特許拒絶査定不服審判
2022-000141
半導体デバイステスト用コンタクト及びテストソケット装置
- 審判番号
- 2022-000141
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-514475外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年01月05日
- 審決日
- 2022年10月17日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ファン ドン ウォン
- 【請求人代理人】特許業務法人 信栄特許事務所
- 【請求人】ハイコン カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人 信栄特許事務所
- 【請求人】ファン ローガン ジェ
- 【請求人代理人】特許業務法人 信栄特許事務所
- 【請求人】ファン ジェ ベク
- 【請求人代理人】特許業務法人 信栄特許事務所
- 分類
- P18 .575-Z (G01R) / P18 .121-Z (G01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-514475号「半導体デバイステスト用コンタクト及びテストソケット装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月6日国際公開、WO2018/221777、令和2年8月13日国内公表、特表2020-524288号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月23日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2017年5月30日 韓国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和元年11月15日 :翻訳文の提出
令和2年 9月17日付け:拒絶理由通知書
令和3年 3月31日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月31日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(9月 7日 :原査定の謄本の送達)
令和4年 1月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年1月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年1月5日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和4年1月5日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)は、以下の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項1】
金属板材を打ち抜きし、円筒状にローリングして一体に構成されたコンタクトであって、
上方に突出する上側尖端部が設けられ、円筒状からなる上側頭部と、
前記上側頭部から側下方に傾斜をもって延び、らせん状の円筒形状に曲げられたストリップからなり、前記上側頭部と同一軸上に設けられる弾性部と、
下方に突出する下側尖端部が設けられ、前記弾性部の下側先端から垂直に延びて前記弾性部と同一軸上に設けられる下側頭部と、
少なくとも前記上側頭部と前記下側頭部との間の弾性部区間に円筒状に充填され、導電性を有する粒子が混入された弾性を有するフィラーを含む、コンタクト。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】
金属板材を打ち抜きし、円筒状にローリングして一体に構成されたコンタクトであって、
上方に突出する上側尖端部が設けられ、円筒状からなる上側頭部と、
前記上側頭部から側下方に傾斜をもって延び、らせん状の円筒形状に曲げられたストリップからなり、前記上側頭部と同一軸上に設けられる弾性部と、
下方に突出する下側尖端部が設けられ、前記弾性部の下側先端から垂直に延びて前記弾性部と同一軸上に設けられる下側頭部と、
前記上側頭部と前記下側頭部との間の前記弾性部の区間のみに円筒状に充填され、導電性を有する粒子が混入された弾性を有するフィラーを含む、コンタクト。」
2 本件補正の目的
本件補正は、請求項1において、「導電性を有する粒子が混入された弾性を有するフィラー」が「円筒状に充填され」る箇所が、「前記上側頭部と前記下側頭部との間の前記弾性部の区間のみ」であることを限定したものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件についての当審の判断
本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2) 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である韓国公開特許第10-2016-0085457号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
摘記の後の括弧内に合議体が作成した日本語訳を示す。下線は合議体が付した。以下同様である。
a 段落0025、0026、図1、2、段落0033
「[0025]
[図:0001395849000001.jpg]
[0026]
[図:0001395849000002.jpg]
」
([0025]
ところで、上記の図1、2に示すように、ポゴピンは半導体パッケージの各端子間隔毎に設けなければならないが、半導体パッケージの小型化、集積化及び高性能化が
[0026]
進行するにつれて、半導体パッケージ検査のためのポゴピンのサイズ、すなわちポゴピンの外径を小さくしなければならず、高周波電気信号を歪みなく伝達するためには伝達経路が安定しており、伝達経路上のインピーダンスを最小化しなければならない。しかしながら、従来のポゴピンは、ばねの外側に円筒形本体が設けられているので、ばね及びばねを収容する円筒形本体厚さほどの外径を満たす必要があるため、一定のサイズ以下で外径を小さくすることができないという問題がある。また、ばね14を通る経路は、ばねが巻かれた回数だけ経路が長くなり、コイルのように螺旋状に巻かれているため、抵抗成分及びインダクタンス成分を含むようになり、電気的経路としては適さない。したがって、従来のポゴピンは、上部探針12、円筒形本体11及び下部探針13を通る電気経路を利用しなければならないので、上部探針12及び円筒形本体11の間と円筒形本体11と下部探針13の間の両所で電気的接触を正確に維持する必要があるという問題がある。)
「
[図:0001395849000003.jpg]
」
「
[図:0001395849000004.jpg]
」
「[0033]
[図:0001395849000005.jpg]
」
([0033]
上部探針部又は下部探針部で感知された信号が下部探針部又は上部探針部に移動する過程での経路を最小化、簡略化することにより、電気信号の損失及び歪みを最小化し、信号品質を向上させるポゴピン及びその製造方法を提供しようとする。)
b 段落0062、図3
「[0062]
[図:0001395849000006.jpg]
」
([0062]
本発明のポゴピンは、図3に示すように、上部探針部100と、下部探針部101と、前記上部探針部と下部探針部の間に位置する弾性部300、301からなる。前記ポゴピンを構成する上部探針部100と下部探針部101及び弾性部300、301はそれぞれ独立的に形成した後、相互結合することによってポゴピンを形成することも可能であるが、製造工程の単純化及び大量生産を容易にするために一体となった単一部材を下記のように用いてポゴピンを形成することが好ましい。)
「
[図:0001395849000007.jpg]
」
c 段落0063、図4
「[0063]
[図:0001395849000008.jpg]
」
([0063]
図4は、本発明のポゴピンの一実施例の展開図であって、薄い板状の単一部材をパンチング(punching)する過程を通じて前記展開図模様に裁断し、前記板材を折り曲げたり、丸めたり、丸く曲げたり(roll bending)、又は巻いて本発明のポゴピンを構成することができる。本発明の板状の単一部材は、電気伝導性のある金属板材で所定の延伸性があり、熱処理を通じて弾性及び強度を高めることができ、電気的抵抗が小さいのがよい。これにより、ベリリウム銅合金が好ましく、特にベリリウム銅25合金ASTM C17200が好ましいが、機械的、電気的物性を満足する他の素材も使用可能である。)
「
[図:0001395849000009.jpg]
」
d 段落0064~0066
「[0064]
[図:0001395849000010.jpg]
[0065]
[図:0001395849000011.jpg]
[0066]
[図:0001395849000012.jpg]
[図:0001395849000013.jpg]
」
([0064]
上部探針部100は、上段部に備えられた添付部120と上部探針部の下段部に中空円筒状の上部開口部130を含み、下部探針部200は
[0065]
下段部に具備された添付部121と下部探針部の上段部に中空円筒状の下部開口部131を含んで構成されており、
[0066]
上部挿入部200は、挿入部1000の上端に備えられ、前記上部開口部130に挿入可能な直径を有し、下部挿入部200は、挿入部1000の下端部に備えられ、前記下部開口部131に挿入可能な直径を有する。前記添付部120、220は、本発明のポゴピンの両端に位置してテスト端子、コンタクトパッドなどに直接接触する部分であって、多様な形状に形成できるが、テスト端子などとの正確な接触のためにクラウン形状に形成されることが望ましい。)
なお、「下部探針部200」は「下部探針部101」の誤記であることは明らかであり、「下部挿入部200」は「下部挿入部201」の誤記であることは明らかであり、「前記添付部120、220」は「前記添付部120、121」の誤記であることは明らかである。後記(ウ)の引用発明の認定では、これらの誤記を修正した上で認定している。
e 段落0067、0068、図5、6
「[0067]
[図:0001395849000014.jpg]
[0068]
[図:0001395849000015.jpg]
」
([0067]
図4及び図5に示すように、開口部130、131及び挿入部200、201は、後述する弾性部300、301に外力が加わっていない状態では、図4に示すC2だけ互いに離間するように間隔を調整して形成する。ただし、本発明のポゴピンが弾性部のみで上部探針部100と下部探針部101が連結される構造であるため、開口部130、131と挿入部200、201をあまりに広く離すと上・下部探針が相互に接触しにくく、ポゴピンの構造的安定性に問題が生じる可能性がある。したがって、開口部130、131と挿入部200、201とが互いに接触しない範囲で適当な間隔で離間するようにする。前記間隔は、ポゴピンをメッキする際、上部探針部100と下部探針部101の全面に適切な厚さのメッキが正確になされるようにするためであり、開口部130、131と挿入部200、201の間にメッキがつぶれたり、メッキがなされていない部分が発生したり、メッキによって開口部130,131と挿入部200,201が接触するなど、メッキにより発生し得る問題を防止するできる。図5に示すように、離間した開口部130、131と挿入部200、201は、外部の圧力がポゴピンに加えられたときに、挿入部200、201が開口部130、131に挿入されると、上部探針部100と下部探針部101が接続されている。詳しく説明すると、外力が上部探針部100又は下部探針部101に加えられると、上部探針部100又は下部探針部101と後述する弾性部300、301に前記外力が伝達される。そして、前記外力により弾性部300、301が収縮すると同時に上下挿入部200、201が中空円筒形の開口部130、131にそれぞれ挿入され、下部探針部101と上部探針部100は、上部挿入部と下部挿入部200、201を介して面接触状態に接続されている。外力によって収縮した弾性部300、301は、外力が消えたとき、弾性力によって復元されて上部探針部100と下部探針部101の間の間隔を元の状態に維持する。
[0068]
また、従来のポゴピンによれば、上部探針と円筒形本体の間又は円筒形本体と下部プローブの接触面積が小さくなるしかない。本発明によれば、接触面積を大幅に拡大することが可能であり、伝達される信号の歪みを最小化できるという利点がある。)
「
[図:0001395849000016.jpg]
」
「
[図:0001395849000017.jpg]
」
f 段落0078~0082
「[0078]
[図:0001395849000018.jpg]
[0079]
[図:0001395849000019.jpg]
[0080]
[図:0001395849000020.jpg]
[0081]
[図:0001395849000021.jpg]
[0082]
[図:0001395849000022.jpg]
」
([0078]
図4に示すように、本発明のポゴピンを製造するための方法は、次のとおりである。
[0079]
a)裁断工程(S1)
[0080]
上端部に添付展開部120’が形成された上部探針部展開部100’、下端部に
[0081]
添付展開部121’が形成された下部探針部展開部101’、及び、該上部探針部展開
[0082]
部100’と下部探針部展開部101’を連結する帯状の弾性部展開部300’、301’が一つの金属板材に展開された状態で裁断される。前記過程は裁断機などを通じて行われることができ、望ましくはプログレッシブスタンピングの過程でパンチングによって行われる。)
g 段落0083~0085
「[0083]
[図:0001395849000023.jpg]
[0084]
[図:0001395849000024.jpg]
[0085]
[図:0001395849000025.jpg]
」
([0083]
b)円形(原形)ポゴピン形成工程(S2)
[0084]
前記下部探針部展開部101’の板材をローリング手段Rを利用して、例えば、
[0085]押棒を回しながら巻くか、内部に円筒形通孔が形成された型に板材を圧入して円筒形曲面に沿って板材が巻かれるようにすることによって、一部又は全部が円筒形である下部探針部を形成させ、弾性部300、301が挿入部200、201の外面を取り囲む形態で巻かれるようにし、上下探針部100、101の一部又は全部が円筒状に形成されるようにし、上部探針部、下部探針部及び弾性部が一体となった原形ポゴピンを形成させる。上下部探針部は上下部探針部展開部100’、101’の板材をローリング手段Rを利用して一部又は全部が円筒状である上下部探針部100、101を形成する。前記円形(原形)ポゴピン形成段階は、望ましくは、プログレッシブスタンピングの過程中にローリング、バンディング、ロールベンディングのうちいずれか一つ以上によって行われる。)
h 段落0086~0088
「[0086]
[図:0001395849000026.jpg]
[0087]
[図:0001395849000027.jpg]
[0088]
[図:0001395849000028.jpg]
」
([0086]
c)熱処理、メッキ工程(S3)
[0087]
前記原形ポゴピンは、弾性及び強度を高めるために熱処理して硬化させた
[0088]
後、ニッケル及び金メッキ処理することにより、本発明のポゴピンを完成する。)
(イ) 引用文献1の記載から認定した事項
a 引用文献1の図3から、弾性部300、301が、上部探針部100から側下方に傾斜をもって延びるらせん状の円筒形状であり、上部探針部100及び下部探針部101と同一軸上にあることが読み取れる。
なお、図3に示された符号「310(300)」は「301(300)」の誤記であることは、段落0062の記載からみて明らかである。
b 引用文献1の図6から、上部挿入部200及び下部挿入部201が断面C字状の中空円筒形の部分からなることが読みとれる。
(ウ) 引用発明の認定
前記(ア)において摘記した事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「 上部探針部100と、下部探針部101と、前記上部探針部と下部探針部の間に位置する弾性部300、301からなり、一体となった単一部材を用いて形成されたポゴピンであって、(摘記事項b)
上部探針部100は、上段部に備えられた添付部120と上部探針部の下段部に中空円筒状の上部開口部130を含み、
下部探針部101は、下段部に備えられた添付部121と下部探針部の上段部に中空円筒状の下部開口部131を含んで構成されており、
上部挿入部200は、挿入部1000の上端に備えられ、前記上部開口部130に挿入可能な直径を有し、
下部挿入部201は、挿入部1000の下端に備えられ、前記下部開口部131に挿入可能な直径を有し、(摘記事項d)
上部挿入部200及び下部挿入部201は、断面C字状の中空円筒形の部分からなり、(図6からの認定事項)
前記添付部120、121は、テスト端子、コンタクトパッドなどに直接接触する部分であって、テスト端子などとの正確な接触のためにクラウン形状に形成されており、(摘記事項d)
ポゴピンの製造の裁断工程(S1)では、上端部に添付展開部120’が形成された上部探針部展開部100’、下端部に添付展開部121’が形成された下部探針部展開部101’、及び、該上部探針部展開部100’と下部探針部展開部101’を連結する帯状の弾性部展開部300’、301’が一つの金属板材に展開された状態で裁断され、(摘記事項f)
円形(原形)ポゴピン形成工程(S2)では、前記下部探針部展開部101’の板材をローリング手段Rを利用して、例えば、押棒を回しながら巻くか、内部に円筒形通孔が形成された型に板材を圧入して円筒形曲面に沿って板材が巻かれるようにすることによって、一部又は全部が円筒形である下部探針部を形成し、弾性部300、301が挿入部200、201の外面を取り囲む形態で巻かれるようにし、
上下探針部100、101の一部又は全部が円筒状に形成されるようにし、上部探針部、下部探針部及び弾性部が一体となった円形(原形)ポゴピンを形成し、
上下部探針部は上下部探針部展開部100’、101’の板材をローリング手段Rを利用して一部又は全部が円筒状である上下部探針部100、101を形成し、(摘記事項g)
熱処理、メッキ工程(S3)では、前記円形(原形)ポゴピンに弾性及び強度を高めるために熱処理して硬化させた後、ニッケル及び金メッキ処理することにより、完成させ、(摘記事項h)
弾性部300、301は、上部探針部100から側下方に傾斜をもって延びるらせん状の円筒形状であり、上部探針部100及び下部探針部101と同一軸上にある、(図3からの認定事項)
ポゴピン。」
イ 引用文献6に記載された事項と引用文献6技術事項の認定
(ア) 引用文献6記載された事項
当審において新たに引用する文献である特開2004-333459号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0014】
即ち、スプリング1自体をコンタクトプローブとする事により、コンタクトプローブとしては最も短いプローブを製造する事が可能であり、シリコーン系、ゴム系、ゲル系等の弾性体で、尚且つ導電性を有する導電性樹脂2を充填、被覆する事により、スプリング1全体が導電体となり、インピーダンスを低下せしめインダクタンスを消滅せしめる事を可能とし、更に、コンタクトに必要なストローク(弾性)を可能とする。」
「【0025】
第1図は、請求項1の実施例を示した断面図である、即ち、半導体もしくは電子部品と計測装置との接続をして、電気計測を可能とするコンタクトプローブに於いて、円筒状に巻いたスプリング1の線間を導電性の樹脂であり、尚且つ弾性を有する導電性樹脂2で満たし、包んだ事を特徴とするコンタクトプローブであり、導電性樹脂2は導電性を有し、尚且つ弾性体であればどんな物でも良い。」
「【0028】
第4図は、請求項4の実施例を示した物である、即ち、請求項1記載のコンタクトプローブに於いて、円筒状に巻かれたスプリング1の片端、或いは両端1a,1bに金属製接触端子3を設けてなる事を特徴とするコンタクトプローブであり、金属製接触端子3は第4図の上図では円錐形状であるが、下図のように先端が平面状の物でも、或いは、先端が複数に尖った物でもどの様な形状でも良い。」
「【0040】
【発明の効果】
本発明は上記構成に基づくと、コンタクトプローブ全体が導電体となるために低インピーダンスである、コイルを導電性樹脂で充填するためにインダクタンスが発生しない、動的接続点が最小限である、半導体等の実装状態(ハンダ付け)に近い理想的な接続を実現し、高周波デバイスの計測を可能とする、充分なストロークで多ピンのデバイスに於いても確実なコンタクトを実現する等、計測や検査を確実に安定的に行う事を可能とする。」
「【図1】
[図:0001395849000029.jpg]
」
「【図4】
[図:0001395849000030.jpg]
」
(イ) 引用文献6技術事項の認定
前記(ア)に摘記した事項から、引用文献6には次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献6技術事項」という。)。
[引用文献6技術事項]
「円筒状に巻かれたスプリング1の両端1a、1bに金属製接触端子3を設けたコンタクトプローブにおいて、シリコーン系、ゴム系、ゲル系等の弾性体でかつ導電性を有する導電性樹脂2をスプリング1の線間に充填し、被覆することにより、スプリング1全体を導電体とし、インピーダンスを低下せしめ、インダクタンスを消滅せしめることを可能とし、高周波デバイスの計測を可能とし、コンタクトに必要なストローク(弾性)を可能としたこと。」
ウ 引用文献3に記載された事項と周知技術1の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である特表2016-507751号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0017】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
第1実施例
図3は本発明の第1実施例によるスプリングコンタクトの加工曲げ前の板状パターンを示す図であり、図4の(a)、(b)、(c)、(d)は本発明の第1実施例によるスプリングコンタクトを示す図で、(a)は加工曲げで製作されたスプリングコンタクトの正面図、(b)は同平面図、(c)はA-A線についての断面図、(d)はB-B線についての断面図である。
【0018】
図3を参考すれば、金属板材をプレス打ち抜きして製作された平面状のスプリングコンタクト板状パターン10’は、上方に上側尖端部11が形成された上側頭部12と、前記上側頭部12から下方に延設された上側首部13と、前記上側首部13のおよそ下端から両側に突設される一対の上側肩部14と、この上側肩部14に隣接して前記上側首部13から下方に延設された上側連結部15からジグザグ状に延設されるスプリング部16と、前記スプリング部16の下端から延設された下側連結部17から下方に延設され、下端に下側尖端部20を持つ下側頭部19と、前記下側頭部19から両側に突設される一対の下側肩部18とを含む。
【0019】
上側頭部12は略長方形のもので、上方に多数の上側尖端部11が突設されてICの端子と接触する。
【0020】
上側頭部12と下側頭部19は仮想の中心線C上に左右対称に設けられ、スプリング部16は中心線Cを中心に一定の幅(W)と一定のピッチ(P)でジグザグ状を持つ。
【0021】
次に、図4に示したように、スプリングコンタクト板状パターンの中で、上側頭部12とスプリング部16はロール(roll)状に加工曲げ(bending)されて一体型のスプリングコンタクト10が提供される。
【0022】
上側首部13の両側に突設される一対の上側肩部14と、下側頭部19から両側に突設される一対の下側肩部18はそれぞれスプリング部16の直径とほぼ同一であるか、上側頭部12と下側頭部19よりは大きく突設されることが好ましい。このような上側肩部又は下側肩部はICテスト用ソケット装置内にスプリングコンタクトが組み立てられる場合にソケット装置内で係止部材として機能することができる。
【0023】
本実施例において上側肩部と下側肩部は上側首部と下側頭部に設けられるものに例示したが、これだけに限定されるものではなく、後述する実施例でより明らかに理解できるように、スプリング部を支持可能な範囲で各頭部、又は各頭部とスプリング部を連結することになる連結部(例えば、首部)から突設されることもできるであろう。
【0024】
このようなスプリングコンタクト10は、多数の上側尖端部11がICの端子と接触することになり、下側尖端部20がPCB側に電気的に連結され、上部からICを押圧する場合、スプリング部16が長手方向に弾性変形して圧縮され、圧縮されたスプリング部16の弾性力によって上側尖端部11はICの端子を押圧接触し、下側尖端部20はPCB側に押圧接触して安定的に電気的な接触がなされてICテストが行われることができる。」
「【図3】
[図:0001395849000031.jpg]
」
「【図4(a)】
[図:0001395849000032.jpg]
」
「【図4(b)】
[図:0001395849000033.jpg]
」
「【図4(c)】
[図:0001395849000034.jpg]
」
「【図4(d)】
[図:0001395849000035.jpg]
」
(イ) 周知技術1の認定
前記(ア)に摘記した事項に例示されるように、次の事項は当業者にとって周知の技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。
[周知技術1]
「金属板材をプレス打ち抜きして製作された平面状のスプリングコンタクト板状パターンをロール状に加工曲げして一体型のスプリングコンタクトとすること。」
エ 引用文献5、7に記載された事項と周知技術2の認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である韓国登録特許第10-1266123号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。
「[0006]
[図:0001395849000036.jpg]
…(中略)…
[0010]
[図:0001395849000037.jpg]
…(中略)…
[0019]
[図:0001395849000038.jpg]
」
([0006]
このような図1によるばねタイプのテスト用ソケットには、次のような問題がある。
…(中略)…
[0010]
第4に、ばねは電気的な流れがコイルに沿って螺旋状に回転しながら伝達される。
…(中略)…
[0019]
本発明は、上述した問題点を解決するために創出されたものであり、より詳細には製造が容易でありながら信号損失が少なく、耐久性に優れたスプリング部材を含むテスト用ラバーソケットを提供することを目的とする。
)
「[0055]
[図:0001395849000039.jpg]
」
(本発明のテスト用ラバーソケット10は、被検査デバイスと検査装置を互いに電気的に連結するためのものであって、導電部20と、絶縁性支持部30と、スプリング部材40と、導電パッド50を含んで構成される。)
「[0056]
[図:0001395849000040.jpg]
」
(前記導電部20は、前記被検査デバイスの端子と対応する位置に配置され、厚さ方向に多数の導電性粒子21が絶縁性弾性物質内に整列配置されるものである。このとき、導電部20は、前記被検査デバイスの端子と対応する個数を有するか、又はそれより多少多いことも可能であり、前記導電部20と導電部20は、互いに一定間隔離隔されて配置される。)
「[0057]
[図:0001395849000041.jpg]
」
(前記絶縁性弾性物質は、弾性高分子物質としては、架橋構造を有する耐熱性の高分子物質が好ましい。このような架橋高分子物質を得るために用いることができる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができるが、液状シリコーンゴムが好ましい。)
「[0064]
[図:0001395849000042.jpg]
」
(前記スプリング部材40は、前記導電部20の絶縁性物質内に配置され、厚さ方向に螺旋状に巻かれながら延長されるものであるが、このようなスプリング部材40は、導電性を有するように導電性に優れた金属素材が使用されることが好ましい。また、前記スプリング部材40は、磁性素材を使用することが好ましい。これは導電部20の成形過程において導電性粒子21と共に厚さ方向に容易に配列されるようにするためである。)
「[0065]
[図:0001395849000043.jpg]
」
(このようなスプリング部材40は、その上端に導電パッド50が配置されており、下端は導電部20から一部分露出されて検査装置のパッドと接触するように構成されることができる。スプリング部材40は、その内部及び外部に導電性粒子21が分布されることができる。これと共に、スプリング部材40の内外部に均一に導電性粒子21が分布されることによって、導電部20が圧縮される過程で、スプリング部材40の周辺に導電性粒子21が接触することによって、電気的な流れ性を良好にすることができる。)
「[0076]
[図:0001395849000044.jpg]
」
(また、ばね自体のみからなる場合に比べて全体的な信号移動経路を短くできるという利点がある。すなわち、導電部内では、導電性粒子を介して信号が厚み方向に沿って直線的に移動するため、ばね部材を単独で配置した場合に比べてよりcurrent passを短くできるという利点がある。)
「図3
[図:0001395849000045.jpg]
」
(イ) 引用文献7に記載された事項
当審において新たに引用する文献である特開2004-296301号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のコンタクトユニットにおいて、特許文献1に記載されているように、上記接続手段が、ゴム等の絶縁性を有する弾性部材の内部に導電性粒子や金属ワイヤー等を混入して厚さ方向に電気的に導通する異方導電性弾性体だけで構成されている場合は、二つの被接続物に接触させる際に十分なバネ性が得られず、被接続物に対する接触を安定させるためには大きく圧縮して接触圧力を高くしなければならなかった。また、その場合でもゴム等の内部に導電性粒子や金属ワイヤー等が混入されているだけであるので、十分な接続信頼性が得られないことがあった。
【0005】
また、特許文献2に記載されているように、上記接続手段が、二つの被接続物の間にて外方に付勢されたコイルバネだけで構成されている場合は、このコイルバネを圧縮して二つの被接続物に接触させたときに、両者を接続する電流経路はコイルバネの螺旋状の線材の全長分の長さとなり、電路長が長くなって接続の抵抗値が高くなるものであった。また、コイルバネにより螺旋状の電流経路となることから、高周波特性が低下することがあった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、被接続物に対し安定した接触圧力を与えると共に接続信頼性を向上し且つ接続の抵抗値を下げることができるコンタクトユニットを提供することを目的とする。」
「【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の手段によるコンタクトユニットは、絶縁材料から成る保持部材の内部空間に収納された接続手段により、二つの被接続物を電気的に接続するコンタクトユニットであって、上記接続手段は、外方に付勢され上記二つの被接続物に弾性的に圧接して電気的に接続するコイルバネと、このコイルバネを内側に包み込むと共に該コイルバネの弾性変形に追従して変形する弾性を有し且つ内部に導電性物質を混入した導電性弾性部材とを一体化させた弾性接続部材から成るものである。
【0008】
このような構成により、コイルバネと導電性弾性部材とを一体化させた弾性接続部材から成る接続手段によって、外方に付勢されたコイルバネがその弾性力により二つの被接続物に弾性的に圧接して導通すると共に、コイルバネの弾性変形に追従して変形する導電性弾性部材内の導電性物質がコイルバネの線材と随所において接触したり、相互に接触することにより、螺旋状よりも短い複数の電流経路が形成される。これにより、被接続物に対し安定した接触圧力を与えると共に、接続信頼性を向上し、且つ接続の抵抗値を下げることができる。
【0009】
また、第2の手段によるコンタクトユニットは、絶縁材料から成る保持部材の内部空間に収納された接続手段により、二つの被接続物を電気的に接続するコンタクトユニットであって、上記接続手段は、外方に付勢され上記二つの被接続物に弾性的に圧接して電気的に接続するコイルバネと、このコイルバネを内側に包み込むと共にコイルバネの弾性変形に追従して変形する弾性を有し且つ内部に導電性物質を混入した導電性弾性部材とを一体化させた弾性接続部材、及びこの弾性接続部材の両端面に介装され上記二つの被接続物に接触する導電性の接触子、を備えたものである。
【0010】
このような構成により、コイルバネと導電性弾性部材とを一体化させた弾性接続部材及びこの弾性接続部材の両端面に介装された導電性の接触子を備えた接続手段によって、外方に付勢されたコイルバネがその弾性力により二つの被接続物に弾性的に圧接して導通すると共に、このコイルバネの弾性変形に追従して変形する導電性弾性部材内の導電性物質がコイルバネの線材と随所において接触したり、相互に接触し、また導電性の接触子で上記二つの被接続物に確実に接触することにより、螺旋状よりも短い複数の電流経路が形成される。これにより、被接続物に対し安定した接触圧力を与えると共に、接続信頼性を向上し、且つ接続の抵抗値を下げることができる。
【0011】
そして、上記導電性弾性部材は、導電性ゴムから成るものとすればよい。
また、上記導電性弾性部材は、ヤング率の低いゴムに金属粒子を混入して形成してもよい。
或いは、上記導電性弾性部材は、ヤング率の低いゴムに導電ペーストを混入して形成してもよい。
また、上記ヤング率の低いゴムは、シリコーンゴムとすればよい。
さらに、上記導電性弾性部材は、その長手方向の中心軸部が中空状に形成されたものでもよい。」
「【0016】
このような構成の電気部品用ソケット17において、ソケット本体部1の載置部5の下方には、コンタクトユニット3が設けられている。このコンタクトユニット3は、対向する二つの被接続物としての回路基板18と電気部品4とを電気的に接続するもので、上記電気部品用ソケット17の内部に一つ又は複数個並べて設けられており、図1に示すように、ホルダー20と、弾性接続部材21とで構成されている。なお、符号22は電気部品4の接続端子(例えば半球状のBGA端子)を示し、符号23は回路基板18の接続端子(例えば平板状のLGA端子)を示している。
【0017】
ホルダー20は、後述の弾性接続部材21を内部空間に収納する保持部材となるもので、例えばガラス又はセラミック等の絶縁材料から成り、全体として内部に空間が形成された筒状に構成され、その中心軸部の上下には弾性接続部材21の外径よりも大きい内径を有する通し孔24があけられている。なお、ホルダー20の長手方向の略中央部には、このホルダー20を上下に2分割する切断線25が入っており、2分割されたホルダー20の内部に弾性接続部材21を収納して上下のホルダー部材を結合することによって、ホルダー20の内部に弾性接続部材21を保持するようになっている。
【0018】
弾性接続部材21は、二つの被接続物(例えば回路基板18と電気部品4)を電気的に接続する接続手段となるもので、上記ホルダー20の内部空間に収納されており、コイルバネ26と、導電性弾性部材27とを一体化させて成る。コイルバネ26は、ホルダー20内にて外方に付勢され上記二つの被接続物に弾性的に圧接して電気的に接続するもので、例えば金属でできており、その上下両端部がホルダー20の通し孔24,24から適宜の長さだけ突出している。
【0019】
導電性弾性部材27は、上記コイルバネ26と共に二つの被接続物を電気的に接続する手段となるもので、その内側にコイルバネ26を包み込むと共にコイルバネ26の弾性変形に追従して変形する弾性を有し且つ内部に導電性物質28を混入して成る。ここで、導電性弾性部材27は、コイルバネ26の弾性を著しく害さない程度において弾性変形可能とするため、ヤング率の低いゴム、例えばシリコーンゴムから成るのが望ましい。また、導電性弾性部材27に混入する導電性物質28は、導電性弾性部材27が弾性変形した際に相互に接触したり、コイルバネ26と接触して導通を図るもので、あらゆる種類の導電性粒子や、金、銀、銅、鉄、ニッケルなどの金属粒子、或いは導電ペーストから成る。
【0020】
したがって、導電性弾性部材27は、ヤング率の低いゴムに金属粒子を混入して形成したもの、ヤング率の低いゴムに導電ペーストを混入して形成したもの、又はヤング率の低いゴムに導電性粒子を混入して形成したもの等である。或いは、ネオプレーンやシリコーンゴム等にカーボンブラックを充填剤として加えた導電性ゴムで構成してもよい。この導電性ゴムの場合も、コイルバネ26の弾性を著しく害さない程度において弾性変形可能なものが望ましい。
【0021】
そして、上記コイルバネ26を内側に包み込んだ状態で導電性弾性部材27を所定形状の金型又は治具等に入れ、一体化させて例えば円柱状に形成して、弾性接続部材21が構成される。このとき、図1においては、導電性弾性部材27の中間部に太径部29が円周方向に形成されており、弾性接続部材21がホルダー20の通し孔24から抜け出ないようにされている。
【0022】
この状態で、切断線25で上下に2分割されたホルダー20の上部材と下部材との間に上記のように構成された弾性接続部材21を収納し、上下のホルダー部材を切断線25の部位で適宜の手段で結合することによってホルダー20の内部に弾性接続部材21を保持して、コンタクトユニット3が構成される。そして、このコンタクトユニット3の弾性接続部材21の上端面21aの全体が例えば電気部品4のBGA型の接続端子22に接触し、下端面21bの全体が回路基板18の接続端子23に接触するようになっている。
【0023】
図3は、コンタクトユニット3の変形例を示す中央縦断面図である。この変形例は、上記弾性接続部材21の上端部にコイルバネ26だけを延長して蜜に巻き回した巻線接続部26aを形成すると共に、下端部にも同じくコイルバネ26だけを延長して蜜に巻き回した巻線接続部26bを形成し、これらの巻線接続部26a,26bでそれぞれ電気部品4の接続端子22、回路基板18の接続端子23に接触するようにされている。この場合は、特に弾性接続部材21とBGA型の接続端子22との接触において、リング状の接触部を有する巻線接続部26aの内部にBGA型の接続端子22が容易に嵌って食い込み状態で接触し、接続を確実にすることができる。」
「【0026】
この場合、図1に示す電気部品4の下方への押圧に伴って、図5(a)に示すように、コンタクトユニット3(図5ではホルダー20は省略している。)の弾性接続部材21の上下両端面21a,21bに押圧力P,Qがかかる。すると、この押圧力P,Qにより、図5(b)に示すように、弾性接続部材21が圧縮されてその長さがコイルバネ26の弾性変形により短縮される。この状態では、導電性弾性部材27に混入された導電性物質28がコイルバネ26と接触したり、導電性物質28同士が相互に接触したりして導通を図り、図5(b)において例えば符号a,b,cで示すような複数の電流経路が形成される。
【0027】
ここで、図5(b)に示す電流経路a,b,cは、コイルバネ26と導電性物質28とが接触した状態で、その部分で最短距離の電路長を形成することとなる。したがって、二つの被接続物をコイルバネ26だけで接続する場合における螺旋状の線材の全長分の長さとなる電路長に比べ、格段に短くなる。したがって、弾性接続部材21全体の接続の抵抗値が低くなる。また、図5(b)に示すように、弾性接続部材21の上下両端面21a,21bには、コイルバネ26の端部が存在すると共に、導電性物質28が散点状に含まれて露出しているので、上端面21a及び下端面21bの被接続物との接続に寄与する導通面積が大きくなって、接続信頼性が向上する。また、弾性接続部材21の全体として、略直線状の電流経路となることから、高周波特性が向上する。」
「【0028】
図6は、本発明によるコンタクトユニット3の第2の実施形態を示す中央縦断面図である。この実施形態は、二つの被接続物を電気的に接続する接続手段を、図1又は図2に示す弾性接続部材21と、この弾性接続部材21の両端面に介装され上記二つの被接続物に接触する導電性の接触子31a,31bとで構成したものである。
【0029】
この接触子31a,31bは、それぞれ電気部品4の接続端子(例えば平板状のLGA端子)22及び回路基板18の接続端子23に電気的に接触するものであり、例えば金属でできており、ホルダー20内に位置する太径部32と、上記ホルダー20の上下端部に形成された通し孔24から外方に突出する円錐凸型の針状部33と、弾性接続部材21内のコイルバネ26の内側に挿入されて接続する細径の基部34とで構成されている。そして、弾性接続部材21とその上下両端面に介装された接触子31a,31bとが一つの接続手段となって、二つの被接続物間を接続する。このとき、接触子31a,31bの円錐凸型の針状部33が接続端子22及び23に食い込み状に接続して、接続信頼性が向上する。」
「【図1】
[図:0001395849000046.jpg]
」
「【図3】
[図:0001395849000047.jpg]
」
「【図5】
[図:0001395849000048.jpg]
」
「【図6】
[図:0001395849000049.jpg]
」
(ウ) 周知技術2の認定
前記(ア)及び(イ)に摘記した事項に例示されるように、次の事項は当業者にとって周知の技術であったと認められる(以下「周知技術2」という。)。
[周知技術2]
「検査対象に電気的に接触するコンタクト部材の上側頭部と下側頭部の間の弾性部において、導電性粒子が混入された導電性弾性部材が円筒状に充填されること。」
(3) 対比・判断
ア 対比
(ア) 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
a(a) 引用発明の「ポゴピン」は、本件補正発明の「コンタクト」に相当する。
(b) 引用発明の「ポゴピン」は、「裁断工程(S1)」において「一つの金属板材に展開された状態で裁断され」、「円形(原形)ポゴピン形成工程(S2)」において「板材をローリング手段Rを利用して一部又は全部が円筒状である上下部探針部100、101を形成」し、「弾性部300、301が挿入部200、201の外面を取り囲む形態で巻かれるようにし」、「上部探針部、下部探針部及び弾性部が一体となった円形(原形)ポゴピンを形成し」、「熱処理、メッキ工程(S3)」を経て完成させたものであるから、金属板材を打ち抜きし、円筒状にローリングして一体に構成されたものであるといえる。
(c) よって、本件補正発明と引用発明は、「金属板材を打ち抜きし、円筒状にローリングして一体に構成されたコンタクト」という点で一致する。
b(a) 引用発明の「上部探針部100」の「上段部に備えられた添付部120」は、本件補正発明の「上方に突出する上側尖端部」に相当する。
(b) 引用発明の「上部探針部100」は、その「下段部」に「中空円筒状の上部開口部130」を含み、「一部又は全部が円筒状に形成される」から、本件補正発明の「円筒状からなる上側頭部」に相当する。
(c) よって、本件補正発明と引用発明は、「上方に突出する上側尖端部が設けられ、円筒状からなる上側頭部」を含む点で一致する。
c(a) 引用発明の「弾性部300、301」は、「上部探針部100から側下方に傾斜をもって延びるらせん状の円筒形状であり」、「挿入部200、201の外面を取り囲む形態で巻かれるように」して形成されるから、本件補正発明の「前記上側頭部から側下方に傾斜をもって延び、らせん状の円筒形状に曲げられたストリップからな[る]」「弾性部」に相当する。
(b) 引用発明の「弾性部300、301」は、「上部探針部100及び下部探針部101と同一軸上にある」から、本件補正発明の「前記上側頭部と同一軸上に設けられる弾性部」に相当する。
(c) よって、本件補正発明と引用発明は、「前記上側頭部から側下方に傾斜をもって延び、らせん状の円筒形状に曲げられたストリップからなり、前記上側頭部と同一軸上に設けられる弾性部」を含む点で一致する。
d(a) 引用発明の「下部探針部101」の「下段部に備えられた添付部121」は、本件補正発明の「下方に突出する下側尖端部」に相当する。
(b) 引用発明では、「弾性部300、301」は「上部探針部100及び下部探針部101と同一軸上」にあり、「上部探針部、下部探針部及び弾性部が一体」となっているから、引用発明の「下部探針部101」は、本件補正発明の「前記弾性部の下側先端から垂直に延びて前記弾性部と同一軸上に設けられる下側頭部」に相当する。
(c) よって、本件補正発明と引用発明は、「下方に突出する下側尖端部が設けられ、前記弾性部の下側先端から垂直に延びて前記弾性部と同一軸上に設けられる下側頭部」を含む点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の一致点において一致し、以下の相違点において相違する。
a 一致点
「 金属板材を打ち抜きし、円筒状にローリングして一体に構成されたコンタクトであって、
上方に突出する上側尖端部が設けられ、円筒状からなる上側頭部と、
前記上側頭部から側下方に傾斜をもって延び、らせん状の円筒形状に曲げられたストリップからなり、前記上側頭部と同一軸上に設けられる弾性部と、
下方に突出する下側尖端部が設けられ、前記弾性部の下側先端から垂直に延びて前記弾性部と同一軸上に設けられる下側頭部と、
を含むコンタクト」である点。
b 相違点
本件補正発明は、「前記上側頭部と前記下側頭部との間の前記弾性部の区間のみに円筒状に充填され、導電性を有する粒子が混入された弾性を有するフィラーを含む」のに対して、
引用発明は、挿入部200、201が断面C字状の中空円筒形の部分からなり、弾性部300、301が挿入部200、201の外面を取り囲む形態で巻かれるようにして形成され、上部探針部100から側下方に傾斜をもって延びるらせん状の円筒形状であるものの、このような円筒形状の弾性部300、301にフィラーが充填されていない点。
イ 判断
(ア) 引用発明の「挿入部200、201」について
a 引用発明の「ポゴピン」は、高周波電気信号を歪みなく安定的に伝達するために、従来は上部探針、円筒形本体及び下部探針を通る電気経路において、上部探針及び円筒形本体の間と円筒形本体と下部探針の間の両所で電気的接触を正確に維持する必要があったところ([0026])、上部探針部又は下部探針部で感知された信号が下部探針部又は上部探針部に移動する過程での経路を最小化、簡略化することにより、電気信号の損失及び歪みを最小化し、信号品質を向上させるようしたものである([0033])。
b 具体的には、引用発明の「ポゴピン」の動作として、外力により弾性部300、301が収縮すると同時に挿入部200、201が中空円筒形の開口部130、131にそれぞれ挿入され、上部探針部100と下部探針部101が、挿入部200、201を介して面接触状態に接続されることにより([0067])、接触面積が大幅に拡大され、伝達される信号の歪みを最小化できるようにしたものである([0068])。
c 以上を踏まえると、引用発明の「挿入部200、201」の「断面C字状の中空円筒形の部分」は、高周波電気信号を歪みなく安定的に伝達するために、接触面積の拡大を通じて上部探針部と下部探針部の電気的接触を確実なものとする機能を果たしているといえる。
(イ) 引用文献6技術事項の「導電性樹脂2」について
引用文献6技術事項には、「円筒状に巻かれたスプリング1の両端1a、1bに金属製接触端子3を設けたコンタクトプローブにおいて、シリコーン系、ゴム系、ゲル系等の弾性体でかつ導電性を有する導電性樹脂2をスプリング1の線間に充填し、被覆することにより、スプリング1全体を導電体とし、インピーダンスを低下せしめ、インダクタンスを消滅せしめることを可能とし、高周波デバイスの計測を可能とし、コンタクトに必要なストローク(弾性)を可能としたこと」が開示されているところ、高周波デバイスの計測が可能であるとしているから、コンタクトプローブが高周波電気信号を歪みなく安定的に伝達できるように、導電性樹脂2をスプリング1の線間に充填したものであるといえる。
(ウ) 引用発明の「挿入部200、201」と引用文献6技術事項の「導電性樹脂」の置換可能性について
a 前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、引用発明の「挿入部200、201」の「断面C字状の中空円筒形の部分」及び引用文献6記載事項の「導電性樹脂2」は、いずれも弾性部(スプリング部)を有するコンタクトプローブが高周波電気信号を歪みなく安定的に伝達できるようにするためのものであるから、両者は機能を共通とする。してみれば、引用発明において、「挿入部200、201」の「断面C字状の中空円筒形の部分」を、弾性部300、301(スプリング部)の線間に弾性の導電性樹脂を充填するという手段に置換することにより、高周波電気信号を歪みなく安定的に伝達できるようにすることは、当業者にとっては自明の設計変更にすぎない。
b なお、「金属板材をプレス打ち抜きして製作された平面状のスプリングコンタクト板状パターンをロール状に加工曲げして一体型のスプリングコンタクトとすること」は、周知の技術であるから(周知技術1を参照)、引用発明の弾性部300、301(スプリング部)を形成する際に、挿入部200、201(断面C字状の中空円筒形の部分)がなくとも「帯状の弾性部展開部300’、301’」をロール状に曲げ加工可能であることは自明であり、そのために「帯状の弾性部展開部300’、301’」どうしの接続を維持したままにしておくことは、当業者ならば当然なすべき設計事項である。
c また、シリコーンゴムなどの弾性を有する樹脂に導電性を有する粒子を混入させて、弾性の導電性フィラーとすることは、常套手段にすぎず、格別のものではない。
(エ) 相違点についての判断のまとめ
前記(ア)~(ウ)に検討したとおり、引用発明において、挿入部200、201の代わりに、弾性部300、301(スプリング部)の線間に弾性の導電性樹脂を充填して弾性部の区間のみにある円筒状のものとすることにより、前記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する効果としては、引用発明、引用文献6技術事項及び周知技術1から当業者が予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献6技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 請求人の主張について
(ア) 審判請求書の主張内容
請求人は概略次の主張をしている。
a 引用文献1~5は、「前記上側頭部と前記下側頭部との間の前記弾性部の区間のみに円筒状に充填され」に相当する構成を開示も示唆もしていない。
b 本願のコンタクトは、上側頭部110と下側頭部130の間の弾性部120の区間のみに充填され(コンタクト全体の長さ方向だけでなく、コンタクトの径方向についても)、コンタクトの内部空間のみに導電性粒子が分布する。
c 引用文献5に係るラバーソケットについては、導電性粒子(21)を有する導電部(20)はスプリング部材(40)の内部空間(A)のみにとどまらず、スプリング部材の外部空間(B)にも導電性粒子(21)が分布する。
d 本願のコンタクトを用いたテストソケットは、コンタクトの内部空間のみに導電性粒子が分布するので、コンタクトの外部空間は絶縁体となり、これにより、テストソケットを複数作製したときであっても、隣り合うテストソケット間に十分な絶縁距離Lを確保しやすい利点がある。
e 一方、引用文献5に係るラバーソケットは、スプリング部材の外部空間(B)にも導電性粒子(21)が分布するので、隣り合うラバーソケット間の絶縁距離Lが確保しにくい欠点があり、特に、ファインピッチのデバイス用のソケットを製作する際に不都合が生じる。
(イ) 請求人の主張についての検討
上側頭部と下側頭部の間の弾性部の区間のみにおいて、コンタクト全体の長さ方向だけでなく、コンタクトの径方向についても、コンタクトの内部空間のみに導電性粒子が分布するようにしたことは、引用文献6技術事項に開示されている(特に引用文献6の【図4】を参照)。
そして、コンタクトの内部空間のみに導電性粒子が分布することにより、テストソケットを複数作製したときであっても、隣り合うテストソケット間に十分な絶縁距離Lを確保しやすい利点があるという効果について検討しても、当業者が予測し得た程度のものにすぎない。
したがって、請求人の主張によっても、当審の判断は左右されることはない。
エ 小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~31に係る発明は、令和3年3月31日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~31に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
理由3(進歩性)
本願発明は、下記の引用文献1及び5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:韓国公開特許第10-2016-0085457号公報
引用文献5:韓国登録特許第10-1266123号公報
3 引用文献に記載された事項
上記引用文献1には、第2の3(2)ア(ウ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
また、周知技術2は、前記第2の3(2)エ(ウ)において認定したとおりである。
4 対比・判断
(1) 本願発明は、本件補正発明から、「導電性を有する粒子が混入された弾性を有するフィラー」が「円筒状に充填され」る箇所が、「前記上側頭部と前記下側頭部との間の前記弾性部の区間のみ」であるという限定を省き、「少なくとも前記上側頭部と前記下側頭部との間の弾性部区間に円筒状に充填され、導電性を有する粒子が混入された弾性を有するフィラーを含む」としたものである。
(2) そうすると、本願発明と引用発明は、前者が「少なくとも前記上側頭部と前記下側頭部との間の弾性部区間に円筒状に充填され、導電性を有する粒子が混入された弾性を有するフィラーを含む」のに対して、後者が円筒形状の弾性部300、301にフィラーが充填されていない点で相違し、その余の点で両者は一致する。
(3) しかしながら、「検査対象に電気的に接触するコンタクト部材の上側頭部と下側頭部の間の弾性部において、導電性粒子が混入された導電性弾性部材が円筒状に充填されること」は、周知の技術であるから(周知技術2を参照)、引用発明に上記周知技術2を適用することにより、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-000141