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特許拒絶査定不服審判

2021-013384

携帯端末の遠隔操作用デバイス

審判番号
2021-013384
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-516252外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年10月04日
審決日
2022年12月20日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-516252「携帯端末の遠隔操作用デバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月31日国際公開、WO2019/208323〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は,2019年(平成31年)4月16日(優先権主張 平成30年4月23日)を国際出願日とする出願としたものであって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。 令和2年 6月11日 :手続補正書 提出 令和2年 9月14日付け:拒絶理由通知 令和2年11月25日 :意見書・手続補正書 提出 令和2年12月 3日付け:拒絶理由通知(最後) 令和3年 4月 6日 :意見書・手続補正書 提出 令和3年 6月25日付け:令和3年4月6日の手続補正書でした補正の 却下の決定,拒絶査定 令和3年10月 4日 :審判請求書・手続補正書 提出 令和4年 5月24日付け:拒絶理由通知 令和4年 8月 1日 :意見書 提出 第2 本願発明 本願の請求項1~4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明4」という。)は,令和3年10月4日に提出された手続補正書によって補正(以下,「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される,次のとおりの発明である。 「【請求項1】 携帯端末を遠隔で操作するためのデバイスであって,前記デバイスは,ユーザーによるタッチ操作の情報を送信する操作デバイス(A)と,前記情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力操作を行う入力デバイス(B)とを備え, 前記操作デバイス(A)は,ユーザーによるタッチ操作を検知するタッチパネルと, ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に無線信号で送信する無線送信手段と,前記携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)を表示する表示部とを有し, 前記入力デバイス(B)は,前記操作デバイスの前記無線送信手段から送信された前記座標情報に基づき,該座標情報に対応する前記携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定する操作判定手段と, 前記操作判定手段によってユーザーがタッチ操作したと判定された前記携帯端末のタッチパネル上の位置で,前記タッチパネルに直接入力操作を実行する操作実行手段と, を有し, 前記操作デバイス(A)は,携帯可能であることを特徴とする,携帯端末遠隔操作用デバイス。 【請求項2】 前記操作実行手段が,物理的に携帯端末のタッチパネルを押圧する手段であることを特徴とする,請求項1に記載の携帯端末遠隔操作用デバイス。 【請求項3】 前記操作実行手段が,電気的に携帯端末のタッチパネルと前記入力デバイス(B)とが通電する手段であることを特徴とする,請求項1または2に記載の携帯端末遠隔操作用デバイス。 【請求項4】 請求項1~3の何れか一項に記載の携帯端末遠隔操作用デバイスを用いて,携帯端末を遠隔で操作する方法。」 第3 当審拒絶理由の概要 令和4年5月24日付けで当審が通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の理由1は概ね,次のとおりのものである。 本願の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明は,以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2ならびに3に記載された周知事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 1.特開2012-003374号公報(原査定の引用文献1) 2.特開2014-187491号公報(周知例) 3.大渕徹之 他,旅行用ナビゲーション機器の開発と観光での利用事例, 情報処理学会デジタルプラクティス,Vol.3,No.4, 一般社団法人情報処理学会,2012年10月15日, PP.246-253(周知例) 第4 引用文献 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 ア 引用文献1には,以下の記載がある(下線は,当審が付加した。以下同様。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は,携帯端末を操作することが可能な操作装置および操作方法に関する。 【背景技術】 【0002】 近年,ハードディスクや半導体メモリ等の小型化,高密度化により,大量の音楽データや映像データを保持しうる,携帯性を有する携帯端末が広く普及しており,この携帯端末を,例えば車載装置に接続し,携帯端末に含まれる音楽や映像といったコンテンツを車載装置のスピーカを通じて出力できるものもある。こうすることで,携帯端末のコンテンツを乗車中にも楽しむことができる。 【0003】 また,制御線を介して,外部の操作装置からこのような携帯端末を直接制御することもできるが,互換性のある機能しか利用できないため,携帯端末が有する全てのアプリケーションを車載装置から自由に制御することはできない。 【0004】 また,このような携帯端末では,ユーザや,第三者が作成したアプリケーションをダウンロードしたりして使用することができるものもあるが,携帯端末のメーカが作成したものではないこれらのアプリケーションは,車載装置から遠隔操作できるように構成されていない場合も多い。したがって,外部の操作装置を介して携帯端末を操作する場合は,携帯端末を直接操作する場合と同等の操作をすることはできなかった。 【0005】 他の装置を操作できる操作装置として,例えば,パーソナルコンピュータ(以下,単にPCと称する)で動作中の複数のアプリケーションを,タッチパネルを用いて操作する操作装置が存在する(例えば,特許文献1)が,PC上の1つのアプリケーションを操作装置に表示させているに過ぎず,PCに含まれる全てのアプリケーションを,PCを直接操作する場合と同様に操作装置から操作することは不可能である。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 【特許文献1】特開2009-122727号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 ところで,近年,携帯端末は,表示面が大きく形成されており,ユーザは,その表示面に設けられたタッチパネルを操作することで,快適な操作を行うことができる。しかしながら,従来の操作装置では,使い勝手等が綿密に計算された携帯端末のユーザインターフェースを直接操作するような高い操作性を得ることはできなかった。 【0008】 そこで,本発明は,このような課題に鑑み,携帯端末の操作性を操作装置側で再現することで,より良い操作性と利便性を有する操作装置および操作方法を提供することを目的としている。 (中略) 【発明の効果】 【0010】 本発明の操作装置および操作方法によれば,携帯端末の操作性を操作装置側で再現することで,より良い操作性と利便性の向上を図ることが可能となる。」 (イ)「【0063】 (第2の実施形態:操作装置410) 上述した第1の実施形態では,ユーザによる装置タッチパネル260への操作入力があると,その操作入力が行われた位置に対応する,端末タッチパネル114上の位置である対応位置を示す対応位置情報を,携帯端末110にデータ通信部268を通じて送信することで,携帯端末110に,対応位置情報に基づいてアプリケーションの機能を実行させることができる操作装置210について説明した。 【0064】 しかし,互換性がないアプリケーションもあるため,アプリケーションによっては,対応位置情報に基づいて機能を実行できないものもある。また,近年の携帯端末110は,携帯端末110のメーカが準備しているAPI(Application Programming Interface)等のインターフェースを利用して,ユーザが個々に作成したアプリケーションや,第三者が作成したアプリケーションをダウンロードしたりして使用できるものもある。このような,携帯端末のメーカが作成したものではないアプリケーションは,操作装置から遠隔操作できるように構成されているという保証はない。 【0065】 また,たとえ,アプリケーションが遠隔操作できたとしても,許容される処理には限界があり,携帯端末110における利便性の高い処理(タッチパネルを通じたユーザインターフェース)を操作装置210で実現できないことがある。さらに,将来的に携帯端末110の利便性と同等の高い処理がデータ通信部268を通じて可能になったとしても,複雑なプログラミングや仕様変更によるプログラム変更を余儀なくされる。 【0066】 そこで,本実施形態では,操作装置410によって擬似的に携帯端末110を操作することで,外部から入力される情報(操作装置210から送信される対応位置情報)に基づいてアプリケーション等を実行する機能が携帯端末110に予め備わっていない場合であっても,確実に携帯端末110のアプリケーションの機能を実行させることのできる操作装置410について説明する。」 (ウ)図9 [図:0001409459000001.jpg] (エ)「【0067】 図9は,第2の実施形態にかかる操作装置410の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図9に示すように,操作装置410は,操作部250と,撮像部252と,撮像制御部254と,表示制御部256と,装置表示部258と,装置タッチパネル260と,装置メモリ262と,位置変換部264と,疑似操作入力部450と,データ通信部268と,スピーカ270とを含んで構成される。第1の実施形態における構成要素として既に述べた操作部250,撮像部252,撮像制御部254,表示制御部256,装置表示部258,装置タッチパネル260,装置メモリ262,位置変換部264,データ通信部268,スピーカ270は,実質的に機能が同一なので重複説明を省略し,ここでは,構成が相違する疑似操作入力部450を主に説明する。 【0068】 疑似操作入力部450は,位置変換部264が算出した対応位置に操作入力を行う。」(当審注:上記(エ)で「第1の実施形態における構成要素として既に述べた操作部250,撮像部252,撮像制御部254,表示制御部256,装置表示部258,装置タッチパネル260,装置メモリ262,位置変換部264,データ通信部268,スピーカ270は,実質的に機能が同一なので重複説明を省略」すると記載されているので,第2の実施形態にかかる操作装置410の概略的な機能を示した機能ブロックの内,操作部250,撮像部252,表示制御部256については,後記(オ)~(キ)で,第1の実施形態における説明を参照する。) (オ)図2 [図:0001409459000002.jpg] (カ)図3 [図:0001409459000003.jpg] (キ)「【0021】 (操作装置210) 図2は,第1の実施形態にかかる操作装置210の概略的な機能を示した機能ブロック図であり,図3は,操作装置210の使用形態を説明するための説明図である。図2に示すように,操作装置210は,操作部250と,撮像部252と,撮像制御部254と,表示制御部256と,装置表示部258と,装置タッチパネル260と,装置メモリ262と,位置変換部264と,送信部266と,データ通信部268と,スピーカ270とを含んで構成される。 【0022】 操作部250は,操作キー,十字キー,ジョイスティック等のスイッチから構成され,ユーザの操作入力を受け付ける。ユーザによる,操作部250への操作入力や,装置タッチパネル260への操作入力に応じて,操作装置210の操作モードは,操作装置210自体を操作する通常モードと,携帯端末110を遠隔操作する遠隔モードとに切り換えられる。本実施形態では,特に遠隔モードについて言及する。なお,通常モードを有さずに,常に遠隔モードで動作するような操作装置210にしてもよい。 【0023】 撮像部252は,操作装置210の本体212と有線または無線で接続されている。また,撮像部252は,撮像レンズを通じて入射した光を電気信号に光電変換する撮像素子等を含んで構成され,携帯端末110の端末表示部112の表示画面を撮像し,その表示画面を含む画像の画面データを生成する。 【0024】 撮像制御部254は,ユーザによる操作部250や装置タッチパネル260への操作入力に応じて,撮像部252の撮像範囲や倍率を変更(調整)する。 【0025】 表示制御部256は,操作モードが遠隔モードである場合,撮像部252が撮像した,端末表示部112の表示画面を含む画像と,装置タッチパネル260の対応検知範囲を示す指標とを重畳して装置表示部258に表示させる。」 (ク)図10(a) [図:0001409459000004.jpg] (ケ)「【0069】 図10および図11は,第2の実施形態にかかる疑似操作入力部450の一例を説明するための説明図である。図10(a)に示すように,疑似操作入力部450は,携帯端末110の端末タッチパネル114に重ねて配置するように設置されて用いられる。疑似操作入力部450は,このように設置された状態で,端末タッチパネル114に近い順に,第1絶縁層452,複数の電極454を含んだ電極層456,第2絶縁層458の順で積層された操作シート部材460と,電圧印加部470とを含んで構成される。なお,操作シート部材460は,第1絶縁層452および第2絶縁層458を含まない構成とすることも可能であるが,第1絶縁層452および第2絶縁層458を含む構成とすることで,誤動作を防ぐことができる。」 (コ)図10(b) [図:0001409459000005.jpg] (サ)「【0070】 図10(b)に示すように,操作シート部材460は,端末タッチパネル114の四隅と操作シート部材460の四隅が一致するように,ユーザによって端末タッチパネル114に重ねて配置される。操作シート部材460の四隅と端末タッチパネル114の四隅がずれている場合,上述した表示制御部256が,装置表示部258の対応検知範囲を移動して校正することもできる。 【0071】 第1絶縁層452は,10μm程度の厚さの絶縁体で構成され,電極454に電圧を印加しない状態において,端末タッチパネル114と電極454とを絶縁する機能を有する。 【0072】 電極層456に含まれる電極454は,端末タッチパネル114の最小反応面積(例えば,7×7mm程度)程度の面積であり(図10(b)参照),電極層456は,0.1~0.2mm程度の厚さで構成されている。また,各電極454同士は,離隔し電気的に絶縁されている。第2絶縁層458は,1mm程度の厚さの絶縁体で構成され,電極454と電圧印加部470とを接続する接続線をそれぞれ絶縁する機能を有する。なお,最小反応面積は,例えば,1つのアイコンが表示されている範囲に対応する面積であってもよい。 【0073】 第1絶縁層452,電極層456,第2絶縁層458を含んで構成される操作シート部材460は,透明な物質で構成するとよい。これにより,操作装置410の装置表示部258に表示された端末表示部112の表示画面の視認性を確保することができる。 【0074】 電圧印加部470は,位置変換部264が算出した対応位置に対応した電極454に,例えば,50Hz,30V程度の交流電圧を印加する。これにより,電圧が印加された電極454の付近の端末タッチパネル114の領域に静電容量の変化を起こすことができる。 【0075】 端末タッチパネル114に用いられる,例えば静電容量方式のタッチパネルは,ユーザ(人)の指が接触することによる静電容量の変化を捉えることで,ユーザの指の接触(または押下)を検知している。ここでは,ユーザの指の代わりに電極454を用い,この電極454に電圧を印加することで,端末タッチパネルの静電容量に変化を与え,あたかもユーザの指が接触したように端末タッチパネル114に判定させる。 【0076】 例えば,図10(b)に示すように,電圧印加部470が,位置変換部264が算出した対応位置に対応した電極454aに交流電圧を印加すると,端末タッチパネル114は,電極454aの直下の端末タッチパネル114の領域にユーザの指が接触したと判定する。したがって,ユーザは,操作装置410を通じて,携帯端末110の端末タッチパネル114を操作しているように,携帯端末110を遠隔操作することが可能となる。 【0077】 ここでは,電圧印加部470が電極454に交流電圧を印加しているが,これに限定されず,端末タッチパネル114にユーザの指が接触したと判定させることができれば様々な方式を採用することができる。 【0078】 また,疑似操作入力部450は,対応位置に対応した電極を含む複数の電極に対して,一斉に交流電圧を印加してもよい。携帯端末110は,アプリケーションや使用形態によって,アイコンの形状や表示位置が異なる場合がある。したがって,端末タッチパネル114の操作面に対向して,小さい電極を数多く配置すれば,様々な形状や,様々な大きさのアイコンに対応することができる。しかし,電極を小さくしすぎると,端末タッチパネル114に,ユーザの指が接触したと判定させることができなくなるおそれがある。」 (シ)図11(a) [図:0001409459000006.jpg] (ス)図11(b) [図:0001409459000007.jpg] (セ)「【0079】 そこで,図11(a)に示すように,疑似操作入力部450を,上述した電極454よりも小さい電極480(例えば,2mm×2mm)を複数並置して構成し,対応位置に対応した電極480を含む複数の電極480に対して操作入力があったと判定させる。こうすることで,より確実に,携帯端末110にユーザの指が接触したと判定させることができる。例えば,図11(b)に示すように,疑似操作入力部450を最小反応面積よりも小さい電極480を並置して構成し,携帯端末110に,対応位置に対応した電極480を含む複数の電極480に対して操作入力があったと判定させることで,携帯端末110の使用形態によって,端末表示部112に表示されるアイコンの大きさが異なる場合であっても,確実に携帯端末110のアプリケーションの機能を実行させることができる。 【0080】 また,本実施形態において疑似操作入力部450は,複数の電極を含んで構成されているが,これに限定されず,X-Yプロッタのような構造や,携帯端末110の表示画面と水平方向に回動する2軸を有するアーム等の,実際の動作を伴う駆動体で構成されてもよい。この場合,疑似操作入力部450は,駆動体の一部で,実際に位置変換部264が算出した対応位置に接触する。ここで,端末タッチパネル114と接触する駆動体の一部は,導電体で形成するとよい。また,上述した駆動体で疑似操作入力部450を構成する場合,駆動体を透明な物質で構成すれば,操作装置410の装置表示部258に表示された端末表示部112の表示画面の視認性を確保することができる。なお,疑似操作入力部450は,固定ケースと一体に構成することがより好ましい。そのようにすることで,端末タッチパネル114と疑似操作入力部450の各電極454を対応させることが容易になる。 【0081】 以上説明したように,本実施形態にかかる操作装置410は,撮像部252が撮像した携帯端末110の表示画面をそのまま装置表示部258に表示することで,ユーザに携帯端末110の表示画面をそのまま認識させることができる。また,疑似操作入力部450を備える構成により,ユーザが操作装置410の装置タッチパネル260を接触すると,接触位置に対応する,端末タッチパネル114上の位置である対応位置に操作入力を行うので,外部から入力される情報(対応位置情報)に基づいてアプリケーション等を実行する機能が携帯端末110に予め備わっていない場合においても,ユーザに,あたかも携帯端末110を直接操作しているような遠隔操作をさせることが可能となる。 (中略) 【0088】 なお,本明細書の操作方法の各工程は,必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく,並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。また,操作装置210,410が車載装置であることは,一例であり,これに限らない。」 (2)引用発明 上記(1)より,特に,下線部に着目すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「操作装置410によって擬似的に携帯端末110を操作することで,外部から入力される情報(操作装置210から送信される対応位置情報)に基づいてアプリケーション等を実行する機能が携帯端末110に予め備わっていない場合であっても,確実に携帯端末110のアプリケーションの機能を実行させることのできる操作装置410であって, 操作装置410は,操作部250と,撮像部252と,撮像制御部254と,表示制御部256と,装置表示部258と,装置タッチパネル260と,装置メモリ262と,位置変換部264と,疑似操作入力部450と,データ通信部268と,スピーカ270とを含んで構成されており, 操作部250は,操作キー,十字キー,ジョイスティック等のスイッチから構成され,ユーザの操作入力を受け付けており,ユーザによる,操作部250への操作入力や,装置タッチパネル260への操作入力に応じて,携帯端末110を遠隔操作するものであり, 撮像部252は,操作装置210の本体212と有線または無線で接続されており,携帯端末110の端末表示部112の表示画面を撮像し,その表示画面を含む画像の画面データを生成しており, 表示制御部256は,撮像部252が撮像した,端末表示部112の表示画面を含む画像と,装置タッチパネル260の対応検知範囲を示す指標とを重畳して装置表示部258に表示させており, 疑似操作入力部450は,位置変換部264が算出した対応位置に操作入力を行うものであり, 疑似操作入力部450は,携帯端末110の端末タッチパネル114に重ねて配置するように設置されて用いられ, 疑似操作入力部450は,端末タッチパネル114に近い順に,第1絶縁層452,複数の電極454を含んだ電極層456,第2絶縁層458の順で積層された操作シート部材460と,電圧印加部470とを含んで構成されており, 操作シート部材460は,端末タッチパネル114の四隅と操作シート部材460の四隅が一致するように,ユーザによって端末タッチパネル114に重ねて配置され, 電圧印加部470は,位置変換部264が算出した対応位置に対応した電極454に,例えば,50Hz,30V程度の交流電圧を印加することにより,電圧が印加された電極454の付近の端末タッチパネル114の領域に静電容量の変化を起こすことができ, 端末タッチパネル114に用いられる,例えば静電容量方式のタッチパネルは,ユーザ(人)の指が接触することによる静電容量の変化を捉えることで,ユーザの指の接触(または押下)を検知しているところ,ユーザの指の代わりに電極454を用い,この電極454に電圧を印加することで,端末タッチパネルの静電容量に変化を与え,あたかもユーザの指が接触したように端末タッチパネル114に判定させており,したがって,ユーザは,操作装置410を通じて,携帯端末110の端末タッチパネル114を操作しているように,携帯端末110を遠隔操作することが可能となるものであり, ここでは,電圧印加部470が電極454に交流電圧を印加しているが,これに限定されず,端末タッチパネル114にユーザの指が接触したと判定させることができれば様々な方式を採用することができ, 疑似操作入力部450を,上述した電極454よりも小さい電極480(例えば,2mm×2mm)を複数並置して構成し,対応位置に対応した電極480を含む複数の電極480に対して操作入力があったと判定させることで,より確実に,携帯端末110にユーザの指が接触したと判定させることができ, 疑似操作入力部450を備える構成により,ユーザが操作装置410の装置タッチパネル260を接触すると,接触位置に対応する,端末タッチパネル114上の位置である対応位置に操作入力を行うので,外部から入力される情報(対応位置情報)に基づいてアプリケーション等を実行する機能が携帯端末110に予め備わっていない場合においても,ユーザに,あたかも携帯端末110を直接操作しているような遠隔操作をさせることが可能となり, また,操作装置210,410が車載装置であることは,一例であり,これに限らない 操作装置。」 2 引用文献2 (1)引用文献2の記載 「【0018】 <C.概要> (c1.利用される通信プロトコル) 以下では,Wi-Fi Alliance(ワイファイ・アライアンス)において規定されているmiracast(ミラキャスト)のプロトコル1211による通信(伝送)を,単に,「miracast通信」と称する。また,DLNA(Digital Living Network Alliance:デジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス)において規定されているプロトコルによる通信(伝送)を,単に,「DLNA通信」と称する。 【0019】 携帯端末100の処理を概要説明する前に,miracast通信のメリットおよびデメリット,並びにmiracast通信のメリットデメリットを説明する。 【0020】 miracast通信のメリットとして,「miracast通信では送信機において送信したい画像データを作成(Decode)して当該画像データを再圧縮(Encode)して受信機に送信するために,コンテンツのフォーマットに依存しない(複数の異なるフォーマットの映像も可能)」ことが挙げられる。一方,miracast通信のデメリットとして,「あらゆる無線環境を想定して再圧縮するため高ビットレートで圧縮できない」こと,および「伝送遅延を考慮してエラーパケットは破棄するため,ノイズに弱い」ことが挙げられる。 【0021】 DLNA通信のメリットとして,「コンテンツのファイルをそのまま受信機側の機器に送信するため,コンテンツの劣化がない」ことが挙げられる。なお,受信機側の機器は,受信したファイルをデコードする。一方,DLNA通信のデメリットとして,「規定されたファイルの再生等にしか使用できない」ことが挙げられる。」 (2)引用文献2に開示された周知事項 上記(1)より,特に,下線部に着目すると,引用文献2には,以下の周知事項(以下,「引用文献2開示周知事項」という。)が開示されていると認められる。 「携帯端末の技術分野において,携帯端末の画面に表示された画像を無線出力により,外部のテレビ等に出力するための技術(標準規格)として,Wi-Fi Allianceにおいて規定されたmiracast(ミラキャスト),および,DLNA(Digital Living Network Alliance)において規定されたDLNA通信が周知であり,それらのメリット及びデメリットもよく知られていたこと」 3 引用文献3 (1)引用文献3の記載 「カーナビには車両に固定して設置,使用する車載型のものと車両から取り外し可能なポータブル型のものがある。ポータブル型は地図データの記憶媒体にフラッシュメモリを使用してより小型で持ち運びが可能なPND(Portable Navigaion Device)と呼ばれるものが2006年頃より発売され,急速に需要を延ばし,2009年には車載型とほぼ同じ台数の市場規模に拡大している。」(246頁左欄3~10行) (2)引用文献3に開示された周知事項 上記(1)より,特に,下線部に着目すると,引用文献3には,以下の周知事項(以下,「引用文献3開示周知事項」という。)が開示されていると認められる。 「カーナビゲーションシステムの技術分野において,車載型のものの他に,車両から取り外して持ち運び可能なPND(Portable Navigaion Device)が周知であり,2009年には車載型とほぼ同じ台数の市場規模に拡大していたこと」 第5 当審の判断 1 対比 ア 本願発明1と,引用発明とを対比する。 (ア)引用発明は,「疑似操作入力部450を備える構成により,ユーザが操作装置410の装置タッチパネル260を接触すると,接触位置に対応する,端末タッチパネル114上の位置である対応位置に操作入力を行うので,外部から入力される情報(対応位置情報)に基づいてアプリケーション等を実行する機能が携帯端末110に予め備わっていない場合においても,ユーザに,あたかも携帯端末110を直接操作しているような遠隔操作をさせることが可能となる操作装置」であるとされている。 したがって,引用発明と,本願発明1とは,「携帯端末を遠隔で操作するためのデバイスであ」る点で共通しているといえる。 (イ)引用発明において,「操作装置410は,操作部250と,撮像部252と,撮像制御部254と,表示制御部256と,装置表示部258と,装置タッチパネル260と,装置メモリ262と,位置変換部264と,疑似操作入力部450と,データ通信部268と,スピーカ270とを含んで構成され」,「装置タッチパネル260への操作入力に応じて,携帯端末110を遠隔操作」しており,「撮像部252は,操作装置210の本体212と有線または無線で接続されており,携帯端末110の端末表示部112の表示画面を撮像し,その表示画面を含む画像の画面データを生成しており,「疑似操作入力部450は,位置変換部264が算出した対応位置に操作入力を行うものであり,疑似操作入力部450は,携帯端末110の端末タッチパネル114に重ねて配置するように設置されて用いられ,疑似操作入力部450は,端末タッチパネル114に近い順に,第1絶縁層452,複数の電極454を含んだ電極層456,第2絶縁層458の順で積層された操作シート部材460と,電圧印加部470とを含んで構成されており,操作シート部材460は,端末タッチパネル114の四隅と操作シート部材460の四隅が一致するように,ユーザによって端末タッチパネル114に重ねて配置され」,「操作装置410を通じて,携帯端末110の端末タッチパネル114を操作しているように,携帯端末110を遠隔操作することが可能となる」とされている。 ここで,引用発明の「装置タッチパネル260への操作入力に応じて,携帯端末110を遠隔操作」しており,「撮像部252は,操作装置210の本体212と有線または無線で接続されており,携帯端末110の端末表示部112の表示画面を撮像し」ていることから,引用発明の「装置タッチパネル260」は,「操作装置210の本体212」に備えられているといえる。 また,引用発明の「疑似操作入力部450は,位置変換部264が算出した対応位置に操作入力を行うものであり,疑似操作入力部450は,携帯端末110の端末タッチパネル114に重ねて配置するように設置されて用いられ」,「疑似操作入力部450を備える構成により,ユーザが操作装置410の装置タッチパネル260を接触すると,接触位置に対応する,端末タッチパネル114上の位置である対応位置に操作入力を行うので,」「携帯端末110を遠隔操作することが可能となる」ことから,操作装置410の装置タッチパネル260への接触位置を疑似操作入力部450に遠隔送信しているといえる。 よって,引用発明の「操作装置210の本体212」,「疑似操作入力部450」および「操作装置410の装置タッチパネル260」は,それぞれ,本願発明1の「ユーザーによるタッチ操作の情報を送信する操作デバイス(A)」,「前記情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力操作を行う入力デバイス(B)」および「ユーザーによるタッチ操作を検知するタッチパネル」に対応するといえる。 したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記デバイスは,ユーザーによるタッチ操作の情報を送信する操作デバイス(A)と,前記情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力操作を行う入力デバイス(B)とを備え,」「前記操作デバイス(A)は,ユーザーによるタッチ操作を検知するタッチパネル」「を有し」ている点で共通するといえる。 さらに,引用発明の「操作装置410」は,装置タッチパネル260への接触位置を疑似操作入力部450に遠隔送信していることから,本願発明1の「ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に無線信号で送信する無線送信手段」と,引用発明とは,「前記操作デバイス(A)」が「ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に送信する送信手段」「を有し」ている点でも共通するといえる。 (ウ)引用発明において,「表示制御部256は,撮像部252が撮像した,端末表示部112の表示画面を含む画像と,装置タッチパネル260の対応検知範囲を示す指標とを重畳して装置表示部258に表示させて」いるとされている。 ここで,引用発明の「端末表示部11」は,本願発明1の「表示部」に対応する。 したがって,本願発明1の「前記携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)を表示する表示部」と引用発明とは,「前記携帯端末に表示されている映像を表示する表示部」である点で共通するといえる。 (エ)引用発明において,「疑似操作入力部450は,端末タッチパネル114に近い順に,第1絶縁層452,複数の電極454を含んだ電極層456,第2絶縁層458の順で積層された操作シート部材460と,電圧印加部470とを含んで構成され」,「電圧印加部470は,位置変換部264が算出した対応位置に対応した電極454に,例えば,50Hz,30V程度の交流電圧を印加することにより,電圧が印加された電極454の付近の端末タッチパネル114の領域に静電容量の変化を起こすことができ,端末タッチパネル114に用いられる,例えば静電容量方式のタッチパネルは,ユーザ(人)の指が接触することによる静電容量の変化を捉えることで,ユーザの指の接触(または押下)を検知しているところ,ユーザの指の代わりに電極454を用い,この電極454に電圧を印加することで,端末タッチパネルの静電容量に変化を与え,あたかもユーザの指が接触したように端末タッチパネル114に判定させて」いるとされている。 ここで,引用発明の「電圧印加部470」は,「位置変換部264が算出した対応位置に対応した電極454に,例えば,50Hz,30V程度の交流電圧を印加」していることから,「電圧印加部470」は,本願発明1と同様に,「前記入力デバイス(B)は,前記操作デバイスの前記」「送信手段から送信された前記座標情報に基づき,該座標情報に対応する前記携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定」しているといえる。 また,引用発明の「電極454」は,「電圧が印加された電極454の付近の端末タッチパネル114の領域に静電容量の変化を起こすことができ,」「ユーザの指の代わりに電極454を用い,この電極454に電圧を印加することで,端末タッチパネルの静電容量に変化を与え,あたかもユーザの指が接触したように端末タッチパネル114に判定させて」いるから,「電極454」は,本願発明1と同様に,「前記操作判定手段によってユーザーがタッチ操作したと判定された前記携帯端末のタッチパネル上の位置で,前記タッチパネルに直接入力操作を実行」しているといえる。 2 一致点および相違点 本願発明1と,引用発明とは,以下(1)の点で一致し,以下(2)の点で相違する。 (1)一致点 「携帯端末を遠隔で操作するためのデバイスであって,前記デバイスは,ユーザーによるタッチ操作の情報を送信する操作デバイス(A)と,前記情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力操作を行う入力デバイス(B)とを備え, 前記操作デバイス(A)は,ユーザーによるタッチ操作を検知するタッチパネルと, ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に送信する送信手段と,前記携帯端末に表示されている映像を表示する表示部とを有し, 前記入力デバイス(B)は,前記操作デバイスの前記送信手段から送信された前記座標情報に基づき,該座標情報に対応する前記携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定する操作判定手段と, 前記操作判定手段によってユーザーがタッチ操作したと判定された前記携帯端末のタッチパネル上の位置で,前記タッチパネルに直接入力操作を実行する操作実行手段と, を有する, 携帯端末遠隔操作用デバイス。」 (2)相違点 ア <相違点1> 本願発明1の「ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に」「送信する」「送信手段」は,無線信号で送信しているのに対し,引用発明の「送信手段」は,「ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に」対して,どのように送信しているのか特定されていない点。 イ <相違点2> 本願発明1の「表示部」は,「携帯端末に表示されている映像」を取得して表示する際に,「カメラにより撮影された映像を除く」と特定されているのに対して,引用発明の「表示部」は,「携帯端末に表示されている映像」をカメラにより撮影して取得して表示している点。 ウ <相違点3> 本願発明1の「操作デバイス(A)は,携帯可能である」のに対して,引用発明の「操作デバイス(A)」は,車載装置である点。 3 相違点について 上記相違点について,判断する。 (1)<相違点1>について 引用発明において,「撮像部252は,操作装置210の本体212と有線または無線で接続されて」いるとされており,撮像部252と疑似操作入力部450とは,いずれも,携帯端末110の端末タッチパネル114に重ねて配置するように設置されて用いられるものであるから,疑似操作入力部450も,撮像部252と同様に,無線で接続されている構成とし,「送信手段」を「無線信号で送信する無線送信手段」とする本願発明1の<相違点1>に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。 また,現査定において,周知技術の例示として引用(現査定の引用文献2)された特表2013-522752号にも,タッチパネルを備えた携帯端末に対する操作入力信号を無線で送信する周知技術が開示されている(請求項13,段落0079-0081,図9など参照)。 したがって,引用発明1において,当該周知技術を適用することにより,疑似操作入力部450も,撮像部252と同様に,無線で接続されている構成とし,「送信手段」を「無線信号で送信する無線送信手段」とする本願発明1の<相違点1>に係る構成とすることも,当業者が容易に想到し得たものであるといえる。 (2)<相違点2>について 上記第4の2(2)で述べたように,スマートフォンなどの携帯端末の技術分野において,携帯端末の画面に表示された画像を無線出力により,外部のテレビ等に出力するための技術(標準規格)として,Wi-Fi Allianceにおいて規定されたmiracast(ミラキャスト)や,DLNA(Digital Living Network Alliance)において規定されたDLNA通信などが,本願優先日前に周知の技術であり,それらのメリット及びデメリットもよく知られていたといえる。 したがって,引用発明において,カメラで携帯端末の画面を撮像する構成に代えて,上記周知の技術を採用して,携帯端末の画面に表示された画像を無線通信により取得して表示する構成とし,本願発明1の<相違点2>に係る「携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)を表示する表示部」とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。 (3)<相違点3>について 引用発明において,「操作装置210は,例えば,カーナビゲーションシステム等の車載装置」(段落0017)とされているものの,「また,操作装置210,410が車載装置であることは,一例であり,これに限らない」(段落0088)と記載されているように,「カーナビゲーションシステム等の車載装置」は,「操作装置210」の一例に過ぎないから,「操作装置210」として携帯可能な装置とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。 また,上記第4の3(2)で述べたように,本願優先日前に,カーナビゲーションシステムの技術分野では,車載型のものと,車両から取り外して持ち運び可能なPND(Portable Navigaion Device)があり,いずれも,周知の技術であり,また,本願優先日前の2009年には,車両から取り外して持ち運び可能なのPND(Portable Navigaion Device)が,車載型とほぼ同じ台数の市場規模に拡大していたと認められる。 したがって,引用発明において,「操作装置210」として,「カーナビゲーションシステム等の車載装置」に代えて,車両から取り外して持ち運び可能なPND(Portable Navigaion Device)とし,本願発明1の<相違点3>に係る「前記操作デバイス(A)は,携帯可能である」ようにすることは,当業者が容易に想到し得たものである。 (3)作用効果について 本願発明1の<相違点1>ないし<相違点3>に係る構成を採用することによる作用効果も,当業者が容易に想到しうる範囲内のものに過ぎない。 (4)請求人の主張について ア 請求人は,令和4年8月1日提出の意見書において,概略以下のように主張している。 (ア)相違点1について 引用発明における「撮像部252」は,携帯端末110の端末表示部112の表示画面を撮像し,その表示画面を含む画像の画面データを生成するカメラであるのに対して,引用発明における「疑似操作入力部450」は位置変換部264が算出した対応位置に操作入力を行うものであり,カメラとは機能や目的の大きく異なる入力装置であり,たとえ「撮像部252」と「疑似操作入力部450」が共に,携帯端末110の端末タッチパネル114に重ねて配置するように設置されて用いられるものであったとしても,機能や目的の大きく異なる疑似操作入力部450を,撮像部252と同様に,無線で接続されている構成とし,「送信手段」を「無線信号で送信する無線送信手段」とすることが,当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 (イ)相違点2について 引用発明における「撮像部252」はカメラであり,引用文献1にはカメラによる撮影以外の方法で携帯端末の画面に表示された画像を無線通信により取得して表示することについて記載も示唆もされていない。 さらに,引用文献1明細書段落[0042]には,「また,図6に示すように,固定ケース290は,第1収納部292に携帯端末110を,第2収納部294に撮像部252を固定すれば,装置タッチパネル260の対応検知範囲に,入力検知範囲に対応する範囲280が一致して表示されるように形成されている。」とカメラ(撮像部)の画角を考慮している様子が記載されており,引用発明は,携帯端末の画面に表示された画像を取得する構成として撮像部がカメラであることが必須であるといえるから,引用文献2に記載されたDLNA通信などの技術を採用して,携帯端末の画面に表示された画像を無線通信により取得して表示する構成とし,「携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)を表示する表示部」とすることは,当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 (ウ)相違点3について 引用文献1に記載された「操作装置210」は,「カーナビゲーションシステム等の車載器」であり,カーナビゲーションシステムはあくまでも例示に過ぎず,車載器であることが前提となっているから,「車載器」が前提の引用文献1に記載された発明における「操作装置210」を,引用文献3に記載された車両から取り外し可能なポータブル(携帯可能)型のカーナビゲーションシステムに置き換える動機はない。 さらに,引用文献3に記載されたポータブルカーナビゲーションシステムはさまざまな車両に取り付けることを想定して,車両から取り外し可能なポータブル(携帯可能)型としているものあるため,通話等の目的で持ち運んで使用することが前提である「携帯端末」に,様々な車両に取り付けるために携帯可能なものとしているポータブルカーナビゲーションシステムを組み合わせて使用する状況が想定できないため,引用文献1に記載の「操作装置410」を引用文献3に記載の「携帯可能なポータブルナビ」とする動機はない。 (エ)有利な効果について 本願発明1の操作デバイス(A)は,携帯可能であることにより,自由に持ち運び可能であり,携帯端末を鞄やポケットに入れておいた場合にでも,操作デバイス(A)を用いて,携帯端末を容易に遠隔操作することができるため,携帯端末を落下させるなどによる破損を防止することも可能になるという有利な効果がある(当初明細書段落[0034])。 これに対して,引用発明は,車両に搭載して使用することを目的とした車載機であるため,操作デバイス(A)が「携帯可能」であるという技術的特徴及び,上記有利な効果は記載も示唆もされていない。 また,引用文献2に記載された発明は,外部の出力装置にコンテンツを出力させる際に,コンテンツに適した通信プロトコルを利用可能とする電子機器に関するものであるため,操作デバイス(A)が「携帯可能」であるという技術的特徴及び,上記有利な効果は記載も示唆もされていない。 また,引用文献3に記載された発明は,上述のとおり様々な車両に取り付けるために携帯可能なものとしているカーナビゲーションシステムであるため,携帯端末を遠隔操作する使用方法は記載も示唆もされていない。よって,引用文献3にも携帯可能であることにより,自由に持ち運び可能であり,携帯端末を鞄やポケットに入れておいた場合にでも,操作デバイス(A)を用いて,携帯端末を容易に遠隔操作することができるため,携帯端末を落下させるなどによる破損を防止することも可能になるという有利な効果は記載も示唆もされていない。 よって,本願発明1の有利な効果は,引用文献に記載された発明の効果と比較して異質な効果であって,出願時の技術水準から当業者が予測できないものである。 イ 上記請求人主張について検討する。 (ア)相違点1について デジタルデータ送信の技術分野において,十分な伝送容量さえ確保できれば,送信するデータの種類(機能・目的)に関わらず,無線でも,有線でも,送受信可能であるといえる。引用発明において,「撮像部252」が撮像して送信する「画像の画面データ」は,「疑似操作入力部450」が送信する画面上の位置情報に比べて,必要となる伝送容量が十分大きいといるから,「送信手段」を「無線信号で送信する無線送信手段」とすることは,当業者が容易に想到し得たものであるといえる。 また,上記(1)で述べたように,現査定において,周知技術の例示として引用(現査定の引用文献2)された特表2013-522752号にも,タッチパネルを備えた携帯端末に対する操作入力信号を無線で送信する周知技術が開示されているから,引用発明に,当該周知技術を適用して,「送信手段」を「無線信号で送信する無線送信手段」とする本願発明1の<相違点1>に係る構成とすることも,当業者が容易に想到し得たものであるといえる。 したがって,相違点1に関する請求人主張は採用できない。 (イ)相違点2について 引用発明において,携帯端末の画面に表示された画像を取得する構成として,「携帯端末110の表示画面をそのまま操作装置410側で視認させることができ」(引用文献1の段落0086)る手段として,撮像部が例示されているにすぎず,撮像部が引用発明における必須の構成であるとはいえないから,撮像部が引用発明における必須の構成であることを前提とする請求人主張は理由がない。 また,引用文献1においても,「以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。」(段落0087)と,構成の変更ないし修正は示唆されているところである。 よって,引用文献1の当該記載に接した当業者が,引用発明において,「携帯端末110の表示画面をそのまま操作装置410側で視認させることができ」る手段として,携帯端末の画面に表示された画像を無線出力により,外部のテレビ等に出力するための周知技術(標準規格)である,Wi-Fi Allianceにおいて規定されたmiracast(ミラキャスト)や,DLNA(Digital Living Network Alliance)において規定されたDLNA通信などを採用することも,容易であったといえる。 したがって,相違点2に関する請求人主張は採用できない。 (ウ)相違点3について 引用文献1には,「また,操作装置210,410が車載装置であることは,一例であり,これに限らない。」(段落0088)と記載されており,引用発明において,「操作装置210」は,「車載器であることが前提となっている」との請求人主張は理由がない。 また,上記第4の3(2)で述べたように,本願優先日前に,カーナビゲーションシステムの技術分野では,車載型のものと,車両から取り外して持ち運び可能なPND(Portable Navigaion Device)があり,いずれも,周知の技術であり,また,本願優先日前の2009年には,車両から取り外して持ち運び可能なのPND(Portable Navigaion Device)が,車載型とほぼ同じ台数の市場規模に拡大していたと認められるから,引用発明において,「操作装置210」として例示されている車載型のカーナビゲーションに代えて,車載型のものとほぼ同じ台数の市場規模に拡大していた車両から取り外して持ち運び可能なのPND(Portable Navigaion Device)を「操作装置210」とすることは,当業者が容易に想到し得たものであるといえる。 したがって,相違点3に関する請求人主張は採用できない。 (エ)効果について 上記(ウ)で述べたように,引用発明において,「操作装置210」として例示されている車載型のカーナビゲーションに代えて,車載型のものとほぼ同じ台数の市場規模に拡大していた車両から取り外して持ち運び可能なPND(Portable Navigaion Device)を「操作装置210」とすることは,当業者が容易に想到し得たものであり,引用文献3には,さらに,「PNDの用途として従来のカーナビとしての車での道案内だけでなく「旅行」での使用や「持ち歩き」用途が顕在している」(引用文献3の246頁右欄14~17行)との記載もあり,引用発明において,「操作装置210」を携帯(持ち運び)可能とすることによる効果も,当業者が容易に想到し得る範囲内であるといえる。 したがって,効果に関する請求人主張は採用できない。 (オ)小括 以上から,上記請求人主張は,いずれも採用できない。 第6 むすび 以上のとおり,本願発明1は,その優先日前に日本国内又は外国において,頒布された引用文献1に記載された発明及び引用文献2ならびに引用文献3に記載された周知事項に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,本願は,その余の請求項について論及するまでもなく,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2021-013384

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