特許異議申立
2021-701164
立体駐車装置の制御システムとこれを備える立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法
- 審判番号
- 2021-701164
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-194448
- 登録番号
- 6884188
- 請求日
- 2021年12月09日
- 審決日
- 2022年10月11日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】新明和パークテック株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
- 【異議申立人】川股 くみ子
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 真一
- 審判官 奈良田 新一
- 審判官 有家 秀郎
- 分類
- P1651.161-YAA(E04H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条、特許法第120条の5第4項、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6884188号発明「立体駐車装置の制御システムとこれを備える立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6884188号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。
特許第6884188号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6884188号の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成27年11月16日を出願日とする特許出願(特願2015-224165号)の一部を、令和1年10月25日に新たな特許出願として出願されたものであって、令和3年5月13日にその特許権の設定登録がされ、同年6月9日に特許掲載公報が発行された。その後、同年12月9日に特許異議申立人 川股 くみ子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てが請求項1~3に対してされたところ、その後の経緯は以下のとおりである。
令和4年 2月17日付け:取消理由通知書
4月22日受付:意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)
6月20日付け:訂正請求があった旨の通知
7月22日 :意見書の提出(申立人)
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
特許権者は、令和4年4月22日(受付)に提出した訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)により、「特許第6884188号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求め」ているところ、本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)請求項1及び2に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御システムであって、制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段と、システム制御部とを含み、前記システム制御部は、前記キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止するものであり、前記操作盤に組み込まれた表示部及び操作部を備え、前記制御キーが、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであり、前記システム制御部は、前記論理的キーが発行されてから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記表示部へ出力させて表示させ、前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示させることなく、前記操作部を介して、表示させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止することを特徴とする立体駐車装置の制御システム。」と記載されているのを、「複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御システムであって、制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段と、システム制御部とを含み、前記システム制御部は、前記キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止するものであり、前記操作盤に組み込まれた表示部及び操作部を備え、前記制御キーが、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであり、前記システム制御部は、前記論理的キーが発行されてから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記表示部へ出力させて表示させ、前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示させることなく、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記操作部を介して、表示させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止することを特徴とする立体駐車装置の制御システム。」に訂正する(請求項1の記載を直接的に引用する請求項2も同様に訂正する)。
イ 訂正事項2
明細書の段落【0006】に「(1)複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御システムであって、制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段と、システム制御部とを含み、前記システム制御部は、前記キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止するものである立体駐車装置の制御システム。」と記載されているのを、「(1)複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御システムであって、制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段と、システム制御部とを含み、前記システム制御部は、前記キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止するものである立体駐車装置の制御システム。」に訂正する。
ウ 訂正事項3
明細書の段落【0016】に「(6)上記(1)項において、前記操作盤に組み込まれた表示部及び操作部を備え、前記制御キーが、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであり、前記システム制御部は、前記論理的キーが発行されてから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記表示部へ出力させて表示させ、前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示させることなく、前記操作部を介して、表示させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御システム(請求項1)。」と記載されているのを、「(6)上記(1)項において、前記操作盤に組み込まれた表示部及び操作部を備え、前記制御キーが、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであり、前記システム制御部は、前記論理的キーが発行されてから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記表示部へ出力させて表示させ、前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示させることなく、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記操作部を介して、表示させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御システム(請求項1)。」に訂正する。
エ 訂正事項4
明細書の段落【0017】に「本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、立体駐車装置の操作盤に組み込まれた表示部及び操作部を備えており、制御キーが、可動式パレットの呼び出し操作の都度、キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであるものである。すなわち、論理的キーは、キー識別手段に対して論理的に入出力されるものであり、例えば数字等を含む暗証符号として発行される。そして、システム制御部は、論理的キーが発行されてから開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、論理的キーをキー識別手段から表示部へ出力させて表示させる。すなわち、所望の可動式パレットの呼び出し操作を行った使用者が、開閉ゲートが開かれたことで操作盤から離れる前に、操作盤に組み込まれた表示部へ論理的キーを表示することで、使用者に対して論理的キーの記憶やメモを促すものである。その後、システム制御部は、キー識別手段から表示部への論理的キーの出力によって、論理的キーが論理的に出力されたものと判断して、開閉ゲートの閉動作を抑止する。そして、操作盤に組み込まれた操作部を介して、表示部へ表示した論理的キーと一致する正しい論理的キーの論理的入力が行われるまで、開閉ゲートの閉動作を抑止するものである。すなわち、可動式パレットの呼び出し操作を行った使用者のみが知り得る、正しい論理的キーの入力が行われるまで、開閉ゲートの閉動作が抑止される。このため、論理的キーを把握している使用者が立体駐車装置内に残っている間に、正しい論理的キーを知り得ない第三者の操作によって、開閉ゲートが閉じられることはない。これにより、第三者による開閉ゲートの閉操作が、より確実に防止されるものとなる。」と記載されているのを、「本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、立体駐車装置の操作盤に組み込まれた表示部及び操作部を備えており、制御キーが、可動式パレットの呼び出し操作の都度、キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであるものである。すなわち、論理的キーは、キー識別手段に対して論理的に入出力されるものであり、例えば数字等を含む暗証符号として発行される。そして、システム制御部は、論理的キーが発行されてから開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、論理的キーをキー識別手段から表示部へ出力させて表示させる。すなわち、所望の可動式パレットの呼び出し操作を行った使用者が、開閉ゲートが開かれたことで操作盤から離れる前に、操作盤に組み込まれた表示部へ論理的キーを表示することで、使用者に対して論理的キーの記憶やメモを促すものである。その後、システム制御部は、キー識別手段から表示部への論理的キーの出力によって、論理的キーが論理的に出力されたものと判断して、開閉ゲートの閉動作を抑止する。そして、操作盤を介して、複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、操作盤に組み込まれた操作部を介して、表示部へ表示した論理的キーと一致する正しい論理的キーの論理的入力が行われるまで、開閉ゲートの閉動作を抑止するものである。すなわち、可動式パレットの呼び出し操作を行った使用者のみが知り得る、正しい論理的キーの入力が行われるまで、開閉ゲートの閉動作が抑止される。このため、論理的キーを把握している使用者が立体駐車装置内に残っている間に、正しい論理的キーを知り得ない第三者の操作によって、開閉ゲートが閉じられることはない。これにより、第三者による開閉ゲートの閉操作が、より確実に防止されるものとなる。」に訂正する。
(2)請求項3に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3に「複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御方法であって、制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段を設置し、該キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、前記制御キーとして、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号としての論理的キーを発行し、該論理的キーを発行してから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記操作盤が有する表示部へ出力して表示し、前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示することなく、前記操作盤が有する操作部を介して、表示した論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止することを特徴とする立体駐車装置の制御方法。」と記載されているのを、「複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御方法であって、制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段を設置し、該キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、前記制御キーとして、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号としての論理的キーを発行し、該論理的キーを発行してから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記操作盤が有する表示部へ出力して表示し、前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示することなく、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記操作盤が有する操作部を介して、表示した論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止することを特徴とする立体駐車装置の制御方法。」に訂正する。
イ 訂正事項2
明細書の段落【0021】に「(9)複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御方法であって、制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段を設置し、該キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御方法。」と記載されているのを、「(9)複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御方法であって、制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段を設置し、該キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御方法。」に訂正する。
ウ 訂正事項3
明細書の段落【0024】に「(13)上記(9)項において、前記制御キーとして、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号としての論理的キーを発行し、該論理的キーを発行してから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記操作盤が有する表示部へ出力して表示し、前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示することなく、前記操作盤が有する操作部を介して、表示した論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御方法(請求項3)。(14)上記(9)項において、前記制御キーとして、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記操作盤が有する操作部を介して、使用者により前記キー識別手段に対して暗証符号としての論理的キーを設定し、前記操作盤が有する操作部を介して、使用者により設定した論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御方法。」と記載されているのを、「(13)上記(9)項において、前記制御キーとして、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号としての論理的キーを発行し、該論理的キーを発行してから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記操作盤が有する表示部へ出力して表示し、前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示することなく、前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記操作盤が有する操作部を介して、表示した論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御方法(請求項3)。(14)上記(9)項において、前記制御キーとして、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記操作盤が有する操作部を介して、使用者により前記キー識別手段に対して暗証符号としての論理的キーを設定し、前記操作盤が有する操作部を介して、使用者により設定した論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する立体駐車装置の制御方法。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
以下、各訂正事項について、訂正の適否を検討する。なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているので、全ての訂正事項について特許法120条の5第9項で読み替えて準用する特許法126条7項の独立特許要件は課されない。
(1)請求項1及び2に係る訂正
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、「車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサと」という記載により、適用先の立体駐車装置の構成要素を、より具体的に特定し、限定を付加するとともに、「前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で」という記載により、論理的キーの論理的入力が行われるタイミングを、より具体的に特定し、限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項1は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正前の請求項1に係る発明のカテゴリーや、対象、目的を変更するものではないから、当該訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)新規事項の追加の有無
願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲と図面とを併せて「本件明細書等」という。)の段落【0031】に記載された「立体駐車装置30は、車両を入出庫する高さにある各可動式パレット32の周辺の物体を検知するための、複数のセンサ48を含んでいる」、段落【0046】に記載された「複数のセンサ48による物体検知の有無の情報に基づき、使用者により立体駐車装置30内の無人確認を行う。S160(無人確認済入力操作):上記S150において無人確認を行い、立体駐車装置30内に人が取り残されていないことを確認したら、操作盤36に対して、立体駐車装置30内の無人確認を行ったことを示す入力操作を行う」、段落【0066】に記載された「S390(「装置内侵入中」表示)~S440(無人確認済入力操作):図4のS100~S130、S150、S160と同様の処理」、及び図面の【図6】に記載されたフロー図のS430~S450から、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(エ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2~4について
(ア)訂正の目的、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
訂正事項2~4は、本件明細書の【課題を解決するための手段】を記載する段落【0006】、【0016】、【0017】において、訂正事項1に対応した内容を追記したものであって、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
訂正事項2~4は、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2~4は、訂正事項1と同様の理由により、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(イ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項2~4は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(2)請求項3に係る訂正
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、上記(1)で検討した訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか
訂正事項1は、上記(1)で検討した訂正事項1と同様の訂正を行うものであり、訂正前の請求項3に係る発明のカテゴリーや、対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)新規事項の追加の有無
訂正事項1は、上記(1)で検討した訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)ア(ウ)と同様の根拠により、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(エ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2及び3について
(ア)訂正の目的、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
訂正事項2及び3は、本件明細書の【課題を解決するための手段】を記載する段落【0021】、【0024】において、訂正事項1に対応した内容を追記したものであって、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
訂正事項2及び3は、明細書の記載を特許請求の範囲と整合させるためになされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2及び3は、訂正事項1と同様の理由により、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(イ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項2及び3は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(3)一群の請求項について
訂正前の請求項2は、請求項1の記載を直接引用するものであり、請求項1の記載を訂正する訂正事項に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1及び2に対応する訂正後の請求項1及び2は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そうすると、請求項1及び2についてする上記「1(1)」の訂正事項1ないし4は、一群の請求項1及び2についてされている。
3 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2で示したとおり、本件訂正は認容されるので、本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に合わせて「本件訂正発明1」などといい、まとめて「本件訂正発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。(当審注:便宜のために請求項1に分説「1A」~「1I」、請求項2に分説「2A」、請求項3に分説「3A」~「3H」を付した。)
「【請求項1】
1A 複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御システムであって、
1B 制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段と、システム制御部とを含み、
1C 前記システム制御部は、前記キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止するものであり、
1D 前記操作盤に組み込まれた表示部及び操作部を備え、
1E 前記制御キーが、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであり、
1F 前記システム制御部は、前記論理的キーが発行されてから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記表示部へ出力させて表示させ、
1G 前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示させることなく、
1H 前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記操作部を介して、表示させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する
1I ことを特徴とする立体駐車装置の制御システム。
【請求項2】
2A 請求項1記載の立体駐車装置の制御システムを備えた立体駐車装置であって、装置を制御する装置制御部を含み、前記システム制御部と前記キー識別手段とが、前記装置制御部に組み込まれていることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項3】
3A 複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御方法であって、
3B 制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段を設置し、
3C 該キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止し、
3D 前記制御キーとして、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号としての論理的キーを発行し、
3E 該論理的キーを発行してから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記操作盤が有する表示部へ出力して表示し、
3F 前記開閉ゲートが開いてからは、前記論理的キーを表示することなく、
3G 前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記操作盤が有する操作部を介して、表示した論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する
3H ことを特徴とする立体駐車装置の制御方法。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審が令和4年2月17日付けで本件訂正前の請求項1~3について特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(拡大先願)本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた特願2015-116426号(特開2017-2538号)(甲第1号証。以下「甲1」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定の規定に違反してされたものである。
2 甲第1号証について
(1)甲1の記載
甲1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様。)。
ア「【0006】
より安全を確保するために、通常操作では入出庫作業をした操作者のみが入出庫空間扉を閉めることがでるのが望ましい。さらに、入出庫空間扉が開いたままの状態では、他の者が次の入出庫作業をするときに十分な安全確認作業をおこなった後で入出庫作業をするのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、入出庫作業をおこなった者が入出庫空間扉を閉じる様になった駐車装置と駐車装置の制御方法を提供する。」
イ「【0030】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を各々に駐車させる装置である。
本発明の実施形態にかかる駐車装置の制御方法は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を入出庫空間扉を設けられる入出庫空間に入出庫させて各々に駐車させる方法である。
【0031】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、駐車機構100と制御機構200とで構成される。
駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構である。
駐車機構100は、車両をパレットに乗せて駐車空間と入出庫空間扉を設けられる入出庫空間との間で移動できてもよい。
入出庫空間120は、入庫時にドライバーが車両を入れて、乗り捨てる空間である。
入出庫空間120は、出庫時にドライバーが車両に乗り込む空間である。運転手は、車両に沿って、入出庫空間120から外へでる。
入出庫空間扉130は、入出庫空間120と外部空間との境をしきる開閉可能な扉である。
通常操作では、入出庫空間扉130が閉じているときにのみ、 駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間120との間で移動できる様になっている。
【0032】
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器である。
制御機構200の操作盤は、入出庫空間120の近傍の入出庫空間扉130で仕切られる外部に設けられる。
ドライバーが制御機構200の操作盤を操作するときに、ドライバーは開いた入出庫空間扉130から入出庫空間120の内部を見張ることができる。
制御機構200は、入出庫処理S100と車両搬送処理S200とを実施する。
入出庫処理S100は、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理である。
車両搬送処理S200は、車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる処理である。
以下では、操作盤を操作するドライバーを操作者と呼称する。
以下では、説明の便宜上、駐車機構が車両をパレットに乗せて取り扱う形式であるとして、説明する。
以下では、制御機構200の実施する入出庫処理S100を説明する。
【0033】
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できる。
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できてもよい。
制御機構200は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できてもよい。
【0034】
第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する。
第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施してもよい。
開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施してもよい。
図1、図2は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する様子を示す。
図3、図4は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する様子を示す。
【0035】
開始処理S10は、開始指令を受ける処理である。
開始処理S10は、操作者が安全確認釦が押すのを待ってもよい。
操作者が、操作盤に設けられた安全確認釦を押す。
開始処理S10を完了すると、次ぎに第一認証処理S20を実施する。
開始処理S10を省略し、第一認証処理S20の開始をもって開始指令としてもよい。
開始処理S10において、操作者は入庫要求か出庫要求の何方の処理かを選択しても良い。
【0036】
第一認証処理S20は、操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第一認証処理S20が、第一認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第一コードを記録してもよい。
第一認証処理S20が、獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを記録してももよい。
第一認証処理S20が、第一紐付コードを生成し、第一紐付コードを獲得した第一コードに紐付けしてを記録してもよい。
第一認証処理S20が、第一紐付コードを自動生成し、第一紐付コードを獲得した第一コードに紐付けしてを記録してもよい。
【0037】
第一認証処理S20は、操作者認証S21と操作者適任?S22と操作者情報記録S23とで構成されてもよい。
・・・
【0038】
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理である。
呼出処理S30は、スタート釦を押されるのをまち、入出庫空間の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にしてもよい。
操作者は、操作盤に設けられるスタート釦を押す。
入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させる。
パレットに普通車用パレットと大型車用パレットの形式があるとき、入力コードに応じて、普通車用パレットと大型車用パレットのどちらか一方の形式のパレットを入出庫空間120に移動させる。
出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させる。
ここで、駐車機構がパレットを用いない形式である場合、入力コードに応じた車両を入出庫空間120に移動させる。
呼出処理S30を完了すると、次ぎに、扉開処理S40を実施する。
【0039】
扉開処理S40は、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる処理である。
扉開処理S40は、呼出処理S30を完了すると、操作者の追加の操作を待たずに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
扉開処理S40は、操作者から扉開指令を待ち、扉開指令があったときに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
例えば、操作者は、操作盤に設けられる扉開釦を押す。
扉開処理S40を完了すると、次ぎにドライバー入出庫待ちS50を実施する。
【0040】
ドライバー入出庫待ちS50は、操作者であるドライバーが入出庫作業をするのを待つ。
入庫要求であれば、ドライバーは、車両を入出庫空間120に入れて、車両を降り、入出庫空間120から出る。
出庫要求であれば、ドライバーは、入出庫空間120に入り、入出庫空間120にある車両に乗り込み、車両を入出庫空間120から出す。
必要があれば、制御機器は、車両の誘導等を音声等により行う。
場合によっては、制御機器は、ドライバー入出庫待ちS50において特に何の処理もせず、次の扉閉指令受取処理S60を実施する。
【0041】
扉閉指令受取処理S60は、操作者のする入出庫空間扉130の状態を開状態から閉状態に変化させる旨の指令である扉閉指令を受け付ける処理である。
例えば、扉閉指令受取処理S60は、操作者が操作盤の扉閉釦を押すのを待つ。
扉閉指令受取処理S60を完了すると、次の第二認証処理S70を実施する。
【0042】
第二認証処理S70は、操作者の行った第二の操作である第二認証操作により操作者に対応するコードである第二コードを獲得して獲得した第二コードに基づいて第二認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第二認証処理S70が、第二認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第二コードを記録してもよい。
【0043】
第二認証処理S70は、操作者認証S71で構成されてもよい。
第二認証処理S70は、操作者認証S71と操作者情報記録S73とで構成されてもよい。
例えば、操作者認証S71は、カード読み取り機器でICカード、磁気カードのコードを読み取り、入力する。
例えば、操作者認証S71は、操作者がキー入力するコードを入力する。
操作者情報記録S73は、入力したコードを第二コードとして記録する。
第二認証処理S70を完了すると、次ぎに操作者判定処理S80を実施する。
【0044】
操作者判定処理S80は、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する処理である。
操作者判定処理S80が、操作者一致?S81で構成されてもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが部分一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが所定の部分で一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
・・・
【0047】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない。」
ウ「【0068】
次に、本発明の第三の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法を、詳述する。
以下では、前述で説明した点と同一の点は説明を省略し、異なる点のみを、説明する。
【0069】
第一紐付コードが第一認証処理を実施する際に第一認証処理が第一操作者に一時的に与える文字コードである。
第二コードが第二認証処理を実施する際に第二操作者により入力される文字コードである。
【0070】
操作者認証S21は、操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる認証操作をまち、その認証操作によりカード読み込機器により認証用カードを読み込んでコードを獲得し、獲得したコードである第一コードに基づいて操作者を認証する。
操作者認証S21は、操作者を認証すると、操作者に一時的な文字コードを与え、一時的な文字コードを第一紐付コードとして第一コードに紐付けして記憶する。
【0071】
操作者認証S71は、操作者が文字コードをキー入力機器に入力する認証操作をまち、その認証操作によりキー入力機器により入力されて文字コードを獲得し、獲得した文字コードである第二コードに基づいて操作者を認証する。
【0072】
操作者一致?S81は、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに、第一操作者と第二操作者が一致すると判断する。
【0073】
以下に、発明の第三の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法の作用を説明する。
以下では、ドライバー甲が出庫処理をした後で、ドライバー乙が入庫処理をする場合を例に、説明する。
ドライバー甲が車両を運転して入出庫空間120の前に移動する。
このとき、入出庫空間扉130の状態は閉状態である。
ドライバー甲が車からおりて、操作盤の前に立つ。
ドライバー甲が安全を確認し安全確認釦を押す。
操作盤が、ドライバーにカードをカード読み込機器に読み込ませることを求める。
ドライバー甲は、自分のカードをカード読取機器に読み込ませる
操作盤は、ドライバー甲が契約者であることを確認し、一時的な文字コードを与え、ドライバー甲に次ぎの操作を促す。
ドライバー甲が、スタート釦を押す。
ドライバー甲が待っていると、ドライバー甲の車両が駐車空間から入出庫空間に移動され、車両が入出庫空間に止まると、入出庫空間扉130が開く。
ドライバー甲が、入出庫空間120に入り、車両に乗り込み、車両を入出庫空間120から出す。
ドライバー甲が、車から降り、操作盤の前に行く。
ドライバー甲が、扉閉釦を押す。
操作盤が、ドライバーに文字コードの入力を求める。
ドライバー甲が自分に一時的に与えられた文字コードをキー入力機器に入力する。
入出庫空間扉が閉状態になる。
ドライバー甲が、車両に乗り込み、去る。
ドライバー乙が、次ぎの入庫を行う。
【0074】
万が一、入出庫空間扉の状態を開状態のままにして、ドライバー甲が立ち去ると以下の通りになる。
ドライバー乙が、入出庫空間扉130が開状態にあるのを発見する。
ドライバー乙が、扉閉釦を押す。
操作盤が、ドライバー乙に文字コードの入力を求める。
ドライバー乙が、キー入力機器に入力する文字コードを知らない。
入出庫空間扉130が閉状態にならない。
所定の時間を経過して、警告信号がでる。
管理人によって、安全を確認した後で、復旧処理を行う。
ドライバー乙が、次ぎの入庫を行う。」
エ 図5には、以下の図示がある。
「【図5】
[図:0001393077000001.jpg]
」
【図5】の図示から、駐車装置が「立体駐車装置」であることが看取できる。
(2)甲1発明
上記(1)によれば、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。(当審注:便宜のために関連する段落番号を付した。)
【甲1発明】
複数の操作者に各々に対応する複数の車両を各々に駐車させる駐車装置であって(【0030】)、
駐車装置は、立体駐車装置であって、駐車機構100と制御機構200とで構成され、駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構であり(【0031】)、
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器であり、入出庫処理S100と車両搬送処理S200とを実施し、
入出庫処理S100は、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理であり、
車両搬送処理S200は、車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる処理であり、
制御機構200の実施する入出庫処理S100(【0032】)は、
開始処理S10は、開始指令を受ける処理であり、操作者が、操作盤に設けられた安全確認釦を押し(【0035】)、
第一認証処理S20は、操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する処理であり(【0036】)、第一認証処理S20は、操作者認証S21と操作者適任?S22と操作者情報記録S23とで構成され(【0037】)、第一紐付コードが第一認証処理を実施する際に第一認証処理が第一操作者に一時的に与える文字コードであり(【0069】)、操作者認証S21は、操作者を認証すると、操作者に一時的な文字コードを与え、一時的な文字コードを第一紐付コードとして第一コードに紐付けして記憶し(【0070】)、
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理であり、スタート釦を押されるのをまち、入出庫可能状態にし、操作者は、操作盤に設けられるスタート釦を押すと、入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させ、出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレットを入出庫空間120に移動させ(【0038】)、
扉開処理S40は、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる処理であり、操作者から扉開指令を待ち、扉開指令があったときに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させ、操作者は、操作盤に設けられる扉開釦を押し(【0039】)、
扉閉指令受取処理S60は、操作者のする入出庫空間扉130の状態を開状態から閉状態に変化させる旨の指令である扉閉指令を受け付ける処理であり、操作者が操作盤の扉閉釦を押すのを待ち(【0041】)、
第二認証処理S70は、操作者の行った第二の操作である第二認証操作により操作者に対応するコードである第二コードを獲得して獲得した第二コードに基づいて第二認証操作をおこなった操作者を認証する処理であり(【0042】)、第二認証処理S70は、操作者認証S71で構成され(【0043】)、第二コードが第二認証処理を実施する際に第二操作者により入力される文字コードであり(【0069】)、操作者認証S71は、操作者が文字コードをキー入力機器に入力する認証操作をまち、その認証操作によりキー入力機器により入力されて文字コードを獲得し、獲得した文字コードである第二コードに基づいて操作者を認証し(【0071】)、
操作者判定処理S80は、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する処理であり、操作者判定処理S80が、操作者一致?S81で構成され(【0044】)、操作者一致?S81は、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定し(【0044】)、
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない(【0047】)、
駐車装置。
3 当審の判断
(1)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)構成1Aについて
甲1発明は、「呼出処理S30」において、「入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させ、出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレットを入出庫空間120に移動させ」るから(【0038】)、甲1発明の「パレット」は、『複数』存在し、『可動式』である。そうすると、甲1発明において、「入庫」及び「出庫」時に「入出庫空間120に移動させ」られる「パレット」は、本件訂正発明1の『複数の可動式パレット』に相当する。
甲1発明の「入出庫空間扉130」は、本件訂正発明1の『開閉ゲート』に相当する。
甲1発明において、「操作者」は「操作盤」に設けられる「扉開釦を押」すことで「扉開」処理を完了させ(【0039】)、「操作盤」の「扉閉釦を押す」ことで「扉閉」指令受取処理を完了させ(【0041】)、「操作盤」に設けられる「スタート釦を押す」ことで「パレットを入出庫空間に移動させ、呼出処理」を完了させるから(【0038】)、甲1発明の「扉開釦」、「扉閉釦」、「スタート釦」が設けられる「操作盤」は、本件訂正発明1の『該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤』に相当する。
甲1発明における「立体駐車装置」(【図5】)は、「駐車機構100と制御機構200とで構成され、駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構であり」(【0031】)、「制御機構200は、駐車機構100を制御する機器であ」ること(【0032】)を踏まえると、甲1発明における「駐車機構100と制御機構200」は、本件訂正発明1における『立体駐車装置の制御システム』に相当する構成を有している。
したがって、本件訂正発明1と甲1発明とは構成1A(『複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤と、車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備えた立体駐車装置の制御システムであって、』)に関して、『複数の可動式パレットと、開閉ゲートと、該開閉ゲートの開閉操作及び前記可動式パレットの呼び出し操作を行うための操作盤とを備えた立体駐車装置の制御システムであって、』の点で共通する。
(イ)構成1Bについて
甲1発明は、第二認証処理S70において(【0041】)、操作者認証S71は、操作者が「文字コード」をキー入力機器に入力する認証操作をまち、その認証操作によりキー入力機器により入力されて「文字コード」を獲得し、「獲得した文字コードである第二コード」に基づいて操作者を認証するものであり(【0071】)、続く操作者判定処理S80において操作者一致?S81は、「第一紐付コード」と「第二コード」とが「一致」するか判断するものである(【0044】)から、「第一紐付コード」に「一致」する「第二コード」の『入力の有無を識別する』ものといえる。
そうすると、甲1発明における、「第一紐付コード」と入力された「第二コード」とが「一致」するか判断する第二認証処理S70及び操作者判定処理S80を含む入出庫処理S100を実施する「制御機構200」(【0032】)は、本件訂正発明1における『制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段』に相当する構成を有している。
甲1発明の「制御機構200」は、「入出庫処理S100」を実施する(【0032】)機能を有するところ、甲1発明の「制御機構200」において「入出庫処理S100」を実施する部分は、本件訂正発明1における『システム制御部』に相当するといえる。
したがって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成1B(『制御キーの入力の有無を識別するキー識別手段と、システム制御部とを含み、』)に相当する構成を有している。
(ウ)構成1Cについて
甲1発明は、操作者判定処理S80の操作者一致?S81において、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに、第一操作者と第二操作者が一致すると判断し(【0044】)、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない(【0047】)ことから、「制御機構200」(『システム制御部』、『キー識別手段』)は、「第一紐付コード」(『制御キー』)に「一致」する「第二コード」が入力されるまでは、「扉閉処理S90」を実施しないといえる。
そうすると、甲1発明において、「制御機構200」が、「第一紐付コード」に「一致」する「第二コード」が入力されるまでは、「扉閉処理S90」を実施しないことは、本件訂正発明1における『前記システム制御部は、前記キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止する』ことに相当する。
したがって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成1C(『前記システム制御部は、前記キー識別手段による前記制御キーの入力の有無に応じて、少なくとも前記開閉ゲートの閉動作を抑止するものであり、』)に相当する構成を有している。
(エ)構成1Dについて
甲1発明の「扉開釦」、「扉閉釦」、「スタート釦」は、「操作盤」に設けられるものである。また、甲1発明において、「操作者」が文字コードの入力に使用する「キー入力機器」(【0071】)も「操作盤」に設けられていることは明らかである。
そうすると、甲1発明における「扉開釦」、「扉閉釦」、「スタート釦」及び「キー入力機器」は、本件訂正発明1の『前記操作盤に組み込まれた操作部』に相当する。
したがって、本件訂正発明1と甲1発明とは構成1D(『前記操作盤に組み込まれた表示部及び操作部を備え、』)に関して、『前記操作盤に組み込まれた操作部を備え、』の点で共通する。
(オ)構成1Eについて
甲1発明において、第一認証処理S20の操作者認証S21は、操作者を認証すると、操作者に「一時的な文字コード」を与え、「一時的な文字コード」を「第一紐付コード」として第一コードに紐付けして記憶し(【0070】)、また、「第一紐付コード」に「一致」する「第二コード」が入力されることが「第一操作者と第二操作者が一致する」と判断される条件となるものであるから(【0044】)、「第一紐付コード」(『制御キー』)は第一操作者が『暗証』すべき『符号』といえ、さらに「文字コード」であるから『論理的キー』といえる。
また、甲1発明において、「第一紐付コード」は、第一認証処理S20を実施する際に第一認証処理S20が第一操作者に一時的に与える文字コードであるから(【0069】)、第一認証処理S20を実施する「制御機構200」(『キー識別手段』)が『発行』するものであり、第一認証処理S20を実施する「際に」「一時的に」与えられるものであるから、第一認証処理S20及びスタート釦を押してパレットを移動させる呼出処理S30(【0038】)を含む一連の処理の実施の『都度』、当該一連の処理に係る操作を行う第一操作者に対して「一時的に」与えられるものと解される。
そうすると、甲1発明において、「第一紐付コード」が、第一認証処理S20及びスタート釦を押してパレットを移動させる呼出処理S30を含む一連の処理を行う第一操作者に対して、「制御機構200」が与える「一時的な文字コード」であることは、本件訂正発明1の『前記制御キーが、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであ』ることに相当する。
したがって、甲1発明は、本件訂正発明1の構成1E(『前記制御キーが、前記可動式パレットの呼び出し操作の都度、前記キー識別手段により暗証符号として発行される論理的キーであり、』)に相当する構成を有している。
(カ)構成1Fについて
甲1発明は、第一認証処理S20の操作者認証S21は、第一操作者を認証すると、第一操作者に「第一紐付コード」(『論理的キー』)となる一時的な文字コードを与える(【0070】)ものであるから、当該「第一紐付コード」が、第一認証処理S20を実施する「制御機構200」(『システム制御部』、『キー識別手段』)(【0032】)により、操作者認証S21から扉開処理S40までの間における少なくとも一部期間において、第一操作者に対して出力されることは、入出庫空間扉130が開くと第一操作者が操作盤の前から離れ入出庫空間120に移動してしまう(【0073】)ことも考慮すれば、自明である。
したがって、本件訂正発明1と甲1発明(「制御機構200」は、操作者認証S21から扉開処理S40までの間における少なくとも一部期間において、「第一紐付コード」を第一操作者に与える)とは、構成1F(『前記システム制御部は、前記論理的キーが発行されてから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から前記表示部へ出力させて表示させ、』)に関して、『前記システム制御部は、前記論理的キーが発行されてから前記開閉ゲートが開くまでの間における、少なくとも一部期間において、前記論理的キーを前記キー識別手段から出力させ、』の点で共通する。
(キ)構成1Hについて
甲1発明は、上記(ウ)で述べたとおり、操作者判定処理S80の操作者一致?S81において、与えられた第一紐付コードと入力する第二コードとが一致するときに、第一操作者と第二操作者が一致すると判断し(【0044】)、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない(【0047】)ものである。また、第二コードは「キー入力機器」(『操作部』)により入力されるものである(【0071】)。
したがって、本件訂正発明1と甲1発明(「キー入力機器」により、与えられた「第一紐付コード」と一致する「第二コード」が入力されるまでは、「扉閉処理S90」を実施しない)とは、構成1H(『前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記操作部を介して、表示させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する』)に関して、『前記操作部を介して、出力させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する』の点で共通する。
(ク)構成1Iについて
上記(ア)で述べたところにより、甲1発明は、本件訂正発明1の構成1I(『立体駐車装置の制御システム』)に相当する構成を有している。
(ケ)以上を総合すると、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
(相違点1)本件訂正発明1においては、『操作盤に組み込まれた表示部を備え』(構成1D)、『論理的キーを表示部へ表示させ』(構成1F、1H)、『開閉ゲートが開いてからは、論理的キーを表示させること』が『な』い(構成1G)のに対し、
甲1発明においては、「表示部」の存在は特定されておらず、したがって第一紐付コードの出力態様が「表示部への表示」であるかは特定されておらず、また、入出庫空間扉130が開いてから第一紐付コードを「表示させることがない」か特定されていない点。
(相違点2)本件訂正発明1においては、『車両を入出庫する高さにある各可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサとを備え』(構成1A)るものであり、『前記操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で、前記操作部を介して、表示させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われるまで、前記開閉ゲートの閉動作を抑止する』(構成1H)のに対し、
甲1発明においては、「センサ」の存在は特定されておらず、したがって「複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認が行われ」ることは特定されておらず、また、「操作盤を介して」「立体駐車装置内の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後で」、「第一紐付コード」と一致する「第二コード」が入力されるまで「扉閉処理S90」を実施しないことが特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑み、上記相違点2について、実質的な差異といえるかについて検討する。
相違点2に係る構成は、「複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた、立体駐車装置内の無人確認」を行うことを前提に、「操作盤を介して、前記複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた無人確認が行われたことを示す入力操作が行われ」、引き続いて「操作部を介して、表示させた論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力が行われ」るまでは「開閉ゲートの閉動作を抑止する」というものである。
ここで、申立人が令和4年7月22日に提出した意見書に添付して提出した甲4(通達 立駐工発第59号 機械式駐車場技術基準2013年版の一部変更新旧比較表)、甲5(機械式駐車装置の安全機能に関する認証基準)、甲6(機械式駐車場技術基準2015年版)、甲7(特開平5-59839号公報)、甲8(特開平8-93255号公報)には、以下の記載がされていると認められる。
<センサの設置に関して>
・機器と機器及び機器と外囲いの間に人を検知するための複数のセンサを設けること(甲5、甲6)
・車両を入出庫する高さにある可動式パレットの周辺の物体を検知するための複数のセンサが備えられていること(甲7、甲8)
・無人確認入力器への入力開始から出入口扉が閉鎖するまでの間に、人を検知するセンサが作動した場合は、それまでの入力はすべて無効としなければならないこと(甲5、甲6)
<安全確認ボタンに関して>
・操作盤に設けられた安全確認ボタンの入力がない限り、出入口の閉鎖が出来ないこと(甲4)
・乗降領域に人のいないことを確認したことを利用者が入力する無人確認入力器が操作盤に設けられていること(甲5、甲6)
・乗降領域に人がいないことが操作盤に設けられた無人確認手段によって入力された後でなければ、操作盤に設けられた起動許可装置は入力を受け付けず、起動許可装置からの入力がない限り、出入口扉の閉動作及び乗降領域を構成する装置は起動してはならないこと(甲5、甲6)
・操作盤を介して、複数のセンサによる物体検知の有無の情報に基づいた車両入退室の無人確認が行われたことを示す入力操作が行われた後に、ドア閉ボタンが押されること(甲8)
<操作者認証登録に関して>
・入出庫操作の前後の取扱者認証登録が一致しなければ出入口の閉鎖ができないこと(甲4、甲5、甲6)
甲4~6によれば、機械式駐車場の乗降領域において人を検知する装置を設けることや、利用者が入力する無人確認入力器を設けることは、本件特許の出願時点において周知技術であったといえるが、機械式駐車場への車の入出庫時における開始時の開扉処理から終了時の閉扉処理までの具体的な制御プロセスや処理の先後について示すものではなく、相違点2に係る構成は示されていない。また、甲7及び甲8、並びに申立人が特許異議申立書に添付して提出した甲2(特許第5480421号公報)及び甲3(特開2002-174048号公報)にも、相違点2に係る構成は示されていない。
したがって、申立人が提示した各証拠及び機械式駐車場における技術常識を考慮しても、相違点2に係る構成が、本件特許出願時において周知技術であったと認めることができない。
そして、本件訂正発明1は、相違点2に係る構成を採用することで、複数のセンサにより可動式パレットの周辺に物体が検知されていないこと(無人であること)だけでなく、その無人であることが立体駐車装置の使用者による操作盤を介した入力操作により確認されなければ、立体駐車装置の使用者が操作盤に組み込まれた操作部を介して操作盤に組み込まれた表示部に表示された論理的キーと一致する論理的キーの論理的入力を行ったとしても開閉ゲートの閉動作がされないという、安全性の観点からみて新たな効果を奏するものであるから、相違点2は単なる課題解決のための具体化における設計上の微差ということもできない。
以上のことから、相違点2は実質的な相違点である。
ウ 申立人の主張について
申立人は、令和4年7月22日に提出した意見書(第13頁2~13行)において、甲4~6には、「無人確認の入力操作」と「認証情報の入力操作」の順序については明示的に規定されていないが、甲4~6には、その両者が行われなければ、出入口扉を閉鎖できないことが明示的に記載されていることから、規定に準拠して機械式駐車装置を設計しようとしたときには、必然的に「無人確認の入力操作の後に認証情報の入力操作を行うか」或いは「認証情報の入力操作の後に無人確認の入力操作を行うか」といった2つの選択肢が存在する結果となり、そうすると、甲4~6には、「無人確認の入力操作が行われた後に、認証情報の入力を行う」という技術的事項と「認証情報の入力操作の後に、無人確認の入力操作を行う」という技術的事項の2つの技術的事項が記載されていると合理的に理解できる、と主張する。
しかしながら、上記イで述べたとおり、甲4~6は、相違点2に係る処理の具体的な制御プロセスやその先後について開示するものではなく、課題解決のための具体化における設計上の微差でもないから、申立人の主張を採用することができない。
エ 小括
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明と実質的に同一の発明であるとはいえない。
(2)本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1の「立体駐車装置の制御システム」を備えた「立体駐車装置」であるから、本件訂正発明1と同様の理由により、甲1発明と実質的に同一の発明であるとはいえない。
(3)本件訂正発明3について
本件訂正発明3は「立体駐車装置の制御方法」の発明であり、本件訂正発明1の「立体駐車装置の制御システム」とは、発明のカテゴリーが異なるのみでその内容は実質的に同じである。
そうすると、本件訂正発明3と甲1発明は、本件訂正発明1と甲1発明との対比と同様の対比により、本件訂正発明1と甲1発明との相違点2と同様の点で相違するところ、相違点2が実質的な相違点であることは、本件訂正発明1において検討したとおりである。
したがって、本件訂正発明3は、甲1発明と同一とはいえない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、訂正後の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701164