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特許拒絶査定不服審判

2022-002731

ドライブレコーダ

審判番号
2022-002731
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-158589外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月24日
審決日
2022年10月25日
公報発行日
2022年11月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G08G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-158589「ドライブレコーダ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月 5日出願公開、特開2020- 35014、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年8月27日の出願であって、令和3年6月21日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年8月3日に手続補正書及び意見書が提出され、令和3年11月10日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和4年2月24日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和3年11月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-2に係る発明は、以下の引用文献1、2及び3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2009-110224号公報

2.特開2010-146477号公報

3.特開2016-207006号公報

第3 本願発明

本願請求項1-2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明2」という。)は、令和3年8月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
車両に搭載されるドライブレコーダ(14)であって、
撮像装置(11)により撮像された映像を取得するように構成された映像取得部(S110)と、
前記映像取得部により取得された映像を通常映像として記憶するように構成された通常記憶部(S120)と、
前記通常記憶部に記憶された前記通常映像のデータ量を圧縮した映像である圧縮映像を記憶するように構成された圧縮記憶部(S130、S140)と、
前記圧縮記憶部に記憶された前記圧縮映像をあらかじめ決められた条件である送信条件が成立したと判定した場合に、当該送信条件が成立した時点を含む時間における圧縮映像を送信圧縮映像として、当該送信圧縮映像をあらかじめ決められた送信先に送信する処理である圧縮送信処理を行うように構成された圧縮送信部(S160、S170)と、
前記通常記憶部には前記通常映像を取得された時間である取得時刻が対応付けて記憶され、
あらかじめ決められた送信元から指定時間を含む送信要求を受信するように構成された通常要求受信部と、
前記通常要求受信部により前記送信要求が受信された場合、前記通常記憶部に記憶され、前記指定時間と対応する前記取得時刻における前記通常映像を送信するように構成された通常送信部(S220)と、
を備える、ドライブレコーダ。」

第4 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同様。)。

ア.「【0003】

上記各機器について補足すると、ドライブレコーダは、事故発生時点の映像、音声を記録し、事故の分析を主な目的としており、それがゆえコンパクトフラッシュ(登録商標)・メモリーなどの取り外しが容易な記録媒体に映像、音声データを記録するようになっており、コンピュータなどにその記録媒体を接続することにより簡単に映像、音声データを見ることができるものである。」

イ.「【発明が解決しようとする課題】

【0007】

しかしながら、上記各機器はそれぞれ次のような問題を内包している。

ドライブレコーダは、簡単に見ることができる機能のために、その映像、音声データの複製の製造も非常に簡単で、それゆえデータの改ざんの危険性が高いことから、事故発生時点での映像、音声をデータとして記録していながら、訴訟の場においては証拠としての能力が認められておらず、事後の裁判などで参考資料程度にとどまっている。」

ウ.「【0011】

解決しようとする問題点は、車両等の移動体が直面する様々な状況下において、その状況を検証するに足る証拠能力を確保することができる簡易な構成の移動体状況検証情報制御システムを提供することにある。」

エ.「【課題を解決するための手段】

【0012】

請求項1の発明は、車両等の移動体に搭載されてその状況を検出する車載端末部と、この車載端末部の制御指令および検出情報を無線送受信する無線通信手段と、この無線通信手段を介して受けた検出情報を記録するサーバーおよび同検出情報のモニターと機器制御のための監視・管理端末を備えるセンター部とからなる移動体状況検証情報制御システムにおいて、上記車載端末部は、車外の映像および音声ならびに事故発生を検知するドライブレコーダと、移動体の動作状態を検知するタコグラフと、車両内の映像および音声を検知するカメラ&マイクと、移動体位置および時刻を検知するGPS装置と、これら各機器に接続して検知情報の情報処理および機器制御をする車載主装置とからなり、この車載主装置は、上記各機器の検知情報を取込み一時記録する記憶装置と、ドライブレコーダによる事故検知情報を受けて記憶装置の情報をダイジェスト編集して圧縮データを生成する画像・音声処理装置と、その圧縮データをモニター用とし、編集前の無修正データを記録用としてそれぞれ異なるタイミングでセンター部に送るように無線通信手段を統括管理制御する情報処理装置とを備えたことを特徴とする。

【0013】

上記構成の移動体状況検証情報制御システムにおいて、車載主装置に接続したドライブレコーダは、事故発生時にその時の映像、音声および事故検知信号をを車載主装置に送り、この車載主装置によってその記憶装置に記録されるとともに、記憶装置に記録されている車内の映像、音声データが無線通信手段によってセンター部に向けて送信され、圧縮データはセンター側でモニターされ、その処理及び通信後に、無編集の映像、音声データが送信されてサーバーで記録される。

【0014】

事故発生時は、一刻も早く送らなくていけない事故直後の人命などに関わるような部分の映像、音声データについて映像処理、音声処理を車載主装置内にて、記録装置内に一時記録されている映像、音声データを画像・音声処理装置にてフレームレートやビットレートを落とし、一定間隔でフレーム数などを間引き、又はより事故直近の映像、音声のみ切り取るなどのダイジェスト編集した圧縮データが生成され、この圧縮データはセンター側でモニターされ、その処理及び通信後に、無編集の映像、音声データを自動送信し、サーバーで記録される。」(注:段落【0013】の「事故発生時にその時の映像、音声および事故検知信号をを車載主装置に送り」は「事故発生時にその時の映像、音声および事故検知信号を車載主装置に送り」の誤記と認める。)

オ.「【発明の効果】

【0021】

請求項1の発明は、ドライブレコーダの機能を生かした車載主装置の簡易な情報処理により、ドライブレコーダの映像、音声データを含む機器検知情報について、センターにおける圧縮データのモニターにより事故状況の確認と警察や消防への通報等の即応体制を確保しつつ、第三者の手を介在させずに収集記録される別送の無修正データにより裁判の証拠としての証拠能力を確保することができる。」

カ.「【発明を実施するための最良の形態】

【0027】

上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。

移動体状況検証情報制御システムは、システムブロック構成図を図1に示すように、車両等の移動体に搭載されてその状況を検出する車載端末部Aと、検出情報を無線送信する携帯電話網移動局用通信装置、業務用無線移動局用通信装置等の無線通信手段2と、この無線通信手段2を介して受けた検出情報を記録するサーバー20および監視・管理端末21を備えるセンター部Bとから構成される。

【0028】

車載端末部Aは、各種情報検出用の周辺機器および機器制御と情報制御を行う車載主装置1によって構成する。

周辺機器は、具体的には、GPS装置3、ドライブレコーダ4、カメラ&マイク5、タコグラフ6、カーセキュリティー装置7、各種接点スイッチ8を備えるほか、必要により、リモート・ドアロック・アンロック装置31、温度センサー32、水質センサー33を設ける。

車載主装置1は、上記周辺機器を接続するGPSI/O14等の入出力インターフェースを介して各機器の情報を取込み一時記録する記憶装置10と、ドライブレコーダ4および各種接点スイッチ8による検出信号により、記憶装置10の情報をダイジェスト編集した圧縮データを生成し、この圧縮データをセンター部Bに送るように無線通信手段2を統括管理制御する情報処理装置9を備える。また、車両側からの給電を受ける電源ユニット13を内設する。これら各コンポーネントについて以下に詳述する。」

キ.「【0029】

(車載主装置)

車載主装置1については、情報処理装置9、、記憶装置10、無線I/O11、画像・音声処理装置12、電源ユニット13、GPSI/O14、ドライブレコーダI/O15、カメラ&マイクI/O16、タコグラフI/O17、カーセキュリティーI/O18、接点スイッチI/O19によって構成し、必要により、リモート・ドアロック・アンロックI/O41、温度センサーI/O42、水質センサーI/O43を設ける。」(注:段落【0029】の「情報処理装置9、、記憶装置10」は「情報処理装置9、記憶装置10」の誤記と認めた。)

ク.「【0034】

(画像・音声処理装置)

画像・音声処理装置22は、ドライブコーダ4により撮影、録音された車外の映像、音声データを交通事故発生時に緊急送信用のダイジェスト版作成のための自動編集を行い、また、カメラ&マイク5にて撮影、録音された車内の映像、音声データをデジタル化する。

その詳細な動作フローについて説明すると、カメラ&マイク5で撮影、録音の車内映像、音声データを取扱う場合には、カメラ&マイクI/O16から受けた車内を撮影、録音したデータを受信してMPEGなどの任意に取り決めを行ったデジタル画像形式に変換し、変換した映像、音声データを車載主装置1内の記憶装置10に記録する。

また、ドライブレコーダ4で撮影、録音の車外映像、音声データを取扱う場合には、ドライブレコーダ4が事故発生を判断し、外部インタフェースにその旨、コマンドないしは信号を送信し、情報処理装置9がドライブレコーダI/O15を介してそれを受け、記憶装置10内に記録している映像、音声データをさらに緊急を要する場合があるため、更にフレームレートやビットレートを落とし、一定間隔でフレーム数などを間引き、又は、より事故直近の映像、音声のみ切り取るなどの編集を画像・音声処理装置12にてダイジェスト版の映像、音声データを自動編集、自動生成し、この圧縮データによる映像、音声情報を記憶装置10に記録する。」

ケ.「【0039】

(ドライブレコーダ)

ドライブレコーダ4は、映像、音声データを外部インタフェースにより車載主装置1に送信するものである。車両の前方などが良く見える場所にドライブレコーダ4を設置し、走行時の映像、音声データを常時撮影、録音し、この撮影録音された映像、音声データは、車載主装置1内のドラーブレコーダI/O15と仕様を合わせた外部インタフェースにより車載主装置1に送信されて記憶装置10に記録され、一定のタイミングで上書きをしていく。ドライブレコーダ4に内蔵している加速度センサーなどからの情報を基に、ドライブレコーダ4が事故発生を判断し、その旨のコマンドないしは信号を車載主装置1内のドライブレコーダI/O15を介して送信する。

【0040】

上記情報制御システムは、ドライブレコーダ4が事故発生を判断したら、車載主装置1内のドライブレコーダI/O15と仕様を合わせた外部インタフェースに送信し、車載主装置1内の記憶装置10にその日時データも記録する。ドライブレコーダ4からの事故発生情報(事故が発生したという判断機能はドライブレコーダ4内の各種センサーと情報処理装置が行っている)をトリガーとして、車載主装置1内の記憶装置10内に保存されている事故発生時の映像、音声データを携帯電話網移動局用通信装置または業務用無線移動局通信装置等無線通信手段等の無線通信手段2にて、センター部B側のサーバー20に自動送信する。車載主装置1内のGPSI/O14と仕様を合わせた外部インタフェースによりり送信する。その仕様は有線ないしは無線であるが、一般的にUSBなどの標準的な規格や、実質的に標準となっている規格が適用できる。

【0041】

ドライブレコーダ4に関する動作フローは、搭載車両の走行している前方などの映像、音声データを撮影、録音し、この映像、音声データは、車載主装置のドライブレコーダI/O15を介して、車載主装置1内の記憶装置10に常時記録する。映像、音声データを記録時は、容量オーバーになる可能性があるため、一定のタイミングで上書きをし、通常時はこの処理を繰り返す。

【0042】

ドライブレコーダ4に内蔵の加速度センサー、衝撃センサーなどが異常を検知し、同ドライブレコーダ4に内蔵の情報処理装置が事故発生と判断した時は、事故が発生した旨のコマンドないしは信号をドライブレコーダ4から車載主装置1内のドライビレコーダI/O15を介して送信し、また、事故発生の日時情報を同様の経路にて送信し、車載主装置1内の情報処理装置9がそれを受けると、記憶装置10に記録されている映像、音声データのなかでデーター内のタイムスタンプと照合し、事故発生時刻のフレームを特定する。

【0043】

また、車室内部に向け設置したカメラ&マイク5にて予め取り決めた任意の時間の映像、音声データを連続ないしは、一定間隔にて撮影、録音し、車載主装置内のカメラ&マイクI/O16を介して、画像・音声処理装置12にて映像、音声データに変換し、記憶装置10に記録するするとともに、事故発生時刻にGPS装置3が測位し、車載主装置1の記憶装置10に常時記録していた緯度経度情報、高度情報を特定する。

【0044】

さらに緊急を要する場合があるため、更にフレームレートやビットレートを落とし、一定間隔でフレーム数などを間引き、又はより事故直近の映像、音声のみ切り取るなどの編集を車載主装置1内の画像・音声処理装置12にてダイジェスト版の映像、音声データを自動生成する。

【0045】

上記情報処理装置9は、自動生成され記憶装置10内に保存されているダイジェスト版の映像、音声データと、事前に同記憶装置10内に記録してあった個体認証番号、事故発生日時、緯度経度情報、高度情報、車内の映像、音声データ、タコグラフ6による走行状態データを送信するために、無線通信手段2に送信のコマンドないしは信号を出し、センター部B側のサーバー20に向けて自動送信する。

【0046】

緊急で必要な上記通信の完了後において、記憶装置10内に記録されている無編集の事故発生時の映像、音声データを無線通信手段2を介して、センター側のサーバーに第三者の手を介さずに自動で送信する。

【0047】

このような情報制御システムにより、ドライブレコーダの事故発生を感知したコマンドないしは信号をトリガーに事故発生時の映像、音声データを第三者の手を介すことなく自動で記録場所に送信、記録、管理できるため、データ改ざんの危険性が極めて低くなり、本発明で収集記録されたデータは裁判などでの証拠能力を持つ可能性が非常に高くなる。

【0048】

また、上記情報制御システムにより、車載主装置の記憶装置10に映像、音声データが記録されることから、この記憶装置10を車両の中でも比較的に衝撃に強い部分に設置可能であり、その結果、撮影、録音部分と記録部分が一緒である従来のドライブレコーダと比べ、撮影、録音部が事故の衝撃で車外に放り出されてしまっても、その直前の映像、音声までは記録されている可能性が高く、事故映像の記録性により、その後の裁判などでの証拠能力の確保が可能となる。」(注:段落【0040】の「外部インタフェースによりり送信する。」は「外部インタフェースにより送信する。」の誤記と認めた。)

コ.「

[図:0001390433000001.jpg]

」(【図1】)

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 車両等の移動体に搭載される車載主装置1及びドライブレコーダ4であって、
ドライブレコーダ4により撮影、録音された車外の映像、音声データを受ける画像・音声処理装置12と、
画像・音声処理装置12から受けた車外の映像、音声データを無編集の事故発生時の映像、音声データとして記録された記憶装置10と、
記憶装置10に記録された無編集の事故発生時の映像、音声データのフレームレートやビットレートを落とし一定の間隔でフレーム数などを間引き又はより事故直近の映像、音声のみ切り取るなどの編集をしたダイジェスト版の映像、音声データを保存する記憶装置10と、
記憶装置10に保存されたダイジェスト版の映像、音声データを事故発生と判断した時に、事故発生の日時を含む時間におけるダイジェスト編集した圧縮データをダイジェスト版の映像、音声データとして、ダイジェスト版の映像、音声データをセンター部B側のサーバ20に自動送信する無線送信手段2と、
記憶装置10には無編集の事故発生時の映像、音声データを受けた事故発生の日時情報が対応付けて記録され、
記憶装置10に記録され、事故発生時における無編集の事故発生時の映像、音声データを自動送信する無線送信手段2と、
を備える、車載主装置1及びドライブレコーダ4。」

2.引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

サ.「【技術分野】

【0001】

本発明は、ドライブレコーダに関し、特に限られた記録容量を有する記録媒体に対して映像情報等の記録を効率良く行うためのドライブレコーダに関するものである。」

シ.「【0044】

次に、ドライブレコーダ2における映像情報及び運行情報等の記録手順について説明する。ドライブレコーダ2における記録には、所定の記録条件が成立した場合の記録と、常時記録(定常的な記録)の2種類が存在する。

【0045】

記録条件が成立する場合とは、以下の3つ場合を言う。

【0046】

1.「G検知」:加速度センサ5が、所定の閾値以上の重力加速度を検出した場合。具体的には、車両1の前後方向の重力加速度をGy及び車両1の左右方向の重力加速度をGxとすると、CPU10が、加速度センサ5からの出力の合成重力加速度の絶対値(Gx2+Gy2)0.5を10ミリ秒毎に検出し、閾値加速度以上の値が、閾値継続時間以上連続して検出された場合に、記録条件が成立したと判断する。なお、閾値加速度を0.40Gに、閾値継続時間を100ミリ秒設定することができるが、これらの値は一例であって、これらに限定されるものではない。

【0047】

2.「撮影SW」:撮影SW6が操作された場合。

【0048】

3.「速度トリガ」:車速センサ7から検出した車両1の所定の期間内の速度差が、閾値以上となった場合。具体的には、60km/h以上で走行中に、1秒間の減速が、4km/h以上となった場合に、記録条件が成立したと判断する。」(注:段落【0045】の「以下の3つ場合を言う。」は「以下の3つの場合を言う。」の誤記と認める。)

ス.「【0056】

図7は、メモリカードへの記録方法の一例を示す図である。

【0057】

前述したように、画像IC11は、640×480ピクセル、30フレーム/秒の映像情報501をRAM12へ出力しており、RAM12は入力される40秒間分の映像情報を循環的に保存している。また、RAM12には、各静止画像データと対応した運行情報も、記録されるように設定されている。RAM12からは、所定のタイミングで、映像情報及び運行情報を含む情報502が圧縮処理回路13へ出力される。

【0058】

図7では、時刻T0から時刻T4までの間のメモリカード4への記録方法の一例を示しており、時刻T2において、記録条件が成立したものとする。

【0059】

時刻T2において記録条件が成立した場合、圧縮処理回路13は、CPU10からの制御信号504に応じて、記録条件成立前12秒(時刻T1)から記録条件成立後8秒(時刻T3)までの20秒間分の高フレームレート(30フレーム/秒)の映像情報及びそれに対応する運行情報を、低圧縮率(例えば、2kbps)で圧縮して、メモリカード4に記録するように、記録情報503としてIF14へ出力する。これによって、時刻T1~T3までの30×20=600フレームの静止画像データが高画質でメモリカード4の第1領域101に記録される。なお、記録条件が成立した場合に必ず圧縮して映像情報等をメモリカード4に記録しなければならないわけではなく、圧縮せずにメモリカード4に記録するように制御しても良い。

【0060】

これに対して常時記録では、圧縮処理回路13は、CPU10からの制御信号504に応じて、まずは高フレームレート(30フレーム/秒)の映像情報から低フレームレート(10フレーム/秒)に映像情報を間引き、その後、低フレームレート(10フレーム/秒)の映像情報及びそれに対応する運行情報を、圧縮率を可変して、高圧縮率(例えば、500kbps)で圧縮して、メモリカード4に記録するように、記録情報503としてIF14へ出力する。これによって、常に、時刻T0~T4における静止画像データが低画質でメモリカード4の第2領域102に記録される。

【0061】

上述したように、常時記録では低フレームレート且つ高圧縮率で映像情報を圧縮してメモリカード4に記録し、所定の記録条件が成立した場合には高フレームレート且つ低圧縮率(又は無圧縮)で映像情報を圧縮してメモリカード4に記録するので、長時間に渡って定常記録用の情報を記録媒体に記録できるとともに、重大事故等の可能性がある重要な期間では詳細且つ鮮明な情報を記録媒体に記録することが可能となった。即ち、常時記録では、第1の圧縮率によって映像情報等を圧縮して記録媒体に記録しているのに対し、記録条件が成立した場合には、第1の圧縮率より低い第2の圧縮率(無圧縮を含む)により映像情報等を圧縮して記録媒体に記録していることとなる。」

したがって、上記引用文献2には次の技術的事項が記載されていると認められる。

「 記録条件が成立した場合の映像情報を圧縮せずに記憶する第1領域101と、常時記録として映像情報を圧縮して記憶する第2領域102とを有するメモリーカード4を備えたドライブレコーダ2。」

3.引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。

セ.「【課題を解決するための手段及び発明の効果】

【0011】

本発明のドライブレコーダは、録画部と、センサと、判断部と、通知部と、動画送信部とを備える。録画部は、車両に設置されたカメラにより撮影された撮影動画像データを記録する。センサは、ドライブレコーダに加わる衝撃の強さを計測する。判断部は、センサにより計測された衝撃の強さが所定の異常範囲内にあるか否かを判断する。通知部は、センサにより計測された衝撃の強さが異常範囲内にあると判断部により判断された場合、異常範囲内の強さの衝撃が計測された危険運転時刻を所定のタイミングでサーバに通知する。動画送信部は、危険運転時刻を含む動画送信要求をサーバから受け付けた場合、録画部により生成された撮影動画像データのうち、動画送信要求に含まれる危険運転時刻を含む所定期間における撮影動画像データをサーバに送信する。

【0012】

本発明によれば、異常範囲内にある強さの衝撃が計測された危険運転時刻がサーバに通知され、危険運転時刻を含む所定期間における撮影動画像データが、サーバの要求に応じてサーバに送信される。これにより、サーバの管理者は、通知された危険運転時刻のうち任意の危険運転時刻における撮影動画像データを取得することができる。」

ソ.「【0015】

好ましくは、録画部は、計測された衝撃の強さが異常範囲内にあると判断部により判断された場合、録画部により生成された撮影動画像データから危険運転時刻を含む所定期間における撮影動画像データを抽出する。動画送信部は、録画部により抽出された撮影動画像データのうち、危険運転時刻を含む所定期間における撮影動画像データを送信する。

【0016】

本発明によれば、異常範囲内にある強さの衝撃が計測されるたびに、録画された撮影動画像データから、危険運転時刻を含む所定期間における撮影動画像データが抽出される。本発明のドライブレコーダは、動画送信要求を受け付けた際に、サーバにより指定された危険運転時刻における撮影動画像データを迅速に送信することができる。

【0017】

好ましくは、判断部は、計測された衝撃の強さが所定の事故基準範囲内にあるか否かを判断する。事故基準範囲における衝撃の強さは、異常範囲における衝撃の強さよりも大きい。動画送信部は、計測された衝撃の強さが事故基準範囲内にあると判断部により判断された場合、録画部により生成された撮影動画像データのうち、事故基準範囲内にある強さの衝撃が計測された時刻を含む所定期間における撮影動画像データをサーバに送信する。

【0018】

本発明によれば、異常範囲における衝撃の強さよりも大きい衝撃の強さが設定された事故基準範囲内の衝撃が計測された場合、事故基準範囲内の衝撃が計測された時の撮影動画像データを、サーバからの要求の有無に関係なく送信する。ドライブレコーダに記録された事故発生時の撮影動画像データが失われることを防ぐことができる。」

タ.「【0026】

[1.車両管理システムの構成]

図1は、本発明の実施の形態に係る車両管理システム100の構成を示す機能ブロック図である。図1を参照して、車両管理システム100は、道路上を走行する車両(自動車、自動二輪車など)の走行状況を記録するためのシステムである。例えば、車両管理システム100は、運送会社が自社のトラックの走行状況を管理するために用いられる。

【0027】

車両管理システム100は、ドライブレコーダ1と、モバイルルータ2と、サーバ4とを備える。ドライブレコーダ1及びモバイルルータ2は、トラックなどの自動車200に搭載される。サーバ4は、車両管理システム100を利用する企業の事務所などに設置される。

【0028】

ドライブレコーダ1は、カメラにより撮影された撮影動画像データを記録する。ドライブレコーダ1は、加速度センサにより計測された加速度が予め設定された異常範囲内にある場合、異常範囲内にある加速度が計測された危険運転時刻を所定のタイミングでサーバ4に通知する。ドライブレコーダ1は、危険運転時刻を含む動画送信要求をサーバ4から受信した場合、抽出動画像データ61をサーバ4に送信する。抽出動画像データ61は、動画送信要求に含まれる危険運転時刻を含む所定期間における撮影動画像データである。」

チ.「【0056】

[4.車両管理システム100の動作概略]

以下、図1に示す車両管理システム100の動作の概略を説明する。図4は、ドライブレコーダ1の外観斜視図である。図4を参照して、ドライブレコーダ1は、直方体の形状である。ドライブレコーダ1において、カメラ18は、ディスプレイ14が配置された面と反対側の面に設けられる。ドライブレコーダ1は、カメラ18が車両の前方の景色を撮影することができる車内の適切な位置に固定される。」

ツ.「【0061】

ドライブレコーダ1は、加速度センサ19により計測された加速度Axが判定基準データ70に予め設定された異常範囲内にあるか否かを判断する。運転手が危険運転を行った場合に計測されると想定される加速度の範囲が、異常範囲として設定される。危険運転は、急ブレーキ、急発進などの交通事故につながる運転操作のことである。加速度Axが異常範囲内にある場合、ドライブレコーダ1は、異常範囲内にある加速度Axが計測された時刻(危険運転時刻)を危険運転データ72に記録する(ステップS1)。

【0062】

ドライブレコーダ1は、一定の送信間隔(例えば、30分ごと)で、危険運転データ72をサーバ4に送信する(ステップS2)。危険運転データ72を送信するまでに異常範囲内ある加速度Axが複数回検出された場合、複数の危険運転時刻が記録された危険運転データ72が送信される。」

テ.「【0064】

サーバ4は、車両管理者の操作に応じて、ドライブレコーダ1に対応する車両管理データ40に記録された危険運転時刻の中から、少なくとも1つの危険運転時刻を選択する(ステップS4)。サーバ4は、選択された危険運転時刻を含む動画送信要求をドライブレコーダ1に送信する(ステップS5)。

【0065】

ドライブレコーダ1は、動画送信要求をサーバ4から受信した場合、動画送信要求に含まれる危険運転時刻を含む所定期間における撮影動画像データ60(抽出動画像データ61)をサーバ4に送信する(ステップS6)。車両管理者は、ドライブレコーダ1から送信された抽出動画像データ61を再生することにより、異常範囲内にある加速度Axが計測されたときの自動車の走行状況を把握することができる。

【0066】

また、ドライブレコーダ1は、交通事故を検出した場合、危険運転を検出したときと異なる処理を実行する。具体的には、ドライブレコーダ1は、加速度Axが事故基準範囲内にあると判断した場合、加速度Axが事故基準範囲内にあると判断した時刻から予め設定された判定待機時間を経過するまで待機する。そして、ドライブレコーダ1は、判定待機時間を経過した後に自動車200が停止している場合、交通事故が発生したと判断する(ステップS7)。異常範囲と事故基準範囲との関係については、後述する。

【0067】

ドライブレコーダ1は、交通事故が発生したと判断した場合、撮影動画像データ60の中から、交通事故が発生した時刻を含む所定期間内における事故動画像データ62を抽出してサーバ4に送信する(ステップS8)。

【0068】

図5では、交通事故の検出(ステップS7)が、危険運転に関する処理(ステップS1~S6)の後に実行されている。しかし、交通事故の検出タイミングは、図5に示す場合に限られない。例えば、ドライブレコーダ1は、危険運転データ72の送信(ステップS2)の直後に交通事故を検出した場合(ステップS7)、動画送信要求(ステップS5)を待つことなく、事故動画像データ62をサーバ4に送信する(ステップS8)。」(注:段落【0062】の「異常範囲内ある加速度Ax」は「異常範囲内にある加速度Ax」の誤記と認めた。)

ト.「【0069】

[5.ドライブレコーダ1の動作]

[5.1.走行記録モジュール51による処理]

図6は、図2に示す走行記録モジュール51の動作を示すフローチャートである。走行記録モジュール51は、運転手が操作部13を操作して走行記録処理の開始を指示した場合に、図6に示す処理を開始する。」

ナ.「【0084】

(事故動画像データ62の送信)

図6を参照して、走行記録モジュール51は、加速度センサ19により計測された加速度Axが異常範囲内にない場合(ステップS103においてNo)、加速度Axが事故基準範囲内にあるか否かを判断する(ステップS109)。

【0085】

図7を参照して、事故基準範囲は、例えば、10.0(m/s2)よりも大きい範囲と、-10.0(m/s2)よりも小さい範囲である。事故基準範囲は、危険運転が行われた場合よりも大きい加速度を検出するために用いられる。この理由は、交通事故が発生したときの衝撃は、危険運転が行われたときの衝撃よりも大きいと考えられるためである。事故基準範囲は、正の範囲において、異常範囲に設定された加速度よりも大きい加速度を含むように設定され、負の範囲において、異常範囲に設定された加速度よりも小さい加速度を含むように設定されればよい。」

ニ.「【0087】

一方、加速度Axが事故基準範囲内にある場合(ステップS109においてYes)、交通事故が発生した可能性がある。この場合、走行記録モジュール51は、予め設定された判定待機時間が経過するまで(ステップS110においてYes)待機する。判定待機時間は、例えば、30秒に設定される。

【0088】

走行記録モジュール51は、判定待機時間が経過した後に(ステップS110においてYes)、自動車200が停止したか否かを判断する(ステップS111)。自動車200の走行中に交通事故が発生した場合、運転手は、自動車200を停止させると考えられる。あるいは、自動車200が横転するなどして走行できなくなる場合も考えられる。このため、走行記録モジュール51は、事故基準範囲内にある加速度Axが計測された場合、判定待機時間を経過した後に自動車200が停止しているか否かに基づいて交通事故の発生の有無を判断する。

【0089】

具体的には、図7を参照して、加速度Axが判定基準データ70に設定された停止範囲内にあるか否かが判断される。停止範囲は、例えば、-0.5(m/s2)以上0.5(m/s2)以下に設定される。自動車200が停止している場合であっても、加速度センサ19は、エンジン等の振動により、0ではない加速度Axを計測し続ける。このため、ゼロを含む所定の加速度の範囲が、停止範囲として設定される。」

ヌ.「【0091】

加速度Axが停止範囲内にある場合、走行記録モジュール51は、自動車200が停止したと判断する(ステップS111においてYes)。この場合、走行記録モジュール51は、事故動画像データ62を生成してサーバ4に送信する(ステップS112)。

【0092】

具体的には、走行記録モジュール51は、事故基準範囲内の加速度Axが計測された時刻(事故発生時刻)に基づいて事故発生期間を設定する。事故発生期間は、例えば、事故発生時刻よりも15秒前の時刻から、事故発生時刻から15秒後の時刻までの期間である。走行記録モジュール51は、設定した事故発生期間における撮影動画像データ60を、不揮発性メモリ16に記録された撮影動画像データ60から抽出することにより、事故動画像データ62を生成する。走行記録モジュール51は、サーバ4からの動画送信要求の有無に関係なく、生成した事故動画像データ62を直ちにサーバ4に送信する。その後、走行記録モジュール51は、ステップS108に戻る。」

ネ.「【0102】

[5.3.応答モジュール53による処理]

図10は、図2に示す応答モジュール53の動作を示すフローチャートである。応答モジュール53は、ドライブレコーダ1の電源が投入されている間、図10に示す処理を実行する。図10を参照して、応答モジュール53は、サーバ4から動画送信要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS301)。

【0103】

動画送信要求は、サーバ4からドライブレコーダ1に以下のようにして送信される。運行管理者は、サーバ4を操作して、ドライブレコーダ1の車両管理データ40を閲覧し、自動車200の走行状況を確認する。サーバ4は、運行管理者の操作に応じて、車両管理データ40から少なくとも1つの危険運転時刻を選択する。サーバ4は、選択された少なくとも1つの危険運転時刻を含む動画要求送信を作成して、ドライブレコーダ1に送信する。」

ノ.「【0105】

応答モジュール53は、動画送信要求を受け付けた場合(ステップS301においてYes)、動画送信要求に含まれる危険運転時刻に基づいて、送信すべき抽出動画像データ61を特定する(ステップS302)。

【0106】

具体的には、応答モジュール53は、危険運転データ72を参照して、動画送信要求に含まれる危険運転時刻に対応するレコードを選択する。図8を参照して、動画送信要求に含まれる危険運転時刻が、「2015/4/10 9:31:49」である場合、応答モジュール53は、レコード72Cを選択する。応答モジュール53は、選択したレコード72Cに記録された抽出動画像パスに基づいて、サーバ4に送信すべき抽出動画像データ61を特定する。なお、動画送信要求に2つ以上の危険運転時刻が含まれている場合、各々の危険運転時刻に対応する抽出動画像データ61が特定される。

【0107】

応答モジュール53は、ステップS302で特定された抽出動画像データをサーバ4に送信する(ステップS303)。ステップS303の処理は、図5に示すステップS6の処理に対応する。サーバ4は、ドライブレコーダ1から送信された抽出動画像データ61を再生する。これにより、運行管理者は、サーバ4が選択した危険運転時刻における自動車200の走行状況を確認することができる。」

ハ.「【0109】

このように、ドライブレコーダ1は、危険な運転が行われたと推測される異常範囲内の加速度Axが計測された場合、異常範囲内の加速度Axが計測された危険運転時刻をサーバ4に通知する。ドライブレコーダ1は、動画送信要求を受け付けた場合、動画送信要求で指定された危険運転時刻を含む所定期間における抽出動画像データ61をサーバ4に送信する。これにより、サーバ4は、ドライブレコーダ1から通知された危険運転時刻のうち、任意の危険運転時刻における撮影動画像データを取得することができる。また、抽出動画像データ61が、異常範囲内にある加速度Axが計測されるたびにサーバ4に送信されることがないため、通信量を抑制することができる。

【0110】

ドライブレコーダ1において、サーバ4に動画像データを送信するトリガがサーバ4からの動画送信要求のみである場合、交通事故が発生したときの動画像データをサーバ4が取得できない可能性がある。例えば、交通事故による車両火災が発生してドライブレコーダ1が焼損した場合、不揮発性メモリ16内のデータが失われる。しかし、ドライブレコーダ1は、交通事故の発生を検出した場合、直ちに事故動画像データ62をサーバ4に送信するため、交通事故発生時のデータが失われることを防ぐことができる。」

ヒ.「

[図:0001390433000002.jpg]

」(【図2】)

フ.「

[図:0001390433000003.jpg]

」(【図5】)

ヘ.「

[図:0001390433000004.jpg]

」(【図6】)

ホ.「

[図:0001390433000005.jpg]

」(【図7】)

マ.「

[図:0001390433000006.jpg]

」(【図10】)

したがって、上記引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「 交通事故を検出した場合に、交通事故が発生した時刻を含む所定期間内における事故動画像データ62をサーバ4にサーバ4からの動画送信要求の有無に関係なく直ちに送信するとともに、サーバ4から危険運転時刻を含む動画送信要求を受け付けた場合、危険運転時刻を含む所定期間における抽出動画像データ61を送信するドライブレコーダ1。」

第5 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明における「車両等の移動体」は、本願発明1における「車両」に相当する。また、引用発明における「車載主装置1」及び「ドライブレコーダ4」は、本願発明1における「ドライブレコーダ(14)」に相当する。

イ 引用発明における「ドライブレコーダ4」は、本願発明1における「撮像装置(11)」に相当し、同様に、「ドライブレコーダ4により撮影、録音された車外の映像、音声データ」は「撮像装置(11)により撮像された映像」に相当する。

そして、引用発明における「ドライブレコーダ4により撮影、録音された車外の映像、音声データを受ける画像・音声処理装置12」は、本願発明1における「撮像装置(11)により撮像された映像を取得するように構成された映像取得部(S110)」に相当する。

ウ 引用発明における「無編集の事故発生時の映像、音声データ」は、本願発明1における「通常映像」に相当する。

そして、引用発明における「画像・音声処理装置12から受けた車外の映像、音声データを無編集の事故発生時の映像、音声データとして記録された記憶装置10」は、本願発明1における「前記映像取得部により取得された映像を通常映像として記憶するように構成された通常記憶部(S120)」に相当する。

エ 引用発明における「記憶装置10に記録された無編集の事故発生時の映像、音声データのフレームレートやビットレートを落とし一定の間隔でフレーム数などを間引き又はより事故直近の映像、音声のみ切り取るなどの編集をしたダイジェスト版の映像、音声データ」は、本願発明1における「通常記憶部に記憶された通常映像のデータ量を圧縮した映像である圧縮映像」に相当する。

そして、引用発明における「記憶装置10に記録された無編集の事故発生時の映像、音声データのフレームレートやビットレートを落とし一定の間隔でフレーム数などを間引き又はより事故直近の映像、音声のみ切り取るなどの編集をしたダイジェスト版の映像、音声データを保存する記憶装置10」は、本願発明1における「通常記憶部に記憶された通常映像のデータ量を圧縮した映像である圧縮映像を記憶するように構成された圧縮記憶部(S130、S140)」に相当する。

オ 引用発明における「記憶装置10に保存されたダイジェスト版の映像、音声データ」は、本願発明1における「圧縮記憶部に記憶された圧縮映像」に相当する。

また、引用発明における「事故発生と判断した時」は、本願発明1における「あらかじめ決められた条件である送信条件が成立したと判定した場合」に相当する。

さらに、引用発明における「事故発生の日時」は、本願発明1における「当該送信条件が成立した時点」に相当し、引用発明における「事故発生の日時を含む時間におけるダイジェスト編集した圧縮データ」は、本願発明1における「当該送信条件が成立した時点を含む時間における圧縮映像」に相当する。そして、引用発明における「ダイジェスト版の映像、音声データ」は、本願発明1における「送信圧縮映像」に相当する。

さらにまた、引用発明における「センター部B側のサーバ20」は、本願発明1における「あらかじめ決められた送信先」に相当し、引用発明における「自動送信する」ことは、本願発明1における「送信する処理である圧縮送信処理を行うように構成された」ことに相当する。

そうすると、引用発明における「記憶装置10に保存されたダイジェスト版の映像、音声データを事故発生と判断した時に、事故発生の日時を含む時間におけるダイジェスト編集した圧縮データをダイジェスト版の映像、音声データとして、ダイジェスト版の映像、音声データをセンター部B側のサーバ20に自動送信する無線送信手段2」は、本願発明1における「圧縮記憶部に記憶された圧縮映像をあらかじめ決められた条件である送信条件が成立したと判定した場合に、当該送信条件が成立した時点を含む時間における圧縮映像を送信圧縮映像として、当該送信圧縮映像をあらかじめ決められた送信先に送信する処理である圧縮送信処理を行うように構成された圧縮送信部(S160、S170)」に相当する。

カ 引用発明における「無編集の事故発生時の映像、音声データを受けた事故発生の日時情報」は、本願発明1における「通常映像を取得された時間である取得時刻」に相当し、引用発明における「記録され」ることは、本願発明1における「記憶され」ることに相当する。

キ 引用発明における「記憶装置10に記録され、事故発生時における無編集の事故発生時の映像、音声データを自動送信する無線送信手段2」は、本願発明1における「通常要求受信部により送信要求が受信された場合、通常記憶部に記憶され、指定時間と対応する取得時刻における通常映像を送信するように構された通常送信部(S220)」と、「通常記憶部に記憶され、取得時刻における通常映像を送信するように構成された通常送信部(S220)」という限りにおいて一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「 車両に搭載されるドライブレコーダ(14)であって、
撮像装置(11)により撮像された映像を取得するように構成された映像取得部(S110)と、
前記映像取得部により取得された映像を通常映像として記憶するように構成された通常記憶部(S120)と、
前記通常記憶部に記憶された前記通常映像のデータ量を圧縮した映像である圧縮映像を記憶するように構成された圧縮記憶部(S130、S140)と、
前記圧縮記憶部に記憶された前記圧縮映像をあらかじめ決められた条件である送信条件が成立したと判定した場合に、当該送信条件が成立した時点を含む時間における圧縮映像を送信圧縮映像として、当該送信圧縮映像をあらかじめ決められた送信先に送信する処理である圧縮送信処理を行うように構成された圧縮送信部(S160、S170)と、
前記通常記憶部には前記通常映像を取得された時間である取得時刻が対応付けて記憶され、
前記通常記憶部に記憶され、取得時刻における前記通常映像を送信するように構成された通常送信部(S220)と、
を備える、ドライブレコーダ。」

(相違点)

本願発明1は「あらかじめ決められた送信元から指定時間を含む送信要求を受信するように構成された通常要求受信部」を備え、通常送信部は「通常要求受信部により送信要求が受信された場合」に「指定時間と対応する取得時刻」における通常映像を送信するように構成されたものであるのに対し、引用発明は本願発明1の「通常要求受信部」に相当するものを備えておらず、無線送信手段2(通常送信部)は「事故発生時」における無編集の事故発生時の映像、音声データ(通常映像)を「自動」送信するものである点。

(2)相違点についての判断

上記相違点について検討する。

引用文献2には、「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2について」に記載のとおり、引用文献2に記載された技術的事項が記載され、また、引用文献3には、「3.引用文献3について」に記載のとおり、引用文献3に記載された技術的事項が記載されている。

しかしながら、引用発明は、引用文献1の段落【0003】、【0007】、【0011】、【0014】、【0021】、【0046】及び【0047】の記載からみて、「事故発生時」における無編集の事故発生時の映像(通常映像)を第三者の手を介すことなく「自動」で送信するものであることから、相違点に係る本願発明1のように「あらかじめ決められた送信元から指定時間を含む送信要求を受信するように構成された通常要求受信部」を備え、通常送信部は「通常要求受信部により送信要求が受信された場合」に「指定時間と対応する取得時刻」における通常映像を送信するような技術が公知であったとしても、これを採用する動機はなく、むしろかかる技術の採用を阻害する要因があると解されることから、引用文献2及び3に記載された技術的事項について検討するまでもなく、引用発明から相違点に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

次に、仮に該採用の動機があり、阻害する要因がないとした場合についても検討する。

まず、引用文献2に記載された技術的事項は、相違点に係る本願発明1の構成を備えていないため、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を採用したとしても相違点に係る本願発明1の構成に容易に想到し得るものとはいえない。

また、引用文献3に記載された技術的事項を引用発明に採用することについて検討すると、引用発明は、「事故発生時」における無編集の事故発生時の映像、音声データ(通常映像)を送信することに関して、引用文献3に記載された技術的事項においては、「交通事故を検出した」場合には、「事故動画像データ62」を「サーバ4」(あらかじめ決められた送信先)に「サーバ4からの動画送信要求の有無に関係なく直ちに送信する」ものである以上、引用発明に引用文献3に記載された技術的事項を採用することによって相違点に係る本願発明1の発明特定事項に容易に想到し得るものとはいえない。

さらに、引用文献3に記載された技術的事項は、「サーバ4」(あらかじめ決められた送信元)から「危険運転時刻」(指定時間)を含む「動画送信要求」(送信要求)「を受け付けた」(が受信された)場合、「危険運転時刻を含む所定期間」(指定時間と対応する取得時刻)における「抽出動画像データ61」(通常映像)を送信するものではあるものの、引用発明における「事故発生時」とは運転状況が異なるものであり、また、引用文献3の段落【0066】には「ドライブレコーダ1は、交通事故を検出した場合、危険運転を検出したときと異なる処理を実行する。」と記載されていることから、引用発明において、「事故発生時」における無編集の事故発生時の映像、音声データ(通常映像)を送信するにあたり、引用文献3に記載された事項を採用するのであれば、「危険運転時」ではなく「交通事故を検出した」場合の態様を採用するものと解されるから、この場合においても引用発明に引用文献3に記載された技術的事項を採用することによって相違点に係る本願発明1の発明特定事項に容易に想到し得るものとはいえない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2について

本願発明2も、本願発明1と同一の発明特定事項を備え、さらに、本願発明2で新たに特定される発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1-2は、当業者が引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-002731

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