2022-005397
肌状態ケアシステム、ユーザークライアントおよび肌状態ケア方法
- 審判番号
- 2022-005397
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-038572外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月11日
- 審決日
- 2023年02月07日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q) / P18 .536-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 21項目
第1 手続の経緯
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本願(特願2020-38572号:第4世代)は、国際出願日が平成25年2月15日(優先権主張:同24年2月15日(特願2012-30020号)、同年12月4日(特願2012-265857号))である特許出願(特願2013-558762号:最初の原出願)の一部を新たな特許出願(特願2016-3499号:第1世代)とし、その一部をさらに新たな特許出願(特願2017-132567号:第2世代)とし、その一部を新たな特許出願(特願2018-207956号:第3世代)としたものの一部を令和2年3月6日に新たな特許出願としたものであって、同3年6月16日付けで拒絶理由が通知され、同年8月4日に意見書及び手続補正書が提出されたものの、同4年1月21日付けで拒絶の査定がなされ、同年4月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出された。
その後当審において、同年11月1日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知されたのに対し、同年12月13日に意見書及び手続補正書が提出された。
第2 本願発明
1 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和4年12月13日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、本願発明1は以下のとおりのものである。
「ユーザーの肌を撮影するカメラと、ネットワークを介してデータの送受信を行う送受信手段と、を備えた複数のユーザークライアントを備え、前記ユーザークライアントは、前記ユーザーが使用する化粧品を特定可能にする化粧品特定情報を入力可能とする化粧品特定情報入力手段と、前記カメラにより撮影された前記ユーザーの肌の画像データを分析することにより得られる分析結果データを表示する表示手段と、購入促進手段と、を備え、前記化粧品特定情報入力手段は、前記カメラによるバーコードの読み取りに基づく前記化粧品特定情報の入力と、キーワード入力による前記化粧品特定情報の入力とが可能であり、前記購入促進手段は、前記化粧品特定情報の入力に基づいて登録される前記ユーザーが使用する化粧品に紐づけて登録される化粧品の使用開始日を起算とした化粧品の残量予測に基づいて、化粧品の購入を促す表示を前記表示手段に表示させることを特徴とする肌状態ケアシステム。」
なお、本件補正により、補正前の請求項2、4、6は削除され、補正前の請求項1、3、5が、それぞれ、補正後の請求項1、2、3に対応し、本願発明2は、本願発明1のシステムの「ユーザークライアント」に対応する装置発明であり、本願発明3は、本願発明1のシステム発明に対応する方法発明である。
2 優先権について
本願発明1~3の「前記化粧品特定情報入力手段は、前記カメラによるバーコードの読み取りに基づく前記化粧品特定情報の入力」が可能であることは、本願の優先権主張の基礎とされた特願2012-30020号(平成24年2月15日出願)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には記載されておらず、優先権主張の基礎とされた特願2012-265857号(平成24年12月4日出願)にのみ記載された事項であるから、本願発明1~3についての新規性、進歩性の判断の基準日は平成24年12月4日である。
第3 当審拒絶理由の概要
補正前の請求項1、3、5についての当審拒絶理由の概要は以下のとおりである。
1 進歩性
この出願の請求項1、3、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1.スマートフォンで手軽に肌状態をチェックできるクラウドサービス「肌メモリ」を提供開始,[online],2012年11月29日,富士通株式会社,インターネット<URL:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2012/11/29.html>
引用文献2.特開2001-104050号公報
引用文献3.特開2004-171560号公報(周知技術を示す文献)
2 明確性要件
この出願は、特許請求の範囲の請求項1、3、5において、「肌状態測定装置」が「ユーザークライアント」と異なる装置であることを前提とする記載とこれと矛盾する内容を前提とする記載を含んでいる点で、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
当審拒絶理由において引用した引用文献1(スマートフォンで手軽に肌状態をチェックできるクラウドサービス「肌メモリ」を提供開始,[online],2012年11月29日,富士通株式会社,インターネット<URL:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2012/11/29.html>)は、「肌メモリ」というクラウドサービスに関するPRESS RELEASEのウェブページであり、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。
ア 「当社は、スマートフォンで手軽に肌状態をチェックできるクラウドサービス「肌メモリ」を本日より提供します。本サービスは、スマートフォンのカメラで撮影した肌画像から、シミ・毛穴・色の状態を測定する機能をクラウドで提供するものです。主に化粧品メーカーや美容・健康関連サービス事業者などに向けて提供するもので、各事業者は、本サービスを活用して、販売促進やコミュニケーションの手段としてお客様へ付加価値を提供することができます。また、日々の肌データを蓄積できるため、肌状態の変化から個人に合わせたアドバイスや商品紹介などさまざまな新サービスの提供が可能です。」
イ
[図:0001394942000001.jpg]
上記図面によれば、撮影された肌画像は、スマートフォンからクラウド基盤に送られ、クラウド基盤画像解析が行われ、その解析結果は、クラウド基盤からスマートフォンに送られ、シミ・毛穴・色の測定結果として表示される。
ウ 「日々撮影する肌データがクラウド上に蓄積されるため、過去の状態や他者との比較ができます。これまで使用してきた化粧品と肌状態の変化から、自分に適した化粧品や季節ごとに必要なケアを把握したり、また、蓄積された統計データから平均値との比較や自分の位置づけを知ることが可能です。」
エ
[図:0001394942000002.jpg]
上記図面と上記ウの記載によれば、クラウド上に日々撮影する肌データを蓄積し、蓄積された肌データとこれまで使用してきた化粧品や現在使用中の化粧品の情報に基づいて、顧客に適した化粧品や季節ごとに必要なケアの情報を含む化粧品に関するアドバイスを表示することが記載されている。
オ 上記記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「顧客のスマートフォンを用いて肌状態をチェックするための「肌メモリ」というクラウドサービスであって、撮影した肌画像をクラウド基盤に送り、クラウド基盤より肌画像の解析結果が送信されるスマートフォンを備え、このスマートフォンは、このスマートフォンのカメラで撮影された肌画像を画像解析した解析結果をシミ・毛穴・色の肌状態の測定結果として表示する手段を備え、クラウド上に日々撮影する肌データを蓄積し、蓄積された肌データとこれまで使用してきた化粧品や現在使用中の化粧品の情報に基づいて、顧客に適した化粧品や季節ごとに必要なケアの情報を含む化粧品に関するアドバイスを表示する、クラウドサービス。」
2 引用文献2について
当審拒絶理由において引用した引用文献2(特開2001-104050号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0046】この最適化粧品情報出力部53から出力される情報は、ユーザインタフェース部6に出力される。このユーザインターフェース部6は、情報表示部とデータ入力部としてのキーボードやバーコード読み取り部などを有し(これら情報表示部、キーボード、バーコード読み取り部などの図示は省略されている)、どの化粧品が最適かを示す情報やそれをどのように使えばよいかなどを示す内容が情報表示部で表示され、被化粧者2はその表示内容を参考にして化粧を行う。また、前述の化粧品所有リスト52に対しては被化粧者2がどのような化粧品を持っているかを示す情報をキーボードなどの操作盤から入力することが可能であり、また、化粧品に付されたバーコードなどをバーコード読み取り部によって入力することも可能である。」
3 引用文献3について
当審拒絶理由において引用した引用文献3(特開2004-171560号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0110】上記実施形態では、データキャリアとして無線ICチップであるRFID30を用いる場合について説明したが、RFID30に代えて二次元コード等のコード情報或いはコード情報記録体を用い、上記実施形態と同様の処理を行う構成としてもよく、例えば携帯電話20の制御部22のメモリにコード情報の解析プログラムを格納し、印刷されているコード情報若しくは電子ペーパー等のディスプレイに表示されているコード情報に色情報及び領域識別情報若しくは色識別情報を記憶させ、そのコード情報を撮像部26で撮像して携帯電話20に取り込み、携帯電話20の制御部22が解析プログラムに従い、取り込んだコード情報を解析して色情報及び領域識別情報若しくは色識別情報を抽出する構成等とすることができる。或いは、携帯電話20の制御部22が所定プログラムに従い、取り込んだコード情報を情報処理サーバー10へ送信し、情報処理サーバー10に設けられるコード情報解析処理部が受信したコード情報を解析して色情報及び領域識別情報若しくは色識別情報を抽出する構成とすることができる。或いは、撮像部26で撮像して携帯電話20にコード情報を取り込む構成に代え、携帯電話20にコードリーダー若しくはスキャナーを設け、コードリーダーでコード情報を読み取って取り込む構成としてもよい。」
4 原査定における引用文献(後述「第6」を参照。)
(1)引用文献A(特開2003-70749号公報)
引用文献Aには、
デジタルカメラ等の撮像装置Cを備え、ネットワークを介してサーバSと接続される端末T(【0019】)を備え、
撮像装置で撮像された画像データと普段使用している化粧品の種類の情報を含む問診データがサーバSに送られ(【0037】~【0039】、【0042】)、サーバSに送られた画像データと問診データに基づいて肌の性状、肌のキメ細かさ、皮脂量、色素、ニキビ、シミ等の診断が行われ(【0043】~【0045】)、診断データや診断データに基づく処方データが端末Tに返信されたり(【0054】【0055】)、病院Yや美容用品販売店Bに渡されて、ダイレクトメールサービスや適切な化粧品や薬の発送などを行うことができる(【0056】~【0058】)、システムの発明
が記載されている。
(2)引用文献B(特開2001-104050号公報)
上記2の引用文献2と同じである。
(3)引用文献C(特開2004-237048号公報)
引用文献Cには、
撮影された肌画像による肌診断カウンセリングにあたって、肌質判定結果、スキンケアアドバイス、推奨化粧品リストなどを端末画面上に表示すること(【0047】~【0053】)
が記載されている。
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 引用発明1は、「肌状態をチェックするクラウドサービス」である「肌メモリ」であり、「肌メモリ」のクラウドサービスを構成するシステムは、本願発明1と同様の「肌状態ケアシステム」であるといえる。
イ 引用発明1の「スマートフォン」は、本願発明1の「ユーザークライアント」に相当する。
また、引用発明1の「スマートフォン」がネットワークを介してデータの送受信を行う送受信手段を有することは自明な事項であり、クラウドサービスが複数の「スマートフォン」で利用可能なことも自明である。
また、引用発明1の「スマートフォンのカメラ」は、肌画像を撮影するものであるから、引用発明1の肌画像を撮影する「スマートフォンのカメラ」は、本願発明1の「ユーザーの肌を撮影するカメラ」に相当する。
よって、引用発明1が、カメラを備えたスマートフォンであって、ネットワークを介してデータの送受信を行う送受信手段を有する、複数のスマートフォンを有することは、本願発明1の「ユーザーの肌を撮影するカメラと、ネットワークを介してデータの送受信を行う送受信手段と、を備えた複数のユーザークライアントを備え」ることに相当する。
ウ 引用発明1の「スマートフォンのカメラ」で「撮影した肌画像をクラウド基盤に送り、クラウド基盤より肌画像の解析結果が送信され」、「解析結果をシミ・毛穴・色の肌状態の測定結果として表示する手段」は、本願発明1の「前記カメラにより撮影された前記ユーザーの肌の画像データを分析することにより得られる分析結果データを表示する表示手段」に相当する。
エ 上記ア~ウによれば、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
ユーザーの肌を撮影するカメラと、ネットワークを介してデータの送受信を行う送受信手段と、を備えた複数のユーザークライアントを備え、
前記ユーザークライアントは、
前記カメラにより撮影された前記ユーザーの肌の画像データを分析することにより得られる分析結果データを表示する表示手段と、
を備える、
肌状態ケアシステム。」
(相違点)
(相違点1)
本願発明1は、「前記ユーザーが使用する化粧品を特定可能にする化粧品特定情報を入力可能とする化粧品特定情報入力手段」を備え、「前記化粧品特定情報入力手段は、前記カメラによるバーコードの読み取りに基づく前記化粧品特定情報の入力と、キーワード入力による前記化粧品特定情報の入力とが可能であ」るのに対し、引用発明は、化粧品特定情報入力手段を備えていない点。
(相違点2)
本願発明1は、「購入促進手段」を備え、「前記購入促進手段は、前記化粧品特定情報の入力に基づいて登録される前記ユーザーが使用する化粧品に紐づけて登録される化粧品の使用開始日を起算とした化粧品の残量予測に基づいて、化粧品の購入を促す表示を前記表示手段に表示させる」のに対し、引用発明は、購入促進手段を備えていない点。
(2)相違点の判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
引用発明は「蓄積された肌データ」と「これまで使用してきた化粧品や現在使用中の化粧品」の情報に基づいて「化粧品に関するアドバイス」を表示するものであって、入力される過去に使用した化粧品や現在使用中の化粧品の情報は、肌データとともに顧客へのアドバイスのために用いられるものとなっている。
このことを踏まえれば、引用発明において、「化粧品の情報」を肌データとともに用いるのではなく「使用開始日を起算とした化粧品の残量予測」に基づく「化粧品の購入を促す表示」のために用いることは、動機づけられるとはいえない。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2について
本願発明2も、上記1の相違点2に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び引用発明3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明3について
本願発明3は、本願発明1に対応する方法の発明であり、上記1の相違点2に係る本願発明1の構成に相当する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び引用発明3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 原査定の理由の概要及び原査定についての判断
原査定は、令和3年8月4日に提出された手続補正書による補正後の請求項1-6について、上記「第4」の「4」に示した引用文献A~Cを引用して、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨を理由とするものである。
そして、引用文献A~Cは、いずれも、第5の1(1)で示した相違点に係る本願発明1~3の発明特定事項に相当する技術的事項を開示するものでないから、原査定を維持することはできない。
第7 当審拒絶理由について
1 進歩性について
上記第5のとおり、本願発明1~本願発明3は、いずれも、当審拒絶理由において引用した引用文献1~3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 明確性要件について
令和4年12月13日提出の手続補正書による補正前の請求項1、3、5に対応する補正後の請求項1、2、3の記載は、上記第2に示すとおりであり、補正後の請求項1~3には「肌状態測定装置」の記載がなく、矛盾する内容を含まない記載となっている。
よって、明確性要件違反を指摘する当審拒絶理由は、同補正により解消している。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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