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特許拒絶査定不服審判

2021-014122

タッチ入力装置、これを含む車両、およびその製造方法

審判番号
2021-014122
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-203737外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年10月18日
審決日
2022年10月18日
公報発行日
2022年11月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-203737「タッチ入力装置、これを含む車両、およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月 1日出願公開、特開2017- 97855、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年10月17日(パリ条約による優先権主張2015年11月19日、韓国)の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和2年12月 7日付け:拒絶理由通知書 令和3年 5月 7日: 意見書、手続補正書の提出 令和3年 8月12日付け:拒絶査定 令和3年10月18日: 審判請求書、手続補正書の提出 令和4年 4月19日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」と いう。) 令和4年 7月20日: 意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和3年8月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 理由1(進歩性) 本願請求項1-12に係る発明は、以下の引用文献A-Fに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特表2014-505942号公報 B.特表2015-524961号公報 C.米国特許出願公開第2014/0218630号明細書 D.米国特許出願公開第2014/0187092号明細書 E.特開2013-46996号公報 F.特開2007-27312号公報 第3 当審拒絶理由の概要 理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1-7、10-12の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1-7、10-12の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由3(進歩性) 本願請求項1-12に係る発明は、引用文献1-5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.国際公開第2015/048582号(当審において新たに引用した文献) 2.米国特許出願公開第2014/0187092号明細書(拒絶査定時の引用文献D) 3.特開2007-27312号公報(拒絶査定時の引用文献F) 4.特表2000-502407号公報(当審において新たに引用した文献) 5.特開2014-215843号公報(当審において新たに引用した文献) 第4 本願発明 本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、令和4年7月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 金属複合体を含むベース; 前記ベースの一面に凹状に形成される第1パターン溝; 前記ベースの他面に凹状に形成される第2パターン溝; 前記第1パターン溝に設けられ、伝導性素材を含む第1感知パターン; 前記第2パターン溝に設けられ、伝導性素材を含む第2感知パターン;および 前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンと集積回路を連結する配線部を含み、 前記ベースの一面は、異なる複数の曲率を有する曲面であり、前記ベースの他面は、前記ベースの逆面に対応する形状で設けられており、 前記ベースの最も低い地点は、前記ベースの中心から所定の方向に偏って位置しており、 前記第1パターン溝は、前記ベースの前記異なる複数の曲率を有する曲面に対応する形状で設けられており、 前記第2パターン溝は、前記ベースの前記異なる複数の曲率を有する曲面に対応する形状で設けられており、 前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンは、前記ベースの前記異なる複数の曲率を有する曲面に対応する形状で設けられており、 前記第1パターン溝は、前記ベースの前記一面にレーザーを照射することにより、前記第1パターン溝内に露出した金属シードを有するように形成されており、 前記第2パターン溝は、前記ベースの前記他面にレーザーを照射することにより、前記第2パターン溝内に露出した金属シードを有するように形成されている、 タッチ入力装置。」 なお、本願発明2-12の概要は以下のとおりである。 本願発明2-7、10-11は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明8は、本願発明1に対応する「製造方法」の発明である。 本願発明9は、本願発明8を減縮した発明である。 本願発明12は、本願発明1に対応する「車両」の発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1及び引用発明 (1) 引用文献1 当審拒絶理由において引用された引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。訳は、関連する特表2016-532985号公報を参考に訳した。以下同様。)。 ア 「Deficiencies in the Prior Art The prior art as detailed above suffers from the following deficiencies: ・・・(中略)・・・ ・Prior art sensor systems are not amenable to construction in non-planar formats. 」(明細書第4頁7行目乃至22行目) (訳: 従来技術での欠点 上記で詳述された従来技術は、以下の欠点を有する。 ・・・(中略)・・・ ・従来技術のセンサシステムは、非平坦フォーマットでの構築に適さない。) イ 「OBJECTIVES OF THE INVENTION Accordingly, the objectives of the present invention are (among others) to circumvent the deficiencies in the prior art and affect the following objectives: ・・・(中略)・・・ (7) Provide for a touch sensor detector system and method that is amenable to construction in non-planar formats.」(明細書第5頁3行目乃至22行目) (訳: 発明の目的 したがって、本発明の目的は、(特に)従来技術における欠点を回避し、以下の目的に影響を及ぼすことである。 ・・・(中略)・・・ (7)非平坦フォーマットでの構築に適するタッチセンサ検出システム及び方法 を提供する。) ウ 「Curved or Flexible Sensors The IFSA technology can be used to create curved or flexible sensors in several different ways. Flexible sensors can be created by using flexible substrates such as Polyimide (also known as KAPTONR), PET, or Polycarbonate for the circuit, and using flexible materials for the FSM as well. To create a sensor that is permanently curved, a flexible sensor can be laminated onto a curved rigid surface, or it is possible to start with a flat sensor and mold it into/onto a non-flat surface. It is also possible to directly manufacture the sensor electrodes on a curved surface using known techniques such as Laser Direct Structuring (LDS) or by 3D printing using both conductive and insulating materials.」(明細書第59頁28行目乃至第60頁7行目) (訳: 湾曲又は可撓性センサ IFSA技術は、湾曲又は可撓性センサを幾つかの異なる方法で作成するために使用することができる。可撓性センサは、ポリイミド(カプトン(KAPTON)(登録商標)としても知られる)、PET、又はポリカーボネート等の可撓性基板を回路に使用し、FSMにも同様に可撓性材料を使用することにより、作製することができる。 永久的に湾曲したセンサを作製するには、可撓性センサは湾曲した剛性表面に積層することができるか、又は平坦なセンサで開始し、それを非平坦表面内/上に成形することが可能である。レーザダイレクトストラクチャリング(LDS:Laser Direct Structuring)又は導電性材料及び絶縁性材料の両方を使用した3Dプリント等の既知の技法を使用して、センサ電極を湾曲表面上に直接製造することも可能である。) エ 「Electronics Details The electronics for scanning an IFSA consist of several components. These components are meant to illustrate one embodiment of the invention. It should be clear to the reader that alternative variations and combinations of components can be used in keeping with the spirit of the disclosure. Furthermore, some components may be integrated together (for example, via an integrated circuit or ASIC), can be implemented in software, or removed altogether without substantially limiting the ability to scanthe sensor.」(明細書第60頁25行目乃至31行目) (訳: 電子デバイスの詳細 IFSAを走査する電子デバイスは、幾つかの構成要素からなる。これらの構成要素は、本発明の一実施形態の例示を意図する。構成要素の代替の変形形態及び組み合わせが、本開示の趣旨に沿って使用可能なことが読み手には明確であるはずである。更に、幾つかの構成要素は、センサを走査する能力を実質的に制限せずに、一緒に集積し得(例えば、集積回路若しくはASICを介して)、ソフトウェアで実施し得、又は一緒に除去し得る。) オ 「CAPACITIVE INTERPOLATION SENSOR(8100)-(8800) Overview Yet another embodiment of the present invention may utilize the interpolation concepts associated with the FSA in the context of a capacitive sensor array as depicted in FIG. 81 (8100) - FIG. 88 (8800). The designs depicted in these drawings describe two exemplary configurations: ・single-sided diamond pattern with bridges (as generally depicted in FIG. 81 (8100) - FIG. 82 (8200)); and ・double-sided with straight rows and columns (as generally depicted in FIG. 83 (8300) - FIG. 84 (8400)).」(明細書第89頁1行目乃至10行目) (訳: 容量性補間センサ(8100)~(8800) (概説) 本発明の更に別の実施形態は、図81(8100)~図88(8800)に示されるような容量性センサアレイに関連して、FSAに関連付けられた補間の概念を利用し得る。これらの図面に示される設計は、2つの例示的な構成を示す: ・ブリッジを有する片面菱形パターン構成(図81(8100)及び図82(8200)に概して示されるような);及び ・直線の行及び列を有する両面構成(図83(8300)及び図84(8400)に概して示されるような)。) カ 「Double-Sided Pattern With Straight Row/Columns (8300)-(8400) As generally depicted in FIG. 83 (8300) - FIG. 84 (8400), a capacitor sensor employing a double-sided pattern with straight rows and columns is illustrated that is formed on a substrate (8301) such as glass or plastic. In this preferred embodiment, columns (8302) and rows (8303) are on opposite sides of the sensor (so they do not short) and may alternatively be deposited onto separate substrates (one for rows and one for columns). The columns (8302) and rows (8303) are formed of transparent conductors (such as ITO, carbon nanotubes, conductive polymer, nano-wires, patterned conductor, etc.) to form the VIA. This array is attached to column (8304) and row (8305) interpolation resistors formed either by depositing a resistive material or simply by leaving a thin bridge of the transparent conductor on the substrate (8301) surface. These IIC and IIR resistors (8304, 8305) are electrically coupled via column (8306) and row (8307) connections to active column trace lines (8308) and active row trace lines (8309). These column (8308) and row (8309) trace lines are routed to areas (8310) for bonding conductive flexes which interconnect with drive and sense electronics (or in some cases configured for directly bonding electronics to the substrate (8301). Referring to the sectional view of FIG. 84 (8400), the substrate (8401) is seen supporting the column transparent conductors (8402) and row transparent conductors (8403). Also depicted in this cross section are therow trace connections (8407) and row traces (8409) that may be formed using etched or printed conductive material.」(明細書第90頁9行目乃至27行目) (訳: 直線の行/列を有する両面パターン(8300)及び(8400) 図83(8300)及び図84(8400)に概して示されるように、直線の行及び列を有する両面パターンを利用する容量性センサが示され、これは、ガラス又はプラスチック等の基板(8301)上に形成される。この好ましい実施形態では、列(8302)及び行(8303)は、センサの逆側にあり(したがって、短絡しない)、代替的には、別個の基板に堆積し得る(行に1つの基板、列に1つの基板)。列(8302)及び行(8303)は、透明導電体(ITO、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、ナノワイヤ、パターニングされた導電体等)で形成されて、VIAを形成する。このアレイは、抵抗性材料を堆積させるか、又は単に透明導電体の薄いブリッジを基板(8301)表面に残すことによって形成される列(8304)及び行(8305)補間抵抗に取り付けられる。これらのIIC及びIIR抵抗(8304、8305)は、列(8306)及び行(8307)接続を介してアクティブ列トレース線(8308)及びアクティブ行トレース線(8309)に電気的に結合される。これらの列(8308)及び行(8309)トレース線は、駆動及び検知電子デバイスと相互接続する導電性コードに接合するエリア(8310)に配線される(又は幾つかの場合、電子デバイスを基板(8301)に直接接合するように構成される)。 図84(8400)の断面図を参照すると、基板(8401)は、列透明導電体(8402)及び行透明導電体(8403)を支持して見られる。この断面には、エッチング又はプリントされた導電性材料を使用して形成し得る行トレース接続(8407)及び行トレース(8409)も示される。) また、引用文献1には、引用発明に関連して次の各図が示されている。 キ 【図83】 「 [図:0001390276000001.jpg] 」 ク 【図84】 「 [図:0001390276000002.jpg] 」 (2) 引用発明 よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 「非平坦フォーマットでの構築に適するタッチセンサ検出システムであって、 永久的に湾曲したセンサを製作するため、 レーザダイレクトストラクチャリング(LDS:Laser Direct Structuring)を使用して、センサ電極を湾曲表面上に直接製造し、 センサを走査する能力を実質的に制限せずに、一緒に集積し得(例えば、集積回路若しくはASICを介して)、ソフトウェアで実施し得、 行及び列を有する両面構成とし、 列(8302)及び行(8303)は、透明導電体で形成されて、 基板(8401)は、列透明導電体(8402)及び行透明導電体(8403)を支持しているタッチセンサ検出システム。」 2 引用文献2-5 (1) 引用文献2 当審拒絶理由において引用された引用文献2には、段落【0032】に、以下の記載がある。 「[0032] Referring to FIG. 5, in an embodiment, the body 21 may be made by a mixture of polymer material and metal additive, the metal additive is sensitive to laser. The metal additive may be metal complex or organic metal complex. A pattern for forming the trace 22 is formed on the body 21 by laser. A surface under laser radiation will be etched to form a shallow groove 213. A bottom surface of the shallow groove 213 is a coarse surface. The metal additive is activated under laser radiation to perform physicochemical reactions and produce metal particles embedded into the coarse bottom surface. These metal particles may be acted as metal nuclei of crystal growth in a metal deposition technology. After the pattern is formed by the laser, the body 21 may be placed into a plating solution, thus a laser direct structuring layer as the trace 22 may be plated on the shallow groove 213.」 (訳: 【0032】 図5を参照すると、一実施形態では、本体21は、高分子材料と金属添加物の混合により製造することができ、金属添加剤は、レーザに敏感である。金属添加物は、金属錯体又は有機金属錯体であってもよい。トレース22を形成するためのパターンは、レーザによって、本体21に形成される。レーザ光の照射下において、表面がエッチングされ、浅い溝213が形成される。浅い溝213の底面は粗面である。金属添加物が、レーザ放射線で活性化されて、物理化学的反応が行われ、粗い底部の表面中に埋め込まれた金属粒子を生成する。これらの金属粒子は、金属蒸着技術における結晶成長の核としても作用させられる。レーザによってパターンが形成された後、本体21はめっき液に入れることによって、トレース22としてのLDS層を、浅い溝213の上にめっきできる。) (2) 引用文献3 当審拒絶理由において引用された引用文献3には、段落【0037】-【0047】、【0060】に、以下の記載がある。 「【0037】 このような構成の配線基板10の製造工程の概略を図2(a)~(f)に示す。 【0038】 図2(a)に示すように、まず樹脂層形成工程では、はじめに光触媒粒子16を含有した樹脂層12を型22などによって形成する。この樹脂層12の厚みは200μm以下程度であり、その材料としてはエポキシ樹脂やフェノール樹脂、ポリイミドなどの有機物が用いられる。本実施の形態では一般的なエポキシ系であるエポキシ樹脂を用いることとする。 ・・・(中略)・・・ 【0042】 図2(b)~(d)に示す光触媒粒子露出工程では、樹脂層に含有されている光触媒粒子16をパターン状に露出させる。はじめに図2(b)に示すように所望のパターン24が形成されたマスク26を通して紫外光UVを照射し、図2(c)に示すように照射部のみに光触媒反応を起こして樹脂層12を分解させ、光触媒粒子16をパターン通りに樹脂層12表面に露出させ、パターン18を形成する。 ・・・(中略)・・・ 【0046】 図2(f)における導電体層形成工程(電解めっき工程)では、樹脂層12上に電気めっきによって導電体層14を形成し、所望の回路を形成する配線パターン(パターンニングされた導電体層14)を形成する。この工程では、光還元析出工程(図2(e))で形成された銅皮膜20を給電層として電気めっきで増膜させて、導電体層14を形成する。なお、本例の導電体層形成工程では、樹脂層12のパターン18に導電体層14の材料となる銅を用いためっきを施すが、銅に代えて金、プラチナなどの導電性を有する導電金属材料を導電体層14としてめっきしてもよい。 【0047】 このようにして樹脂層12のパターン18に導電体層14が形成され、図1に示した配線基板10が形成される。」 「【0060】 図4(a)~(c)に示す光触媒粒子露出工程では、レーザー照射による光触媒反応によって光触媒粒子16を露出させる。すなわち、図4(b)において樹脂層12にパターン状にレーザーを照射させ、図4(c)に示すようにレーザー照射による光触媒反応にて樹脂層12を除去してパターン50を形成すると同時に、レーザーが照射された樹脂層12部分の光触媒粒子16を、樹脂層12表面に露出させる。レーザーによってパターン50を形成するので、エッジがシャープな配線パターンを得ることが可能となり、配線パターンの高密度化に有利となる。」 (3) 引用文献4 当審拒絶理由において引用された引用文献4には、5ページ12-15行、7ページ15-21行に、以下の記載がある。 「本発明の課題は、電気回路の微細なパターン導線構造体を合理的にかつ確実に製造することができそして10μmのパターン導線幅および?間隔までのパターン導線の微細組織を確実に保証するパターン導線構造体を製造する合理的でかつ確実な方法を提供することである。」 「本発明によれば有機非導電性重金属錯塩はミクロ孔多孔質ベース材料の上に均一に分散され、多孔質構造を形成する結合剤中に混入されそして次に支持体材料の上に被覆物として設けられる。次いで重金属錯塩は選択的に適用されるエキシマレーザーUV照射によって金属化すべき領域だけ金属核が形成される様に分解され、その金属核が次いで還元浴中で金属の沈着を実現する。この金属の沈着は多孔質ベース材料中にそれ自体が根をはることによるかまたは外部に横たわることによって行なう。例えば強く接合したコンダクター・トレインが形成される。」 (4) 引用文献5 当審拒絶理由において引用された引用文献5には、段落【0021】-【0048】に、以下の記載がある。 「【0021】 そして、以上の構成からなる電子機器1には、動作モードとして、製造現場で製品検査時に使用されるタッチパネル検査モードが予め用意されている。タッチパネル検査モードは、主として電子機器1の組立工程でタッチパネル163を電子機器1の筐体へ取り付ける際に前述した電極パターンに断線等が生じることによってタッチパネル163に不具合が生じていないか検査するための動作モードである。このタッチパネル検査モードは、製造現場での使用に限らず、ユーザーが電子機器を購入した後に、サービスマンやユーザー自身が検査を行う場合に使用することも可能である。 【0022】 タッチパネル検査モードを用いた検査手順は極めて簡単であり、検査を行う者はタッチパネル検査モードを設定した後、LCD161の画面Gに表示される後述する上下辺用、又は左右辺用の検査用パターン100,101(図3参照)を、単に画面(タッチパネル163)にタッチした指でなぞることにより行われる。 【0023】 以下、タッチパネル検査モードが設定されたときのCPU11の処理手順を図2のフローチャートに従い説明する。 ・・・(中略)・・・ 【0047】 そして、CPU11は、上述した処理中にステップS3の処理でタッチ情報の異常が確認されることなく、タッチパネル163の全ての辺の検査が終了したら(ステップS8:YES)、全ての辺について検査結果が正常であったと判断し、その旨を示す検査結果情報として、図6(a)に示したように「検査OK」をLCD161に表示する(ステップS9)。これによりタッチパネル検査モードによる処理を終了する。 【0048】 また、CPU11は、上述した処理中に任意の時点でタッチ情報の異常を確認した場合(ステップS3:YES)、つまりその時点で検査対象として設定されているタッチパネル163のいずれか辺について異常を確認した場合には、その旨を示す検査結果情報として、図6(b)に示したように「検査NG」をLCD161に表示する(ステップS10)。これによりタッチパネル検査モードによる処理を終了する。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)引用発明では「湾曲表面上に直接」「センサ電極」が製造されたものであるから、該湾曲表面を有するものは、本願発明1の「金属複合体を含むベース」と「ベース」である点で共通するといえる。 (イ)引用発明の「両面構成」された「透明導電体」のそれぞれの面の「センサ電極」は、本願発明1の「前記第1パターン溝に設けられ、伝導性素材を含む第1感知パターン」及び「前記第2パターン溝に設けられ、伝導性素材を含む第2感知パターン」と、「伝導性素材を含む第1感知パターン」及び「伝導性素材を含む第2感知パターン」である点で共通するといえる。 (ウ)引用発明における「湾曲センサ」は、タッチセンサ検出システムに適用するものであることから、引用発明は湾曲表面を有するもの及びセンサ電極のみならず、両面のセンサ電極と集積回路とを連結する「配線」を備えていることが明らかであって、このような「配線」は、本願発明1の「前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンと集積回路を連結する配線部」に相当する。 (エ)引用発明は、図84の断面図を参照すると、基板(8401)は、列透明導電体(8402)及び行透明導電体(8403)を支持する両面構成が開示されているところ、LDSにより製造された湾曲センサであるから、湾曲表面を有するものにおけるセンサ電極も基板に支持されている両面構成であって、ここで、基板(ベース)の厚みが一定であれば、基板(ベース)の一方の面と他の面とは互いに「対応する形状」となることが明らかであることを考慮すると、引用発明の「センサ電極を湾曲表面上に直接製造し」たものは、本願発明1の「前記ベースの一面は、異なる複数の曲率を有する曲面であり、前記ベースの他面は、前記ベースの逆面に対応する形状で設けられており」、「前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンは、前記ベースの前記異なる複数の曲率を有する曲面に対応する形状で設けられて」いることと、「前記ベースの一面は、曲面であり、前記ベースの他面は、前記ベースの逆面に対応する形状で設けられており」、「前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンは、前記ベースの前記曲面に対応する形状で設けられて」いる点で共通するといえる。 (オ)引用発明の「タッチセンサ検出システム」は、本願発明1の「タッチ入力装置」に相当する。 よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。 [一致点] 「ベース; 伝導性素材を含む第1感知パターン; 伝導性素材を含む第2感知パターン;および 前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンと集積回路を連結する配線部を含み、 前記ベースの一面は、曲面であり、前記ベースの他面は、前記ベースの逆面に対応する形状で設けられており、 前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンは、前記ベースの前記曲面に対応する形状で設けられている、 タッチ入力装置」 [相違点1] 本願発明1では、ベースが「金属複合体を含む」ものであるのに対して、引用発明では、センサ電極の製造にLDSを使用することの規定にとどまるものであって、ベースの具体的な組成や構造について特定されていない点。 [相違点2] 本願発明1では、「前記ベースの一面に凹状に形成される第1パターン溝」と「前記ベースの他面に凹状に形成される第2パターン溝」とを有しており、 第1及び第2感知パターンが、「前記第1パターン溝に設けられ」及び「第2パターン溝に設けられ」ており、 前記ベースの一面が、「異なる複数の曲率を有する」曲面であり、 「前記ベースの最も低い地点は、前記ベースの中心から所定の方向に偏って位置しており」、 「前記第1パターン溝は、前記ベースの前記異なる複数の曲率を有する曲面に対応する形状で設けられており」、 「前記第2パターン溝は、前記ベースの前記異なる複数の曲率を有する曲面に対応する形状で設けられており」、 前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンは、前記ベースの前記「異なる複数の曲率を有する」曲面に対応する形状で設けられているのに対し、引用発明では、永久的に湾曲したセンサを製作するため、LDSを使用して、センサ電極を湾曲表面上に直接することの規定にとどまるものであって、ベース、パターン溝、感知パターンの具体的な形状や構造について特定されていない点。 [相違点3] 本願発明1では、「前記第1パターン溝は、前記ベースの前記一面にレーザーを照射することにより、前記第1パターン溝内に露出した金属シードを有するように形成されており」、「前記第2パターン溝は、前記ベースの前記他面にレーザーを照射することにより、前記第2パターン溝内に露出した金属シードを有するように形成されている」のに対して、引用発明では、センサ電極の製造にLDSを使用することの規定にとどまるものであって、パターン溝の具体的な組成や構造について特定されていない点。 (2) 当審の判断 事案に鑑みて、上記[相違点2]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点2]に係る「前記ベースの一面に凹状に形成される第1パターン溝」と「前記ベースの他面に凹状に形成される第2パターン溝」とを有しており、 第1及び第2感知パターンが、「前記第1パターン溝に設けられ」及び「第2パターン溝に設けられ」ており、 前記ベースの一面が、「異なる複数の曲率を有する」曲面であり、 「前記ベースの最も低い地点は、前記ベースの中心から所定の方向に偏って位置しており」、 「前記第1パターン溝は、前記ベースの前記異なる複数の曲率を有する曲面に対応する形状で設けられており」、 「前記第2パターン溝は、前記ベースの前記異なる複数の曲率を有する曲面に対応する形状で設けられており」、 前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターンは、前記ベースの前記「異なる複数の曲率を有する」曲面に対応する形状で設けられていることについては、上記引用文献1-5には記載されておらず、周知技術であるともいえない。 引用文献2-4のそれぞれには、金属複合体をレーザ照射して溝を形成するとともに還元された金属シードを露出させた上で、伝導性素材をメッキする、LDSの周知技術が開示され、また、引用文献5には、タッチ入力装置の製造過程において、タッチセンサの利用の可否を表示するために、タッチセンサの検査を行う周知技術が開示されているが、本願発明1の上記[相違点2]に係る構成は、開示されていない。 よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点2]に係る構成を容易に想到することはできない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 請求項2-12について 本願発明2-12も、本願発明1の上記[相違点2]に係る構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 当審拒絶理由の理由1(明確性) 、理由2(サポート要件)について 1 理由1(明確性)について 令和4年7月20日付けの補正による補正後の請求項1-7、10-12について、「前記感知パターン」との記載は、「前記第1感知パターンおよび前記第2感知パターン」と補正された結果、当審拒絶理由の理由1(明確性)は解消した。 2 理由2(サポート要件)について 令和4年7月20日付けの補正による補正後の請求項1-7、10-12について、「集積回路」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は発明の詳細な説明に記載されているから(段落【0152】、【0154】-【0156】)、当審拒絶理由の理由2(サポート要件)は解消した。 第8 原査定についての判断 令和4年7月20日付けの補正による、補正後の請求項1-12は、本願発明1の上記[相違点2]に係る技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Fには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1-12は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Fに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-014122

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