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商標取消審判

2021-300151

エベレスト

審判番号
2021-300151
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2008-051530
登録番号
5299277
請求日
2021年03月02日
審決日
2025年03月31日
公報発行日
2025年09月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アルベマール コーポレーション
  • 【請求人代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【被請求人】出口 牧仁
  • 【被請求人代理人】▲高▼橋 幸夫
  • 【被請求人】柿沼 寛之
  • 【被請求人代理人】▲高▼橋 幸夫
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 須田 亮一
分類
T132 .1 -Y (X01)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5299277号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5299277号商標(以下「本件商標」という。)は、「エベレスト」の文字を標準文字で表してなり、平成20年6月27日に登録出願、第1類「化学品,肥料,人工甘味料,工業用粉類,パルプ」を指定商品として、同22年2月5日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録は、令和3年3月22日である。 以下、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成30年3月22日ないし令和3年3月21日)を「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第1類「化学品」(以下「請求に係る指定商品」という。)の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、令和3年3月2日付け審判請求書、同年9月6日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び同5年10月18日付け審判事件第二弁駁書(以下「第二弁駁書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、上記請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)携帯用濃縮酸素「エベレスト」に関する販売者・取扱店募集用のチラシ(乙1)及び販売促進用のチラシ(乙2、乙1及び乙2が示すチラシをまとめていう場合は以下「チラシ」という場合がある。)が要証期間に頒布等されたことが証明されていない。 チラシには円柱状のスプレー缶とおぼしき画像が掲載されているが、当該スプレー缶のラベルは丸みが全くなく平面であることや、ラベルとそれ以外の部分で光の当たり方の整合が取れていないことなどからすれば、チラシに掲載の商品の画像は合成した画像と容易に推測でき、実際に同商品が存在するかにつき、疑義を抱かざるを得ない。 また、近年における印刷機器の普及を考慮すれば、被請求人が自らチラシを作成することに関しては、必ずしも不自然とはいえないが、同チラシには「2019年10月現在」又は「2020年2月2日」の記載が認められるのみで、同チラシの頒布時期、頒布媒体、頒布枚数、頒布対象者などを具体的・客観的に証明する証拠は存在しないから、同チラシは、本件商標が要証期間に使用されたことの証拠たり得ない。 被請求人は、チラシの頒布先のリストの写し(乙14、乙15)を提出しているが、担当者名等を列挙しているばかりで、実際に要証期間に頒布されたことは証明されていない。そもそもチラシの客観的な日付の立証がされていない。被請求人がこのような簡易的なチラシを自ら作成することは必ずしも不自然ではないが、プリンタを用いていつでも簡単に作成できるものであるから、チラシに記載されている日付は信頼性、客観性に欠ける。 (2)在長野県北安曇郡のT氏及びJ社が要証期間に携帯用濃縮酸素「エベレスト」(以下「使用商品」という。)を12本又は36本購入したとする書面(乙3、乙4)について 単に、T氏及びJ社が、要証期間に使用商品を12本又は36本購入したことを首肯するのみの内容であり、取引の日付や本件商標の使用態様は明らかにされず、T氏及びJ社と被請求人との間に取引内容が実在したことにつき具体性・客観性を欠いており、にわかに信用することは困難である。 (3)使用商品が存在したことが証明されていない。 スプレー缶の内容物が不明であり、使用商品の存在したことが証明されておらず、結果、本件商標に使用したことが証明されていない。スプレー缶の内容物が酸素であるかどうかは、本件商標を第1類「化学品」に使用したかどうかに関する極めて重要な点である。 被請求人は、使用商品の製造方法を全く証明しておらず、製造方法について、「要証期間における携帯用濃縮酸素「エベレスト」については、・・・、受注生産方式を採用せざるを得なかったため、試験販売に適し、パッケージ変更にも即座に対応できるようにすべく、市販(日本製)の携帯酸素缶をキレイにラッピングしたものとした」とするが、そうであれば、その市販(日本製)の携帯酸素缶をいつどのように発注し、納品されたのか、納品された商品にどのように商品名等の記載を行ったのか証明できるはずである。 被請求人が、本件商標を使用したと主張する商品は酸素であり、目に見えない商品である。市販のスプレー缶にきれいにラッピングできるのであれば、缶の内容物が酸素でなくとも写真(乙8、乙13)は撮影可能である。本件商標を使用したとする商品に疑義があるのだから、内容物が酸素であることを立証する必要がある。 (4)EarthLove株式会社(以下「E社」という場合がある。)とT氏及びJ社との間で、使用商品の取引が行われたことが証明されていない。 T氏と取引をした際の「納品書・請求書」の写しとされるもの(乙9、以下「T納品書・請求書」という。)に記載の税込合計額が誤っている点、T納品書・請求書及びJ社と取引をした際の「納品書・請求書」の写しとされるもの(乙10、以下「J納品書・請求書」という。)に印刷されているE社のロゴマークの向きと、実際に販売された使用商品とされる写真(乙8、乙13)のロゴマークの向きが一致しない点は、取引の規模に関わらず不自然である上、いずれの書類も本件審判を請求された事実を知った後からでも作成可能な書類であることも合わせ考えれば、これらの書類は信ぴょう性がない。 また、実際に販売した使用商品とされる写真の撮影日、撮影場所、撮影者は、単に被請求人が証拠説明書に記載して主張するのみで、その写真が要証期間に撮影されたことは証明されていない。 さらに、「証明願」及び「証明書」と題される書面(乙3、乙4)は、被請求人が自身に有利な内容の記載をした書面に、T氏及びJ社が署名捺印した書面である。チラシの頒布先とするリスト(乙15)にT氏及びJ社と思われる記載があることから、両者は商標権者の関係者、知り合いのスポーツ店・登山道具販売店であるため、商標権者と利害関係を有しない第三者とはいえない。よって、客観的な事実を証明できる立場にないから「証明願」及び「証明書」は何の証明にもならない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明していない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、商標法第50条の規定に基づき、請求に係る指定商品についての商標登録は取り消されるべきである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を令和3年8月2日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)、同4年2月1日付け審尋に対する同年3月6日付け審判事件第二答弁書(以下「第二答弁書」という。)、同年10月25日付け審尋に対する同年11月30日付け審判事件第三答弁書(以下「第三答弁書」という。)及び同7年1月17日付け審判事件第四答弁書(以下「第四答弁書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。 1 答弁書における答弁 要証期間に、日本国内において、商標権者である出口牧人(以下「D氏」という。)が使用している事実を以下の証拠により明らかにする。 (1)乙第1号証は、D氏が、使用商品の販売者・取扱店を募集するために、要証期間である、令和元年10月から配布していた、使用商品に関する販売者・取扱店に対する募集用のチラシである。 D氏が、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していた事実が示されている。 (2)乙第2号証は、乙第1号証と同様に、D氏が、令和2年2月から配布していた、使用商品に関する販売促進用のチラシである。 D氏が、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していた事実が示されている。 (3)乙第3号証は、D氏から使用商品を買ったT氏作成の使用証明書である。 この証明書から、D氏が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していた事実が裏付けられる。 (4)D氏から使用商品を買ったJ社の代表者作成の使用証明書である。 この証明書から、D氏が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していた事実が裏付けられる。 (5)以上のことから、請求に係る指定商品について、要証期間に、日本国内において、本件商標権者が、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、使用していたことは明らかである。 2 第二答弁書における答弁 (1)「携帯用酸素缶の画像」について 請求人は、弁駁書において「チラシには、円柱状のスプレー缶とおぼしき画像が掲載されている。しかしながら、このような円柱状の場合、通常、商品ラベルの文字や画像は、曲線に沿って、丸みを帯びて見えるものであるが、乙第1号証及び乙第2号証に掲載の商品のラベルの文字には、そのような丸みは全くなく、平面である。また、ラベルのない金属部分には、光が当たり白く光る部分と黒い影の部分が見受けられるが、ラベルにはそのような光と影の部分は存在せず、金属部分とラベル部分で光の当たり具合について整合性がとれていない。さらに、ラベルは、金属部分とずれている。特に底部で顕著である。よって、チラシに掲載の商品の画像は、合成した画像と容易に推測でき、実際に同商品が存在するかにつき、疑義を抱かざるを得ない。」旨の主張をしている。 しかしながら、商品のチラシにおいては、チラシを受け取った人に対し、対象商品のインパクトをより高くするため、実際の商品の画像でなく、商品の一部を意図的に変化させたデフォルメ画像を用いることがある。乙第1号証及び乙第2号証については、チラシを作成したD氏が、実際に口に付ける吸入口は、三次元で表現した方がわかりやすいと考える一方で、携帯用酸素缶の胴部は、イメージ画像と文字があるため、より目立たせるため、実際の三次元でなく、わざと二次元にしたものである。 また、商品のチラシにおいて、合成した画像と容易に推測できる画像を使用したとしても、チラシを受け取った人が、実際にその商品が存在するかについて疑義を抱くことはないと考える。 それゆえ、乙第1号証及び乙第2号証は、チラシとして有効に機能すると考えられる。 なお、乙第1号証及び乙第2号証に掲載された携帯用酸素缶は、一部を意図的に変化させたデフォルメ画像であって、実際に販売した携帯用酸素缶の写真は乙第8号証から明らかであるため、乙第1号証及び乙第2号証に掲載されたパッケージの携帯用酸素缶が要証期間に実在したか否かについては、本件審判において全く問題にならない事項であると思料される。 (2)「EarthLove Company」の表記について 乙第1号証及び乙第2号証には、意図的に一部を変化させたデフォルメ画像の携帯用酸素缶の底部に「EarthLove Company」の表記がなされている。 このチラシを作成したD氏は、デフォルメ画像の携帯用酸素缶の底部の文字について、「EarthLove株式会社」、「EarthLove Company Co.,Ltd」、「EarthLove Company Limited」のいずれにするか迷い、カジュアルなイメージを持たせ、バランスや見栄えを考慮し、なじみやすいだけでなくひびきもよく、消費者を含む市場への受入れも容易となることを意図して、E社の通称である「EarthLove Company」を使用したものである。 それゆえ、「EarthLove Company」は、E社と同一の会社を意味するものと考えられる。 (3)E社について 乙第2号証には、販売者として、「EarthLove株式会社」の記載がある。 E社は、乙第5号証に示されているように、D氏が代表取締役である会社である。 E社は、本件商標権者と通常使用権の許諾契約を行っている。乙第6号証及び乙第7号証に示されているように、本件商標権者が許諾したE社の通常使用権は、令和元年5月1日から同12年2月5日まで存する。 それゆえ、E社と本件商標権者との関係は明らかである。 (4)商品販売までの経緯 使用商品の事業についてはかなり前から企画され、諸般の事情から計画が遅れていたが、D氏が主導権をもって事業を行うことが決まり、令和元年5月1日に、本件商標権者とE社(代表取締役:D氏)との間で、通常使用権の許諾契約が行われた。 D氏は、体制が整い、ネパールから帰ってきた令和元年10月から、乙第1号証のチラシを用いて、有力かつ安定的な取引先を見つけるため、関係者や知り合いのスポーツ用品店や登山用具販売店を自ら訪問し、使用商品の販売者、取扱店の募集を開始した。 そして、D氏は、乙第2号証に示すように、令和2年2月2日を販売開始日として、同月から、乙第2号証のチラシを用い、意気込んで販売活動を開始し始めた。 ところが、令和元年12月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19) が中国で確認され、同2年1月31日にWHOが「国際的な緊急事態」を宣言し、日本国外からの物流の流れが狂い始めた。D氏は、理想と現実のギャップに苦しみ、同年2月下旬に営業販売活動の一時停止を決断した。 その後、新型コロナウイルス感染症の感染は続いているが、D氏は、物流経路等の見直し等を図ることにより、令和3年1月に、使用商品の営業を再開することができ、使用商品のパッケージも変更して、同年3月に使用商品の営業を再開した。 (5)チラシが要証期間に頒布等された事実 ア 乙第1号証 頒布時期:令和元年10月~同2年2月 頒布媒体:乙第1号証に示したチラシ 頒布枚数:約60枚 頒布対象者:関係者、知り合いのスポーツ用品店・登山用具販売店 頒布方法:手渡し イ 乙第2号証 頒布時期:令和2年2月、同3年1月~3月 頒布媒体:乙第2号証に示したチラシ 頒布枚数:約100枚 頒布対象者:関係者、知り合いのスポーツ用品店・登山用具販売店 頒布方法:手渡し、郵送(ダイレクトメール) (6)商品を販売した事実を示す取引書類等 ア 商品 乙第3号証及び乙第4号証に記載された者に対して、実際に販売した使用商品の写真の写しを乙第8号証に示す。 イ 乙第3号証 使用商品を購入したT氏に対して発行された、納品書・請求書の写しを乙第9号証に示し、領収書の写しを乙第10号証に示す。 ウ 乙第4号証 使用商品を購入したJ社に対して発行された、納品書・請求書の写しを乙第11号証に示し、領収書の写しを乙第12号証に示す。 (7)本件商標の使用行為 ア 乙第1号証 乙第1号証は、D氏が作成して、その後、令和元年10月ないし同2年2月に手渡しで頒布した、使用商品に関する販売者・取扱店に対する募集用のチラシの写しである。 乙第1号証には、D氏が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用した行為が示されており、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。 イ 乙第2号証 乙第2号証は、D氏が作成して、その後、令和2年2月、令和3年1月ないし3月に手渡し及び郵送で頒布した、使用商品に関する販売促進用のチラシの写しである。 乙第2号証には、D氏が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用した行為が示されており、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。 ウ 乙第8号証 乙第8号証は、D氏が直接、乙第3号証に記載された者(T氏)及び乙第4号証に記載された者(J社)に対して、販売した使用商品の写真の写しである。 乙第8号証には、通常使用権者(E社)及び/又はD氏が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用した行為が示されており、当該使用行為は、商標法第2条第3項第1号の「商品に標章を付する行為」に該当する。 なお、乙第3号証、乙第4号証、乙第9号証ないし乙第12号証は、乙第8号証の写真に撮影された使用商品が販売された裏付けとなる証拠である。 エ 乙第9号証 乙第9号証は、通常使用権者(E社)が、乙第8号証に撮影された使用商品を購入した、乙第3号証に記載された者(T氏)に対して発行した、納品書・請求書の写しである。 乙第9号証には、通常使用権者(E社)が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用した行為が示されており、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。 オ 乙第10号証 乙第10号証は、通常使用権者(E社)が、乙第8号証に撮影された使用商品を購入した、乙第3号証に記載された者(T氏)に対して発行した、領収書の写しである(以下「T領収書」という。)。 乙第10号証には、通常使用権者(E社)が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用した行為が示されており、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。 カ 乙第11号証 乙第11号証は、通常使用権者(E社)が、乙第8号証に撮影された使用商品を購入した、乙第4号証に記載された者(J社)に対して発行した、納品書・請求書の写しである。 乙第11号証には、通常使用権者(E社)が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用した行為が示されており、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。 キ 乙第12号証 乙第12号証は、通常使用権者(E社)が、乙第8号証に撮影された使用商品を購入した、乙第4号証に記載された者(J社)に対して発行した、領収書の写しである(以下「J領収書」という)。 乙第12号証には、通常使用権者(E社)が、要証期間に、請求に係る指定商品の中に含まれる「携帯用濃縮酸素」について、本件商標と同一の商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用した行為が示されており、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。 3 第三答弁書における答弁 (1) 当審における審尋について 審判長は、令和4年10月25日付け審尋(以下「第二審尋」という。)において、被請求人に対し、要旨以下アないしウの理由から、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対し、要旨以下エのとおり答弁を求めた。 ア 使用商品が存在したかどうかについて (ア)使用商品の写真とされるもの(乙8)に写っている3本のスプレー缶はいずれも正面方向からの写真であり、当該スプレー缶に記載された「EVEREST A」の文字の右側にいかなる文字等の表示がされているのかが不明である。また「最も無垢な携帯酸素缶/エベレスト」中の「エベレスト」の文字の右側にどのような文字等の表示があるのか、ないのかについても不明である。 (イ)当該3本のスプレー缶に、いかなる商品が入っているか不明である。また、この3本以外に何缶存在しているのか(していたのか)についても不明である。また「エベレスト」の文字及びその欧文字表記の右側にどのような表示がされているのか不明である。 イ E社とT氏及びJ社との間で,本件商品の取引が行われたかどうかについて (ア)T納品書・請求書(乙9)における、「小計」の額と「消費税」の額を合計した場合、「¥17,820」となるべきところ、「税込合計」の額の記載は「¥16,200」と不整合な状態である。 (イ)T納品書・請求書(乙9)、J納品書・請求書(乙11)、T領収書(乙10)及びJ領収書(乙12)に記載の「エベレスト(Everest)」が本件商品であるか不明である。また、E社がT氏及びJ社との間で、要証期間である令和3年3月に、本件商品を取引したことを裏付ける証拠を見いだすことができない。 ウ チラシ(乙1、乙2)が要証期間に頒布等されたかどうかについて 被請求人は、チラシを、令和元年10月ないし同2年2月及び同2年2月及び同3年1月ないし同年3月に、関係者、知り合いのスポーツ用品店・登山用具販売店に頒布したかどうか不明である。 エ 上記アないしウに対して、意見があれば述べるとともに、不明及び証拠の提出がないとされた点について、客観的な証拠により具体的に立証及び釈明が必要である。 特に、上記アについては、もし上記3本のスプレー缶が本件商品であるとすれば、その中には何が入っているのか、また、これをどのように製造したのか主張、立証が必要である。 (2)審尋に対する被請求人の答弁の要旨 被請求人は、上記アの審尋に対し、第三答弁書を提出し、要旨次のように述べた。 ア 使用商品が存在したかどうかについて (ア)上記(1)ア(ア)について a 乙第8号証の3本のスプレー缶のうち、特に左側のスプレー缶の右端を見れば、「EVEREST A」の文字の右側に「IR」の文字を読み取ることが可能である。 b 乙第8号証の3本のスプレー缶のうち、特に左側のスプレー缶の右側を見れば、白色文字の「エベレスト」の右側には、右端まで白色の部分がないため、文字の表示がないということは容易に認識可能であって、「エベレスト」の右側には全く文字の表示がないことは直ちに理解できるはずである。 c 乙第8号証の3本のスプレー缶の中央部に配置された「エベレスト」の白文字は、スプレー缶の中央上方にある「EVEREST AIR」の装飾白文字よりも大きいだけでなく、背景色との関係でより強調されているため、スプレー缶全体で考えれば、「エベレスト」の文字が「EVEREST AIR」の文字の方よりも目立つはずである。 また、「エベレスト」の文字は、「EVEREST AIR」の文字と、それぞれ別個のものであって、それぞれが別の意味を持ち、互いに関連せず、離れた位置にあることからしても、「エベレスト」の文字と「EVEREST AIR」の文字については、独立して取り扱われるべきものである。本件商標の使用に関しても、「エベレスト」の文字と「EVEREST AIR」の文字については、独立して取り扱われるべきものである。 d 第二審尋には「写真に写っているスプレー缶はいずれも正面方向からの写真である」旨が記載されているが、例えば、通常、「amazon」、「yahooショッピング」、「楽天市場」などに代表される、大手ネット販売サイトでは、スプレー缶のイメージ画像は、正面方向のものが使用されており、正面方向以外のイメージ画像を採用することは、極めてまれで、ほとんどあり得ない。 このことは、ネット販売サイト以外の店舗販売、チラシやポスター等であっても同様であって、正面方向のイメージ画像の使用は、商取引の常識ともいえるものであると考えられる。 また、上述のとおり、乙第8号証の3本のスプレー缶のうち、左側のスプレー缶の右端を見れば、「EVEREST A」の文字の右側に「IR」の文字があること及び「エベレスト」の文字の右側には文字等の表示がないことは、容易に理解可能である。 つまり、スプレー缶の写真については、正面方向のものだけで必要十分である。 なお、販売された使用商品について、D氏が、要証期間に撮影した正面方向以外の角度で撮影されたスプレー缶の写真を発見した(乙13)。 (イ)上記(1)ア(イ)について a 3本のスプレー缶の内容物については、乙第2号証に記載されているものと同様であり、乙第13号証からもその一部の情報を読み取ることが可能である。 携帯酸素缶について、例えば、「amazon」、「yahooショッピング」、「楽天市場」などのネット販売サイトを見れば、「スプレー缶の正面写真」と、商品の説明として、「スプレー缶のサイズ」、「重量」、「酸素濃度」、「充填量」、「使用回数」程度の記載しかされていないため、缶の内容物について、酸素濃度の測定結果等の客観的な証明がなくても、携帯酸素缶であると理解されるものと考えられる。 携帯酸素缶の売買契約の締結の際には、缶の内容物について、酸素濃度の測定結果等の客観的な証明が必要とされず、携帯酸素缶の一般的な商取引においても、缶の内容物について、酸素濃度の測定結果等の客観的な証明書が要求されることもない。 なお、3本のスプレー缶の内容物についての記載は、いずれも、登録商標が使用されているか否かの判断要素とは直接関係がない。 また、後述する取消2008-300796では、ペットボトルの内容物について、客観的に証明する証拠は一切提出されていない。 b 要証期間にスプレー缶が何個存在していたかに関しては、使用商品の事業規模の判断材料にはなり得るが、本件商標が使用されているか否かの判断材料にはどう考えてもなり得ないため、主張及び客観的に証明する証拠の提出は、特に必要ないと考える。 後述する取消2008-300796では、審判官は「ペットボトルの本数が何本存在していたか」に関する主張及び客観的に証明する証拠は一切要求しておらず、被請求人から「ペットボトルの本数が何本存在していたか」に関する主張及び客観的に証明する証拠の提出もされていない。 なお、要証期間にスプレー缶が何缶存在していたかについては、例えば、以下の予測が可能である。 (a)被請求人は、第二答弁書に「乙第1号証を令和元年10月ないし同2年2月に、約60枚を手渡しで頒布し、乙第2号証を、同2年2月及び同3年1月ないし3月に、約100枚を手渡し又は郵送(ダイレクトメール)で頒布した」旨を記載した。 この記載を考慮すれば、使用商品の事業は、大規模に展開されているとは考え難く、かなり小規模であることは、容易に類推できることである。 (b)被請求人は、第二答弁書において、「D氏は、乙第2号証に示すように、令和2年2月2日を販売開始日として、同月から、乙第2号証のチラシを用い、意気込んで販売活動を開始し始めた。ところが、同元年12月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が中国で確認され、同2年1月31日にWHOが「国際的な緊急事態」を宣言し、日本国外からの物流の流れが狂い始めた。D氏は、理想と現実のギャップに苦しみ、同2年2月下旬に営業販売活動の一時停止を決断した。その後、新型コロナウイルス感染症の感染は続いているが、D氏は、物流経路等の見直し等を図ることにより、同3年1月に、使用商品の営業を再開することができ、使用商品のパッケージも変更して、同年3月に、使用商品の営業を再開した。」旨を記載した。 この記載から、被請求人のD氏が、退路を断つための目的で、販売開始日を設定して営業販売活動を行ったが、コロナ禍で全く上手くいかず、八方塞がりで、直ちに休止状態となったが、約1年後に体制等が整い、営業活動を再開し、パッケージも一新した後、すぐに要証期間が終了してしまったことが明確にわかるはずである。 それゆえ、要証期間における使用商品の販売数が非常に少ないということは、容易に類推可能である。 (c)現実として、被請求人のD氏は、コロナ禍に加え、携帯酸素缶を取り扱う業者が増加している状況下において、苦戦を強いられ、残念ながら、要証期間は、受注生産方式を採用せざるを得ず、要証期間における使用商品の販売実績は、答弁書及び第二答弁書に示した2件(乙3、乙4、乙9~乙12)のみとなっている。 (d)乙第3号証、乙第4号証及び乙第9号証ないし乙第12号証を見ても、被請求人のD氏(E社)が販売した本数は48本であると把握できるため、使用商品が要証期間に約50本程度存在していたということは、十分予測が可能である。 c 上述のとおり、乙第8号証に写し出されている3本のスプレー缶、特に左側のスプレー缶の右端を見れば、「エベレスト」の文字の右側には文字等の表示がないため、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる「エベレスト」の文字が表示されていることは、明白である。 また、上述のとおり、「エベレスト」の文字は、「EVEREST AIR」の文字とそれぞれ別々のものであるため、独立して扱われるべきものであって、「EVEREST AIR」の文字と離れた位置にあることからしても、「EVEREST AIR」の文字と対比されるべき対象もでない。本件商標の使用に関しても、「エベレスト」の文字は、「EVEREST AIR」の文字と独立して考えるべきであり、「EVEREST AIR」の文字と対比すべきものでない。 (ウ)要証期間のスプレー缶の製造方法について a 被請求人は、要証期間における使用商品については、上述のとおり、受注生産方式を採用せざるを得なかったため、試験販売に適し、パッケージ変更にも即座に対応できるようすべく、市販(日本製)の携帯酸素缶を綺麗にラッピングしたものとした。 b 市販(日本製)の携帯酸素缶の詳細は、請求人が「化学品」を指定商品とする商標登録出願(商願2019-115781)を行っていることと、後述するように、被請求人と全く関係のない競合の第三者に被請求人の製造した商品と同一物の商品の製造を防止することの二点から、上述したスプレー缶の内容物の情報よりも詳細な情報を開示することを希望しない。 (エ)「使用商品が要証期間に存在したこと」について 上述した種々の理由から、使用商品が要証期間に存在したことは明らかである。 なお、乙第3号証及び乙第4号証は、使用商品が要証期間に存在したことを前提とするものである。 使用商品が要証期間に存在しなければ、T氏もJ社も、使用商品を購入することは不可能だからである。 それゆえ、D氏は当然のこと、少なくとも、T氏とJ社は、要証期間に、使用商品が存在していたことを、客観的に認識している人物であると考えられる。 (オ)小括 以上のことから、「使用商品が要証期間に存在したこと」及び「使用商品のラベル面に付された「エベレスト」という文字の表示は本件商標と社会通念上同一の商標であること」については、いうまでもなく明らかであるものと思料される。 イ E社とT氏及びJ社との間で、使用商品の取引が行われたかどうかについて (ア)上記(1)イ(ア)について a 不整合な状態は、意図的に行ったものでなく、計算ミス等によるものであって、消費税を加算することを忘れたことに起因するものであると考えられる。誤って消費税抜の金額で取引してしまうことは、発生する頻度が決して高くないものの、全く考えられないことではないはずである。 消費税抜金額で取引した場合の税務処理は、所定の方法があるが、登録商標の使用と全く関係がない事柄である。 b 第二審尋の記載から、審判官は「エベレスト(12本)」が16,200円で取引されたことを認め、T氏とE社の商取引が成立していると判断しているものと考えられる。 (イ)上記(1)イ(イ)について a 被請求人は、既に、T氏が、被請求人のD氏から、使用商品を12本購入したことを証明する書類を、乙第3号証として提出し、J社が、被請求人のD氏から、使用商品を36本購入したことを証明する書類を、乙第4号証として提出した。 被請求人は、T納品書・請求書(乙9)、J納品書・請求書(乙11)、T領収書(乙10)及びJ領収書(乙12)に記載の「エベレスト(Everest)」は、以下の理由から、使用商品であることに間違いないと考える。 (a)使用商品が存在しなければ、T氏は「16,200円」を支払うことはなく、J社は47,520円を支払うこともないこと。 (b)使用商品の写真(乙8)、J納品書・請求書(乙11)、T領収書(乙10)、J領収書(乙12)及び見方によっては一部に記載ミスがあるとも考えられるT納品書・請求書(乙9)については、いずれも有効なものであって、証拠能力を有するものである。 そして、使用商品(乙8)には、「エベレスト」の文字が記載され、乙第9号証及び乙第11号証には、「エベレスト」及び「Everest」という記載があり、乙第10号証及び乙第12号証には、「エベレスト」という記載がある。 それゆえ、乙第9号証ないし乙第12号証に記載の「エベレスト(Everest)」は使用商品であると考えることが極めて自然であること。 (c)乙第3号証及び乙第4号証には、「携帯用濃縮酸素「エベレスト」を購入した」旨の記載があるため、使用商品の写真の有無にかかわらず、要証期間に、使用商品が存在することと、要証期間に、T氏及びJ社がD氏(E社)から、使用商品を購入したことに関し、乙第3号証及び乙第4号証によって証明がされていること。 (d)乙第9号証ないし乙第12号証と乙第3号証及び乙第4号証は、相互に補完する関係にあること。 後述する取消2008-300796では、納品書、領収書及び証明書を有効なものとして取り扱い、審判官は、納品書、領収書及び証明書以外の書類は一切要求していない。 b 契約は口頭でも成立するため、注文書は必ずしも必要とされないが、取引が下請法の対象である場合は注文書の交付が義務付けられている。 E社とT氏との間の売買取引及びE社とJ社との間の売買取引は、いずれも、下請法の対象となる取引でないため、注文書の交付は義務付けられないことから、これらの売買取引には、いずれも、注文書の交付がなかった。 それゆえ、E社とT氏との間の売買取引及びE社とJ社との間の売買取引には、注文書は存在しない。 c 被請求人は、令和4年2月1日付け審尋(以下「第一審尋」という。)における「本件商標権者が要証期間に各証明者に対し、上記商品を販売した事実を示す両者間のやりとりが分かる取引書類(注文書,納品書,請求書,領収書等)の提出がなく」という記載に基づき、T氏及びJ社との間のやりとりの全てである納品書・請求書及び領収書(乙9~乙12)を提出した。 後述する取消2008-300796では、被請求人が提出した、納品書、領収書及び証明書により、要証期間に商標登録第4634080号に係る商品が取引されていることを認定している。 以上のことから、被請求人は、乙第3号証、乙第4号証及び乙第9号証ないし乙第12号証が使用商品を取引したことを裏付ける証拠として十分機能すると考える。 また、被請求人は、乙第3号証、乙第4号証及び乙第9号証ないし乙第12号証によって、E社がT氏及びJ社との間で、要証期間の令和3年3月に売買取引が現実に行われたということが証明されているものと考える。 (ウ)小括 以上のように、使用商品の取引が行われたことは、明らかであるものと思料される。 ウ チラシが要証期間に頒布等されたかどうかについて 乙第1号証に示した、使用商品の販売者取扱店の募集用チラシを手渡しした人のリストの写しを乙第14号証として提出し、乙第2号証に示した、使用商品の販売促進用チラシを手渡し又は郵送した人のリストの写しを乙第15号証として提出する。 なお、被請求人は、現時点では、乙第14号証及び乙第15号証により、乙第1号証及び乙第2号証に示したチラシを手渡し又は郵送した人が特定できると考えているため、乙第14号証及び乙第15号証よりも詳しい情報の入った名簿等の提出は不要であるものと考える。 乙第14号証及び乙第15号証よりも顧客情報の入ったリスト等については、上述のとおり、請求人が「化学品」を指定商品とする商標登録出願を行っている関係上、審判官のみに提示することを希望する。 エ その他 商標登録第4634080号(商標:「Everest Water」)の不使用取消審判(取消2008-300796)では、本件審判と同様の書類が提出されているにもかかわらず、「本件商標に係る商品が存在したかどうか」及び「本件商標に係る商品の取引が行われたかどうか」は全く言及がない上、「本件商標に係る商品の詳細等」及び「本件商標に係る商品の製造方法等」も要求されず、「チラシが要証期間に頒布等されたことを裏付ける証拠」も不十分であると考えられるが、登録商標「Everest Water」の使用が認められ、本件審判請求が認められないとされている。 オ 結論 以上のように、提出された乙第1号証ないし乙第15号証によって、「要証期間に、使用商品が存在したこと」及び「使用商品の取引が行われたこと」は、明らかである。 カ 上記(1)エについて 第二審尋における指摘からすれば、不使用取消審判を請求された場合において、不使用取消を免れるために、登録商標の使用に係る商品の「製造装置の写真」、「原材料の写真」、「原材料を仕入れた際の取引書類」、「外注した際の取引書類」、「納品された際の写真」等を提出して、どのように製造を行ったのか、客観的に証明しなければならないことになる。 (ア)登録商標の使用に係る商品の「製造装置の写真」、「原材料の写真」、「原材料を仕入れた際の取引書類」、「外注した際の取引書類」、「納品された際の写真」等は、いずれも、登録商標の使用に係る商品の事業の遂行に非常に重要な情報であって、登録商標の使用に係る商品の製造ノウハウにも相当するため、被請求人は、少なくとも同業他社となる請求人には知られたくないことであり、審判書類は閲覧可能であるため、審判書類の閲覧請求により、登録商標の使用に係る商品の情報が流出し、被請求人と全く関係のない競合の第三者にも被請求人の製造した商品と同一物の商品を製造することが可能になって、被請求人の事業に損害が生じることが容易に予測される。 (イ)不使用取消審判において、登録商標の使用に係る商品の「製造装置の写真」、「原材料の写真」、「原材料を仕入れた際の取引書類」、「外注した際の取引書類」、「納品された際の写真」等を提出して、どのように製造を行ったのか客観的に証明しなければ不使用取消を免れないとすると、請求人は、不使用取消審判の本来の趣旨や目的とは異なり、登録商標の使用に係る商品の「製造装置の写真」、「原材料の写真」、「原材料を仕入れた際の取引書類」、「外注した際の取引書類」、「納品された際の写真」等を入手するために不使用取消審判を請求することも生じ得ることになり、被請求人の事業に損害が生じるだけでなく、商標法の目的等に反することになるものと考えられる。 4 第四答弁書における答弁 (1) 「使用商品が存在したこと」について ア 第二弁駁書には「スプレー缶の内容が不明」という主張がなされている。 しかしながら、スプレー缶の内容については、乙第2号証に、以下のように記載されている。 サイズ 直径65mm×高さ245mm 重量 約140g 酸素濃度 95% 充填量 5リットル 使用回数 50~60回(2秒/回使用の場合) 使用期限 缶の底面記載年月より5年 日本製 また、スプレー缶の内容については、第二答弁書に、以下のように記載されている。 スプレー缶のサイズ:直径65mm×高さ245mm 重量:約140g 酸素濃度:95% 充填量:5100ミリリットル 使用回数:50~60回(1回2秒使用の場合) 使用期限:缶の底面記載年月より5年 日本製 それゆえ、第二弁駁書における「スプレー缶の内容が不明」という主張は、不適切であると思料される。 イ 第二弁駁書には「使用商品の存在したことが証明されておらず」という主張がなされている。 しかしながら、使用商品が存在しなければ、T氏もJ社も、使用商品を購入することは不可能である。 T氏が、使用商品を12本購入したことを証明する書類を乙第3号証として提出し、J社が、使用商品を36本購入したことを証明する書類を乙第4号証として提出した。 また、使用商品が存在しなければ、T氏は16,200円を支払うことはなく、J社は47,520円を支払うこともない。 令和3年3月10日に、T氏から、使用商品12本の注文が入ったことを証明する納品書・請求書を乙第9号証として提出し、令和3年3月18日に、E社がT氏から、16,200円を領収したことを証明する領収書を乙第10号証として提出し、令和3年3月12日に、J社から、使用商品36本の注文が入ったことを証明する納品書・請求書を乙第11号証として提出し、令和3年3月19日に、E社がJ社から、47,520円を領収したことを証明する領収書を乙第12号証として提出した。 さらに、使用商品が存在しなければ、写真も撮影できない。販売された使用商品が撮影された写真の写しを乙第8号証として提出し、販売された使用商品について、正面方向以外の角度から撮影されたスプレー缶の写真の写しを乙第13号証として提出した。 さらにまた、取消2008-300796では、本件審判と同形式の書類が提出されているにもかかわらず、「使用商品が存在したこと」については全く問題とされず、登録商標の使用が認められている。 ウ 第二弁駁書には「市販(日本製)の携帯酸素缶をいつどのように発注し、納品されたのか」と記載されている。 「市販(日本製)の携帯酸素缶をいつどのように発注し、納品されたのか」という、被請求人の「市販(日本製)の携帯酸素缶の発注・納品に関する情報」は、本件商標の使用に係る商品の事業の遂行に非常に重要な情報であって、本件商標の使用に係る商品に関するノウハウに相当するため、被請求人は、少なくとも同業他社には知られたくない事項であると考える。 審判書類は閲覧可能である。本件審判において、被請求人の「市販(日本製)の携帯酸素缶の発注・納品に関する情報」が開示された場合には、審判書類の閲覧によって、本件商標の使用に係る商品に関する情報が流出し、被請求人が販売した商品と全く同一の商品を、競合する第三者が労なく販売することが可能となり、被請求人は、自己の事業に損害を被る可能性が高いと考えられる。 請求人は、商標「EVEREST」について、「化学品」を指定商品とする、現在出願係属中の商標登録出願(商願2019-115781)の出願人であり、巨大企業である。 被請求人と競合すると考えられる請求人が、本件審判によって、被請求人の「市販(日本製)の携帯酸素缶の発注・納品に関する情報」を入手できれば、潤沢な資金を投入して、被請求人の携帯酸素缶の発注先に圧力等をかけることなどは、容易に想像できる。 以上の理由により、被請求人は、被請求人の「市販(日本製)の携帯酸素缶の発注・納品に関する情報」については、できれば開示したくないと考えている。 エ 第二弁駁書には「缶の内容物が酸素でなくとも写真(乙8、乙13)は撮影可能である」という主張がなされている。 写真(乙8、乙13)に撮影された、吸入口付きスプレー缶と同様の商品は、例えば、「amazon」、「yahooショッピング」、「楽天市場」などのネット販売サイトで販売されているため、決して珍しいものでない。 これらの市販されている吸入口付きスプレー缶の吸入口は、人間が気体を吸うために適した形状となっているが、人間が吸入口を使って吸う気体は、酸素しかあり得ないことからすれば、缶の内容物が酸素であると考えることが極めて自然である。 これらの市販されている吸入口付きスプレー缶は、全て携帯酸素缶であり、酸素以外の気体や液体が注入されているものは全く見られないという状況を鑑みれば、缶の内容物が酸素でない吸入口の付いたスプレー缶を撮影することは不可能であると言わざるを得ない。 それゆえ第二弁駁書における「缶の内容物が酸素でなくとも写真(乙8、乙13)は撮影可能である」という主張は、不適切であると思料される。 なお、請求人が、写真に撮影された吸入口の付いたスプレー缶について、その内容物が酸素でないと主張するならば、請求人は、少なくとも、内容物が酸素以外である吸入口付きスプレー缶を具体的に提示すべきであると考える。 (2)「E社とT氏及びJ社との間で、使用商品の取引が行われたこと」について ア 第二弁駁書には「T納品書・請求書(乙9)に記載の税込合計額が誤っている点は、取引の規模に関わらず不自然である」という主張がなされている。 しかしながら、第二答弁書にも記載したように、誤って消費税抜の金額で取引してしまうことは、発生する頻度が決して高くないものの、全く考えられないことではないため、決して不自然なことでない。 また、消費税抜金額で商品の取引をした場合であっても、消費税抜金額で金銭の授受が行われ、その後、商品の受渡しが行われるため、商品の取引自体は、無効とならず、成立し、後に商品の取引が取り消されることもあり得ない。 さらに、消費税抜金額で商品の取引をした場合における税務処理は、所定の方法があるが、登録商標の使用と全く関係がない事柄である。 イ 第二弁駁書には「T納品書・請求書及びJ納品書・請求書(乙9、乙11)に印刷されているE社のロゴマークの向きと、実際に販売した使用商品とされる写真(乙8、乙13)のロゴマークの向きが一致しない点は、取引の規模に関わらず不自然である」という主張がなされている。 しかしながら、「記載スペース」や「デザイン上のバランス」等により、E社のロゴマークの向きを、変更(例えば、90度回転)することは、珍しいことでなく、決して不自然なことではないと考えられる。 また、納品書・請求書に印刷されているE社のロゴマークの向きと、実際に販売した使用商品とされる写真(乙8、乙13)のE社のロゴマークの向きは、統一しなければならないものでなく、一致していなくても特に問題がないと思われる。 さらに、E社のロゴマークの向きは、納品書・請求書から証明される内容と全く関係ない事項である。 それゆえ、第二弁駁書における「T納品書・請求書及びJ納品書・請求書(乙9、乙11)に印刷されているE社のロゴマークの向きと、実際に販売した使用商品とされる写真(乙8、乙13)のロゴマークの向きが一致しない点は、取引の規模に関わらず不自然である」という主張は、不適切であると思料される。 ウ 第二弁駁書には「いずれの書類も本件審判を請求された事実を知った後からでも作成可能な書類である」という主張がなされている。 しかしながら、請求人は、いずれの書類(乙9、乙11)についても、本件審判を請求された事実を知った後に作成したことを証明する根拠を何一つ示していない。上述のとおり、「T納品書・請求書の合計金額」も、E社のロゴマークの向きも、本件審判を請求された事実を知った後に作成したことを証明する根拠とはなり得ない。 それゆえ、第二弁駁書における「いずれの書類も本件審判を請求された事実を知った後からでも作成可能な書類である」という主張は、不適切であると思料される。 エ 第二弁駁書には「写真の撮影日、撮影場所、撮影者は、単に被請求人が証拠説明書に記載して主張するのみ」という主張がなされている。 被請求人は、写真に関し、写真の撮影日、撮影場所、撮影者を、証拠説明書に記載する必要があるという規則に従い、証拠説明書に当該事項を記載したものである。 オ 第二弁駁書には「「証明願」及び「証明書」と題される書面(乙3、乙4)は、被請求人が自身に有利な内容の記載をした書面に、T氏及びJ社が署名・捺印しただけの書面である。」という主張がなされている。 しかしながら、乙第3号証の証明願の「平成30年3月22日から令和3年3月21日の間において、私が「携帯用濃縮酸素」につき、上記商標(商標「エベレスト」)を使用していたことをご証明ください。」及び証明書の「上記(平成30年3月22日から令和3年3月21日)の間において、「携帯用濃縮酸素」を12本買いました。」という記載並びに乙第4号証の証明願の「平成30年3月22日から令和3年3月21日の間において、私が「携帯用濃縮酸素」につき、上記商標(商標「エベレスト」)を使用していたことをご証明ください。」及び証明書の「上記(平成30年3月22日から令和3年3月21日)の間において、「携帯用濃縮酸素」を36本買いました。」という文言は、いずれも、事実を記載したものに該当するため、「被請求人が自身に有利な内容の記載」と考えることは到底できないものである。 また、取消2008-300796では、本件審判で提出された乙第3号証及び乙第4号証とほぼ同様の形式かつほぼ同様の文言の証明願及び証明書が提出され、取消2008-300796の審理においては、証拠として認められている。 カ 第二弁駁書には「チラシの頒布先とするリスト(乙第15号証)に、T氏及びJ社と思われる記載がある。両者(T氏及びJ社)は商標権者の関係者、知り合いのスポーツ用品店・登山道具販売店である」という主張がなされている。 乙第15号証中の「ベレスフォード 様 男性 Jay Berry Japan 長野県北安曇郡」は、J社の代表者であり、「武田 様 男性 白馬ファーム 長野県北安曇郡」は、T氏であるため、T氏及びJ社は、乙第15号証のチラシの頒布先に含まれていることについては間違いはない。 しかしながら、T氏及びJ社は商標権者の関係者ではない。 第二答弁書には、乙第1号証及び乙第2号証の頒布対象者を、「関係者、知り合いのスポーツ用品店・登山道具販売店」と記載したが、「商標権者の関係者」とは記載していない。 ここにいう「関係者」は、携帯用酸素缶に関心がある商品の関係者であって、携帯用酸素缶に関心がないと考えられる商標権者の関係者でない。商標権者の関係者に乙第1号証及び乙第2号証を頒布しても、嫌がられるだけであり、無駄であるだけでなく、人的関係も崩れる可能性もあるため、商標権者の関係者に乙第1号証及び乙第2号証を頒布することはあり得ないだけでなく、実際に商標権者の関係者への乙第1号証及び乙第2号証の頒布は行っていない。 なお、第二答弁書における乙第1号証及び乙第2号証の「頒布対象者」における関係者を商標権者の関係者と解釈すれば、乙第1号証及び乙第2号証の頒布対象者について、携帯用酸素缶に関心がないと考えられる商標権者の関係者と携帯用酸素缶に関心がある知り合いのスポーツ用品店・登山道具販売店が混在することになり、バランスが保てず、一貫性もなくなり、矛盾することになる。 キ 第二弁駁書には「両者(T氏及びJ社)は商標権者の関係者、知り合いのスポーツ用品店・登山道具販売店であるため、商標権者と利害関係を有しない第三者とはいえない。よって客観的な事実を証明できる立場にないから、「証明願」及び「証明書」は何の証明にもならない。」という主張がなされている。 しかしながら、以下の理由から、使用商品の購入者(T氏及びJ社)は、客観的な事実を証明できる立場にある者であると確信する。 (ア)T氏及びJ社の代表者は、使用商品に関しては関心があるが、本件商標が取り消されるか否かは、興味がなく、無関心であると考えられるため、本件商標が取り消されるか否かに関して利害関係がないことから、本件商標の使用に関し、客観的な事実を証明できる立場にあるといえること (イ)上述のとおり、第二答弁書における乙第1号証及び乙第2号証の頒布対象者における関係者は商標権者の関係者でないため、T氏及びJ社の両者とも、商標権者の関係者でないことは明らかであることから、本件商標の使用に関し、客観的な事実を証明できることについて全く問題がないと考えられること (ウ)個別具体的な根拠や理由がないにもかかわらず、単に「関係者、知り合いのスポーツ用品店・登山道具販売店」ということだけを理由として、本件商標の使用に関し、客観的な事実を証明できる立場になく、証明願及び証明書は何の証明にもならないとする請求人の論理は、飛躍しており、不当であることが明確であること また、使用商品を購入したことに関して、記名・押印がされた証明書(乙3、乙4)は、上述のとおり、客観的な事実を証明できる立場にあるT氏及びJ社による記名・押印があるものであるため、使用商品を購入したことを証明する能力を十分発揮すると考えられる。 (3)「チラシが要証期間に頒布等されたこと」について ア 第二弁駁書には「被請求人は、チラシの頒布先リストの写し(乙14、乙15)を提出しているが、担当者名等を列記しているばかり」という主張がなされている。 被請求人は、第二審尋の「当該主張を裏付ける証拠(ダイレクトメールを送付した際の宛先一覧等)の提出がない」という記載に基づき、使用商品の販売者取扱店の募集用チラシ(乙1)を手渡しした人のリストの写しを乙第14号証として提出し、使用商品の販売促進用チラシ(乙2)を手渡し又は郵送した人のリストの写しを乙第15号証として提出した。 それゆえ、乙第14号証のチラシの頒布先リスト及び乙第15号証のチラシの頒布先リストについては、担当者名等が列記されているだけの状態になるのは決して間違っていないと考えられる。 イ 第二弁駁書には「実際に、要証期間に頒布されたことは証明されていない。そもそもチラシの客観的な日付の立証がなされていない。」という主張がなされている。 乙第15号証は、本件商標権者のD氏が、令和2年2月、令和3年1月ないし3月に配布した、乙第2号証(使用商品の販売促進用チラシ)の頒布先を記載したリストの写しである。 上述のとおり、乙第15号証中の「ベレスフォード 様 男性 Jay Berry Japan 長野県北安曇郡」は、J社の代表者であり、「武田 様 男性 白馬ファーム 長野県北安曇郡」は、T氏である。 T氏及びJ社の代表者は、令和2年2月、同3年1月ないし3月に、D氏から使用商品の販売促進用チラシ(乙2)を受け取り(乙15)、当該チラシにより、使用商品の存在を知ったということがわかる。 そして、令和3年3月10日には、T氏から、使用商品12本の注文が入り(乙9)、同月18日には、E社がT氏から、16,200円を領収して(乙10)、使用商品の取引が成立した。また、同月12日には、J社から、使用商品36本の注文が入り(乙11)、同月19日には、E社がJ社から、47,520円を領収して(乙12)、使用商品の取引が成立した。 乙第2号証、乙第9号証ないし乙第12号証及び乙第15号証によって、上述した一連の流れを考慮すれば、乙第2号証は要証期間に頒布されたことは明らかであり、乙第2号証の客観的な日付の立証がなされているものと考えられる。 乙第1号証(使用商品の販売者取扱店の募集用チラシ)についても、乙第14号証(使用商品の販売者取扱店の募集用チラシを手渡しした人のリストの写し)とあいまって、乙第1号証の客観的な日付の立証がなされているものと考えられる。 (4)まとめ 第二弁駁書には「提出した証拠は、登記情報提供サービスの作成にかかる登記情報(乙5)を除いていずれも客観性に欠け、信憑性がなく、にわかに信用し難い。」という主張がなされている。 しかしながら、当該主張は、具体的な反証等が何一つ提示されておらず、単に感想を述べたにすぎないものであるため、いずれも認められるべきものでないことは明白である。 よって、請求人の弁駁は理由のないものである。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、使用商品の販売者・取扱店を募集するためのチラシとされるものであり、当該チラシの上部には大きく「エベレスト/販売者・取扱店募集」の文字、中央には円柱状のスプレー缶(吸入用マスクが取り付けられている。)とおぼしき画像(以下「スプレー画像」という。)の上部に「エベレスト」の片仮名、中央に「EVEREST」(ややデザイン化されている。以下同じ。)の欧文字、下部に「EarthLove Company /presents」の欧文字等が横書きされている。 また、当該チラシの下部には「希望小売価格(上代) 1缶¥1,500(税別) 2019年10月現在」、「携帯用濃縮酸素 使用回数:50回~60回(5リットル)」の記載及び「販売者」として本件商標権者のうち一名の氏名(D氏)及び住所の記載がある。 なお、スプレー画像については、一部を意図的に変化させたデフォルメ画像となっており、「エベレスト」の片仮名及び「EVEREST」の欧文字が横書きされたラベル部分には光の陰影がなく平面的な画像である。 (2)乙第2号証は、使用商品に関する販売促進用のチラシとされるものであり、当該チラシの左側にはスプレー画像と同一の画像が表示されている。 また、右側上部には「商品名」として「エベレスト(R)(携帯用濃縮酸素)」(※審決注:「(R)」は丸に「R」の文字を表す。)の記載が、右側下部には「販売日」として「2020年2月2日」、「販売者」として「EarthLove株式会社」の記載及び「責任者」として本件商標権者のうち一名の氏名(D氏)及び住所の記載がある。 (3)乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標権者(D氏)から使用商品を購入した者(T氏(乙3)、J社(乙4))が作成した証明書とされるものであるところ、これらの上部には「証明願」の見出しの下、「商標「エレベスト」」の記載、「平成30年3月22日から令和3年3月21日の間において、私が「携帯用濃縮酸素」につき、上記商標を使用していたことをご証明ください。」の記載及びD氏の氏名の記載がある。 また、下部には「証明書」の見出しの下、D氏の氏名に「殿」の記載、「上記事実に相違ないことを証明します。」の記載、日付(「令和3年7月29日」(乙3)、「令和3年7月27日」(乙4))及び、「証明の根拠」として「上記(平成30年3月22日から令和3年3月21日)の間において、携帯用濃縮酸素「エベレスト」を12本(36本)買いました。」の記載があり、「住所」、「名称」、「代表者」については、T氏は手書きで、J社はスタンプ印でそれぞれ表示するとともに、押印がされている。 (4)乙第5号証は、E社の「会社・法人の登記情報」の写しとされるものであり、「役員に関する事項」欄に「代表取締役」として、本件商標権者のうち一名の氏名(D氏)及び住所の記載がある。 (5)乙第6号証は、本件商標に係る令和元年5月1日付けの「通常使用権許諾証書」とされるものであり、「通常使用権者」の「名称」として「EarthLove株式会社」の記載並びに「代表者」として本件商標権者のうち一名の氏名(D氏)及び住所の記載、「商標登録番号」として本件商標の登録番号の記載、「1.通常使用権の範囲」として「地域 全部」「期間 令和元年5月1日~令和2年2月5日」「内容 全部」の記載、「商標権者」として、本件商標権者両名の氏名及び住所の記載があり、商標権者両名の押印がされている。 (6)乙第7号証は、本件商標の令和2年2月6日付けの「通常使用権許諾証書」とされるものであり、「通常使用権者」の「名称」として「EarthLove株式会社」の記載並びに「代表者」として本件商標権者のうち一名の氏名(D氏)及び住所の記載、「商標登録番号」として本件商標の登録番号の記載、「1.通常使用権の範囲」として「地域 全部」「期間 令和2年2月6日~令和12年2月5日」「内容 全部」の記載、「商標権者」として、本件商標権者の氏名及び住所の記載があり、商標権者両名の押印がなされている。 (7)乙第8号証は、使用商品の写真(撮影日:令和3年2月22日)とされるものであり、3本のスプレー缶が写っており、ラベル面の上部には「Freshest & Cleanest / Portable Oxygen Can」の文字が、中央には「EVEREST A」の文字及び「最も無垢な携帯酸素缶/エベレスト」の文字が、その下には「スポーツ・運動・マラソン / 登山・トレッキングなどに最適」の文字が、下部には「EarthLove」の文字が表記されている。 (8)乙第9号証は、T氏との取引をした際の「納品書・請求書」の写し(T納品書・請求書)とされるものであり、右上に「令和3年3月15日」及び「EAPOC2103-01」の記載があり、左上には宛名としてT氏の氏名とその住所の記載が、その下には、「件名」として「エベレスト(携帯用濃縮酸素缶)」、「注文日」として「2021年3月10日」の記載が、その右側には、E社の名称、住所及び電話番号、「代表取締役」及び「販売責任者」として本権商標権者の内の一名の氏名(D氏)及び住所の記載がある。さらにその下には、「No.」として「EAPOC」、「項目」として「Everest(Portable Oxygen Can)」、「数量」として「12」、「単価」として「1,500」、「金額」として「18,000」の記載があり、さらにその下の行には、「項目」として「Special Service 10% Off」の記載があり、「金額」として「-1,800」の記載がある。そして、最下部には、「小計」として「16,200」、「消費税」として「1,620」、「税込合計」として「¥16,200」の記載がある。 (9)乙第10号証は、T氏との取引をした際の「領収書(控)」の写し(T領収書)とされるものであり、「入金先」としてT氏の氏名の記載があり、その右側には「No.」として「EAPOC2103-01」の記載が、中央には「¥16,200-」の記載が、その下には「但」として「エベレスト(12本)」、「入金日」として「2021年3月18日」の記載がある。さらに、その下部には、E社の名称と住所及びその「代表取締役」として本権商標権者の内の一名の氏名(D氏)がスタンプで押印されている。なお、T領収書に「No.」として記載されている「EAPOC2103-01」は、T納品書・請求書の右上に記載されている「EAPOC2103-01」と一致する。 (10)乙第11号証は、J社との取引をした際の「納品書・請求書」の写し(J納品書・請求書)とされるものであり、右上に「令和3年3月15日」及び「EAPOC2103-02」の記載があり、左上には宛名としてJ社の名称及びその代表取締役の氏名の記載が、その下には、「件名」として「エベレスト(携帯用濃縮酸素缶)」、「注文日」として「2021年3月12日」の記載が、その右側にはE社の名称、住所及び電話番号,「代表取締役」及び「販売責任者」として本権商標権者の内の一名の氏名(D氏)及び住所の記載がある。さらにその下には、「No.」として「EAPOC」、「項目」として「Everest(Portable Oxygen Can)」、「数量」として「36」、「単価」として「1,500」、「金額」として「54,000」の記載があり、さらにその下の行には、「項目」として「Special Service 20% Off」の記載があり、金額として「-10,800」の記載がある。そして、最下部には、小計として「43,200」、消費税として「4,320」、税込合計として「¥47,520」の記載がある。 (11)乙第12号証は、J社との取引をした際の「領収書(控)」の写し(「J領収書」)とされるものであり、「入金先」としてJ社の名称の記載があり、その右側には「No.」として「EAPOC2103-02」の記載があり、中央には「¥47,520-」の記載が、その下には「但」として「エベレスト(36本)」、「入金日」として「2021年3月19日」の記載がある。また、その下部には、E社の名称と住所及びその「代表取締役」として本件商標権者の内の一名の氏名(D氏)がスタンプで押印されている。なお、J領収書に「No.」として記載されている「EAPOC2103-02」は、J納品書・請求書の右上に記載されている「EAPOC2103-02」と一致する。 (12)乙第13号証は、使用商品の正面方向以外の角度から撮影された写真の写しとされるものであり、ラベルに記載された文字や商品の形状等から乙第8号証と同様のものと考えられるスプレー缶が写っており、当該スプレー缶の中央には「EREST AIR」の記載がある。 2 上記の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)本件商標の使用者及び使用時期について ア E社は、本件商標権者のうちの一名(D氏)が代表取締役を務める会社であって、令和元年5月1日ないし同12年2月5日の間、本件商標権者両名から許諾を受けた、本件商標に係る通常使用権者である(乙5~乙7)。 イ D氏が令和元年(2019年)10月及び令和2年(2020年)2月頃に作成したチラシには、「エベレスト」の文字が表示されたスプレー画像が掲載されている(乙1、乙2)。 ウ チラシに掲載されているスプレー画像と酷似するラベルを用いたスプレー缶の写真には、当該ラベル面に「エベレスト」の文字が表示されている(乙8、乙13)。 エ D氏は、T氏及びJ社に対して、D氏が要証期間に使用商品について、商標「エレベスト」を使用していたことを証明して欲しい旨の依頼を行い、この依頼に対し、T氏は要証期間に使用商品を12本購入した旨を記載した令和3年(2021年)7月29日付けの証明書を、また、J社は要証期間に使用商品を36本購入した旨を記載した同月27日付けの証明書をそれぞれ作成した(乙3、乙4)。 オ E社は、T氏から令和3年(2021年)3月10日に、「エベレスト(携帯用濃縮酸素缶)」についての注文を受け、同月15日に、T氏に対し12本納品したことを内容とするT納品書・請求書を発行し(乙9)、同月18日に代金として16,200円を領収したことを内容とするT領収書を発行した(乙10)。 カ E社は、令和3年(2021年)3月12日に、J社から「エベレスト(携帯用濃縮酸素缶)」についての注文を受け、同月15日に、J社に対し36本納品したことを内容とするJ納品書・請求書を発行し(乙11)、同月19日に代金として47,520円を領収したことを内容とするJ領収書を発行した(乙12)。 キ T納品書・請求書に記載の「EAPOC2103-01」はT領収書に「No.」として記載の「EAPOC2103-01」と、また、J納品書・請求書に記載の「EAPOC2103-02」はJ領収書に「No.」として記載の「EAPOC2103-02」と一致すること、ともに「エベレスト」の記載があること、数量及び税込み金額が一致することから、T領収書はT納品書・請求書に記載された売買取引に係るものであって、J領収書はJ納品書・請求書に記載された売買取引に係るものであることが認められる(乙9~乙12)。 ク 以上アないしキからすれば、本件商標の通常使用権者であるE社は、T氏から令和3年(2021年)3月10日に、J社から同月12日に、使用商品である「エベレスト」についての注文を受け、同月15日にT氏へ12本、J社へ36本をそれぞれ納品し、その代金をT氏からは同月18日、J社からは同月19日にそれぞれ領収したことが認められる。 また、T氏及びJ氏に納品された商品は、乙第8号証及び乙第13号証に示された写真に掲載されたスプレー缶に包装された商品であると推認でき、当該スプレー缶には「エベレスト」の文字(以下「本件使用商標」という。別掲)が表示されている。 そうすると、本件商標の通常使用権者は、要証期間である令和3年3月15日に、本件使用商標が包装に表示された商品「携帯用濃縮酸素缶」(使用商品)を販売(譲渡又は引き渡)したものと認めることができる。 (2)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について 本件商標は「エベレスト」の文字を標準文字で表してなるところ、本件使用商標は、本件商標と同一の片仮名からなるものであるから、両者は社会通念上同一の商標と認められる。 (3)使用商品について 使用商品である「携帯用濃縮酸素缶」は、請求に係る指定商品「化学品」に含まれるものである。 (4)小括 上記(1)ないし(3)によれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間である令和3年3月15日に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、請求に係る指定商品に含まれる使用商品の包装に付し、販売(譲渡又は引き渡)したものと認めることができる。 そして,本件商標権者の通常使用権者による上記行為は、商標法第2条第3項第2号の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」に該当する。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、通常使用権者が、請求に係る指定商品に含まれる商品「携帯用濃縮酸素缶」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。 したがって、本件商標の請求に係る指定商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-300151

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