特許拒絶査定不服審判
2022-003008
放射線投与システム及び方法
- 審判番号
- 2022-003008
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-511830外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年02月28日
- 審決日
- 2023年08月08日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .14 -Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-511830「放射線投与システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日国際公開、WO2017/197145、令和 1年 6月20日国内公表、特表2019-516529〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概略
本願は、平成29(2017)年 5月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成28(2016)年 5月11日 アメリカ合衆国(US),平成28(2016)年 9月30日 アメリカ合衆国(US),平成29(2017)年 5月 5日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年 2月 2日付け:拒絶理由通知書
同年 8月10日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月15日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年10月26日 :原査定の謄本の発送日)
令和 4年 2月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 3月 9日付け:手続補正指令書(方式)
同年 4月14日 :手続補正書(方式)の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和 4年 2月28日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。なお、令和 4年 2月28日に提出された手続補正書では、請求項1は補正されていない。
「【請求項1】
患者に対する放射線量を決定する方法であって、該方法は、
放射線装置に関連付けられるプロセッサで、患者が複数の色分けされた投薬量ゾーンのうちの1つと関連付けられることを示す情報を受け入れるステップであって、ここで、複数の色分けされた投薬量ゾーンのそれぞれは、身体的特徴の1つ以上の値に対応するステップ;
プロセッサで、複数の色分けされた投薬量ゾーンのうちの1つを放射線量と相関させるステップ;及び
複数の色分けされた投薬量ゾーンのうちの相関した1つに基づいて、患者に対する放射線量を決定するステップ
を含む上記方法。」
第3 原査定の拒絶の理由
本願発明に係る原査定の拒絶理由の概要は、次のとおりである。
(産業上の利用可能性)本願発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
第4 当審の判断
本願発明の「患者に対する放射線量を決定する方法」は、「複数の色分けされた投薬量ゾーンのうちの相関した1つに基づいて、患者に対する放射線量を決定するステップ」を含んでおり、当該ステップにおける「決定」を行う主体が、医師等であるのか装置であるのかについては、特定されていない。
すなわち、本願発明は、「放射線装置に関連付けられるプロセッサで、患者が複数の色分けされた投薬量ゾーンのうちの1つと関連付けられることを示す情報を受け入れるステップであって、ここで、複数の色分けされた投薬量ゾーンのそれぞれは、身体的特徴の1つ以上の値に対応するステップ」(以下「ステップA」という。)、「プロセッサで、複数の色分けされた投薬量ゾーンのうちの1つを放射線量と相関させるステップ」」(以下「ステップB」という。)及び「複数の色分けされた投薬量ゾーンのうちの相関した1つに基づいて、患者に対する放射線量を決定するステップ」(以下「ステップC」という。)という3つのステップを含むことにより、「患者に対する放射線量を決定する」ところ、当該3つのステップを、「;」で区切って記載していること、当該「プロセッサで」との記載を、ステップAとステップBの両者に記載しているにもかかわらず、ステップCには記載していないこと、を考慮すれば、当該「プロセッサで」との記載が付されていないステップCは、「プロセッサ」以外が行うことを排除していないと解するのが相当である。
また、ステップCの「決定」に関し、本願明細書及び図面の記載を参照してみると、以下のような記載がある。
1 「【0017】
本出願は、適切な放射線量及び/又は薬剤投薬量を患者に投与するための装置、システム、及び方法を記載する。放射線量は、放射線が患者に適用される強度及び期間によって決定され得る。特定の患者に対する線量の決定において、患者のサイズ、放射線が適用される身体上の位置、及び放射線種(すなわち、CTスキャン、X線など)を考慮に入れることができる。・・・」
2 「【0019】
これを達成するために、投与量は、患者のサイズに基づいて決定される様々なゾーンに標準化することができる。患者の大きさは、患者の体重、長さ、表面積、及び/又は他の要因に基づいて決定することができる。患者の大きさが決まったら、その大きさをゾーンと相関させることができる。・・・」
3 「【0023】
結果として、複数の計算をする代わりに、技術者、看護師、医師などは、患者のサイズ(体重、身長など)に相関する色範囲を知るだけでよい。色の範囲は、少なくとも、身体の各位置(例えば、頭、腕、脚、腹部、胸部など)について放射線の強度及び放射線を適用するための時間枠を決定する。」
4 「【0024】
・・・さらに別の実施形態では、技術者、看護師、医師などが計算を実行して患者の用量を決定することができる。次に、決定された用量は、患者のサイズに相関する色の範囲に対して検証され得る。このようにして、計算に誤りがある場合、技術者、看護師、医師などは、決定された用量がその患者について決定された色範囲内にあることを迅速に確認することができる。このようにして、計算が実行され、次にその患者にとって適切な領域内にあることが検証される。」
5 「【0027】
別の実施形態では、図2Bに示すように、技術者、看護師、医師などが患者の線量を計算し、計算された放射線量とそれが適用され得る領域を入力することができる(段階225、230)。患者に対応する色分けされた領域は、技術者、看護師、医師などによって入力されてもよく、及び/又は機械は、上述のように患者のサイズを決定してもよく、患者のサイズを色分けされた領域と相関してもよい(段階235)。機械は、色分けされた領域を相関させることができ、放射線位置は、安全な放射線量及び/又は安全な放射線量の範囲と相関させることができる(段階240)。機械は、技術者、看護師、医師などによって入力された線量が安全な線量であり、及び/又は安全な範囲内にあることを検証することができる(段階245)。線量が安全であると機械が決定したら、機械はその線量をその領域に適用することができる。線量が安全ではない場合、機械は線量を適用しない場合がある。機械はまた、線量が患者にとって安全ではないことを技術者、看護師、又は医師などに通知することができる(段階250)。」
上記記載事項1~5を参酌すると、特に上記記載事項3の「複数の計算をする代わりに、技術者、看護師、医師などは、患者のサイズ(体重、身長など)に相関する色範囲を知るだけでよい。色の範囲は、少なくとも、身体の各位置(例えば、頭、腕、脚、腹部、胸部など)について放射線の強度及び放射線を適用するための時間枠を決定する。」との記載によれば、医師が、計算を行うことなく、「患者のサイズ(体重、身長など)に相関する色範囲を知るだけで」、「放射線の強度・・・を決定する」ことができると理解できる。
また、上記記載事項4の「技術者、看護師、医師などが計算を実行して患者の用量を決定することができる。」との記載からも、医師が患者の用量、すなわち放射線量を決定していることが理解できる。
さらに、上記記載事項4の「計算に誤りがある場合、技術者、看護師、医師などは、決定された用量がその患者について決定された色範囲内にあることを迅速に確認することができる。」や上記記載事項5の「機械はまた、線量が患者にとって安全ではないことを技術者、看護師、又は医師などに通知することができる」の記載において、放射線量についての最終的な安全性チェックを医師に委ねていることをみても、本願発明の患者に対する放射線量を決定する主体から医師を排除していないと解することが自然である。
してみると、本願発明において、患者に対する放射線量を決定する主体として、医師等が排除されていないから、本願発明は、医師等が、患者の状態に基づく処方又は治療計画について判断する工程を含んでおり、人間を治療又は診断する方法を含むものである。
よって、本願発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する「産業上利用することができる発明」に該当しないから、特許を受けることができない。
第5 請求人の主張について
請求人は審判請求書において、「各ステップに記載の通り、これらのステップは、放射線装置に関連付けられたプロセッサを用いることが明記され、医師等による行為に該当しません。」と主張する。
しかしながら、本願発明は、上記の通り、「患者に対する放射線量を決定するステップ」が、プロセッサによって行われることは明記されておらず、また医師等によってなされることが明確に排除されておらず、医師等によってなされることを含むものと解すべきであるから、請求人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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