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特許拒絶査定不服審判

2022-000524

リソグラフィ装置のための抑制フィルタ、放射コレクタ及び放射源、並びに抑制フィルタの少なくとも2つの反射面レベル間の分離距離を決定する方法

審判番号
2022-000524
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-506611外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年01月13日
審決日
2023年01月11日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G03F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-506611「リソグラフィ装置のための抑制フィルタ、放射コレクタ及び放射源、並びに抑制フィルタの少なくとも2つの反射面レベル間の分離距離を決定する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 2日国際公開、WO2017/032569、平成30年 9月20日国内公表、特表2018-527612〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

1 手続の経緯

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本願は、2016年(平成28年)8月2日(パリ条約による優先権主張外国受理 2015年(平成27年)8月25日(以下「優先日」という。) 欧州)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 4月10日 :手続補正書の提出
令和 2年 6月24日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 9月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年12月 3日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和 3年 6月 1日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 9月 9日付け:拒絶査定
令和 4年 1月13日 :審判請求書、手続補正書の提出(以下、こ

の手続補正書による手続補正を「本件補正

」という。)

2 本願発明

本願の請求項に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
複数の反射面を有する反射抑制フィルタであって、
3以上の前記反射面を備え、
複数の前記反射面のうち互いに隣接する2つの前記反射面は、前記反射面に実質的に垂直な方向に沿った分離距離であって、当該反射抑制フィルタに入射する第1の波長λ1の放射及び前記第1の波長とは異なる第2の波長
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λ2の放射の鏡面反射を実質的に防止するように動作可能な分離距離だけ分離されており、
前記反射抑制フィルタは、各前記反射面が異なる反射面レベルを有する階段状の断面を備えており、
前記分離距離は、前記第1の波長λ1と第1の近似整数n1に依存する第1の係数K(n1/2+1/4)の第1の積、及び前記第2の波長λ2と第2の近似整数n2に依存する第2の係数K(n2/2+1/4)の第2の積にほぼ等しく、
前記第1の近似整数n1及び前記第2の近似整数n2は、
【数1】
[図:0001397673000001.jpg]
を近似的に満たすように選ばれ、
Kは、前記反射抑制フィルタに入射する前記放射の入射角度αに依存する係数であり、
K=2cosα/(1+cos(2α))で示される、
反射抑制フィルタ。」

3 引用文献の記載事項

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(1)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2014/114405号(平成26年7月31日公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(なお、下線及び括弧内の日本語訳は当審が付したものである。)

ア

「 [0006] EUV radiation may be produced using a plasma. A radiation system for producing EUV radiation may include a laser for exciting a fuel to provide the plasma, and a source collector apparatus for containing the plasma. The plasma may be created, for example, by directing a laser beam at a fuel, such as particles of a suitable material (e.g. tin), or a stream of a suitable gas or vapor, such as Xe gas or Li vapor. The resulting plasma emits output radiation, e.g., EUV radiation, which is collected using a radiation collector. The radiation collector may be a mirrored normal incidence radiation collector, which receives the radiation and focuses the radiation into a beam. The source collector apparatus may include an enclosing structure or chamber arranged to provide a vacuum environment to support the plasma. Such a radiation system is typically termed a laser produced plasma (LPP) source.」

(日本語訳:[0006] EUV放射は、プラズマを用いて生成することができる。EUV放射を生成するための放射システムは、プラズマを提供するために燃料を励起するレーザと、プラズマを収容するソースコレクタ装置とを含んでよい。プラズマは、例えば、適切な材料(例えば、スズ)の粒子あるいはXeガスまたはLi蒸気などの適切なガスまたは蒸気の流れなどといった燃料にレーザビームを向けることによって生成することができる。結果として生じるプラズマは、出力放射、例えばEUV放射を放出し、これは、放射コレクタを用いて集光される。放射コレクタは、放射を受けて放射をビームに合焦させるミラー法線入射放射コレクタであってよい。ソースコレクタ装置は、プラズマを支持するために真空環境を提供するように配置された閉鎖構造またはチャンバを含んでよい。そのような放射システムを、通常、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ぶ。)

「[0056] LPP EUV sources can have a high infrared (IR) content in its output, largely from the IR radiation emitted by the laser used to excite the fuel, which is reflected back off the fuel droplet and towards the collector. This IR content should be removed as much as possible from the source output to prevent wafer heating and optics (over)heating, leading to overlay errors.
[0057] This issue is illustrated schematically in Figure 10. This shows an IR laser beam 300 incident on a fuel droplet 310. Some IR radiation 320 is reflected back towards collector 50. IR filtering may be realized by provision of a grating 330 integrated into the collector 50 surface (sometimes referred to as a 'spectral purity filter (SPF) collector'). This grating 330 is tuned to cancel zeroth order reflected radiation 340 (shown dotted as this is essentially suppressed by the filter 330) for the driving IR wavelength of 10.6μm. First order reflected radiation 350 (and other orders) can then be blocked by a cap 360 at or near the intermediate focus (IF).
[0058] This zeroth order cancellation is specific to a single specific wavelength, and is not effective against secondary lines. This means that secondary IR lines are not suppressed effectively, and so need to be removed in the IR laser or delivery system. This limitation limits net IR output from the laser system by effectively preventing the use of multiple C02 output lines.
[0059] Some current C02 IR-lasers output a strong secondary line of wavelength 9.6μm, in addition to the main 10.6μm line. The use of this line could increase overall output by over 10%. The use of multiple output lines would also mean that no/less wavelength filtering needed and that there would be less level transition bottlenecking.
[0060] The suppression grating on the collector uses the basic principle of destructive interference whereby each contribution from the top areas of the grating is canceled by an out-of-phase equal contribution from the bottom areas. This equates to equal areas for top and bottom (Duty Cycle DC=50%), and a grating depth of λ/4 (or more generally λ/4+n*λ/2).
[0061] Figure 11 shows the simplest profile 200 which satisfies these conditions, p representing the grating pitch (which may be, by way of example, 1000μm), and λ1 is the wavelength to be suppressed by the grating (for example 10.6μm). As can be seen profile 200 represents a binary (square wave) structure having a grating depth of
λ1/4 (e.g. 2.65μm).」

(日本語訳:[0056] LPP EUV源は、その出力に高赤外(IR)成分を有してよく、燃料を励起するために使用されるレーザによって放出されて燃料小滴からコレクタに向かって反射するIR放射からが主である。このIR成分は、オーバーレイエラーに繋がるウェーハ加熱および光学(過)熱を防止するために放射源出力からできる限り取り除かれるべきである。

[0057] この問題は図10に概略的に示されている。図10は燃料小滴310に入射するIRレーザビーム300を示している。一部のIR放射320はコレクタ50に戻るように反射する。IRフィルタリングは、コレクタ50表面(「スペクトル純度フィルタ(SPF)コレクタ」と呼ばれることがある)に組み込まれる格子330を設けることによって実現することができる。この格子330を調整して10.6μmの駆動IR波長のためのゼロ次反射放射340(これはフィルタ330によって基本的に抑制されるので点線として示される)を打ち消す。次いで一次反射放射350(および他の次数)は、中間焦点(IF)でまたはその近くのキャップ360によって遮断することができる。

[0058] このゼロ次相殺は、単一の特定波長に特有であり、二次ラインに対して効果的ではない。これは二次IRラインが効果的に抑制されていないことを意味し、IRレーザまたはデリバリシステムで除去される必要がある。この制限は、多数のCO2出力ラインの使用を効果的に防止することによってレーザシステムからの正味のIR出力を制限する。

[0059] 一部の現在のCO2IRレーザは、主要な10.6μmラインに加えて波長9.6μmの強力な二次ラインを出力する。このラインの使用は、全体的な出力を10%増加させることができる。多数の出力ラインの使用は、波長フィルタリングが必要ないかまたは少ない波長フィルタリングが必要であることを意味し、さらに、より少ないレベル遷移障害の存在を意味する。

[0060] コレクタ上の抑制格子は破壊的干渉の基本原理を使用し、格子の上部領域からの各寄与は、下部領域からの位相外れの同等の寄与によって打ち消される。これは上部と下部の等面積(デューティサイクルDC=50%)および格子深さλ/4(より一般的にはλ/4+n*λ/2)と同じである。

[0061] 図11は、これらの条件を満たす最も単純なプロファイル200を示している。pは格子ピッチ(一例として、1000μmであってよい)を表し、λ1は格子によって抑制される波長(例えば、10.6μm)である。図に示すように、プロファイル200は、格子深さλ1/4(例えば、2.65μm)を有する二元(方形波)構造を表す。)

「[0069] For the particular example where a dual-line IR main pulse (having closely spaced wavelengths) and a separate pre-pulse wavelength (having a wavelength approximately 10 times shorter), the concepts described herein can be combined with more conventional depth optimization where grating depth is chosen to suppress both long and short wavelengths. As already mentioned, there will be destructive interference when the depth satisfies the equation λ/4+n*λ/2, and therefore the same depth can satisfy two different wavelengths by varying n. In this specific example, a depth of 2.65μm should suppress 1μm wavelength radiation to a reasonable degree, in addition to 10.6μm radiation. In one embodiment, both grating depths (that is the depth of the main grating, and that of the grating superimposed on the main grating) are chosen to suppress both main pulse and pre-pulse contributions.」

(日本語訳:[0069] (密接配置された波長を有する)デュアルラインIRメインパルスおよび(約10倍短い波長を有する)別のプレパルス波長の特定の例に対して、本明細書中に記載された概念を、長いおよび短い波長の両方を抑制するように格子深さが選択される従来型の深さの最適化と組み合わせることができる。既に述べたように、深さがλ/4+n*λ/2の式を満たす場合、破壊的干渉が発生し、したがって、nを変化させることにより同じ深さが2つの異なる波長を満たすことができる。この具体例では、10.6μm放射に加えて、深さ2.65μmは、1μm波長放射を妥当な程度にまで抑制する。一実施形態では、両方の格子深さ(すなわち、メイン格子の深さおよびメイン格子に重ね合わされた格子の深さ)は、メインパルスおよびプレパルスの両方の寄与を抑制するように選択される。)

イ Figure 10及び11は、次のとおりである。

「Figure 10
[図:0001397673000002.jpg]
Figure 11
[図:0001397673000003.jpg]
」

ウ 上記ア及びイから、引用文献1には、次の技術的事項(以下「引用文献1に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。

「格子において、波長λが破壊的干渉を生じる深さはλ/4+n*λ/2の式で表され、単一の深さにおいて、前記式のnを変化させることにより2つの異なる波長で前記式を満たすことができ、具体例では、10.6μm放射に加えて、深さ2.65μmは、1μm波長放射を妥当な程度にまで抑制すること。」([0069])

エ 上記ア及びイから、引用文献1には、図11に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「IRフィルタリングの実現のため、コレクタ50表面に組み込まれる格子330であって、([0057])
コレクタ50は、レーザ生成プラズマ(LPP)源で用いられ、EUV放射を集光するためのものであり、([0006])
前記格子330は、調整して10.6μmの駆動IR波長のためのゼロ次反射放射340を打ち消すものであり、([0057])
コレクタ上の抑制格子は破壊的干渉の基本原理を使用し、格子の上部領域からの各寄与は、下部領域からの位相外れの同等の寄与によって打ち消され、これは上部と下部の等面積(デューティサイクルDC=50%)および格子深さλ/4(より一般的にはλ/4+n*λ/2)と同じであり、([0060])
前記格子330のプロファイル200は、λ1を格子によって抑制される波長(例えば、10.6μm)とすると、格子深さλ1/4(例えば、2.65μm)を有する二元(方形波)構造である([0061])
格子330。」

(2)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2013-175724号公報(平成25年9月5日公開。以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

ア

「【請求項30】
極紫外線(EUV)放射を行うEUV放射源を形成するのに使用する赤外線(IR)レーザー放射を反射し、前記EUV放射源ともに使用する斜入射集光器であって、
複数の共通焦点を有する回転楕円面の断面で規定された回折格子要素を含む回折格子を有する反射表面を備える少なくとも1つのミラーシェルを備えており、
前記回折格子要素は、焦点を避けるように前記IR放射を実質的に回折させる一方で、前記EUV放射を焦点に向けて実質的に鏡面反射させる斜入射集光器である。
【請求項31】
前記回折格子要素は、前記IR放射のゼロ回折次数の相殺的干渉の原因となる請求項30に記載の斜入射集光器。」
「【0163】
図9Bは、一例のEUV放射光線26に沿った表面S1上における回折格子106の一部を示している。EUV放射の波長が回折格子の周期pに比べて非常に短いのに対してEUVコヒーレンス長は回折格子の周期に比べてわずかに長いだけなのでEUV放射の回折効果は無視できる程度であることから、EUV放射26は回折格子106で鏡面反射する。一方、IR波長は回折格子の周期の次数であるとともに反射したIRのコヒーレンス長は回折格子の周期pに比べて非常に長いことから、IR放射32の回折次数はX-Z平面で回折する。
【0164】
回折格子106はブレーズ化されていないので、ゼロ次数のIR放射を除去するのに上述したものとは異なる構成を用いる必要がある。さもないと、ゼロ次数のIR放射は鏡面反射方向を進み開口絞りASの開口AAに向かってしまう。回折格子の縦方向における上端および下端の等価光線の間をEUV放射源24fからGIC50を介して開口絞りASの開口AAに至るのとは異なる光路がIR波長の半分(例えば、λ=10.6ミクロンであれば、λ/2=5.3ミクロン)の奇数倍となるように、回折格子106が構成されている。このことは、開口絞りASの開口AAにおけるIR放射32の相殺的干渉を確実にする。
【0165】
縦方向の回折格子106に対して角度θ(回折格子への法線との間の角度)で入射する光線について、回折格子の深さはλ/(4・cos(θ))の奇数倍である必要がある。ここで、λはIR波長(例えば、CO2レーザーであればλ=10.6ミクロン)である。このような状況下において、実質的に開口AAを通過するIR放射32は存在しない一方で、EUV放射26は開口絞りASの開口AAに集光される。これは、IR放射32のゼロ次数回折が相殺的干渉を受けるとともに、高次数のものは、開口絞りASの開口AAを中心とする円形領域に回折入射するからである。高次数回折角度は上記回折格子の式を満足する。」
「【0167】
図10は、GICミラーM1の表面S1上に形成された回折格子106の構成についての別の実施例を示している。回折格子構造106は、実施例のように、1つの楕円面GICミラーM1上にパターン付けられている。例として、多数の異なる楕円面E1からE4(点線)が示されている。楕円面E1からE4は、EUV放射源24fおよび中間集光点IFが位置する2つの共通の焦点を有している。換言すると、これらは共通の焦点を有する楕円面群であることを示している。回折格子要素105は、楕円面E1からE4の一部となるように形成されている。回折格子の周期pは、各回折格子要素105の長さで規定されるとともにIR放射36の波長とほぼ同じであり、当該周期はEUV波長と比べて非常に大きく、かつ、EUVコヒーレンス長よりも大きい。このため、回折格子要素105は、段階的な方位角的回折格子を規定する。」

イ

図9B,図10A及び図10Bの記載は、次のとおりである。

「図9B
[図:0001397673000004.jpg]
図10A
[図:0001397673000005.jpg]
図10B
[図:0001397673000006.jpg]
」

ウ

上記ア及びイから、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。

(ア)「極紫外線(EUV)放射を行うEUV放射源を形成するのに使用する赤外線(IR)レーザー放射を反射し、前記EUV放射源ともに使用する斜入射集光器おいて、(【請求項30】)
焦点を避けるように前記IR放射を実質的に回折させる一方で、前記EUV放射を焦点に向けて実質的に鏡面反射させ、(【請求項30】
前記IR放射のゼロ回折次数の相殺的干渉の原因となる、(【請求項31】)
回折格子要素を含む回折格子を有すること。」

(イ)「回折格子要素は、段階的な方位角的回折格子を規定すること。」(【0167】、図10A、図10B)

(ウ)「回折格子において、角度θ(回折格子への法線との間の角度)で入射する波長λの光線について、回折格子の深さはλ/(4・cos(θ))の奇数倍であること。」(【0165】)

(3)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2014/170093号(平成26年10月23日公開。以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

ア

「 [00104] Figure 3 schematically depicts an embodiment of a radiation source SO which may for example be a laser produced plasma (LPP) source. The radiation source SO comprises a radiation collector 14 and a contaminant trap 35, although the presence of the contamination trap 35 may be optional. EUV radiation is emitted from a plasma formation region 12. The radiation collector 14 comprises reflective surfaces which reflect EUV radiation emitted from the plasma formation region 12 towards an intermediate focus 16, such that radiation directed by the radiation collector 14 substantially converges at the intermediate focus 16. The reflective surfaces are disposed around an optical axis O of the radiation collector. A schematic depiction of the radiation collector 14, as viewed from the intermediate focus 16 is shown in Figure 4.」

(日本語訳:[00104]図3は、例えばレーザ生成プラズマ(LPP)源である放射源SOの実施形態を模式的に示す。放射源SOは、放射コレクタ14および汚染物質トラップ35を備えるが、汚染物質トラップの存在は任意であってよい。EUV放射はプラズマ形成領域12から放出される。放射コレクタ14は、放射コレクタ14により向けられた放射が中間焦点16に実質的に集束するように、プラズマ形成領域12から中間焦点16に向かって放出されたEUV放射を反射する反射面を備える。反射面は、放射コレクタの光軸Oの周りに配置される。中間焦点16から見た放射コレクタ14の模式図が図4に示されている。)

「[00108] The inner and outer reflective surfaces 400 and 405 are joined by an intermediate surface 410. The intermediate surface 410 is arranged substantially parallel to a direction from the plasma formation location 12 to the intermediate surface 410, for example formed by a plane that intersects the plasma formation location 12 and an end of a reflective surface (as shown in the cross-section of Figure 3) . The intermediate surface 410 is therefore substantially parallel to the direction of propagation of EUV radiation from the plasma formation region 12. The intermediate surface 410 therefore has substantially no EUV radiation incident upon it. The intermediate surfaces 410 may comprise one or more holes (as depicted in Figure 3), through which a gas may be introduced to the radiation source SO. The gas may be introduced from a gas source. For example, the gas source may be configured to deliver a gas through the one or more holes. The gas source may deliver the gas from the intermediate surface 410 towards the EUV reflecting surface of the radiation collector 14. The gas may for example be hydrogen gas, a gas containing radicals, a halogen gas or an inert gas. The gas may form a gas buffer between the radiation collector and the plasma formation location 12 which may act to protect the radiation collector from contaminants originating from the fuel and the plasma formation region 12. For example contaminants may collide with molecules of the gas which may prevent the contaminants from reaching the radiation collector 14. The gas may additionally or alternatively act to clean any contaminants from the surfaces of the radiation collector 14.」

(日本語訳:[00108]内側反射面400および外側反射面405は、中間面410により結合される。中間面410は、プラズマ形成位置12から中間面410の方向に対して実質的に平行に配置される、(図3の断面に示すように)例えばプラズマ形成位置12および反射面の端部と交差する面により形成される。中間面410は、従って、プラズマ形成領域12からのEUV放射の伝搬方向と実質的に平行である。従って、中間面410に入射するEUV放射は実質的にない。中間面410は、放射源SOに導入されるガスが通る一つ以上の孔(図3に示す)を備えてよい。ガスは、ガス源から導入されてよい。例えば、ガス源は、一つ以上の孔を通ってガスを供給するよう構成されてよい。ガス源は、中間面410から放射コレクタ14のEUV反射面に向かってガスを供給してよい。ガスは、例えば水素ガス、ラジカルを含むガス、ハロゲンガスまたは不活性ガスであってよい。ガスは、放射コレクタとプラズマ形成位置12との間にガスバッファを形成してよい。このガスバッファは、燃料およびプラズマ形成領域12から生じる汚染物質から放射コレクタを保護する役割を果たしてよい。例えば、汚染物質は、汚染物質が放射コレクタ14に到達するのを防ぐガスの微粒子と衝突する可能性がある。ガスは、これに加えてまたは代えて、放射コレクタ14の面からの汚染物質を除去する役割を果たしてよい。)

「[0117] The arrangement of the reflective surfaces 803 and the intermediate surfaces 802 result in the radiation collector 341 having a periodic structure which may be characterised by a pitch 803 and a depth D as indicated in Figure 10a. The pitch 803 is equivalent to the length of each reflective surface 801 and the depth D is equivalent to the length of the intermediate surfaces 802. The pitch 803 and the depth D of a radiation collector 341 may be approximately the same over substantially the whole extent of a radiation collector 341. This may in particular be the case when the pitch 803 and the depth D are configured such that the radiation collector acts as a diffraction grating to infrared radiation. This advantageously reduces the amount of infrared radiation which is reflected to the intermediate focus 16 and thus reduces the amount of infrared radiation which is incident on the optical components of a lithographic apparatus LA.
[0118] In order to configure a radiation collector 341 such that it acts as a diffraction grating to infrared radiation having a wavelength λIR, the depth D of the periodic structure of the radiation collector 341 may be set according to equation (2).
D = cos θ (n + 1/4)λIR (2)
Where n is an integer number and θ is the angle of incidence of radiation (having a wavelength λπ on the reflective surfaces 801 of a radiation collector 341. This may cause infrared radiation beams which are reflected from adjacent reflective surfaces 801 to have a difference in path length of approximately (n + 1/2) λIR. Infrared radiation beams which are reflected from adjacent reflective surfaces 801 will therefore be out of phase with each other and will destructively interfere with each other, thereby reducing the amount of infrared radiation which is reflected to an intermediate focus 16. Instead infrared radiation is diffracted to form higher order interference fringes which do not propagate towards the intermediate focus 16.」

(日本語訳:[0117]反射面801および中間面802の配置は、ピッチ803と深さDにより特徴付けられる周期的構造を有する放射コレクタ341をもたらす。ピッチ803は、各反射面801の長さと等しく、深さDは中間面802の長さと等しい。放射コレクタ341のピッチ803および深さDは、放射コレクタ341の全放射範囲にわたっておおよそ同じであってよい。これは、特に、放射コレクタが赤外線放射に対して回折格子として機能するようピッチ803および深さDが構成されるときの場合である。これは有利に、中間焦点16に反射する赤外線放射の量を減らし、従って、リソグラフィ装置LAの光学部品に入射する赤外線放射の量を減少させる。

[0118]波長λIRを有する赤外線放射に対して回折格子として機能するよう放射コレクタ341を構成するために、放射コレクタ341の周期的構造の深さDは式(2)に従って設定されてよい。

D = cos θ (n + 1/4) λIR (2)

ここで、nは整数であり、θは放射コレクタ341の反射面801への放射(波長λIRを有する)の入射角である。これにより、隣接する反射面801から反射する赤外線放射ビームは、およそ(n+1/2)λIRの経路長の差を有する。隣接する反射面801から反射する赤外線放射は、従って、互いに位相がずれ、互いに破壊的に干渉し合い、それにより中間焦点16に反射される赤外線放射の量が減少する。その代わりとして、赤外線放射が回折されて、中間焦点16に向かって伝搬しない高次の干渉縞を形成する。)

イ

Figure 3は、次のとおりである。

「Figure 3
[図:0001397673000007.jpg]
」

上記Figure 3から、内側反射面400と外側反射面405及び中間層410からなる形状が階段状であることが見て取れる。

ウ

上記ア及びイから、引用文献3には、次の技術的事項(以下「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。

(ア)「レーザ生成プラズマ(LPP)源である放射源SOで用いられる放射コレクタ341において、([00104])
反射面801および中間面802からなり、赤外線放射の量を減少させる、回折格子を有すること。」([0117])

(イ)「内側反射面400と外側反射面405及び中間層410からなる形状が階段状であること。」(上記イ)

(ウ)「波長λIRを有する赤外線放射に対して回折格子として機能するよう放射コレクタ341を構成するために、放射コレクタ341の周期的構造の深さDは、D= cos θ (n + 1/4) λIR であって、nは整数であり、θは放射コレクタ341の反射面801への放射(波長λIRを有する)の入射角であること。」([0118])

4 対比

ア 本願発明と引用発明とを対比する。

(ア)本願発明の「複数の反射面を有する反射抑制フィルタであって、」との特定事項について

a 引用発明の「格子」は、「駆動IR波長のためのゼロ次反射放射340を打ち消すもの」であることから、本願発明の「反射抑制フィルタ」に相当する。

b 引用発明の「格子」の「上部」及び「下部」は、本願発明の「複数の反射面」に相当する。

c 上記a及びbから、引用発明は、上記特定事項を満たす。

(イ)本願発明の「3以上の前記反射面を備え、」との特定事項について

引用発明では、本願発明の「反射面」に相当する「上部」及び「下部」の合計数が不明な点で一応相違する。

(ウ)本願発明の「複数の前記反射面のうち互いに隣接する2つの前記反射面は、前記反射面に実質的に垂直な方向に沿った分離距離であって、当該反射抑制フィルタに入射する第1の波長λ1の放射及び前記第1の波長とは異なる第2の波長λ2の放射の鏡面反射を実質的に防止するように動作可能な分離距離だけ分離されており、」との特定事項について

a 本願発明の「複数の前記反射面のうち互いに隣接する2つの前記反射面」に相当する引用発明の「格子」の「上部」及び「下部」は、「二元(方形波)構造」の「プロファイル」を構成することから、本願発明の「互いに隣接する2つの前記反射面」といえる。

b 引用発明の「格子深さ」及び「『格子によって抑制される波長』『λ1』」は、それぞれ本願発明の「前記反射面に実質的に垂直な方向に沿った分離距離」及び「当該反射抑制フィルタに入射する第1の波長λ1」に相当する。

c 引用発明の「格子深さ」は、格子が「ゼロ次反射放射340を打ち消すもの」であることから、本願発明の「当該反射抑制フィルタに入射する第1の波長λ1の放射」「の鏡面反射を実質的に防止するように動作可能な分離距離」といえる。

d 一方で、引用発明の「格子深さ」は、上記「λ1」と「異なる第2の波長λ2」との関係が特定されておらず、本願発明の「前記第1の波長とは異なる第2の波長λ2の放射の鏡面反射を実質的に防止するように動作可能な分離距離」であるのか不明である。

(エ)本願発明の「前記反射抑制フィルタは、各前記反射面が異なる反射面レベルを有する階段状の断面を備えており、」との特定事項について

引用発明は、「プロファイル」が「上部」と「下部」からなる「二元(方形波)構造」であり、本願発明の「断面」が「前記反射面が異なる反射面レベルを有する階段状」とは異なっている。

(オ)本願発明の「前記分離距離は、前記第1の波長λ1と第1の近似整数n1に依存する第1の係数K(n1/2+1/4)の第1の積、及び前記第2の波長λ2と第2の近似整数n2に依存する第2の係数K(n2/2+1/4)の第2の積にほぼ等しく、」との特定事項について

引用発明は、K及び「第2の波長λ2」について特定がされておらず、上記特定事項を満たすか不明である。

(カ)本願発明の「前記第1の近似整数n1及び前記第2の近似整数n2は、【数1】

[図:0001397673000008.jpg]

を近似的に満たすように選ばれ、」との特定事項について

引用発明は、「第2の波長λ2」に関する「n2」が特定されておらず、上記【数1】を満たすか不明である。

(キ)本願発明の「Kは、前記反射抑制フィルタに入射する前記放射の入射角度αに依存する係数であり、K=2cosα/(1+cos(2α))で示される、」との特定事項について

引用発明は、上記係数Kについて特定されていないことから、上記特定事項を満たすか不明である。

(ク) 上記(ア)~(キ)から、本願発明と引用発明は、次の点で一致し、また、相違する。

<一致点>

「複数の反射面を有する反射抑制フィルタであって、
複数の前記反射面のうち互いに隣接する2つの前記反射面は、前記反射面に実質的に垂直な方向に沿った分離距離であって、当該反射抑制フィルタに入射する第1の波長λ1の放射の鏡面反射を実質的に防止するように動作可能な分離距離だけ分離されている、
反射抑制フィルタ。」

<相違点1>

「反射面」について、本願発明は「3以上」であり、「各前記反射面が異なる反射面レベルを有する階段状の断面を備えて」いるのに対して、引用発明は、「上部」及び「下部」の数が不明であり、「二元(方形波)構造」である点。

<相違点2>

「分離距離」ついて、本願発明は、「当該反射抑制フィルタに入射する前記第1の波長とは異なる第2の波長λ2の放射の鏡面反射を実質的に防止するように動作可能」であり、「前記第1の波長λ1と第1の近似整数n1に依存する第1の係数K(n1/2+1/4)の第1の積、及び前記第2の波長λ2と第2の近似整数n2に依存する第2の係数K(n2/2+1/4)の第2の積にほぼ等しく」、かつ、n1及びn2が【数1】により規定され、Kが2cosα/(1+cos(2α))と特定されているのに対して、引用発明そのようになっているのか不明である点。

5 判断

(1)相違点1について

引用文献2及び3に記載された技術的事項(上記3(2)ウの(ア)及び(イ)、3(3)ウの(ア)及び(イ))から、レーザ生成プラズマ(LPP)源で用いられ、EUV放射を集光するためのコレクタにおいて、当該コレクタの表面に設けられるIRフィルタリングのための構造として階段状の構造を用いることは周知技術であると認められる。

また、引用発明において、「格子」は「二元(方形波)構造」であり、「上部」と「下部」を備えた「プロファイル200」を有するものであるところ、「二元(方形波)構造」であることは前記「プロファイル200」が繰り返される構造を有すること、すなわち、本願発明でいうところの「3以上の反射面」の構成を備えるものと解される。

引用発明において、「二元(方形波)構造」に代えて、上記周知技術に基づいて「階段状の構造」とし、相違点1に係る本願発明の構成なすことは、当業者が容易に想到しうるものである。

(2)相違点2について

引用発明において、「格子深さ」は「λ/4+n*λ/2」の式で表されるところ、同じ「格子深さ」となるλ及びnが複数存在することは明らかである。例えば、引用文献1には、深さ2.65μmにおいて、10.6μm放射に加えて、1μm波長放射を妥当な程度にまで抑制することが開示されている。(上記3(1)ウ)

本願発明は、「第1の波長λ1」、「第1の近似整数n1」、「第2の波長λ2」、「第2の近似整数n2」及びKのそれぞれのパラメータについて、数値範囲が限定されていないことから、それぞれのパラメータは任意の値のものを含むものである。

そうすると、上記相違点2は、実質的なものではない。

仮にそうでないとしても、引用文献1に記載された技術的事項(上記3(1)ウ)である「格子において、波長λが破壊的干渉を生じる深さはλ/4+n*λ/2の式で表され、単一の深さにおいて、前記式のnを変化させることにより2つの異なる波長で前記式を満たすことができ」ることから、2つの異なる波長に対して、nを変化させ上記相違点2に係る本願発明の構成をなすことは当業者が容易になし得ることである。

また、本願発明のKは2倍角の公式cos2θ=(cos2θ+1)/2から、K=1/cosαであることが導かれる。引用文献2及び3に記載された技術的事項(上記3(2)ウ(ウ)、3(3)ウ(ウ))から、反射防止のための格子において、入射角αで入射する光に対して、垂直に入射した光を対象とした干渉により反射防止が生じる格子深さの条件式をcosαにより補正することは周知技術である。よって、引用発明において、上記周知技術に基づいて、反射防止のための格子深さを求める際に入射角をαとしたcosαにより補正することは、容易に想到しうるものである。

(3)小括

本願発明は、以上のとおり、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

6 本願発明の効果について

上記相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件発明の作用効果は、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

7 請求人の主張

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審判請求書において、請求人は、引用文献1~3には、第1及び第2の波長の両方の波長を抑制するための単一の分離距離を設定するコンセプト、並びに、波長、近似整数及び係数Kに基づいて分離距離が設定される3以上の反射面を備えること、は記載も示唆もないことから、本願発明は、当業者が容易に発明しうるものではない旨を主張している。

しかし、上記5(1)及び(2)で相違点1及び2として検討したとおり、上記主張された事項は、進歩性の判断を覆すに足るものではない。

よって、上記主張は、採用できない。

8 まとめ

以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-000524

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