同様であるから、上記カの第3の実施形態の「保険設計システム3」の備える「補償内容設定手段30」の構成・動作は、引用文献1の第7の実施形態の「補償内容設定手段30」が有するものである。

よって、上記事項及びキによれば、引用文献1の第7の実施形態の「補償内容設定手段30」は、「顧客リスク抽出手段11から、顧客の有するリスク情報を受け取り、リスク情報に含まれているリスク評価値に基づいて、カバー係数を定め、リスク評価値が所定のしきい値以上の細分化担保区分を重点的に補償すべき細分化担保区分とみなし、かかる細分化担保区分についてのみ前記カバー係数を1とし、残りの細分化担保区分については前記カバー係数を0として、顧客の有するリスク情報に基づいて、顧客の有するリスクを担保するように細分化担保区分を組み合わせて、{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容を設定し、かかる設定した補償内容を保険設定情報として出力する」ものと認められる。

ケ.以上、上記ア~クによれば、引用文献1には、第7の実施形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>

「顧客から抽出したリスクに応じて補償内容を設定する保険設計システムであって、
リスク分析システム1と保険設計システム3とを備え、
リスク分析システム1は、事故例情報記憶手段10及び顧客リスク抽出手段11を備え、
保険設計システム3は、補償内容設定手段30を備え、
続きを表示(全12行)
事故例情報記憶手段10は、補償の対象となった過去の事故例の情報を複数記憶しており、事故例の情報は、事故対象者の地域情報、事故区分、事故形態、事故原因等の属性情報を含んで構成され、細分化担保区分、及び、事故発生頻度情報、事故単価情報といった統計情報を含み、細分化担保区分とは、保険商品の担保内容において互いに重複しないように細分化されたカテゴリを指し、事故区分、事故形態、事故原因の組み合わせを含んで特定されるものであり、
顧客リスク抽出手段11は、顧客に関する情報を入力とし、かかる顧客に関する情報に含まれる属性値を検索キーとして事故例情報記憶手段10を検索し、検索キーに整合した事故例の情報を読み出し、
顧客に関する情報は、氏名、住所、職業、年齢、家族構成、収入、所有自動車の明細(台数、車種、安全装備の有無)などの属性値を含み、外部のデータベースから取得され、
検索キーは、職業、住所、収入等を組み合わせて用いられ、
顧客の属性値を検索キーとして整合した事故例の情報に含まれる事故区分等の属性情報を顧客の有するリスク情報とし、
顧客リスク抽出手段11は、補償内容を設定する際にどのリスクを大きく(又は小さく)補償すべきかの尺度を表わすリスク評価値として、例えば、事故発生頻度に事故単価を乗算した値(予想損害額)を、抽出した細分化担保区分ごとに計算し、顧客の有するリスク情報に含めて出力し、
顧客リスク抽出手段11から、顧客の有するリスク情報を受け取り、リスク情報に含まれているリスク評価値に基づいて、カバー係数を定め、リスク評価値が所定のしきい値以上の細分化担保区分を重点的に補償すべき細分化担保区分とみなし、かかる細分化担保区分についてのみ前記カバー係数を1とし、残りの細分化担保区分については前記カバー係数を0として、顧客の有するリスク情報に基づいて、顧客の有するリスクを担保するように細分化担保区分を組み合わせて、{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容を設定し、かかる設定した補償内容を保険設定情報として出力する
保険設計システム。」

第5 対比

1.本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「保険設計システム」は、「顧客から抽出したリスクに応じて補償内容を設定する」ものである。

ここで、「補償内容」は、「{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}」との情報であるところ、「細分化担保区分」は「保険商品の担保内容において互いに重複しないように細分化されたカテゴリを指」すものであって、「保険商品」の一部といえることから、「補償内容」は「顧客」に設定される「保険商品」である「細分化担保区分」の組合せであり、「補償内容を設定する」ことは、「顧客」に設定される「保険商品」である「細分化担保区分」の組合せを決定するものといえる。

よって、引用発明の「保険設計システム」は、後述の相違点を除き、本願発明の「決定装置」に相当する。

(2)引用発明の「顧客」は、本願発明の「利用者」に相当し、以下同様に、「顧客に関する情報」は「利用者と関連する利用者情報」に相当する。

そして、引用発明の「顧客リスク抽出手段11」は、「顧客に関する情報」を「入力」とするものであって、「顧客に関する情報」は、「外部のデータベースから取得され」るものである。

よって、引用発明の、「顧客に関する情報」を、「外部のデータベースから取得」する、「顧客リスク抽出手段11」と、本願発明の「利用者と関連する利用者情報として、インターネット上において前記利用者が入力した検索クエリの履歴を取得する取得部」とは、「利用者と関連する利用者情報を取得する取得部」である点で共通する。

(3)引用発明の「顧客に関する情報」は、「氏名、住所、職業、年齢、家族構成、収入、所有自動車の明細(台数、車種、安全装備の有無)などの属性値を含み」、その内の「職業、住所、収入等」の「属性値」は、その中に「細分化担保区分、及び、事故発生頻度情報といった統計情報を含」む「事故例の情報」を「読み出」すための「検索キー」として使用されるものである。

よって、引用発明の「顧客に関する情報」に含まれる「職業、住所、収入等」の「属性値」と、本願発明の「前記利用者情報に基づいて推定される前記利用者の属性」とは、「前記利用者情報に基づいた前記利用者の属性」である点で共通する。

(4)引用発明の「細分化担保区分」のそれぞれは、「保険商品の担保内容において互いに重複しないように細分化された担保内容」であるから、本願発明の「保険に関連する保険関連商品」に相当する。

また、引用発明の「リスク評価値」は、「顧客の有するリスク情報」に含まれるものであって、「補償内容を設定する際にどのリスクを大きく(又は小さく)補償すべきかの尺度を表わす」ものであり、「事故例の情報」に含まれる「統計情報」である「事故発生頻度情報」と「事故単価情報」を「乗算した値(予想損害額)」を「計算」したものであるから、「事故例」の発生頻度(発生し易さ)と事故単価(事故の影響度)を数値化したものであり、「顧客」に対して「事故例」が及ぼす影響を数値化したものといえる。

他方、引用発明の「顧客リスク抽出手段11」は、「事故例の情報」に含まれる「統計情報」から計算された「補償内容を設定する際にどのリスクを大きく(又は小さく)補償すべきかの尺度を表わす」「リスク評価値に基づいて、カバー係数を定め、顧客の有するリスク情報に基づいて、顧客の有するリスクを担保するように細分化担保区分を組み合わせて、{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容を設定」しているものであるから、「事故例」は、「細分化担保区分」が補償するものである。

よって、引用発明の「細分化担保区分」が補償する「事故例」は、本願発明の「保険関連商品」が「補償する」「事象」に相当し、引用発明の「事故例の情報」から算出され、「事故例」の発生頻度(発生し易さ)と事故単価(事故の影響度)を数値化し、「顧客」に対して「事故例」が及ぼす影響を数値化した「リスク評価値」は、本願発明の「当該利用者に対して各事象が及ぼす影響のスコアリング」の「スコアリング結果」に相当する。

そして、引用発明の「顧客リスク抽出手段11」は、「顧客に関する情報」に含まれる「職業、住所、収入等」の「属性値」を「検索キーとして事故例情報記憶手段10を検索し、検索キーに整合した事故例の情報」に含まれる「統計情報」である「事故発生頻度情報」と「事故単価情報」を「乗算した値(予想損害額)」を「計算」して、「事故例」の「リスク評価値」として「出力」するものであるから、「顧客に関する情報」に含まれる「職業、住所、収入等」の「属性値」に応じて、「顧客」に対して「事故例」が及ぼす影響を数値化した「事故例」の「リスク評価値」を「計算」しているものといえる。

また、引用発明は、「事故例」の「リスク評価値が所定のしきい値以上の細分化担保区分を重点的に補償すべき細分化担保区分とみなし、かかる細分化担保区分についてのみ前記カバー係数を1とし、残りの細分化担保区分については前記カバー係数を0として、顧客の有するリスク情報に基づいて、顧客の有するリスクを担保するように細分化担保区分を組み合わせて、{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容を設定し、かかる設定した補償内容を保険設定情報として出力する」ものであるから、「事故例」の「リスク評価値が所定のしきい値以上」の「細分化担保区分を組み合わせて、{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容を設定し、かかる設定した補償内容を保険設定情報として出力する」ものである。

よって、引用発明の「所定のしきい値」は、本願発明の「所定の閾値」に相当し、以下同様に、「事故例」の「リスク評価値が所定のしきい値以上の細分化担保区分」は「スコアリング結果が所定の閾値を超えた事象を補償する保険に関連する保険関連商品」に、「事故例」の「リスク評価値が所定のしきい値以上」の「細分化担保区分を組み合わせ」た、「{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容」は「スコアリング結果が所定の閾値を超えた事象を補償する保険に関連する保険関連商品の組合せ」に相当する。

また、引用発明は「かかる設定した補償内容を保険設定情報として出力する」ものであり、「かかる設定した補償内容」は、顧客に対して提案されるものといえるから、引用発明の「保険設定情報として出力」される、「細分化担保区分を組み合わせ」た、「{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容」は、本願発明の「前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せ」に相当する。

したがって、引用発明の、「顧客に関する情報」に含まれる「職業、住所、収入等」の「属性値」を「検索キーとして事故例情報記憶手段10を検索し、検索キーに整合した事故例の情報」に含まれる「統計情報」である「事故発生頻度情報」と「事故単価情報」を「乗算した値(予想損害額)」として「計算」して、「顧客」に対して「事故例」が及ぼす影響を数値化した「事故例」の「リスク評価値」を「出力」する「顧客リスク抽出手段11」と、「顧客リスク抽出手段11」から「受け取」った「事故例」の「リスク評価値」に基づいて、「事故例」の「リスク評価値が所定のしきい値以上」の「細分化担保区分を組み合わせて、{(細分化担保区分1、保険金支払限度額、カバー係数)、(細分化担保区分2、保険金支払限度額、カバー係数)、・・・}との補償内容を設定し、かかる設定した補償内容を保険設定情報として出力する補償内容設定手段30」と、本願発明の「前記利用者情報に基づいて推定される前記利用者の属性に応じて、当該利用者に対して各事象が及ぼす影響のスコアリングをモデルを用いて行い、モデルを用いたスコアリング結果が所定の閾値を超えた事象を補償する保険に関連する保険関連商品の組合せを、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せとして決定する決定部」とは、「前記利用者情報に基づいた前記利用者の属性に応じて、当該利用者に対して各事象が及ぼす影響のスコアリングを行い、スコアリング結果が所定の閾値を超えた事象を補償する保険に関連する保険関連商品の組合せを、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せとして決定する決定部」である点で共通する。

2.一致点・相違点

上記1によると、本願発明と引用発明の両者は、以下の点で一致し、以下の点で相違する。

<一致点>

「利用者と関連する利用者情報を取得する取得部と、
前記利用者情報に基づいた前記利用者の属性に応じて、当該利用者に対して各事象が及ぼす影響のスコアリングを行い、スコアリング結果が所定の閾値を超えた事象を補償する保険に関連する保険関連商品の組合せを、前記利用者に対して提案する保険関連商品の組合せとして決定する決定部と
を有することを特徴とする決定装置。」

<相違点1>

取得部に関し、本願発明は「利用者と関連する利用者情報として、インターネット上において前記利用者が入力した検索クエリの履歴を取得する」のに対し、引用発明は外部のデータベースから顧客に関する情報を取得する点。また、この点に派生して、利用者の属性に関し、本願発明は「前記利用者情報に基づいて推定される」ものであるのに対し、引用発明は顧客に関する情報に含まれる属性値をそのまま使用する点。

<相違点2>

利用者に対して各事象が及ぼす影響のスコアリングに関し、本願発明においては、「決定部」が「モデルを用いて行」うものであるのに対し、引用発明においては、補償内容設定手段30とは異なる顧客リスク抽出手段11が、顧客に関する情報に含まれる属性値を検索キーとして事故例情報記憶手段10を検索し、検索キーに整合した事故例の情報を読み出し、事故例の情報に含まれる事故発生頻度に事故単価を乗算した値(予想損害額)を、抽出した細分化担保区分ごとに計算することにより行う点。

第6 当審の判断

1.相違点1について

例えば、引用文献2に「【0102】

なお、デモグラフィック属性は、例えば、ユーザによって情報を直接登録されてもよいし、ユーザが過去に閲覧したウェブページに含まれるキーワードやユーザが過去に検索したキーワードに基づいて推定されてもよい。

・・・

【0105】

なお、サイコグラフィック属性は、例えば、ユーザによって情報を直接登録されてもよいし、ユーザが過去に閲覧したウェブページに含まれるキーワードやユーザが過去に検索したキーワードに基づいて推定されてもよい。」と記載され、

引用文献3に「【0034】

「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。例えば、「ユーザID」には、ユーザごとに個別に割り当てられるユニークな英数字等の文字列などが記憶される。「ユーザ属性」は、ユーザの特徴を表す属性を示す。例えば、「ユーザ属性」には、ユーザの登録情報や検索履歴、Webページの閲覧履歴、商品購入履歴、サービスの利用履歴などといった各種の情報から推定される属性が記憶される。

【0035】

すなわち、図5では、ユーザID「U1」によって識別されるユーザU1のユーザ属性は、「音楽」である例を示している。このため、ユーザU1は、他の分野と比較して、「音楽」の分野に関する知識を有すると考えられる。また、ユーザID「U2」によって識別されるユーザU2のユーザ属性は、「金融」および「経済」である例を示している。このため、ユーザU2は、他の分野と比較して、「金融」および「経済」の分野に関する知識を有すると考えられる。」と記載され、

引用文献4に

「【0025】前述した手法によって収集したユーザのアクセス・入力記録を分類機能35によって特定の趣向カテゴリに分類する。実施例(1)では、検索エンジンにユーザが入力したキーワードからユーザの趣向を推定し、特定のカテゴリに分類する。例えば、「飛行機チケット」と入力したユーザは、「旅行」に興味があるユーザと推定する。入力キーワードからどのような手段でユーザの趣味を分類するかの方法については、他に発明が出願されており、本発明では対象としない。実施例(2)では、ディレクトリ型にコンテンツを分類したポータルサイトにアクセスしたユーザが、例えば、「音楽」のカテゴリをクリックし音楽に関係するコンテンツを求めたならば、そのユーザは音楽に興味があるユーザと推定する。実施例(3)では、ユーザに対し、どんなことに興味をもっているかのアンケートの入力を促す。「音楽」、「旅行」、「車」などの趣向カテゴリを用意し、ユーザに興味のあるものをクリックしてもらい、そのままそのユーザの趣向の推定に用いる。実施例(1)~(3)において、前記のようにユーザの趣向を推定し、分類したものをユーザ趣向データベース36にそのユーザのIPアドレスと対応させて蓄積する。」

と記載されているように、「顧客管理」の技術分野において、ユーザ属性を把握するために、ユーザがインターネット上に入力した検索キーワード等の履歴を取得し、取得した検索キーワード等の履歴に基づいて、ユーザ属性を推定することは、周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。

よって、引用発明において、事故例の情報を取得するために、顧客の属性値を使用しているところ、顧客に関連する事故例をより適切に抽出するために、「職業、住所、収入等」に加えて、顧客の属性をより多く把握するよう、周知技術1を適用し、顧客(本願発明の「利用者」に相当する。以下同様。)がインターネット上に入力した検索キーワード等の履歴(「検索クエリの履歴」)を取得し、取得した検索キーワード等の履歴に基づいて、顧客の属性値(「利用者の属性」)を推定することにより、相違点1に係る本願発明の発明特定事項の如く構成することは、当業者が容易になし得たことである。

2.相違点2について

例えば、引用文献5に、

「【0036】
予測契約確率は、既契約顧客データベース502及び契約状態データベース504の顧客属性Fi及び顧客契約状況CSiを学習サンプルSとして取得し、その学習サンプルSを使用して、統計的アルゴリズムにより予測モデルを生成することにより求められる。ここでは、顧客属性Fi及び顧客契約状況CSiをまとめてxi=[Fi,CSi]で表す。統計的アルゴリズムは、主成分分析、回帰分析、クラスタリング、決定木(decision tree)アルゴリズム等を含む。予測契約確率p(yin,xi)=p(yin|xi)・p(xi)を出力する確率モデルは、決定木、ニューラルネットワーク、隠れマルコフモデル等を含む。学習サンプルSを用いた学習によって生成された確率モデルは、既契約顧客及び新規顧客の双方に適用され、契約確率の最も高い商品パターンyinを予測する。」と記載され、

他にも、周知文献として挙げる中国特許出願公開第107292528号明細書に、

「
[図:0001398906000003.jpg]
[図:0001398906000004.jpg]
」

(当審訳: [0030]本明細書の一つ以上の実施例は複数の車両リスク予測のサービスシステムに実施することができる。前記のサービスシステムは、保険会社の車両保険リスク査定サービスシステムを含むことができ、保険会社に、車両保険ユーザの車両保険リスク査定スコア値を提供するサービス提供者などの、車両保険リスク予測サービスを提供する第三者サービスシステムを含むことができる。本明細書中で提供される一つ以上の実施例が、サービスシステム内で実施される場合、車両保険ユーザの個人属性情報をあらかじめ収集することができ、これら収集された個人属性情報に対して前処理することができる。その後、サービスシナリオで適用される車両保険リスク予測アルゴリズムを選択して、モデル化、訓練などを行う。モデル化あるいは訓練後の車両保険リスク予測アルゴリズムは、予測されるべき車両保険ユーザに、車両保険リスク予測を実施するために使用することができる。前記車両保険リスク予測アルゴリズムは、サービスシナリオの要求に基づいて、対応する線形予測量モデル、ネットワーク予測モデル、算出式または自己定義されたフィッティングアルゴリズムなどを選択することができる。選択された車両保険リスク予測アルゴリズムは、車両保険リスク予測を行うことに、直接使用することができ、個人属性情報のサンプルデータの訓練をした後に、構築することもできる。

[0031] 車両保険リスク予測アルゴリズムは、車両保険ユーザの予測された車両保険リスク結果を出力することができる。具体的には、車両保険リスク予測は、車両保険ユーザのリスクを表すスコア、リスクの種類、請求の可能性、補償支払額の範囲、リスク人口のグループ、その他のタイプの車両保険リスク予測結果を含むことができる。図1は、本開示の実施形態に従って車両保険リスク予測を実施する実施形態を示す概略図である。図1に示すように、保険会社が提供する保険証券データに基づいて、個人属性情報に関する変数を取得することができる。これらの変数は、モデルトレーニングのサンプル変数として使用される。一般的に、保険会社は、車両保険ユーザが記入した保険証券データなど、車両保険ユーザの一部の情報データを保険会社側に記録することができる。このようなデータは、特に、所有者の名前、IDタイプ、ID番号、電話番号などを含むことができる。これらのサンプル変数がソートされた後、一般化された線形モデルを使用してモデル化され、車両保険リスク予測モデルを構築することができる。そして、このモデルを予測に利用し、車両保険ユーザの車両保険リスクを示すスコアを出力することができる。)

と記載されているように、「保険関連システム」の技術分野において、被保険者の属性に応じて、所定の統計的情報を出力するにあたり、学習モデルを使用することは、周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。

よって、引用発明において、顧客の属性値を用いて、統計情報である事故発生頻度情報と事故単価情報を乗算して、事故例のリスク評価値を出力しているところ、周知技術2を適用して、顧客の属性値(「利用者の属性」)と事故例のリスク評価値(「事象のスコアリング結果」)との関係性を学習したモデル(「モデル」)を用いて、顧客の属性値(「利用者の属性」)に応じて、モデルを用いて事故例のリスク評価値を出力する(当該利用者に対して各事象が及ぼす影響のスコアリングをモデルを用いて行う)ことにより、相違点2に係る本願発明の発明特定事項の如く構成することは、当業者が容易になし得たことである。

3.効果について

本願発明の「実施形態の一態様によれば、利用者に対して、適切な保険態様を提案することができる。」(【0008】)との効果は、引用文献1の「また、互いに担保内容が重複しないように担保区分を細分化し、かかる細分化された担保区分を組み合わせることにより補償内容を設定するため、重複する担保内容の調整が不要となる。また、同一の担保内容を実現するような細分化担保区分の組み合わせは唯一つに定まるため、組み合わせ方に関する妥当性のチェックも不要となる。そのため、保険設計を行う者の経験や知識に依存することなく、補償内容の質を均一化した保険設計を行うができる。」(【0140】)との効果から、当業者が予測し得る程度のものである。

4.請求人の主張について

請求人は、令和5年3月6日に提出した意見書にて「請求項1に係る発明は、利用者の属性に応じて、利用者に対して各事象が及ぼす影響のスコアリングをモデルを用いて行い、モデルを用いたスコアリング結果が所定の閾値を超えた事象を補償する保険に関連する保険関連商品の組合せを、利用者に対して提案する保険関連商品の組合せとします。

・・・(中略)・・・

このような構成は、引用文献1~5には記載も示唆もされておりません。例えば、引用文献1には、モデルを用いて、各事象が及ぼす影響のスコアリングをモデルを用いて行う点については開示されておりません。また、引用文献2(当審注:「引用文献5」の誤記と認める。)には、契約確率を予測する内容が開示されているにすぎず、保険で補償される事象が利用者に対して及ぼす影響のスコアリングを行ってはおりません。

このため、補正後の請求項1に記載の発明は、引用文献1~5に記載も示唆もされておらず、特許法第29条第2項の規定により拒絶されるものではないと考えます。」と述べている。

しかしながら、請求人の主張は、引用文献1、引用文献5の、個々の引用文献に、本願発明の別々の構成がないとの主張にとどまり、両者を組み合わせたとしても、なお相違点に係る構成に至らないとの主張ではなく、両者を組み合わせることの困難性を主張するものでもない。そして、上記2で述べたように、引用発明に、引用文献5等に例示される周知技術を適用することは、当業者が容易になし得たことであって、格別の困難性は認められないから、請求人の主張は採用できない。

5.小括

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-005742

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