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特許拒絶査定不服審判

2022-000658

液体送達システム

審判番号
2022-000658
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-552053
請求日
2022年01月14日
審決日
2023年03月02日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アイコール・システムズ・インク
  • 【請求人代理人】弁理士法人山崎国際特許事務所
  • 【請求人代理人】朴 志恩
  • 【請求人代理人】山崎 行造
  • 【請求人代理人】赤松 利昭
  • 【請求人代理人】内藤 忠雄
  • 【請求人代理人】今井 千裕
審判長/審判官
  • 審判長 西村 泰英
  • 審判官 槙原 進
  • 審判官 松下 聡
分類
P18 .121-WZ (F17D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-552053「液体送達システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月12日国際公開、WO2017/176815、令和 1年 6月27日国内公表、特表2019-518175〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年4月4日(外国庁受理)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和3年2月12日付けで拒絶の理由の通知 令和3年6月2日に意見書及び手続補正書の提出 令和3年9月3日付けで拒絶査定 令和4年1月14日に拒絶査定不服審判の請求及びその請求と同時に手続補正書の提出 令和4年7月6日付けで当審における拒絶の理由の通知 令和4年10月12日に意見書及び手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和4年10月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 液体送達システムであって、 第1の表面に形成された第1の基板ポートおよび第2の基板ポートと、第1の方向に延びて前記第1の基板ポートと前記第2の基板ポートを流体接続する第1の液体通路とを含み、流体送達システムのバック・プレーンの上面に設けられた基板ブロックと、 前記第1の基板ポートに流体接続された第1の能動構成要素と、 前記第1の能動構成要素とは別の第2の能動構成要素であって、前記第2の基板ポートに流体接続された第2の能動構成要素と を備え、前記基板ブロックは、射出成形によって一体型本体として形成され、前記第1の能動構成要素は、流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器および弁のグループから選択された1つ以上の構成要素であり、前記第2の能動構成要素は、流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器および弁のグループから選択された1つ以上の構成要素であり、前記第1の基板ポートは、基板リング、および前記第1の表面に形成され、かつ前記基板リングを囲む基板シール溝によって区画され、前記基板リングの外面は、前記基板シール溝の内面を形成し、前記基板リングの上面は前記第1の表面から凹んでおり、前記第1の能動構成要素および前記第2の能動構成要素は、前記基板ブロックによって前記液体送達システムのバック・プレーンから離間して分離されている、液体送達システム。」 第3 令和4年7月6日付けで通知した拒絶の理由 当審において、令和4年7月6日付けで通知した拒絶の理由のうち、理由1(進歩性)における請求項1についての拒絶の理由は、概略以下のとおりである。 本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献については引用文献一覧を参照) ●理由1(進歩性)について ・請求項 1 ・引用文献 1~4 ・備考 本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2~4に記載された事項から認められる周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 <引用文献一覧> 引用文献1:特開2011-149554号公報 引用文献2:特開2006-132662号公報 引用文献3:特開2007-292217号公報 引用文献4:国際公開第2006/059362号 第4 引用文献に記載された事項及び引用発明 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載 当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献1には、「流体制御装置用継手」に関し、次の記載がある。 (なお、下線は理解の一助のために当審において付したものである。以下同様。)。 ア 「【0001】 本発明は、半導体製造装置などに使用される流体制御装置用継手に関する。 【背景技術】 【0002】 流体制御装置において、一列に並べられた複数の装置構成部材の装置設置側に配置され、隣り合う装置構成部材の一方の装置構成部材の流体通路出口と他方の装置構成部材の流体通路入口とを連通させるか、外部導入管と流体制御装置の一端の装置構成部材の流体通路入口とを連通させるか、または外部排出管と流体制御装置の他端の装置構成部材の流体通路出口とを連通させるステンレス鋼製直方体状継手は、下記特許文献1に開示せられている。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 流体制御装置は、従来床の水平面に配置せられていたが、近時床面の有効利用のため、部屋の垂直壁面に配置せられるようになってきた。ところで、継手の連通路を流れる流体は一般に腐食性の強いものであるため、直方体状継手には耐食性のあるステンレス鋼が主として用いられている。ところが、ステンレス鋼は重量が大であるため、持ち運びに不便であるばかりか、人間が1人か2人で行う流体制御装置の垂直壁面への配置の作業性が悪かった。 【0004】 本発明の目的は、持ち運びが便利であり、しかも流体制御装置を垂直壁面へ配置する場合もその作業性が大幅に向上する軽量な流体制御装置用継手を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0005】 請求項1の発明による流体制御装置用継手は、一列に並べられた複数の装置構成部材の装置設置側に配置され、隣り合う装置構成部材の一方の装置構成部材の流体通路出口と他方の装置構成部材の流体通路入口とを連通させるか、他機器の流体通路出口若しくは流体源から配管された外部導入管と流体制御装置の一端の装置構成部材の流体通路入口とを連通させるか、または制御流体必要機器へ配管された外部排出管と流体制御装置の他端の装置構成部材の流体通路出口とを連通させる流体制御装置用継手において、中央に凹溝が設けられかつ装置構成部材取付け用おねじ部材によって装置構成部材が固定される接続部材と、凹溝内に存在しかつ連通路が形成された連通部材より構成され、連通部材が耐食性のある素材よりなり、接続部材が連通部材より比重が軽い素材よりなるものである。」 イ 「【0010】 図1は、本発明の継手が用いられている半導体製造装置用流体制御装置(E)が、ボックス(B)に収められて垂直壁面(W)にその長さ方向を垂直にして配置せられた状態を示す。図示は略したが、同じ流体制御装置(E)が複数その長さ方向を垂直にしかつ並列状に配置せられている。この流体制御装置(E)は、マスフローコントローラ(1)の下の流体通路入口側に上から順に2ポート開閉弁(2)、3ポート開閉弁(3)、圧力計(4)、圧力調整器(5)、フィルター(6)および手動弁(7)を一列に備えており、同上の流体通路出口側に2ポート開閉弁(8) を備えている(以下これらを単に装置構成部材(1)~(8)という)。装置構成部材(1)の流体通路入口側と流体通路出口側には、直方体状張出部(1a)(1b)が、他の装置構成部材(2)~(8)の各下端には、方形のフランジ部(2a)(3a)(4a)(5a)(6a)(7a)(8a)がそれぞれ設けられており、これらの後面はすべて面一とされている。装置構成部材(1)~(8)それぞれは、入口(9)および出口(10)が流体制御装置(E)の長さ方向すなわちガス状流体の流れ方向である下から上の方向に並んでいる流体通路を有している。 【0011】 垂直壁面(W)に取り付けられたボックス(B)の底壁に固定せられた基板(11)と、間隔をおいて一列に並べられた8つの装置構成部材(1)~(8)との間に、内部に形成せられたU字状(図1では横向きU字状であるが、これは継手のみる向きによって変わるものであるから、単に「U字状」という)連通路(12)により各隣り合う2つの装置構成部材(7) (6)、 (6) (5)、 (5) (4)、 (4) (3)、 (3) (2) (2) (1) および(1) (8)の一方の装置構成部材の流体通路出口 (10) と他方の装置構成部材の流体通路入口(9)とをそれぞれステンレス鋼製シール材(図示略)を介して接続する第1直方体状継手(13) (14) (15)ならびに内部に形成せられたL字状(図1では逆L字状であるが、L字状は継手の見る向きによって変わるものであるから、単に「L字状」という)連通路(16) により外部導入管(図示略)と流体制御装置(E)の下端の装置構成部材(7)の流体通路入口(9)とを、また流体制御装置(E)の上端の装置構成部材(8)の流体通路出口(10)と外部排出管(図示略)とをそれぞれステンレス鋼製シール材(図示略)を介して接続する第2直方体状継手(17)が、第1直方体状継手(13) (14) (15)とともに、前面がすべて面一となされて介在せられている。 【0012】 上記流体制御装置に使用した本発明による3種類の第1直方体状継手(13) (14) (15)のうちの1つの第1直方体状継手部材(13)の詳細を図2ないし図6に示す。 【0013】 第1直方体状継手(13)は、流体の流れ方向すなわち垂直方向にのびた凹溝(18)が長さの中央に横断状に設けられ、かつ凹溝(18)の両側に継手(13)を基板(11)に取付ける継手取付け用ボルト(19)の六角孔付き頭を継手(13)から突出しないように受ける段部(20a)付きボルト挿通孔(20)および装置構成部材取付け用おねじ部材(21)がねじ込まれるめねじ部(22)がそれぞれ設けられた凹字状接続部材(23)と、接続部材(23)の凹溝(18)に嵌め込まれかつ連通路(12)のみを有する扁平直方体状連通部材(24)とに全体が2分割せられ、連通部材(24)がステンレス鋼よりなり、接続部材(23)がステンレス鋼より比重の軽い素材であるポリアミド6よりなるものである。なお、おねじ部材(21) も六角孔付き頭を有している。 【0014】 ボルト挿通孔(20)は、凹溝(18)の長さの中央部分を介してその両側に凹溝(18)に近接して位置している。1対のめねじ部(22)は、U字状連通路(12)の入口(25)を介して、他の1対のめねじ部(22)は、U字状連通路(12)の出口(26)を介してそれぞれ存在し、後者の各めねじ部(22)がそれぞれ接続部材(23)の隅にあるのに対し、前者の各めねじ部(22) はそれぞれ接続部材(23) の隅から離れて凹溝(18)寄りにある。このように両者に間隔の差があるのは、第1直方体状継手(13)に取付けられる連通路(12)の入口(25)側の装置構成部材の幅と連通路(12)の出口(26) 側の装置構成部材の幅とに相違があるからである。したがって、第1直方体状継手(13)の両側の装置構成部材の幅がこの場合と逆になる場合、第1直方体状継手(13)はその上下を逆にして用いられる。」 ウ 「【0029】 上記実施形態では、連通路(12) (55)がU字状であるが、これはV字状でもよい。 【0030】 上記実施形態は、本発明の継手が用いられている半導体製造装置用流体制御装置が、垂直壁面にその長さ方向を垂直にして配置せられたものであるが、半導体製造装置用流体制御装置は、垂直壁面にその長さ方向を水平にして配置せられることもあり、場合によっては、これが床の水平面に配置せられることもある。 【0031】 上記実施形態の流体制御装置(E)は、半導体製造装置用のものであるが、半導体製造装置以外にも用い得る。」 エ 「【図1】 [図:0001399921000001.jpg] 【図2】 [図:0001399921000002.jpg] 【図3】 [図:0001399921000003.jpg] 」 オ 「【図6】 [図:0001399921000004.jpg] 」 (2)上記(1)の記載から認められる事項 上記(1)の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア 引用文献1の段落【0010】及び図1の記載によると、引用文献1には、流体制御装置Eが記載されており、当該流体制御装置Eは、複数の装置構成部材にガス状流体等の流体が流れるものであって、流体の流量を制御するマスフローコントローラ1や圧力調整器5等の装置構成部材により、ガス状流体等の流体の流れを制御するものであることが認められる。 そして、引用文献1の段落【0005】、【0010】、【0011】及び【0014】並びに図1~3の記載によると、流体制御装置Eが第1直方体状継手13、14、15を備え、第1直方体状継手13、14、15は、装置構成部材が設置される設置用の表面に形成された入口25および出口26を含むことが認められる。 また、引用文献1の段落【0010】、【0011】及び【0014】並びに図1~3の記載によると、第1直方体状継手13、14、15は、流体制御装置Eの長さ方向に延びて入口25と出口26を流体接続するU字状連通路12とを含むことが認められる。 さらに、引用文献1の段落【0011】、【0030】並びに図1~3の記載によると、その段落【0030】において、流体制御装置Eが水平に配置される態様が示されており、第1直方体状継手13、14、15は、流体制御装置Eの基板11の上面に設けられることが認められる。 イ 引用文献1の段落【0010】及び【0011】並びに図1の記載によると、流体制御装置Eは、入口25に流体接続された一方の装置構成部材と、一方の装置構成部材とは別の他方の装置構成部材であって、出口26に流体接続された他方の装置構成部材とを備えることが認められる。 ウ 引用文献1の段落【0010】及び【0011】並びに図1の記載によると、第1直方体状継手13、14、15の入口25に流体接続された一方の装置構成部材は、図1において、第1直方体状継手13、14、15の下側(水平に設置された態様においては左側)に流体接続されたものとして示された、マスフローコントローラ1、2ポート開閉弁2、3ポート開閉弁3、圧力計4、圧力調整器5、フィルター6及び手動弁7のいずれかが該当し、また、第1直方体状継手13、14、15の出口26に流体接続された他方の装置構成部材は、図1において、第1直方体状継手13、14、15の上側(水平に設置された態様においては右側)に流体接続されたものとして示された、マスフローコントローラ1、2ポート開閉弁2、3ポート開閉弁3、圧力計4、圧力調整器5およびフィルター6のいずれかが該当している。 そうすると、流体制御装置Eにおいて、一方の装置構成部材は、マスフローコントローラ1、2ポート開閉弁2、3ポート開閉弁3、圧力計4、圧力調整器5、フィルター6および手動弁7のグループから選択された1つ以上の構成要素であり、前記他方の装置構成部材は、マスフローコントローラ1、2ポート開閉弁2、3ポート開閉弁3、圧力計4、圧力調整器5およびフィルター6のグループから選択された1つ以上の構成要素であることが認められる。 エ 引用文献1の段落【0011】及び【0030】並びに図2、3及び6の記載(特に、2、3及び6の記載)によると、図2、3及び図6から、第1直方体状継手13の入口25において、リング状の突起と、設置用の表面に形成され、かつリング状の突起を囲む溝とが看て取れるとともに、リング状の突起の外面が、溝の内面を形成していることが看て取れ、さらに、図3から、リング状の突起の装置構成部材を配置する側の面は、第1直方体状継手13の設置用の表面から凹んでいることが看て取れる。 そうすると、第1直方体状継手13、14、15の入口25は、リング状の突起、および設置用の表面に形成され、かつ前記リング状の突起を囲む溝によって区画され、前記リング状の突起の外面は、前記溝の内面を形成し、前記リング状の突起の装置構成部材を配置する側の面は、前記設置用の表面から凹んでいることが認められる。 オ 引用文献1の段落【0010】及び【0011】並びに図1の記載によると、一方の装置構成部材および他方の装置構成部材と、基板11との間に、第1直方体状継手13、14、15が介在しているから、一方の装置構成部材および他方の装置構成部材は、第1直方体状継手13、14、15によって流体制御装置Eの基板11から離間して分離されていることが認められる。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)から、本願発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「複数の装置構成部材にガス状流体等の流体が流れ、その流体の流れを制御するようにした流体制御装置Eであって、 装置構成部材が設置される設置用の表面に形成された入口25および出口26と、前記流体制御装置Eの長さ方向に延びて前記入口25と前記出口26を流体接続するU字状連通路12とを含み、前記流体制御装置Eの基板11の上面に設けられた第1直方体状継手13、14、15と、 前記入口25に流体接続された一方の装置構成部材と、 前記一方の装置構成部材とは別の他方の装置構成部材であって、前記出口26に流体接続された他方の装置構成部材と を備え、前記一方の装置構成部材は、マスフローコントローラ1、2ポート開閉弁2、3ポート開閉弁3、圧力計4、圧力調整器5、フィルター6および手動弁7のグループから選択された1つ以上の構成要素であり、前記他方の装置構成部材は、マスフローコントローラ1、2ポート開閉弁2、3ポート開閉弁3、圧力計4、圧力調整器5およびフィルター6のグループから選択された1つ以上の構成要素であり、前記入口25は、リング状の突起、および前記設置用の表面に形成され、かつ前記リング状の突起を囲む溝によって区画され、前記リング状の突起の外面は、前記溝の内面を形成し、前記リング状の突起の装置構成部材を配置する側の面は、前記設置用の表面から凹んでおり、前記一方の装置構成部材および前記他方の装置構成部材は、前記第1直方体状継手13、14、15によって前記流体制御装置Eの基板11から離間して分離されている、流体制御装置E。」 2 引用文献2について (1)引用文献2の記載 当審において通知した拒絶の理由に周知技術の例証として引用された引用文献2には、「集積パネルと流体デバイスとの接続構造」に関し、次の記載がある。 「【0031】 〔実施例1〕 実施例1による集積パネルと流体デバイスとの接続構造を図1、図2に示す。この集積パネルと流体デバイスとの接続構造は、一対の円管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル1と、これの上面1aにリング状のガスケットGを介して搭載されるバルブ(開閉バルブ、ストップバルブ等)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する単流路型のものである。つまり、給排用として一対の接続構造が互いに同一のものとして構成されている。 【0032】 集積パネル1は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3a,4aと横向きの横通路3b,4bとから成る一対の円管状の供給側流体通路3,4が形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路3,4が開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、円管状の縦通路3a,4aのそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起21を有する下第1シール端部t21及び下第2シール端部t22が形成されている。 【0033】 バルブ(流体デバイスの一例)2は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aから下方突出する状態で縦向きに配された円管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の横側方に離れて開口する状態で縦向きに配された円管状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、円管状の供給側流体通路7,8のそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。つまり、バルブケース6下端には、一対のボルト挿通孔9aを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製の取付フランジ9の一対が下方突出形成されており、流体通路7,8を有する管部9Aとフランジ部(外向きフランジ)9Bとで各取付フランジ9が形成されている。供給側の取付フランジ9が、下方突出する環状突起11を有する上第1シール端部t11に形成され、排出側の取付フランジ9が、上方突出する環状突起11を有する上第2シール端部t12に形成されている。 ・・・ 【0039】 つまり、ガスケットGの上端部には、環状溝51とその内外の環状シール突起52,53とで上シール部g11が形成されており、同様に下端部には下シール部g12が形成されている。上シール部g11は上第1シール端部t11と嵌合して嵌合シール部10を形成し、下シール部g12は下第2シール端部t21と嵌合して嵌合シール部10を形成する。」 「【図1】 [図:0001399921000005.jpg] 【図2】 [図:0001399921000006.jpg] 【図3】 [図:0001399921000007.jpg] 」 (2)上記(1)の記載から認められる事項 上記(1)の記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア 引用文献2の段落【0031】~【0033】及び図1~3の記載によると、引用文献2には、断面円形の流体通路を有する集積パネル1とバルブ2の流体給排口部1A,2Aは、該集積パネル1も該バルブ2も各々、流体給排口部1A,2Aの外側から内側に向けて、環状溝である谷部25が形成され、そのすぐ内側にパネル上面1aより低い位置に頂面が設定された環状突起21を有する構造とされることが認められる。 ここで、環状突起21について、パネル上面1aより低い位置に頂面が設定されたことは、図2から看て取れる。 イ 引用文献2の段落【0031】~【0033】及び【0039】並びに図1~3の記載によると、谷部25及び隣接する環状突起21に嵌合するリング状のガスケットGを介して集積パネル1とバルブ2との接続を図ることで、流体シールが果たされることが認められる。 (3)引用文献2の記載事項 上記(1)及び(2)から、引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2の記載事項」)が記載されていると認める。 「断面円形の流体通路を有する集積パネル1とバルブ2の流体給排口部1A,2Aは、前記集積パネル1も前記バルブ2も各々、流体給排口部1A,2Aの外側から内側に向けて、環状溝である谷部25が形成され、そのすぐ内側にパネル上面1aより低い位置に頂面が設定された環状突起21を有する構造とされ、前記谷部25及び隣接する前記環状突起21に嵌合するリング状のガスケットGを介して前記集積パネル1と前記バルブ2との接続を図ることで、流体シールが果たされること。」 3 引用文献3について (1)引用文献3の記載 当審において通知した拒絶の理由に周知技術の例証として引用された引用文献3には、「流体デバイスどうしの接続構造。」に関し、次の記載がある。 「【0045】 〔実施例2〕 実施例2による流体デバイスどうしの接続構造を、図8,図9に示す。この流体デバイスどうしの接続構造は、一対の円管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル(第1流体デバイスの一例)1と、これの上面1aに一対のリング状のガスケットG,Gを介して搭載されるバルブ(第2流体デバイスの一例)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する単流路型のものである。つまり、給排用として一対の接続構造が互いに同一のものとして構成されている。 【0046】 集積パネル1は、図8,図9に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3a,4aと横向きの横通路3b,4bとから成る一対の円管状の供給側流体通路3,4が形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路3,4が開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、円管状の縦通路3a,4aのそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起21を有する下第1シール端部t21及び下第2シール端部t22が形成されている。 【0047】 バルブ2は、図8,図9に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aから下方突出する状態で縦向きに配された円管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の横側方に離れて開口する状態で縦向きに配された円管状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、円管状の供給側流体通路7,8のそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。つまり、バルブケース6下端には、一対のボルト挿通孔9aを有するガラス繊維入りPPSやその他の材料による取付フランジ9の一対が下方突出形成されており、流体通路7,8を有する管部9Aとフランジ部(外向きフランジ)9Bとで各取付フランジ9が形成されている。供給側の取付フランジ9が、下方突出する環状突起11を有する上第1シール端部t11に形成され、排出側の取付フランジ9が、上方突出する環状突起11を有する上第2シール端部t12に形成されている。 ・・・ 【0053】 つまり、ガスケットGの上端部には、環状溝51とその内外の環状シール突起52,53とで上シール部g11が形成され、同様に下端部には下シール部g12が形成されている。上シール部g11は上第1シール端部t11と嵌合して嵌合シール部10を形成し、下シール部g12は下第2シール端部t21と嵌合して嵌合シール部10を形成する。」 「【図8】 [図:0001399921000008.jpg] 【図9】 [図:0001399921000009.jpg] 【図10】 [図:0001399921000010.jpg] 」 (2)上記(1)の記載から認められる事項 上記(1)の記載から、引用文献3には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア 引用文献3の段落【0045】~【0047】及び図8~10の記載によると、引用文献3には、断面円形の流体通路を有する集積パネル1とバルブ2の流体給排口部1A,2Aは、該集積パネル1も該バルブ2も各々、流体給排口部1A,2Aの外側から内側に向けて、環状溝である谷部25が形成され、そのすぐ内側にパネル上面1aより低い位置に頂面が設定された環状突起21を有する構造とされることが認められる。 ここで、環状突起21について、パネル上面1aより低い位置に頂面が設定されたことは、図2から看て取れる。 イ 引用文献3の段落【0045】~【0047】及び【0053】並びに図8~10の記載によると、谷部25及び隣接する環状突起21に嵌合するリング状のガスケットGを介して集積パネル1とバルブ2との接続を図ることで、流体シールが果たされることが認められる。 (3)引用文献3の記載事項 上記(1)及び(2)から、引用文献3には次の事項(以下、「引用文献3の記載事項」)が記載されていると認める。 「断面円形の流体通路を有する集積パネル1とバルブ2の流体給排口部1A,2Aは、前記集積パネル1も前記バルブ2も各々、流体給排口部1A,2Aの外側から内側に向けて、環状溝である谷部25が形成され、そのすぐ内側にパネル上面1aより低い位置に頂面が設定された環状突起21を有する構造とされ、前記谷部25及び隣接する前記環状突起21に嵌合するリング状のガスケットGを介して前記集積パネル1と前記バルブ2との接続を図ることで、流体シールが果たされること。」 4 引用文献4について (1)引用文献4の記載 当審において通知した拒絶の理由に周知技術の例証として引用された引用文献4には、「流体用機器の接続部シール構造」に関し、次の記載がある。 「[0018] [第1の実施形態] 以下、本発明の流体用機器の接続部シール構造を具体化した第1の実施形態を 図面を参照して詳細に説明する。 [0019] 図1に、本発明の流体用機器としてのマニホールドタイプの薬液弁1を断面図により示す。図2に、その薬液弁1を分解断面図により示す。この薬液弁1は、マウンティングプレート2と、同プレート2上に固定された樹脂よりなるマニホールドベース3と、同ベース3上に固定された樹脂よりなるバルブ部4とを備える。この実施形態では、マニホールドベース3とバルブ部4を互いに接続することにより薬液弁1が構成される。この実施形態では、マニホールドベース3が本発明の第1の部品に相当し、バルブ部4が本発明の第2の部品に相当する。この実施形態では、マニホールドベース3及びバルブ部4の流路ブロック9はともに、PTFEより形成される。 [0020] マニホールドベース3には、流路5が形成される。マニホールドベース3の上面には 、流路5に通じる流路口6が形成される。この流路口6の周囲が、マニホールドベース3の接続部7となっている。 [0021] バルブ部4は、流路8を有する流路ブロック9と、ピストン10を内蔵したシリンダ11とを含む。流路ブロック9には、流路8に配管を接続するための管継手12が設けられる 。流路ブロック9とシリンダ11との間には、流路8を開閉するダイアフラム弁体13が設けられる。ダイアフラム弁体13はピストン10に連結される。ピストン10により上下に区画されたシリンダ11の下側の部屋15には、対応するエアポート17を通じてパイロットエアが出入りする。このパイロットエアを受けてピストン10が移動することにより、ダイアフラム弁体13が作動し、流路8が開かれる。流路ブロック9の下面には、流路口18 が設けられる。この流路口18の周囲が、流路ブロック9の接続部19となっている。 [0022] マニホールドベース3の接続部7と流路ブロック9の接続部19との間には、本発明の樹脂よりなるシール部品としてのH形リング20が介在される。この実施形態で、H 形リング20は、PTFEよりやや硬いPFAにより形成される。 [0023] 図3に、上記した接続部7, 19を拡大断面図に示す。マニホールドベース3の接続部7と H形リング20の対応部位には、互いに凹凸の関係で嵌合する凹凸条21, 22がそれぞれ形成される。同じぐ流路ブロック9の接続部19とH形リング20の対応部位には、互いに凹凸の関係で嵌合する凹凸条23, 24がそれぞれ形成される。」 「[図1] [図:0001399921000011.jpg] [図2] [図:0001399921000012.jpg] [図3] [図:0001399921000013.jpg] 」 (2)上記(1)の記載から認められる事項 上記(1)の記載から、引用文献4には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア 引用文献4の段落[0018]~[0021]及び[0023]並びに図1~3の記載によると、引用文献4には、断面円形の流体通路を有するマニホールドベース3とバルブ部4の流路ブロック9の流路口6,18は、前記マニホールドベース3も前記バルブ部4の流路ブロック9も各々、流路口6,18の外側から内側に向けて、リング状の凹条21が形成され、そのすぐ内側に接続部7,19の表面より低い位置に頂面が設定されたリング状の凸条22を有する構造とされることが認められる。 ここで、リング状の凸条22について、接続部7,19の表面より低い位置に頂面が設定されたことは、図3から看て取れる。 イ 引用文献4の段落[0022]及び[0023]並びに図1~3の記載によると、リング状の凹条21及び隣接するリング状の凸条22に嵌合するシール部品としてのH形リング20を介してマニホールドベース3とバルブ部4の流路ブロック9との接続を図ることで、流体シールが果たされることが認められる。 (3)引用文献4の記載事項 上記(1)及び(2)から、引用文献4には次の事項(以下、「引用文献4の記載事項」)が記載されていると認める。 「断面円形の流体通路を有するマニホールドベース3とバルブ部4の流路ブロック9の流路口6,18は、前記マニホールドベース3も前記バルブ部4の流路ブロック9も各々、流路口6,18の外側から内側に向けて、リング状の凹条21が形成され、そのすぐ内側に接続部7,19の表面より低い位置に頂面が設定されたリング状の凸条22を有する構造とされ、前記リング状の凹条21及び隣接する前記リング状の凸条22に嵌合するシール部品としてのH形リング20を介して前記マニホールドベース3と前記バルブ部4の流路ブロック9との接続を図ることで、流体シールが果たされること。」 5 引用文献5について 当審において新たに周知技術の例証として引用する特開昭63-35786号公報(以下、「引用文献5」という。)には、「微小流路を有する流路部材の製造方法」に関し、次の記載がある。 「第1図は本発明の実施例における流路部材の側断面図を示したものである。熱可塑性をもつメタクリル樹脂を圧縮成形法を用いて成形する実施例で説明する。 まずメタクリル樹脂の粉体状の原材料と、流路の形状に成形した例えば外径0.5mm内径0.2mmの銅パイプからなるパイプ材2とを、圧縮成形機の70℃程度に予備加熱されている金型内に配置する。 次に160℃まで昇温し、35kg/cm2の圧力を加えそのまま15分程度保持し、圧縮成形する。 次に加圧状態のまま冷却し、室温程度になったら金型より取出す。 次に30℃程度の塩化第2鉄(FeCl3)の水溶液のエッチング液にて銅パイプをエッチングすることにより除去し、微小流路を有する流路部材1を得る。 単純なU字型の流路で説明してきたが、パイプ材を組合わせると複雑な形状の流路も得られる。さらに流路のコーナ一部の丸みは、パイプ材を成形するときの曲げ半径を変えれば調整可能である。 金属材料としてパイプ材を使用したのは、エッチングにて金属材料を除去するとき、エッチング液がパイプ内径部を通り、金属材料を完全に除去するためとエッチング時間の短縮を図る目的のためである。 以上メタクリル樹脂の圧縮成形法を用いて説明してきたが、メタクリル樹脂以外の合成樹脂にも応用可能で、さらに圧縮成形法のほかの射出成形法、押出成形法、注型法等にも使用可能である。」 〔発明の効果〕 以上の説明で明らかなように、合成樹脂からなる微小流路を有する流路部材の加工を本発明の製造方法を用いた結果、良好な面あらさと均一な穴寸法を持ち、コーナ一部が丸みを帯びた流路が得られ、流体の抵抗がなくコーナ一部での渦流の発生もない正常な流体の流れを持った流路部材が得られる。」(第2ページ左上欄第17行~同ページ左下欄第14行) 「 [図:0001399921000014.jpg] 」 6 引用文献6について 当審において新たに周知技術の例証として引用する特開2000-193176号公報(以下、「引用文献6」という。)には、「流体分岐ブロックおよび流体分岐ブロック製造用金型」に関し、次の記載がある。 「【0005】 【発明が解決しようとした課題】本発明者らは、かかる状況に鑑み、上記従来技術の諸欠点を一挙に解決した流体分岐ブロックを提供すべく鋭意検討した結果本発明を完成したものである。本発明の目的は、次のとおりである。1.熱媒の往き流路と戻り流路とを放熱板に好ましく分布させて、マクロに見た場合に温度差が生じない放熱板が得られる流体分岐ブロックを提供すること。2.熱媒の圧損失が少なく、製作が容易で、耐久性に優れ、優れた品質の流体分岐ブロックを提供すること。3.優れた品質の流体分岐ブロックを容易に製造できる射出成形金型を提供すること。」 「【0019】本発明に係る流体分岐ブロックは、合成樹脂を使用して射出成形法により一体成形される。使用される合成樹脂としては、耐熱性、耐薬品性、剛性などに優れたエンジニアリングプラスチックが好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。中でも、ポリフェニレンスルホンが好適である。合成樹脂には、着色剤、安定剤、充填剤、難燃剤、ガラス繊維、タルク、酸化チタンなどの各種樹脂添加剤を配合することができる。」 「【0027】図7は、図1に示した流体分岐ブロックの製造用射出成形金型の入子の一例の側面図であり、分割面を明らかにする図である。入子25は射出成形金型のブロックに埋込まれるもので、26は流体分岐ブロック形成用キャビティであり、27は分割面であり、29は流体大流路形成用芯棒であり、30、31、32、33は流体小流路形成用芯棒であり、これら芯棒は図示されていない可動ブロックに連接されている。28は溶融樹脂通路ゲートであり、射出成形金型のゲートに連接される。」 「 [図:0001399921000015.jpg] 」 「 [図:0001399921000016.jpg] 」 7 引用文献7について 当審において新たに周知技術ないし周知事項の例証として引用する特開2013-127312号公報(以下、「引用文献7」という。)には、「MSM構成部品及び関連ガスパネルアッセンブリ」に関し、次の記載がある。 「【0006】 1990年代半ばに始まったモジュール表面実装(「MSM」)流体用構成部品の出現は、流体システムの小型化における大きな画期的出来事と考えられている。即ち、システムは、弁、調整器、フィルタ、圧力変換器、質量流量計、及び質量流量制御装置の様な、流体制御系及び測定系の構成部品から構成されている。MSMインターフェース以前は、その様な構成部品は、通常、溶接又は再使用可能なガスケット式接続の何れかを介した相互接続用配管具によって流体連通可能に接合されていた。何れの方法も、金属製配管類突起部、即ち相互接続と流体輸送という明白な目的に使用される各流体用構成部品に固有の付属物によって可能になっていた。」 「【0013】 名前が暗示している通り、この相互接続部構成部品は、整列ピンとスロットの協働的な相互作用によって平坦な支持面上に配置されているモジュール式流体用インサートに跨がれるようにする、そのU字型設計によって特徴付けられており、同スロットは平坦な支持板側に設けられているのが望ましい。相互接続部構成部品は、上面及び下面と少なくとも2つの整列用脚部とを有する基部部分を有している。整列用脚部と下面は、同構成部品が流体用インサートに跨がれるようにするU字型開口部を画定している。相互接続部構成部品の上面は、処理流体に関して異なる加工機能を発揮する各種MSM構成部品を支持することができる。使用される個々のMSM構成部品に関係無く、U字型相互接続部構成部品は、下面を通し、基部に穿孔されたポートを介して、流体用インサートと流体連通できるようにしている。下面は、1つ又はそれ以上の流体用インサートの上面と密閉シールを形成することができる。或る代表的な構成では、1つの流体用インサートの1つのポートが相互接続部構成部品の下面の1つのポートとシール関係に置かれ、第2の隣接する流体用インサートの1つのポートが相互接続部構成部品の下面の第2のポートとシール関係に置かれる。この様式では、流体は、一方の流体用インサートから隣接する流体用インサートへと、MSM構成部品の相互接続部構成部品を介して移動することができる。換言すると、処理流体は、一方のモジュール式流体用インサートからMSM相互接続部構成部品の基部部分の一方の流体通路を通って流れ、相互接続部構成部品の第2の流体通路を通って戻り、第2の流体用インサートへ流入する。」 「【0018】 本発明は、半導体ウェーハを含めた電子部品の製作に通常使用されているガス及び液体を含め、当業者に知られているあらゆる処理流体と共に使用できる。本発明のU字型相互接続具とモジュール式流体用インサートは、腐蝕性処理流体を輸送することができる金属を用いて製造されるのが望ましい。その様な金属としては、各種合金のステンレス鋼、モネル(登録商標)、ニッケル、コバルト、チタン、ハステロイ(登録商標)、及びそれらの組合せを含め、超高純度薬品及びガス送達や超高真空環境で通常使用されているものが挙げられる。 【0019】 厳密には、本発明は、平坦な支持板の表面に直に接続できるようにする実質的に方形又は矩形のU字型相互接続具に関する。金属製作の技術分野における当業者には理解頂けるように、U字型相互接続具とモジュール式流体用インサートは共に、従来式の機械加工法でバルク材から製作するか、金属射出成形(MIM)、熱間粉末鋳造、熱間又は冷間静水圧プレス成形の様な各種形態の粉末治金(PM)技法によって製作するか、又は射出成形によって製作することができる。用いられる製作方法次第では、許容可能な表面仕上げを実現するために、その後の「クリーンアップ」機械加工作業が必要になる場合もある。図1は、本発明のガスアッセンブリの1つの例の分解図を示しており、同アッセンブリでは、平坦な支持板1は、モジュール式インサート4の下面に設けられているピン10(図示せず)を係合させるスロット2を含んでいる。各インサートは、その上面に、U字型MSM相互接続部構成部品6の下面の流体通路(図示せず)と整列しシールされる流体通路5が設けられている。図2は、基部15と上面16及び下面20を有する相互接続部構成部品6の2通りの可能な設計を例示している。MSM構成部品8は、上面16に取り付けられているか又は上面と一体に形成されている。下面20は、流体用インサート4の流体通路5と整列する流体通路21を有している。基部15には、更に、相互接続部構成部品6が流体用インサート4に跨がれるようにするU字型構造を形成している下向きに伸びる少なくとも2つの整列用脚部23が設けられている。整列用脚部には、相互接続部構成部品がインサート4に跨り、それらを板1の表面に押圧して垂直及び水平方向への移動を防止するように、板1の締結具通路3に解除可能に係合する締結具7を受け入れるために、締結具通路22が配置されている。」 「【図1】 [図:0001399921000017.jpg] 」 8 引用文献8について 当審において新たに周知事項の例証として引用する特表2007-532844号公報(以下、「引用文献8」という。)には、「気体パネルアセンブリ」に関し、次の記載がある。 「【0022】 用語「流体マニホルド」および「気体パネル」は、交換可能に使用され、そして要素のシステム(いくつかは、通路を備える)、ならびに流体、液体、および/または蒸気を調節し、移送し、そして/または制御するための流体構成要素をいう。 【0023】 用語「流体」は、本明細書中で使用される場合、液体、気体、および/または蒸気をいう。 ・・・ 【0025】 (II.流体マニホルドおよびマニホルド構成要素) 本発明のマニホルド、およびその種々の構成要素は、本発明の1つの一般的な実施形態において図1~7において、そして本発明の別の一般的な実施形態において図8~16において、図示される。上記のように、本明細書中に記載されるデバイスは、半導体の製造において使用されるような、高純度の液体、気体および蒸気と共に特に有用である。しかし、このマニホルドは、液体、気体または蒸気の流れを提供するか、維持するか、または調節するための、任意の用途について有用であることが理解される。 【0026】 (A.第一の実施形態:インターロックブロック構成) 図1を参照すると、以下に詳細に記載される構成要素は、本発明の第一の一般的な実施形態に従って構築される、モジュール式流体マニホルド(例えば、マニホルド10、11)を構築するように、組み合わせられる。以下でより完全に理解されるように、各マニホルドは、複数のパイプモジュール(図示せず)および複数のブロックモジュール(例えば、モジュール12、14)からなり、これらのパイプモジュールは、マニホルド内に流体通路を形成する。代表的なマニホルド10は、この流体マニホルドと組み合わせて使用される流体構成要素または付属品(例えば、構成要素16、18、20)と共に組み立てられて示される。これらの流体構成要素は、代表的に、流れ制御器または流れ調節器であり、弁、流れ調節器、圧力調節器、圧力指示器/変換器、およびフィルタが挙げられるが、これらに限定されない。これらの流体構成要素は、任意の数の種々の流体構成要素と流体連絡し得、これらの流体構成要素としては、流体流れ調節器、流体供給源、圧力変換器、流体出口などが挙げられる。これらの流体構成要素は、代表的に、流体マニホルドの表面に設置され、そしてこの流体マニホルドの構成要素との流体連絡のための、入口および/または出口を備える。これらの流体構成要素は、流体マニホルドに、直接設置されても間接的に設置されてもよいことが、理解される。この流体構成要素が、流体マニホルドに間接的に設置される場合、任意の数の構成要素(シール、加熱器、ロケーター、保持具、およびスペーサーが挙げられる)が、この流体構成要素とこの流体マニホルドとの間に配置され得る。」 「【図1】 [図:0001399921000018.jpg] 」 9 引用文献9について 当審において新たに周知事項の例証として引用する特表2006-521522号公報(以下、「引用文献9」という。)には、「流体送出装置」に関し、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、弁、調整器、大流量制御器、フィルター、及び圧力変換器のような相互連結した流体制御構成部品を含む種類の流体送出装置に関する。 【背景技術】 【0002】 流体送出装置は、例えば、所定の流量及び所定の圧力で所定のガス又はガスの混合物を加工室に提供するための半導体加工装置に使用される。種々の供給ガスは、かかるマニホルドの流入口に連結され、マニホルドの1以上の流出口は加工室に連結される。かかるマニホルド装置は普通、所望の流量及び圧力下で所望のガス及びガスの混合物の加工室への送出を確保する仕方で2次元領域にわたって互いに連結される弁、調整器、大流量制御器、フィルター、及び圧力変換器のような構成部品を含む。 ・・・ 【0007】 装置は、流体連結通路及びマニホルド通路を介して互いに流れ連通して配置された複数の流体制御構成部品を更に含む。 流体制御構成部品の1つは、対の連結ピースの一方の流出口に連結される流入口と、それぞれの対の連結ピースのもう一方の流入口に連結した流出口を有する。 流体制御構成部品は、弁、調整器、大流量制御器、フィルター、及び圧力変換器の少なくとも1つを含む。 各それぞれの流体連結ピースの口は、それぞれの流体連結ピースの同じ側に位置する。 ・・・ 【0013】 添付図面の図1は、ベース取付け板12、3つのロケータ整列クレードル14、6つのロケータ締結ねじ16、3つの流体連結ブロック18、6つのシール20、3つの流体制御構成部品22、及び12の構成部品締結ねじ24を含む、本発明の実施形態による1列の流体送出装置、又はガスマニホルド装置10を図示する。ベース取付け板12には、6つのクレードル取付け開口26が形成されている。6つのナット28がベース取付け板12の底面に溶接されている。各ナット28はクレードル取付け開口26のそれぞれと整列したねじ穴を有する。」 「【0031】 本発明の他の実施形態もまた、液体のようなガス以外の流体を流すのに使用しても良い。流体送出装置の構成部品は、異なる密封界面を利用する流体制御構成部品の異なるデザインに適用するように異なって寸法決め及び形成されても良い。完全な流体送出装置がマニホルドピースを含む必要はなく、且つロケータ整列クレードル、流体連結ピース、及び流体制御構成部品の列を有する必要はない。」 「 [図:0001399921000019.jpg] 」 第5 対比 本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 1 流体送達システムについて 前者の「液体送達システム」は、能動構成要素を使用するプロセスに供給源から液体化学物質を送達するためのものである(本願明細書の段落【0005】)。 一方、後者の「流体制御装置E」は、「複数の装置構成部材にガス状流体等の流体が流れ、その流体の流れを制御するようにした」ものであって、流体が液体であることは特定されていないものの、所定のプロセスに使用される装置構成部材に流体を送達するシステムを構成しており、前者とは、能動構成要素を使用するプロセスに供給源から流体を送達する流体送達システムの点で共通する。 そうすると、後者の「複数の装置構成部材にガス状流体等の流体が流れ、その流体の流れを制御するようにした流体制御装置E」と、前者の「液体送達システム」とは、「流体送達システム」という限りにおいて一致する。 2 基板ブロックについて 後者の「装置構成部材が設置される設置用の表面」は、前者の「第1の表面」に相当し、同様に、「入口25」は「第1の基板ポート」に、「出口26」は「第2の基板ポート」に、「前記流体制御装置Eの長さ方向」は「第1の方向」に、「基板11」は「バック・プレーン」に、「第1直方体状継手13、14、15」は「基板ブロック」に、それぞれ相当する。 また、後者の「U字状連通路12」と、前者の「第1の液体通路」とは、「第1の流体通路」という限りにおいて一致する。 また、後者の「基板11の上面」は、「バック・プレーンの上面」に相当する。 そして、後者の「装置構成部材が設置される設置用の表面に形成された入口25および出口26と、前記流体制御装置Eの長さ方向に延びて前記入口25と前記出口26を流体接続するU字状連通路12とを含み、前記流体制御装置Eの基板11の上面に設けられた第1直方体状継手13、14、15」と、前者の「第1の表面に形成された第1の基板ポートおよび第2の基板ポートと、第1の方向に延びて前記第1の基板ポートと前記第2の基板ポートを流体接続する第1の液体通路とを含み、流体送達システムのバック・プレーンの上面に設けられた基板ブロック」でありかつ「射出成型によって一体型本体として形成される」こととは、「第1の表面に形成された第1の基板ポートおよび第2の基板ポートと、第1の方向に延びて前記第1の基板ポートと前記第2の基板ポートを流体接続する第1の流体通路とを含み、流体送達システムのバック・プレーンの上面に設けられた基板ブロック」という限りにおいて一致する。 3 第1の能動構成要素について ・後者の「一方の装置構成部材」は、前者の「第1の能動構成要素」に相当する。 そして、後者の「前記入口25に流体接続された一方の装置構成部材」は、前者の「前記第1の基板ポートに流体接続された第1の能動構成要素」に相当する。 ・後者の「マスフローコントローラ1」は、前者の「流量制御器」に相当し、同様に、「圧力計4」は「圧力変換器」に、「2ポート開閉弁2」、「3ポート開閉弁3」及び「手動弁7」は「弁」に、「圧力調整器5」は「圧力調節器」に、それぞれ相当する。 そうすると、後者の「前記一方の装置構成部材は、マスフローコントローラ1、2ポート開閉弁2、3ポート開閉弁3、圧力計4、圧力調整器5、フィルター6および手動弁7のグループから選択された1つ以上の構成要素」であることは、前者の「前記第1の能動構成要素は、流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器および弁のグループから選択された1つ以上の構成要素」であることに相当する。 4 第2の能動構成要素について 後者の「他方の装置構成部材」は、前者の「第2の能動構成要素」に相当する。 そして、後者の「前記一方の装置構成部材とは別の他方の装置構成部材であって、前記出口26に流体接続された他方の装置構成部材」は、前者の「前記第1の能動構成要素とは別の第2の能動構成要素であって、前記第2の基板ポートに流体接続された第2の能動構成要素」に相当する。 また、後者の「前記他方の装置構成部材は、マスフローコントローラ1、2ポート開閉弁2、3ポート開閉弁3、圧力計4、圧力調整器5およびフィルター6のグループから選択された1つ以上の構成要素」であることは、前者の「前記第2の能動構成要素は、流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器および弁のグループから選択された1つ以上の構成要素」であることに相当する。 5 第1の基板ポートについて 後者の「リング状の突起」と、前者の「基板リング」とは、「所定のリング部材」という限りにおいて一致する。 また、後者の「溝」と、前者の「基板シール溝」とは、「所定の溝」という限りにおいて一致する。 さらに、後者の「前記リング状の突起の装置構成部材を配置する側の面」と、前者の「前記基板リングの上面」とは、「前記所定のリング部材の上面」という限りにおいて一致する。 そうすると、後者の「前記入口25は、リング状の突起、および前記設置用の表面に形成され、かつ前記リング状の突起を囲む溝によって区画され、前記リング状の突起の外面は、前記溝の内面を形成し、前記リング状の突起の装置構成部材を配置する側の面は前記設置用の表面から凹んで」いることと、前者の「前記第1の基板ポートは、基板リング、および前記第1の表面に形成され、かつ前記基板リングを囲む基板シール溝によって区画され、前記基板リングの外面は、前記基板シール溝の内面を形成し、前記基板リングの上面は前記第1の表面から凹んで」いることとは、「前記第1の基板ポートは、所定のリング部材、および前記第1の表面に形成され、かつ前記所定のリング部材を囲む所定の溝によって区画され、前記所定のリング部材の外面は、前記所定の溝の内面を形成し、前記所定のリング部材の上面は前記第1の表面から凹んで」いるという限りにおいて一致する。 6 第1の能動構成要素及び第2の能動構成要素のバック・プレーンとの位置関係について 後者の「前記一方の装置構成部材および前記他方の装置構成部材は、前記第1直方体状継手13、14、15によって前記流体制御装置Eの基板11から離間して分離されている」ことと、前者の「前記第1の能動構成要素および前記第2の能動構成要素は、前記基板ブロックによって前記液体送達システムのバック・プレーンから離間して分離されている」こととは、「前記第1の能動構成要素および前記第2の能動構成要素は、前記基板ブロックによって前記流体送達システムのバック・プレーンから離間して分離されている」という限りにおいて一致する。 7 一致点・相違点 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「流体送達システムであって、 第1の表面に形成された第1の基板ポートおよび第2の基板ポートと、第1の方向に延びて前記第1の基板ポートと前記第2の基板ポートを流体接続する第1の流体通路とを含み、流体送達システムのバック・プレーンの上面に設けられた基板ブロックと、 前記第1の基板ポートに流体接続された第1の能動構成要素と、 前記第1の能動構成要素とは別の第2の能動構成要素であって、前記第2の基板ポートに流体接続された第2の能動構成要素と を備え、前記第1の能動構成要素は、流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器および弁のグループから選択された1つ以上の構成要素であり、前記第2の能動構成要素は、流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器および弁のグループから選択された1つ以上の構成要素であり、前記第1の基板ポートは、所定のリング部材、および前記第1の表面に形成され、かつ前記所定のリング部材を囲む所定の溝によって区画され、前記所定のリング部材の外面は、前記所定の溝の内面を形成し、前記所定のリング部材の上面は前記第1の表面から凹んでおり、前記第1の能動構成要素および前記第2の能動構成要素は、前記基板ブロックによって前記流体送達システムのバック・プレーンから離間して分離されている、流体送達システム。」 [相違点1] 「流体」送達に関して、本願発明は、「液体送達システム」であり、基板ブロックに「第1の液体通路」を含むのに対して、引用発明は、「複数の装置構成部材にガス状流体等の流体が流れ、その流体の流れを制御するようにした流体制御装置E」であり、第1直方体状継手13、14、15に「U字状連通路12」を含むものの、「液体」を送達対象としていない点。 [相違点2] 「第1の基板ポート」に形成されている「所定のリング部材」及び「所定の溝」に関し、本願発明では、それぞれ「基板リング」及び「基板シール溝」であるのに対して、引用発明では、単に「リング状の突起」及び「溝」とされ、基板のシールとの関連が直接的には不明である点。 [相違点3] 本願発明では、「前記基板ブロックは、射出成形によって一体型本体として形成され」るのに対して、引用発明では、そのような構成を有していない点。 第6 判断 1 相違点の検討 (1)相違点1について 上記相違点1に係る相違について、本願発明で採用された液体送達システムが備える、基板ブロック、第1,第2の能動構成要素にて構成された流路と、引用発明の流路とされる入口25及び出口26とU字状通路12とを含んで設けられる第1直方体状継手13、14、15、一方,他方の装置構成部材とは、一致点に挙げたとおり機能及び構造の点で、その中を流れる流体が、液体であるか、気体(=ガス)であるかで大きく異なるところはない。 そして、引用発明は半導体デバイスの製造を含む用途に用いられるところ、半導体の製造などを用途とする流体を送達するシステムにおいて、ガスのみならず液体を送達することにも対応可能であることは、例えば、上記第4の7~9において摘記した引用文献7の記載(特に、段落【0006】、【0018】を参照。)、引用文献8の記載(特に、段落【0022】、【0023】、【0025】を参照。)及び引用文献9の記載(特に、段落【0031】を参照。)から理解できるように、本願の出願前に周知の事項(以下、「周知事項」という。)である。 そうすると、引用発明において、周知事項を考慮することにより、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が適宜なし得たことである。 (2)相違点2について 断面円形の流体通路端部に、外側から環状溝、引き続き頂面を低くされた凸部の形状を施すことは、引用発明のみならず複数なされている事項であり、例えば引用文献2~4の記載事項で示すように、引用文献2及び3ではリング状のガスケットG、引用文献4ではH形リング20とされる、接続時に流体の漏れを防ぐシール部材を嵌合させるために採用された周知の技術(以下、「周知技術1」という。)であると認められる。 してみれば、引用発明の「入口25」のところに施された突起と溝は、かかる周知技術1に照らすと、シール部材の嵌合配置を予定するものと容易に理解できることから、引用発明の「リング状の突起」及び「溝」を、それぞれ「リング状のシール突起(基板リング)」及び「シール溝(基板シール溝)」とし、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (3)相違点3について 流体通路を含むブロック状の部材を、射出成形によって一体型の本体として形成することは、例えば、上記第4の5~7において摘記した引用文献5~7の記載に示されているように、本願の出願前に周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。 周知技術2によって、流体通路を含むブロック状の部材を、容易に製作できるところ(引用文献6の段落【0005】を参照。)、引用発明の第1直方体状継手13、14、15も流体通路を含むブロック状の部材を有しているという点で共通しており、また、引用発明において、製作の容易化は内在する課題といえるから、引用発明に周知技術2を適用する動機付けがあるものといえる。 そうすると、引用発明において、周知技術2を適用し、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 2 請求人の主張について 請求人は、令和4年10月12日提出の意見書の「2.(理由1)について」において、次の主張をする。 「引用文献1には、接続部材23を貫通する凹溝18を有する第1直方体状継手13が記載されています。連通部材24は、ステンレス鋼で作られ、それを通る流路を組み込んでいます。一方、接続部材23は、ステンレス鋼よりも比重の軽いポリアミド6で形成されています。前記引用文献1に記載された構成を、本願の請求項1に記載された『前記基板ブロックは、射出成形によって一体構造体として形成され』るように変える動機となり得るものは存在しません。接続部材23を射出成形によって形成することができるかもしれませんが、その場合でも、連通部材24は、システム質量の削減とステンレス鋼の接液流路という2つの目標を同時に達成するために、依然として別個の構成要素として形成されるはずです。したがって、前記引用文献1には、本願の請求項1に記載された『前記基板ブロックは、射出成形によって一体構造体として形成されるものとする点』について、何らの記載も示唆もされていません。上記点は、他の引用文献(引用文献2~4)にも記載または示唆されていません。」(1頁下から9行~2頁3行) 請求人の主張は、引用文献1の第1直方体状継手13が、連通部材24と接続部材23との組立構造物であることを前提に、当該継手13全体が射出成型によって一体構造体として形成されたものでないという相違を挙げ、これを一体構造体に変更する動機は、見いだせないとしたものと理解される。 しかしながら、上記1(3)の検討で示したとおり、引用発明の第1直方体継手13の流体通路を構成する部材は、連通部材24としてステンレス鋼で作られており、樹脂及び金属を材料として部材を作るに当たって射出成型法を採用するとした周知技術2を適用する動機付けがあるものと認められ、引用発明において、周知技術2を適用し、第1直方体状継手13、14、15(基板ブロック)を、射出成形によって一体型本体として形成することが、当業者にとって格別困難であるとは認められないから、請求人の上記主張は採用することができない。 3 効果について そして、本願発明を全体としてみても、その奏する効果は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知事項から、当業者が予測し得る範囲のものである。 4 まとめ したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-000658

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