特許異議申立
2021-700613
立体駐車装置の制御方法と、立体駐車装置の制御システム及びこれを備える立体駐車装置
- 審判番号
- 2021-700613
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-224166
- 登録番号
- 6806434
- 請求日
- 2021年07月02日
- 審決日
- 2022年09月29日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】新明和パークテック株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
- 【異議申立人】川股 くみ子
- 審判長/審判官
- 審判長 住田 秀弘
- 審判官 長井 真一
- 審判官 奈良田 新一
- 分類
- P1651.16 -YAA(E04H) / P1651.113-YAA(E04H) / P1651.121-YAA(E04H) / P1651.537-YAA(E04H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第36条、特許法第120条の5第7項、特許法第126条、特許法第120条の4第4項、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6806434号発明「立体駐車装置の制御方法と、立体駐車装置の制御システム及びこれを備える立体駐車装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6806434号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、3〕について訂正することを認める。
特許第6806434号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6806434号の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成27年11月16日に出願され、令和2年12月8日にその特許権の設定登録がされ、令和3年1月6日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和3年7月2日に特許異議申立人 川股 くみ子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てが請求項1~3に対してされたところ、その後の経緯は以下のとおりである。
令和3年10月22日付け:取消理由通知書
12月24日受付:意見書の提出及び訂正の請求
令和4年 1月 7日付け:訂正請求があった旨の通知
2月14日 :意見書の提出(申立人)
4月25日付け:取消理由通知書(決定の予告)
7月 8日受付:意見書の提出及び訂正の請求
7月14日付け:訂正請求があった旨の通知
8月22日 :意見書の提出(申立人)
なお、令和4年7月8日に訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたので、令和3年12月24日にされた訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされる。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
特許権者は、令和4年7月8日(受付)に提出した訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)により、「特許第6806434号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求め」ているところ、本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)請求項1に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御方法であって、前記パレット識別符号の各々に関連付けて暗証符号を予め設定し、前記可動式パレットの呼び出し操作において前記パレット識別符号の入力を受け、該入力されたパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、前記入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ、前記開閉ゲートを開くまでの動作を、前記暗証符号の入力を要さずに実行し、前記開閉ゲートを開いた後、前記開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を実行することを特徴とする立体駐車装置の制御方法。」と記載されているのを、
「互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御方法であって、前記パレット識別符号の各々に関連付けて暗証符号を予め設定し、前記可動式パレットの呼び出し操作において前記パレット識別符号の入力を受け、該入力されたパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、前記入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ、前記開閉ゲートを開くまでの動作を、前記暗証符号の入力を要さずに実行し、前記開閉ゲートを開いた後、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を実行することを特徴とする立体駐車装置の制御方法。」に訂正する。
イ 訂正事項2
明細書の段落【0006】に「(1)互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御方法であって、前記パレット識別符号の各々に関連付けて暗証符号を予め設定し、前記可動式パレットの呼び出し操作において前記パレット識別符号の入力を受け、該入力されたパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御方法。」と記載されているのを、
「(1)互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御方法であって、前記パレット識別符号の各々に関連付けて暗証符号を予め設定し、前記可動式パレットの呼び出し操作において前記パレット識別符号の入力を受け、該入力されたパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御方法。」に訂正する。
ウ 訂正事項3
明細書の段落【0007】に「本項に記載の立体駐車装置の制御方法は、複数の可動式パレットと開閉ゲートと操作盤とを備え、複数の可動式パレットに対して互いに異なるパレット識別符号が付与され、操作盤を介して開閉ゲートの開閉操作及び可動式パレットの呼び出し操作等が入力される、立体駐車装置を制御対象とするものである。具体的には、複数の可動式パレットに付与されたパレット識別符号の各々に関連付けて、暗証符号を予め設定する。暗証符号は、例えば羅列された数字で構成され、状況に応じてアルファベットや記号等を含んでいてもよい。設定した暗証符号の各々は、例えば、その暗証符号と関連付けされたパレット識別符号が付与されている可動式パレットの、使用権利を有する使用者や、立体駐車装置の管理者のみに対して、予め通知する。」と記載されているのを、
「本項に記載の立体駐車装置の制御方法は、複数の可動式パレットと開閉ゲートと操作盤と複数のセンサとを備え、複数の可動式パレットに対して互いに異なるパレット識別符号が付与され、操作盤を介して開閉ゲートの開閉操作及び可動式パレットの呼び出し操作等が入力される、立体駐車装置を制御対象とするものである。具体的には、複数の可動式パレットに付与されたパレット識別符号の各々に関連付けて、暗証符号を予め設定する。暗証符号は、例えば羅列された数字で構成され、状況に応じてアルファベットや記号等を含んでいてもよい。設定した暗証符号の各々は、例えば、その暗証符号と関連付けされたパレット識別符号が付与されている可動式パレットの、使用権利を有する使用者や、立体駐車装置の管理者のみに対して、予め通知する。」に訂正する。
エ 訂正事項4
明細書の段落【0009】に「(2)上記(1)項において、前記入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ、前記開閉ゲートを開くまでの動作を、前記暗証符号の入力を要さずに実行し、前記開閉ゲートを開いた後、前記開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を実行する立体駐車装置の制御方法(請求項1)。」と記載されているのを、
「(2)上記(1)項において、前記入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ、前記開閉ゲートを開くまでの動作を、前記暗証符号の入力を要さずに実行し、前記開閉ゲートを開いた後、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を実行する立体駐車装置の制御方法(請求項1)。」に訂正する。
オ 訂正事項5
明細書の段落【0010】に「本項に記載の立体駐車装置の制御方法は、まず、パレット識別符号の入力を含む呼び出し操作を受けて、入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ、開閉ゲートを開くまでの、一連の動作を実行する。すなわち、使用者が立体駐車装置に入り、車両の入出庫等の作業を行える状態にする。その後、作業を終えた使用者から開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、同じく使用者から暗証符号の入力を受け、その入力された暗証符号と、可動式パレットの呼び出し操作の際に入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定する。この際、各パレット識別符号に関連付けて予め暗証符号を設定していることで把握できる、暗証符号とパレット識別符号との間の関連付けの情報に基づいて、判定を行う。」と記載されているのを、
「本項に記載の立体駐車装置の制御方法は、まず、パレット識別符号の入力を含む呼び出し操作を受けて、入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ、開閉ゲートを開くまでの、一連の動作を実行する。すなわち、使用者が立体駐車装置に入り、車両の入出庫等の作業を行える状態にする。その後、作業を終えた使用者から、操作盤を介して、複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、同じく使用者から開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、同じく使用者から暗証符号の入力を受け、その入力された暗証符号と、可動式パレットの呼び出し操作の際に入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定する。この際、各パレット識別符号に関連付けて予め暗証符号を設定していることで把握できる、暗証符号とパレット識別符号との間の関連付けの情報に基づいて、判定を行う。」に訂正する。
(2)請求項2及び3に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に「互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御システムであって、前記操作盤に組み込まれた操作部と、前記パレット識別符号の各々に関連付けられて予め設定された暗証符号を保持するシステム制御部とを含み、該システム制御部は、前記可動式パレットの呼び出し操作において入力される前記パレット識別符号を取得し、該取得したパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が、前記操作部を介して入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、前記システム制御部は、前記取得したパレット識別符号に対応する可動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、前記開閉ゲートが開かれるまでの、立体駐車装置の動作に対して影響を与えず、前記開閉ゲートが開かれた後、前記開閉ゲートの閉操作が入力される直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記取得したパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を許可することを特徴とする立体駐車装置の制御システム。」と記載されているのを、
「互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御システムであって、前記操作盤に組み込まれた操作部と、前記パレット識別符号の各々に関連付けられて予め設定された暗証符号を保持するシステム制御部とを含み、該システム制御部は、前記可動式パレットの呼び出し操作において入力される前記パレット識別符号を取得し、該取得したパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が、前記操作部を介して入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、前記システム制御部は、前記取得したパレット識別符号に対応する可動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、前記開閉ゲートが開かれるまでの、立体駐車装置の動作に対して影響を与えず、前記開閉ゲートが開かれた後、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記開閉ゲートの閉操作が入力される直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記取得したパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を許可することを特徴とする立体駐車装置の制御システム。」に訂正する(請求項2の記載を直接的に引用する請求項3も同様に訂正する)。
イ 訂正事項2
明細書の段落【0013】に「(3)互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御システムであって、前記操作盤に組み込まれた操作部と、前記パレット識別符号の各々に関連付けられて予め設定された暗証符号を保持するシステム制御部とを含み、該システム制御部は、前記可動式パレットの呼び出し操作において入力される前記パレット識別符号を取得し、該取得したパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が、前記操作部を介して入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御システム。」と記載されているのを、
「(3)互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御システムであって、前記操作盤に組み込まれた操作部と、前記パレット識別符号の各々に関連付けられて予め設定された暗証符号を保持するシステム制御部とを含み、該システム制御部は、前記可動式パレットの呼び出し操作において入力される前記パレット識別符号を取得し、該取得したパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が、前記操作部を介して入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御システム。」に訂正する。
ウ 訂正事項3
明細書の段落【0014】に「本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、複数の可動式パレットと開閉ゲートと操作盤とを備えた立体駐車装置の制御を行うものであり、複数の可動式パレットには、互いに異なるパレット識別符号が付与されており、操作盤には、開閉ゲートの開閉操作や可動式パレットの呼び出し操作等が入力される。本制御システムは、立体駐車装置の操作盤に組み込まれた操作部と、パレット識別符号の各々に関連付けられて予め設定された暗証符号を保持するシステム制御部とを含んでいる。すなわち、システム制御部は、立体駐車装置が備える複数の可動式パレットに付与された複数のパレット識別符号と、パレット識別符号と同じ数量の複数の暗証符号と、複数のパレット識別符号と複数の暗証符号との間の関連付けの情報とを保持している。ここで、暗証符号は、例えば羅列された数字で構成されるものであり、状況に応じてアルファベットや記号等を含んでいてもよい。」と記載されているのを、
「本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、複数の可動式パレットと開閉ゲートと操作盤と複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御を行うものであり、複数の可動式パレットには、互いに異なるパレット識別符号が付与されており、操作盤には、開閉ゲートの開閉操作や可動式パレットの呼び出し操作等が入力される。本制御システムは、立体駐車装置の操作盤に組み込まれた操作部と、パレット識別符号の各々に関連付けられて予め設定された暗証符号を保持するシステム制御部とを含んでいる。すなわち、システム制御部は、立体駐車装置が備える複数の可動式パレットに付与された複数のパレット識別符号と、パレット識別符号と同じ数量の複数の暗証符号と、複数のパレット識別符号と複数の暗証符号との間の関連付けの情報とを保持している。ここで、暗証符号は、例えば羅列された数字で構成されるものであり、状況に応じてアルファベットや記号等を含んでいてもよい。」に訂正する。
エ 訂正事項4
明細書の段落【0016】に「(4)上記(3)項において、前記システム制御部は、前記取得したパレット識別符号に対応する可動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、前記開閉ゲートが開かれるまでの、立体駐車装置の動作に対して影響を与えず、前記開閉ゲートが開かれた後、前記開閉ゲートの閉操作が入力される直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記取得したパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を許可する立体駐車装置の制御システム(請求項2)。」と記載されているのを、
「(4)上記(3)項において、前記システム制御部は、前記取得したパレット識別符号に対応する可動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、前記開閉ゲートが開かれるまでの、立体駐車装置の動作に対して影響を与えず、前記開閉ゲートが開かれた後、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記開閉ゲートの閉操作が入力される直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記取得したパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を許可する立体駐車装置の制御システム(請求項2)。」に訂正する。
オ 訂正事項5
明細書の段落【0017】に「本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、操作盤を介して入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、開閉ゲートが開かれた後、換言すれば、可動式パレットを呼び出した使用者が、立体駐車装置内において車両の入出庫等の作業を行える状態になった後に、システム制御部が以下の制御を行うものである。すなわち、システム制御部は、立体駐車装置の制御盤に開閉ゲートの閉操作が入力される直前或いは直後に、操作部を介して暗証符号の入力を受け、この際に入力された暗証符号と、立体駐車装置から取得したパレット識別符号との関連付けの有無を判定する。より具体的には、システム制御部自体が保持している、パレット識別符号と暗証符号との間の関連付けの情報を参照しながら、入力された暗証符号と取得したパレット識別符号とに関連付けがあるか否かを判定する。」と記載されているのを、
「本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、操作盤を介して入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、開閉ゲートが開かれた後、換言すれば、可動式パレットを呼び出した使用者が、立体駐車装置内において車両の入出庫等の作業を行える状態になった後に、更に使用者により操作盤を介して、複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、システム制御部が以下の制御を行うものである。すなわち、システム制御部は、立体駐車装置の制御盤に開閉ゲートの閉操作が入力される直前或いは直後に、操作部を介して暗証符号の入力を受け、この際に入力された暗証符号と、立体駐車装置から取得したパレット識別符号との関連付けの有無を判定する。より具体的には、システム制御部自体が保持している、パレット識別符号と暗証符号との間の関連付けの情報を参照しながら、入力された暗証符号と取得したパレット識別符号とに関連付けがあるか否かを判定する。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
以下、各訂正事項について、訂正の適否を検討する。なお、本件においては、訂正前のすべての請求項について特許異議申立ての対象とされているので、すべての請求項に係る訂正事項について特許法120条の5第9項で読み替えて準用する特許法126条7項の独立特許要件は課されない。
(1)請求項1に係る訂正
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前に記載の「立体駐車装置」について、「車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサ」を備えるものに特定するとともに、訂正前に記載の「前記開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に」「受ける」「前記暗証符号の入力」が、「前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後」に行われることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項1は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正前の請求項1の発明特定事項のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、当該訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)新規事項の追加の有無
訂正事項1は、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲と図面とを併せて「本件明細書等」という。)の段落【0027】に「立体駐車装置30は、車両を入出庫する高さにある各可動式パレット32の周辺の物体を検知するための、複数のセンサ48を含んでいる。」との記載があり、段落【0037】に「S110(無人確認実施):・・・例えば、操作盤36の表示部に表示されている、複数のセンサ48による物体検知の有無の情報に基づき、使用者により立体駐車装置30内の無人確認を行う。S120(無人確認済入力操作):上記S110において無人確認を行い、立体駐車装置30内に人が取り残されていないことを確認したら、操作盤36に対して、立体駐車装置30内の無人確認を行ったことを示す入力操作を行う。」、【0038】に「S130(暗証符号入力):立体駐車装置30の使用者により、操作盤36に組み込まれた操作部16に対して、上記S20において入力したパレット番号に関連付けされた暗証符号を入力する。」、段落【0043】に「システム制御部18は、立体駐車装置30の制御盤36に開閉ゲート34の閉操作が入力される直前或いは直後に、操作部16を介して暗証符号の入力を受け、この際に入力された暗証符号と、立体駐車装置30から取得したパレット識別符号との関連付けの有無を判定する。」との記載があることから、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(エ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2~5について
(ア)訂正の目的、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
訂正事項2~5は、それぞれ、明細書の【課題を解決するための手段】を記載する段落【0006】、【0007】、【0009】、【0010】において、訂正事項1に対応した内容を追記したものであって、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
訂正事項2~5は、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2~5、訂正事項1と同様の理由により、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(イ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項2~5は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(2)請求項2及び3に係る訂正
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、上記(1)で検討した訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項1は、上記(1)で検討した訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、訂正前の請求項1の発明特定事項のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)新規事項の追加の有無
訂正事項1は、上記(1)アで検討した訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)ア(ウ)で検討したの同様の根拠により、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(エ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2~5について
(ア)訂正の目的、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
訂正事項2~5は、明細書の【課題を解決するための手段】を記載する段落【0013】、【0014】、【0016】、【0017】において、訂正事項1に対応した内容を追記したものであって、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項2~5は、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2~5は、訂正事項1と同様の理由により、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(イ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項2~5は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(3)一群の請求項について
訂正前の請求項3は、請求項2の記載を直接引用するものであり、請求項2の記載を訂正する訂正事項に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項2及び3に対応する訂正後の請求項2及び3は、特許法120条の4第4項に規定する一群の請求項である。
そうすると、請求項2及び3についてする上記「1(2)」の訂正事項1~5は、一群の請求項2及び3についてされている。
3 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、3〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2で示したとおり、本件訂正は認容されるので、本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に合わせて「本件訂正発明1」などといい、まとめて「本件訂正発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。(当審注:便宜のために請求項1に分説「A1」~「F1」、請求項2に分説「A2」~「F2」を付した。関連する構成には同じアルファベット記号を用いた。)
「【請求項1】
A1 互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと
、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼
び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動
式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体
駐車装置の制御方法であって、
B1 前記パレット識別符号の各々に関連付けて暗証符号を予め設定し、
C1 前記可動式パレットの呼び出し操作において前記パレット識別符号の
入力を受け、
D1 該入力されたパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が入力され
るまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、
E1 前記入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両
を入出庫可能な位置へ移動させ、前記開閉ゲートを開くまでの動作を、
前記暗証符号の入力を要さずに実行し、前記開閉ゲートを開いた後、前
記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基
づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行
われた後で、前記開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、前記
暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記入力され
たパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合
に限り前記開閉ゲートの閉動作を実行することを特徴とする
F1 立体駐車装置の制御方法。
【請求項2】
A2 互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと
、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼
び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動
式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体
駐車装置の制御システムであって、
B2 前記操作盤に組み込まれた操作部と、前記パレット識別符号の各々に
関連付けられて予め設定された暗証符号を保持するシステム制御部とを
含み、
C2 該システム制御部は、前記可動式パレットの呼び出し操作において入
力される前記パレット識別符号を取得し、
D2 該取得したパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が、前記操作
部を介して入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止
し、
E2 前記システム制御部は、前記取得したパレット識別符号に対応する可
動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、前記開閉ゲート
が開かれるまでの、立体駐車装置の動作に対して影響を与えず、前記開
閉ゲートが開かれた後、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる
物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われ
たことを示す入力操作が行われた後で、前記開閉ゲートの閉操作が入力
される直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力
された暗証符号と前記取得したパレット識別符号との関連付けの有無を
判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を許可する
ことを特徴とする
F2 立体駐車装置の制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の立体駐車装置の制御システムを備えた立体駐車装置であって、
装置を制御する装置制御部を含み、前記システム制御部が前記装置制御部に組み込まれていることを特徴とする立体駐車装置。」
第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由(決定の予告)の概要
当審が令和4年4月25日付けで、令和3年12月24日(受付)にされた訂正の請求による訂正後の請求項1~3について特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(拡大先願)本件特許に係る出願の請求項1~3に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた特願2015-116426号(特開2017-2538号)(甲第1号証。以下「甲1」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定の規定に違反して特許されたものである。
2 甲第1号証について
(1)甲1の記載
甲1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様。)。
ア「【0030】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を各々に駐車させる装置である。
本発明の実施形態にかかる駐車装置の制御方法は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を入出庫空間扉を設けられる入出庫空間に入出庫させて各々に駐車させる方法である。」
イ「【0031】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、駐車機構100と制御機構200とで構成される。
駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構である。
駐車機構100は、車両をパレットに乗せて駐車空間と入出庫空間扉を設けられる入出庫空間との間で移動できてもよい。
入出庫空間120は、入庫時にドライバーが車両を入れて、乗り捨てる空間である。
入出庫空間120は、出庫時にドライバーが車両に乗り込む空間である。運転手は、車両に沿って、入出庫空間120から外へでる。入出庫空間扉130は、入出庫空間120と外部空間との境をしきる開閉可能な扉である。
通常操作では、入出庫空間扉130が閉じているときにのみ、駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間120との間で移動できる様になっている。
【0032】
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器である。
制御機構200の操作盤は、入出庫空間120の近傍の入出庫空間扉130で仕切られる外部に設けられる。
・・・
制御機構200は、入出庫処理S100と車両搬送処理S200とを実施する。
入出庫処理S100は、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理である。
車両搬送処理S200は、車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる処理である。
以下では、操作盤を操作するドライバーを操作者と呼称する。
以下では、説明の便宜上、駐車機構が車両をパレットに乗せて取り扱う形式であるとして、説明する。
以下では、制御機構200の実施する入出庫処理S100を説明する。」
ウ「【0035】
開始処理S10は、開始指令を受ける処理である。
開始処理S10は、操作者が安全確認釦が押すのを待ってもよい。
操作者が、操作盤に設けられた安全確認釦を押す。
開始処理S10を完了すると、次ぎに第一認証処理S20を実施する。
開始処理S10を省略し、第一認証処理S20の開始をもって開始指令としてもよい。
開始処理S10において、操作者は入庫要求か出庫要求の何方の処理かを選択しても良い。
【0036】
第一認証処理S20は、操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第一認証処理S20が、第一認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第一コードを記録してもよい。
第一認証処理S20が、獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを記録してもよい。
・・・
【0037】
第一認証処理S20は、操作者認証S21と操作者適任?S22と操作者情報記録S23とで構成されてもよい。
例えば、操作者認証S21は、カード読み取り機器でICカード、磁気カードのコードを読み取り、入力する。
例えば、操作者認証S21は、操作者がキー入力するコードを入力する。
・・・
【0038】
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理である。
呼出処理S30は、スタート釦を押されるのをまち、入出庫空間の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にしてもよい。
操作者は、操作盤に設けられるスタート釦を押す。
入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させる。
・・・
出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、又は入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させる。
・・・
呼出処理S30を完了すると、次ぎに、扉開処理S40を実施する。
【0039】
扉開処理S40は、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる処理である。
・・・
扉開処理S40は、操作者から扉開指令を待ち、扉開指令があったときに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
例えば、操作者は、操作盤に設けられる扉開釦を押す。
扉開処理S40を完了すると、次ぎにドライバー入出庫待ちS50を実施する。
・・・
【0041】
扉閉指令受取処理S60は、操作者のする入出庫空間扉130の状態を開状態から閉状態に変化させる旨の指令である扉閉指令を受け付ける処理である。
例えば、扉閉指令受取処理S60は、操作者が操作盤の扉閉釦を押すのを待つ。
扉閉指令受取処理S60を完了すると、次の第二認証処理S70を実施する。
【0042】
第二認証処理S70は、操作者の行った第二の操作である第二認証操作により操作者に対応するコードである第二コードを獲得して獲得した第二コードに基づいて第二認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
・・・
【0043】
第二認証処理S70は、操作者認証S71で構成されてもよい。
第二認証処理S70は、操作者認証S71と操作者情報記録S73とで構成されてもよい。
・・・
例えば、操作者認証S71は、操作者がキー入力するコードを入力する。
・・・
第二認証処理S70を完了すると、次ぎに操作者判定処理S80を実施する。
【0044】
操作者判定処理S80は、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する処理である。
操作者判定処理S80が、操作者一致?S81で構成されてもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
・・・
【0046】
第一紐付コードは、第一コードに紐付けされ第一コードとは異なる紐付コードである。
第一紐付コードが第一コードに紐付けされる様に予め設定されるコードであってもよい。
第一紐付コードが操作者に紐付けされる様に予め設定されるコードであってもよい。
・・・
【0047】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない。」
エ 図5には、以下の図示がある。
「
[図:0001391996000001.jpg]
」
【図5】の図示から、駐車装置が「立体駐車装置」であることが看取できる。
(2)甲1発明
上記(1)によれば、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。(当審注:便宜のために関連する段落番号を付した。)
【甲1発明】
複数の操作者に各々に対応する複数の車両を各々に駐車させる駐車装置の制御方法であって(【0030】)、
駐車装置は、立体駐車装置であって、駐車機構100と制御機構200とで構成され、駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構であり(【0031】)、
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器であり、入出庫処理S100と車両搬送処理S200とを実施し、入出庫処理S100は、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理であり、
車両搬送処理S200は、車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる処理であり、
制御機構200の実施する入出庫処理S100(【0032】)は、
第一認証処理S20は、操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する処理であり、第一認証処理S20が、獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを記録し(【0036】)、操作者認証S21は、操作者がキー入力するコードを入力し(【0037】)、第一紐付コードが第一コードに紐付けされる様に予め設定されるコードであり(【0046】)、
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理であり、スタート釦を押されるのをまち、入出庫可能状態にし、操作者は、操作盤に設けられるスタート釦を押すと、入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させ、出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレットを入出庫空間120に移動させ、呼出処理S30を完了すると、次ぎに、扉開処理S40を実施し(【0038】)、
扉開処理S40は、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる処理であり、操作者から扉開指令があったときに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させ、操作者は、操作盤に設けられる扉開釦を押し、扉開処理S40を完了すると、次ぎにドライバー入出庫待ちS50を実施し(【0039】)、
扉閉指令受取処理S60は、操作者のする入出庫空間扉130の状態を開状態から閉状態に変化させる旨の指令である扉閉指令を受け付ける処理であり、操作者が操作盤の扉閉釦を押すのを待ち、扉閉指令受取処理S60を完了すると、次の第二認証処理S70を実施し(【0041】)、
第二認証処理S70は、操作者の行った第二の操作である第二認証操作により操作者に対応するコードである第二コードを獲得して獲得した第二コードに基づいて第二認証操作をおこなった操作者を認証する処理であり(【0042】)、
第二認証処理S70は、操作者認証S71で構成され、操作者がキー入力するコードを入力し、第二認証処理S70を完了すると、次ぎに操作者判定処理S80を実施し(【0043】)、
操作者判定処理S80は、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する処理であり、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定し(【0044】)、
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない(【0047】)、
駐車装置の制御方法。」
3 当審の判断
(1)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)構成A1について
甲1発明が、本件訂正発明1の『互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレット』に相当する構成を有しているか検討する。
甲1発明は、「操作者認証S21」において、「操作者がキー入力するコードを入力し」(【0037】)、「呼出処理S30」において、「出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレットを入出庫空間120に移動」させるから(【0038】)、甲1発明の「パレット」は、『複数』存在し、『可動式』である。そして、甲1発明において「操作者がキー入力する」「入力コード」は、操作者が「出庫」させる車両の「パレット」を『識別』する機能を有するから、『パレット識別符号』といえる。そうである以上、甲1発明において「操作者がキー入力する」「入力コード」がパレット毎に『互いに異なる』ことは当然である。
以上から、甲1発明において、「操作者がキー入力する」「入力コードに応じ」て「出庫」時に「入出庫空間120に移動させ」られる「パレット」は、本件訂正発明1の『互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレット』に相当するといえる。
甲1発明の「入出庫空間扉130」は、本件訂正発明1の『開閉ゲート』に相当する。
甲1発明において、「操作者」は「操作盤」に設けられる「扉開釦を押」すことで「扉開」処理を完了させ(【0039】)、「操作盤」の「扉閉釦を押す」ことで「扉閉」指令受取処理を完了させ(【0041】)、「操作盤」に設けられる「スタート釦を押す」ことで「パレットを入出庫空間に移動させ、呼出処理」を完了させるから(【0038】)、甲1発明の「扉開釦」、「扉閉釦」「スタート釦」が設けられる「操作盤」は、本件訂正発明1の『該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤』に相当する。
甲1発明は、「立体駐車装置」(【図5】)における、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を各々に駐車させる駐車装置の制御方法であるから(【0030】)、本件訂正発明1の『立体駐車装置の制御方法』に相当する。
したがって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成A1のうち、『互いに異なるパレット識別符号が付与された複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御方法であって、』に相当する構成を有している。
(イ)構成B1について
甲1発明において「操作者がキー入力する」「入力コード」(『パレット識別符号』)は、「第一認証処理S20」において「操作者の行った」「第一認証操作」により獲得した「操作者に対応する」「第一コード」(【0036】)に対応し、「第一紐付コード」は、「第一コード」に紐付けされる様に「予め設定」され(【0046】)、「第一操作者と第二操作者とが一致する」か否かの判定に用いられる(【0044】)から、甲1発明における「第一紐付コード」は、第一操作者が『暗証』すべき『符号』といえる。
以上から、甲1発明において「操作者がキー入力する」「入力コード」に紐付けされる様に「予め設定」される「第一紐付コード」は、本件訂正発明1の『前記パレット識別符号の各々に関連付けて』『予め設定』される『暗証符号』に相当する。
したがって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成B1(『前記パレット識別符号の各々に関連付けて暗証符号を予め設定し、』)に相当する構成を有している。
(ウ)構成C1について
甲1発明における「呼出処理S30」において、「操作者」が「操作盤に設けられるスタート釦を押」すと、出庫要求であるとき、「入力コード」に応じたパレットを入出庫空間120に移動させる(【0038】)から、「操作者」が「出庫」時に「パレットを入出庫空間120に移動させる」ために「操作盤に設けられるスタート釦を押」す操作は、本件訂正発明1における『前記可動式パレットの呼び出し操作』に相当する。
そして、「入出庫空間120に移動させる」「パレット」は、「入力コード」に応じたパレットであるから、「操作盤に設けられるスタート釦を押」す操作において、「入力コード」の「入力」が立体駐車装置により「受け」られることは明らかである。
以上から、甲1発明における「呼出処理S30」において、「操作者」が「操作盤に設けられるスタート釦を押」すと、出庫要求であるとき、「入力コード」に応じたパレットを入出庫空間120に移動させることは、本件訂正発明1において、『前記可動式パレットの呼び出し操作において前記パレット識別符号の入力を受け』ることに相当する。
したがって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成C1(『前記可動式パレットの呼び出し操作において前記パレット識別符号の入力を受け、』)に相当する構成を有している。
(エ)構成D1について
上記(ウ)より、甲1発明の「呼出処理S30」における「操作盤に設けられるスタート釦を押」す操作において、「入力コード」の「入力」が立体駐車装置により「受け」られることは明らかであり、甲1発明の「入力」が立体駐車装置により「受け」られた「入力コード」(『パレット識別符号』)に紐付けされた「第一紐付コード」(『暗証符号』)は、本件訂正発明1における『該入力されたパレット識別符号に関連付けされた暗証符号』に相当する。
そして、甲1発明においては、第二認証処理S70において、操作者がキー入力するコードを入力し(【0043】)、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する操作者判定処理S80において、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定し(【0044】)、一致すると判定しないと「扉閉処理S90」を実施しない(【0047】)ことから、「第一紐付コード」(『暗証符号』)に対応する第二コードが、第二認証処理S70において操作者がキー入力するまでは、「扉閉処理S90」を実施しないといえる。
以上から、甲1発明において、「入力コード」に紐付けされた「第一紐付コード」(『暗証符号』)に対応する第二コードを、第二認証処理S70において、操作者がキー入力するまでは、「扉閉処理S90」を実施しないことは、本件訂正発明1における『該入力されたパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止』することに相当する。
したがって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成D1(『該入力されたパレット識別符号に関連付けされた暗証符号が入力されるまで、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、』)に相当する構成を有している。
(オ)構成E1について
甲1発明において、出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレットを入出庫空間120に移動させる「呼出処理S30」は、操作者が「操作盤に設けられるスタート釦を押す」こと(本件訂正発明1の『前記入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ』ることに相当)によりなされ(【0038】)、「扉開処理S40」は、操作者が「操作盤に設けられる扉開釦を押」すことで「完了」(本件訂正発明1の『前記開閉ゲートを開くまでの動作』に相当)し(【0039】)、「呼出処理S30」、「扉開処理S40」において、操作者は「第一紐付コード」(『暗証符号』)に対応する第二コードを操作盤に設けられたキー入力手段を用いて入力することを要しないから、甲1発明は、本件訂正発明1の『前記入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ、前記開閉ゲートを開くまでの動作を、前記暗証符号の入力を要さずに実行し、』に相当する構成を有している。
甲1発明における、「扉開処理S40」が「完了」した後(【0039】)というのは、本件訂正発明1の『前記開閉ゲートを開いた後』に相当する。
甲1発明において、「操作者が操作盤の扉閉釦を押す」のを待ち(本件訂正発明1の『前記開閉ゲートの閉操作を受ける直後』に相当)、次の第二認証処理S70において(【0041】)、操作者がキー入力するコードを入力(本件訂正発明1の『前記暗証符号の入力を受ける』に相当)し(【0043】)、操作者判定処理S80において、「第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定」(本件訂正発明1の『該入力された暗証符号と前記入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定』に相当)し(【0044】)、操作者判定処理S80が「第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し」、操作者判定処理S80が「第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない」(【0047】)(本件訂正発明1の『関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を実行する』に相当)から、甲1発明は、本件訂正発明1の『前記開閉ゲートを開いた後、前記開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を実行することを特徴とする』に相当する構成を有している。
したがって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成E1のうち、『前記入力されたパレット識別符号に対応する可動式パレットを、車両を入出庫可能な位置へ移動させ、前記開閉ゲートを開くまでの動作を、前記暗証符号の入力を要さずに実行し、前記開閉ゲートを開いた後、前記開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記入力されたパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を実行する』に相当する構成を有している。
(カ)構成F1について
上記(ア)で検討したところにより、甲1発明は、本件訂正発明1の構成F1(『立体駐車装置の制御方法』)に相当する構成を有している。
上記(ア)~(カ)の対比によれば、本件訂正発明1と甲1発明は、次の相違点を有していることを除いて一致している。
(相違点1)
本件訂正発明1では、「車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサ」を備えており、「前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後」に「暗証符号の入力」を「受ける」のに対し、
甲1発明では、「車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサ」を備えておらず、「前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後」に「暗証符号の入力」を「受ける」ものではない点。
イ 判断
上記相違点1が実質的なものであるか否かについて検討する。
申立人が令和4年8月22日付け意見書に添付して提出した甲8(通達 立駐工発第59号 機械式駐車場技術基準2013年版の一部変更新旧比較表)、甲9(機械式駐車装置の安全機能に関する認証基準)、甲10(機械式駐車場技術基準2015年版)、甲11(特開平5-59839号公報)、甲12(特開平8-93255号公報)には、以下の記載がされていると認められる。
<センサの設置に関して>
・機器と機器及び機器と外囲いの間に人を検知するための複数のセンサを設けること(甲9、甲10)
・車両を入出庫する高さにある可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサが備えられていること(甲11、甲12)
・無人確認入力器への入力開始から出入口扉が閉鎖するまでの間に、人を検知するセンサが作動した場合は、それまでの入力はすべて無効としなければならないこと(甲9、甲10)
<安全確認ボタンに関して>
・操作盤に設けられた安全確認ボタンの入力がない限り、出入口の閉鎖が出来ないこと(甲8)
・乗降領域に人のいないことを確認したことを利用者が入力する無人確認入力器が操作盤に設けられていること(甲9、甲10)
・乗降領域に人がいないことが操作盤に設けられた無人確認手段によって入力された後でなければ、操作盤に設けられた起動許可装置は入力を受け付けず、起動許可装置からの入力がない限り、出入口扉の閉動作及び乗降領域を構成する装置は起動してはならないこと(甲9、甲10)
・操作盤を介して、複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた車両入退室の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後に、ドア閉ボタンが押されること(甲12)
<操作者認証登録に関して>
・入出庫操作の前後の取扱者認証登録が一致しなければ出入口の閉鎖ができないこと(甲8、甲9、甲10)
以上の記載によれば、相違点1に係る、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサを備える構成、操作盤を介して複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいて立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作を行う構成、当該入力操作が行われた後に出入口扉の閉動作を可能にする構成は、それぞれ周知の構成といえるとしても、これら周知の構成と、先に入力されたパレット識別符号と関連付けられた暗証符号を入力することとを関連付けることまでを示すものではないから、相違点1に係る構成は、周知技術であるとはいえない。
そして、本件訂正発明1は、相違点1に係る構成を採用することで、複数のセンサにより可動式パレットの周辺に物体が検知されないこと(無人であること)だけでなく、その無人であることが、立体駐車装置の使用者による操作盤を介した入力操作により確認されなければ、先に入力されたパレット識別符号と関連付けられた暗証符号の入力を行ったとしても、開閉ゲートの閉動作がされないという、安全性の観点からみて新たな効果を奏するものであるから、相違点1は、単なる課題解決のための具体化における設計上の微差ということはできず、実質的な相違点である。
以上の判断は、申立人が令和4年2月14日付け意見書に添付して提出した甲第3号証ないし甲第7号証を参酌しても変わるものではない。
ウ 小括
したがって、相違点1は実質的なものであり、本件訂正発明1は、甲1発明と同一とはいえない。
(2)本件訂正発明2について
本件訂正発明2は「立体駐車装置の制御システム」の発明であり、本件訂正発明1の「立体駐車装置の制御方法」とは、発明のカテゴリが異なるのみでその内容は実質的に同じである。
そうすると、本件訂正発明2と甲1発明は、本件訂正発明1と甲1発明との対比と同様の対比により、本件訂正発明1と甲1発明との相違点1と同様の点で相違するところ、相違点1が実質的な相違点であることは、本件訂正発明1において検討したとおりである。
したがって、本件訂正発明2は、甲1発明と同一とはいえない。
(3)本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明2の構成をすべて含んでいるから、本件訂正発明3と甲1発明とは、少なくとも本件訂正発明1と甲1発明との相違点1と同様の点で相違するところ、相違点1が実質的な相違点であることは、本件訂正発明1において検討したとおりである。
したがって、本件訂正発明3は、甲1発明と同一とはいえない。
第5 取消理由通知(決定の予告)で通知しなかった特許異議申立理由について
1 特許法29条1項3号又は29条2項違反について
申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項1-3に係る発明は、甲第2号証(特開2006-118216号公報。以下「甲2」という。)に記載された発明(以下「甲2発明」という。)と同一である、仮に相違するとしても、その相違点は当業者が容易に想到し得る事項であるから、特許法29条1項3号又は29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである旨申し立てている。
そこで検討するに、甲2の記載によれば、甲2発明は、次のとおりのものと認められる。
(甲2発明)
「駐車装置1は、車両を搭載するパレットを12体備え、利用者の操作に従って、当該利用者の利用に係るパレットを地上面Gの位置へ移動させ、ゲート21を開いて、当該パレットから車両を出庫させることが可能であり(【0012】)、
正面の支柱5に配設されている操作盤23に含まれるカード読取部25は、ICカード91が近づくことにより、ICカード91を検出し、ICカード91を検出した旨の電気信号を統括制御部37(後述する)へ送信し(【0024】)、
駐車装置1には、各パレットを駆動するためのパレット駆動モータ、ゲート21を駆動するゲート駆動モータ、及び操作盤23の動作等を制御するための制御盤35が配設されており(【0025】)、
ICカード91は通常、駐車装置1の利用者に保持されており、データ記憶部93には所望のパレットに関する情報としてパレット番号が記憶されている他、利用者IDも記憶されており、パレット番号とは、当該ICカード91を保持する利用者が何れのパレットを利用するか(例えば、1番~12番)を示すデータであり、駐車装置1の各パレットに採番されたパレット番号に対応して記憶されており(【0029】)、
まず、車両を入出庫しようとする利用者は、駐車装置1のカード読取部25にICカード91を接触させると、カード読取部25でICカード91が検出されて(S204)、利用者ID及びパレット番号が読み込まれ、諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされ、利用者IDが正しいデータであるか否か、利用者に駐車装置1の操作の権限があるか否か、パレット番号が駐車装置1に存在するパレットか否かが確認され(【0033】)、
正当なカードであると判断された場合には、パレットの移動が開始され、ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレットを入出庫位置へ移動させ、ゲート21が完全に開いたことが検知された後、駐車装置1は操作ロック状態とされ(【0034】)、
操作ロック状態の解除の後、利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させ、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認されると、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される(【0039】)、
駐車装置1。」
本件訂正発明と甲2発明が同一であるといえるためには、甲2発明における、駐車装置1の各パレットに採番された「パレット番号」と「利用者ID」が、それぞれ、本件訂正発明における「パレット識別符号」と「暗証符号」に相当するといえなくてはならない。
しかしながら、本件訂正発明における「パレット識別符号」、「暗証符号」についてみると、「パレット識別符号」は、「可動式パレットの呼び出し操作」において入力を受けるものである一方(C1、C2)、「暗証符号」は、「開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後」に入力を受けるものであり(E1、E2)、入力を受けるタイミングが異なるものであるところ、甲2発明においては、利用者ID及びパレット番号は、ともにICカード91に記憶されており、両者はともに読み込まれて、諸元データ記憶部41に記憶されたデータとの比較が行われて正当なカードであるか否かの判断がされるものであるから、利用者IDとパレット番号が入力を受けるタイミングが異なるものということはできず、甲2発明における「パレット番号」と「利用者ID」が、それぞれ、本件訂正発明における「パレット識別符号」と「暗証符号」に相当するということはできない。
そして、甲2発明における「利用者ID」と「パレット番号」がともに読み込まれて、諸元データ記憶部41に記憶されたデータとの比較が行われ、正当なカードであるか否かの判断がされるためのものであることに鑑みると、前者を「可動式パレットの呼び出し操作」において入力を受けるものとし(C1、C2)、後者を「開閉ゲートの閉操作を受ける直前或いは直後」に入力を受けるものとする(E1、E2)ことの動機付けはない。
したがって、本件訂正発明が、甲2発明と同一又は甲2発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとして、特許法29条1項3号又は29条2項の規定に違反してされたものであるとの申立てには理由がない。
2 特許法36条6項2号違反について
申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項2及びこれを引用する請求項3の記載について、請求項2に記載の「前記システム制御部は、前記取得したパレット識別符号に対応する可動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、前記開閉ゲートが開かれるまでの、立体駐車装置の動作に対して影響を与えず、」の意味が不明確であるから、特許法36条6項2号の規定に違反してされたものであるから、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである旨申し立てている。
しかしながら、本件訂正後の請求項2(E2)には、「前記システム制御部は、前記取得したパレット識別符号に対応する可動式パレットが、車両を入出庫可能な位置へ移動され、前記開閉ゲートが開かれるまでの、立体駐車装置の動作に対して影響を与えず、」「前記開閉ゲートが開かれた後、前記操作盤を介して・・・立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記開閉ゲートの閉操作が入力される直前或いは直後に、前記暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記取得したパレット識別符号との関連付けの有無を判定し、関連付けがある場合に限り前記開閉ゲートの閉動作を許可する」と、「開閉ゲートが開かれるまで」と「開閉ゲートが開かれた後」とに分けて記載され、後者においては、「開閉ゲートの閉動作」に至るまでに「立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作」、「暗証符号の入力を受けると共に、該入力された暗証符号と前記取得したパレット識別符号との関連付けの有無」の「判定」を経なければならないことを特定していることとの対比でみれば、「開閉ゲートが開かれるまで」において、「システム制御部」が「立体駐車装置の動作に対して影響を与え」ないとは、「システム制御部」が「対応する可動式パレット」が「車両を入出庫可能な位置へ移動され」る工程と「開閉ゲートが開かれる」工程に関与しないこと(自動的に進行すること)を意味すると自然に解することができる。
したがって、本件請求項2及びこれを引用する請求項3の記載について、請求項2に記載の意味が不明確であるとして、特許法36条6項2号の規定に違反してされたものであるとの申立てには理由がない。
第6 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、訂正後の請求項1~3に係る特許を取り消すことができない。
また、他に請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-700613