特許拒絶査定不服審判
2024-002161
情報管理システム
- 審判番号
- 2024-002161
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-153131
- 請求日
- 2024年02月07日
- 審決日
- 2025年08月26日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社クボタ
- 【請求人代理人】弁理士法人R&C
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 立澤 正樹
- 審判官 殿川 雅也
- 分類
- P18 .121-WZ (A01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-153131「情報管理システム」拒絶査定不服審判事件〔令和4年3月24日出願公開、特開2022-47305〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月11日の出願であって、令和5年6月16日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月1日付け(送達日同月7日)で拒絶査定された。
これに対し、令和6年2月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、同年3月19日に手続補正書(方式)が提出され、令和7年1月28日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年4月2日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和7年4月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されたものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
対象領域に移植された作物の量である移植量を示す移植情報を取得する移植情報取得部と、
前記対象領域から収穫機が収穫した作物の量である収穫量を示す収穫情報を取得する収穫情報取得部と、
前記対象領域から前記収穫機が収穫した作物のうち特定の品質を有する作物の量である特定収穫量を示す特定収穫情報を取得する特定収穫情報取得部と、
前記移植情報、前記収穫情報及び前記特定収穫情報に基づいて、前記移植量、前記収穫量及び前記特定収穫量を前記対象領域に対応させて示す生産情報を生成する生産情報生成部と、を備え、
前記対象領域が単一の圃場全体又は前記単一の圃場の一部であり、
前記特定の品質が異なる複数の品質であり、
特定収穫量が前記特定の品質を有する作物の数であり、
特定収穫情報取得部が、前記複数の品質のそれぞれに対応した複数の特定収穫量
としての前記作物の数を取得する情報管理システム。」
第3 当審拒絶理由
当審拒絶理由は、次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:国際公開第2016/035149号
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1記載事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前である2016年(平成28年)3月10日に頒布された国際公開第2016/035149号には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同じ。)。
「技術分野
[0001] 本発明は、収穫量記録方法、収穫量記録プログラムおよび収穫量記録装置に関する。」
「[0013] 収穫された作物は、選別されて出荷されることが多い。選別とは、作物の大きさ、重さ、色、つや、形、傷の有無などを基に分類することである。果実の選別は「選果」と呼ばれることがある。例えば、作物の大きさや重さに基づく分類は「階級」と呼ばれる。階級としては、例えば、S、M、L、2Lなどがある。また、作物の色、つや、形、傷の有無などに基づく分類は「等級」と呼ばれる。等級としては、例えば、良、優、秀などがある。階級と等級をあわせて「等階級」と呼ばれることもある。
[0014] ここで、農業経営において、圃場ごとの収支の情報を把握して、作業の見直しや作付け計画の見直しに役立てることは重要である。ただし、作物の単価は、階級や等級ごとに異なることが多い。このため、圃場ごとの収支の情報を把握するには、圃場で収穫された作物の分類ごとの収穫量を記録することが求められる。」
「[0016] 例えば、キャベツやレタスなどの大型野菜の場合、圃場で収穫するときに、その場で選別しながら収穫を行うことがある。このような場合、作業者が、複数の圃場を回って、ある分類の作物を収穫すると、ある分類について、複数の圃場の収穫量は得られても、圃場ごとの収穫量を得ることは難しくなる。例えば、階級「L」相当の大きさの作物だけを複数の圃場を通して収穫した場合、「L」の作物について複数の圃場分の合計収穫量は得られるが、圃場毎の「L」の作物の収穫量を得るのは難しい。また、複数の圃場で収穫された作物をまとめて選別機(あるいは、選果機)に投入して、作物の選別が行われることがある。このような場合も各圃場の分類ごとの収穫量を得ることは難しくなる。例えば、複数の圃場で収穫されたミカンをまとめて選果機に投入して、S,M,L等の階級に選別した場合、複数の圃場を通しての階級「S」のミカンの合計収穫量、階級「M」のミカンの合計収穫量、階級「L」のミカンの合計収穫量は得られる。しかし、圃場毎に、各階級のミカンの収穫量を得るのは難しい。」
「[0047] <生産計画DB220の記憶内容>
図5は、生産計画DB220の記憶内容の一例を示す説明図である。図5において、生産計画DB220は、圃場名、品目、品種、作型および作付面積のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、生産計画情報(例えば、生産計画情報500-1~500-3)がレコードとして記憶される。
[0048] ここで、生産計画とは、生産対象となる作物を、どの圃場にどのくらい作付けするのかの計画である。各圃場における作物の栽培は、生産計画に沿って行われる。圃場名は、圃場の名称である。圃場名として、例えば、1つの圃場を区切って分割した区画の名称である分筆名称を用いることにしてもよい。品目は、作物の種類である。品目としては、例えば、トマト、きゅうり、水稲、キャベツなどがある。
[0049] 品種は、同一品目の中の種類である。例えば、キャベツの品種として、夏蒔きの品種であれば「彩風」「グリーンボール」、春蒔きの品種であれば「中早生2号」「中早生3号」「秋早生」「新風」などがある。作型は、作物の栽培を行うときの条件や技術の組み合わせを示す体系である。作型としては、例えば、ハウス栽培、露地栽培、夏蒔き栽培などがある。作付面積は、作物を作付けする面積である。
[0050] 例えば、生産計画情報500-1は、圃場「蒲田-1」に作付けされる作物の品目「キャベツ」、品種「○×」、作型「△△栽培」および作付面積「20[a]」を示す。
[0051] なお、生産計画DB220には、上述した情報のほかに、例えば、各圃場の収穫計画、収穫実績、予定反収、実績反収などの情報が記憶される。収穫計画は、目標となる作物の収穫量を示す。収穫実績は、圃場で収穫された作物の収穫量を示す。予定反収は、目標となる作物の反収を示す。実績反収は、圃場で収穫された作物の反収を示す。なお、反収とは、田畑1反当たりの作物の収穫高である。反収は、1反当たりに代えて、10a(アール)当たりで表現されることもある。
[0052] <単位マスタ230の記憶内容>
図6は、単位マスタ230の記憶内容の一例を示す説明図である。図6において、単位マスタ230は、品目、収納単位およびkg換算値のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、単位情報(例えば、単位情報600-1~600-3)がレコードとして記憶される。
[0053] ここで、品目は、作物の種類である。収納単位は、収穫作業や選別作業において用いられる収穫物を収納する入れ物を数える単位である。kg換算値は、作物の収穫量を収納単位で示す値を、重量単位であるkgに換算する際に適用する換算比率を示す。例えば、単位情報600-1は、キャベツの収穫量をケース単位で示す値を、kgに換算する際に適用する換算比率「10.0」を示す。
[0054] なお、図6の例では、作物の品目に対応付けて、収納単位およびkg換算値が記憶されることにしたが、これに限らない。例えば、作物の品目、品種および作型の組み合わせに対応付けて、収納単位およびkg換算値が記憶されることにしてもよい。」
「[0059] ここで、ロットIDは、選別ロットを一意に識別する識別子である。選別ロットとは、圃場グループで生産された特定の作物の選別結果を示す。圃場グループは、1以上の圃場を含む。ロット名は、選別ロットの名称である。品目は、圃場グループのそれぞれの圃場で生産された特定の作物の種類である。合計[kg]は、圃場グループのそれぞれの圃場で生産された作物の収穫量の合計量を重量単位で示す。
[0060] 圃場名は、圃場グループに含まれる圃場の名称である。規格は、上述した「等級」に対応する。サイズは、上述した「階級」に対応する。出来高[kg]は、圃場で生産された特定の作物の分類ごとの収穫量を重量単位で示す。ここでの分類は、規格(等級)とサイズ(階級)との組み合わせ(等階級)である。」
「[0076] (収穫量記録装置101の機能的構成例)
図10は、収穫量記録装置101の機能的構成例を示すブロック図である。図10において、収穫量記録装置101は、受付部1001と、算出部1002と、出力部1003と、作成部1004と、を含む構成である。受付部1001~作成部1004は制御部となる機能であり、具体的には、例えば、図3に示したメモリ302、ディスク305などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F303により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ302、ディスク305などの記憶装置に記憶される。
[0077] 受付部1001は、圃場グループで生産された特定の作物の分類ごとの収穫量を示す選別情報を受け付ける。ここで、特定の作物の分類ごとの収穫量は、圃場グループのそれぞれの圃場で生産された特定の作物がいずれの圃場で生産されたかによらずに複数に分類された結果である。
[0078] 選別情報の入力は、例えば、圃場選択画面900(図9参照)において、クライアント装置201のユーザの操作入力により行われる。クライアント装置201は、入力された選別情報を収穫量記録装置101に送信する。この場合、受付部1001は、クライアント装置201から選別情報を受信する。
[0079] 選別情報には、例えば、選別日、圃場グループに含まれる圃場の圃場名、選別ロットのロットID、ロット名、特定の作物の品目、品種および圃場グループで生産された特定の作物の分類ごとの収穫量を示す情報が含まれる。収穫量は、重量単位または収納単位のいずれの単位で表されていてもよい。
[0080] なお、受付部1001は、例えば、圃場グループで生産された特定の作物の選別が行われた選別機(あるいは、選果機)に接続された他のシステムから、圃場グループで生産された特定の作物の分類ごとの収穫量を示す選別情報を受け付けることにしてもよい。
[0081] 算出部1002は、受け付けられた選別情報に基づいて、圃場グループに含まれる各圃場の分類ごとの収穫量を算出する。具体的には、例えば、まず、算出部1002は、生産計画DB220(図5参照)を参照して、圃場グループに含まれる各圃場の圃場名に対応する特定の作物の栽培時の作付面積を特定する。そして、算出部1002は、圃場グループで生産された特定の作物の分類ごとの収穫量を、特定した各圃場の作付面積に応じて按分することにより、各圃場の分類ごとの収穫量を算出する。
[0082] また、圃場グループで生産された特定の作物の分類ごとの収穫量が収納単位で表されている場合がある。この場合、算出部1002は、単位マスタ230(図6参照)を参照して、特定の作物の分類ごとの収穫量を、重量単位であるkgに換算することにしてもよい。なお、各圃場の分類ごとの収穫量の算出例については、図12を用いて後述する。
・・・
[0095] 作成部1004は、指定された圃場で生産された特定の作物の分類ごとの収穫量を示す圃場別選別結果情報を作成する。具体的には、例えば、まず、作成部1004は、収穫量DB250から、指定された圃場の識別子に対応する収穫量情報を読み出す。そして、作成部1004は、読み出した収穫量情報に基づいて、後述の図15の下側に示すような圃場別選別結果画面1500の画面情報を作成することにしてもよい。」
「[0099] (収穫量DB250の記憶内容の変遷例)
つぎに、図11~図14を用いて、図9に示した圃場選択画面900において入力された選別情報を受け付けた場合を例に挙げて、収穫量DB250の記憶内容の変遷例について説明する。
[0100] 図11~図14は、収穫量DB250の記憶内容の変遷例を示す説明図である。まず、受付部1001は、受け付けた選別情報に基づいて、選別ロットのロットID、ロット名、特定の作物の品目、合計[kg]、圃場グループに含まれる圃場の圃場名を各フィールドに情報を設定する(図11参照)。
[0101] この結果、収穫量情報800-1が新たなレコードとして収穫量DB250に記憶される。ただし、この時点では、収穫量情報800-1の規格、サイズ、出来高[kg]、比率[%]、合計出来高[kg]、価格[円]および合計価格[円]のフィールドは未設定である。
[0102] <出来高[kg]>
つぎに、算出部1002は、選別情報に基づいて、圃場グループに含まれる各圃場の分類ごとの収穫量を算出する。一例として、圃場グループで生産された規格「秀」・サイズ「L」のキャベツの収穫量を按分する場合について説明する。ただし、収穫量が収納単位(図9の例では、ケース)で表されている場合を想定する。
[0103] この場合、算出部1002は、単位マスタ230を参照して、品目「キャベツ」、収納単位「ケース」に対応するkg換算値「10.0」を特定する。そして、算出部1002は、規格「秀」・サイズ「L」のキャベツの収穫量「120[ケース]」に、特定したkg換算値「10.0」を乗算することにより、kg単位の収穫量「1,200[kg]」を求める。
[0104] つぎに、算出部1002は、生産計画DB220を参照して、圃場グループに含まれる圃場の圃場名「蒲田-1」に対する品目「キャベツ」、品種「○×」の作物の栽培時の作付面積「20[a]」を特定する。また、算出部1002は、生産計画DB220を参照して、圃場グループに含まれる圃場の圃場名「蒲田-2」に対する品目「キャベツ」、品種「○×」の作物の栽培時の作付面積「30[a]」を特定する。
[0105] そして、算出部1002は、圃場グループで収穫された規格「秀」・サイズ「L」のキャベツの収穫量「1,200[kg]」を、特定した各圃場の作付面積に応じて按分することにより、各圃場の規格「秀」・サイズ「L」の収穫量を算出する。ここでは、圃場「蒲田-1」の規格「秀」・サイズ「L」の収穫量は、「480[kg]」となる。また、圃場「蒲田-2」の規格「秀」・サイズ「L」の収穫量は、「720[kg]」となる。
[0106] この場合、出力部1003は、算出された規格「秀」・サイズ「L」の収穫量「480[kg]」を出来高[kg]として、圃場名「蒲田-1」と対応付けて収穫量情報800-1に設定する。また、出力部1003は、算出された規格「秀」・サイズ「L」の収穫量「720[kg]」を出来高[kg]として、圃場名「蒲田-2」と対応付けて収穫量情報800-1に設定する(図12参照)。
[0107] <合計出来高[kg]>
つぎに、算出部1002は、圃場ごとに按分された分類ごとのキャベツの収穫量の合計量を算出する。例えば、算出部1002は、圃場「蒲田-1」の分類ごとのキャベツの出来高[kg]の合計量「1,800[kg]」を算出する。この場合、出力部1003は、算出された合計量「1,800[kg]」を合計出来高[kg]として、圃場名「蒲田-1」と対応付けて収穫量情報800-1に設定する(図12参照)。」
「[0119] また、圃場別選別結果画面1500には、圃場「蒲田-1」で生産されたキャベツについて、分類ごとの収穫量として、収納単位で収穫量を表す「出来高」と、重量単位で収穫量を表す「出来高[kg]」とが表示されている。例えば、圃場「蒲田-1」で収穫された規格「秀」・サイズ「L」のキャベツの収穫量として、出来高「48[ケース]」と出来高「480[kg]」とが表示されている。これにより、ユーザは、圃場「蒲田-1」で生産されたキャベツについて、分類(規格・サイズ)ごとの出来高を把握することができる。」
「[0132] 図18は、収穫量記録装置101の収穫量記録処理手順の一例を示すフローチャートである。図18のフローチャートにおいて、まず、収穫量記録装置101は、圃場グループで生産された特定の作物の分類ごとの収穫量を示す選別情報を受け付けたか否かを判断する(ステップS1801)。
[0133] ここで、収穫量記録装置101は、選別情報を受け付けるのを待つ(ステップS1801:No)。そして、収穫量記録装置101は、選別情報を受け付けた場合(ステップS1801:Yes)、生産計画DB220を参照して、圃場グループに含まれる各圃場の特定の作物の栽培時の作付面積を特定する(ステップS1802)。
[0134] つぎに、収穫量記録装置101は、圃場グループで生産された特定の作物の分類ごとの収穫量を、特定した各圃場の作付面積に応じて按分することにより、各圃場の分類ごとの特定の作物の収穫量を算出する(ステップS1803)。そして、収穫量記録装置101は、圃場グループに含まれる圃場ごとに、算出した各圃場の分類ごとの特定の作物の収穫量の合計量を算出する(ステップS1804)。
・・・
[0137] そして、収穫量記録装置101は、ステップS1803,S1804,S1806~S1808において算出した算出結果を、各圃場の圃場名と対応付けて収穫量DB250に記憶して(ステップS1809)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、圃場グループごとの収穫量情報を収穫量DB250に記録することができる。
[0138] なお、ステップS1803における各圃場の作付面積に応じて収穫量を按分する処理は、作付面積に加えて、各圃場と対応付けられている他の情報を利用して収穫量を按分するように変更することもできる。例えば、単位面積当たりの作付株数の情報が各圃場と対応付けて記憶されていれば、この情報を利用してもよい。二つの圃場が同じ作付面積であっても、単位面積当たりの作付け株数が異なれば、収穫量も異なる可能性が大きい。従って、作付面積に加えてそこに作付された作物の量を考慮することで、按分した結果として得られる各圃場分の収穫量が、より確からしい値になることが考えられる。
[0139] 例えば、圃場「蒲田-1」の作付面積が20aで、単位面積当たりの作付株数が10、圃場「蒲田-2」の作付面積が30aで、単位面積当たりの作付株数が15の場合を考える。この場合、圃場「蒲田-1」と圃場「蒲田-2」との作付面積比は2:3、単位面積当たりの作付株数比は2:3である。ここで、単位面積当たりの作付株数を作付面積と同等の重みで用いるのであれば、圃場「蒲田-1」と圃場「蒲田-2」との収穫量比を4(=2×2):9(=3×3)とし、収穫量の4/(4+9)を圃場「蒲田-1」の分とし、収穫量の9/(4+9)を圃場「蒲田-2」の分とすることができる。」
「[図10]
[図:0001428627000001.jpg]
」
「[図11]
[図:0001428627000002.jpg]
」
引用文献1の上記記載事項を次のとおり整理する。
ア [0048]、[0059]に、「圃場グループは、1以上の圃場を含み、圃場名は、圃場の名称であって、1つの圃場を区切って分割した区画の名称である分筆名称を用いて」よいことが記載されている。
イ [0138]に、「単位面積当たりの作付株数の情報が各圃場と対応づけられて記憶されて、この情報を利用して作付けされた作物の量を考慮することで各圃場分の収穫量が確からしい値になって」いることが記載されている。
ウ [0013]に、「収穫された作物は、S、M、L、2Lなどの階級と、作物の色、つや、形、傷の有無などに基づく等級に選別され」ることが記載されている。
エ [0016]、[0060]及び[0080]に、「圃場で収穫された作物をまとめて選別機に投入して選別して得られ、圃場グループで生産された特定の作物の等級と階級の組み合わせである分類ごとの収穫量を示す選別情報を受け付ける受付部1001」が記載されている。
オ [0105]に、「各圃場の規格「秀」・サイズ「L」の収穫量を算出する算出部1002」が記載されている。
カ [0106]に、「算出されたサイズ「L」の収穫量を「蒲田-1」と対応づけて収穫量情報800-1に設定する出力部1003」が記載されている。
キ [0107]に、「圃場「蒲田-1」の分類ごとのキャベツの出来高[kg]の合計量を算出する算出部1002」が記載されている。
ク [0134]及び[0137]に、「各圃場の分類ごとの特定の作物の収穫量を算出して各圃場の圃場名と対応づけて収穫量DB250に記憶する収穫量記録装置101」が記載されている。
ケ [0119]に、「圃場「蒲田-1」で生産されたキャベツについて、分類ごとの収穫量として、収納単位で収穫量を表す「出来高」と、重量単位で収穫量を表す「出来高[kg]」を表示する圃場別選別結果画面1500」が記載されている。
コ [0049]、[0052]及び[0054]に、「ハウス栽培、露地栽培、夏蒔き栽培などの行うときの条件や技術の組み合わせを示す体系である作型を品目とともに単位マスタ230に記憶」することが記載されている。
また、引用文献1の上記記載事項から、次の事項を認定できる。
サ [0053]の記載によれば、「収納単位は、収穫作業や選別作業において用いられる収穫物を収納する入れ物を数える単位であ」って、「キャベツの収穫量をケース単位」で示しているので、引用文献1の「選別機」において「収穫物がケースに格納」されているものと認められる。
(2)引用発明
上記(1)アないしコの記載事項及び上記(1)サの認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
圃場グループは、1以上の圃場を含み、圃場名は、圃場の名称であって、1つの圃場を区切って分割した区画の名称である分筆名称を用いてよく((1)ア)、
単位面積当たりの作付株数の情報が各圃場と対応づけられて記憶されて、この情報を利用して作付けされた作物の量を考慮することで各圃場分の収穫量が確からしい値になっており((1)イ)、
収穫された作物は、S、M、L、2Lなどの階級と、作物の色、つや、形、傷の有無などに基づく等級に選別され((1)ウ)、
圃場で収穫された作物をまとめて選別機に投入して選別して得られ、圃場グループで生産された特定の作物の等級と階級の組み合わせである分類ごとの収穫量を示す選別情報を受け付ける受付部1001と((1)エ)、
各圃場の規格「秀」・サイズ「L」の収穫量及び圃場「蒲田-1」の分類ごとのキャベツの出来高[kg]の合計量を算出する算出部1002と((1)オ、キ)、
算出されたサイズ「L」の収穫量を「蒲田-1」と対応づけて収穫量情報800-1に設定する出力部1003と((1)カ)、
圃場「蒲田-1」で生産されたキャベツについて、分類ごとの収穫量として、収納単位で収穫量を表す「出来高」と、重量単位で収穫量を表す「出来高[kg]」を表示する圃場別選別結果画面1500とを備え((1)ケ)、
各圃場の分類ごとの特定の作物の収穫量を算出して各圃場の圃場名と対応づけて収穫量DB250に記憶し((1)ク)、
ハウス栽培、露地栽培、夏蒔き栽培などの行うときの条件や技術の組み合わせを示す体系である作型を品目とともに単位マスタ230に記憶し((1)コ)、
選別機において収穫物がケースに格納されている((1)サ)、
収穫量記録装置101((1)ク)。
2 周知技術文献
(1)周知技術文献記載事項
当審において新たに引用され、本願の出願前である平成30年3月に発行された、“平成29年度 試験成績書”、pp. 5 - 12、[online]、せたな町農業センター、平成30年3月、[検索日 2025年7月14日]、インターネット <URL: https://www.town.setana.lg.jp/H29shikenseisekisyo.pdf> (以下「周知技術文献」という。)には、次の記載がある。
ア 「潮トマト品種比較試験【新規】
1.試験目的 潮トマトに適する優良品種を検討する。
2.試験機関 せたな町農業センター
3.試験場所 せたな町農業センター内無加温ビニールハウス(丸数字5)」(第4ページ第1行ないし同ページ第4行)
イ 「3)調査方法及び項目
収穫したトマトを株・花房ごとに分け、1個ずつの重さ・形・キズ・花落跡・チャックの項目毎にA・B・C・規格外・×(A・B・C・規格外以外のトマト)の5段階で評価し、最も低い評価をトマトの評価とした。また、生育調査は株ごとに地際部から第一花房の長さと花房と花房の間の長さを最上段の花房まで測定。さらに花房直下の太さを花房ごとに測定した。」(第6ページ)
ウ 「5.結果及び考察
・・・
(丸数字3)サイズ・規格別・時期別の収量について
総収量・規格内収量共にCF桃太郎ファイトが多くなった。規格内収量では、どの品種もMサイズが多く獲れた。8月・9月の収穫量が多かった。CF桃太郎ファイトの10月の収穫量は、他品種の約2倍獲れた。
・・・
まとめ
収量や尻腐れの調査結果から供試した品種の中ではCF桃太郎ファイトが潮トマト栽培に最も適する品種と考えられる。」(第7ページ第1行ないし第24行)
エ 「
[図:0001428627000003.jpg]
」(第9ページ)
オ 「
[図:0001428627000004.jpg]
」(第10ページ)
カ 「
[図:0001428627000005.jpg]
」(第12ページ)
キ 「
[図:0001428627000006.jpg]
」(第12ページ)
ク 「
[図:0001428627000007.jpg]
」(第12ページ)
ケ 「
[図:0001428627000008.jpg]
」(第12ページ)
周知技術文献記載事項から、次の事項が認定できる。
コ 上記アの「潮トマト品種比較試験」との記載、上記イの「3)調査方法及び項目」欄の「収穫したトマトを株・花房ごとに分け、1個ずつの重さ・形・キズ・花落跡・チャックの項目毎にA・B・C・規格外・×(A・B・C・規格外以外のトマト)の5段階で評価し、最も低い評価をトマトの評価とした。」との記載、上記ウの「5.結果及び考察」欄の「サイズ・規格別・時期別の収量について」、「総収量・規格内収量共にCF桃太郎ファイトが多くなった。規格内収量では、どの品種もMサイズが多く獲れた。8月・9月の収穫量が多かった。CF桃太郎ファイトの10月の収穫量は、他品種の約2倍獲れた。」との記載を踏まえると、第7図ないし第10図、第7表ないし第10表から、トマトの品種「CF桃太郎ファイト」、「桃太郎セレクト」、「りんか409」、「麗夏」の各品種について1株あたりのトマトの収量を測定する際に、「3S、2S、S、M、L、2L」の各サイズについて、A、B、C、規格外に属する個数及び重量を測定して「CF桃太郎ファイト」の収量が最も多いと評価したものと認められる。
(2)周知技術
上記(1)アないしケの周知技術文献記載事項及び上記(1)コの周知技術文献記載事項から認定できる事項から、本願出願前に、次の技術が周知の技術であったと認められる。
[周知技術]
サイズごとに分類された収穫物の個数を計測する収量評価方法。
第5 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「収穫量記憶装置101」は、圃場に対応する作物の収穫物に関する情報を取得している点で、本願発明の「情報管理システム」にあたるものといえる。
イ 引用発明の「圃場」、「1の圃場」及び「1つの圃場を区切って分割した区画」は、本願発明の「圃場」、「単一の圃場全体」及び「単一の圃場の一部」に相当する。
よって、引用発明は、「各圃場の規格「秀」・サイズ「L」の収穫量及び圃場「蒲田-1」の分類ごとのキャベツの出来高[kg]の合計量を算出」しており、「圃場」、「1の圃場」及び「1つの圃場を区切って分割した区画」のいずれかのキャベツの出来高の合計量を算出しているから、作物が収穫される対象領域が、本願発明の「圃場」、「単一の圃場全体」及び「単一の圃場の一部」のいずれかであるといえる。すると、本願発明の「情報管理システム」と引用発明の「収穫量記録装置101」は、作物が収穫される「対象領域」が「単一の圃場全体又は前記単一の圃場の一部」である点で共通する。
ウ 引用発明の「単位面積当たりの作付株数の情報が各圃場と対応づけられて記憶されて、この情報を利用して」各圃場の収穫量を確からしくするにあたり、「単位面積当たりの作付株数の情報」は、本願発明の「移植量を示す移植情報」に相当する。そして、引用発明は、記憶された作付株数の情報を利用するので、当該情報を取得する機能と当該機能を実現する手段を有していることは明らかである。よって、本願発明の「情報管理システム」と引用発明の「収穫量記録装置101」は、「対象領域に移植された作物の量である移植量を示す移植情報を取得する移植情報取得部」を有している点で一致する。
エ 引用発明の「算出部1002」は、「蒲田-1」の分類ごとのキャベツの出来高の合計を算出しているので、特定の圃場(「蒲田-1」)で収穫された作物の量である収穫量を示す収穫情報を取得しているといえる。よって、本願発明の「収穫情報取得部」と引用発明の「算出部1002」は、「前記対象領域から収穫機が収穫した作物の量である収穫量を示す収穫情報を取得する」点で一致する。
オ 引用発明は、「蒲田-1」のサイズ「L」のキャベツの収穫量を算出する算出部1002を有している。ここで、サイズ「L」のキャベツの収穫量は、特定の階級(品質)を有する作物の量である特定収穫量を示す特定収穫情報といえる。すると、本願発明の「特定収穫情報取得部」と引用発明の「算出部1002」は、「前記対象領域から前記収穫機が収穫した作物のうち特定の品質を有する作物の量である特定収穫量を示す特定収穫情報を取得する」点で一致する。
カ 引用発明の「収穫量記録装置101」は、「単位面積当たりの作付株数の情報」、「キャベツの出来高[kg]の合計量」、「サイズ「L」のキャベツの収穫量」を「蒲田-1」に対応して算出して圃場別選別結果画面1500に表示しているので、「蒲田-1」に対応させて示すキャベツの収穫に関する情報(生産情報)を生成する機能及び当該機能を実現する手段を有しているといえる。すると、本願発明の「情報管理システム」と引用発明の「収穫量記録装置101」は、「前記移植情報、前記収穫情報及び前記特定収穫情報に基づいて、前記移植量、前記収穫量及び前記特定収穫量を前記対象領域に対応させて示す生産情報を生成する生産情報生成部」を有している点で共通する。
キ 引用発明では、収穫された作物が、S、M、L、2Lなどの複数の階級に選別されており、S~2Lに分類される複数の階級は、本願発明の「特定の品質が異なる複数の品質」に相当する。
ク 引用発明の算出部1002は、「蒲田-1」に対応して、階級からなる分類ごとに収穫量を算出しているので、複数の分類である複数の品質のそれぞれに対応した複数の特定収穫量を算出するものである。すると、本願発明の「特定収穫取得部」と引用発明の「算出部1002」は、「前記複数の品質のそれぞれに対応した複数の特定収穫量を取得」するものである点で共通する。
(2)本願発明と引用発明を対比すると、両者は、
[一致点]
「対象領域に移植された作物の量である移植量を示す移植情報を取得する移植情報取得部と、
前記対象領域から収穫機が収穫した作物の量である収穫量を示す収穫情報を取得する収穫情報取得部と、
前記対象領域から前記収穫機が収穫した作物のうち特定の品質を有する作物の量である特定収穫量を示す特定収穫情報を取得する特定収穫情報取得部と、
前記移植情報、前記収穫情報及び前記特定収穫情報に基づいて、前記移植量、前記収穫量及び前記特定収穫量を前記対象領域に対応させて示す生産情報を生成する生産情報生成部と、を備え、
前記対象領域が単一の圃場全体又は前記単一の圃場の一部であり、
前記特定の品質が異なる複数の品質であり、
特定収穫情報取得部が、前記複数の品質のそれぞれに対応した複数の特定収穫量を取得する情報管理システム。」
で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
「情報管理システム」が取得する「前記複数の品質のそれぞれに対応した複数の特定収穫量」が、本願発明は、「特定収穫量が前記特定の品質を有する作物の数」である「前記作物の数」であるのに対し、引用発明は、「収納単位」又は「重量単位」での「階級の組み合わせである分類ごとの収穫量」である点。
2 判断
作物の収穫量を、サイズごとに分類された収穫物の個数を計測する収量評価方法は、上記第4の2(2)に周知技術として示したとおり周知の技術にすぎない。
そして、「階級の組み合わせである分類(サイズ)ごとの収穫量」を「収納単位」又は「重量単位」で取得する引用発明において、周知技術を考慮すれば、「収納単位」又は「重量単位」に代えて、作物のサイズごとの個数を取得することにより、相違点に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得る。
そして、本願発明の効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる程度のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 令和7年4月2日に提出された意見書における主張について
(1)審判請求人は、令和7年4月2日に提出された意見書において、概略以下のとおり主張している。
補正後の本願発明1は、特定収穫情報取得部が、複数の品質のそれぞれに対応した複数の特定収穫量としての作物の数を取得することから、作物の品質とそれぞれの品質の作物の数との関係を管理することができる一方で、引用文献1に記載の発明では、収穫量を重量(kg)や収納単位(ケース数)で管理する構成となっており(例えば、0084段落、図1等)、作物の数で管理することは記載も示唆もされていない。
(2)上記(1)の主張について検討する。
上記2で検討したとおり、収穫量を複数の品質(複数のサイズ)のそれぞれに対応した作物の個数を用いて収量を評価する方法は周知の技術にすぎないから、審判請求人の上記(1)の主張は採用できない。
第6 むすび
上記のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-002161