2022-005114
ファイル一括処理方法
- 審判番号
- 2022-005114
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-141929外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月06日
- 審決日
- 2022年09月27日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】エヌエイチエヌ ドゥレイ コーポレーション
- 【請求人代理人】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 20項目
理 由
第1 手続の経緯
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本願は、平成27年8月27日(パリ条約による優先権主張2014年8月29日、韓国)に出願した特願2015-168253号の一部を令和元年8月1日に新たな特許出願としたものであって、令和2年9月15日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年12月23日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年3月29日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年7月5日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年12月3日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和4年4月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年12月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1、2、5に係る発明は、以下の引用文献1-3、6、7に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項3に係る発明は、以下の引用文献1-4、6、7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1-3、5-7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.国際公開第2013/131473号
2.特開2012-084137号公報
3.国際公開第2014/058682号
4.国際公開第2013/122355号
5.特開2011-107823号公報
6.特開2012-089115号公報(周知技術を示す文献)
7.特開2010-097326号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和4年4月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】タッチ入力が可能な表示装置を具備するデジタルデバイスによって遂行され、各ファイルの内容が第1方向に沿って表示され、複数のファイルが前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列された複数のファイルのうち少なくとも2つ以上を選択して任意の行為命令を処理するファイル一括処理方法において、前記ファイルのうちいずれか一つのファイル上で、前記第1方向に基準距離以上移動するタッチ入力を通じて前記いずれか一つのファイルを決定し、前記いずれか一つのファイルを基点とする前記第2方向へのタッチ入力を通じて、前記ファイルのうち前記第2方向へのタッチ入力によってクロスされる少なくとも一つのファイルを選択し、続きを表示(全13行)前記いずれか一つのファイルを含む前記選択された少なくとも一つのファイルを一括処理するための実行命令を選択及び処理することを含み、前記第2方向へのタッチ入力は、前記いずれか一つのファイル上でのタッチ入力に連続して遂行され、前記実行命令を選択及び処理することは、少なくとも一つの行為メニューを含む実行メニューを表示し、前記実行メニューのうちいずれか一つの行為メニューへのタッチ入力を通じて、前記いずれか一つの行為メニューに対応する行為命令を前記実行命令として選択し、前記実行命令として選択された行為命令を処理することを含み、前記実行メニューを表示することは、前記第2方向へのタッチ入力が終了したとき、前記実行メニューを表示することを特徴とするファイル一括処理方法。」
また、本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
ア 「[図:0001389321000001.jpg]」
[当審訳]
「背景技術現在、タッチスクリーンが、携帯電話やタブレット等の端末製品において広く適用されている。ユーザが、端末装置のディスプレイインターフェースにおける複数の表示項目の操作を行う必要がある場合、通常、二つの方法が存在する。一つの方法は、必要な全ての項目が選択されるまで、タッチスクリーンを使用することにより、複数の表示項目を一つずつ選択することである;そして、もう一つの方法は、装置が全てを選択する操作を提供する場合に、全ての項目を直接選択することである。例えば、携帯電話において、ショートメッセージを複数の連絡先にグループ送信する必要がある場合、ユーザにより要求される連絡先のグループが選択されるまで、連絡先を1つずつ選択するか、或いは全ての連絡先を直接選択する必要がある。前述の技術的解決手段を実行する処理において、発明者は、先行技術において、少なくとも以下の問題が存在することを見出した。ユーザが複数の表示項目を一つずつ選択することは、時間がかかり、かつ動作速度向上の及びユーザの操作性の向上に不利であり;そしてユーザが全ての連絡先を選択する必要がない場合には、全ての連絡先を直接選択する操作方法は、全く適用できない。」
イ 「[図:0001389321000002.jpg]」
[当審訳]
「発明の概要本発明の複数の実施例は、表示された表示項目のうちのいくつかの項目に対する自由選択及びバッチ操作を実行可能な、タッチスクリーン操作方法及び端末を提供し、これによりユーザの操作速度を向上させる。」
ウ 「[図:0001389321000003.jpg]」
[当審訳]
「例えば、図2に示されるように、タッチスクリーンにより現在の表示項目は、連絡先のリストであり、そして、この場合において、ユーザは、特定の操作を用いることにより、選択モードを開始することができる。ここで、当該特定の操作は、機能メニューを用いること又は特定のキーを用いることによる選択であってもよく、当該キーは仮想キー又は物理的キーであってもよい。選択モードに入った後、ユーザは、タッチスクリーン上でのスライド又はタッチスクリーンのタッピング等により、現在表示されている連絡先のリストの表示項目を選択してもよく、かつユーザの操作に従って、端末は事前設定操作、つまり、操作のトラックに沿った全ての連絡先についての選択操作又は選択解除操作を実行する。事前設定操作が選択操作である場合、表示効果は、図3に示されるようになる。選択ボックスは、必ずしも連絡先のリスト内である必要はなく、かつ端末は、他の方法を用いて選択された情報のダイアログをユーザに表示してもよい。図2及び図3の双方は、本発明の実施例の例示的な実施方法を示す。」
エ 「[図:0001389321000004.jpg]」
[当審訳]
「実施例2本発明の実施例は、図4に示されるように、以下のステップを含むタッチスクリーン操作方法を提供する。401:現在タッチスクリーンにより表示されているコンテンツが表示項目である場合に、ユーザの第1の操作を受信する。表示項目は、現在のインターフェースに表示されるデータ情報であり、かつ端末に記憶される複数のデータ項目に対応してもよい。図2に示されるように、表示項目は、端末の連絡先リストにおいて示される情報であり、各情報は、端末に記憶される1つのデータ項目に対応する。」
オ 「[図:0001389321000005.jpg]」
[当審訳]
「402:第1の操作が第1の事前設定操作であるか否かを決定する。ここで、第1の事前設定操作は、選択モードを起動するために用いられる事前設定される操作である。選択モードとは、そのモードにおいて、端末がタッチスクリーン上のユーザの操作を受信した後、現在タッチスクリーンに表示されるコンテンツをスライドすることなく、操作のトラックに沿って、表示項目について端末がバッチ操作を実行することを意味する。第1の事前設定操作、つまり、選択モードを起動するための操作は、機能メニューを用いて選択されてもよく、或いは特定のキーを用いてい起動されてもよく、ここで当該キーは、仮想キー又は物理的なキーであってもよい。機能メニューを用いる場合、選択モードを起動するために、タッチスクリーンは、特定の操作インターフェースの下で長時間タッチされるか、又は選択モードに入るために、メニューキーを用いることにより、選択メニューが操作される。本発明の実施例は、それに対して如何なる限定も設定しない。また、選択モードが起動される場合、フォント又はディスプレイの地色を変更すること、又はフローティングフォント(floating font)を用いる等の方法を用いることにより、選択モードが起動されたことについてのダイアログがユーザに対して表示されてもよい。」
カ 「[図:0001389321000006.jpg]」
[当審訳]
「403:第1の操作が選択モードを起動するための第1の事前設定操作である場合、タッチスクリーンの選択モードを起動する。404:ユーザの第2の操作を受信し、第2の操作のトラックに沿って、表示項目に対する第2の事前設定操作を実行する。オプションとして、第2の操作は、タップ選択操作又はスライド操作であってもよく;かつスライド操作に関して、スライディングトラックは連続又は不連続であってもよく、かつ任意の形状のトラックであってもよい。第2の事前設定操作は、表示項目に対して実行される、選択操作又は選択解除操作である。」
キ 「[図:0001389321000007.jpg][図:0001389321000008.jpg]」
[当審訳]
「405:ユーザの第3の操作を受信する。406:第3の操作が、選択モードを無効にするための第3の事前設定操作である場合、タッチスクリーンの選択モードを無効にする。第3の事前設定操作は、事前設定されており、かつ選択モードを無効にするために使用される。第3の事前設定操作は、機能メニューを用いて選択されてもよく、或いは特定のキーを用いて起動されてもよく、ここで当該キーは仮想キー又は物理的なキーであってもよい。機能メニューを用いる場合、選択モードを無効にするために、タッチスクリーンは、特定の操作インターフェースの下で長時間タッチされるか、又は選択モードを無効にするために、メニューキーを用いることにより、選択メニューが操作される。本発明の実施例は、これについて、如何なる限定も設定しない。」
ク 「[図:0001389321000009.jpg]」
[当審訳]
「また、オプションとして、第3の事前設定操作は、選択モードが無効にされた場合に、アプリケーションを直接開始するために用いられてもよい。例えば、ユーザが情報送信インターフェースにおける複数の連絡先を選択した後、メニューを用いることにより、「送信」アプリケーションが直接開始されてもよく;かつユーザがアプリケーションを起動した後、端末は選択モードを無効にし、かつ現在の情報を送信する。本発明の実施例は、これについて、如何なる限定も設定しない。本発明の実施例により提供される端末複数選択操作方法によると、ユーザの操作に従って、タッチスクリーンの選択モードが起動され、当該選択モード下において、ユーザは、バッチで、選択される必要のある表示項目についての事前設定操作を実行し、これにより、表示項目についてのユーザによる一つずつの操作を回避し、表示項目のいくつかの入力についての自由選択及びバッチ操作を実行し、かつユーザによる操作時間の消費を低減することができる。一方で、本発明の実施例2により提供されるオプションの解決策によると、ユーザのスライド操作が選択領域の端に達した場合に、既に実行された操作が記憶されるという条件の下で、表示されたコンテンツを読み取ることができる、ということを実現することが可能であり、これにより、より良く実用化を促進することができる。」
ケ 「[図:0001389321000010.jpg]」
[当審訳]
「本発明の複数の実施例は、連絡先のリストを例として説明されたが、実際的なシナリオは、これに限定されず、オーディオリスト、ショートメッセージリスト及び写真リスト等の他の複数の場合もあり得る。また、本発明の複数の実施例における端末は、携帯電話、インテリジェント携帯電話及びナビゲータ等の、タッチスクリーンを有する電子装置であってもよい。」
「【図2】[図:0001389321000011.jpg]」
「【図3】[図:0001389321000012.jpg]」
「【図4】[図:0001389321000013.jpg]」
ここで,引用文献1に記載されている事項について検討する。
上記ウの「図2に示されるように、タッチスクリーンにより現在の表示項目は、連絡先のリストであり」との記載、上記エの「図2に示されるように、表示項目は、端末の連絡先リストにおいて示される情報であり、各情報は、端末に記憶される1つのデータ項目に対応する」との記載、上記【図2】及び上記【図3】の記載から、引用文献1には,「端末に記憶される1つのデータ項目に対応する連絡先の情報が横方向に沿って表示され、複数の連絡先が縦方向に沿って配列された連絡先のリストが表示されること」が記載されていると認められる。
したがって、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「選択モードとは、そのモードにおいて、端末がタッチスクリーン上のユーザの操作を受信した後、現在タッチスクリーンに表示されるコンテンツをスライドすることなく、操作のトラックに沿って、表示項目について端末がバッチ操作を実行することを意味し、選択モードを起動するために、タッチスクリーンは、特定の操作インターフェースの下で長時間タッチされ、ユーザの第2の操作を受信し、第2の操作のトラックに沿って、表示項目に対する第2の事前設定操作を実行し、第2の操作は、タップ選択操作又はスライド操作であってもよく;かつスライド操作に関して、スライディングトラックは連続又は不連続であってもよく、かつ任意の形状のトラックであってもよく、選択モードを無効にするために、タッチスクリーンは、特定の操作インターフェースの下で長時間タッチされ、ユーザが情報送信インターフェースにおける複数の連絡先を選択した後、メニューを用いることにより、「送信」アプリケーションが直接開始されてもよく、端末は、タッチスクリーンを有する電子装置であってもよく、端末に記憶される1つのデータ項目に対応する連絡先の情報が横方向に沿って表示され、複数の連絡先が縦方向に沿って配列された連絡先のリストが表示されることを特徴とする端末複数選択操作方法。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0023】例えば、利用者が、複数のアイコンが選択状態となったまま摺動操作を行った場合、選択状態となっているアイコンを一括して移動することとしてもよい。また、携帯電話端末1がマルチタスクに対応している場合、利用者が指をリリースすることで、選択状態となっているアイコンに対応する機能を一括して起動させることとしてもよい。また、利用者が指をリリースした際にメニューを表示して、選択状態となっているアイコンに対して移動、転記、削除、対応する機能の起動等の処理のうちどの処理を一括して行うかを利用者に選択させてもよい。」
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「[0033] Display 510 shows an initial selection of content (e.g. item "15"). In the current example, the user has selected item 15. As a result of the selection, a UI handle element 514 is displayed near the corner of the selected content. In the current example, selected content 15 is not shown differently from non-selected content except for the display of UI handle element 514.[0034] Display 520 shows the user dragging UI handle element 514 across the content. UI handle element 516 is displayed in response to a determination that the user is changing the selection of content. The user may use handle element 514 and/or handle element 516 to adjust a size of the currently selected content within the table.」
[当審訳]
「[0033] 表示510は、コンテンツ(例えばアイテム「15」)の最初の選択を示す。この例では、ユーザはアイテム15を選択している。この選択の結果、UIハンドル要素514が、選択されたコンテンツのコーナの近くに表示される。この例では、選択されたコンテンツ15は、UIハンドル要素514が表示されることを除いては、選択されていないコンテンツと異なるようには提示されない。[0034] 表示520は、ユーザが、コンテンツを横断するようにUIハンドル要素514をドラッグするのを示す。ユーザがコンテンツの選択を変更しつつあると決定されるのに応答して、UIハンドル要素516が表示される。ユーザは、ハンドル要素514および/またはハンドル要素516を使用して、テーブル内の現在選択されているコンテンツのサイズを調整することができる。」
「【図5】[図:0001389321000014.jpg]」
4 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0032】多重選択モード信号は、表示された項目のうち、不特定の項目の長押し、即ち不特定項目がタッチされ、タッチされた時間が臨界値以上であれば発生し得る。次に、多重選択モードに転換された状態で、連続したタッチによる移動又は新たなタッチによる移動を行うと、該当項目を選択することができる。また、多重選択モード信号は、表示された項目のうち、不特定の項目を長押し、即ちいずれか一つの項目でマウスカーソルが臨界値時間以上押されると発生し得る。次に、多重選択モードに転換された状態で連続してドラッグを行うと、該当項目を選択することができる。」
「【0077】図10を参照すると、項目が表示される。次に、項目のうち、不特定項目(ここでは項目5)で多重選択信号が発生すると、多重選択モードが実行される。多重選択信号は、臨界値時間以上不特定項目をタッチすることで発生し得る。多重選択モードにおいて、タッチに続いて連続したタッチによる移動があれば、タッチによる移動の経路にある項目が選択表示される。」
「【図10】[図:0001389321000015.jpg]」
5 引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0090】ドラッグ開始モード(状態ST1)において、ユーザによるタッチ操作(検出される座標の履歴)について、「長押し」であると判断され、かつ「短押し」であると判断されなかった場合に、ドラッグドキュメントモード(状態ST2)へ遷移する。ドラッグドキュメントモード(状態ST2)では、ユーザのタッチ操作によって生じる座標の変化に対応して、表示されているコンテンツのスクロールとは異なる、コンテンツの状態が変化する処理、例えばテキストの選択やオブジェクトの移動などが実行される。また、JavaScript(登録商標)などの各種アプリケーションがブラウザソフト上で実行されている場合、ドラッグドキュメントモードでは、ユーザのタッチ操作に応じて検出される座標は、JavaScript(登録商標)などの各種アプリケーションに送られ、当該各種アプリケーションは送られた座標を用いて動作する。このドラッグドキュメントモード(状態ST2)は、ユーザが1回のタッチ操作を終了した場合、すなわち座標が非検出の状態になったことを条件に、ドラッグ開始モード(状態ST1)にモード遷移する。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「タッチスクリーン」は、本願発明1の「タッチ入力が可能な表示装置」に相当する。また、引用発明の「電子装置」は、本願発明1の「デジタルデバイス」に相当する。したがって、引用発明の「タッチスクリーンを有する電子装置」は、本願発明1の「タッチ入力が可能な表示装置を具備するデジタルデバイス」に相当する。そして、引用発明において、「端末は、タッチスクリーンを有する電子装置であってもよいこと」から、引用発明の「端末」も、本願発明1の「タッチ入力が可能な表示装置を具備するデジタルデバイス」に相当するといえる。
イ 「ファイル」とは、通常、コンピュータにおいて、記憶装置に記憶されるデータの管理単位の一つであるから、引用発明における端末に記憶される1つのデータ項目に対応する「連絡先」は、本願発明1の「ファイル」に相当する。また、引用発明の「連絡先の情報」は、連絡先の内容ともいえるから、本願発明1の「ファイルの内容」に相当する。
ウ 引用発明の「横方向」は、本願発明1の「第1方向」に相当する。また、引用発明の「縦方向」は、横方向と交差していることは明らかであるから、本願発明1の「第1方向と交差する第2方向」に相当する。
エ 引用発明の「「送信」アプリケーションが直接開始され」ることは、送信という任意の行為を行う命令を処理することといえるから、本願発明1の「任意の行為命令を処理する」に相当するといえる。そうすると、引用発明の「ユーザが情報送信インターフェースにおける複数の連絡先を選択した後、メニューを用いることにより、「送信」アプリケーションが直接開始され」ることは、本願発明1の「複数のファイルのうち少なくとも2つ以上を選択して任意の行為命令を処理する」ことに相当する。
オ 引用発明の「バッチ操作を実行する」ことは、本願発明1の「一括処理」に相当する。また、引用発明において、表示項目は連絡先であり、上記エを踏まえると、引用発明の「表示項目について端末がバッチ操作を実行すること」は、本願発明1の「ファイル一括処理」に相当する。したがって、引用発明の「表示項目について端末がバッチ操作を実行する」「端末複数選択操作方法」は、本願発明1の「ファイル一括処理方法」に相当する。
カ 引用発明において、「端末複数選択操作方法」は「端末」によって遂行されていることは明らかである。
キ 上記ア乃至カを踏まえると、両者は、「タッチ入力が可能な表示装置を具備するデジタルデバイスによって遂行され、各ファイルの内容が第1方向に沿って表示され、複数のファイルが前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列された複数のファイルのうち少なくとも2つ以上を選択して任意の行為命令を処理するファイル一括処理方法」である点で一致する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「タッチ入力が可能な表示装置を具備するデジタルデバイスによって遂行され、各ファイルの内容が第1方向に沿って表示され、複数のファイルが前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列された複数のファイルのうち少なくとも2つ以上を選択して任意の行為命令を処理するファイル一括処理方法。」
(相違点1)
本願発明1では「前記ファイルのうちいずれか一つのファイル上で、前記第1方向に基準距離以上移動するタッチ入力を通じて前記いずれか一つのファイルを決定し、前記いずれか一つのファイルを基点とする前記第2方向へのタッチ入力を通じて、前記ファイルのうち前記第2方向へのタッチ入力によってクロスされる少なくとも一つのファイルを選択し」、「前記第2方向へのタッチ入力は、前記いずれか一つのファイル上でのタッチ入力に連続して遂行され」る構成を含むのに対し、引用発明では、タップ選択操作又はスライド操作で連絡先を選択してはいるが、第1方向に基準距離以上移動するタッチ入力を通じて前記いずれか一つのファイルを決定し、前記いずれか一つのファイルを基点とする前記第2方向へのタッチ入力を通じて、前記ファイルのうち前記第2方向へのタッチ入力によってクロスされる少なくとも一つのファイルを選択し、前記第2方向へのタッチ入力は、前記いずれか一つのファイル上でのタッチ入力に連続して遂行されることについて特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1では「前記いずれか一つのファイルを含む前記選択された少なくとも一つのファイルを一括処理するための実行命令を選択及び処理することを含み」、「前記実行命令を選択及び処理することは、少なくとも一つの行為メニューを含む実行メニューを表示し、前記実行メニューのうちいずれか一つの行為メニューへのタッチ入力を通じて、前記いずれか一つの行為メニューに対応する行為命令を前記実行命令として選択し、前記実行命令として選択された行為命令を処理することを含み、前記実行メニューを表示することは、前記第2方向へのタッチ入力が終了したとき、前記実行メニューを表示する」構成を含むのに対し、引用発明では、複数の連絡先を選択した後、メニューを用いることにより、「送信」アプリケーションが直接開始されてはいるが、行為メニュー及び実行メニューの表示並びに行為命令及び実行命令の選択について特定されていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「前記ファイルのうちいずれか一つのファイル上で、前記第1方向に基準距離以上移動するタッチ入力を通じて前記いずれか一つのファイルを決定し、前記いずれか一つのファイルを基点とする前記第2方向へのタッチ入力を通じて、前記ファイルのうち前記第2方向へのタッチ入力によってクロスされる少なくとも一つのファイルを選択し」、「前記第2方向へのタッチ入力は、前記いずれか一つのファイル上でのタッチ入力に連続して遂行され」る構成は、引用文献2-7に記載されたものではなく、周知技術であるともいえないから、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-7に記載された技術的事項から、相違点1に係る本願発明1の「前記ファイルのうちいずれか一つのファイル上で、前記第1方向に基準距離以上移動するタッチ入力を通じて前記いずれか一つのファイルを決定し、前記いずれか一つのファイルを基点とする前記第2方向へのタッチ入力を通じて、前記ファイルのうち前記第2方向へのタッチ入力によってクロスされる少なくとも一つのファイルを選択し」、「前記第2方向へのタッチ入力は、前記いずれか一つのファイル上でのタッチ入力に連続して遂行され」る構成を容易に想到することはできない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2-5について
本願発明2-5も、本願発明1の「前記ファイルのうちいずれか一つのファイル上で、前記第1方向に基準距離以上移動するタッチ入力を通じて前記いずれか一つのファイルを決定し、前記いずれか一つのファイルを基点とする前記第2方向へのタッチ入力を通じて、前記ファイルのうち前記第2方向へのタッチ入力によってクロスされる少なくとも一つのファイルを選択し」、「前記第2方向へのタッチ入力は、前記いずれか一つのファイル上でのタッチ入力に連続して遂行され」る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-5は、当業者が引用発明及び引用文献2-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-005114