特許拒絶査定不服審判
2022-002156
積層型パッチアンテナ
- 審判番号
- 2022-002156
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-549450外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年02月14日
- 審決日
- 2023年02月20日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アモテック・カンパニー・リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人共生国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H01Q) / P18 .572-WZ (H01Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-549450「積層型パッチアンテナ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月20日国際公開、WO2018/169239、令和 2年 4月 2日国内公表、特表2020-510346〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)3月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年3月14日、大韓民国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 9月28日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 1月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 4月 1日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 3年 7月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年10月 4日付け:令和3年7月12日の手続補正についての
補正の却下の決定、拒絶査定(原査定)
令和 4年 2月14日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年 9月 8日付け:令和4年2月14日の手続補正についての
補正の却下の決定、拒絶理由通知書(最後
)
令和 4年12月13日 :意見書、手続補正書の提出
第2 令和4年12月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年12月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおり補正された。なお、下線は補正箇所を示し、請求人が付したものである。
「【請求項1】
第1貫通ホールが形成され、前記第1貫通ホールから離隔した第4貫通ホールが形成された上部パッチアンテナと、
第2貫通ホール、第3貫通ホール、および第5貫通ホールが互いに離隔して形成された下部パッチアンテナと、
前記第1貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第1上部給電ピンと、
前記第4貫通ホール、前記第5貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第2上部給電ピンと、
前記第3貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した下部給電ピンと、
前記第2貫通ホールおよび前記第5貫通ホールの内部に形成された金属層と、を含み、
前記下部パッチアンテナはベース基材を含み、上部放射パッチは前記ベース基材の一面に配列され、下部放射パッチは前記ベース基材の他面に配列され、
前記金属層は、前記第2貫通ホールの内壁面に形成され、前記上部放射パッチおよび前記下部放射パッチに連結された第1金属層と、前記第5貫通ホールの内壁面に形成され、前記上部放射パッチおよび前記下部放射パッチに連結された第2金属層と、を含み、
前記第1金属層は、前記第2貫通ホールを貫通する前記第1上部給電ピンの外周と離隔して配置され、
前記第2金属層は、前記第5貫通ホールを貫通する前記第2上部給電ピンの外周と離隔して配置され、
前記第2貫通ホールは、前記下部パッチアンテナの中心点から離隔して形成された、ことを特徴とする積層型パッチアンテナ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和3年1月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
第1貫通ホールと、前記第1貫通ホールから離隔した第4貫通ホールが形成された上部パッチアンテナと、
第2貫通ホールおよび第3貫通ホールが離隔して形成され、前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールと離隔した第5貫通ホールが形成された下部パッチアンテナと、
前記第1貫通ホールおよび第2貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第1上部給電ピンと、
前記第4貫通ホール、前記第5貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第2上部給電ピンと、
前記第3貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した下部給電ピンと、
前記第2貫通ホールの内壁面に形成された第1金属層と、
前記第5貫通ホールの内壁面に形成された第2金属層と、
を含み、
前記第2貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第1仮想線と、前記第5貫通ホーと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第2仮想線は設定角度をもって形成されることを特徴とする積層型パッチアンテナ。」
なお、当該請求項1の記載中、「前記第5貫通ホーと」とあるのは、「前記第5貫通ホールと」の誤記と認める。
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2貫通ホール」、「第5貫通ホール」、及び「下部パッチアンテナの中心点」の位置関係について、「下部パッチアンテナ」において、「前記第2貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第1仮想線と、前記第5貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第2仮想線は設定角度をもって形成される」ものから、「下部パッチアンテナ」において、「前記第2貫通ホールは、前記下部パッチアンテナの中心点から離隔して形成された」ものにする補正を含むものである。
すなわち、本件補正前の請求項1に記載された発明では、「前記第2貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第1仮想線」と、「前記第5貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第2仮想線」が存在し、両者の仮想線は「設定角度をもって形成される」ことから、少なくとも「第1仮想線」の長さと「第2仮想線」の長さの双方は、いずれもゼロではないため、下部パッチアンテナにおける「第2貫通ホール」と「第5貫通ホール」の位置は、いずれも「下部パッチアンテナの中心点」とは一致し得ない。
一方、本件補正による請求項1に記載された発明では、「前記第2貫通ホールは、前記下部パッチアンテナの中心点から離隔して形成された」ことから、下部パッチアンテナにおける「第2貫通ホール」の位置は、「下部パッチアンテナの中心点」とは一致し得ないが、「第5貫通ホール」については、本件補正前の「第2仮想線」という発明特定事項が削除され、「下部パッチアンテナの中心点」との位置関係を特定している記載がないことから、下部パッチアンテナにおける「第5貫通ホール」の位置は、「下部パッチアンテナの中心点」と一致し得る。
したがって、本件補正後の請求項1に記載された発明は、「下部パッチアンテナ」における「第5貫通ホール」の位置について、本件補正前の請求項1に記載された発明を拡張するものであり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正、及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもないことは明らかであるから、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもない。
3 小括
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年1月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 当審における拒絶の理由
令和4年9月8日付けで当審において通知した拒絶の理由は、この出願の請求項1~9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
引用文献1:特開平5-211406号公報
引用文献2:韓国公開特許第10-2014-0095130号公報
3 引用文献
(1)引用文献2について
当審における拒絶の理由に引用された前記引用文献2(2014年8月1日出願公開。)には、図面とともに、次の記載がある(訳は当審訳。)。
「
[図:0001399946000001.jpg]
」
(当審訳:
[0009]しかし、車両用シャークアンテナの限定的な実装空間にSDARS、Telematics、FM、T-DMBなどのアンテナが装着されながら実装空間の不足さにもGPS用アンテナとGLONASS用アンテナを同時に実装することは設計上多くの制約があり、車両用シャークアンテナの価格の上昇する問題点がある。)
「
[図:0001399946000002.jpg]
」
(当審訳:
[0011]上記した目的を果たすために本発明の実施例による積層型パッチアンテナは、第1貫通ホールと第2貫通ホールが離隔されて設定角度に形成される上部パッチアンテナ部;第3貫通ホール及び第4貫通ホールが離隔されて設定角度に形成されて、第1貫通ホール(当審注:「第3貫通ホール」の誤記と認める。)及び第4貫通ホールと離隔されて第5貫通ホールが形成される下部パッチアンテナ部;片側が第1貫通ホール及び第3貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される第1給電ピン;片側が第2貫通ホール及び第4貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される第2給電ピン;及び片側が第5貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される第3給電ピンを含む。)
「
[図:0001399946000003.jpg]
」
(当審訳:
[0013]第3貫通ホールと下部パッチアンテナ部の中心点を結ぶ仮想線と第4貫通ホールと下部パッチアンテナ部の中心点を結ぶ仮想線は交差して設定角度に形成される。)
「
[図:0001399946000004.jpg]
」
(当審訳:
[0014]設定角度は70度以上110度以下である。)
「
[図:0001399946000005.jpg]
」
(当審訳:
[0042]図4に図示されたように、上部パッチアンテナ部(110)は第1放射パッチ(113)、第1ベース層(114)、第1下部パッチ(115)を含んで構成される。)
「
[図:0001399946000006.jpg]
」
(当審訳:
[0049]このように、第1放射パッチ(113)に形成された第1-1貫通ホール(111a)と、第1ベース層(114)に形成された第1-2貫通ホール(111b)、及び第1下部パッチ(115)に形成された第1-3貫通ホール(111c)は等しい位置に形成されて第1給電ピン(130)が貫く第1貫通ホール(111)を形成する。)
「
[図:0001399946000007.jpg]
」
(当審訳:
[0050]また、第1放射パッチ(113)に形成された第2-1貫通ホール(112a)と、第1ベース層(114)に形成された第2-2貫通ホール(112b)、及び第1下部パッチ(115)に形成された第2-3貫通ホール(112c)は等しい位置に形成されて第2給電ピン(140)が貫く第2貫通ホール(112)を形成する。)
「
[図:0001399946000008.jpg]
」
(当審訳:
[0055]図7に図示されたように、下部パッチアンテナは第2放射パッチ(124)、第2ベース層(125)、第2下部パッチ(126)を含んで構成される。)
「
[図:0001399946000009.jpg]
」
(当審訳:
[0065]このように、第2放射パッチ(124)に形成された第3-1貫通ホール(121a)と、第2ベース層(125)に形成された第3-2貫通ホール(121b)、及び第2下部パッチ(126)に形成された第3-3貫通ホール(121c)は等しい位置に形成されて、上部パッチアンテナ部(110)の下部に突出された第1給電ピン(130)の片側が貫く第3貫通ホール(121)を形成する。)
「
[図:0001399946000010.jpg]
」
(当審訳:
[0066]第2放射パッチ(124)に形成された第4-1貫通ホール(122a)と、第2ベース層(125)に形成された第4-2貫通ホール(122b)、及び第2下部パッチ(126)に形成された第4-3貫通ホール(122c)は等しい位置に形成されて、上部パッチアンテナ部(110)の下部に突出された第2給電ピン(140)の片側が貫く第4貫通ホール(122)を形成する。)
「
[図:0001399946000011.jpg]
」
(当審訳:
[0067]第2放射パッチ(124)に形成された第5-1貫通ホール(123a)と、第2ベース層(125)に形成された第5-2貫通ホール(123b)、及び第2下部パッチ(126)に形成された第5-3貫通ホール(123c)は等しい位置に形成されて、第3給電ピン(150)の片側が貫く第5貫通ホール(123)を形成する。)
「
[図:0001399946000012.jpg]
」
(当審訳:図1)
「
[図:0001399946000013.jpg]
」
(当審訳:図4)
「
[図:0001399946000014.jpg]
」
(当審訳:図7)
したがって、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「第1貫通ホールと第2貫通ホールが離隔されて設定角度に形成される上部パッチアンテナ部と、
第3貫通ホール及び第4貫通ホールが離隔されて設定角度に形成されて、第3貫通ホール及び第4貫通ホールと離隔されて第5貫通ホールが形成される下部パッチアンテナ部と、
片側が第1貫通ホール及び第3貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される第1給電ピンと、
片側が第2貫通ホール及び第4貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される第2給電ピンと、
片側が第5貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される第3給電ピンと、
を含み([0011])、
第3貫通ホールと下部パッチアンテナ部の中心点を結ぶ仮想線と第4貫通ホールと下部パッチアンテナ部の中心点を結ぶ仮想線とは交差して設定角度に形成される([0013])、
積層型パッチアンテナであって([0011])、
上部パッチアンテナ部(110)は第1放射パッチ(113)、第1ベース層(114)、第1下部パッチ(115)を含んで構成され([0042])、
第1放射パッチ(113)に形成された第1-1貫通ホール(111a)と、第1ベース層(114)に形成された第1-2貫通ホール(111b)、及び第1下部パッチ(115)に形成された第1-3貫通ホール(111c)は等しい位置に形成されて第1給電ピン(130)が貫く第1貫通ホール(111)を形成し([0049])、
第1放射パッチ(113)に形成された第2-1貫通ホール(112a)と、第1ベース層(114)に形成された第2-2貫通ホール(112b)、及び第1下部パッチ(115)に形成された第2-3貫通ホール(112c)は等しい位置に形成されて第2給電ピン(140)が貫く第2貫通ホール(112)を形成し([0050])、
下部パッチアンテナは第2放射パッチ(124)、第2ベース層(125)、第2下部パッチ(126)を含んで構成され([0055])、
第2放射パッチ(124)に形成された第3-1貫通ホール(121a)と、第2ベース層(125)に形成された第3-2貫通ホール(121b)、及び第2下部パッチ(126)に形成された第3-3貫通ホール(121c)は等しい位置に形成されて、上部パッチアンテナ部(110)の下部に突出された第1給電ピン(130)の片側が貫く第3貫通ホール(121)を形成し([0065])、
第2放射パッチ(124)に形成された第4-1貫通ホール(122a)と、第2ベース層(125)に形成された第4-2貫通ホール(122b)、及び第2下部パッチ(126)に形成された第4-3貫通ホール(122c)は等しい位置に形成されて、上部パッチアンテナ部(110)の下部に突出された第2給電ピン(140)の片側が貫く第4貫通ホール(122)を形成し([0066])、
第2放射パッチ(124)に形成された第5-1貫通ホール(123a)と、第2ベース層(125)に形成された第5-2貫通ホール(123b)、及び第2下部パッチ(126)に形成された第5-3貫通ホール(123c)は等しい位置に形成されて、第3給電ピン(150)の片側が貫く第5貫通ホール(123)を形成する([0067])、
積層型パッチアンテナ。」
(2)引用文献1について
当審における拒絶の理由に引用された前記引用文献1(1993年8月20日出願公開。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0001】本発明は一般的にはマイクロストリップ・アンテナに関するものであり、更に詳しく言えば、分離特性を改善した多周波用マイクロストリップ・アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】様々な分野で次のような特性を持つ多周波用アンテナの需要がある。すなわち比較的広いバンド幅(約10%かそれ以上)を持ち、周波数間の分離が十分であり、同一偏波の送受信が可能であり、信頼性があり、小さくて背が低い形をしており、生産が容易で低価格なものである。この様なアンテナ特性が望まれる一使用例は、2方向通信システムで、それは別々の周波数で同時に送受信できるものである。広いバンド幅と送受信バンド間の分離は重要な性能である。小さくて背が低い形をしているという事は航空機用のレーダ・アレイや車に積むなどの移動式の用途には特に有利である。」
「【0006】積層マイクロストリップ・アンテナもまたこれまで使われてきており、これは2個またはそれ以上の放射素子が基準面の上に平行に設置されており、基準面やお互いの間は、層状の誘電体で分離されている。このようなアンテナの中には、1個の給電素子が放射素子の中の一つに接続され、他の1個またはそれ以上の放射素子は直接に給電される素子と電磁気的に結合しているものがある。そうではなくて各放射素子がそれぞれ別々に給電されているものもある。しかし、放射素子間や給電素子間に不要な結合が生ずる恐れがあり、この結合は広帯域を得るために誘電体層の厚さを増すと強くなるので注意が必要である。このような結合は素子からあるいは素子への放射が同一偏波である時には特に著しい。更にロール・オフ特性のためにこのアンテナは同時に多周波で使うことが出来ない事もある。」
「【0010】
【実施例】図1と図2は本発明の多周波用アンテナ構造体の一実施例の断面図と分解透視図(一部分が切り取られている)である。アンテナ構造体10には、導電性のある基準面(例えば地面)12と、第一の共振周波数で共振する寸法を持った第一のマイクロストリップ放射素子14と、第二の共振周波数で共振する寸法を持った第二のマイクロストリップ放射素子16がある。第一の放射素子14は基準面12に平行であり、第一の誘電体層18の厚さだけ基準面から離れている。第二の放射素子16は第一の放射素子14と平行であり、そこから第二の誘電体層20の厚さだけ離れている。第一の給電素子24は、基準面12の下側に固定され、第一の放射素子14を送受信装置(例えば、トランシーバ)に接続する。第二の給電素子22は、同様に基準面12の下側に固定され、第二の放射素子16を送受信装置に接続する。第一の放射素子14と第一の給電素子24は共に第一のアンテナ区画を構成する。第二の放射素子16と第二の給電素子22は共に第二のアンテナ区画を構成する。
【0011】アンテナ構造体10にはまた分離装置があり、遮蔽部品26が第一の誘電体層18の内部で第二の給電素子22の一部分の周りに設置されている。・・・(中略)・・・。」
「【0012】遮蔽部品26は第一の誘電体層18内の通路34の側壁上に取り付けられた導電物質である。信号伝送用導体44は通路34を通って伸びているが遮蔽部品26との電気的な接触はない。この導電物質は通路32に接した位置で基準面12と、また通路36に接した位置で第一の放射素子14とに電気的に接続されている。従って、遮蔽部品26は基準面12を第一の放射素子14に電気的に接続し、その結果第一の誘電体層18を貫通している信号伝送用導体44の周囲にある基準導体46の電気的延長になっている。この様な電気的な接続は例えば半田づけなどで直接導電性のある接触(図1に示す)により行っても良いし、基準面12を第一の放射素子14に電気的に接続して分離特性の改善を図るという方法で行っても良い。遮蔽部品26と信号伝送用導体44の間で電気的な接触が起きると、信号が第二の放射素子16から放射出来なくなるという事は注意を要する。従って、遮蔽部品26は第一の誘電体層18の中の通路34を通る金属が望ましい。この金属に孔を開けその内側表面を、信号伝送用導体44と遮蔽部品26との間の電気的接触を避けるため絶縁する。」
「【0015】・・・(中略)・・・。第一と第二のアンテナ区画間には殆ど結合が無く、利得の分離や端子間の分離(今後は”周波数分離”と言う)は増大し、必要な時には、第一と第二の共振周波数での同時の送受信(単向二路通信操作)が可能である。」
「【0016】アンテナ構造体10の二つのアンテナ区画(各区画には一個の放射素子とその対となる給電素子とがある)は図3に示す並列RLC等価回路で表す事が出来、この図から遮蔽部品26が二つのアンテナ区画の結合を十分に除いている事が分かる。・・・(中略)・・・。」
「【0017】この等価回路の各側の次の部分の直列の誘導性リアクタンスL2は、一般に放射素子に接続された給電素子の特性を表し、その値は信号伝送用導体(給電ピン)の寸法特にその直径によって決まる。第一と第二のアンテナ区画の結合を遮蔽素子26によって十分に取り除くと、それに付随した利益があり、第一と第二のアンテナ区画を殆ど別々に且つ独立に扱う事が出来るので、アンテナ構造体10の設計が容易になる。例えば、・・・(中略)・・・。」
「【0018】・・・(中略)・・・。アンテナ構造体10は寸法を変えて他の周波数、Xーバンドやそれ以上の周波数にも合わせる事が出来、しかも前述のバンド幅、分離独立特性を維持できる。」
「【図1】
[図:0001399946000015.jpg]
」
したがって、引用文献1には、次の技術的事項(以下「引用文献1技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献1技術的事項>
「多周波用アンテナ構造体において、導電性のある基準面12と、第一の共振周波数で共振する寸法を持った第一のマイクロストリップ放射素子14と、第二の共振周波数で共振する寸法を持った第二のマイクロストリップ放射素子16があり、第一の放射素子14は基準面12に平行であり、第一の誘電体層18の厚さだけ基準面から離れ、第二の放射素子16は第一の放射素子14と平行であり、そこから第二の誘電体層20の厚さだけ離れ(【0010】)、
第一の誘電体層18内の通路34の側壁上に取り付けられた導電物質である遮蔽部品26は第一の誘電体層18の内部で第二の給電素子22の一部分の周りに設置され(【0011】~【0012】)、
遮蔽部品26は通路32に接した位置で基準面12と、また通路36に接した位置で第一の放射素子14とに電気的に接続され、従って、遮蔽部品26は基準面12を第一の放射素子14に電気的に接続し(【0012】)、
第一の放射素子14と第一の給電素子24は共に第一のアンテナ区画を構成し、第二の放射素子16と第二の給電素子22は共に第二のアンテナ区画を構成し(【0010】)、
遮蔽部品26が二つのアンテナ区画の結合を十分に除く(【0016】)技術。」
3 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 本願発明の「第1貫通ホールと、前記第1貫通ホールから離隔した第4貫通ホールが形成された上部パッチアンテナ」について
(ア)引用発明の「第1貫通ホール(111)」は、本願発明の「第1貫通ホール」に相当する。
(イ)引用発明の「第1貫通ホールと第2貫通ホールが離隔されて」いることから、引用発明の当該「第2貫通ホール(112)」は、本願発明の「前記第1貫通ホールから隔離した第4貫通ホール」に相当する。
(ウ)引用発明の「上部パッチアンテナ部(110)は第1放射パッチ(113)、第1ベース層(114)」「を含んで構成され」るところ、引用発明の「第1放射パッチ(113)に形成された第1-1貫通ホール(111a)と、第1ベース層(114)に形成された第1-2貫通ホール(111b)」「は等しい位置に形成されて第1給電ピン(130)が貫く第1貫通ホール(111)を形成」し、また、引用発明の「第1放射パッチ(113)に形成された第2-1貫通ホール(112a)と、第1ベース層(114)に形成された第2-2貫通ホール(112b)」「は等しい位置に形成されて第2給電ピン(140)が貫く第2貫通ホール(112)を形成」することから、引用発明の「第1貫通ホール(111)」と「第2貫通ホール(112)」が形成される前記「第1放射パッチ(113)、第1ベース層(114)」「を含んで構成され」る「上部パッチアンテナ部(110)」は、前記(ア)及び(イ)を踏まえると、本願発明の「第1貫通ホールと、前記第1貫通ホールから離隔した第4貫通ホールが形成された上部パッチアンテナ」に相当する。
イ 本願発明の「第2貫通ホールおよび第3貫通ホールが離隔して形成され、前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールと離隔した第5貫通ホールが形成された下部パッチアンテナ」について
(ア)引用発明の「第3貫通ホール(121)」は、本願発明の「第2貫通ホール」に相当する。
(イ)引用発明の「第5貫通ホール(123)」は、本願発明の「第3貫通ホール」に相当する。
(ウ)引用発明では、「第3貫通ホール」と「第5貫通ホール」は、「離隔されて」「形成され」ることから、前記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の当該「第3貫通ホール」と「第5貫通ホール」が「離隔されて」「形成され」る構成は、本願発明の「第2貫通ホールおよび第3貫通ホールが離隔して形成され」る構成に相当する。
(エ)引用発明の「下部パッチアンテナ部」は、「第3貫通ホール及び第4貫通ホールと離隔されて第5貫通ホールが形成され」ることから、前記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の当該「第4貫通ホール(122)」は、本願発明の「前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールと離隔した第5貫通ホール」に相当し、引用発明の前記「下部パッチアンテナ部」は、本願発明の「前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールと離隔した第5貫通ホールが形成された下部パッチアンテナ」に相当する。
(オ)前記(ウ)及び(エ)を踏まえると、引用発明の「下部パッチアンテナ部」は、本願発明の「第2貫通ホールおよび第3貫通ホールが離隔して形成され、前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールと離隔した第5貫通ホールが形成された下部パッチアンテナ」に相当する。
ウ 本願発明の「前記第1貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第1上部給電ピン」について
引用発明の「第1給電ピン」は「片側が第1貫通ホール及び第3貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される」ものであるから、上記ア(ア)、イ(ア)及びイ(エ)を踏まえると、本願発明の「前記第1貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第1上部給電ピン」に相当する。
エ 本願発明の「前記第4貫通ホール、前記第5貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第2上部給電ピン」について
引用発明の「第2給電ピン」は「片側が第2貫通ホール及び第4貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される」ものであるから、上記ア(イ)及びイ(エ)を踏まえると、本願発明の「前記第4貫通ホール、前記第5貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第2上部給電ピン」に相当する。
オ 本願発明の「前記第3貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した下部給電ピン」について
引用発明の「第3給電ピン」は「片側が第5貫通ホールを貫いて下部パッチアンテナ部の下部に突出される」ものであるから、上記イ(イ)及びイ(エ)を踏まえると、本願発明の「前記第3貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した下部給電ピン」に相当する。
カ 本願発明の「前記第2貫通ホールの内壁面に形成された第1金属層」について
引用発明には、第3貫通ホール(本願発明の「第2貫通ホール」に相当する。イ(イ)参照。)の内壁面に形成される金属層についての特定がない。
キ 本願発明の「前記第5貫通ホールの内壁面に形成された第2金属層」について
引用発明には、第4貫通ホール(本願発明の「第5貫通ホール」に相当する。イ(エ)参照。)の内壁面に形成される金属層についての特定がない。
ク 本願発明の「前記第2貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第1仮想線と、前記第5貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第2仮想線は設定角度をもって形成される」について
引用発明の「第3貫通ホールと下部パッチアンテナ部の中心点を結ぶ仮想線」は、本願発明の「第2貫通ホールと下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第1仮想線」に相当する。また、引用発明の「第4貫通ホールと下部パッチアンテナ部の中心点を結ぶ仮想線」は、本願発明の「第5貫通ホールと下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第2仮想線」に相当する。
したがって、引用発明の「第3貫通ホールと下部パッチアンテナ部の中心点を結ぶ仮想線と第4貫通ホールと下部パッチアンテナ部の中心点を結ぶ仮想線とは交差して設定角度に形成される」構成は、本願発明の「前記第2貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第1仮想線と、前記第5貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第2仮想線は設定角度をもって形成される」構成に相当する。
キ 本願発明の「積層型パッチアンテナ」について
上記ア~カより、本願発明と引用発明とは、後述する相違点を除き、「積層型パッチアンテナ」である点で共通する。
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「第1貫通ホールと、前記第1貫通ホールから離隔した第4貫通ホールが形成された上部パッチアンテナと、
第2貫通ホールおよび第3貫通ホールが離隔して形成され、前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールと離隔した第5貫通ホールが形成された下部パッチアンテナと、
前記第1貫通ホールおよび第2貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第1上部給電ピンと、
前記第4貫通ホール、前記第5貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した第2上部給電ピンと、
前記第3貫通ホールを貫通して前記下部パッチアンテナの下部に突出した下部給電ピンと、
を含み、
前記第2貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第1仮想線と、前記第5貫通ホールと前記下部パッチアンテナの中心点を結ぶ第2仮想線は設定角度をもって形成されることを特徴とする積層型パッチアンテナ。」
<相違点>
(相違点1)
積層型パッチアンテナについて、本願発明は、「前記第2貫通ホールの内壁面に形成された第1金属層と、前記第5貫通ホールの内壁面に形成された第2金属層と」を含むものであるのに対し、引用発明には、そのような構成は特定されていない点。
(2)当審の判断
上記相違点について検討する。
相違点1について
上記3(2)に示した引用文献1技術的事項の「多周波用アンテナ構造体」は、「導電性のある基準面12と、第一の共振周波数で共振する寸法を持った第一のマイクロストリップ放射素子14と、第二の共振周波数で共振する寸法を持った第二のマイクロストリップ放射素子16があり、第一の放射素子14は基準面12に平行であり、第一の誘電体層18の厚さだけ基準面から離れ、第二の放射素子16は第一の放射素子14と平行であり、そこから第二の誘電体層20の厚さだけ離れ」ている構造を有していることから、「第二の放射素子16」、「第二の誘電体層20」、「第一の放射素子14」、「第一の誘電体層18」及び「基準面12」が順に積層された構造を有している。
さらに、引用文献1技術的事項の「導電物質である遮蔽部品26」は、「第一の誘電体層18内の通路34の側壁上に取り付けられ」るものである。
そして、引用文献1の、特に段落【0002】を参照すると、「様々な分野で次のような特性を持つ多周波用アンテナの需要がある。すなわち比較的広いバンド幅(約10%かそれ以上)を持ち、周波数間の分離が十分であり、同一偏波の送受信が可能であり、信頼性があり、小さくて背が低い形をしており、生産が容易で低価格なものである。この様なアンテナ特性が望まれる一使用例は、2方向通信システムで、それは別々の周波数で同時に送受信できるものである。広いバンド幅と送受信バンド間の分離は重要な性能である。」とあり、また、段落【0006】を参照すると、「積層マイクロストリップ・アンテナもまたこれまで使われてきており、これは2個またはそれ以上の放射素子が基準面の上に平行に設置されており、基準面やお互いの間は、層状の誘電体で分離されている。このようなアンテナの中には、1個の給電素子が放射素子の中の一つに接続され、他の1個またはそれ以上の放射素子は直接に給電される素子と電磁気的に結合しているものがある。そうではなくて各放射素子がそれぞれ別々に給電されているものもある。しかし、放射素子間や給電素子間に不要な結合が生ずる恐れがあり、この結合は広帯域を得るために誘電体層の厚さを増すと強くなるので注意が必要である。」と記載されているように、多周波用アンテナの技術分野において、放射素子間や給電素子間に不要な結合が生じないように分離特性を改善することは、当然追及すべき周知の課題である。
してみると、引用発明の積層型パッチアンテナにおいて、上部パッチアンテナ部と、下部パッチアンテナとの分離特性を改善することは、当然追求すべき周知の課題であって、当該課題を解決するために、引用文献1技術的事項の第一のアンテナ区画と第二のアンテナ区画の結合を十分に除くための、第一の誘電体層18内の通路の側壁上に取り付けられた導電物質である遮蔽部品26を設ける技術を、引用発明の第2ベース層内の貫通ホールである第3貫通ホールと第4貫通ホールに適用し、本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、当該相違点1を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献1技術的事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明は、引用発明(引用文献2に記載された発明)及び引用文献1技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
第4 審判請求人が提出した意見書による主張について
審判請求人は、本件補正と同日の意見書において、本件補正後の請求項1に係る発明(前記第2[理由]1(1))は、引用文献1、2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、進歩性を有する理由として、概略、以下のように主張している。
「引用文献1、2に記載の発明は、2つの放射パターンがスルーホールの内壁面に形成される金属層を介して接続されていることを考慮していません。
引用文献1に記載の発明は、シールド部分26が第1の誘電体層18の要素14を基準面12に接続することを開示しているにすぎず、基準面12は放射パッチではなく、基準面12はグランドであります。(段落[10]、[15]、[21]参照)
引用文献2に記載の発明は、パッチアンテナのスルーホールの内壁面に金属層を形成することを考慮も教示もしていません。」
しかしながら、審判請求人が主張する「2つの放射パターンがスルーホールの内壁面に形成される金属層を介して接続されている」という構成は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明における「第1金属層」及び「第2金属層」の構成について、「前記上部放射パッチおよび前記下部放射パッチに連結された」との限定を根拠としているところ、当該限定を含む本件補正は、前記第2で示したとおり却下されており、本件補正前の請求項1に係る本願発明には、そのような限定は含まないから、本願発明の進歩性を有する理由としては採用することができない。
なお、審判請求人は意見書において、「引用文献1に記載の発明は、シールド部分26が第1の誘電体層18の要素14を基準面12に接続することを開示しているにすぎず、基準面12は放射パッチではなく、基準面12はグランドであります。」と主張し、引用文献1の「グランド」である「基準面12」は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明における「下部放射パッチ」ではない旨を主張しているが、当該請求項1の「下部放射パッチ」については、本願の明細書及び図面を参照すると、特に段落【0026】以降の説明により、具体的には「下部パッチアンテナ120」の構成要素である「下部パッチ126」を意味していることは明らかである。
そして、当該「下部パッチ126」には、その他のパッチである「第1上部放射パッチ114」(段落【0022】参照)や「第2上部放射パッチ125」(段落【0026】参照)にあるような第1~第3給電ピン(段落【0023】、【0025】参照)による給電がなく、加えて、「下部パッチ126は、グラウンド(GND)用パッチであることを一例とする」(段落【0033】参照)と記載されるのみで、本願の明細書には下部パッチ126から電磁波の放射を行うことは記載されていないから、下部パッチ126が給電により機能する「放射パッチ」であるとの根拠を見出すことができない。
すなわち、審判請求人が意見書において主張する本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明における「下部放射パッチ」は、本願の明細書及び図面を参照すると、「放射パッチ」であると解釈できず、一例として「グラウンド(GND)用パッチ」であると解釈すべきものである。
よって、この点からみても、審判請求人による前記主張を採用することができない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-002156