2022-000576
観察システム及び情報管理方法
- 審判番号
- 2022-000576
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-535547外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年01月13日
- 審決日
- 2023年01月24日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WY (G16H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 24項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)8月10日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 元年12月23日 手続補正書の提出
令和 3年 2月10日 拒絶理由通知書(起案日)
令和 3年 4月 8日 意見書、手続補正書の提出
令和 3年10月25日 拒絶査定(起案日)
令和 4年 1月13日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年10月 5日 拒絶理由通知書(起案日)
令和 4年12月12日 意見書、手続補正書の提出
第2 令和4年10月5日付けの拒絶理由の概要
当審において、令和4年10月5日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりのものである。
(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
請求項1~3、5、6、8、10、16、17について、引用文献A~D
第3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
請求項1~18について、引用文献1~12
第4 本願発明
本願の請求項1~16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明16」という。)は、令和4年12月12日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。なお、本願発明1及び本願発明16は、当審拒絶理由において拒絶理由のないとされた本件補正前の請求項4に記載された事項を、それぞれ、本件補正前の請求項1及び請求項17に付加したものである。
【請求項1】
培養中の生体試料について時系列に沿って取得された複数の画像を管理する画像管理部と、
ユーザの指示に基づいて前記画像と関連付けてコメント及びROIを記録するコメント管理部と、
前記培養中に行われた作業の記録を管理する情報管理部と、
前記時系列を示すタイムバーと、
前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバーの選択時間表示と、
前記時系列中の選択された時点に対応する画像を表示させる前記タイムバーの選択時間表示と、
前記タイムバーに前記作業が行われたタイミングを示す作業表示と前記コメントが付されている時点を示すコメント表示
を表示装置に表示させる表示制御部と
備え、
前記コメント管理部は、ユーザの指示に基づいて前記コメントと関連付けてさらに異なるコメント及びROIを記録し、
前記情報管理部は、前記作業の記録と前記画像を関連付け、
前記作業表示に基づいて選択された時点に対応する画像が表示される
観察システム。
【請求項2】
前記画像に基づいて得られた解析結果を管理する解析結果管理部をさらに備え、
前記コメント管理部は、ユーザの指示に基づいて前記解析結果と関連付けてさらにコメントを記録する、
請求項1に記載の観察システム。
【請求項3】
前記コメント管理部は、前記画像と関連付けて記録されたコメントと、前記解析結果と関連付けて記録されたコメントとを、互いに関連付ける、請求項2に記載の観察システム。
【請求項4】
前記コメント管理部は、前記コメントの記録を指示したユーザを特定する情報を前記コメントと関連付けて記録する、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の観察システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、異なるユーザの指示に基づいて記録されたコメントは異なる色で前記表示装置に表示させる、
請求項4に記載の観察システム。
【請求項6】
記録されたコメントのうちユーザによって選択されたコメントと前記作業の記録とに基づいて前記複数の画像のうちの一部である複数の画像を選択し、選択された前記複数の画像を順次連続的に表示装置に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の観察システム。
【請求項7】
前記画像管理部が管理する前記画像と、前記コメント管理部が管理する前記コメントとに、アクセス可能な複数の端末を備える、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の観察システム。
【請求項8】
前記複数の端末のうち一の端末である第1の端末の指示に基づいて、前記複数の端末のうち他の端末である第2の端末に、前記第1の端末が指定した前記画像及び前記コメントを特定する情報を送信する表示制御部をさらに備える、請求項7に記載の観察システム。
【請求項9】
前記時系列を示すタイムバーと、
前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバー上の選択時間表示と、
前記複数の画像の中から前記選択された時点に対応する画像と
を表示装置に表示させる表示制御部をさらに備え、
前記コメント管理部は、前記選択された時点に対応する画像と関連付けて前記コメントを記録する、
請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の観察システム。
【請求項10】
前記画像管理部は、前記生体試料の異なる位置で撮影された複数の前記画像を管理し、
撮影が行われた前記生体試料の異なる位置を示す容器マップと、
前記時系列の中で同一とみなせるタイミングで前記生体試料の異なる位置で撮影された前記複数の画像と、
前記複数の画像の中から前記容器マップ中で選択された位置に対応する画像を示す強調表示と
を表示装置に表示させる表示制御部をさらに備え、
前記コメント管理部は、前記選択された位置に対応する画像と関連付けて前記コメントを記録する、
請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の観察システム。
【請求項11】
前記画像管理部は、前記生体試料の異なる位置で撮影された複数の前記画像を管理し、
前記時系列を示すタイムバーと、
前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバー上の選択時間表示と、
前記複数の画像の中から選択された、前記選択された時点と同一とみなせるタイミングで前記生体試料の異なる位置で撮影された前記複数の画像と、
前記画像と関連付けて記録された前記コメントがあるとき、当該画像と関連付けて表示されるコメント有アイコンと
を表示装置に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の観察システム。
【請求項12】
前記時系列に沿った前記解析結果を示すグラフと、前記時系列中の選択された時点を示す選択時間表示とを表示装置に表示させる表示制御部をさらに備え、
前記コメント管理部は、前記選択された時点に対応する前記解析結果と関連付けてコメントを記録する、
請求項2又は3に記載の観察システム。
【請求項13】
前記時系列に沿った前記解析結果を示すグラフと、前記解析結果と関連付けて記録された前記コメントがあるとき、当該解析結果と関連付けて表示されるコメント有アイコンとを表示装置に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項2又は3に記載の観察システム。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記コメント有アイコンが選択されたとき、前記コメントの内容を前記表示装置に表示させる、請求項11又は13に記載の観察システム。
【請求項15】
前記作業は、培地交換、継代培養、試薬の添加を含む、請求項1乃至14のうち何れか1項に記載の観察システム。
【請求項16】
観察システムの画像管理部が、培養中の生体試料について時系列に沿って取得された複数の画像を管理することと、
前記観察システムのコメント管理部が、ユーザの指示に基づいて前記画像と関連付けてコメント及びROIを記録することと、
前記観察システムの情報管理部が、前記培養中に行われた作業の記録を管理することと、
前記観察システムの表示制御部が、
前記時系列を示すタイムバーと、
前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバーの選択時間表示と、
前記時系列中の選択された時点に対応する画像を表示させる前記タイムバーの選択時間表示と、
前記タイムバーに前記作業が行われたタイミングを示す作業表示と前記コメントが付されている時点を示すコメント表示
を表示装置に表示させることと、
前記コメント管理部が、ユーザの指示に基づいて前記コメントと関連付けてさらに異なるコメント及びROIを記録することと、
前記情報管理部が、前記作業の記録と前記画像を関連付けることと
を含み、
前記作業表示に基づいて選択された時点に対応する画像が表示される
情報管理方法。
第5 引用文献、引用発明
1 引用文献A(特開2009-162708号公報)について
当審拒絶理由において引用した引用文献A(原査定で引用された引用文献1)には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
観察対象の標本である細胞を培養するとともに、その細胞をタイムラプス観察する細胞培養観察装置であって(【0012】)、
観察部23は、制御部26の指示に応じて容器内の細胞の観察画像を撮像し(【0015】)、
記録部24は、サンプル名、観察位置、各時刻の観察画像からなる観察画像群、観察条件、解析結果、入力されたコメントの情報を、互いに関連付けてサンプル情報として記録し(【0029】)、
制御部26は、容器保持部21、ステージ22、および観察部23を制御して、容器保持部21に保持されている容器内の細胞の観察画像を所定の時間間隔で撮像させ(【0017】)、
制御部26は、サンプルのサンプル名と観察位置、観察部23から供給された観察画像、ユーザにより入力された観察条件を、サンプル情報として記録部24に記録させ(【0026】)、
制御部26は、必要に応じて容器保持部21から、サンプルの他の観察条件、より詳細には細胞の培養に関する情報として、サンプルに添加した試薬、試薬の添加時刻、試薬の濃度の情報を取得して記録部24に供給し、サンプル情報として記録させ(【0027】)、
制御部26は、入力部25から供給された、ユーザが入力したタイムラプス観察時のコメントを記録部24に供給してサンプル情報として記録させ(【0029】)、
制御部26は、表示制御部27に対して、複数のマルチポイント表示用の観察画像群の観察画像が並べられて表示されるマルチポイント表示画面の表示を指示し、
表示制御部27は、制御部26の指示に応じて、必要に応じて記録部24からサンプル情報を取得し、取得したサンプル情報を用いて表示部28にマルチポイント表示画面を表示させ(【0082】)、
マルチポイント表示画面には、観察画像が表示される表示領域341-1乃至表示領域341-6が並べられて設けられ(【0083】)、ユーザは、入力部を操作して表示領域341を選択することで、その選択した表示領域に表示させるマルチポイント表示用の観察画像群を選択し、任意の表示領域341に、所望の観察画像を表示させることができ(【0085】)、
さらに、マルチポイント表示画面331における表示領域341の下側にはシークバー343が設けられており、シークバー343には、時系列で表示される観察画像の撮像時刻に対応する位置につまみ343aが表示され(【0087】)、ユーザは入力部25を操作してつまみ343aを移動させることにより、観察画像群のうちの所望の撮像時刻の観察画像を表示領域341に表示させることができ(【0088】)、
制御部26は、観察部23からの観察画像を対象とする解析を行い、その解析結果を記録部24に供給してサンプル情報として記録させ、この解析により、観察画像内で確認された細胞の数、細胞からの蛍光の強度の時間的な変化、細胞の増殖率の情報が得られ(【0028】)、
表示領域341に観察画像を時系列に表示させる場合、表示制御部27が記録部24からサンプル情報を取得し、取得したサンプル情報に含まれる観察条件や解析結果、ユーザのコメントを観察画像とともに表示させる(【0120】)、
細胞培養観察装置。
2 引用文献B(特開2008-136415号公報)について
当審拒絶理由において引用した引用文献Bには、次の事項が記載されている。
[引用文献Bの記載事項]
培養容器20の培地内で育成されている培養細胞をタイムラプス撮影し(【0010】~【0027】)、その撮影した画像データを時系列順に連結して動画像ファイルを作成し(【0029】)、その動画像を実施経過確認用画面の表示領域101~104において再生する(【0030】~【0032】)顕微鏡システムにおいて、この実施経過確認用画面には、再生に関する指示を入力するために、タイムライン50を配置した再生コントロール部105が設けられており(【0031】)、動画像ファイルの再生箇所は、このタイムライン上のスラーダーバー60の左右方向の位置によって表され(【0032】)、また、ユーザがスラーダーバー60の左右方向の位置を変更すると、再生箇所がそれに応じて変化し(【0033】)、さらに、薬剤刺激観察の精度を向上させるために(【0009】)、タイムラプス撮影の期間中に投薬があった場合は、投薬のタイミングを示す情報(投薬情報)を実施経過ファイルのヘッダに書き込み(【0027】)、その投薬タイミングを示す投薬マーク51-1・・・をタイムライン上に配置すること(【0033】)。
3 引用文献C(特開2014-210134号公報)について
当審拒絶理由において引用した引用文献C(原査定で引用された引用文献5)には、次の事項が記載されている。
[引用文献Cの記載事項]([引用文献5の記載事項])
医用画像を視聴したユーザが、その医用画像に入力したユーザのIDを関連付けてコメントを入力し、記憶し(【0034】、【0067】)、さらに、キーボード/マウスを介して矢印マークRを配置して、医用画像の表示領域に識別表示であるマーク(矢印など)をコメントの入力時などに医用画像データに組み込むようにしてもよく(【0071】)、例えば、入力されたコメントを記憶する際に、配置された矢印マークの座標情報をフレーム毎に関連付けて記憶したり(【0072】)、矢印マークRを用いずに、特定範囲を線で囲ったりする(【0073】)こと、及び、医用画像の観察において、他人のコメントに対して更にコメントすること(図14)。
4 引用文献D(特開2011-181137号公報)について
当審拒絶理由において引用した引用文献D(原査定で引用された引用文献8)には、次の事項が記載されている。
[引用文献Dの記載事項]([引用文献8の記載事項])
ハイブリッドディスクから動画像のデータを読み取って画像を再生する場合、視聴者からコメントのデータを受け付け、そのコメントのデータを、当該データを受け付けた際の表示画像を特定する画像特定データに対応付けて、ハイブリッドディスクに書き込む光ディスク装置(【0055】~【0060】)において、視聴者が他人のコメントに対して更にコメント(返事)する場合が想定されるので、このような場合に対しては、返事を受け付けるための受付手段を備え、受付手段を介して受け付けた返事を他人のコメントに関連付けて、ハイブリッドディスクに記録すること(【0091】)、及び、表示部に表示するコメントに色をつけ、コメント作成者別にコメントの色が異なるように構成すること(【0084】)。
5 引用文献2(特開2017-086896号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
[引用文献2の記載事項]
マンモグラフィ画像において、ROIを設定し、所見情報を記憶すること(【0023】)。
6 引用文献3(特開2017-068838号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。
[引用文献3の記載事項]
医用画像データにROIを示す関心領域情報を生成してメモリに格納し、関心領域を管理すること(【0059】)、医師の所見を示す文言を登録すること(【0125】)。
7 引用文献4(特開2013-238992号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。
[引用文献4の記載事項]
病理医向けSNSにおいて、バーチャルスライド画像をコメントの募集主が投稿すると、コメントが募集されているバーチャルスライド画像に対して、ダブルチェックやセカンドオピニオンの投稿ができること(【0025】~【0028】、【0040】、【0045】)。
8 引用文献6(特開2007-233841号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、次の事項が記載されている。
[引用文献6の記載事項]
画像データを示すオブジェクトアイコン、検査情報を示すオブジェクトアイコン、投薬情報を示すオブジェクトアイコン、医師により診断された傷病名を、それぞれ表示された時間軸に対応して画面横方向に並べて表示した診療サマリ画面(【0001】、【0008】、【0071】、図7)。
9 引用文献7(特開2008-119146号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、次の事項が記載されている。
[引用文献7の記載事項]
内視鏡のサムネイル画像にコメントを付加し、サムネイル画像とサムネイルコメント等を表示すること(【0098】)、サムネイルグループを作成し、サムネイルグループに関するグループコメントを作成すること(【0039】~【0041】)、被検体の症例データ内に含まれる体内画像群を体内画像の時間位置を示すタイムバーと、各時間位置に含まれる体内画像群の平均色バーと、被検体の体内画像群に含まれる1以上の出血画像の時間位置を示す出血バーを表示し、出血画像の時間位置を赤色マーカに表示する(【0081】、【0087】、図8)こと。
10 引用文献9(特開2012-186834号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献9には、次の事項が記載されている。
[引用文献9の記載事項]
動画に対して、コメントをユーザ識別子と対応付けて付与し、動画の再生とともにコメントを表示し(【0011】)、コメントの一覧には、クリックして閲覧したものについては、閲覧済みであることを特定できるように、文字色を変えたり、マークを表示すること(【0046】、【0047】)。
11 引用文献10(国際公開第2009/031283号)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献10には、次の事項が記載されている。
[引用文献10の記載事項]
培養容器をそれぞれ異なる時期に撮像して顕微観察画像を得て、顕微観察画像を画像処理し、画像解析データを生成し、画像解析データに関するパラメータの経時的な変化量を求めること([0034]、[0035]、[0039]、[0040])、所定の顕微観察画像と、経時的なパラメータの変化を示すグラフと、各細胞のサイズおよび形状を示す分布とを表示し、培養容器が複数の小容器を有する場合、容器の位置を特定するためのアイコンを表示すること([0084]、図11)。
12 引用文献11(特開2005-141513号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献11には、次の事項が記載されている。
[引用文献11の記載事項]
プラント監視装置の監視画面において、監視対象に業務情報をコメントとして付加し(【0006】)、コメントが付加されている場合、プラント監視画面上のシンボルにコメント有りをイメージさせるマークを表示すること(【0020】、【0021】、図7)。
13 引用文献12(特開2017-084028号公報)について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献12には、次の事項が記載されている。
[引用文献12の記載事項]
グラフィック画像や写真画像等の画像データにコメントを付加し(【0041】)、コメントの種類に応じて色彩が異なるアイコンが付加された画像データを表示し、画像データ中のアイコンが選択された場合、そのアイコンに対して設定されているコメント内容を表示すること(【0056】、【0067】)。
第6 当審拒絶理由(進歩性)について
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明は「観察対象の標本である細胞を培養するとともに、その細胞をタイムラプス観察する細胞培養観察装置」であって、その制御部26は「容器保持部21、ステージ22、および観察部23を制御して、容器保持部21に保持されている容器内の細胞の観察画像を所定の時間間隔で撮像させ」て、「サンプルのサンプル名と観察位置、観察部23から供給された観察画像、ユーザにより入力された観察条件を、サンプル情報として記録部24に記録させ」ることから、制御部は、培養中の細胞について所定の時間間隔で取得された複数の観察画像を管理する機能を有するといえる。この管理機能は、本願発明1の「培養中の生体試料について時系列に沿って取得された複数の画像を管理する画像管理部」に相当する。
イ 引用発明の制御部26は、「入力部25から供給された、ユーザが入力したタイムラプス観察時のコメントを記録部24に供給してサンプル情報として記録させ」、また、その記録部24は「サンプル名、観察位置、各時刻の観察画像からなる観察画像群、観察条件、解析結果、入力されたコメントの情報を、互いに関連付けてサンプル情報として記録」することから、制御部は、ユーザの指示に基づいて画像と関連付けてコメントを記録する機能を有するといえる。
このコメントの記録機能と、本願発明1の「ユーザの指示に基づいて前記画像と関連付けてコメント及びROIを記録するコメント管理部」は、「ユーザの指示に基づいて前記画像と関連付けてコメントを記録するコメント管理部」である点で一致し、そのコメント管理部が、本願発明1では「ROI」を記録するのに対し、引用発明では「ROI」を記録しない点で相違する。
ウ 引用発明の制御部26は、「必要に応じて容器保持部21から、サンプルの他の観察条件、より詳細には細胞の培養に関する情報として、サンプルに添加した試薬、試薬の添加時刻、試薬の濃度の情報を取得して記録部24に供給し、サンプル情報として記録させ」ることから、試薬の添加という「培養中に行われた作業」の記録を管理する機能を有するといえる。
また、制御部26は、記録部に、サンプルに添加した試薬、試薬の添加時刻、試薬の濃度の情報を含んだ上記観察条件を、観察画像と関連付けて記録させることから、制御部は、「培養中に行われた作業」と画像とを関連付けているといえる。
したがって、引用発明の制御部の、サンプルに添加した試薬、試薬の添加時刻、試薬の濃度の情報を記録部24に供給し、サンプル情報として記録させる機能は、本願発明1の「前記培養中に行われた作業の記録を管理する情報管理部」に相当し、引用発明の制御部が「培養中に行われた作業」と画像とを関連付けることは、「前記情報管理部は、前記作業の記録と前記画像を関連付け」ることに相当する。
エ 引用発明のシークバー343には「時系列で表示される観察画像の撮像時刻に対応する位置につまみ343aが表示され」ることから、引用発明の「シークバー343」は、本願発明1の「前記時系列を示すタイムバー」に相当する。
また、上記「つまみ343a」は、本願発明1の「前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバーの選択時間表示」に相当する。
オ 引用発明の「ユーザは入力部25を操作してつまみ343aを移動させることにより、観察画像群のうちの所望の撮像時刻の観察画像を表示領域341に表示させる」ことは、本願発明1の「前記時系列中の選択された時点に対応する画像を表示させる前記タイムバーの選択時間表示」に相当する。
カ 引用発明の表示制御部27が、表示部28に、シークバー及びつまみを含んだマルチポイント表示画面を表示させることは、本願発明1の「前記時系列を示すタイムバー」と、「前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバーの選択時間表示」と、「前記時系列中の選択された時点に対応する画像を表示させる前記タイムバーの選択時間表示」とを、表示装置に表示させることに相当する。
したがって、引用発明の表示制御部27と、本願発明1の「前記時系列を示すタイムバーと、前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバーの選択時間表示と、前記時系列中の選択された時点に対応する画像を表示させる前記タイムバーの選択時間表示と、前記タイムバーに前記作業が行われたタイミングを示す作業表示と前記コメントが付されている時点を示すコメント表示を表示装置に表示させる表示制御部」とは、「前記時系列を示すタイムバーと、前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバーの選択時間表示と、前記時系列中の選択された時点に対応する画像を表示させる前記タイムバーの選択時間表示と、を表示装置に表示させる表示制御部」である点で一致する。
また、表示制御部が、本願発明1では「前記タイムバーに前記作業が行われたタイミングを示す作業表示と前記コメントが付されている時点を示すコメント表示」を表示させるのに対し、引用発明では作業表示およびコメント表示を表示させるものではない点で相違する。
キ 引用発明の「ユーザは入力部25を操作してつまみ343aを移動させることにより、観察画像群のうちの所望の撮像時刻の観察画像を表示領域341に表示させる」ことと、本願発明1の「前記作業表示に基づいて選択された時点に対応する画像が表示される」ことは、「選択された時点に対応する画像が表示される」点で一致し、選択された時点が、本願発明1では「作業表示に基づいて」いるの対し、引用発明では「作業表示に基づいて」いない点で相違する。
ク 引用発明の「観察対象の標本である細胞を培養するとともに、その細胞をタイムラプス観察する細胞培養観察装置」は、本願発明1と同様の「観察システム」であるといえる。
(2)一致点、相違点
以上によれば、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「培養中の生体試料について時系列に沿って取得された複数の画像を管理する画像管理部と、ユーザの指示に基づいて前記画像と関連付けてコメントを記録するコメント管理部と、前記培養中に行われた作業の記録を管理する情報管理部と、前記時系列を示すタイムバーと、続きを表示(全11行)前記時系列中の選択された時点を示す前記タイムバーの選択時間表示と、前記時系列中の選択された時点に対応する画像を表示させる前記タイムバーの選択時間表示と、を表示装置に表示させる表示制御部と、備え、前記情報管理部は、前記作業の記録と前記画像を関連付け、選択された時点に対応する画像が表示される観察システム。」
[相違点1]
コメント管理部が、本願発明1では「ROI」を記録するのに対し、引用発明では「ROI」を記録しない点。
[相違点2]
表示制御部が、本願発明1では「前記タイムバーに前記作業が行われたタイミングを示す作業表示と前記コメントが付されている時点を示すコメント表示」を表示させるのに対し、引用発明では当該作業表示およびコメント表示を表示させるものではない点。
[相違点3]
コメント管理部が、本願発明1では「ユーザの指示に基づいて前記コメントと関連付けてさらに異なるコメント及びROIを記録」するのに対し、引用発明では、コメントの情報と、サンプル名、観察位置、各時刻の観察画像からなる観察画像群、観察条件、解析結果とを、互いに関連付けて記録するものであり、コメントと関連付けてさらに異なるコメント及びROIを記録するものではない点。
[相違点4]
「選択された時点に対応する画像が表示される」ことが、本願発明1では「前記作業表示に基づいて」いるのに対し、引用発明では「前記作業表示に基づいて」いない点。
(3)判断
事案に鑑み[相違点2]について検討する。
引用文献Bの記載事項の、投薬タイミングは引用発明の「試薬の添加時刻」に対応し、タイムライン及びスラーダーバーは、引用発明のシークバー343及びつまみ343aに対応するものである。したがって、引用発明においても、薬剤刺激観察の精度を向上させるために、記録部24に記録されている「試薬の添加時刻」を、シークバー上に表示することに格別の困難性はない。
しかしながら、「タイムバー」に「コメントが付されている時点を示すコメント表示」させることは、引用文献B~Dには記載も示唆もないから、[相違点2]に係る構成を当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。
よって、[相違点1]、[相違点3]、[相違点4]について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献B~Dの記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~15について
本願発明2~15も、上記[相違点2]に係る構成を備えるものであるから、上記「1 本願発明1について」と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献B~Dの記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明16について
本願発明16は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、[相違点2]に係る構成に対応する構成を有するから、上記「1 本願発明1について」と同様の理由により、引用発明及び引用文献B~Dの記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定の拒絶の理由について
本願発明1~15、本願発明16と、引用発明を対比すると、上記「第6 1(2)」のとおり、それぞれ上記[相違点1]~[相違点4]、及び、[相違点1]~[相違点4]に対応する構成において相違する。
そして、上記[相違点2]に係る構成は、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2~12のいずれにも記載も示唆もされていないから、本願発明1~16は、引用発明及び引用文献2~12の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明1~16は、引用発明及び引用文献B~Dの記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本願発明1~16は、引用発明及び引用文献2~12の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-000576