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特許拒絶査定不服審判

2022-000684

ブローバイガス還流装置付エンジン

審判番号
2022-000684
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-093008
請求日
2022年01月17日
審決日
2023年01月31日
公報発行日
2023年04月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社クボタ
  • 【請求人代理人】鈴江 正二
審判長/審判官
  • 審判長 山本 信平
  • 審判官 水野 治彦
  • 審判官 石黒 雄一
分類
P18 .121-WZ (F01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-93008「ブローバイガス還流装置付エンジン」拒絶査定不服審判事件〔令和元年11月21日出願公開、特開2019-199807〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年5月14日の出願であって、その手続は以下のとおりである。 令和3年5月31日(発送日:同年6月9日) :拒絶理由通知書 令和3年7月26日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年10月11日(発送日:同年10月20日):拒絶査定 令和4年1月17日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和4年6月30日(発送日:同年7月6日) :拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」という。) 令和4年8月22日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1及び2に係る発明は、令和4年8月22日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 1 本願発明1 「 クランクケース内のブローバイガスを、ヘッドカバーの内部を通してから吸気系に導くように構成されているブローバイガス還流装置付エンジンであって、 前記吸気系は、前記ヘッドカバーの一側に設けられるエアクリーナと前記ヘッドカバーの他側に設けられる過給機とを接続する吸入通路において前記ヘッドカバーの直上を横切る部分であって前記ヘッドカバーのブローバイガス出口部に設けられるカバー吸気通路を有し、 前記カバー吸気通路がガスケットを挟んで前記ブローバイガス出口部に取付けられ、 前記カバー吸気通路は、前記ヘッドカバーの長手方向に交差する方向に延びて互いに平行な通路始端部及び通路終端部と、前記通路始端部の終端と前記通路終端部の始端とを繋ぐ通路中間部と、を有して平面視でクランク状を呈する蛇行通路に形成され、 前記ブローバイガス出口部のブローバイガス通路と、前記カバー吸気通路の前記通路中間部とが、前記ガスケットに設けられた連通孔を介して連通されているブローバイガス還流装置付エンジン。」 第3 当審における拒絶の理由 当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。 (進歩性)本願の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1 特開2016-128660号公報 2 特開2000-352362号公報(周知技術を示す文献) 3 特開2002-97920号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献の記載事項 1 引用文献1 当審拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された引用文献1(特開2016-128660号公報)には、「ガス還流装置」に関して、【図1】ないし【図4】及び【図6】とともに以下の記載がある(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。 ア 「【0001】 本発明は、エンジンの吸気通路にブローバイガスを還流させるガス還流装置に関する。 【0002】 エンジンのクランクケースには、シリンダとピストンとの隙間を通じてブローバイガスが流入する。ブローバイガスには未燃ガスが含まれるため、ブローバイガスを吸気通路に還流させることが一般的である。このため、クランクケースと吸気通路とは、ブローバイガスを案内するブローバイ通路を介して接続されている。ところで、ブローバイガスには水分が含まれており、単にブローバイ通路を吸気通路に接続することは、凍結によってブローバイ通路の開口部を閉塞させてしまう虞がある。そこで、吸気通路に凹状の退避部を形成し、この退避部にブローバイ通路を接続したガス還流装置が提案されている(特許文献1参照)。これにより、ブローバイ通路の開口部の温度低下を抑制し、凍結によるブローバイ通路の閉塞を抑制することができる。」 イ 「【0004】 しかしながら、特許文献1に記載されるように、吸気通路の退避部にブローバイ通路を接続した場合であっても、外気温度が低下する寒冷地等においては、凍結によってブローバイ通路を閉塞させてしまう虞がある。このため、凍結によるブローバイ通路の閉塞を防止するガス還流装置が求められている。 【0005】 本発明の目的は、凍結によるブローバイ通路の閉塞を防止することにある。」 ウ 「【0007】 本発明によれば、ブローバイポートは、上流ポートをその中心線方向に投影した投影部から外れた集合部の拡幅部に形成される。また、EGRポートの少なくとも一部と拡幅部の少なくとも一部とは対向する。これにより、凍結によるブローバイ通路の閉塞を防止することができる。」 エ 「【0010】 図1に示すように、パワーユニット11は、エンジン12、吸気系13および排気系14を備えている。パワーユニット11は、車両(図示せず)に搭載されている。エンジン12のシリンダヘッド15には、吸気ポート16および排気ポート17が形成されている。シリンダヘッド15の吸気ポート16には吸気系13が接続されており、シリンダヘッド15の排気ポート17には排気系14が接続されている。これらの吸気系13および排気系14により、本発明の一実施の形態であるガス還流装置10が構成されている。なお、図1に一点鎖線で示すように、パワーユニット11は、エンジン12の後方に配置されるトランスミッション18を備えている。 【0011】 吸気系13は、エアクリーナ20、吸気ダクト22、コンプレッサ23、吸気パイプ24、インタークーラ25、スロットルバルブ(電子制御スロットル)21、および吸気マニホールド26等によって構成されている。吸気ダクト22の下流端には、集合アダプタ(集合部)32が設けられる。エアクリーナ20を通過した吸入空気は、吸気ダクト22および集合アダプタ32を介して、ターボチャージャ27のコンプレッサ23に供給される。コンプレッサ23によって圧縮された吸入空気は、吸気パイプ24からインタークーラ25を経て冷却された後に、スロットルバルブ21および吸気マニホールド26を経てシリンダヘッド15の吸気ポート16に供給される。このように、吸気系13には、吸気ダクト22、コンプレッサ23、吸気パイプ24、インタークーラ25、および吸気マニホールド26等からなる吸気通路28が設けられている。 【0012】 また、吸気系13には、エンジン12のブローバイガスを案内するブローバイパイプ(ブローバイ通路)30が接続されている。ブローバイパイプ30の一端側(上流側)は、クランクケース31に接続されており、ブローバイパイプ30の他端側(下流側)は、吸気ダクト22に設けられる集合アダプタ32に接続されている。エンジン12の燃焼室からクランクケース31内に漏れ出たブローバイガスは、ブローバイパイプ30を介して集合アダプタ32に供給される。これにより、未燃ガスを含むブローバイガスを、再びエンジン12の燃焼室に供給することができ、ブローバイガスを燃焼させて処理することができる。」 オ 「【0017】 前述したように、ブローバイガスを案内するブローバイパイプ30と、EGRガスを案内するEGR通路44とは、吸気通路28の集合アダプタ32に接続されている。そして、吸気通路28の集合アダプタ32において、吸入空気、ブローバイガスおよびEGRガスは混合され、混合ガスとしてエンジン12に供給される。 【0018】 以下、集合アダプタ32の構造について説明する。図2は集合アダプタ32を示す斜視図である。図3(a)は集合アダプタ32を示す平面図であり、図3(b)は図3(a)のA-A線に沿って集合アダプタ32を示す断面図である。図4(a)は集合アダプタ32を示す正面図であり、図4(b)は図4(a)のA-A線に沿って集合アダプタ32を示す断面図である。また、図5(a)および(b)は、集合アダプタ32に形成される上流ポート61、下流ポート62、ブローバイポート63およびEGRポート64の各中心線C1~C4を示す図である。なお、図5(a)および(b)には、図3(a)および(b)と同じ部位が示されている。さらに、図6(a)および(b)は、矢印を用いて、吸入空気、ブローバイガスおよびEGRガスの流れを示すイメージ図である。なお、図6(a)には図3(b)と同じ部位が示され、図6(b)には図4(b)と同じ部位が示されている。 【0019】 図2、図3(a)および図4(a)に示すように、集合アダプタ32は、吸気ダクト22が接続される接続部51と、コンプレッサ23が接続される接続部52と、を有している。集合アダプタ32の接続部51は、集合アダプタ32において上流側となり、集合アダプタ32の接続部52は、集合アダプタ32において下流側となる。このため、以下の説明においては、接続部51を「上流接続部」と呼び、接続部52を「下流接続部」と呼ぶ。また、集合アダプタ32は、ブローバイパイプ30が接続されるブローバイ接続部53と、EGR通路44が接続されるEGR接続部54と、を有している。図3(b)および図4(b)に示すように、集合アダプタ32の内部には、吸入空気、ブローバイガスおよびEGRガスを混合する混合室55が形成されている。集合アダプタ32の混合室55には、上流接続部51の上流ポート61、下流接続部52の下流ポート62、ブローバイ接続部53のブローバイポート63、およびEGR接続部54のEGRポート64が開口している。すなわち、集合アダプタ32は、吸気通路28の上流側に連通する上流ポート61と、吸気通路28の下流側に連通する下流ポート62と、ブローバイパイプ30に連通するブローバイポート63と、EGR通路44に連通するEGRポート64と、を備えている。 【0020】 図2および図3に示すように、集合アダプタ32には、拡幅部551が形成される。具体的に、集合アダプタ32の混合室55におけるブローバイ接続部53側の部位には、拡幅部551が形成される。拡幅部551は、上流ポート61をその中心線C1方向に投影した投影部Xよりも外側に向け、集合アダプタ32の内部空間(混合室55)を拡幅する。このような拡幅部551に、ブローバイポート63が設けられる。また、EGRポート64の少なくとも一部は、拡幅部551の少なくとも一部に対向する。 【0021】 図5(a)および(b)に示すように、上流ポート61の中心線C1と、下流ポート62の中心線C2とは、互いにずらして配置されている。すなわち、上流ポート61と下流ポート62とは、互いの中心線C1,C2をずらして集合アダプタ32に形成されている。また、ブローバイポート63の中心線C3と、EGRポート64の中心線C4とは、互いにずらして配置されている。すなわち、ブローバイポート63とEGRポート64とは、互いの中心線C3,C4をずらして集合アダプタ32に形成されている。さらに、図3(b)に符号αで示すように、ブローバイポート63は、上流ポート61をその中心線C1方向に投影した投影部Xから外れて形成されている。」 カ 「【0025】 また、上流ポート61と下流ポート62とは、互いの中心線C1,C2をずらして集合アダプタ32に形成されている。これにより、図6(a)および(b)に示すように、上流ポート61に対向する混合室55の第1空間部55aと、下流ポート62に対向する混合室55の第2空間部55bとを、上下にずらして配置することができる。このような構造により、上流ポート61を通過した吸入空気は、混合室55の第1空間部55aに流れ込んだ後に、下方の第2空間部55bに移動してから下流ポート62に案内される。このように、上流ポート61から下流ポート62に直線的に吸入空気を移動させるのではなく、集合アダプタ32内で吸入空気を撹拌するように移動させることにより、吸入空気にブローバイガスやEGRガスを十分に混合させることができる。しかも、ブローバイポート63およびEGRポート64は、下流側の第2空間部55bではなく上流側の第1空間部55aに開口している。これにより、吸入空気に対するブローバイガスおよびEGRガスの撹拌を促し、吸入空気、ブローバイガスおよびEGRガスを十分に混合することができる。」 キ 「【図1】 [図:0001395863000001.jpg] 」 ク 「【図4】 [図:0001395863000002.jpg] 」 ケ 「【図5】 [図:0001395863000003.jpg] 」 コ 「【図6】 [図:0001395863000004.jpg] 」 以上から、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「クランクケースに流入するブローバイガスを、吸気系13に還流させるガス還流装置であって、 前記吸気系13は、エアクリーナ20とターボチャージャ27とを接続しブローバイパイプ30の下流側に接続される集合アダプタ32を有し、 前記集合アダプタ32は、互いに平行な上流接続部51及び下流接続部52と、前記上流接続部51の上流ポート61と前記下流接続部52の下流ポート62とが開口する混合室55と、を有して上流ポートの中心線C1と下流ポートの中心線C2は互いにずらして配置され、 前記ブローバイパイプ30の下流側のブローバイポート63は、前記集合アダプタ32の前記混合室55に開口するガス還流装置。」 2 引用文献2 当審拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された引用文献2(特開2000-352362号公報)には、【図1】及び【図4】とともに次の記載がある。 サ 「【0006】従って、本発明の目的とする処は、部品点数の削減、外観性向上、凍結問題の解消等を図ることができる4サイクル多気筒エンジンを提供することにある。」 シ 「【0028】以後は上記と同様の作用が繰り返されてエンジン1は連続的に運転されるが、ピストンとシリンダ壁との間から漏れ出るブローバイガスは吸気負圧に引かれてシリンダヘッドカバー2の吸気側カム室S1に導入され、図2に矢印にて示すように迷路状の流路27Aを流れ、連通孔28aを通って流路27Bへと流れる。そして、このブローバイガスはPCVバルブ22にて流量が制御された後にPCV分配室S3に流入し、PCV分配室S3から前記サージタンク連通孔23~26を通ってサージタンク16内に導入され、各吸気マニホールド19に略均等に分配されて新気と共に吸気マニールド19を流れて各気筒のシリンダに供給され、混合気と共に燃焼室Sでの燃焼に供される。 【0029】而して、本実施の形態に係るエンジン1においては、シリンダヘッドカバー15とサージタンク16とを一体化したため、両者の間に隙間が形成されず、シリンダヘッドカバー15内に十分なベンチレーション容積を確保することができ、別体のベンチレーションケースを設ける必要がなくなる。 【0030】又、一体化されたシリンダヘッドカバー15とサージタンク16にPCVバルブ22を内蔵したため、従来のようにPCVバルブ22とサージタンク16とをホースによって連結する必要がなく、ホースを廃して部品点数の削減、エンジン1の外観性向上、ホース内の凍結問題の解消等を図ることができる。 【0031】更に、本実施の形態では、シリンダヘッドカバー15内の吸気側カム室S1にPCV分配室S3を画成し、該PCV分配室S3にPCVバルブ22を臨ませるとともに、該PCVバルブ22を通過したブローバイガスを各気筒毎のサージタンク連通孔23~26を通ってサージタンク16内に導入するようにしたため、ブローバイガスはサージタンク連通孔23~26によって略等分配されて各気筒に供給されることとなり、気筒間の出力にアンバランスが発生することがない。特に、本実施の形態では、前述のようにサージタンク連通孔22~26はPCVバルブ22から遠ざかる程その直径d1 ,d2 ,d3 ,d4 が大きくなるよう設定されている(d1 ≒d2 <d3 <d4 )ため、これらのサージタンク連通孔に23~26よってブローバイガスが各気筒に更に均等に分配される。 【0032】ここで、本実施の形態の変形例を図3に示すが、同図に示すように、別体の隔壁31によってサージタンク16内にPCV分配室S3を画成し、この隔壁31にサージタンク連通孔22~26を形成しても良い。 【0033】<実施の形態2>次に、本発明の実施の形態2を図4及び図5に基づいて説明する。 【0034】尚、図4は本実施の形態に係るDOHC4サイクルエンジンの部分破断面図、図5は図4のB-B線断面図であり、これらの図においては図1及び図2において示したと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての説明は省略する。 【0035】本実施の形態に係るエンジン1においてもシリンダヘッドカバー15とサージタンク16を一体化しているが、本実施の形態では、一体化されたシリンダヘッドカバー15とサージタンク16内のPCV分配室を設けず、シリンダヘッドカバー15とサージタンク16とを区画するシリンダヘッドカバー15の上壁(サージタンク16の底壁)15aにPCVバルブ22を取り付け、該PCVバルブ22をサージタンク16内に開口せしめている。尚、流路27Bはシリンダヘッドカバー15の上壁(サージタンク16の底壁)15aに一体に突設された複数のバッフルプレート15a-1とプレート29に突設された複数のバッフルプレート29aによって迷路状に構成されている。 【0036】本実施の形態に係るエンジン1においては、流路27Aから連通孔28aを通って流路27Bを流れるブローバイガスはPCVバルブ22によって流量を制御された後、PCVバルブ22からサージタンク16内に直接流入して図5に矢印にて示すように各気筒の吸気マニホールド19に分配され、最終的には燃焼室Sでの燃焼に供される。 【0037】而して、本実施の形態においてもシリンダヘッドカバー15とサージタンク16とを一体化し、一体化されたシリンダヘッドカバー15とサージタンク16にPCVバルブ22を内蔵したため、前記実施の形態1と同様の効果が得られる。」 ス 「【図1】 [図:0001395863000005.jpg] 」 セ 「【図4】 [図:0001395863000006.jpg] 」 以上から、上記引用文献2には次の事項(以下「引用文献2の記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「一体化されたシリンダヘッドカバー15とサージタンク16にPCVバルブ22を介し、シリンダヘッドカバーに導入したブローバイガスはサージタンク16に流入すること。」 3 引用文献3 当審拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された引用文献3(特開2002-97920号公報)には、【図1】及び【図3】とともに次の記載がある。 ソ 「【0014】更に、前記ダストサイドケース6aの上面には、前記エアクリーナ6の上部を構成する合成樹脂製のクリーンサイドケース6bが、その間にフィルタエレメント6cを挟んで着脱自在に接合されている。 【0015】次に、符号9は、吸気ボア通路9a内にスロットル弁10を備えたスロットルボデーを示し、このスロットルボデー9は、前記気液分離室7の略真上の部位に位置して、前記吸気マニホールド4におけるサージタンク5の側面に、ボルト11の締結にて接合され、更に、このスロットルボデー9における入り口端は、前記エアクリーナ6におけるクリーンサイドケース6bに設けた吸気出口6d内に着脱自在に挿入して接合するように構成されている。なお、この挿入部は、ゴム等の軟質弾性体製のシールリング12にてシールされている。 【0016】また、前記シリンダヘッドカバー3のうち前記気液分離室7に該当する部分には、水平又は略水平の接合面13が形成され、この接合面13に、前記気液分離室7からのブローバイガス抽出ポート14が上向きに開口している。 【0017】一方、前記スロットルボデー9における下面には、水平又は略水平の接合面15が形成され、この接合面15に、ボア9a内に連通するブローバイガス導入ポート16が下向きに開口している。 【0018】更に、前記スロットルボデー9は、以下に述べるようにして、前記シリンダヘッド1及びシリンダヘッドカバー3の両方に対して取付けられている。 【0019】すなわち、このスロットルボデー9における下面には、左右一対の取付け片9b,9cを一体的に設けて、この両取付け片9b,9cのうち一方の取付け片9bを、前記シリンダヘッド1に対して、軸線を鉛直とする長いボルト17にて締結する一方、他方の取付け片9cを、前記シリンダヘッドカバー3に対して、軸線を鉛直とする短いボルト18にて締結するという構成である。なお、前記長いボルト17には、一方の取付け片9bとシリンダヘッド1との間における間隔を保持するためのブッシュ19が被嵌されている。 【0020】この両ボルト17,18によるスロットルボデー9の取付けに際しては、当該スロットルボデー9の下面における接合面15を、シリンダヘッドカバー3における接合面13に対して密接したのち、前記両ボルト17,18にて締結にて押圧することにより、ブローバイガス導入ポート16とブローバイガス抽出ポート14とを直接的に接続するように構成されている。なお、この場合において、前記両接合面13,15のうちいずれか一方には、ゴム等の軟質弾性体製のシールリング20が設けられており、このシールリング20に代えて、前記両接合面13,15の間に、ガスケットを介挿するようにしても良い。 【0021】この構成において、スロットルボデー9におけるブローバイガス導入ポート16は、シリンダヘッドカバー3における気液分離室7からのブローバイガス抽出ポート14に対して直接的に接続されていることにより、従来のように、その間をゴムホース等によるブローバイガス抽出管路にて接続することを省略できるとともに、シリンダヘッドカバー3における気液分離室7からスロットルボデー9における吸気ボア通路9aまでの間の通路長さを短くできる。」 タ 「【図1】 [図:0001395863000007.jpg] 」 チ「【図3】 [図:0001395863000008.jpg] 」 以上から、上記引用文献3には次の2つの事項(以下、「引用文献3の記載事項1」及び「引用文献3の記載事項2」という。)が記載されていると認められる。 (1) 引用文献3の記載事項1 「シリンダヘッドカバー3にブローバイガス抽出ポート14を上向きに開口し、スロットルボデー9にブローバイガス導入ポート16を下向きに開口すること。」 (2) 引用文献3の記載事項2 「スロットルボデー9の下面における接合面15を、シリンダヘッドカバー3における接合面13に対して密接し、ブローバイガス導入ポート16とブローバイガス抽出ポート14とを直接的に接続する場合において、前記両接合面13、15の間に、ガスケットを介挿すること。」 第5 判断 1 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「クランクケースに流入する」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「クランクケース内の」に相当し、以下同様に、「吸気系13」は「吸気系」に、「還流させる」は「導くように構成されている」に、「エアクリーナ20」は「エアクリーナ」に、「ターボチャージャ20」は「過給機」に、「集合アダプタ32」は「カバー吸気通路」に、「上流接続部51」は「通路始端部」に、「上流ポート61」は「終端」に、「下流接続部52」は「通路終端部」に、「下流ポート62」は「始端」に、「が開口する」は「とを繋ぐ」に、「混合室55」は「通路中間部」にそれぞれ相当する。 また、後者の「ブローバイパイプ30の下流側に接続される」ことは、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「ブローバイガス出口部に設けられる」ことに相当するから、後者の「ブローバイパイプ30の下流側」は前者の「ブローバイガス出口部」に相当する。同様に、後者の「ブローバイポート63」は前者の「ブローバイガス出口部のブローバイガス通路」に相当するから、後者の「前記ブローバイガスパイプの下流側のブローバイポート63は、前記集合アダプタ32の前記混合室55に開口する」は、前者の「ブローバイガス出口部のブローバイガス通路と、前記カバー吸気通路の前記通路中間部とが連通されている」に相当する。 そして、後者の「上流ポートの中心線C1と下流ポートの中心線C2は互いにずらして配置され」ることは、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「平面視でクランク状を呈する蛇行通路に形成され」ることに相当する。 さらに、後者の「ガス還流装置」はエンジンの吸気通路にブローバイガスを還流させるものであるから、前者の「ブローバイガス還流装置付エンジン」に相当する。 したがって、両者は、 「クランクケース内のブローバイガスを、吸気系に導くように構成されているブローバイガス還流装置付エンジンであって、 前記吸気系は、エアクリーナと過給機とを接続するブローバイガス出口部に設けられるカバー吸気通路を有し、 前記カバー吸気通路は、互いに平行な通路始端部及び通路終端部と、前記通路始端部の終端と前記通路終端部の始端とを繋ぐ通路中間部と、を有して平面視でクランク状を呈する蛇行通路に形成され、 前記ブローバイガス出口部のブローバイガス通路と、前記カバー吸気通路の前記通路中間部とが連通されているブローバイガス還流装置付エンジン。」である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 前者は、ブローバイガスを、「ヘッドカバーの内部を通してから」吸気系に導くものであって、「カバー吸気通路」は、「ヘッドカバーの一側に設けられる」エアクリーナと「ヘッドカバーの他側に設けられる」過給機とを接続する吸入通路において、「ヘッドカバーの直上を横切る部分」であって、「ヘッドカバーの」ブローバイガス出口部に設けられ、カバー吸気通路がガスケットを挟んで前記ブローバイガス出口部に取付けられ、「前記ヘッドカバーの長手方向に交差する方向に延びて」互いに平行な通路始端部及び通路終端部と、前記通路始端部の終端と前記通路終端部の始端とを繋ぐ通路中間部とが、前記ガスケットに設けられた連通孔を介して連通されているのに対し、後者は係る事項を備えていない点。 2 判断 上記相違点について検討する。 引用文献2の記載事項及び引用文献3の記載事項1並びに引用文献2の図1の図示事項及び引用文献3の図1の図示事項から、「ヘッドカバーの長手方向に交差する方向に延びる吸入通路において、ヘッドカバーの直上を横切る部分であってヘッドカバーのブローバイガス出口部に設けられる吸気通路を有し、クランクケース内のブローバイガスを、吸気系に導くように構成すること」は周知技術(以下、「周知技術1」という。)といえる。 また、流体の通路を備えた一方の部材に同様の通路を備えた他方の部材を取り付け、当該取り付け部を介して一方の部材から他方の部材に流体が移動する様構成する際、一方の部材がガスケットを挟んで他方の部材を取付けられるようにし、当該ガスケットに設けられた孔を介して流体を移動するようにすることもまた周知技術(以下、「周知技術2」という。)であり、引用文献3の記載事項2のとおり、吸気通路(スロットルボデー9)の接合面15とヘッドカバー(シリンダヘッドカバー3)の接合面13を密接し、ブローバイガス導入ポート16とブローバイガス抽出ポート14とを直接的に接続する場合においても採用されているものである。 そして、引用発明の集合アダプタ32において、周知技術1及び周知技術2を採用することは、当業者の通常の創作能力の範囲内で容易に想到し得たことである。さらに、引用発明の集合アダプタ32において当該周知技術1及び周知技術2を採用したものが、相違点に係る本願発明1の発明特定事項である「ヘッドカバーの一側に設けられるエアクリーナ20とヘッドカバーの他側に設けられるターボチャージャ27とを接続する」ものとなることもまた、当業者の創作能力の範囲内で容易に理解し得たことである。 また、本願発明1は、全体としてみても、引用発明、周知技術1及び周知技術2から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。 したがって、本願発明1は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。 3 請求人の主張について 令和4年8月22日の意見書において、請求人は次のように主張している。 「本願発明は、ヘッドカバーの直上を吸気通路が横切る構成に着目することにより、「ヘッドカバーとカバー吸気通路との間に介装されるガスケットの所定位置に孔を設けて、ブローバイガスをカバー吸気通路の蛇行通路に戻す」という合理化構造を想起できたものです。このような技術思想は、引用文献1~3のいずれにもありません。 故に、たとえ引用文献2,3が周知技術であったとしても、構成B,C,Eに関する開示も示唆もない引用文献1に、構成C,D,Eの開示も示唆も無い引用文献2,3を当然に組み合わせるべき動機付けが生じるはずがありません。 仮に、構成B,C,Eの開示も示唆もない引用文献1に、共に構成C,D,Eの開示も示唆も無い引用文献2,3を無理やり適用したとしても、どこにどのように組み合わせられるのかは全く不明であり、やはり構成C,Eが想起されることはありません。 そして、構成A,B,Dに構成C,Eを加えることで初めて得られる作用効果d、eは、本願発明による格別なものであり、構成C,Eを持たない引用文献1~3のものからは決して奏することはできません。 従いまして、本願発明(今般の補正による請求項1に係る発明)は、引用文献1~3に対して十分な進歩性を有するものであり、前述の拒絶理由は解消されたものであります。」 しかしながら、構成C(「前記カバー吸気通路がガスケットを挟んで前記ブローバイガス出口部に取付けられ、」)及び構成E(「前記ブローバイガス出口部のブローバイガス通路と、前記カバー吸気通路の前記通路中間部とが、前記ガスケットに設けられた連通孔を介して連通されている」)は、「2 判断」において述べたとおり、流体の通路を備えた一方の部材に同様の通路を備えた他方の部材を取り付け、当該取り付け部を介して一方の部材から他方の部材に流体が移動する様構成する際、一方の部材がガスケットを挟んで他方の部材を取付けられるようにし、当該ガスケットに設けられた孔を介して流体を移動するようにすることは周知技術(「周知技術2」)であり、引用文献3の記載事項2のとおり、吸気通路(スロットルボデー9)の接合面15とヘッドカバー(シリンダヘッドカバー3)の接合面13を密接し、ブローバイガス導入ポート16とブローバイガス抽出ポート14とを直接的に接続する場合においても採用されている技術である。 また、引用発明において、周知技術1及び周知技術2を採用したものが「ヘッドカバーの一側に設けられるエアクリーナ20とヘッドカバーの他側に設けられるターボチャージャ27とを接続する」ものとなり、構成B(「前記吸気系は、前記ヘッドカバーの一側に設けられるエアクリーナと前記ヘッドカバーの他側に設けられる過給機とを接続する吸入通路において前記ヘッドカバーの直上を横切る部分であって前記ヘッドカバーのブローバイガス出口部に設けられるカバー吸気通路を有し、」)に係る事項を備えることになることも、「2 判断」において述べたとおりである。 そして、作用効果dは、引用文献1の段落【0025】(「第4 引用文献の記載事項」、「1 引用文献1」、「カ」)参照。)に記載される引用発明の効果を超えるものといえず、作用効果eについても、周知技術2から当業者が想起しうる効果を超えるものとはいえない。 したがって、請求人の上記主張は当を得ない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-000684

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