商標取消審判
2021-300507
ゼットジイ、ゼットアイジイ、ジグ
- 審判番号
- 2021-300507
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1992-200340
- 登録番号
- 3006498
- 請求日
- 2021年07月06日
- 審決日
- 2022年06月09日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コネクトフリー 株式会社
- 【請求人代理人】竹内 充春
- 【被請求人】株式会社 呉竹
- 【被請求人代理人】特許業務法人藤本パートナーズ
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T132 .1 -Y (041)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第3号、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3006498号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第3006498号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成4年9月21日登録出願,第41類「技芸・スポ―ツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,美術品の展示,図書の貸与」を指定役務として,同6年10月31日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,令和3年7月19日であり,商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは,平成30年7月19日から令和3年7月18日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は,本件商標は,その指定役務中,第41類「技芸・スポ―ツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与」(以下「請求に係る指定役務」という。)について登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,請求に係る指定役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用をした事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。枝番の全てを引用する場合は,その枝番の記載を省略する。)を提出した。
1 本件審判について
本件商標の商標権者である「株式会社呉竹」は,本件審判請求の登録前3年以内の2019年4月25日から27日の間に日本国内でその請求に係る指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」について,本件商標を使用している事実があるため,以下説明する。
2 被請求人(本件商標権者)について
被請求人は,明治35年(1902年)10月1日創業,昭和7年(1932年)8月16日設立の墨,書道液,書道用品,書道セット,水墨画用品,絵てがみ・水彩スケッチ用品,筆ぺん,マーキングペン,カリグラフィーマーカー,店頭サイン用品,ホビークラフト・スクラップブッキング用品等の製造,販売及び輸出入等に係る事業を営む会社であり,我が国有数の文具メーカーの一つに数えられる会社である(乙1の1)。
3 本件商標の使用事実について
(1)被請求人は,1978年よりサインペン,マーカーペン等のブランドとして「ZIG」の使用を開始して以来,長年,当該「ZIG」ブランドの商品を表示する商標として多数の商品・役務に「ZIG」の「I」を矢印記号「↑」に置き換えた本件商標「Z↑G」を使用している事実がある(乙1の2)。
(2)被請求人は,我が国で開催される趣味,文具及び芸術等に関するイベントにしばしば出展し,そこでは自社商品の展示のみならず,教育講座(教室)を開設して,グラフィック,レタリング,アート等に関する技芸及び知識の教授を行っている。直近でいうと2019年4月25日から27日にかけて東京ビッグサイトで開催された世界最大級のハンドメイドの祭典「第43回 2019日本ホビーショー」(一般社団法人日本ホビー協会主催)に出展し(乙2,乙3の1,2),そこで当該ホビーショーの参加者に向けて下記4つの「ZIG Education」という名称の講座を開設して,グラフィック,レタリング,アート等に関する技芸及び知識の教授を行った事実がある(乙2,乙3の1,2)。
ア ZIG Educationワークショップ_クラスA「手軽に楽しめる,水性カラーブラッシュマーカーの世界【リアルブラッシュ編】」(以下「本件講座A」という。)
イ ZIG Educationワークショップ_クラスB「透明水彩で楽しむトランスペアレントアート」(以下「本件講座B」という。)
ウ ZIG Educationワークショップ_クラスC「本格ブラッシュマーカーの使い方がマスターできる!【アート&グラフィック編】」(以下「本件講座C」という。)
エ ZIG Educationワークショップ_クラスD「筆ぺんで書くカリグラフィー/ブラッシュレタリング」(以下「本件講座D」という。)
(3)本件講座Aは,水性カラーブラッシュマーカーを使用して濃淡のグラデーションやイラストヘの着色方法等を教授する講座,本件講座Bは,透明水彩(顔料とアラビアゴムと少量の砂糖が練られてできている絵の具)を使用して透ける色合い,薄くガラスのような透明感の表現方法等を教授する講座,本件講座Cは,ブラッシュマーカーを使用してポイントとなる筆圧や運筆を指導し,筆感が本格的な毛筆を感じながら,穂先をコントロールすることで多彩な表現方法を教授する講座,本件講座Dは,筆ぺんを用いたカリグラフィーを教授するもので,基本形に自分らしさをプラスしたレタリングを指導する講座である(乙2)。
(4)乙第4号証に示す本件写真1ないし7(以下,これらを一括して「本件写真」という。)は,本件講座A,B,C及びD(以下,これらを一括して「本件講座」という。)の開催当時の様子を撮影した写真である。本件写真2及びこれを拡大した本件写真3において,「ZIG Education受付」と書かれた案内の下に「2019年 日本ホビーショー Kuretake 体験教室」及び「ZIG Education」の文字があり,かつ本件写真に表示されたAクラス,Bクラス,Cクラス,Dクラスの案内表示の内容は,乙第2号証(日本ホビーショー2019のウェブサイト)に掲載された本件講座の内容と完全に一致することからすると,本件写真が「2019年日本ホビーショー」において被請求人が開催した本件講座(「ZIG Education」の講座)に係るものであることが容易に理解できる。
(5)本件写真2及びこれを拡大した本件写真3において,「2019年 日本ホビーショー Kuretake 体験教室」と「ZIG Education」の間に「ZIG Education ワークショップ基本キット」と記載された案内表示(以下,「本件基本キットに係る案内表示」という)があることが確認できる。本件基本キットに係る案内表示には,本件講座を受講するには基本キットの購入が必要であることの表示とともに,表示の中央に本件基本キットの写真が大きく表示されている(乙4,乙5の5)。本件基本キットは,本件講座で使用する台紙及びペンから構成されるものであり,台紙の左上には長方形の枠内に「Z↑G」が表示された商標が使用されている(以下,本件基本キットで使用されている商標を「本件使用商標1」という)(乙4,乙5の5)。
(6)乙第6号証は,孫が本件講座を受講した人が書いたインターネットブログの記事である(2019年5月3日付け)。当該記事によると,本件講座の受講者は,本件基本キットを使用して本件講座を受講しており,本件基本キットには大きく本件使用商標1が表示されていることが認められる(乙6)。
(7)また,乙第4号証の本件写真6及びこれを拡大した本件写真6の2に示すとおり,本件講座を提供するスタッフが着用しているシャツの背面には,赤字の長方形の枠内に赤字で「Z↑G」と表示された商標が使用されている事実が認められる(以下,本件講座を提供するスタッフが着用しているシャツに使用されている商標を「本件使用商標2」という)。
4 本件商標の使用者について
本件使用商標1及び2(以下,これらをまとめて「本件使用商標」という。)は,被請求人の購座と関連して使用されているため,本件使用商標の使用者は本件商標権者(被請求人)である。
5 本件使用商標について
本件商標は,前記のとおり,欧文字「Z」及び「G」(ややデザイン化されている)の間に記号「↑」を配置した下記構成からなり,本件使用商標1及び2は,いずれも長方形の枠内に「Z↑G」の文字を配置した構成からなるが,本件使用商標1及び2の構成中にある長方形の枠は特徴のないありふれたものであるため自他商品識別標識としての機能を果たす部分ではなく,かつ本件使用商標の構成中にある「Z↑G」の部分は,本件商標と同一であるため,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
6 使用役務,使用行為及び使用時期について
(1)上記のとおり,被請求人が本件使用商標を使用した本件講座は,いずれもグラフィック,レタリング,アート等に関する技芸及び知識の教授に関するものであるため,本件商標の指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」に該当することは明らかである。
(2)また,本件基本キットは,前記のとおり,本件講座の受講者が講座内で使用する台紙及びペンから構成されるものであるため,これに本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付し,これを用いて本件講座を提供する行為は,商標法第2条第3項第3号に規定する本件講座に係る役務を提供するに当たりその提供を受ける者の使用に供するものに本件商標を付する行為及び同法第2条第3項第4号に規定する本件講座に係る役務を提供するに当たりその提供を受ける者の使用に供するものに本件商標を付したものを用いて役務を提供する行為に該当するものといえる。
(3)さらに,本件講座が開設された「第43回2019日本ホビーショー」は,要証期間内に当たる2019年4月25日から27日にかけて開催されたものである。
(4)そうすると,被請求人は,要証期間内に,本件審判の請求に係る指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したことは明らかである。
7 小括
以上より,被請求人が,本件審判請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したため,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消されるべきはなく,維持されるべきものである。
第4 当審の判断
1 認定事実
被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は,書道用品,書道セット,水墨画用品,絵てがみ・水彩スケッチ用品・筆ペン,マーキングペン等の製造,販売及び輸出入する会社であり,アルファベット及び矢印より構成される「Z↑G」の標章を付した各種ペンや練習帳等を販売している(乙1)。
(2)2019年4月25日から27日にかけて,ハンドメイドホビーをテーマとした「2019日本ホビーショー」が東京ビッグサイトで開催され,本件商標権者は,出展者としてこれに参加した(乙2~乙4,乙6)。
(3)本件商標権者は,上記「2019日本ホビーショー」の出展者ブースにおいて,「ZIG Education ワークショップ」というワークショップのコーナーを設け(乙2,乙4),クラスA~Dの4つのクラスに分けた上で,トランスペアレントアート,ブラッシュレタリング,ブラッシュマーカーを使ったアートなどのワークショップ(講習)を実施した(乙2,乙3の1,乙4,乙5の1~4,乙6)。
(4)乙第4号証の「本件写真3」には,「ZIG Educationの受付」を示す案内紙と,その下に,より大きな案内紙が写っており,当該案内紙に,「2019 日本ホビーショー/Kuretake 体験教室」の文字を確認することができ,その右側の画像を拡大した原データ(乙5の5)には,「ワークショップ基本キット」の文字,四角枠で囲まれた「Z↑G」の標章(以下,「本件使用商標」という。)が付されたファイル状のもの(以下「ファイル」という。)及びペンの写真並びに「900円(税込)」及び「ZIG Educationを受講するには/別途ワークショップ基本キットの購入が必要です。/A,B,C,Dクラスに全て共通でご利用いただけます。」の記載がある。
(5)2019年5月3日付け「水彩 ホビーショー2019で」と称するブログ記事においては,「Kuretakeのコーナーで、孫が講習受けました。この台紙を購入し、ステップを踏みます。(略)描き方練習。書き方の手順や方法など書かれたシートがあって、数種類の花の描き方を教わりました。」の記載があると共に,本件使用商標を付したファイルの写真が掲載されており(乙6),このファイルは,上記(4)のファイルと同じものと認めることができる。
(6)以上からすると,本件商標権者は,ワークショップを実施するに当たり,受講者に基本キットを販売し,当該基本キットに含まれた本件使用商標が付されたファイルを用いて,講座を提供したことが認められる。
2 判断
上記1で認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)本件商標と本件使用商標について
本件商標は,別掲1のとおり,アルファベット及び矢印の「Z↑G」の文字等よりなり,アルファベット2文字は共に縦長に表され,文字の間に上向き矢印を配し,また,「G」の文字は半円状になるようにデザイン化されたものである。
他方,本件使用商標は,上記1(4)(別掲2)に記載のとおり,四角枠で囲まれた「Z↑G」の文字等よりなる標章であるが,「Z↑G」の文字等部分は,アルファベット2文字が共に縦長に表され,文字間に上向き矢印を配し,「G」の文字部分が半円状にデザイン化されているなど,本件商標と同じデザインからなるものであるから,その差異は四角枠の有無のみである。そして,一般に,文字や図形等を囲む四角枠は,それら文字等の装飾や強調等に用いられるものであって,それ自体に自他商品又は自他役務の識別標識としての機能はないか又は極めて弱いというべきであるから,本件使用商標において看者の注意を引き,強く印象に残る部分(要部)は,「Z↑G」の部分にあるというべきである。
してみれば,本件商標と本件使用商標の要部は,いずれも同じデザイン文字及び上向き矢印からなる「Z↑G」を共通にしたものであるから,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
(2)使用者
本件使用商標の使用者は,本件商標権者であること明らかである。
(3)使用役務及び使用行為
本件商標権者が実施するワークショップは,トランスペアレントアート,ブラッシュレタリング,ブラッシュマーカーを使ったアートなど,受講者に対し技芸や知識を教授するものであるから,これは,請求に係る指定役務中,「技芸・スポ―ツ又は知識の教授」の範ちゅうに含まれるものである。そして,その実施に当たって,本件商標権者は,本件使用商標が付されたファイルを用いている。
そうすると,本件商標権者が,ワークショップにおいて,技芸や知識を教授するに当たり,受講者が利用するファイルに,本件使用商標を付する行為は,「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」に該当するものである。
また,本件商標権者が,本件使用商標を付したファイルを用いて,受講者に対し,技芸や知識を教授することは,「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」に該当するものである。
(4)使用時期及び使用場所
本件使用商標を付したファイルを用いて,本件商標権者が実施した「ZIG Education ワークショップ」は,2019(平成31)年4月25日から27日にかけて,東京ビッグサイトで行われた「2019日本ホビーショー」内で行われたものであるから,要証期間内に,日本国内で実施されたものである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば,本件商標権者は,要証期間内に,日本国内において,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を,請求に係る指定役務中,「技芸・スポ―ツ又は知識の教授」について使用していたということができる。
そして,その使用行為は,商標法第2条第3項第3号の「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」及び同項第4号の「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者が,請求に係る指定役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
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