商標拒絶査定不服審判
2021-014347
サイレントクリーンファン、サイレントクリーン、サイレント
- 審判番号
- 2021-014347
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-119983
- 請求日
- 2021年10月22日
- 審決日
- 2022年11月11日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝キヤリア株式会社
- 【請求人代理人】櫻木 信義
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .13 -Z (W11)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第56条第1項、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-119983拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「サイレントクリーンファン」の文字を標準文字で表してなり、第11類「ボイラー(動力機械部品・機関用のものを除く。),業務用暖冷房装置,業務用冷凍機械器具,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。),ストーブ類(電気式のものを除く。),ヒートポンプ,換気扇,換気(空気調和)用の設備及び装置,空気調和装置」を指定商品として、令和2年9月29日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年2月4日付けで拒絶理由が通知され、同年3月15日に意見書が提出されたが、同年8月2日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和3年10月22日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は「本願商標は、「サイレントクリーンファン」の文字を標準文字で表してなるものであるが、構成中の「サイレント」の文字は「音をたてないこと。無言であること。」を、「クリーン」の文字は「清潔なさま。きれいなさま。」を、「ファン」の文字は「扇風機。送風機。換気扇。」をそれぞれ意味する語としてよく知られているから、本願商標は、全体として「音をたてない清潔な送風機」程の意味合いを認識させるものである。そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、別掲1のとおり、静音性の高い、送風機を備えた装置がサイレントファンと称され取引されており、また、清浄化された空気を供給する送風機を備えた装置がクリーンファンと称され取引されている実情があることよりすれば、「サイレント」、「クリーン」及び「ファン」の各語を一連に書したにすぎない本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者に、「静音性が高く清浄化された空気を供給できる、送風機を備えた装置」であることを認識させるにとどまるものであるから、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
本件について、職権による証拠調べを実施し、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果(別掲2)を請求人に通知し(令和4年7月20日付け証拠調べ通知書)、相当の期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 請求人の意見
請求人は、上記3の通知に対する令和4年8月4日受付の意見書において、要旨、以下(1)ないし(3)のとおり意見を述べた。
(1)証拠調べ通知で挙げた事実は、「サイレントファン」や「クリーンファン」等の語が、本願の指定商品に関連深い商品について使用されていることを示すものであるが、「サイレントクリーンファン」の語の使用例については一例もない。「サイレントクリーンファン」の語は、一般には使用されておらず、自他商品識別機能を有する暗示的商標として請求人が創出した造語商標である。請求人の使用例のみで、他人による使用例はない。
(2)「サイレントクリーンファン」の文字が一義的な意味合いのみを生ずるとした拒絶査定の認定は、短絡的で誤ったものである。本願商標は、拒絶査定で認定した意味合いのみならず、「静かで清潔なファン」、「静かで鮮やかなファン」、「静かで無公害なファン」、「静かで均整の取れたファン」、「静かで掃除性の良いファン」、「静かで手入れしやすいファン」等多様な意味合いを想起させる造語商標である。
(3)請求人は、本願商標「サイレントクリーンファン」を、本願の指定商品中の商品に使用しているが、本願の指定商品の需要者、取引者において、請求人の商品と他者の商品との間で誤認混同が生じたという事実及び請求人の商品の品質や効能について誤認が生じたという事実を知らない。「サイレントクリーンファン」の文字は、本願の指定商品の実際の市場において、品質表示語として理解されるものではなく、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る商標である。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「サイレントクリーンファン」の文字を標準文字で表してなるものであるが、別掲2の1のとおり、構成中の「サイレント」の文字は「無音の。」を、「クリーン」の文字は「きれいなさま。清潔なさま。」を、「ファン」の文字は「扇風機。送風機。」をそれぞれ意味する語として複数の一般的な辞書に採録されたよく知られた語であるから、本願商標は、全体として「音をたてない清潔な送風機」程の意味合いを認識させるものである。
そして、本願の指定商品との関係においては、静音性は需要者が一般的に求めるニーズであって(別掲1の3(1)、(2))、本願の指定商品を取り扱う業界においては、静音性の高い送風機がサイレントファン、サイレント○○ファン等と称され取引されている実情(別掲1の2(1)、(2)及び別掲2の2)があり、また、「サイレント」の文字に商品名を組み合わせて、静音性の高い又は無音の商品であることを表すものとして使用されている事実(別掲2の4)があることよりすれば、「サイレントファン」の文字からは、「静音性が高い送風機、又は当該送風機を備えた装置」を容易に想起させるといえる。
また、本願の指定商品との関係においては、きれいな空気や清潔な空気の供給は、需要者、取引者に従来にも増して重要視され(別掲1の3(3)、(4)、(6)ないし(8)、(10))、そのようなきれいな空気、清潔な空気は、ファンで送風され(別掲1の2(3)、(4)、及び3(5)、(9)ないし(13))、さらに、環境等を清潔に保つ送風機(清潔な空気を供給する送風機)又は当該送風機を備えた装置がクリーンファンと称され取引されている実情(別掲1の2(3)、(4)、3(5)及び別掲2の3)があり、そして、「クリーン」の文字に商品名を組み合わせた文字が、環境等を清潔に保つ商品であることを表すものとして使用されている事実(別掲2の5)があることよりすれば、「クリーンファン」の文字からは、「きれいな空気、清浄化された空気を供給できる送風機又は当該送風機を備えた装置」を容易に想起させるものである。
そうすると、「サイレントクリーンファン」の文字からなる本願商標は、これを本願の指定商品中、例えば、「業務用暖冷房装置」、「家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。)」の範ちゅうに含まれる扇風機、衣類乾燥器、布団乾燥機等や、「換気扇」、「換気(空気調和)用の設備及び装置」及び「空気調和装置」等に使用した場合、これに接する取引者、需要者に、「静音性が高く、環境等を清潔に保つ送風機(清潔な空気を供給する送風機)又は当該送風機を備えた装置」であるという商品の品質を表示したものと認識させるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
また、本願商標は、標準文字のみからなるものであるから、普通に用いられる方法で表示する標章といえる。
したがって、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、証拠調べ通知で挙げた事実中には、「サイレントクリーンファン」の語の使用例は一例もなく、本願商標は、自他商品識別機能を有する暗示的商標として請求人が創出した造語商標である旨、また、「サイレントクリーンファン」の語は一般には使用されておらず、請求人の使用例のみであり、他人による使用例はない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実が、同号の適用の要件となるものではないから、請求人のみが「サイレントクリーンファン」の文字を使用し、他人の使用例がないとしても、本件商標の上記判断が左右されるものではない。
イ 請求人は、「サイレントクリーンファン」の文字が一義的な意味合いのみを生ずるとした拒絶査定の認定は、短絡的で誤っており、本願商標は、拒絶査定で認定した意味合いのみならず、「静かで清潔なファン」、「静かで鮮やかなファン」、「静かで無公害なファン」等多様な意味合いを想起させる造語商標である旨主張する。
しかしながら、たとえ「サイレント」、「クリーン」、「ファン」の文字が、それぞれ、複数の語義を有する語であるとしても、本願商標「サイレントクリーンファン」の語が商品の品質を表すものであるか否かの判断に当たっては、当該商標の構成態様及び指定商品を取り扱う分野における取引の実情等よりみて、当該商標を当該商品に使用した場合における、取引者、需要者の理解、認識の度合いをもって、当該商標が商品の品質を表示するものであるか否かを判断すべきものである。
そして、本願商標が「サイレントクリーンファン」の文字を、普通に用いられる方法で表示してなり、かつ、本願の指定商品を取り扱う分野においては、別掲1及び別掲2の事実があることを踏まえれば、上記(1)のとおり、本願商標は、これに接する需要者等をして「静音性が高く、環境等を清潔に保つ送風機(清潔な空気を供給する送風機)又は当該送風機を備えた装置」であるという商品の品質を表示したものと認識させるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
ウ 請求人は、本願商標を、本願の指定商品中の商品に使用しているが、 本願の指定商品の需要者、取引者において、請求人の商品と他者の商品との間で誤認混同が生じたという事実、及び、請求人の商品の品質や効能について誤認が生じたという事実を知らない旨、「サイレントクリーンファン」の文字は、本願の指定商品の実際の市場において、品質表示語として理解されるものではなく、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る商標である旨主張する。
しかしながら、請求人の上記主張を立証するに足る証左はなく、「サイレントクリーンファン」の文字が、本願の指定商品の実際の市場において、自他商品識別機能を果たし得る商標であると認定しなければならない特別な事情はないものである。
そして、上記(1)のとおり、本願商標「サイレントクリーンファン」は、その文字から生じる語義及び指定商品を取り扱う分野における取引の実情等を考慮すれば、これをその指定商品中、例えば、「業務用暖冷房装置」、「家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。)」の範ちゅうに含まれる扇風機、衣類乾燥器、布団乾燥機等や、「換気扇」、「換気(空気調和)用の設備及び装置」及び「空気調和装置」等に使用するときは、「静音性が高く、環境等を清潔に保つ送風機(清潔な空気を供給する送風機)又は当該送風機を備えた装置」を表示する語として理解され、商品の品質表示として認識、把握されるというべきである。
エ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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