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特許拒絶査定不服審判

2022-002507

精算装置、及び方法

審判番号
2022-002507
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-178764外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月21日
審決日
2023年01月30日
公報発行日
2023年03月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G07G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第44条第2項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-178764号「精算装置、及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和3年1月21日出願公開、特開2021-7060号、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成28年9月21日(特許法第44条第2項の規定により、本願はこの時に出願したものとみなす。)に出願された特願2016-184230号の一部を、令和元年9月3日に新たな特許出願とした特願2019-160375号の一部を、令和2年10月26日に新たな特許出願としたものであって、その経緯は、以下のとおりである。

令和 3年10月 7日付け:拒絶理由の通知
令和 3年12月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年12月 9日付け:拒絶査定
令和 4年 2月21日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項 1、2

・引用文献等 1、2

<引用文献等一覧>

1.特開2013-242839号公報

2.特開平11-345285号公報

第3 本願発明

本願の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、令和4年2月21日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置であって、
カードを検知するカード検知手段と、
前記カード検知手段によりカードが検知されなくなった場合に当該カードを認証し決済処理を実行するカード処理手段と、
続きを表示(全16行)
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置に対して、自装置が利用可能であるか否かを、送信する送信手段と、
を有し、
前記送信手段は、前記カードによる前記決済処理が実行されると、自装置が利用可能である旨を前記登録装置に送信する、
精算装置。
【請求項2】
顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置用のコンピュータが、
カード検知手段によりカードが検知されなくなった場合に、顧客の操作に基づいて当該カードを認証し決済処理を実行し、
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置に対して、自装置が利用可能であるか否かを、送信する、
処理を行い
前記送信する処理では、
前記カードによる前記決済処理が実行されると、自装置が利用可能である旨を前記登録装置に送信する、
方法。」

第4 引用文献等、引用発明

1 引用文献1

(1)記載事項

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本願の出願前に日本国内で頒布され、原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様である。)。

・「【0041】

以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明によるPOSシステムの一実施形態の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態において、POSシステム1は、ストアコントローラ10と、登録用POSレジスタ20と、3台の精算用POSレジスタ30とを含んで構成されている。ストアコントローラ10と、登録用POSレジスタ20と、3台の精算用POSレジスタ30とは、有線又は無線接続のLAN(Local Area Network)11で相互に接続されている。」

・「【0044】

登録用POSレジスタ20は、顧客が購入しようとする商品のデータを登録する処理を行う。データの登録は、例えば、商品に付されているバーコードを読み取ることで行う。

そのため、登録用POSレジスタ20には、例えば、顧客が購入する商品に付されたバーコード(商品コード)を店員の操作により読み取るスキャナが設けられている。本願においては、登録用POSレジスタ20によって登録され、精算処理において用いられる商品に関するデータを、登録データと呼ぶこととする。登録データは、購入しようとする商品すべての金額すなわち合計金額や、個々の商品の単価や個数の情報を含んでいる。なお、登録データは、購入しようとする商品すべての金額すなわち合計金額や、個々の商品の単価や個数の情報を呼出す識別情報(コード情報等)であってもよい。この場合、精算用POSレジスタ30が上述の識別情報(コード情報等)に基づいて、ストアコントローラ10、または、ストアコントローラ10の機能を有する登録用POSレジスタ20にリクエストを行ない登録データを受信するようにしてもよい。

また、登録用POSレジスタ20は、各精算用POSレジスタ30からステータス情報を受信して管理する。

【0045】

さらに、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に応じて、登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30を選択する。その際、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に基づいて、できるだけ待ち時間を少なくできるように、現在商品登録作業中の顧客がどの精算用POSレジスタ30で精算を行えばよいのかを判定する。すなわち、登録用POSレジスタ20は、複数の精算用POSレジスタ30から最適な1つを選択する。登録用POSレジスタ20は、例えば、空いている精算用POSレジスタ30を選択する。あるいは、全ての精算用POSレジスタ30が顧客で埋まっている場合には、登録用POSレジスタ20は、一番早く空きそうな精算装置を選択する。そして、登録用POSレジスタ20は、選択した精算用POSレジスタ30に対して、登録データを送信する。その登録データが示す商品を購入しようとする顧客は、当該登録データが送信された精算用POSレジスタ30を操作して、自分で精算処理を行うことができる。精算処理とは、購入しようとする商品の代金を、現金、電子マネー、クレジットカードなどを選択的に用いて支払い、決済する処理である。

【0046】

上記のステータス情報とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報である。進捗状況は、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中などの状況に分けられている。この進捗状況に基づき、登録用POSレジスタ20は、どの精算用POSレジスタ30を選択するのかという判定処理を行う。例えば、登録用POSレジスタ20は、空き状態の精算用POSレジスタ30を優先して選択する。また、空き状態の精算用POSレジスタ30が無ければ、レシート発行中のものを選択する。上記の待機状態、決済中、レシート発行中という3つの進捗状況は、精算処理中の段階を示すものであり、待機状態から決済中、決済中からレシート発行中へと進捗状況は移行する。よって、決済中よりもレシート発行中の方が進捗は進んでいることになり、空き状態のものが無ければ、レシート発行中のものを選択することで、一番早く空きそうな精算用POSレジスタ30を選択することができる。」

・「【0050】

一方、精算用POSレジスタ30は、顧客が自ら操作して精算処理を行うための装置であって、自動釣銭機やカードリーダ(例えばクレジットカードやポイントカード用)、RF(Radio Frequency)リーダ(例えば電子マネー用)などの決済用の機器を備えている。精算用POSレジスタ30は、また、ステータス情報を登録用POSレジスタ20へ随時送信する。」

・「【0053】

また、待機状態にある精算用POSレジスタ30に対する精算処理の流れは例えば次のように行うことができる。(1)まず、決済方法を選択する。現金、クレジットカード、電子マネー等のいずれかまたは併用する旨を顧客の操作に応じて選択する。(2)次に、決済を実行する。精算用POSレジスタ30が有する紙幣や硬貨の投入排出口への現金投入や釣り銭の支払い、カード読み取り機でのカード読み取り等によって決済を実行する。

(3)次に、精算用POSレジスタ30が有する印刷部を用いて、レシートを発行する。

レシートには、例えば、購入した商品の一覧、購入合計金額、受領金額、釣り金額等が印字される。(4)そして、精算用POSレジスタ30は、精算処理を終了し、空き状態となる。」

・「【0064】

一方、図3に示すように、精算用POSレジスタ30は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、スキャナ部304と、表示部305と、操作部306と、通信部307と、ブザー308と、印刷部309と、決済部310と、サインポール311と、人感知センサ312とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能である。」

・「【0070】

通信部307は、LAN11を介して、他の装置と通信する。例えば、ストアコントローラ10と接続して、ストアコントローラ10から最新の商品マスタを取得する。」

・「【0072】

決済部310は、釣銭釣札機、クレジットカードリーダ、電子マネーリーダ等と、それらの制御部とを備えて構成されていて、決済部310を用いて、現金、クレジット、電子マネーにより決済処理が行われる。決済部310は、釣銭釣札機によって、現金により決済を実行し、決済を実行した結果(例えば、決済が成立したか否かを示す情報)を、バスを介してCPU301に出力する。釣銭釣札機は、紙幣の投入及び排出をする紙幣投入口、硬貨を投入するための硬貨投入口、釣銭を排出する釣銭排出口とを備えている。また、決済部310は、クレジットにより決済を実行し、決済を実行した結果を、ポート及びバスを介してCPU301に出力する。また、決済部310は、電子マネーにより決済を実行し、決済を実行した結果を、バスを介してCPU301に出力する。」

・「【0075】

次に、図5を参照して、図1~図4を参照して説明したPOSシステム1の動作例について説明する。図5に示した動作例では、ストアコントローラ10と、登録用POSレジスタ20及び各精算用POSレジスタ30との間で、所定のデータの送受信が完了済みであるとしている。よって、登録用POSレジスタ20及び各精算用POSレジスタ30における処理及びそれらの間のデータのやりとりのみを示している。また図5では、図1に示した3台の精算用POSレジスタ30を、精算用POSレジスタ30a~30cとして示している。また、図5の動作例では、開始時に、3台の精算用POSレジスタ30a~30cがすべて空き状態であるとしている。」

・「【0081】

ここで、精算用POSレジスタ30aに顧客が到着し、操作部306等に対する所定の操作が行われたり、人感知センサ312によって人の接近が感知されたりすることで、決済処理が開始される(ステップS30)。ステップS30で開始された決済処理では、表示部305に操作方法などが示され、顧客の操作に応じて、決済方法の選択や、選択された決済方法による決済が行われる。精算用POSレジスタ30aは、ステップS30で決済処理を開始すると、決済中であることを示すステータス情報を送信する(ステップS31)。登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS32)。RAM203の所定の記憶領域に記憶されている精算用POSレジスタ30aのステータス情報を待機状態から決済中に更新する(ステップS33)。

【0082】

次に、精算用POSレジスタ30aで所定の決済方法による決済処理が終了すると(ステップS34)、精算用POSレジスタ30aはレシートの発行処理を開始する(ステップS35)。精算用POSレジスタ30aは、ステップS35でレシートの発行処理を開始すると、レシート発行中であることを示すステータス情報を送信する(ステップS36)。登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS37)。RAM203の所定の記憶領域に記憶されている精算用POSレジスタ30aのステータス情報を決済中からレシート発行中に更新する(ステップS38)。

【0083】

次に、精算用POSレジスタ30aは、レシートの発行を終了すると(ステップS39)、空き状態に移行し、空き状態であることを示すステータス情報を送信する(ステップS40)。登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS41)。RAM203の所定の記憶領域に記憶されている精算用POSレジスタ30aのステータス情報をレシート発行中から空き状態に更新する(ステップS42)。」

・「【0090】

この例において、登録装置320は、精算装置310をカード決済処理が終了するまで利用対象から除外してもよい。このようにすれば、クレジットカードが取り出されていない状態の精算装置310をクレジットカードが取り出されるまで利用できないようにすることが可能である。」

(2)引用発明

上記(1)から、決済手段がクレジットカードの例を考えると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、改行直前の括弧は参照箇所の段落を示している。以下も同様。

「登録用POSレジスタ20と、3台の精算用POSレジスタ30とを含み、登録用POSレジスタ20と3台の精算用POSレジスタ30とが相互に接続されているPOSシステム1における、精算用POSレジスタ30であって(【0041】)、
登録用POSレジスタ20は、顧客が購入しようとする商品のデータを登録する処理を行い、登録用POSレジスタ20には、顧客が購入する商品に付されたバーコード(商品コード)を店員の操作により読み取るスキャナが設けられ、登録用POSレジスタ20は、各精算用POSレジスタ30からステータス情報を受信して管理し(【0044】)、
登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に応じて、登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30を選択し、その際、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に基づいて、顧客がどの精算用POSレジスタ30で精算を行えばよいのかを判定し(【0045】)、
ステータス情報とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報であり、進捗状況は、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中などの状況に分けられ、この進捗状況に基づき、登録用POSレジスタ20は、どの精算用POSレジスタ30を選択するのかという判定処理を行い(【0046】)、
続きを表示(全13行)
精算用POSレジスタ30は、顧客が自ら操作して精算処理を行うための装置であって、カードリーダ(例えばクレジットカードやポイントカード用)などの決済用の機器を備えており、精算用POSレジスタ30は、また、ステータス情報を登録用POSレジスタ20へ随時送信し(【0050】)、
精算用POSレジスタ30は、CPU301と、通信部307と、決済部310とを備え(【0064】)、
通信部307は、LAN11を介して、他の装置と通信し(【0070】)、
決済部310は、クレジットカードリーダを備えて構成されていて、決済部310を用いて、クレジットにより決済処理が行われ、決済部310は、クレジットにより決済を実行し、決済を実行した結果をCPU301に出力し(【0072】)、
POSシステム1の動作例について、3台の精算用POSレジスタ30を、精算用POSレジスタ30a~30cとして示すと(【0075】)、
精算用POSレジスタ30aに顧客が到着し、操作部306等に対する所定の操作が行われたり、人感知センサ312によって人の接近が感知されたりすることで、決済処理が開始され(ステップS30)、ステップS30で開始された決済処理では、表示部305に操作方法などが示され、顧客の操作に応じて、決済方法の選択や、選択された決済方法による決済が行われ、精算用POSレジスタ30aは、ステップS30で決済処理を開始すると、決済中であることを示すステータス情報を送信し(ステップS31)、登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS32)、精算用POSレジスタ30aのステータス情報を待機状態から決済中に更新し(ステップS33)(【0081】)、
次に、精算用POSレジスタ30aで所定の決済方法による決済処理が終了すると(ステップS34)、精算用POSレジスタ30aはレシートの発行処理を開始し(ステップS35)、精算用POSレジスタ30aは、ステップS35でレシートの発行処理を開始すると、レシート発行中であることを示すステータス情報を送信し(ステップS36)、登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS37)、精算用POSレジスタ30aのステータス情報を決済中からレシート発行中に更新し(ステップS38)(【0082】)、
次に、精算用POSレジスタ30aは、レシートの発行を終了すると(ステップS39)、空き状態に移行し、空き状態であることを示すステータス情報を送信し(ステップS40)、登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS41)し、精算用POSレジスタ30aのステータス情報をレシート発行中から空き状態に更新する(ステップS42)(【0083】)、
精算用POSレジスタ30。」

2 引用文献2

(1)記載事項

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本願の出願前に日本国内で頒布され、原査定の拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

・「【発明の名称】カード処理装置およびカード抜き忘れ防止方法」

・「【0006】そこで本発明は、暗証番号入力装置のカードリーダ部に装着されたカードの抜き忘れを確実に防止することができるカード処理装置を提供しようとするものである。また本発明は、暗証番号入力装置のカードリーダ部に装着されたカードの抜き忘れを確実になくすことのできるカード抜き忘れ防止方法を提供しようとするものである。」

・「【0018】はじめに、クレジット処理装置本体1のCPU41は、クレジット宣言キーの入力を検知すると、ST(ステップ)1として通信インタフェース44を介してピンパッド2にカードデータ要求コマンドを送信する。これにより、ピンパッド2のCPU51は、ST2として通信インタフェース54を介して入力されたコマンドがカードデータ要求コマンドであることを確認すると、先ず、ST3としてカードセンサ24からの信号によりICカードリーダ23にクレジットカードCが装着されているか否かを判断する。そして、装着されていないと判断した場合には、装着されるのを待機する。ST3にてICカードリーダ23にクレジットカードCが装着されていると判断した場合には、ST4としてカードリーダコントローラ57を介してICカードリーダ23で読取られているクレジットカードCのカードデータを取込み、RAM53に一時格納する。次に、ST5としてキーボード21からクレジットカードCの暗証番号が置数入力されるのを待機する。そして、キーボードコントローラ55を介して暗証番号の置数データを入力したならば、ST6としてこの暗証番号データと前記クレジットカードCのカードデータとを含む応答伝文を作成して、通信インタフェース54を介してクレジット処理装置本体1に送信する。

【0019】クレジット処理装置本体1のCPU41は、ST1にてカードデータ要求コマンドを送信した後、ST7としてピンパッド2からの応答伝文を待機している。そして、予め設定された応答受信に充分な時間を経過する前に通信インタフェース44を介してピンパッド2からの応答伝文を受信すると、ST8としてその応答伝文にクレジットカードCのカードデータが含まれているか、またST9としてその応答伝文にクレジットカードCの暗証番号データが含まれているかをチェックする。そして、カードデータおよび暗証番号データの両方が含まれていることを確認すると、ST10として通信インタフェース44を介してピンパッド2にカード抜脱要求コマンドを送信する。これにより、ピンパッド2のCPU51は、ST11として通信インタフェース54を介して入力されたコマンドがカード抜脱要求コマンドであることを確認すると、ST12として表示器22にクレジットカードCの抜き取りを要求するメッセージ(例えば「カードを抜いて下さい」)を表示させる。

【0020】クレジット処理装置本体1のCPU41は、ST10にてカード抜脱要求コマンドを送信した後、ST13としてピンパッド2から取込んだクレジットカードデータおよび暗証番号データに基づいて通常のクレジット処理を実行する。このクレジット処理は、キーボード11から入力されるクレジット支払い金額,支払い方法等のデータとともにクレジットカードデータおよび暗証番号データを伝送コントローラ48を介してクレジット会社のホストコンピュータに伝送して、信用チェックを行う処理である。そして、上記ホストコンピユータからクレジットを承認する応答があると、この商品売買取引のクレジット伝票を作成する処理を含む。

【0021】しかして、クレジット処理装置本体1のCPU41は、上記クレジット処理を実行し、クレジット伝票の印字データをRAM43に格納すると、ST14として通信インタフェース44を介してピンパッド2にカード抜脱確認コマンドを送信する。これにより、ピンパッド2のCPU51は、ST15として通信インタフェース54を介して入力されたコマンドがカード抜脱確認コマンドであることを確認すると、ST16としてカードセンサ24からの信号によりICカードリーダ23にクレジットカードCが装着されているか否かを判断する。そして、装着されていないと判断した場合には、ST17としてカード無しを示すデータを含む応答伝文を作成する。これに対し、装着されていると判断した場合には、ST18としてカード有りを示すデータを含む応答伝文を作成する。しかる後、ST19として上記カード無し応答伝文またはカード有り応答伝文を通信インタフェース54を介してクレジット処理装置本体1に送信するものとなっている。

・・・

【0027】このように本実施の形態のクレジット処理装置においては、クレジット処理装置本体1がピンパッド2から取込んだカードデータおよび暗証番号データに基づきクレジット処理を開始すると、ピンパッド2にカード抜脱確認コマンドを送信して、クレジットカードCが抜脱されたか否かの問合わせを行う。これにより、ピンパッド2は、ICカードリーダ23に装着されたクレジットカードCが抜脱されたか否かをチェックし、クレジットカードCが抜脱されていない場合にはカード有り応答伝文を、クレジットカードCが抜脱されている場合にはカード無し応答伝文をクレジット処理装置本体1に送信する。ここで、クレジット処理装置本体1は、ピンパッド2からカード有り応答を受信した場合には、表示器12にクレジットカードCの抜き忘れを防止するメッセージを表示し、一定時間を待機した後、カード抜脱確認コマンドをピンパッド2に再度送信する。こうして、ピンパッド2からクレジットカードCが抜脱された旨の応答が通知されるまでクレジット処理の終了を禁止する。そして、ピンパッド2からカード無し応答を受信したならば、クレジット処理の終了を許容し、プリンタ13を動作させて、クレジット伝票を印字発行するものとなっている。」

(2)図示事項

・図3

「
[図:0001394823000001.jpg]
」

(3)引用文献2に記載された事項

上記(1)(2)を踏まえると、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。

「カードリーダ部に装着されたカードの抜き忘れを確実に防止するために(【0006】)、
ST1として、クレジット処理装置本体1のCPU41は、カードデータ要求コマンドを送信し(【0018】)、
その後、ST8~ST10として、応答伝文にカードデータおよび暗証番号データの両方が含まれていることを確認すると、カード抜脱要求コマンドを送信し(【0019】)、
その後、ST10にてカード抜脱要求コマンドを送信した後、ST13として取込んだクレジットカードデータおよび暗証番号データに基づいて通常のクレジット処理を実行し(【0020】)、
その後、ST14として、カード抜脱確認コマンドを送信し(【0021】)、
その後、カード無し応答を受信したならば、クレジット処理の終了を許容し、プリンタ13を動作させて、クレジット伝票を印字発行する(図3のST20~24、26の記載、【0027】)、
カード処理装置。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「顧客」は前者の「顧客」に相当し、以下同様に、「顧客が自ら操作」することは「顧客の操作」に、「決済処理」は「決済処理」に、「精算用POSレジスタ30」及び「精算用POSレジスタ30a~30c」は「精算装置」に、「クレジットカード」は「カード」に、「カードリーダ」は「カード検知手段」に、「店員」は「店員」に、「顧客が購入しようとする商品」は「購入対象の商品」に、「データを登録する処理」は「登録する」に、「店員の操作により読み取るスキャナ」は「登録装置」に、「通信部307」は「送信手段」に、それぞれ相当する。

そして、上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。

イ 後者の「精算用POSレジスタ30」は、「顧客が自ら操作して精算処理を行うための装置」であるから、前者の「顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置」に相当する。

ウ 後者の「カードリーダ」は、カードを検知することは自明なので、前者の「カードを検知するカード検知手段」に相当する。

エ 後者の「精算用POSレジスタ30」は、「決済部310」を備え、「決済部310を用いて、クレジットにより決済処理が行われ、決済部310は、クレジットにより決済を実行し、決済を実行した結果をCPU301に出力」するものである。そして「クレジットにより決済を実行」する際に、クレジットカードの「認証」が必要なことは技術的に自明である。

そうすると、後者の「決済部310」と、前者の「前記カード検知手段によりカードが検知されなくなった場合に当該カードを認証し決済処理を実行するカード処理手段」とは、「前記カードを認証し決済処理を実行するカード処理手段」において共通する。

オ

(ア)後者の「登録用POSレジスタ20」は、「顧客が購入する商品に付されたバーコード(商品コード)を店員の操作により読み取るスキャナが設けられ」て、「顧客が購入しようとする商品のデータを登録する処理を行う」ものであるから、前者の「店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置」に相当する。

(イ)後者の「精算用POSレジスタ30」は、「通信部307」を備え、「通信部307は、LAN11を介して、他の装置と通信」する機能を備えている。また、「精算用POSレジスタ30」は、「ステータス情報を登録用POSレジスタ20へ随時送信」するものである。

さらに、その「ステータス情報」とは、「精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報であり、進捗状況は、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中などの状況に分けられ、この進捗状況に基づき、登録用POSレジスタ20は、どの精算用POSレジスタ30を選択するのかという判定処理を行」うものである。

これらを踏まえると、後者の「通信部307」は、「登録用POSレジスタ20」に対して、「どの精算用POSレジスタ30が利用可能であるか」を判定するための「ステータス情報」を送信する送信手段といえる。

そうすると、後者の「通信部307」が「登録用POSレジスタ20」に対して、「どの精算用POSレジスタ30が利用可能であるか」を判定するための「ステータス情報」を送信することは、前者の「送信手段」が「登録装置に対して、自装置が利用可能であるか否かを、送信する」ことに相当するといえる。

(ウ)そうすると、上記(ア)(イ)を踏まえると、後者の「通信部307」は、前者の「店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置に対して、自装置が利用可能であるか否かを、送信する送信手段」に相当する。

カ

(ア)決済前後の処理に関して、後者の

「精算用POSレジスタ30aで所定の決済方法による決済処理が終了すると(ステップS34)、精算用POSレジスタ30aはレシートの発行処理を開始し(ステップS35)、精算用POSレジスタ30aは、ステップS35でレシートの発行処理を開始すると、レシート発行中であることを示すステータス情報を送信し(ステップS36)、登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS37)、精算用POSレジスタ30aのステータス情報を決済中からレシート発行中に更新し(ステップS38)、
次に、精算用POSレジスタ30aは、レシートの発行を終了すると(ステップS39)、空き状態に移行し、空き状態であることを示すステータス情報を送信し(ステップS40)、登録用POSレジスタ20は、精算用POSレジスタ30aからステータス情報を受信し(ステップS41)し、精算用POSレジスタ30aのステータス情報をレシート発行中から空き状態に更新する(ステップS42)」

という構成によると、後者の「精算用POSレジスタ30a」は、「所定の決済方法による決済処理が終了すると」「ステータス情報を決済中からレシート発行中に更新し」、「レシートの発行を終了すると」「空き状態に移行し、空き状態であることを示すステータス情報」を「登録用POSレジスタ20」に送信するものといえる。

(イ)上記(ア)の後者の構成における「ステータス情報」の送信は、上記オを踏まえると、「通信部307」によって送信されることが理解できる。

(ウ)上記(ア)の後者の構成の「所定の決済方法」が「クレジットカード」による決済の例では、後者の「通信部307」は、クレジットカードによる決済処理が終了するとステータス情報を決済中からレシート発行中に更新するものということができる。

(エ)(「自装置が利用可能」について)後者の「登録用POSレジスタ20」は、「待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中」などの進捗状況に基づき、登録用POSレジスタ20は、どの精算用POSレジスタ30を選択するのかという判定処理を行うものである。よって、上記(ア)の構成の「空き状態」は、前者の「自装置が利用可能」である状態に相当する。

(オ)そうすると、上記(ア)~(エ)を踏まえると、後者の「通信部307」が、クレジットカードによる決済処理が終了するとステータス情報を決済中からレシート発行中に更新し、レシートの発行を終了すると「空き状態」に移行し、「空き状態」であるステータス情報を登録用POSレジスタ20に送信することは、前者の「前記送信手段は、前記カードによる前記決済処理が実行されると、自装置が利用可能である旨を前記登録装置に送信する」ことに相当する。

キ 上記ア~カより、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置であって、
カードを検知するカード検知手段と、
当該カードを認証し決済処理を実行するカード処理手段と、
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置に対して、自装置が利用可能であるか否かを、送信する送信手段と、
を有し、
前記送信手段は、前記カードによる前記決済処理が実行されると、自装置が利用可能である旨を前記登録装置に送信する、
精算装置。」

<相違点>

カードを認証し決済処理を実行するカード処理手段に関して、本願発明1では、「前記カード検知手段によりカードが検知されなくなった場合に」当該カードを認証し決済処理を実行するのに対し、引用発明では、決済部310を用いてクレジットにより決済処理が行われる際に、そのような特定はない点。

(2)判断

ア 本願発明1と引用文献2に記載された事項とを対比すると、後者の「クレジットカードデータおよび暗証番号データに基づいて通常のクレジット処理を実行」することは、前者の「カードを認証し決済処理を実行する」ことに相当する。

しかしながら、引用文献2に記載された事項は、応答伝文にカードデータおよび暗証番号データの両方が含まれていることを確認すると、カード抜脱要求コマンドを送信し、その後、カードを認証し決済処理を実行するものであるから、「前記カード検知手段によりカードが検知されなくなった場合」に当該カードを認証し決済処理を実行するものではない。

よって、引用文献1、2のいずれにも「カード検知手段によりカードが検知されなくなった場合に当該カードを認証し決済処理を実行する」構成、すなわち相違点に係る本願発明1の構成は、記載も示唆もされていない。

イ 効果について検討すると、本願発明1には、「カード検知手段によりカードが検知されなくなった場合」に当該カードを認証し決済処理することにより、「クレジットカードが取り出されていない状態の精算装置310をクレジットカードが取り出されるまで利用できないようにする」(【0090】)という顕著な作用効果が認められる。

(3)本願発明1についてのまとめ

本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

2 本願発明2について

本願発明2は、本願発明1と実質的に同様の構成を有する「方法」の発明である。

そうすると、本願発明2も、本願発明1と同様の理由(上記1の説示を参照)により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1、2は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-002507

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