商標取消審判
2021-300866
アチーブ
- 審判番号
- 2021-300866
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1981-022459
- 登録番号
- 1733879
- 請求日
- 2021年11月04日
- 審決日
- 2022年09月28日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】合同会社 SAS
- 【被請求人】ミマスクリーンケア 株式会社
- 【被請求人代理人】須田 元也
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 大山 健
- 審判官 鈴木 雅也
- 分類
- T132 .1 -Y (Y03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第1733879号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第1733879号商標(以下「本件商標」という。)は、「アチーブ」の片仮名を横書きしてなり(別掲1)、昭和56年3月24日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年12月20日に設定登録され、平成7年5月30日及び同16年12月28日にそれぞれ商標権の存続期間の更新登録がされ、その後、指定商品については、同17年1月19日に、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,薫料」及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、同26年12月24日に第3類についてのみ商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、商標登録の取消審判(取消2021-300867号)により、その指定商品中の第3類「化粧品」について取り消すべき旨の審決がされ、令和4年5月12日にその確定審決の登録がされたものである。
なお、本件審判請求の登録日は、令和3年11月22日である。
また、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年(2018年)11月22日ないし令和3年(2021年)11月21日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第3類「せっけん類」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 本件商標の使用事実の要点
本件商標の通常使用権者である株式会社三越伊勢丹(以下「三越伊勢丹社」という。)は、要証期間に日本国内において本件審判請求に係る指定商品と同一の商品「洗濯用洗剤」について本件商標を使用している。
2 本件商標の使用事実
(1)使用に係る商品及び商標
本件商標が付された商品「洗濯用洗剤」は、通常使用権者である三越伊勢丹社が販売しており、乙第1号証ないし乙第6号証は、本件商標を付した商品「洗濯用洗剤」の詳細を証する包装容器の写真である。
本件商標を付して販売される「洗濯用洗剤」は、液体タイプと粉末タイプとがあり、各商品ともに、本件商標「アチーブ」の文字列が顕著に示されており(乙1、乙3、乙5)、商品が「洗濯用洗剤」であること及び販売者が本件商標の通常使用権者である三越伊勢丹社であることが示されている(乙2、乙4、乙6)。
(2)本件商標の使用権者と商標権者の関係
本件商標は、上述のとおり、通常使用権者である三越伊勢丹社が使用するものであるが、以下、通常使用権者と商標権者との関係について詳述する。
商標権者であるミマスクリーンケア株式会社(以下「ミマスクリーンケア社」という。)は、洗剤等を製造する法人であるところ、本件商標「アチーブ」を付した商品である「洗濯用洗剤」を製造し、販売者である三越伊勢丹社に提供している。このような取引関係を証するため、三越伊勢丹社がミマスクリーンケア社に対し、本件商標「アチーブ」を付した「洗濯用洗剤」の製造を依頼した発注書(乙7~乙12)を提出する。なお、本件商標を付した洗濯用洗剤は現在まで長年にわたり製造販売されているが、要証期間に該当する発注日付及び納品期間に係る発注書を数部選択して提出する。
証拠として提出する発注書は、企業活動上容易に開示することができない納入先名称や商品価格などの記載は非開示とするが、使用期間を証する記載や本件商標が付された商品に関する発注である旨を証する記載(なお、商品名欄に記載された「ニューアチーブS」は粉末タイプ商品についての発注書上の表示である。)は開示しているため、証拠能力は存するものと確信する。
本件商標を付した商品「洗濯用洗剤」の製造者であるミマスクリーンケア社は、自己の製造に係る商品の標章として、本件商標の使用を三越伊勢丹社に許諾している。
ミマスクリーンケア社と三越伊勢丹社とは、長きにわたる取引関係があり、例えば、平成7年10月1日より「売買基本契約」を締結し、毎年更新し現在も継続している。
信頼関係が形成された製造会社と販売会社との間には、個別かつ明示的な契約書を締結することなく、黙示的に相互の知的財産権を利用することは日常的に合意することであり、本件のように、製造者(ミマスクリーンケア社)が自己の所有する登録商標について、当該製造に係る商品の販売者(三越伊勢丹社)に対しその使用を許諾することは、信頼関係の継続や商品の安定的な供給などの観点から、企業活動上通常なされることである。
したがって、三越伊勢丹社は、商標権者であるミマスクリーンケア社から、本件商標の使用を黙示に許諾された通常使用権者として、商標法第50条における商標の使用権者である。
3 まとめ
以上より、本件商標は、商標法第50条第1項の規定する取消事由に該当しない。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次のことが認められる。
(1)洗濯用洗剤の容器の写真(乙1、乙2)
乙第1号証は、上部に計量キャップが一体となった蓋を有する胴体部分が略楕円形状の容器の写真画像であり、当該写真画像には、略楕円形状の胴体部分の中央に大きく、別掲2のとおり、「アチーブ」の文字が表示され、その文字の上下に「Isetan Original」、「エレガントフローラルの香り」、「洗濯用液体洗剤」、「Laundry liquid」、「550g」の記載及び「ISETAN」のロゴマーク(「I」の文字はややデザインされている。)の表示がある。
乙第2号証は、乙第1号証の容器と同一形状の容器の写真画像であり、当該写真画像には、略楕円形状の胴体部分の上部から順に「品名 洗濯用合成洗剤」「用途 綿、麻、合成繊維用」「液性 弱アルカリ性」「正味量 550g」「成分 界面活性剤・・・」と記載された表、洗濯前の確認事項等、さらに洗濯槽の大きさ(8.0kg、6.0kg、4.2kg、2.2kg)に対応するそれぞれの洗濯物量、水量、使用量の目安が記載された表、使用上の注意等が表記され、最下部に販売元として「株式会社 三越伊勢丹」の記載がある。
乙第1号証及び乙第2号証の写真画像に写った容器の形状が一致することから、これらは同一の容器を片面ずつ撮影したものといえ、乙第1号証は容器の前面の写真画像、乙第2号証は背面の写真画像であり、その記載内容から容器の内容物は「洗濯用液体洗剤」であるといえる。
(2)洗濯用洗剤の発注書(乙7~乙12)
乙第7号証ないし乙第12号証は、2020年6月3日付け(乙12)、同年7月2日付け(乙11)、同年8月18日付け(乙10)、同年11月9日付け(乙9)、同年12月18日付け(乙8)、同月25日付け(乙7)のいずれも三越伊勢丹社からミマスクリーンケア社を宛先とする「オリジナル洗剤」(「液体アチーブ 本体 550g」等)の発注書であり、商品名欄に記載された「液体アチーブ 本体 550g」については、それぞれ数量として、1,350(乙8)、2,025(乙9、乙12)、2,700(乙10)、3,375(乙7、乙11)(いずれも単位は不明)が発注されている。
また、各発注書には、いずれも三越伊勢丹社の担当者の署名及び押印がある。
(3)上記(1)、(2)及び被請求人の主張によれば、本件商標権者は、洗剤等を製造する法人であり、「洗濯用洗剤」を製造し、販売者である三越伊勢丹社に提供する関係にある(被請求人の主張)ところ、三越伊勢丹社は、2020年6月ないし12月に本件商標権者に対し「液体アチーブ 本体 550g」などの商品「洗濯用液体洗剤」を発注した(乙7~乙12)こと、及び三越伊勢丹社のオリジナルの「洗濯用液体洗剤」として、その容器に、別掲2のとおり、「アチーブ」の文字(以下「使用商標」という。)を付したことが認められる。
なお、当該「洗濯用液体洗剤」の容器の写真画像(乙1、乙2)に表示された「アチーブ」の文字、「洗濯用液体洗剤」、「Isetan Original」、「550g」の表記と、発注書(乙7~乙12)の「オリジナル洗剤」の記載及び商品名欄の「液体アチーブ 本体 550g」の記載が共通することから、2020年6月ないし12月に本件商標権者に発注した(乙7~乙12)商品のうち「液体アチーブ 本体 550g」については、「アチーブ」の文字が付された「洗濯用液体洗剤」(以下「使用商品」という。)である(乙1、乙2)と認めて差し支えない。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「アチーブ」の片仮名を書してなり、使用商標も、別掲2のとおり、「アチーブ」の片仮名を横書きしてなるものであるから、両商標は、片仮名「アチーブ」の文字を共通にするものである。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
(2)使用商品について
使用商品「洗濯用液体洗剤」は、本件審判請求に係る指定商品である第3類「せっけん類」の範ちゅうに属する商品である。
(3)使用者について
被請求人は、本件商標権者は本件商標の使用を三越伊勢丹社に許諾している、また、本件商標権者と三越伊勢丹社は長きにわたる取引関係があり、平成7年10月1日より「売買基本契約」を締結し、毎年更新し現在も継続している、さらに、本件のように、製造者(本件商標権者)が自己の所有する登録商標について、当該製造に係る商品の販売者(三越伊勢丹社)に対しその使用を許諾することは、信頼関係の継続や商品の安定的な供給などの観点から、企業活動上通常なされることであるなどと主張する。
確かに、提出された発注書から三越伊勢丹社は本件商標権者に対し継続して発注し、その数量も安定していることがうかがえることから、被請求人の主張に不自然なところはなく、また、その主張について請求人との間に争いはないことから、本件商標権者と三越伊勢丹社との間で黙示の使用許諾があったものとみて、三越伊勢丹社を本件商標に係る通常使用権者と認めて差し支えない。
(4)使用時期及び使用行為について
本件商標を付した使用商品は、通常使用権者により2020年6月ないし12月に発注されたものであって、その時期は要証期間といえる。
また、上記使用商品は、通常使用権者が販売のために発注したものであるから、通常使用権者が要証期間に使用商品の包装に本件商標を付した(商標法第2条第3項第1号)といえる。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に、日本国内において本件審判請求に係る指定商品中の「洗濯用液体洗剤」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、商標法第2条第3項第1号に規定する使用行為により使用したといえる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の通常使用権者が本件審判請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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