2022-004693
配線構造
- 審判番号
- 2022-004693
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-031313外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月30日
- 審決日
- 2022年09月09日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソーテン
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年2月23日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和 3年12月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和 4年 3月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】複数の導線が交差して配列される複数の配線領域と、前記複数の配線領域のうち、隣接する2つの前記配線領域それぞれにおける前記導線の端部であって、前記複数の導線の交点である前記端部が離間して当該2つの配線領域を分離する分離領域と、前記配線領域とは独立して設けられるダミー配線と、続きを表示(全19行)を備え、前記分離領域は、前記2つの配線領域それぞれにおける前記交点が直線状に並ぶとともに、一方の前記配線領域における前記交点の先端が他方の前記配線領域に入り込み、前記隣接する2つの配線領域は、第1の方向に配列されるとともに、一方が他方に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向へずれて配置され、前記ダミー配線は、前記配線領域における前記第2の方向側に設けられることを特徴とする配線構造。【請求項2】前記2つの配線領域それぞれにおける前記交点の幅方向の中心が直線状に並ぶことを特徴とする請求項1に記載の配線構造。【請求項3】前記隣接する2つの配線領域は、第1の方向に配列され、前記第1の方向とは異なる第2の方向への長さがそれぞれ異なることを特徴とする請求項1または2に記載の配線構造。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.段落【0001】(技術分野)
「【0001】本発明は、指やペンなどでタッチされた位置を検出するタッチスイッチに関するものである。」
イ.段落【0005】~【0008】(解決しようとする課題など)
「【0005】・・・この場合、図12、図13のように、透明基板52の上にタッチ電極部54と引き出し配線部56が形成されたタッチスイッチ50となる。タッチ電極部54と引き出し配線部56は金属線58を網目状にしたものである。タッチ電極部54同士の間、引き出し配線部56同士の間、タッチ電極部54と引き出し配線部56との間は、金属線58を形成せず、絶縁部60となる。【0006】しかし、絶縁部60には金属線58がないため、タッチ電極部54や引き出し配線部56との光透過率の差が大きくなる。また、絶縁部60の面積も、タッチスイッチ50の端部にいくにしたがって、図13(a)から図13(b)のように増加し、金属線58の密度が低くなる。このため、ディスプレイの前面にタッチスイッチ50を配置し、特にディスプレイで均一な色彩の表示がおこなわれると、タッチ電極部54や引き出し配線部56が視認され、ディスプレイの表示品位が低下する。・・・(略)・・・【0008】本発明の目的は、ディスプレイの表示品位低下を防止できるタッチスイッチを提供することにある。」
ウ.【0016】(効果)
「【0016】本発明は、上記構成によりタッチスイッチ全域で光の透過率を均一化することができる。ディスプレイの前面にタッチスイッチを配置しても、表示品位を下げにくい。従来と比べて、特にディスプレイで均一な色彩を表示したときに、タッチスイッチのタッチ電極部や引き出し配線部が視認されにくい。」
エ.段落【0018】~【0059】(発明の実施形態)
「【0018】本発明のタッチスイッチについて図面を使用して説明する。図面は模式的に示しており、実物とは異なる場合がある。説明するタッチスイッチは静電容量式のタッチスイッチである。【0019】図1のタッチスイッチ10は、絶縁性の透明基板12、透明基板12の一面に形成されたタッチ電極部14、および透明基板12の一面に形成された引き出し配線部16を備える。続きを表示(全55行)【0020】 (略)【0021】透明基板12の一面にタッチ電極部14と引き出し配線部16が形成され、他面がディスプレイと接する。透明基板12の一面側には、タッチ電極部14と引き出し配線部16を覆うように、透明接着剤を使用して透明のカバーフィルムが取り付けられる。カバーフィルム以外に透明の樹脂またはガラスを積層して保護膜としても良い。ディスプレイに透明基板12を取り付けるとき、他面とディスプレイとの間に透明接着剤を使用しても良い。【0022】 (略)【0023】タッチ電極部14は、図2に示すように、第1方向αを向いた第1金属線18aと第2方向βを向いた第2金属線18bとを網目状にしたものである。網目状の具体例としては、金属線18a,18bを交差させた形状が挙げられる。金属線18a,18bは極細線である。金属線18a,18b同士は等間隔に並べられる。タッチ電極部14は、透明基板12の一面に縦横に並べられる。指などが近接またはタッチされた位置にあるタッチ電極部14の静電容量が変化し、その変化を検出することによって、タッチスイッチとして動作する。静電容量を検出できるのであれば、タッチ電極部14は方形に限定されない。【0024】引き出し配線部16は、タッチ電極部14と同様に第1方向αを向いた第1金属線18aと第2方向βを向いた第2金属線18bとを網目状にしたものである。金属線18a,18bは極細線である。金属線18a,18b同士は等間隔に並べられる。引き出し配線部16は、タッチ電極部14から透明基板12の端部に延びるようにして形成される。透明基板12の端部でタッチ電極部14の静電容量の変化を検出する検出回路に接続される。【0025】~【0029】 (略)【0030】タッチ電極部14同士および引き出し配線部16同士は絶縁する必要がある。また、タッチ電極部14とそのタッチ電極部14から延びていない引き出し配線部16も絶縁する必要がある。したがって、それらの間にはタッチ電極部14などと導通する部材を設けず、絶縁部20とする。【0031】タッチ電極部14や引き出し配線部16の外縁は金属線18a,18bである。したがって、絶縁部20は第1方向αと第2方向βを向きながら蛇行する。ここで、第1方向を向いた帯状の部分を第1絶縁部20a、第2方向βを向いた帯状の部分を第2絶縁部20bとする(図3~5)。絶縁部20は第1絶縁部20aと第2絶縁部20bが連続した形状であり、絶縁基板12のx方向またはy方向に延びるように蛇行する。なお、実際の第1絶縁部20aと第2絶縁部20bは非常に微細であるが、金属線18a,18bに比べて非常に幅広であるため、帯状と記載する。【0032】絶縁部20の一例としては、絶縁基板12のx方向、y方向に対する金属線18a,18bの角度によって、蛇行する割合を異ならせる(図3(a)、(b))。絶縁部20が延びる方向が異なっても同様である(図4(a)、(b))。また、第1絶縁部20aの幅と第2絶縁部20bの幅が、異なるようにしても良い(図3(c)、図4(c))。さらに、絶縁部20ごとに幅を変更しても良い(図5)。【0033】絶縁部20が蛇行する方向が金属線18a,18bの方向と同じであり、絶縁部20が目立ちにくくなる。タッチ電極部14および引き出し配線部16が視認しにくくなる。タッチスイッチ10をディスプレイの前面に配置した場合、ディスプレイの表示品位を低下させにくくなる。【0034】また、絶縁部20の幅は、タッチ電極部14および引き出し配線部16の金属線18a,18b同士の間よりも狭くする。これは、絶縁部20には金属線18a,18bが無く、タッチ電極部14と引き出し配線部16よりも光透過率が高くなるためである。【0035】ここで、図6を使用して絶縁部20の幅を調節するために、タッチスイッチ10の開口率について説明する。なお、絶縁部20は金属線18a,18bを含まないが、説明の便宜上、絶縁部20に隣接する金属線18a,18bを含めて開口率を説明する。【0036】図7に示すように、絶縁部20において、金属線18a,18bの中心同士の距離(ピッチ)をWaとWbとする。Waは第1絶縁部20aを介しており、Wbは第2絶縁部20bを介している。また、タッチ電極部14と引き出し配線部16の金属線18a,18bのピッチをP、金属線18a,18bの幅をLとする。図6の場合、タッチ電極部14と引き出し配線部16の開口率をR1、第1絶縁部20aの開口率をR2、第2絶縁部20bの開口率をR3とすると、下記の数式で表される。【0037】~【0043】 (略)【0044】WaとWbを調節することによって、従来に比べて第1および第2絶縁部20a,20bの開口率R2,R3をタッチ電極部14などの開口率R1に近づけることができる。このため、本発明のタッチスイッチ10は、タッチ電極部14などが目立ちにくいものであった。開口率R1に対し、開口率R2やR3が従来の開口率Rよりも離れる場合があるが、絶縁部20が蛇行しているため、従来に比べてタッチ電極部14などが目立ちにくくなっている。絶縁部20が金属線18a,18bと同一方向に蛇行することによって、絶縁部20が認識しにくくなるためである。従来に比べて、タッチ電極部14などの設計の自由度が高くなり、製造し易くなる。【0045】WaとWbの調節の仕方によっては、表1や表2のように開口率を近づけるのが難しい場合がある。その場合、絶縁部20に第3金属線18cを設ける(図9)。第3金属線18cはタッチ電極部14および引き出し配線部16には接続されず、絶縁されたものである。第3金属線18cは、タッチ電極部14や引き出し配線部16の金属線18a,18bと同じ材料で、同時に形成される。第3金属線18cは、第1または第2金属線18a,18bと平行であり、絶縁部20の中心に配置される。【0046】具体的には、第3金属線18cは、第1絶縁部20aまたは第2絶縁部20bのいずれかに設ける(図9(a))。また、第3金属線18cを第1絶縁部20aと第2絶縁部20bに設け、連続させる(図9(b))。さらに、第1絶縁部20aと第2絶縁部20bに別個に第3金属線18cを設けたり(図10(a))、複数の金属線が直列に並ぶようにして第3金属線18cを形成したりしても良い(図10(b))。第3金属線18cを設けてタッチスイッチ10の全域の開口率を均一にする。【0047】図11のように第2絶縁部20bに第3金属線18cを設けたとする。第3金属線18cの幅をLD、線長をWDとすると、図11における第2絶縁部20bの開口率R3Dは数式5のようになる。【0048】~【0050】 (略)【0051】第2絶縁部20bに第3金属線18cを設けることによって、絶縁部20の開口率をタッチ電極部14などの開口率に近づけることができる。このことは第2絶縁部20bに限定されず、第1絶縁部20aにおいても同様である。タッチスイッチ10の全域で開口率がほぼ均一となり、タッチ電極14および引き出し配線部16が目立ちにくくなる。【0052】表4では第3金属線18cの幅を第1および第2金属線18a,18bの幅と同じにしているが、第3金属線18cの幅を第1および第2金属線18a,18bの幅と異ならせても良い。【0053】図9~図11では絶縁部20に第3金属線18cを設けたが、タッチ電極部14や引き出し配線部16のように、第3金属線18cで網目形状を形成しても良い。絶縁部20の幅が広い場合に第3金属線18cで網目形状を形成し、開口率を調節する。【0054】また、絶縁部20に第3金属線18cを設ける以外に、タッチ電極部14、引き出し配線部16、またはその両方にある金属線18a,18bの幅を変化させて、開口率を調節しても良い。調節される金属線18a,18bは、タッチ電極部14や引き出し配線部16の縁部にある金属線18a,18bであり、第1金属線18aと第2金属線18bの少なくとも1つの幅を変化させる。タッチスイッチ10の全域の開口率が均一になるようにする。【0055】さらに、第1金属線18aと第2金属線18bの線幅を変化させる以外に、第3金属線18cの幅を変化させても良い。第1~3金属線18a,18b,18cの少なくとも1つの幅を適宜変更して、タッチスイッチ10の全域の開口率が均一になるようにする。【0056】以上の説明は、タッチ電極部14と引き出し配線部16の第1金属線18aがいずれも第1方向αを向き、第2金属線18bがいずれも第2方向βを向いていたが、第1金属線18a同士の方向は異なっても良い。また、第2金属線18b同士の方向は異なっても良い。すなわち、本願発明は、タッチ電極部14と引き出し配線部16において、(1)第1金属線18aの方向と第2金属線18bの方向がいずれも一致する構成、(2)第1金属線18aの方向が異なり、第2金属線18bの方向が一致する構成、(3)第1金属線18aの方向が一致し、第2金属線18bの方向が異なる構成、(4)第1金属線18aの方向と第2金属線18bの方向のいずれもが異なる構成、(5)上記の(1)~(4)の少なくとも2つを組み合わせた構成が挙げられる。【0057】タッチ電極部14と引き出し配線部16において、第1金属線18aの方向、第2金属線18bの方向、またはその両方の方向を異ならせても、上記の実施形態と同様に、絶縁部20は蛇行される。蛇行する角度は、金属線18a,18bの方向によって変化する。また、絶縁部20の幅を調節したり、第3金属線18cを設けたりして、タッチスイッチ10の光の透過率が均一になるようにする。さらに、第1金属線18a、第2金属線18b、第3金属線18cの少なくとも1つの幅を適宜変更し、光の透過率を調節しても良い。絶縁部20の幅が広くなりすぎる箇所には、第3金属線18cを網目状にしても良い。【0058】タッチスイッチ10は、ディスプレイの前面に配置することを前提として説明したが、不透明なタッチデジタイザに適用することも可能である。【0059】その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。」
オ.【図2】
[図:0001389320000001.jpg]
カ.【図3】
[図:0001389320000002.jpg]
キ.【図4】
[図:0001389320000003.jpg]
ク.【図5】
[図:0001389320000004.jpg]
ケ.【図9】
[図:0001389320000005.jpg]
コ.【図10】
[図:0001389320000006.jpg]
(2)上記記載からみて、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〈引用発明〉
「タッチスイッチ10は、絶縁性の透明基板12、透明基板12の一面に形成されたタッチ電極部14、および透明基板12の一面に形成された引き出し配線部16を備え、タッチ電極部14は、第1方向αを向いた第1金属線18aと第2方向βを向いた第2金属線18bとを網目状にしたものであり、タッチ電極部14は、透明基板12の一面に縦横に並べられ、タッチ電極部14同士および引き出し配線部16同士は絶縁する必要があり、また、タッチ電極部14とそのタッチ電極部14から延びていない引き出し配線部16も絶縁する必要があり、したがって、それらの間にはタッチ電極部14などと導通する部材を設けず、絶縁部20とし、絶縁部20は第1方向αと第2方向βを向きながら蛇行し、ここで、第1方向を向いた帯状の部分を第1絶縁部20a、第2方向βを向いた帯状の部分を第2絶縁部20bとすると、絶縁部20は第1絶縁部20aと第2絶縁部20bが連続した形状であり、絶縁基板12のx方向またはy方向に延びるように蛇行し、絶縁部20に第3金属線18cを設け、第3金属線18cはタッチ電極部14および引き出し配線部16には接続されず、絶縁されたものである、タッチスイッチ10の配線構造。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「タッチ電極部14」は、「第1方向αを向いた第1金属線18aと第2方向βを向いた第2金属線18bとを網目状にしたもの」であるところ、引用文献2の図2を参酌すると、「第1金属線18a」と「第2金属線18b」は、網目状に「交差して配列され」ていると認められる。
ここで、引用発明の「第1金属線18a」と「第2金属線18b」は、本願発明1の「複数の導線」に相当するから、「タッチ電極部14」は、「複数の導線が交差して配列される配線領域」といえる。
一方、「タッチ電極部14は、透明基板12の一面に縦横に並べられ」ていることから、引用発明の「タッチスイッチ10」は、透明電極12の一面に、複数の「タッチ電極部14」を備えていると認められ、この複数の「タッチ電極部14」は、本願発明1の「複数の導線が交差して配列される複数の配線領域」に相当するといえる。
イ.引用発明の「絶縁部20」は、「タッチ電極部14同士および引き出し配線部16同士」や「タッチ電極部14とそのタッチ電極部14から延びていない引き出し配線部16」を絶縁するものであるところ、引用文献2の図2を参酌すると、「絶縁部20」において、複数の「タッチ電極部14」のうち、隣接する2つの「タッチ電極部14」それぞれにおける「第1金属線18a」と「第2金属線18b」の端部であって、「第1金属線18a」と「第2金属線18b」の交点である端部が離間して当該2つの「タッチ電極部14」を分離していると認められる。
してみれば、引用発明の「絶縁部20」は、本願発明1の「前記複数の配線領域のうち、隣接する2つの前記配線領域それぞれにおける前記導線の端部であって、前記複数の導線の交点である前記端部が離間して当該2つの配線領域を分離する分離領域」に相当するといえる。
ウ.引用発明において、「絶縁部20に第3金属線18cを設け、第3金属線18cはタッチ電極部14および引き出し配線部16には接続されず、絶縁されたものである」から、引用発明の「第3金属線18c」は、本願発明1の「前記配線領域とは独立して設けられるダミー配線」に相当するといえる。
エ.引用発明において、「絶縁部20は第1方向αと第2方向βを向きながら蛇行し、ここで、第1方向を向いた帯状の部分を第1絶縁部20a、第2方向βを向いた帯状の部分を第2絶縁部20bとすると、絶縁部20は第1絶縁部20aと第2絶縁部20bが連続した形状であり、絶縁基板12のx方向またはy方向に延びるように蛇行し」ているところ、引用文献2の図2を参酌し、特に同図中央上部の隣接する2つのタッチ電極部14に注目すると、隣接する2つのタッチ電極部14は左右(同図におけるx方向)に配列されるとともに、図中左側のタッチ電極部14が、図中右側のタッチ電極部14に対して、同図におけるy方向へずれて配置されていると認められる。
そうしてみると、引用発明の「隣接する2つのタッチ電極部14」と本願発明1の「隣接する2つの配線領域」は、「第1の方向に配列されるとともに、一方が他方に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向へずれて配置され」る点で共通する。
オ.引用発明の「タッチスイッチ10の配線構造」は、本願発明1の「配線構造」に対応する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
〈一致点〉
「複数の導線が交差して配列される複数の配線領域と、前記複数の配線領域のうち、隣接する2つの前記配線領域それぞれにおける前記導線の端部であって、前記複数の導線の交点である前記端部が離間して当該2つの配線領域を分離する分離領域と、前記配線領域とは独立して設けられるダミー配線と、を備え、前記隣接する2つの配線領域は、第1の方向に配列されるとともに、一方が他方に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向へずれて配置される、配線構造。」
〈相違点〉
(相違点1)
本願発明1では、前記分離領域は、「前記2つの配線領域それぞれにおける前記交点が直線状に並ぶとともに、一方の前記配線領域における前記交点の先端が他方の前記配線領域に入り込」むのに対して、引用発明では、絶縁部20において、2つのタッチ電極部14それぞれにおける端部となる第1金属線18aと第2金属線18bの交点が直線状に並ぶとともに、一方の前記タッチ電極部14における前記交点の先端が他方の前記タッチ電極部14に入り込むように配線されているか明確でない点。
(相違点2)
本願発明1では、前記ダミー配線は、「前記配線領域における前記第2の方向側に設けられ」ているのに対して、引用発明では、第3金属線18c(ダミー配線)をタッチ電極部14におけるy方向(ずれて配置された方向)側に設けられることが特定されていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
引用文献2の図2を参酌すると、絶縁部20において、2つのタッチ電極部14それぞれの端部となる第1金属線18aと第2金属線18bの交点同士がy方向に直線状に並んでいるようにも見える。
しかしながら、引用文献2には、絶縁部20は第1方向αと第2方向βを向きながら蛇行していることが記載されているものの、絶縁部20において、2つのタッチ電極部14それぞれにおける端部となる第1金属線18aと第2金属線18bの交点が直線状に並ぶことについては何等言及されていない。この点について絶縁部20の例を示す同文献の図3~5を参酌すると、2つのタッチ電極部14それぞれにおける端部となる第1金属線18aと第2金属線18bの交点が直線状に並ぶような絶縁部20の例は図示されていない。このことからみて、図2も絶縁部20が第1方向αと第2方向βを向きながら蛇行していることを図示しているに留まり、同図中の絶縁部20において、2つのタッチ電極部14それぞれの端部となる第1金属線18aと第2金属線18bの交点同士がy方向に直線状に並んでいるように見えたとしても、そのような配線の配置を開示するために意図的に図示されたものとは認められない。
そうしてみると、引用文献2は、2つのタッチ電極部14それぞれの端部となる第1金属線18aと第2金属線18bの交点が直線状に並ぶように配置するという技術思想を開示しているということはできず、加えて、前記交点が直線状に並ぶように配置した場合に、一方のタッチ電極部14における前記交点の先端が、他方のタッチ電極部14に入り込む程度に配置することについて、引用文献2には記載も示唆もなく、このような配線の配置が、本願出願日前において周知技術であったとも認められない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2、3について
本願発明2、3も、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-3は「前記分離領域は、前記2つの配線領域それぞれにおける前記交点が直線状に並ぶとともに、一方の前記配線領域における前記交点の先端が他方の前記配線領域に入り込み」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-004693