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特許拒絶査定不服審判

2022-002591

プローブカード装置

審判番号
2022-002591
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-072609
請求日
2022年02月22日
審決日
2022年10月03日
公報発行日
2023年03月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】巨擘科技股▲ふん▼有限公司
  • 【請求人代理人】園田・小林弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 中塚 直樹
  • 審判官 波多江 進
分類
P18 .121-Z (G01R) / P18 .113-Z (G01R)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 72609「プローブカード装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月 6日出願公開、特開2021- 71472〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年4月15日の特許出願(パリ条約による優先権主張、2019年10月30日、台湾)であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和3年 5月21日付け :拒絶理由通知書 同年 8月27日 :意見書及び手続補正書の提出 同年11月30日付け :拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年12月 7日 :原査定の謄本の送達日) 令和4年 2月22日 :拒絶査定不服審判の請求 第2 本願発明 本願の請求項1~11に係る発明は、令和3年8月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に特定されるとおりのものである。 「 【請求項1】 プローブカード装置であって、 互いに対向する第1の表面と第2の表面を有する薄膜基板、 互いに対向する第3の表面と第4の表面を有し、前記第3の表面は前記薄膜基板の前記第2の表面上に設けられ、前記薄膜基板に電気的に連結された第1の回路板、及び 前記薄膜基板の前記第1の表面上に設けられた複数のプローブであって、前記プローブと前記薄膜基板とは一体成形されている、複数のプローブ を含むプローブカード装置」 第3 原査定の概要 原査定の本願発明に係る拒絶の理由2の概略は、次のとおりである。 本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献3~4に例示された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.国際公開第2017/150232号 引用文献3.特開平07-321169号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4.特開2003-057310号公報(周知技術を示す文献) 第4 当審の判断 1 引用文献の記載事項並びに引用発明及び周知技術の認定等 (1) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用する国際公開第2017/150232号(前記引用文献1)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。 「[0001] 本発明は、セラミック層を有する積層配線基板およびこの積層配線基板を用いたプローブカードに関する。」 「[0014] また、前記コア基板は、前記セラミック積層部における前記樹脂部側の面と対向する面に積層された樹脂積層部をさらに備え、前記樹脂積層部において、前記樹脂部側の面と対向する面が、前記コア基板の前記一方主面をなしていてもよい。この場合、例えば、樹脂積層部を微細な配線が可能なポリイミドなどの樹脂で形成することで、配線の細線化が容易になる。また、プローブカードは検査対象の半導体素子に何度も接触させるので、セラミック積層部に樹脂積層部を積層することで、その応力や衝撃を緩和させることができるため、積層配線基板の変形を防止することができる。」 「[0018] <第1実施形態> 本発明の一実施形態にかかるプローブカード1aについて、図1、図2を参照して説明する。なお、図1はプローブカード1aの断面図、図2は図1のプローブカード1aに搭載される積層配線基板3aの断面図である。 [0019] この実施形態にかかるプローブカード1aは、図1に示すように、マザー基板2と、該マザー基板2の一方主面に実装された積層配線基板3aと、一端が積層配線基板3aに接続される複数のプローブピン5と、各プローブピン5を支持するプローブヘッド4と、プローブヘッド4および積層配線基板3aを固定する固定具24とを備え、例えば、半導体素子などの被検査物50の電気検査に使用される。 [0020] マザー基板2は、一方主面に積層配線基板3aを実装するための複数の実装電極6が形成される。ここで、各実装電極6は、マザー基板の内部に形成された配線電極(図示省略)や複数のビア導体(図示省略)により所定の外部電極(図示省略)に接続される。マザー基板2は、例えば、ガラスエポキシ樹脂などで形成されている。なお、各プローブピン5を保持するプローブヘッド4および、積層配線基板3aは、固定具24によりマザー基板に固定される。この実施形態の固定具24は、端部がフランジ状に形成され、長さ方向と平行な方向の断面がT字状になっている。 [0021] 図2に示すように、積層配線基板3aは、コア基板7と、コア基板7の側面および下面12(マザー基板2側の主面、本発明における「コア基板の他方主面」に相当する)を被覆する樹脂部8と、樹脂部8の内部に配設された複数の金属ピン11(本発明の「柱状導体」に相当する)とを備える。コア基板7は、マザー基板2側に配置されたセラミック積層部9と、該セラミック積層部9の上面13(マザー基板2側の主面と反対側の主面)に積層された樹脂積層部10とを有する。このとき、セラミック積層部9は、セラミック層9aと配線層9bが交互に積層されて形成される。なお、各セラミック層9aは、例えば、ホウケイ酸系ガラスを含有するセラミック(たとえば、アルミナ)を主成分とする低温同時焼成セラミック(LTCC)、高温焼成セラミック(HTCC)など、種々のセラミックで形成することができる。また、この実施形態では、セラミック積層部9が、3つのセラミック層9aと2つの配線層9bとで形成されているが、これらの層数は適宜変更することができる。 [0022] セラミック積層部9の各配線層9bには、各種配線電極14が形成されている。また、各セラミック層9aには、異なる配線層9bに形成された配線電極14同士を接続する複数のビア導体15が形成される。各配線電極14および各ビア導体15はそれぞれ、Cu、Ag、Al等の金属で形成される。各配線層9bに形成される各種配線電極14は、例えば、上記金属(Cu、Ag、Al等)を含有する導電性ペーストを用いたスクリーン印刷などで形成される。 [0023] 樹脂積層部10は、複数の樹脂層10aの積層体からなり、セラミック積層部9の上面13に積層される。ここで、樹脂積層部10の上面17(セラミック積層部9との対向面と反対側の主面)には、各プローブピン5が接続される複数の接続電極18が形成される。なお、各接続電極18は、例えば、Cu等で形成された下地電極と、該下地電極上にNi/Auめっきが施されてなる表面電極とでそれぞれ形成することができる。 [0024] 各樹脂層10aには、各種配線電極19および複数のビア導体20が形成される。この場合、各配線電極19は、例えば、樹脂層10aの主面に、下地電極としてのTi膜をスパッタ等により成膜し、同じくスパッタ等によりTi膜上にCu膜を成膜する。そして、Cu膜上に、電解または無電解めっきにより、同じくCu膜を成膜することで形成することができる。なお、セラミック積層部9に形成された各配線電極14は、スクリーン印刷などで形成されるため厚膜パターンとなるのに対して、樹脂積層部10に形成された各配線電極19は、スパッタ等で成膜されるため薄膜パターンとなる。また、樹脂積層部10に形成された各配線電極19は、フォトリソグラフィ加工で細線化される。 [0025] 各接続電極18は、マザー基板2の他方主面に形成された複数の外部電極(図示省略)にそれぞれ電気的に接続される。具体的には、図1および図2に示すように、各接続電極18は、それぞれ、樹脂積層部10に形成された各配線電極19および各ビア導体20、セラミック積層部9に形成された各配線電極14および各ビア導体15、マザー基板2に形成された配線電極(図示省略)およびビア導体(図示省略)等を介して所定の各外部電極(図示省略)に接続される。」 「[0033] さらに、コア基板7に樹脂積層部10を設けることで、配線の細線化が容易になるため、端子ピッチが狭い半導体素子の電気検査に対応可能な積層配線基板3aを提供することができる。また、セラミック積層部9の下面12、上面13に樹脂部8および樹脂積層部10を積層することで、樹脂部8および樹脂積層部10をプローブカード使用時の物理的接触による応力や衝撃を緩和する材料として機能させることができる。したがって、セラミック積層部9の変形や破損を低減し、積層配線基板3aの耐久性の向上を図ることができるとともに、各配線電極14の断線を低減することができる」 「[図1] [図:0001394830000001.jpg] 」 「[図2] [図:0001394830000002.jpg] 」 イ 段落[0025]の記載及び図2から認識できる事項の認定 段落[0025]の記載及び図2から、セラミック積層部9の各ビア導体15は樹脂積層部10の各ビア導体20に電気的に接続されていること、すなわち、セラミック積層部9は樹脂積層部10に電気的に接続されていることがわかる。 ウ 引用発明の認定 前記アの引用文献1の記載事項及び前記イの段落[0025]の記載及び図2から認識できる事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「 積層配線基板3aと、一端が積層配線基板3aに接続される複数のプローブピン5を備えるプローブカード1aであって、([0019]) 積層配線基板3aは、セラミック積層部9と、該セラミック積層部9の上面13に積層された樹脂積層部10を有するコア基板7を備え、([0021]) 樹脂積層部10の上面17には、各プローブピン5が接続される複数の接続電極18が形成され、([0023]) セラミック積層部9は樹脂積層部10に電気的に接続されている、([0025]、図2) プローブカード1a([0019])。」 (2) 引用文献3、5、6の記載事項と周知技術の認定 ア 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として引用された特開平07-321169号公報(前記引用文献3)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子が形成されたダイシング前のウエハやダイシング後のベアダイ、あるいは、これらのパッド上に板状、半球状のハンダボールが形成されたもの等の、微細な被検査体に対する電気的諸特性の測定、あるいは高温下で行われるバーンインテスト等に有用なプローブ構造に関し、特に被検査体との接点部がバンプであるものに関する。」 「【0007】 【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。図1は本発明のプローブ構造の一実施例を示す断面図である。同図に示すように、該プローブ構造は、絶縁性基板1の一方の面側1aに接点部2が形成され、該絶縁性基板1の他方の面側1bに導電性回路3が形成され、接点部2と導電性回路3とが、該絶縁性基板1の厚み方向に設けられた貫通孔4の内部に形成された導通路5を介して導通される構造であって、さらに、接点部2が、各硬度・性質を以下に説明するものであるような、深層2c・中層2b・表層2aを有するものである。(ただし、同図は、接点部2と導通路5とが同じ材料で一体的に形成された場合の例を示す図である。) 【0008】絶縁性基板の材料としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、絶縁性と共に可撓性を有するものが好ましく、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が挙げられる。これらのうち、耐熱性および機械的強度に優れ、また被検査体の線膨張率と合致させられる等の点から、ポリイミド系樹脂が特に好適に使用される。絶縁性基板の厚さは、特に限定されないが、十分な機械的強度や可撓性を有するようにするため、2~500μm、好ましくは5~150μm、さらに好ましくは8~150μm、最も好ましくは10~150μmに設定するのがよい。 【0009】導電性回路は、導体・半導体によって形成された回路パターンの他に、接点部、コイル、抵抗体、コンデンサ等の回路を構成する要素を包含する。導電性回路の材料としては導体・半導体を問わず導電性を有するものであれば特に限定されないが、公知の良導体金属が好ましい。例えば、金、銀、銅、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステン、ルテニウム等の単独金属、またはこれらを成分とする各種合金、例えば、半田、ニッケル-錫、金-コバルト等が挙げられる。導電性回路の厚さは特に限定されないが、電路としての抵抗値を小さくする点から1μm以上が好ましく、化学エッチング等による加工性の点から200μm以下が好ましい。これらの範囲内では特に5~50μmに設定するのが良い。」 「【0014】接点部は深層、中層、表層の3層を有する。また、深層と導通路とは、同一材料で一体的に形成されるものであってよい。深層は、硬度が300Hk以上、700Hk以下の導体であることを特徴とする。硬度300Hk未満では接点部が接触対象物に当接し圧力がかけられた際に変形しやすく、また、硬度700Hkを上回るとクラックが発生しやすくなる。深層の硬度のさらに好ましい範囲は、450~600Hkであり、特に好ましくは550~600Hkである。このような材料としては、特に限定はされないが、公知のバンプに用いられる安価な良導体金属が好ましいものであり、ニッケル、ニッケル・スズ合金、ニッケル・パラジウム合金等が例示される。また、深層と導通路とは、同一材料で一体的に形成されて導電性回路と接続される場合が多い。このような場合、深層を形成する材料は、導電性回路を形成する材料に対して、結晶学的に整合性を有し、密着が良く、拡散しにくいものであることが好ましい。例えば、導電性回路の材料が銅である場合、これに対する深層の材料は、ニッケルやニッケル合金が好ましい組み合わせとなる。硬度の調整方法は、絶縁性基板に熱によるダメージを与えない点から、合金化や有機物の添加によって調整することが好ましい。」 「【0019】本発明のプローブ構造は単独でもプローブとしての機能を有するが、以下に示す様に、多層配線板との接合によって高機能なプローブカードを構成する。図4は、該プローブカードの構造の一例を模式的に示す図である。同図に示すように、該プローブカードは、本発明のプローブ構造Aと多層配線板Bとが機械的、電気的に接合されてなるものであり、該プローブ構造Aは、多層配線板Bに対してストローク動作が可能なように該多層配線板B上に弾性体6を介して接合され、プローブ構造Aの導電性回路3と多層配線板Bの導電性回路7とが、上記ストローク動作を妨げないように接合されてなるものである。同図では、導電性回路3と導電性回路7との接続は、導電性回路3が延長されて絶縁性基板の端部から突き出し、多層配線板Bの表面までなだらかに屈曲し、多層配線板Bの表面に設けられた端子8に接合されることで行われている。該端子8は、プローブ構造Aの導通路と同様の構造によって多層配線板Bの下層に設けられた導電性回路7と導通し、外部の接続用機器等に接続される。」 「【図1】 [図:0001394830000003.jpg] 」 「【図4】 [図:0001394830000004.jpg] 」 イ 引用文献5の記載事項 当審が新たに引用する、本願の優先日より前に発行された特開平7-55839号公報には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。 「【0002】 【従来の技術】近年、半導体基板などの製造技術の発展がめざましく、それに伴いIC配線の微細パターン化が進み、このような微細パターンのICを搭載する半導体装置も年々増加している。通常、このような半導体装置は導通検査などを行う必要があり、針式のメカニカルプローブやメンブレン型プローブなどが用いられている。 【0003】メカニカルプローブは、接触用針によって一か所ずつ検査を行うものであるが、パターンの微細化に伴い、メカニカルプローブでは検査時の位置合わせが困難であること、および位置合わせ時にパターンを損傷するおそれがあることから、複数箇所を一括して検査することができるメンブレン型プローブが注目されている(例えば特開平3-237369号公報、特開平3-293566号公報など参照)。 【0004】メンブレン型プローブは、触針用の金属突出物(以下「バンプ」という。)を有するフィルム状回路基板であって、絶縁性フィルムと導電層との積層構造体における絶縁性フィルムに貫通孔を穿設し、この貫通孔に金属物質を充填し、さらに半球状(ドーム状)にバンプを形成した構造のものである。」 「【0022】図1は、本発明のプローブ構造の第1の実施例を示す断面図である。図1に示されるプローブ構造P1において、絶縁性基材1内には、回路配線であるリード2が埋設されており、このリード2は図示しない試験機器(テスター)に接続されている。リード2は、導通路4によって被検査体の回路パターンや半導体素子上の電極端子と電気的に接続され、所定の機能を有するか否かを導通検査できるように、所望の線状パターンにて配線される。」 「【0026】上記絶縁性基材1の形成材料としては、電気絶縁特性を有するものであり、適度な可撓性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂うち、導通検査の際の位置合わせの容易性の点から、透光性を有するものが好ましく、さらに、耐熱性および機械的強度の点から、ポリイミド系樹脂が特に好適に使用される。 【0027】絶縁性基材1の厚さは、特に限定されないが、十分な機械的強度や可撓性を有するようにするため、5~500μm、好ましくは5~150μmに設定する。 【0028】リード2、バンプ3および導通路4を構成する形成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、公知の金属材料が使用できるが、例えば金、銀、銅、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステン、ルテニウムなどの単独金属、またはこれらを成分とする各種合金、例えば、半田、ニッケル-錫、金-コバルトなどが挙げられる。なお、通常、被検査体の端子である電極上の酸化物層や配線パターン上の絶縁層を破壊することができるように、硬質で酸化しにくく、かつ電気抵抗の低い金属、例えば、ロジウム、ルテニウム、白金などの貴金属が好適に用いられる。」 「【0030】導通路4を構成する形成材料は、バンプ3を構成する形成材料と同一の物質または別の物質のいずれであってもよいが、通常は同一の物質を使用し、またこの場合、バンプ3と導通路4とを一体的に形成することが製造上好ましい。」 「【0037】図4は、本発明のプローブ構造の第4の実施例を示す断面図である。図4に示されるプローブ構造P4において注目すべきは、回路配線であるリードが多層構造を成し、バンプ3が密接して形成されている点である。すなわち、第1層目の第1リード2a、第2層目の第2リード2bおよび第3層目の第3リード2cには、それぞれ第1導通路4a、第2導通路4bおよび第3導通路4cが接続され、各導通路4a,4b,4cの先端にはバンプ3が形成されている。」 「【図1】 [図:0001394830000005.jpg] 」 「【図4】 [図:0001394830000006.jpg] 」 ウ 引用文献6の記載事項 当審が新たに引用する、本願の優先日より前に発行された特開平7-63786号公報には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。 「【0022】図1は、本発明のプローブ構造の第1の実施例を示す断面図である。図1に示されるプローブ構造P1において、絶縁性基材1内には、回路配線であるリード2が埋設されており、このリード2は図示しない試験機器(テスター)に接続されている。リード2は、導通路4によって被検査体の回路パターンや半導体素子上の電極端子と電気的に接続され、所定の機能を有するか否かを導通検査できるように、所望の線状パターンにて配線される。 【0023】上記リード2の面方向における領域内、またはその近傍領域には、絶縁性基材1を厚み方向に貫通する円柱状の導通路4が形成されており、この導通路4の先端には、絶縁性基材1の一方面1aよりも外方向へ突出させたバンプ3が形成されている。このバンプ3は、被検査体である例えば半導体素子の電極に接触する接点部位置に形成されている。上記バンプ3の形状は、特に限定されないが、半導体素子、電気回路、電気回路部品などの被検査体と確実に接触させるためには、図示するようなマッシュルーム形状とすることが好ましい。」 「【0029】柔軟性を有する絶縁基材1およびカバーコート3の材質としては、バンプ4を安定して支持し、電気絶縁特性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ベンゾサイクロブテン(BCBDow Chemical社製)、ポリエステル、フロロカーボン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、などの有機高分子材料を用いることができる。これらのうち、耐熱性および機械的強度に優れるポリイミドが特に好適に使用される。 【0030】絶縁基材1およびカバーコート3の厚さは、特に限定されないが、十分な機械的強度や可撓性を有するようにするため、2~200μm、好ましくは5~100μmに設定する。 【0031】第1導電性配線2の材質としては、銅の他に、Au,Ag,Be,Mo,Ni,Co,W,Ti,In,Zn,Al,Sn,Pb,Pt,Pdなどの金属またはこれらの合金を使用することができる。」 「【0037】バンプ4は、上記のようにして、貫通孔3aを穿設した後、貫通孔3aの底面に露出する第1導電性配線2を電極として、第1導電性配線2より電流を供給して、電解メッキを行うことによって、形成される。電解メッキを施すことによって、貫通孔3a内には金属が充填されて、導通路が形成され、さらにメッキを成長させることによって、リベット状の接続端子であるバンプ4が形成される。」 「【図1】 [図:0001394830000007.jpg] 」 エ 周知技術の認定 前記ウで摘記した引用文献6における、電解メッキを施すことによって形成された導通路及びさらにメッキを成長させることによって形成されるバンプ(【0037】)は、一体的に形成されたものといえる。 そうすると、前記ア~ウにおいて引用文献3、5、6の記載を摘記して例示したように、次の技術事項は、周知技術(以下「周知技術」という。)であると認められる。 [周知技術] 「薄膜基板の金属層上に一体的に形成された導通路とバンプ接点を有するプローブ構造。」 2 対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 次の引用発明の欄に記載した引用発明の各構成は、それぞれ、対応する本願発明の欄に記載した次の本願発明の構成に相当する。 <引用発明> <本願発明> プローブカード1a プローブカード装置 樹脂積層部10 薄膜基板 セラミック積層部9 第1の回路板 プローブピン5 プローブ イ 引用発明の「樹脂積層部10」が互いに対向する二つの面を有していることは明らかであり、これは本願発明1の「互いに対向する第1の表面と第2の表面を有する」ことに相当するから、前記アを踏まえると、引用発明と本願発明は「互いに対向する第1の表面と第2の表面を有する薄膜基板」を含む点で一致する。 ウ(ア) 引用発明の「セラミック積層部9」が互いに対向する二つの面を有していることは明らかであり、このことは、本願発明の「互いに対向する第3の表面と第4の表面を有[する]」ことに相当する。 (イ) 引用発明において「樹脂積層部10」が「セラミック積層部9の上面13に積層され[ている]」ことは、本願発明において「前記第3の表面は前記薄膜基板の前記第2の表面上に設けられ[ている]」ことに相当する。 (ウ) 引用発明において「セラミック積層部9は樹脂積層部10に電気的に接続されている」ことは、本願発明において「第1の回路板」が「前記薄膜基板に電気的に連結され[ている]」ことに相当する。 (エ) 前記(ア)から(ウ)の検討結果を前記アを踏まえつつまとめると、引用発明と本願発明は「互いに対向する第3の表面と第4の表面を有し、前記第3の表面は前記薄膜基板の前記第2の表面上に設けられ、前記薄膜基板に電気的に連結された第1の回路板」を含む点で一致する。 エ 引用発明において「樹脂積層部10の上面17には、各プローブピン5が接続される複数の接続電極18が形成され[ている]」ことから、「各プローブピン5」が樹脂積層部10の上面に形成されている複数の接続電極18に接続されていることは明らかであり、このことは、本願発明において「複数のプローブ」が「前記薄膜基板の前記第1の表面上に設けられ[ている]」ことに相当する。よって、前記アを踏まえると、引用発明と本願発明は「前記薄膜基板の前記第1の表面上に設けられた複数のプローブ」を含む点で一致する。 (2) 一致点及び相違点の認定 上記(1)の対比分析の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、以下の一致点において一致し、以下の相違点において相違する。 ア 一致点 「 プローブカード装置であって、 互いに対向する第1の表面と第2の表面を有する薄膜基板、 互いに対向する第3の表面と第4の表面を有し、前記第3の表面は前記薄膜基板の前記第2の表面上に設けられ、前記薄膜基板に電気的に連結された第1の回路板、及び 前記薄膜基板の前記第1の表面上に設けられた複数のプローブ を含むプローブカード装置」である点。 イ 相違点 本願発明においては、「前記プローブと前記薄膜基板とは一体成形されている」とされているのに対し、引用発明では「樹脂積層部10の上面17には、各プローブピン5が接続される複数の接続電極18が形成され[ている]」ものの、当該接続電極18と各プローブピン5が一体成形されるとはされていない点。 3 判断 (1) 相違点について 前記1(2)エにおいて周知技術として認定したとおり、「薄膜基板の金属層上に一体的に形成された導通路とバンプ接点を有するプローブ構造。」は、周知のものであり、例えば針式のメカニカルプローブや当該周知技術など周知のプローブ構造の中からいずれを選択するかは、検査対象の形状や端子密度などに応じて当業者が適宜選択すべき設計事項である。 したがって、引用発明の「各プローブピン5」に代えて、前記周知技術のようなプローブ構造を採用することは、当業者が容易に想到し得たものである。そして、引用発明において、樹脂積層部に導通路とバンプ接点を一体的に形成すれば、樹脂積層部とバンプ接点、すなわちプローブは一体的に形成、すなわち一体成形されることとなる。 そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。 (2) 請求人の主張について ア 請求人の主張内容 審判請求書において、請求人は次の(ア)~(ウ)の主張をしている。 (ア) 請求人の主張1~本願発明と引用発明の相違 本願発明に係るプローブカード装置は、複数のプローブと薄膜基板とが一体成形されているという特徴を有している。「一体成形」との語は、広義には「強度や耐久性を高めるために、複数の部品を一体として成形する方法」を指すものであるが、本願発明において「複数のプローブと薄膜基板とが一体成形されている」とは、とりわけ、プローブが、薄膜基板内の金属層上に「直接に」形成されて、薄膜基板内の金属層にしっかりと固定されていることを意味するものである。 引用文献1に記載のプローブカードにおけるプローブピン5は、積層配線基板3aの最上部にあたる樹脂積層部10の上面17に形成された接続電極18に単に接続されており、本願発明におけるプローブのように、薄膜基板内の金属層上に「直接に」形成されて、薄膜基板内の金属層にしっかりと固定されてはいない。また、上記のように積層配線基板3aの上面17に形成された接続電極18に単に接続する引用文献1の発明におけるプローブの接続態様は、本願発明の「一体成形」と比較して脆弱であるため、引用文献1に記載の発明では、従来装置の固定用ニードルベースに類似する機能を有するプローブヘッド4を用いて、各プローブピン5を積層配線基板3aに対して支持することが必要となっている。 引用文献1に記載の発明は、少なくとも、「複数のプローブと薄膜基板とが一体成形されている」という特徴を備えていない点で、本願発明とは異なる。また、プローブ5を、積層配線基板3aの上面17に形成された接続電極18への接続と、プローブヘッド4による支持との組合せで保持する引用文献1に記載の構成を、上記特徴を有する本願発明のプローブカード装置の構成に変更することは、引用文献1の記載から、本願出願前に当業者が容易に想到できたことであるとはいえない。 したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明に対して新規性及び進歩性を有する。 (イ) 請求人の主張2~本願発明は引用発明と引用文献3に記載された事項からは容易に想到し得ないこと 引用文献3における「絶縁性基板1」は内部に金属層を含まず、また、「接点部2と導通路5とが同じ材料で一体的に形成された」ものは、「絶縁性基板1」を貫通して、「絶縁性基板1」の下面側に形成された「導電性回路3」に接続されている。したがって、引用文献3に記載された発明における「接点部2と導通路5とが同じ材料で一体的に形成された」ものと「絶縁性基板1」とは、本願発明でいうところの「一体成形」された関係にはなく(すなわち、「接点部2と導通路5とが同じ材料で一体的に形成された」ものが、「絶縁性基板1」内に含まれる金属層上に「直接に」形成されて、「絶縁性基板1」内の金属層にしっかりと固定されているような関係にはなく)、引用文献3に記載された発明は、本願発明の特徴を有していない。 引用文献1に記載されたプローブ構造は、プローブピン5が、積層配線基板3aの上面17に形成された接続電極18に接続される構成を採用しているところ、引用文献3に記載されたプローブ構造は、「接点部2と導通路5とが同じ材料で一体的に形成された」ものが、絶縁性基板1を貫通して、絶縁性基板1の下面側に形成された導電性回路3に接続される構成を採用しており、両者の設計思想は根本的に異なり、当業者は、引用文献3の教示内容を、主引例である引用文献1に記載された発明に適用しようとは考えない。 (ウ) 請求人の主張3~補正案の提示 次の補正案(下線は、補正箇所を示す。)により特許することが可能である場合には、補正の機会を付与することを要請する。 <補正案> 「プローブカード装置であって、 互いに対向する第1の表面と第2の表面を有する薄膜基板であって、内部金属層を含む薄膜基板、 互いに対向する第3の表面と第4の表面を有し、前記第3の表面は前記薄膜基板の前記第2の表面上に設けられ、前記薄膜基板に電気的に連結された第1の回路板、及び 前記薄膜基板の前記第1の表面側に設けられた複数のプローブであって、前記プローブと前記薄膜基板とは、前記プローブが前記薄膜基板の前記内部金属層上に直接に形成されて一体成形されている、複数のプローブを含むプローブカード装置。」 イ 請求人の主張についての検討 (ア) 請求人の主張1についての検討 本願請求項1の「一体成形」なる表記の示す意味は、請求人も前記ア(ア)の主張1において広義の意味であると認めているように、「強度や耐久性を高めるために、複数の部品を一体として成形する方法」と解されるべきものであって、請求人が主張するように「一体成形」が、「プローブが、薄膜基板内の金属層上に「直接に」形成されて、薄膜基板内の金属層にしっかりと固定されていること」を意味すると解すべき理由はない。 そして、前記1(2)エにおいて周知技術として認定したとおり、「薄膜基板の金属層上に一体的に形成された導通路とバンプ接点を有するプローブ構造。」は、周知のものである。したがって、前記(1)において検討したとおり、引用発明の「各プローブピン5」に代えて、前記周知のプローブ構造を採用し、相違点に係る構成を有するようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 以上より、請求人の主張1は採用することはできない。 (イ) 請求人の主張2についての検討 請求人が主張2において主張する、引用文献3に記載された発明は本願発明の「一体成形」との特徴を有しない旨の主張は、本願発明の「一体成形」を「プローブが、薄膜基板内の金属層上に直接に成されて、薄膜基板内の金属層にしっかりと固定されていることを意味する」と解した上での主張と考えられるが、そのように解すべき理由はないことは前記(ア)に記載したとおりであるから、請求人の当該主張は採用できない。 また、請求人は主張2において、引用文献1に記載されたプローブ構造と、引用文献3に記載されたプローブ構造は設計思想が根本的に異なるものであるから、当業者はこれらの間での適用を考えない、と主張している。しかしながら、両者(及び前記周知技術のプローブ構造)は、いずれも電気的試験に用いられる、試験対象に接触して導通を実現するための接触端子構造であって、その用途は共通とするものであり、いずれも周知のプローブ構造であるところ、周知のプローブ構造の中からいずれを選択するかは、検査対象の形状や端子密度などに応じて当業者が適宜選択すべき設計事項であることは前記(1)で検討したとおりであるから、プローブ構造自体が相違するからといって、当業者がその適用を想到することに阻害要因があるとは認められない。 してみれば、前記1(2)エにおいて周知技術として認定したとおり、「薄膜基板の金属層上に一体的に形成された導通路とバンプ接点を有するプローブ構造。」は、周知のものであるから、前記(1)において検討したとおり、引用発明の「各プローブピン5」に代えて、当該周知のプローブ構造を採用することは、当業者が容易に想到し得たものである。 以上のとおりであるから、前記請求人の主張2は、採用することができない。 (ウ) 請求人の主張3についての検討 請求人の提示する補正案で特定されているような、薄膜基板の内部金属層上に一体的に形成された導通路とバンプ接点を有するプローブ構造も、引用文献5及び引用文献6に例示されるように周知技術である。したがって、当該補正案に示されたプローブカード装置も、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、請求人の提示した補正案により特許することはできないから、補正案は受け入れることができない。 第5 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-002591

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