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特許拒絶査定不服審判

2022-005098

オーディオ信号の高周波再構成技術の後方互換性のある統合

審判番号
2022-005098
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-544033外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月06日
審決日
2023年07月10日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G10L) / P18 .575-Z (G10L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-544033「オーディオ信号の高周波再構成技術の後方互換性のある統合」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月 1日国際公開、WO2019/148112、令和 3年 2月22日国内公表、特表2021-507316〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(平成31)年1月28日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2018年1月26日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 令和2年12月 3日付け:拒絶理由通知書 令和3年 4月20日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 7月 5日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書 令和3年 9月30日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年12月 1日付け:令和3年9月30日の手続補正についての 補正の却下の決定、拒絶査定 令和4年 4月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和4年4月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年4月6日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 令和4年4月6日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、令和3年4月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~15を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1~13に補正するものであり、本件補正は、本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1とする補正事項を含むものである。 なお、下線は補正箇所を示す。 〔本件補正前の請求項1〕 オーディオ信号の高周波再構成を実行する方法であって: エンコードされたオーディオ・ビットストリームを受信するステップであって、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームは前記オーディオ信号のローバンド部分を表すオーディオ・データと高周波再構成メタデータとを含む、ステップ; デコードされたローバンド・オーディオ信号を生成するために前記オーディオ・データをデコードするステップ; 前記高周波再構成メタデータを前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームから抽出するステップであって、前記高周波再構成メタデータは高周波再構成プロセスの動作パラメータを含み、前記動作パラメータは前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの後方互換性のある拡張コンテナ内に位置するパッチ処理モード・パラメータを含み、第1値の前記パッチ処理モード・パラメータはスペクトル変換を示し、第2値の前記パッチ処理モード・パラメータは位相ボコーダ周波数拡散によるハーモニック・トランスポジションを示す、ステップ; フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号を生成するために、前記デコードされたローバンド・オーディオ信号をフィルタリングするステップ; 前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号及び前記高周波再構成メタデータを利用して前記オーディオ信号のハイバンド部分を再生成するステップであって、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第1値である場合にはスペクトル変換を含み、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値である場合には位相ボコーダ周波数拡散によるハーモニック・トランスポジションを含む、ステップ;及び 広帯域オーディオ信号を形成するために、前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号と前記再生成されたハイバンド部分とを合成するステップ; を含み、QMFベースのハーモニック・トランスポジションを行う場合に、時間ドメインの帯域幅拡張はQMFドメイン内で完全に実行され、全QMFサブバンドに対してデシメーションの後に時間伸張を実行する方法。 〔本件補正後の請求項1〕 オーディオ信号の高周波再構成を実行する方法であって: エンコードされたオーディオ・ビットストリームを受信するステップであって、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームは前記オーディオ信号のローバンド部分を表すオーディオ・データと高周波再構成メタデータとを含む、ステップ; デコードされたローバンド・オーディオ信号を生成するために前記オーディオ・データをデコードするステップ; 前記高周波再構成メタデータを前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームから抽出するステップであって、前記高周波再構成メタデータは高周波再構成プロセスの動作パラメータを含み、前記動作パラメータは前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの後方互換性のある拡張コンテナ内に位置するパッチ処理モード・パラメータを含み、第1値の前記パッチ処理モード・パラメータはスペクトル変換を示し、第2値の前記パッチ処理モード・パラメータは位相ボコーダ周波数拡散によるハーモニック・トランスポジションを示す、ステップ; フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号を生成するために、前記デコードされたローバンド・オーディオ信号をフィルタリングするステップ; 前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号及び前記高周波再構成メタデータを利用して前記オーディオ信号のハイバンド部分を再生成するステップであって、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第1値である場合にはスペクトル変換を含み、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値である場合には位相ボコーダ周波数拡散によるハーモニック・トランスポジションを含む、ステップ;及び 広帯域オーディオ信号を形成するために、前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号と前記再生成されたハイバンド部分とを合成するステップ; を含み、QMFベースのハーモニック・トランスポジションを行う場合に、時間ドメインの帯域幅拡張はQMFドメイン内で完全に実行され、全QMFサブバンドに対してデシメーションの後に時間伸張を実行し、 前記後方互換性のある拡張コンテナは、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべきインバース・フィルタリング制御データと、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべき欠落高調波制御データとを更に含む、方法。 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「エンコードされたオーディオ・ビットストリームの後方互換性のある拡張コンテナ」について、上記のとおり限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1の本件補正後の請求項1に記載の次のとおりのものである。 なお、記号(A)~(I)は分説するために当審が付したものであり、以下、各記号が付されたものを「構成A」~「構成I」という。 〔本件補正発明〕 (A) オーディオ信号の高周波再構成を実行する方法であって: (B) エンコードされたオーディオ・ビットストリームを受信するステップであって、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームは前記オーディオ信号のローバンド部分を表すオーディオ・データと高周波再構成メタデータとを含む、ステップ; (C) デコードされたローバンド・オーディオ信号を生成するために前記オーディオ・データをデコードするステップ; (D) 前記高周波再構成メタデータを前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームから抽出するステップであって、前記高周波再構成メタデータは高周波再構成プロセスの動作パラメータを含み、前記動作パラメータは前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの後方互換性のある拡張コンテナ内に位置するパッチ処理モード・パラメータを含み、第1値の前記パッチ処理モード・パラメータはスペクトル変換を示し、第2値の前記パッチ処理モード・パラメータは位相ボコーダ周波数拡散によるハーモニック・トランスポジションを示す、ステップ; (E) フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号を生成するために、前記デコードされたローバンド・オーディオ信号をフィルタリングするステップ; (F) 前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号及び前記高周波再構成メタデータを利用して前記オーディオ信号のハイバンド部分を再生成するステップであって、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第1値である場合にはスペクトル変換を含み、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値である場合には位相ボコーダ周波数拡散によるハーモニック・トランスポジションを含む、ステップ;及び (G) 広帯域オーディオ信号を形成するために、前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号と前記再生成されたハイバンド部分とを合成するステップ; を含み、 (H)QMFベースのハーモニック・トランスポジションを行う場合に、時間ドメインの帯域幅拡張はQMFドメイン内で完全に実行され、全QMFサブバンドに対してデシメーションの後に時間伸張を実行し、 (I) 前記後方互換性のある拡張コンテナは、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべきインバース・フィルタリング制御データと、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべき欠落高調波制御データとを更に含む、 (A)方法。 (2)引用発明 (2-1)引用文献1 ア 記載事項 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2018/0025737号明細書(公開日:2018年1月25日)には、図面とともに次の記載がある。 なお、各記載の末尾に、本文献に対応する日本語文献である特表2018-508831号公報に基づく仮訳を付した。また、下線は強調のために当審が付した。 「[0008] A second class of embodiments relates to methods for decoding an encoded audio bitstream. The method includes receiving at least one block of an encoded audio bitstream, demultiplexing at least some portions of the at least one block of the encoded audio bitstream, and decoding at least some portions of the at least one block of the encoded audio bitstream. The at least one block of the encoded audio bitstream includes a fill element with an identifier indicating a start of the fill element and fill data after the identifier. The fill data includes at least one flag identifying whether enhanced spectral band replication (eSBR) processing is to be performed on audio content of the at least one block of the encoded audio bitstream.」 (仮訳: [0008]第二のクラスの実施形態は、エンコードされたオーディオ・ビットストリームをデコードするための方法に関する。本方法は、エンコードされたオーディオ・ビットストリームの少なくとも一つのブロックを受領し、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの前記少なくとも一つのブロックの少なくともいくつかの部分を多重分離し、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの前記少なくとも一つのブロックの少なくともいくつかの部分をデコードすることを含む。前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの前記少なくとも一つのブロックは、充填要素(fill element)を含む。充填要素は、該充填要素の先頭を示す識別子と、該識別子後の充填データとをもつ。充填データは、そのエンコードされたオーディオ・ビットストリームの前記少なくとも一つのブロックのオーディオ・コンテンツに対して向上スペクトル帯域複製(eSBR: enhanced spectral band replication)処理が実行されるべきかどうかを同定する少なくとも一つのフラグを含む。) 「[0030] A USAC bitstream may include both SBR metadata and eSBR metadata. More specifically, a USAC bitstream may include eSBR metadata which controls the performance of eSBR processing by a decoder, and SBR metadata which controls the performance of SBR processing by the decoder. In accordance with typical embodiments of the present invention, eSBR metadata (e.g., eSBR-specific configuration data) is included (in accordance with the present invention) in an MPEG-4 AAC bitstream (e.g., in the sbr_extension( ) container at the end of an SBR payload). [0031] Performance of eSBR processing, during decoding of an encoded bitstream using an eSBR tool set (comprising at least one eSBR tool), by a decoder regenerates the high frequency band of the audio signal, based on replication of sequences of harmonics which were truncated during encoding. Such eSBR processing typically adjusts the spectral envelope of the generated high frequency band and applies inverse filtering, and adds noise and sinusoidal components in order to recreate the spectral characteristics of the original audio signal.」 (仮訳: [0030]USACビットストリームは、SBRメタデータ及びeSBRメタデータ両方を含んでいてもよい。より具体的には、USACビットストリームは、デコーダによるeSBR処理の実行を制御するeSBRメタデータ及びデコーダによるSBR処理の実行を制御するSBRメタデータを含んでいてもよい。本発明の典型的な実施形態によれば、eSBRメタデータ(例えばeSBR固有の構成設定データ)が(本発明に従って)(例えばSBRペイロードの末尾のsbr_extension()コンテナにおいて)MPEG-4 AACビットストリームに含められる。 [0031](少なくとも一つのeSBRツールを含む)eSBRツールセットを用いてエンコードされたビットストリームをデコードする間の、デコーダによるeSBR処理の実行は、エンコードの間に切り捨てられた高調波のシーケンスの複製に基づいてオーディオ信号の高周波数帯域を再生成する。そのようなeSBR処理は典型的には、もとのオーディオ信号のスペクトル特性を再現するために、生成された高周波数帯域のスペクトル包絡を調整し、逆フィルタリングを適用し、ノイズ及び正弦波成分を加える。) 「[0043] FIG. 3 is a block diagram of a system including decoder (200) which is an embodiment of the inventive audio processing unit, and optionally also a post-processor (300) coupled thereto. Any of the components or elements of decoder 200 and post-processor 300 may be implemented as one or more processes and/or one or more circuits (e.g., ASICs, FPGAs, or other integrated circuits), in hardware, software, or a combination of hardware and software. Decoder 200 comprises buffer memory 201, bitstream payload deformatter (parser) 205, audio decoding subsystem 202 (sometimes referred to as a “core” decoding stage or “core” decoding subsystem), eSBR processing stage 203, and control bit generation stage 204, connected as shown. Typically also, decoder 200 includes other processing elements (not shown). [0044] Buffer memory (buffer) 201 stores (e.g., in a non-transitory manner) at least one block of an encoded MPEG-4 AAC audio bitstream received by decoder 200. In operation of decoder 200, a sequence of the blocks of the bitstream is asserted from buffer 201 to deformatter 205.」 (仮訳: [0043]図3は、本発明のオーディオ処理ユニットの実施形態であるデコーダ(200)を含み、任意的にはそれに結合された後処理器(300)をも含むシステムのブロック図である。デコーダ200及び後処理器300のコンポーネント又は要素のいずれも、一つ以上のプロセス及び/又は一つ以上の回路(例えばASIC、FPGAまたは他の集積回路)として、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせにおいて、実装されうる。デコーダ200は、図のように接続された、バッファ・メモリ201、ビットストリーム・ペイロード・フォーマット解除器(パーサー)205、オーディオ・デコード・サブシステム202(「コア」デコード段又は「コア」デコード・サブシステムとも称される)、eSBR処理段203及び制御ビット生成段204を有する。典型的には、デコーダ200は、他の処理要素(図示せず)をも含む。 [0044]バッファ・メモリ(バッファ)201は、デコーダ200によって受領されるエンコードされたMPEG-4 AACオーディオ・ビットストリームの少なくとも一つのブロックを(例えば非一時的な手法で)記憶する。デコーダ200の動作において、ビットストリームのブロックのシーケンスがバッファ201からフォーマット解除器205にアサートされる。) 「[0046] With reference again to FIG. 3, deformatter 205 is coupled and configured to demultiplex each block of the bitstream to extract SBR metadata (including quantized envelope data) and eSBR metadata (and typically also other metadata) therefrom, to assert at least the eSBR metadata and the SBR metadata to eSBR processing stage 203, and typically also to assert other extracted metadata to decoding subsystem 202 (and optionally also to control bit generator 204). Deformatter 205 is also coupled and configured to extract audio data from each block of the bitstream, and to assert the extracted audio data to decoding subsystem (decoding stage) 202.」 (仮訳: [0046]再び図3を参照する。フォーマット解除器205は、ビットストリームの各ブロックを多重分離して、それからSBRメタデータ(量子化された包絡データを含む)及びeSBRメタデータを(典型的には他のメタデータも)抽出し、少なくとも前記eSBRメタデータ及び前記SBRメタデータをeSBR処理段203にアサートするとともに、典型的にはさらに他の抽出されたメタデータをデコード・サブシステム202に(任意的には制御ビット生成器204にも)アサートするよう結合されて構成される。フォーマット解除器205は、ビットストリームの各ブロックからオーディオ・データを抽出し、抽出されたオーディオ・データをデコード・サブシステム(デコード段)202にアサートするようにも結合されて構成される。) 「[0048] Audio decoding subsystem 202 of decoder 200 is configured to decode the audio data extracted by parser 205 (such decoding may be referred to as a “core” decoding operation) to generate decoded audio data, and to assert the decoded audio data to eSBR processing stage 203. The decoding is performed in the frequency domain and typically includes inverse quantization followed by spectral processing. Typically, a final stage of processing in subsystem 202 applies a frequency domain-to-time domain transform to the decoded frequency domain audio data, so that the output of subsystem is time domain, decoded audio data. Stage 203 is configured to apply SBR tools and eSBR tools indicated by the eSBR metadata and the eSBR (extracted by parser 205) to the decoded audio data (i.e., to perform SBR and eSBR processing on the output of decoding subsystem 202 using the SBR and eSBR metadata) to generate the fully decoded audio data which is output (e.g., to post-processor 300) from decoder 200. Typically, decoder 200 includes a memory (accessible by subsystem 202 and stage 203) which stores the deformatted audio data and metadata output from deformatter 205, and stage 203 is configured to access the audio data and metadata (including SBR metadata and eSBR metadata) as needed during SBR and eSBR processing. The SBR processing and eSBR processing in stage 203 may be considered to be post-processing on the output of core decoding subsystem 202. Optionally, decoder 200 also includes a final upmixing subsystem (which may apply parametric stereo (“PS”) tools defined in the MPEG-4 AAC standard, using PS metadata extracted by deformatter 205 and/or control bits generated in subsystem 204) which is coupled and configured to perform upmixing on the output of stage 203 to generated fully decoded, upmixed audio which is output from decoder 200. Alternatively, post-processor 300 is configured to perform upmixing on the output of decoder 200 (e.g., using PS metadata extracted by deformatter 205 and/or control bits generated in subsystem 204).」 (仮訳: [0048]デコーダ200のオーディオ・デコード・サブシステム202は、パーサー205によって抽出されたオーディオ・データをデコードして(そのようなデコードは「コア」デコード動作とも称される)、デコードされたオーディオ・データを生成し、デコードされたオーディオ・データをeSBR処理段203にアサートするよう構成される。デコードは周波数領域で実行され、典型的には逆量子化とそれに続くスペクトル処理(spectral processing)を含む。典型的には、サブシステム202における処理の最終段が、デコードされた周波数領域オーディオ・データに周波数領域から時間領域への変換を適用し、そのためサブシステムの出力は時間領域のデコードされたオーディオ・データである。段203は、(パーサー205によって抽出された)SBRメタデータ及びeSBRメタデータによって示されるSBRツール及びeSBRツールを、デコードされたオーディオ・データに適用して(すなわち、SBR及びeSBRメタデータを使ってデコード・サブシステム202の出力に対してSBR及びeSBR処理を実行して)、デコーダ200から(例えば後処理器300に)出力される完全にデコードされたオーディオ・データを生成するよう構成される。典型的には、デコーダ200は、フォーマット解除器205から出力されるフォーマット解除されたオーディオ・データ及びメタデータを記憶するメモリ(サブシステム202及び段203によってアクセス可能)を含み、段203はSBR及びeSBR処理の間に必要に応じてオーディオ・データ及びメタデータ(SBRメタデータ及びeSBRメタデータを含む)にアクセスするよう構成される。段203におけるSBR処理及びeSBR処理は、コア・デコード・サブシステム202の出力に対する後処理であると考えられてもよい。任意的に、デコーダ200は、最終的なアップミックス・サブシステム(これは、フォーマット解除器205によって抽出されたPSメタデータ及び/又はサブシステム204において生成された制御ビットを使って、MPEG-4 AAC規格において定義されているパラメトリック・ステレオ(「PS」)ツールを適用しうる)をも含む。アップミックス・サブシステムは、段203の出力に対してアップミックスを実行して、デコーダ200から出力される、完全にデコードされた、アップミックスされたオーディオを生成するよう結合され、構成される。あるいはまた、後処理器300が(例えばフォーマット解除器205によって抽出されたPSメタデータ及び/又はサブシステム204において生成された制御ビットを使って)デコーダ200の出力に対してアップミックスを実行するよう構成される。」 「[0055] In accordance with some embodiments, eSBR metadata is included (e.g., a small number of control bits which are eSBR metadata are included) in an encoded audio bitstream (e.g., an MPEG-4 AAC bitstream), such that legacy decoders (which are not configured to parse the eSBR metadata, or to use any eSBR tool to which the eSBR metadata pertains) can ignore the eSBR metadata but nevertheless decode the bitstream to the extent possible without use of the eSBR metadata or any eSBR tool to which the eSBR metadata pertains, typically without any significant penalty in decoded audio quality. However, eSBR decoders configured to parse the bitstream to identify the eSBR metadata and to use at least one eSBR tool in response to the eSBR metadata, will enjoy the benefits of using at least one such eSBR tool. Therefore, embodiments of the invention provide a means for efficiently transmitting enhanced spectral band replication (eSBR) control data or metadata in a backward-compatible fashion.」 (仮訳: [0055]いくつかの実施形態によれば、(eSBRメタデータをパースしたりeSBRメタデータが関係する何らかのeSBRツールを使ったりするよう構成されていない)レガシー・デコーダがeSBRメタデータを無視するが、それでもビットストリームをeSBRメタデータやeSBRメタデータが関係する何らかのeSBRツールを使うことなく、典型的にはデコードされたオーディオ品質におけるいかなる有意なペナルティもなしに可能な限りデコードできるように、eSBRメタデータが(例えばeSBRメタデータである少数の制御ビットが)エンコードされたオーディオ・ビットストリーム(例えばMPEG-4 AACビットストリーム)に含められる。しかしながら、ビットストリームをパースしてeSBRメタデータを識別し、該eSBRメタデータに応答して少なくとも一つのeSBRツールを使うよう構成されたeSBRデコーダは、少なくとも一つのそのようなeSBRツールを使うことの恩恵を享受する。したがって、本発明の実施形態は、向上されたスペクトル帯域複製(eSBR)制御データまたはメタデータを、後方互換な仕方で効率的に伝送する手段を提供する。) 「[0063] The parameter “harmonicSBR” indicates the use of harmonic patching (harmonic transposition) for SBR. Specifically, harmonicSBR=0 indicates non-harmonic, spectral patching as described in Section 4.6.18.6.3 of the MPEG-4 AAC standard; and harmonicSBR=1 indicates harmonic SBR patching (of the type used in eSBR, as described Section 7.5.3 or 7.5.4 of the MPEG USAC standard). Harmonic SBR patching is not used in accordance with non-eSBR spectral band replication (i.e., SBR that is not eSBR). Throughout this disclosure, spectral patching is referred to as a base form of spectral band replication, whereas harmonic transposition is referred to as an enhanced form of spectral band replication.」 (仮訳:[0063]パラメータharmonicSBRは、SBRについての高調波パッチング(高調波転換)の使用を示す。具体的には、harmonicSBR=0は、MPEG-4 AAC規格の4.6.18.6.3節に記載される非高調波スペクトル・パッチングを示し;harmonicSBR=1は、(MPEG USAC規格の7.5.3または7.5.4節に記載される、eSBRにおいて使われる型の)高調波SBRパッチングを示す。高調波SBRパッチングは、非eSBRスペクトル帯域複製(すなわち、eSBRでないSBR)によれば使われない。本開示を通じて、スペクトル帯域複製の基本形としてはスペクトル・パッチングといい、スペクトル帯域複製の向上された形としては高調波転換という。) 「[0066] During decoding of an encoded bitstream, performance of harmonic transposition during an eSBR processing stage of the decoding (for each channel, “ch”, of audio content indicated by the bitstream) is controlled by the following eSBR metadata parameters: sbrPatchingMode[ch]: sbrOversamplingFlag[ch]; sbrPitchInBinsFlag[ch]; and sbrPitchInBins[ch]. [0067] The value “sbrPatchingMode[ch]” indicates the transposer type used in eSBR: sbrPatchingMode[ch]=1 indicates non-harmonic patching as described in Section 4.6.18.6.3 of the MPEG-4 AAC standard; sbrPatchingMode[ch]=0 indicates harmonic SBR patching as described in Section 7.5.3 or 7.5.4 of the MPEG USAC standard.」 (仮訳: 「0066]エンコードされたビットストリームのデコードの間、(ビットストリームによって示されるオーディオ・コンテンツの各チャネル「ch」についての)デコードのeSBR処理段の間の高調波転換の実行が、以下のeSBRメタデータ・パラメータによって制御される:sbrPatchingMode[ch];sbrOversamplingFlag[ch];sbrPitchInBinsFlag[ch]及びsbrPitchInBins[ch]。 [0067]sbrPatchingMode[ch]の値は、eSBRにおいて用いられる転換器(transposer)の型を示す。sbrPatchingMode[ch]=1はMPEG-4 AAC規格の4.6.18.6.3節に記載される非高調波パッチングを示し;sbrPatchingMode[ch]=0は、MPEG USAC規格の7.5.3又は7.5.4節に記載される高調波SBRパッチングを示す。) 「[0072] The harmonic transposition of the eSBR tool typically improves the quality of decoded musical signals at relatively low cross over frequencies. Harmonic transposition should be implemented in the decoder by either DFT based or QMF based harmonic transposition. Non-harmonic transposition (that is, legacy spectral patching or copying) typically improves speech signals. Hence, a starting point in the decision as to which type of transposition is preferable for encoding specific audio content is to select the transposition method depending on speech/music detection with harmonic transposition be employed on the musical content and spectral patching on the speech content.」 (仮訳:[0072]eSBRツールの高調波転換は典型的には、比較的低いクロスオーバー周波数におけるデコードされた音楽信号の品質を改善する。高調波転換はデコーダにおいてDFTベースまたはQMFベースの高調波転換によって実装されるべきである。非高調波転換(すなわち、レガシーのスペクトル・パッチングまたはコピー)は典型的には発話信号を改善する。よって、特定のオーディオ・コンテンツをエンコードするためにどの型の転換が好ましいかについての判断における出発点は、発話/音楽検出に依存して転換方法を選択することである。ここで、音楽コンテンツに対しては高調波転換が用いられ、発話コンテンツに対してはスペクトル・パッチングが用いられる。」 イ 引用発明 上記アから、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を示した。また、各構成の符号(a)~(l)は当審が付したものであり、以下「構成a」~「構成l」という。 〔引用発明〕 (a)エンコードされたオーディオ・ビットストリームをデコードするための方法であって、本方法は、エンコードされたオーディオ・ビットストリームの少なくとも一つのブロックを受領し、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの前記少なくとも一つのブロックの少なくともいくつかの部分を多重分離し、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの前記少なくとも一つのブロックの少なくともいくつかの部分をデコードすることを含み、([0008]) (b)デコーダ200は、バッファ・メモリ201、ビットストリーム・ペイロード・フォーマット解除器(パーサー)205、オーディオ・デコード・サブシステム202(「コア」デコード段又は「コア」デコード・サブシステムとも称される)、eSBR処理段203及び制御ビット生成段204を有し、([0043]) (c)バッファ・メモリ201は、デコーダ200によって受領されるエンコードされたMPEG-4 AACオーディオ・ビットストリームの少なくとも一つのブロックを(例えば非一時的な手法で)記憶し、デコーダ200の動作において、ビットストリームのブロックのシーケンスがバッファ201からフォーマット解除器205にアサートされ、([0044]) (d)フォーマット解除器205は、ビットストリームの各ブロックを多重分離して、それからSBRメタデータ及びeSBRメタデータを抽出し、少なくとも前記eSBRメタデータ及び前記SBRメタデータをeSBR処理段203にアサートするとともに、典型的にはさらに他の抽出されたメタデータをデコード・サブシステム202にアサートし、また、当該フォーマット解除器205は、ビットストリームの各ブロックからオーディオ・データを抽出し、抽出されたオーディオ・データをデコード・サブシステム(デコード段)202にアサートし、([0046]) (e)オーディオ・デコード・サブシステム202は、パーサー205によって抽出されたオーディオ・データをデコードして(そのようなデコードは「コア」デコード動作とも称される)、デコードされたオーディオ・データを生成し、デコードされたオーディオ・データをeSBR処理段203にアサートし、([0048]) (f)段203は、(パーサー205によって抽出された)SBRメタデータ及びeSBRメタデータによって示されるSBRツール及びeSBRツールを、デコードされたオーディオ・データに適用して(すなわち、SBR及びeSBRメタデータを使ってデコード・サブシステム202の出力に対してSBR及びeSBR処理を実行して)、デコーダ200から(例えば後処理器300に)出力される完全にデコードされたオーディオ・データを生成し、([0048]) (g)デコーダによるeSBR処理の実行は、エンコードの間に切り捨てられた高調波のシーケンスの複製に基づいてオーディオ信号の高周波数帯域を再生成するものであり、そのようなeSBR処理は典型的には、もとのオーディオ信号のスペクトル特性を再現するために、生成された高周波数帯域のスペクトル包絡を調整し、逆フィルタリングを適用し、ノイズ及び正弦波成分を加えるものであり、([0031]) (h)eSBRメタデータがSBRペイロードの末尾のsbr_extension()コンテナにおいてMPEG-4 AACビットストリームに含められ、([0030]) (i)(eSBRメタデータをパースしたりeSBRメタデータが関係する何らかのeSBRツールを使ったりするよう構成されていない)レガシー・デコーダがeSBRメタデータを無視するが、それでもビットストリームをeSBRメタデータやeSBRメタデータが関係する何らかのeSBRツールを使うことなく、典型的にはデコードされたオーディオ品質におけるいかなる有意なペナルティもなしに可能な限りデコードできるように、eSBRメタデータが(例えばeSBRメタデータである少数の制御ビットが)エンコードされたオーディオ・ビットストリーム(例えばMPEG-4 AACビットストリーム)に含められ、したがって、向上されたスペクトル帯域複製(eSBR)制御データまたはメタデータを、後方互換な仕方で効率的に伝送し、([0055]) (j)エンコードされたビットストリームのデコードの間、(ビットストリームによって示されるオーディオ・コンテンツの各チャネル「ch」についての)デコードのeSBR処理段の間の高調波転換の実行が、sbrPatchingMode[ch]等のeSBRメタデータ・パラメータによって制御され、([0066]) (k)sbrPatchingMode[ch]の値は、eSBRにおいて用いられる転換器の型を示し、sbrPatchingMode[ch]=1はMPEG-4 AAC規格の4.6.18.6.3節に記載される非高調波パッチングを示し、sbrPatchingMode[ch]=0は、MPEG USAC規格の7.5.3又は7.5.4節に記載される高調波SBRパッチングを示し、([0067]) (l)高調波転換はデコーダにおいてQMFベースの高調波転換によって実装される([0072]) (a)方法。 (2-2)引用文献2 原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2013-521538号公報(公表日:2013年6月10日)には、図面とともに次の記載がある。 「【0087】 ブロック2508の場合にすでに概説したように、DFTに基づく高調波転換器またはQMFに基づく高調波転換器を実施形態に適用することができる。どちらのアルゴリズムも位相ボコーダ周波数拡散に依る。コア符号器時間領域信号は、修正された位相ボコーダ構造を用いて帯域幅拡張される。帯域幅拡張は、共通の分析/合成変換段階において幾つかの転換係数(t=2,3,4)を用いて、時間伸長、次に間引き、すなわち、転換によって行われる。転換器の出力信号は、入力信号の2倍のサンプリングレートを有する。すなわち、転換係数が2では、信号は時間伸長されるが間引きされず、入力信号と持続時間は等しいが、サンプリング周波数が2倍の信号を効率的に生成するということである。組み合わされたシステムは、間引き係数がそれぞれ1,1.5,2である2,3,4の転換係数を用いる3つの平行な転換器であると解釈され得る。複雑性を低減させるために、図27の場合に後述するような補間によって係数3および4の転換器(3次および4次転換器)を係数2の転換器(2次転換器)に組み入れる。」 (2-3)引用文献7 原査定の拒絶の理由で引用文献7として引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2015-534112号公報(公表日:2015年11月26日)には、図面とともに次の記載がある。 「【0039】 さらに、タイムストレッチングユニット330は、タイムストレッチングユニット330によって出力されるタイムストレッチされた出力信号335が、位相乗算ブロック310に入力される周波数サブバンド信号305のオリジナルの期間を再び有するように、2のタイムストレッチングファクタによって(例えば、OLAステージによるオーバーラップ加算処理を用いて)、間引かれた周波数サブバンド信号325のタイムストレッチングを実行するように構成されうる。 【0040】 図3の例示的な実施において、デシメータ320およびタイムストレッチングユニット330は、信号処理方向に関して逆の順序に配置されてもよい。これは、図3に両方向矢印311で示される。タイムストレッチングユニット330がデシメータ320の前に設けられている場合、位相乗算された周波数サブバンド信号315は、最初に、タイムストレッチされた信号を得るために時間的にストレッチされ、そして、帯域幅拡張された信号のための間引かれた出力信号を提供するために間引かれる。例えば、位相乗算された周波数サブバンド信号315が、最初に、2のタイムストレッチングファクタによって時間的にストレッチされる場合、タイムストレッチされた信号は、位相乗算された周波数サブバンド信号315の期間の2倍の期間によって特徴付けられる。2の対応する間引きファクタによる後の間引きは、例えば、間引かれた出力信号が、位相乗算ブロック310に入力される周波数サブバンド信号305のオリジナルの期間を再び有し、さらに、拡張された帯域幅を有するということをもたらす。」 (3)本件補正発明と引用発明の対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 ア 構成Aについて 引用発明の「エンコードされたオーディオ・ビットストリームをデコードするための方法」(構成a)は、eSBR処理を実行するもの(構成f)であって、当該eSBR処理は、エンコードの間に切り捨てられた高調波のシーケンスの複製に基づいてオーディオ信号の高周波数帯域を再生成するもの(構成g)であるから、本件補正発明と引用発明は「オーディオ信号の高周波再構成を実行する方法」である点で一致する。 イ 構成Bについて 引用発明の方法は、エンコードされたオーディオ・ビットストリームを受領すること(構成a)を含み、当該オーディオ・ビットストリームは、フォーマット解除器205においてSBRメタデータ、eSBRメタデータ及びオーディオ・データが抽出される(構成d)から、SBRメタデータ、eSBRメタデータ及びオーディオ・データを含むものである。 ここで、前記SBRメタデータ及びeSBRメタデータは、SBR及びeSBR処理の実行時に使われる(構成f)ものであるから、構成Bの「高周波再構成メタデータ」に相当する。 また、前記オーディオ・データは、エンコードにおいて高周波数帯域が切り捨てられたもの(構成g)である。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「エンコードされたオーディオ・ビットストリームを受信するステップであって、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームは前記オーディオ信号のローバンド部分を表すオーディオ・データと高周波再構成メタデータとを含む、ステップ」を含む点で一致する。 ウ 構成Cについて 引用発明の方法は、オーディオ・デコード・サブシステム202が、上記フォーマット解除器(パーサー)205によって上記オーディオ・ビットストリームから抽出されたオーディオ・データをデコードすること(構成d、構成e)を含むから、本件補正発明と引用発明は、「デコードされたローバンド・オーディオ信号を生成するために前記オーディオ・データをデコードするステップ」を含む点で一致する。 エ 構成Dについて 引用発明の方法は、フォーマット解除器205が、ビットストリームの各ブロックを多重分離して、それからSBRメタデータ及びeSBRメタデータ(上記イのとおり本件補正発明の「高周波再構成メタデータ」に相当する。)を抽出すること(構成d)を含むから、本件補正発明と引用発明は、「前記高周波再構成メタデータを前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームから抽出するステップ」を含む点で一致する。 引用発明の「sbrPatchingMode[ch]」は、eSBR処理段の間の高調波転換の実行を制御するeSBRメタデータ・パラメータである(構成j)から、構成Dの前記高周波再構成メタデータに含まれる「高周波再構成プロセスの動作パラメータ」である「パッチ処理モード・パラメータ」に相当する。 そして、sbrPatchingMode[ch]の値は、eSBRにおいて用いられる転換器の型を示し、sbrPatchingMode[ch]=1はMPEG-4 AAC規格の4.6.18.6.3節に記載される非高調波パッチングを示し、sbrPatchingMode[ch]=0は、MPEG USAC規格の7.5.3又は7.5.4節に記載される高調波SBRパッチングを示すもの(構成k)である。ここで、前記「MPEG-4 AAC規格の4.6.18.6.3節に記載される非高調波パッチング」は、上記引用文献1の[0063]に記載のとおり「非高調波スペクトル・パッチング」のことと認められるから、構成Dの「スペクトル変換」に相当する。また、「sbrPatchingMode[ch]」は、高調波転換(harmonic transposition)の実行を制御するものであり、sbrPatchingMode[ch]=0が示す「高調波SBRパッチング」は、構成Dの「ハーモニック・トランスポジション」(harmonic transposition)といえるものである。さらに、前記sbrPatchingMode[ch]の値の「1」及び「0」は、構成Dの「第1値」及び「第2値」にそれぞれ相当する。 また、引用発明は、eSBRメタデータがSBRペイロードの末尾のsbr_extension()コンテナにおいてMPEG-4 AACビットストリームに含められ(構成h)、かつ、(eSBRメタデータをパースしたりeSBRメタデータが関係する何らかのeSBRツールを使ったりするよう構成されていない)レガシー・デコーダがeSBRメタデータを無視するが、それでもビットストリームをeSBRメタデータやeSBRメタデータが関係する何らかのeSBRツールを使うことなく、典型的にはデコードされたオーディオ品質におけるいかなる有意なペナルティもなしに可能な限りデコードできるように、eSBRメタデータが(例えばeSBRメタデータである少数の制御ビットが)エンコードされたオーディオ・ビットストリーム(例えばMPEG-4 AACビットストリーム)に含められ、したがって、向上されたスペクトル帯域複製(eSBR)制御データまたはメタデータを、後方互換な仕方で効率的に伝送するもの(構成i)であるから、eSBRメタデータ・パラメータはAACビットストリーム(エンコードされたオーディオ・ビットストリーム)の後方互換性のあるsbr_extension()コンテナ(拡張コンテナ)内に位置するものといえる。 以上から、本件補正発明と引用発明は、「前記高周波再構成メタデータを前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームから抽出するステップであって、前記高周波再構成メタデータは高周波再構成プロセスの動作パラメータを含み、前記動作パラメータは前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの後方互換性のある拡張コンテナ内に位置するパッチ処理モード・パラメータを含み、第1値の前記パッチ処理モード・パラメータはスペクトル変換を示し、第2値の前記パッチ処理モード・パラメータはハーモニック・トランスポジションを示す、ステップ」を含む点で共通する。 しかしながら、上記ハーモニック・トランスポジションが、本件補正発明では「位相ボコーダ周波数拡散による」ものであるのに対し、引用発明では当該構成が特定されていない点で、両者は相違する。 オ 構成Eについて 引用発明は、高調波転換がQMFベースで行われる(構成l)ものであり、デコードされたオーディオ信号に基づき高調波転換をQMFベースで行うために、当該デコードされたオーディオ信号がQMFでフィルタリングされるから、本件補正発明と引用発明は、「フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号を生成するために、前記デコードされたローバンド・オーディオ信号をフィルタリングするステップ」を含む点で一致する。 カ 構成Fについて 引用発明の方法は、eSBRメタデータを使ってデコード・サブシステム202の出力に対してSBR及びeSBR処理を実行すること(構成f)を含むから、本件補正発明と引用発明は、「前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号及び前記高周波再構成メタデータを利用して前記オーディオ信号のハイバンド部分を再生成するステップ」を含む点で一致する。 そして、当該eSBR処理(ハイバンド部分の再生成)において用いられる転換器の型は、上記エのとおり、前記sbrPatchingMode[ch](前記パッチ処理モード・パラメータ)=0(第1値)は、「非高調波スペクトル・パッチング」(スペクトル変換)を示し、sbrPatchingMode[ch]=1(第2値)は、「高調波SBRパッチング」(ハーモニック・トランスポジション)を示すものである。 よって、本件補正発明と引用発明は、「前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号及び前記高周波再構成メタデータを利用して前記オーディオ信号のハイバンド部分を再生成するステップであって、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第1値である場合にはスペクトル変換を含み、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値である場合にはハーモニック・トランスポジションを含む、ステップ」を含む点で共通し、上記エと同じ点で相違する。 キ 構成Gについて 引用発明は、eSBR処理段が完全にデコードされたオーディオ・データを生成するものであり、デコードされた低周波数帯域と再生成された高周波数帯域が合成されたものが生成されることは当然であるから、本件補正発明と引用発明は、「広帯域オーディオ信号を形成するために、前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号と前記再生成されたハイバンド部分とを合成するステップ」を含む点で一致する。 ク 構成Hについて 引用発明は、高調波転換をQMFベースで行うものであり、本件補正発明と引用発明は、「QMFベースのハーモニック・トランスポジションを行う」点で共通する。 しかしながら、前記QMFベースのハーモニック・トランスポジションが、本件補正発明では「時間ドメインの帯域幅拡張はQMFドメイン内で完全に実行され、全QMFサブバンドに対してデシメーションの後に時間伸張を実行」するものであるのに対し、引用発明では当該構成が特定されていない点で、両者は相違する。 ケ 構成Iについて 引用発明のeSBR処理は、もとのオーディオ信号のスペクトル特性を再現するために、生成された高周波数帯域のスペクトル包絡を調整し、逆フィルタリングを適用し、ノイズ及び正弦波成分を加えるものであり(構成g)、逆フィルタリング及び正弦波成分を加えることを制御するためのデータが用いられていることは明らかである。 ここで、引用発明において、前記eSBR処理における逆フィルタリング及び正弦波成分を加えることは、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に制限されるような特定はなされておらず、少なくとも前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合において使用されるものといえる。また、前記加えられる正弦波成分が、欠落する正弦波に応じて用いられることは明らかであるから、「欠落高調波制御データ」といえるものである。 よって、本件補正発明と引用発明は、「前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべきインバース・フィルタリング制御データと、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべき欠落高調波制御データとを更に含む」ものである点で、共通する。 しかしながら、前記インバース・フィルタリング制御データと欠落高調波制御データが、本件補正発明では「前記後方互換性のある拡張コンテナ」に含まれるものであるのに対し、引用発明では当該構成が特定されていない点で、両者は相違する。 コ 一致点、相違点について 以上ア~ケから、本件補正発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点〕 (A) オーディオ信号の高周波再構成を実行する方法であって: (B) エンコードされたオーディオ・ビットストリームを受信するステップであって、前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームは前記オーディオ信号のローバンド部分を表すオーディオ・データと高周波再構成メタデータとを含む、ステップ; (C) デコードされたローバンド・オーディオ信号を生成するために前記オーディオ・データをデコードするステップ; (D’) 前記高周波再構成メタデータを前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームから抽出するステップであって、前記高周波再構成メタデータは高周波再構成プロセスの動作パラメータを含み、前記動作パラメータは前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの後方互換性のある拡張コンテナ内に位置するパッチ処理モード・パラメータを含み、第1値の前記パッチ処理モード・パラメータはスペクトル変換を示し、第2値の前記パッチ処理モード・パラメータはハーモニック・トランスポジションを示す、ステップ; (E) フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号を生成するために、前記デコードされたローバンド・オーディオ信号をフィルタリングするステップ; (F’) 前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号及び前記高周波再構成メタデータを利用して前記オーディオ信号のハイバンド部分を再生成するステップであって、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第1値である場合にはスペクトル変換を含み、前記再生成は前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値である場合にはハーモニック・トランスポジションを含む、ステップ;及び (G) 広帯域オーディオ信号を形成するために、前記フィルタリングされたローバンド・オーディオ信号と前記再生成されたハイバンド部分とを合成するステップ; を含み、 (H’)QMFベースのハーモニック・トランスポジションを行い、 (I’) 前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべきインバース・フィルタリング制御データと、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべき欠落高調波制御データとを更に含む、 (A)方法。 〔相違点1〕 ハーモニック・トランスポジションが、本件補正発明では「位相ボコーダ周波数拡散による」ものであるのに対し、引用発明では当該構成が特定されていない点。 〔相違点2〕 QMFベースのハーモニック・トランスポジションが、本件補正発明では「時間ドメインの帯域幅拡張はQMFドメイン内で完全に実行され、全QMFサブバンドに対してデシメーションの後に時間伸張を実行」するものであるのに対し、引用発明では当該構成が特定されていない点。 〔相違点3〕 インバース・フィルタリング制御データと欠落高調波制御データが、本件補正発明では「前記後方互換性のある拡張コンテナ」に含まれるものであるのに対し、引用発明では当該構成が特定されていない点。 (4)相違点についての判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点1、相違点2について 引用文献2の【0087】(上記(2)2-2)には、QMFに基づく高調波転換器として位相ボコーダ周波数拡散によるものを用い、帯域幅拡張を時間伸長及び間引き(デシメーション)によって行うことが記載されている。ここで、時間伸長及び間引きを行う場合に、いずれの順序で行ってもよいことは、引用文献7にも記載されているように周知技術である。また、帯域幅拡張をQMFのサブバンドにおいて実行する際に、全てのサブバンドを実行対象とすることは、オーディオ信号が一般に広帯域であることからして、当業者により通常想定される事項である。 そして、引用発明と引用文献2に記載された技術は、高調波転換という技術分野及び機能が共通するから、引用発明において、QMFに基づく高調波転換器を、位相ボコーダ周波数拡散によるものとし、帯域幅拡張を全QMFサブバンドに対して間引き(デシメーション)及び時間伸長の順で行う構成を採用することによって、相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 イ 相違点3について 引用発明における逆フィルタリング及び正弦波成分を加えることを制御するためのデータ(インバース・フィルタリング制御データと欠落高調波制御データ)は、eSBR処理において用いられるものであるから、当該データをeSBR処理を実行するために用いられるeSBRメタデータと同様に、後方互換性のあるsbr_extension()コンテナ(拡張コンテナ)内に含ませることは、当業者であれば適宜なし得ることといえる。 以上ア、イから、本件補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、審判請求人は、 「 請求項1に係る本願発明と引用文献1-7に記載されている発明とを対比すると、少なくとも以下の相違点があります。 [相違点1] 請求項1に係る本願発明においては、「前記高周波再構成メタデータを前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームから抽出」し、「前記高周波再構成メタデータは高周波再構成プロセスの動作パラメータを含み、前記動作パラメータは前記エンコードされたオーディオ・ビットストリームの後方互換性のある拡張コンテナ内に位置するパッチ処理モード・パラメータを含み、第1値の前記パッチ処理モード・パラメータはスペクトル変換を示し、第2値の前記パッチ処理モード・パラメータは位相ボコーダ周波数拡散によるハーモニック・トランスポジションを示す」場合において、「前記後方互換性のある拡張コンテナは、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべきインバース・フィルタリング制御データと、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべき欠落高調波制御データとを更に含む」のに対し、引用文献1-7に記載された発明はそのような特徴を備えていない点。 上記相違点1に係る特徴は引用文献1-7に開示されておらず、この特徴が周知技術にすぎないとは言えません。「前記後方互換性のある拡張コンテナは、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべきインバース・フィルタリング制御データと、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべき欠落高調波制御データとを更に含む」ことを開示していない引用文献1-4に記載の発明に動機づけとなり得る事項は存在しません。明細書の[0115]に記載されているように「これら2つのクラスのメタデータを伝送するために必要となる追加のビットレートは比較的小さ」く、「従って、調整された欠落高調波及び/又はインバース・フィルタリング制御データをeSBR拡張コンテナで送信することは、ビットレートに最小限の影響しか与えずに、トランスポーザによって生成されるオーディオ品質を増加させる」ことが可能になります。このような事項は引用文献1-7には記載されておりません。 引用文献1-7に記載された発明に基づいて、請求項1に係る発明に想到することは、当業者といえども容易ではありません。」 との主張を行っているが、当該相違点1は、上記イで示したとおり、引用発明において当業者が適宜なし得ることといえるから、審判請求人の上記主張は採用することができない。 (5)小括 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和4年4月6日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年4月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の[理由]1に示した〔本件補正前の請求項1〕に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:米国特許出願公開第2018/0025737号明細書 引用文献2:特表2013-521538号公報 引用文献7:特表2015-534112号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2、7及びその記載事項は、上記第2の[理由]2(2)(2-1)、(2-2)、(2-3)にそれぞれ記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「エンコードされたオーディオ・ビットストリームの後方互換性のある拡張コンテナ」について、「前記後方互換性のある拡張コンテナは、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべきインバース・フィルタリング制御データと、前記パッチ処理モード・パラメータが前記第2値に等しい場合に使用されるべき欠落高調波制御データとを更に含む」との限定事項を削除したものである。 ここで、上記第2の[理由]2(3)の相違点3に係る本件補正発明の構成は、上記削除された限定事項におけるものである。 そうすると、本願発明と引用発明との間には相違点1、2のみが存在し、当該相違点1、2については上記第2の[理由]2(4)アのとおりであるから、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術(引用文献7)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-005098

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