2021-013453
洗濯機用インバータ装置
- 審判番号
- 2021-013453
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-105522外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月05日
- 審決日
- 2022年08月03日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人サトー
- 分類
- P18 .121-WY (H02M) / P18 .537-WY (H02M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第164条、特許法第29条、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年5月29日の出願であって、令和3年1月26日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月1日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年4月9日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年6月21日に意見書とともに手続補正書が提出されたところ、同手続補正書でした明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正は同年6月29日付けで補正の却下の決定により却下されると同時に拒絶査定(以下、「原査定」という。謄本送達日:同年7月6日)がなされ、これに対して同年10月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ、同年11月5日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされ、令和4年5月27日付けで当審により拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がなされ、同年6月6日に意見書とともに手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願請求項1~4に係る発明(以下「本願発明1」~「本願発明4」といい、これらをまとめて「本願発明」という。)は、令和4年6月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~4に記載された、次のとおりのものと認める。
「 【請求項1】洗濯運転を行うための回転駆動力を発生する三相のモータを駆動するインバータ回路と、このインバータ回路を制御する制御回路と、前記モータの各相巻線に流れる電流を検出するため、前記各相に対応して配置される電流検出抵抗と、続きを表示(全14行)前記制御回路が過電流検出を行うために用いられる、1つの比較回路と、前記各相の電流検出抵抗と、前記比較回路の入力端子との間に配置され、アノード側が抵抗を介してグランドに接続されるダイオードオア回路とを備え、前記比較回路は、前記ダイオードオア回路のアノード電位を閾値電圧と比較する洗濯機用インバータ装置。【請求項2】前記制御回路は、A/D変換器を備え、前記複数の電流検出抵抗の端子電圧を分圧して前記A/D変換器に入力する抵抗分圧回路を備える請求項1記載の洗濯機用インバータ装置。【請求項3】前記比較回路は、前記制御回路に内蔵されている請求項1又は2記載の洗濯機用インバータ装置。【請求項4】前記インバータ回路と、このインバータ回路を構成する複数のスイッチング素子を駆動するドライバと、前記比較回路とを一体化してなるパワー素子モジュールを備える請求項1又は2記載の洗濯機用インバータ装置。」
第3 引用例
1 引用例1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2003-53092号公報(平成15年2月25日出願公開。以下、これを「引用例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
A 「【0024】【発明の実施の形態】以下、本発明を縦軸形の全自動洗濯機に適用した第1の実施例につき、図1ないし図12を参照して説明する。まず、図3は、全自動洗濯機11の全体構成を示す縦断面図である。すなわち、全体として矩形状をなす外箱12内には、水受槽13が、4組(1組のみ図示)の防振機構14を介して弾性支持されている。この場合、防振機構14は、上端が外箱12内において上方に係止された吊り棒14aと、その吊り棒14aの他端側に取り付けられた振動減衰用のダンパー14bとを含んで構成されている。これらの防振機構14を介して水受槽13が弾性支持されることにより、洗濯運転時に発生する振動が外箱12に極力伝達されないようにしている。【0025】上記水受槽13内には、洗濯槽兼脱水槽用の回転槽15が配設されており、この回転槽15の内底部には、撹拌体(パルセータ)16が配設されている。上記回転槽15は、槽本体15aと、この槽本体15aの内側に設けられた内筒15bと、これらの上端部に設けられたバランスリング15cとから構成されている。そして、この回転槽15が回転されると、内部の水を回転遠心力により揚水して槽本体15aの上部の脱水孔15dから水受槽13内に放出するようになっている。【0026】また、回転槽15の底部には、通水口17が形成されており、この通水口17は、排水通路17aを通して排水口18に連通されている。そして、排水口18には、排水弁19を備えた排水路20が接続されている。従って、排水弁19を閉塞した状態で回転槽15内に給水すると、回転槽15内に水が貯溜され、排水弁19を開放すると、回転槽15内の水は排水通路17a、排水口18および排水路20を通じて排出されるようになっている。続きを表示(全16行)【0027】水受槽13の底部には、補助排水口18aが形成されており、この補助排水口18aは、図示しない連結ホースを介し前記排水弁19をバイパスして前記排水路20に接続され、前記回転槽15が回転したときに、その上部から水受槽13内に放出された水を排出するようになっている。【0028】また、前記水受槽13の外底部には、機構部ハウジング21が取付けられており、この機構部ハウジング21には、中空の槽軸22が回転自在に設けられ、この槽軸22には、回転槽15が連結されている。また、槽軸22の内部には、撹拌軸23が回転自在に設けられており、この撹拌軸23の上端部には、撹拌体16が連結されている。そして、撹拌軸23の下端部は、モータとしてのアウタロータ形のブラシレスモータ24のロータ24aに連結されている。このブラシレスモータ24は、洗い時には、撹拌体16を直接正逆回転駆動するようになっている。【0029】また、ブラシレスモータ24は、脱水時には、図示しないクラッチにより槽軸12と撹拌軸13とが連結された状態で、回転槽15および撹拌体16を一方向に直接回転駆動するようになっている。従って、本実施例では、ブラシレスモータ24の回転速度は、洗い時には撹拌体16のそれと同一になり、脱水時には回転槽15および撹拌体16のそれと同一になる、いわゆる、ダイレクトドライブ方式が採用されている。【0030】図1は、洗濯機11の制御系の構成を示す機能ブロック図である。尚、図1において、(α、β)は、三相ブラシレスモータ24の各相に対応する電機角120度間隔の三相(UVW)座標系を直交変換した直交座標径を示し、(d、q)は、ブラシレスモータ24のロータ24aの回転に伴って回転している2次磁束の座標系を示すものである。【0031】減算器25には、目標速度指令ωref が被減算値として、エスティメータ(Estimator) 26によって検出されたブラシレスモータ24の検出速度ωが減算値として与えられている。目標速度指令ωref は、洗濯機11の運転全般を制御する制御用のマイクロコンピュータ(マイコン)46より出力されるものである。そして、減算器25の減算結果は、速度PI制御部27に与えられている。【0032】速度PI制御部27は、目標速度指令ωref と検出速度ωとの差分量に基づいてPI制御を行い、q軸電流指令値Iqrefとd軸電流指令値Idrefとを生成して減算器28、29に被減算値として夫々出力する。尚、洗いまたは濯ぎ運転時におけるd軸電流指令値Idrefは“0”に設定され、脱水運転時には、弱め界磁制御を行うためd軸電流指令値Idrefは所定値に設定される。減算器28、29には、αβ/dq変換部30より出力されるq軸電流値Iq、d軸電流値Idが減算値として夫々与えられており、減算結果は、電流PI制御部31q、31dに夫々与えられている。【0033】電流PI制御部31q、31dは、q軸電流指令値Iqrefとd軸電流指令値Idrefとの差分量に基づいてPI制御を行い、q軸電圧指令値Vq及びd軸電圧指令値Vdを生成してdq/αβ変換部32に出力する。dq/αβ変換部32には、エスティメータ26によって検出されたブラシレスモータ24における2次磁束の回転位相角(ロータ位置角)θが与えられており、その回転位相角θに基づいて電圧指令値Vd、Vqを電圧指令値Vα、Vβに変換するようになっている。【0034】dq/αβ変換部32が出力する電圧指令値Vα、Vβは、αβ/UVW変換部33に与えられている。αβ/UVW変換部33は、電圧指令値Vα、Vβを三相の電圧指令値Vu、Vv、Vwに変換して出力する。電圧指令値Vu、Vv、Vwは、切換えスイッチ34u、34v、34wの一方の固定接点34ua、34va、34waに与えられており、他方の固定接点34ub、34vb、34wbには、初期パターン出力部35によって出力される起動用の電圧指令値Vus、Vvs、Vwsが与えられている。そして、切換えスイッチ34u、34v、34wの可動接点34uc、34vc、34wcは、PWM形成部36の入力端子に接続されている。【0035】PWM形成部36は、電圧指令値Vus、Vvs、Vwsに基づいて16kHzの搬送波(三角波)を変調した各相のPWM信号Vup(+、-) 、Vvp(+、-) 、Vwp(+、-) をインバータ回路37に出力するようになっている。PWM信号Vup~Vwpは、例えばモータ24の各相巻線24u、24v、24w(図2参照)に正弦波状の電流が通電されるように正弦波に基づいた電圧振幅に対応するパルス幅の信号として出力される。【0036】インバータ回路37は、図2に示すように、6個のIGBT(スイッチング素子)38a~38fを三相ブリッジ接続して構成されており、下アーム側のIGBT38d、38eのエミッタは、夫々電流検出用のシャント抵抗(電流検出手段)39u、39vを介してグランドに接続されている。また、両者の共通接続点は、増幅・バイアス回路40u、40vを介して図1に示すA/D変換部(電流検出手段)41に接続されている。尚、シャント抵抗39の抵抗値は0.1Ω程度である。【0037】増幅・バイアス回路40はオペアンプなどを含んで構成されており、シャント抵抗39の端子電圧を増幅すると共にその増幅信号の出力範囲が正側に収まるように(例えば、0~+5V)バイアスを与えるようになっている。また、増幅・バイアス回路40u、40vの出力端子は、ダイオード42u、42vを介して過電流検知部43の入力端子に共通に接続されている。【0038】過電流検知部43は、増幅・バイアス回路40u、40vの出力信号レベルを参照して何れかの相に過電流が流れたことを検出すると、過電流検出信号を制御部47(制御用マイコン46と後述するDSP45を含む)に出力してインバータ回路37によるモータ24の駆動を停止させるようになっている。尚、W相の電流に関しては、U、V相の電流に基づいて間接的に推定を行うことができる。」
B 「【0064】図13~図16は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例の構成では、電流検出用としてW相用のシャント抵抗39w及び増幅・バイアス回路40wが追加されており、三相全てについて電流検出を行うようになっている。また、ダイオード42u、42vは取り除かれて、過電流検知部43は各相に対応して3つ(43u、43v、43w)配置されている。そして、それら3つの過電流検知部43u、43v、43wの出力端子は共通に接続されており、制御部47Aの入力ポートに接続されている。【0065】この場合、例えば過電流検出信号をロウアクティブとして、過電流検知部43u、43v、43wの出力部分をオープンドレイン構成としている。また、制御部47AのA/D変換部(電流検出手段)41Aは、図14に示すように、内部に2チャンネル分のコンバータ41A(1)、41A(2)を備えており、三相の電流入力に対してそれら2チャンネルを切り替えて接続し、対応するように構成されている。コンバータ41A(1)、41A(2)の切替えは、PWM形成部36より出力されるPWM信号の通電位相角(電気角)に基づいて行われるようになっている。その他の構成については第1実施例と同様である。」
C 「[図:0001388138000001.jpg]図1」
D 「[図:0001388138000002.jpg]図2」
E 「[図:0001388138000003.jpg]図13」
2 引用発明
ア 上記記載事項Aの「本発明を縦軸形の全自動洗濯機に適用した第1の実施例につき、図1ないし図12を参照して説明する」(【0024】)及び上記記載事項Bの「図13~図16は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する」(【0064】)との記載から、以下では、引用例1に記載されている「第2実施例」(記載事項B、E)についての発明について、適宜「第1実施例と同一部分」についての記載を記載事項A、C、Dから補いつつ、以下の認定を行うこととする。
イ 上記記載事項Aの、「本発明を縦軸形の全自動洗濯機に適用した第1の実施例につき、図1ないし図12を参照して説明する…(中略)…撹拌軸23の下端部は、モータとしてのアウタロータ形のブラシレスモータ24のロータ24aに連結されている。このブラシレスモータ24は、洗い時には、撹拌体16を直接正逆回転駆動するようになっている。…(中略)…図1は、洗濯機11の制御系の構成を示す機能ブロック図である…(中略)…三相ブラシレスモータ24」(【0024】~【0030】)との記載、及び記載事項C(図1)から、引用例1には、“洗濯運転を行うための回転駆動力を発生する三相ブラシレスモータ24”が記載されているといえる。
ウ 上記記載事項C(図1)と上記記載事項D(図2)の両者から、三相ブラシレスモータ24は、インバータ回路37に接続されて駆動されている態様を読取ることができるから、引用例1には、“三相ブラシレスモータ24を駆動するインバータ回路37を備え”ることが記載されているといえる。
エ 上記記載事項Aの、「インバータ回路37は、図2に示すように、6個のIGBT…(中略)…を三相ブリッジ接続して構成されており、下アーム側のIGBT…のエミッタは、夫々電流検出用のシャント抵抗…(中略)…を介してグランドに接続されている」(【0036】)との記載、及び上記記載事項Bの「第2実施例の構成では、電流検出用としてW相用のシャント抵抗39w及び増幅・バイアス回路40wが追加されており、三相全てについて電流検出を行う」との記載から、引用例1には、“インバータ回路37は、6個のIGBTを三相ブリッジ接続して構成され、下アーム側のIGBTのエミッタが、夫々電流検出用のシャント抵抗を介してグランドに接続され”ることが記載されているといえる。
オ 上記記載事項Aの、「過電流検知部43は、増幅・バイアス回路…の出力信号レベルを参照して何れかの相に過電流が流れたことを検出すると、過電流検出信号を制御部47…(中略)…に出力してインバータ回路37によるモータ24の駆動を停止させるようになっている」(【0038】)との記載及び前記エの検討から、引用例1には、“過電流検知部43が、増幅・バイアス回路の出力信号レベルを参照して何れかの相に過電流が流れたことを検出すると、過電流検出信号を制御部47に出力してインバータ回路37によるモータ24の駆動を停止させるようになって”いることが記載されているといえる。
カ 上記記載事項Aの「本発明を縦軸形の全自動洗濯機に適用した第1の実施例につき、図1ないし図12を参照して説明する」(【0024】)との記載、上記記載事項Bの「図13~図16は本発明の第2実施例を示すものであり…(中略)…第2実施例の構成では、電流検出用としてW相用のシャント抵抗39w及び増幅・バイアス回路40wが追加されており、三相全てについて電流検出を行うようになっている…過電流検知部43は各相に対応して3つ配置されている」(【0064】)との記載、及び上記記載事項E(図13)から、引用例1には、“電流検出用としてW相用のシャント抵抗39w及び増幅・バイアス回路40wが追加されて、三相全てについて電流検出を行うため、過電流検知部43は各相に対応して3つ配置される”ことが記載されているといえる。
キ 上記記載事項D(図2)を参照すると、インバータ回路37、制御部47、シャント抵抗(電流検出手段)39u、39v、過電流検知部43が備えられた装置を読取ることができ、当該装置は、特に上記アの認定を踏まえると、洗濯機用インバータ装置といえるから、引用例1には、上記イ~カの各構成を備える、“洗濯機用インバータ装置”が記載されているといえる。
ク 以上、上記ア~キの認定を踏まえると、引用例1には、「第2実施例」についての発明として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「洗濯運転を行うための回転駆動力を発生する三相ブラシレスモータ24を駆動するインバータ回路37を備え、インバータ回路37は、6個のIGBTを三相ブリッジ接続して構成され、下アーム側のIGBTのエミッタが、夫々電流検出用のシャント抵抗を介してグランドに接続され、過電流検知部43が、増幅・バイアス回路の出力信号レベルを参照して何れかの相に過電流が流れたことを検出すると、過電流検出信号を制御部47に出力してインバータ回路37によるモータ24の駆動を停止させるようになっており、電流検出用としてW相用のシャント抵抗39w及び増幅・バイアス回路40wが追加されて、三相全てについて電流検出を行うため、過電流検知部43は各相に対応して3つ配置される、洗濯機用インバータ装置。」
3 引用例2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2009-17674号公報(平成21年1月22日出願公開。以下、これを「引用例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
A 「【0017】図2には、上記洗濯乾燥機1の電気的構成のうち本発明の要旨を説明するのに必要な部分をのみが示されており、以下これについて説明する。モータ14のU、V、Wの各相に対し可変周波数・可変電圧の駆動電流を与えるためのインバータ回路33は、6個のIGBT34~39を三相ブリッジ接続すると共に、各IGBT34~39にフライホイールダイオード34a~39aを接続して構成されており、各IGBT34~39は、後述するマイクロコンピュータ(マイコン)40からの各相PWM信号により個別にオンオフされる。この場合、上アーム側のIGBT34~36の各コレクタが、平滑用コンデンサ41を備えた直流電源端子42に接続され、下アーム側のIGBT37~39の各エミッタが、U、V、Wの各相電流検出用のシャント抵抗43u、43v、43wを介してグランド端子に接続されている。尚、各シャント抵抗43u、43v、43wの抵抗値は例えば0.22Ωに設定されている。また、上記直流電源端子42は、100Vの交流電源を倍電圧全波整流するように構成された整流回路の出力端子である。【0018】マイコン40は、定格動作電圧が5Vのマイクロコンピュータにより構成されたもので、このマイクロコンピュータは、RISC(Reduced Instruction Set Computer)形態の高速CPU及びこのCPUの処理を一部肩代わりするDSPを備えた構成となっており、その電源は、出力電圧が5Vの制御電源端子VDDから供給される。続きを表示(全16行)【0019】シャント抵抗43u、43v、43wの各電圧出力端子(対応するIGBT37~39側の端子)と3.3V電源との間には、抵抗分圧回路44、45、46がそれぞれ接続されている。各抵抗分圧回路44、45、46は、それぞれ抵抗R1及びR2の直列回路より成るものであり、各抵抗R1及びR2の抵抗値は、例えば1kΩに設定されている。また、抵抗分圧回路44、45、46の各出力端子(抵抗R1及びR2の共通接続点)とグランド端子との間には、それぞれフィルタコンデンサ47が接続されている。【0020】図1は、マイコン40内部の構成を、本発明の要旨に係る部分のみ示すものである。マイコン40は、3.3V電源をリファレンス電源AVDDとした2つのA/D変換回路50、51を備えており、これらのA/D変換回路50、51は、入力チャネル切換器52を介して与えられたアナログ電圧信号を個別にデジタル変換して信号処理に供する構成となっている。尚、A/D変換回路50、51は、主にマイコン40内のDSPのソフトウエアで実現される機能である。【0021】入力チャネル切換器52における4つの入力端子の内3つは、抵抗分圧回路44、45、46による各分圧電圧(抵抗R1及びR2の共通接続点の電圧)が与えられるマイコン40の入力端子VIU、VIV、VIWに接続されている。マイコン40は、A/D変換回路50、51の出力によりモータ14の発生トルクを示す各相電流値を検出すると共に、その検出電流値に基づいて当該モータ14のベクトル制御を行う構成となっており、その制御に応じてIGBT34~39をオンオフさせるための各相PWM信号を出力する。尚、IGBT34~39の最大定格電流は例えば10Aであり、マイコン40は、検出電流値が10Aを超えたときに、故障発生を防止するために全てのIGBT34~39を強制的にオフさせる保護機能も備えている。【0022】マイコン40は、シャント抵抗43u、43v、43wからの出力電圧の読み取りを、下アーム側のIGBT37~39がオンしている期間の中心点のタイミングで行う。この場合、各相PWM信号の出力周期を、モータ14の回転数に比べて十分に早い例えば16kHzに設定しており、シャント抵抗43u、43v、43wからの出力電圧の元の波形を問題なく再現できる。【0023】また、マイコン40の入力端子VIU、VIV、VIWは、100kΩの抵抗素子53u、53v、53wを介してコンパレータ54u、54v、54w(過電流検出回路)の反転入力端子にそれぞれ接続されており、上記各反転入力端子とグランドとの間には、5pFのコンデンサ55u、55v、55wが接続されている。コンパレータ54u、54v、54wの非反転入力端子は、マイコン40の基準電圧入力端子VRIに接続されており、その入力端子VRIには、3.3VのA/D変換リファレンス電圧を、抵抗56、57で分圧した電位が与えられている。コンパレータ54u、54v、54wの出力端子は、PWM緊急停止回路58の入力端子に共通に接続されており、その入力端子は、抵抗90により5Vにプルアップされている。【0024】コンパレータ54u、54v、54wの反転入力端子に与えられる電圧が、入力端子VRIの基準電圧以下であれば、コンパレータ54u、54v、54wの出力端子はハイレベルを維持している。この状態から、インバータ回路33を介して流れる何れかの相電流が増大して、何れかの反転入力端子の電圧が入力端子VRIの基準電圧を超えると、PWM緊急停止回路(異常処理回路)58の入力端子はロウレベルに変化する。PWM緊急停止回路58は、その信号レベル変化の立下りエッジを検出すると、緊急停止信号パターンを、異常出力選択回路(優先信号選択手段)59を介して6相PWM出力回路60に出力する。」
B 「[図:0001388138000004.jpg]図1」
4 引用例3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2006-345618号公報(平成18年12月21日出願公開。以下、これを「引用例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
A 「【0040】インバータモジュール7Aは、インバータ回路3とシャント抵抗5、および、電流検知手段6を1パッケージとしたものであり、実施の形態1に示すシャント抵抗外付けと比べ、インバータ回路3からシャント抵抗5を介して直流電源2に接続するまでの配線インピーダンスと、シャント抵抗5と電流検知手段6の配線インピーダンスを減らすことができるので、電流検出精度が向上し、さらに、インバータ回路3のスイッチングによる誘導ノイズも減らすことができる。【0041】(実施の形態3)続きを表示(全29行)以下、本発明の第3の実施の形態について図5を用いて説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態におけるモータ駆動装置のブロック図を示すもので、インバータモジュール7Bに過電流検知手段9を追加してシャント抵抗5に流れる電流を検出することにより、インバータ回路3Aあるいはモータ4の電流の検出と過電流の検知を行い、電流信号をレベルシフトし、かつ、過電流信号Foを出力するものである。他の構成は上記実施の形態1および2と同様であり、詳細な説明は省略する。【0042】インバータモジュール7Bは、上記実施の形態1における図2で説明したインバータ回路3、シャント抵抗5、電流検知手段6に追加して、過電流検知手段9と、過電流出力信号端子9aおよび過電流設定端子9bを設け、制御手段8Aより過電流設定信号Vrをインバータモジュール7Bの過電流設定端子9bに印加し、過電流設定値以上の電流がシャント抵抗5に流れると、過電流検知手段9が過電流を検知して、過電流出力信号端子9aより過電流信号Foが制御手段8Aの異常信号割り込み端子IRQに加えられ、制御手段8Aは異常割り込み信号によりインバータ回路3Aの制御信号GCをオフする。【0043】また、過電流出力信号端子9aからの過電流信号Foは、インバータ回路3Aの遮断信号端子offにも加えられ、瞬時にインバータ回路3Aの出力を停止させるので、インバータ回路3Aの遮断機能と制御手段8Aの異常割り込み信号による遮断機能よりなる2重の保護機能により過電流から保護される。モータ4の過負荷による過電流、あるいは、脱調やモータロックによる過電流に対しては、制御手段8Aの異常割り込み信号からの遮断応答速度で問題ないが、インバータ回路3Aの上下アーム短絡異常の場合には、数マイクロ秒以内の遮断応答速度が必要であり、過電流信号Foにより直接インバータ回路3Aを遮断させることにより、スイッチングトランジスタの上下アーム短絡故障を防止できる。【0044】図6は、本実施の形態におけるモータ駆動装置のインバータモジュール7Bの詳細な回路図である。【0045】インバータ回路3Aは、6個のトランジスタとダイオードよりなる3相フルブリッジインバータ回路により構成している。ここで、3相アームの1つのU相アーム30Aについて説明すると、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、IGBTという)よりなる上アームトランジスタ300aと逆並列ダイオード301aの並列接続体と、IGBTよりなる下アームトランジスタ302aと逆並列ダイオード303aの並列接続体を直列関係に接続し、上アームトランジスタ300aのコレクタ端子は直流電源の正電位端子Pに接続し、上アームトランジスタ300aのエミッタ端子はモータ4への出力端子Uに接続し、下アームトランジスタ302aのエミッタ端子Nuはシャント抵抗50aを介して整流回路2よりなる直流電源の負電位側端子Nに接続する。【0046】上アームトランジスタ300aは上アーム駆動信号Upに応じてゲート駆動回路304aにより駆動され、下アームトランジスタ302aは下アーム駆動信号Unに応じてゲート駆動回路304aによりオンオフスイッチング制御される。ゲート駆動回路304aは、いわゆるハーフブリッジタイプの高耐圧駆動ICより構成され、微分信号によりセットリセットされるRSフリップフロップ回路を内蔵し、上アーム駆動信号Upの立ち上がりで上アームトランジスタ300aをオン動作させ、上アーム駆動信号Upの立ち下がりで上アームトランジスタ302aをオフ動作させる。【0047】IGBTのゲート印加電圧は10~15V必要であり、下アームトランジスタ302aをオンさせると、15Vの直流電源の+端子B1よりブートストラップ抵抗305a、ブートストラップダイオード306aを介して外付けのブートストラップコンデンサ307aが充電されるので、ブートストラップコンデンサ307aの蓄積エネルギーにより上アームトランジスタ300aをオンオフスイッチングできる。また、下アームの逆並列ダイオード303aが導通した場合にも同様にブートストラップコンデンサ307aが充電される。【0048】ゲート駆動回路304aの遮断信号端子offに過電流信号Foを加えることによりインバータ回路3のU相、V相、W相各下アームトランジスタが同時にターンオフする。【0049】V相アーム30B、W相アーム30Cも同様の接続であり、各アームの下アームトランジスタのエミッタ端子Nv、Nwはシャント抵抗50b、50cに接続し、シャント抵抗50b、50cの他方の端子は負電位側端子Nに接続している。IGBT、あるいはパワーMOSFETにより下アームトランジスタを構成すると、ゲート電圧を制御することによりスイッチング制御できるので、IGBTの場合はエミッタ端子、パワーMOSFETの場合にはソース端子に接続するシャント抵抗の電圧が1V以下となるように抵抗値を選定すればスイッチング動作にはほとんど影響することなく電圧制御によりオンオフスイッチング制御でき、電流検知手段6に演算増幅器を用いることによりシャント抵抗値を小さくし、シャント抵抗50a、50b、50cの電圧veu、vev、vewを小さくできる特徴がある。【0050】電流検知手段60a、60b、60cは、実施の形態1において図3にて説明したものと同様であるので説明は省略する。過電流検知手段9は、シャント抵抗5の端子電圧を検出することにより過電流を検知するもので、シャント抵抗50a、50b、50cの電流を電圧比較器より構成される過電流検知手段90a、90b、90cにより検出し、過電流検知手段90a、90b、90cそれぞれの出力端子をOR接続し、いずれかの過電流信号が過電流出力信号端子に出力される。【0051】過電流検知手段90aは、電圧比較器901aの反転入力端子に、シャント抵抗50aに接続された抵抗902aとコンデンサ903aよりなる積分回路を介して電圧信号veuを加え、電圧比較器901aの非反転入力端子に加えられた設定電圧信号Vrと比較し、電圧信号veuが設定電圧信号Vrよりも高くなると出力信号FoはLoに低下する。電圧比較器901aの出力段は、通常オープンコレクタトランジスタより構成されており、出力抵抗905はプルアップ接続されて容易に論理OR回路を構成できる。過電流検知手段90b、90cも同様の接続であり、出力端子を直接接続してオア回路が構成できる。また、それぞれの非反転入力端子には設定電圧信号Vrが加えられるので、シャント抵抗50a、50b、50cのいずれか電圧が設定電圧信号Vr以上となると過電流出力信号端子にアクティブLoの過電流信号Foが出力される。【0052】以上述べたように、複数のトランジスタとダイオードとゲート駆動回路よりなるインバータ回路と、複数のシャント抵抗と、複数の電流信号増幅のための演算増幅器よりなる電流検知手段と、複数の過電流検知のための電圧比較器を一体化した過電流検知手段よりインバータモジュール7Bを構成することにより、スイッチングトランジスタとシャント抵抗の配線、および、シャント抵抗と電流検知手段、及び過電流検知手段の配線が短くなるので、パターン配線インピーダンスを減らすだけではなく、配線パターンに誘起するノイズも減らすことができ、ノイズによる誤動作を減らし、正確な電流検出、および過電流検知が可能となる。【0053】特に、シャント抵抗を小さくでき、スイッチングトランジスタとシャント抵抗の浮遊インダクタンスも減らすことができるので、スイッチングトランジスタのエミッタ端子に誘起する電圧を減らすことによりラッチアップによるトランジスタの破壊故障を減らすことができる。」
B 「【0060】以上のように、本発明のモータ駆動装置は、直流電力をインバータ回路により交流電力に変換して、モータをインバータ回路により駆動し、インバータ回路の出力電流をシャント抵抗と電流検知手段により検出し、電流検知手段の信号によりインバータ回路をPWM制御してモータを駆動し、インバータ回路と電流検知手段を一体化し1パッケージにモジュール化にしたものであり、配線インピーダンスを減らして高精度の電流検出が可能となり、演算増幅器によりシャント抵抗を小型化して損失を下げ、さらにシャント抵抗に発生する電圧を下げてスイッチングトランジスタのラッチアップを低減できるだけではなく、ノイズ低減によるA/D変換器の誤動作や不要輻射を低減し、小型、高精度、高信頼性のインバータモジュールを構成できるから、ベクトル制御、あるいは、センサレス制御するほとんどのモータ駆動装置に応用することができ、ファンモータ駆動装置、ポンプモータ駆動装置、洗濯機のモータ駆動装置、空気調和機や冷蔵庫のヒートポンプモータ駆動装置等に適用できる。」
C 「[図:0001388138000005.jpg]図5」
D 「[図:0001388138000006.jpg]図6」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「洗濯運転を行うための回転駆動力を発生する三相ブラシレスモータ24」及び「洗濯機用インバータ回路37」は、それぞれ本願発明1の「洗濯運転を行うための回転駆動力を発生する三相のモータ」及び「インバータ回路」に相当するから、引用発明と本願発明1とは、“洗濯運転を行うための回転駆動力を発生する三相のモータを駆動するインバータ回路”を備える点で一致する。
イ 引用発明の「制御部47」は、「インバータ回路37によるモータ24の駆動を停止させる」機能を有することから、インバータ回路を制御しているといえ、上記アの認定を踏まえると、引用発明と本願発明1とは、“このインバータ回路を制御する制御回路”を備える点で一致する。
ウ 引用発明の「インバータ回路37」の「6個のIGBT」のうち、「下アーム側のIGBTのエミッタ」に接続される、「電流検出用のシャント抵抗」は、「インバータ回路37」が「6個のIGBTを三相ブリッジ接続して構成され」、かつ、「三相ブラシレスモータ24を駆動する」ものであることを踏まえると、当該「電流検出用のシャント抵抗」は、「三相ブラシレスモータ24」に流れる“電流を検出するために設けられた電流検出抵抗”であると認められるから、引用発明と本願発明1とは、“前記モータの各相巻線に流れる電流を検出するため、前記各相に対応して配置される電流検出抵抗”を備える点で一致する。
エ 引用発明の「過電流検知部43」は、「何れかの相に過電流が流れたことを検出すると、過電流検出信号を制御部47に出力」するものであることから、「制御部47」が“過電流検出を行うための回路”といえる。よって、引用発明の「過電流検知部43」と本願発明1の「前記制御回路が過電流検出を行うために用いられる、1つの比較回路」とは、下記の点(相違点1)で相違するものの、“前記制御回路が過電流検出を行うために用いられる回路”を備える点で共通するといえる。
オ 引用発明の「洗濯機用インバータ装置」は、上記ア~エの構成を備える点で、本願発明1の「洗濯機用インバータ装置」と共通する。
以上を総合すると、引用発明と本願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
洗濯運転を行うための回転駆動力を発生する三相のモータを駆動するインバータ回路と、
このインバータ回路を制御する制御回路と、
前記モータの各相巻線に流れる電流を検出するため、前記各相に対応して配置される電流検出抵抗と、
前記制御回路が過電流検出を行うために用いられる回路と、
を備える洗濯機用インバータ装置。
〈相違点1〉
本願発明1の「前記制御回路が過電流検出を行うために用いられる」回路が、「前記制御回路が過電流検出を行うために用いられる、1つの比較回路」であるのに対し、引用発明は、そのような回路が特定されていない点。
〈相違点2〉
本願発明1が、「前記各相の電流検出抵抗と、前記比較回路の入力端子との間に配置され、アノード側が抵抗を介してグランドに接続されるダイオードオア回路」を備えるとともに、「前記比較回路は、前記ダイオードオア回路のアノード電位を閾値電圧と比較する」のに対し、引用発明は、当該構成が特定されていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1及び2はいずれも「過電流検出」に関する事項であるのでまとめて検討する。
本願発明は、洗濯運転を行うための回転駆動力を発生するモータを駆動するインバータ装置に関する発明であって(【0001】)、従来より、洗濯機のモータを駆動対象とするインバータ装置では、モータに流れる各相電流を検出するための電流検出抵抗に発生する端子電圧を、CRフィルタを介しコンパレータにより閾値電圧と比較することで、過電流状態を検出することが行われており、一般的に使用されるモータは3相構成であるから、3個のコンパレータにより各相毎に比較を行い、それらコンパレータ出力のORゲートを介した論理和出力によって過電流が検出され(【0002】)、コンパレータの出力端子はローレベルを示す際には0Vになるが、ハイレベルを示す際には開放状態となるため、抵抗を介してプルアップされ、相電流が通常値の範囲であればコンパレータ出力がハイレベルとなり、相電流が過大な値を示すとローレベルとなるように設定しておくと、ORゲートの出力がローレベルとなることで、モータの駆動を緊急停止させるものがあったことを背景とし(【0003】)、上記の構成では、コンパレータがモータの相数分だけ必要となり、ローパスフィルタのような周辺回路も含めると、回路面積が増大しインバータ装置が大型化し、更に、部品点数が増えることでコストが上昇し、装置の信頼性が低下するおそれもあることを課題とし(【0004】)、より少ない部品点数で、過電流検出を確実に行うことができる洗濯機用インバータ装置を提供することを目的としてなされたものである。(【0006】)
一方、「制御回路が過電流検出を行うために用いられる、1つの比較回路」や、「各相の電流検出抵抗と、前記比較回路の入力端子との間に配置され、アノード側が抵抗を介してグランドに接続されるダイオードオア回路」については、上記引用例2及び3には記載も示唆もされておらず、当該技術分野における周知技術であるとまではいえない。
なお、引用例1に記載の「第1実施例」は、概ね引用発明の「電流検出用としてW相用のシャント抵抗39w及び増幅・バイアス回路40wが追加されて、三相全てについて電流検出を行うため、過電流検知部43は各相に対応して3つ配置される」構成に替えて「過電流検知部43は、増幅・バイアス回路40u、40vの出力信号レベルを参照して何れかの相に過電流が流れたことを検出する」(【0038】)との構成を備えるものの、上記相違点1及び2に係る本願発明1の構成を備えるものではない。また、引用例1の「第1実施例」と「第2実施例」において互いに異なる構成の一部ずつ(例えば、「第1実施例」の、複数の出力信号を1つの過電流検知部に入力する構成と、「第2実施例」の、三相全ての出力信号を過電流検知部に入力する構成)をあえて組み合わせて上記相違点1及び2に係る本願発明1のような構成を当業者が想到し得る合理的な理由も存在しない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2~4について
本願発明2~4は、本願発明1を直接または間接的に引用するものであって本願発明1と同じ構成を備えるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1について上記引用例1(原査定の引用文献1)に記載された発明に基づいて、請求項2及び3について上記引用例1及び2(原査定の引用文献1及び2)に記載された発明に基づいて、請求項4について上記引用例1~3(原査定の引用文献1~3)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
しかしながら、令和4年6月6日付け手続補正書により上記第2に示すとおり補正された結果、上記第4に示すとおり、本願発明1~4は、上記引用例1に記載された引用発明及び上記引用例2~3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由通知について
<特許法36条6項2号について>
当審では、請求項1~4の「比較回路」につき、構成が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、上記第2に示したとおりに補正された結果、「比較回路」の構成が明確となり、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-013453