特許拒絶査定不服審判
2021-013037
ミーティング支援システム
- 審判番号
- 2021-013037
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-193894外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年09月28日
- 審決日
- 2022年09月27日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社インタラクティブソリューションズ
- 【請求人代理人】廣瀬 隆行
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-193894「ミーティング支援システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月 1日出願公開、特開2022- 82379、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年11月20日の出願であって、令和3年3月5日付けで拒絶理由が通知され、同年5月7日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において、令和4年5月10日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対し、同年5月20日に意見書及び手続補正書が提出された。
第2 原査定及び当審拒絶理由の概要
1 原査定(令和3年6月22日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。
理由(進歩性)
この出願の請求項1~4に係る発明は、以下の引用文献A~Bに記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A.特許第4171123号公報
引用文献B.特開2014-7723号公報
2 当審拒絶理由(令和4年5月10日付け拒絶理由)の概要は以下のとおりである。
理由1(進歩性)
この出願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1~5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2009-93456号公報
引用文献2.特開2016-66253号公報
引用文献3.特開2003-308284号公報
引用文献4.ビジネスにおけるビデオ会議をサポートしてくれる「Lark」の便利機能 [オンライン]、2020年08月24日、[検索日:2021年12月23日]、インターネット:<URL: https://news.mynavi.jp/techplus/kikaku/lark_suite-6/>
引用文献5.オンラインでファイルを共有できる「Lark」のコラボレーション機能 [オンライン]、2020年09月18日、[検索日:2021年12月23日]、インターネット:<URL: https://news.mynavi.jp/techplus/kikaku/lark_suite-7/>
理由2(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
(1)請求項1に記載された「プレゼンテーション資料」と「第1プレゼンテーション資料」の異同関係が不明である。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。
第3 本願発明
1 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年5月20日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
プレゼンテーション資料を記憶するプレゼンテーション資料記憶部(3)と、
参加者に資料操作権原を与える権限付与部(5)と、
参加者とプレゼンテーション資料を共有するための資料共有部(7)と、
前記権限付与部(5)が資料操作権原を与えた複数の有権原参加者からの操作に基づいて、前記プレゼンテーション資料記憶部(3)に記憶されるプレゼンテーション資料を操作し、更新するプレゼンテーション資料更新部(9)と、
を有し、
前記資料共有部(7)が複数の参加者に、前記プレゼンテーション資料記憶部(3)に記憶されたあるプレゼンテーション資料を共有している場合であって、前記複数の有権原参加者が前記あるプレゼンテーション資料を操作したときに、更新後の前記あるプレゼンテーション資料が、前記複数の参加者にリアルタイムに共有される、
ミーティング支援システムであって、
前記あるプレゼンテーション資料に含まれるコンテンツであるある画像コンテンツを、前記権限付与部(5)から前記資料操作権限を与えられた2以上の参加者が前記ある画像コンテンツを移動させる指示を前記ミーティング支援システムが受け取った場合、前記プレゼンテーション資料更新部(9)は、前記ある画像コンテンツの色を変化させ、前記2以上の参加者の指示に従って、前記画像コンテンツを移動させられる状態として、前記更新後の前記あるプレゼンテーション資料とし、
前記プレゼンテーション資料記憶部(3)は、ウェブサーバ上に存在する、ミーティング支援システム。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
当審拒絶理由で引用した引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審で付したものである)。
ア 「【0001】
本発明は、共用データ閲覧編集方法、共用データ閲覧編集プログラム、サーバ及びクライアントの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ペーバーレス化が進む中、電子会議及びサテライト教育などにおいて、共用データの利用頻度が高まっている。このような状況の中で、例えば、同時に、ファイルの同一箇所を編集することを禁じた状態で、ファイル中の異なる箇所を同時編集することを許可する共有ファイル管理システム及びサーバが提示されている(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2006-11936号公報」
イ 「【0004】
前記課題に鑑みて、本発明は、共用データにアクセスするすべての利用者が、共用データに対して他者の編集状況をタイムリーに反映させることで、常に最新のデータを閲覧及び編集することを可能とすることを目的とする。」
ウ 「【0008】
図1は、本実施形態に係る共用データ閲覧編集システムの構成例を示す図である。
共用データ閲覧編集システムZは、サーバ1と、複数のクライアント2とを有してなる。
図1に示す例では、サーバ1と、各クライアント2とは、互いにWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などのネットワーク3で接続されているが、これに限らず、クライアント2のうち、少なくとも1つのクライアント2が異なるネットワーク3に属していてもよい。
【0009】
サーバ1は、共用データ閲覧編集システムZにおけるデータの送受信を管理し、各種の情報を処理する処理部11と、情報を格納する記憶部12と、ネットワーク3を介して情報をクライアント2へ送信する送受信部13とを有してなる。
処理部11は、記憶部12に格納されているデータの内容を、クライアント2から送信されたデータの内容へ更新する更新部111と、記憶部12に格納されているデータのコピーを生成するミラー生成部112(ミラーデータ生成部)とを有してなる。
記憶部12は、編集の対象である共用データ121、データの配信先を記録する配信管理テーブル122などを格納している。配信管理テーブル122の説明は、図2を参照して後記する。
【0010】
クライアント2は、サーバ1から受信したデータを編集し、編集したデータをサーバ1へ送信することによって、サーバ1に格納されている共用データ121をリアルタイムに編集する機能を有している。
クライアント2は、各種の情報を処理する処理部21、情報を格納する記憶部22、ネットワーク3を介して情報をサーバ1や、他のクライアント2へ送信する送受信部23、キーボードや、マウスなどの入力部24、ディスプレイなどの表示部25などを有してなる。
記憶部22には、サーバ1の記憶部12に格納されている共用データ121のコピーであり、入力部24を介して編集可能なミラーデータ221と、サーバ1の記憶部12に格納されている配信管理テーブル122のコピーであるミラーテーブル222とを有してなる。」
エ 「【0027】
(クライアント間が通信可能)
まず、前記したように図9~図22を参照して、互いに通信可能な2台のクライアント2(2a、2b)の利用者が、サーバ1の共用データ121に対してアクセスし編集する際の手順例を示す。
図9に示すように、共用データ121が格納されているサーバ1のアドレスを「α」とする。すると、サーバ1は、配信管理テーブル122の「共用データのアドレス」項目241sにαを登録する。ここで、アドレスが「A」であるクライアント2aが、共用データ121に対して新規にアクセスしたとする(図4AのS101)。すると、サーバ1は、配信管理テーブル122の「ミラーデータのアドレス」の項目242sに「A」(図4AのS103)を登録する。」
オ 「【0057】
本実施形態によれば、サーバ1内に格納されている共用データ121を、ミラーデータ221として、クライアント2にコピーし、クライアント2は、ミラーデータ221を編集した後、このミラーデータ221をサーバ1あるいは他のクライアント2へ送信し、ミラーデータ221を受信したサーバ1もしくは他のクライアント2が、共用データ121またはミラーデータ221を、さらに更新することで、共用データ121にアクセスするすべての利用者が、共用データ121に対して他者の編集状況をタイムリーに反映させることができる。この結果、共用データ121にアクセスできるすべての利用者が、常に最新のデータを閲覧及び編集することができる。
また、共用データ121及びミラーデータ221に加えて、サーバ1やクライアント2にアドレスを管理させることで、データが管理するアドレスをキーとして編集制御を行い、共用データ121またはミラーデータ221の特定の領域に対して特定の利用者(アドレスを元に制御)のみ編集することができる占有処理を行うことで、他者との編集箇所の重複を未然に防止することを可能となる。」
(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
<引用発明>
「電子会議及びサテライト教育などにおいて、共用データの利用頻度が高まっている状況の中で(【0002】)、共用データにアクセスするすべての利用者が、共用データに対して他者の編集状況をタイムリーに反映させることで、常に最新のデータを閲覧及び編集することを可能とすることを目的とした(【0004】)共用データ閲覧編集システムであって、
共用データ閲覧編集システムは、サーバ1と、複数のクライアント2とを有し、サーバ1と、各クライアント2とは、互いにWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などのネットワーク3で接続されており(【0008】)、
クライアント2の利用者が、サーバ1の共用データ121に対してアクセスし編集し(【0027】)、
サーバ1は、共用データ閲覧編集システムにおけるデータの送受信を管理し、各種の情報を処理する処理部11と、情報を格納する記憶部12と、ネットワーク3を介して情報をクライアント2へ送信する送受信部13とを有し、
処理部11は、記憶部12に格納されているデータの内容を、クライアント2から送信されたデータの内容へ更新する更新部111と、記憶部12に格納されているデータのコピーを生成するミラー生成部112(ミラーデータ生成部)とを有し、
記憶部12は、編集の対象である共用データ121、データの配信先を記録する配信管理テーブル122などを格納し(【0009】)、
クライアント2は、サーバ1から受信したデータを編集し、編集したデータをサーバ1へ送信することによって、サーバ1に格納されている共用データ121をリアルタイムに編集する機能を有し(【0010】)、
共用データ121の特定の領域に対して特定の利用者のみ編集することができる占有処理を行う(【0057】)、
共用データ閲覧編集システム。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項
当審拒絶理由で引用した引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付したものである。)。
ア 「【0009】
本発明の情報処理装置は、電子会議に参加可能なユーザのユーザアイコンを配置するクライアント端末と通信可能な情報処理装置であって、電子会議に参加中のユーザに対して付与する権限とユーザアイコンの配置位置の情報が対応付けられた会議形式の情報を複数記憶する会議形式記憶手段と、ユーザアイコンの配置位置を取得するユーザアイコン配置位置取得手段と、前記ユーザアイコン配置位置を用いて、前記ユーザアイコンのユーザで開催する電子会議の会議形式を、前記会議形式記憶手段に記憶された会議形式から特定する会議形式特定手段と前記会議形式特定手段で特定された会議形式と、前記ユーザアイコン配置位置取得手段で取得したユーザアイコンの配置位置に基づいて、前記配置位置にあるユーザアイコンに対応するユーザに付与する権限を決定するユーザ権限決定手段とを備えることを特徴とする。」
イ 「【0061】
資料共有ユーザ決定部324は、ユーザアイコン配置位置受信部321で受信したアイコンの配置位置、資料アイコン配置位置受信部322で受信したアイコンの配置位置に基づいて、会議に参加する各ユーザ(アイコン配置領域に配置されているユーザアイコンの示すユーザ)の会議中の資料の閲覧・編集権限(共有設定)を決定する決定部である。」
(2)引用文献2記載の技術的事項
上記(1)によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているといえる。
<引用文献2記載の技術的事項>
「電子会議に参加可能なユーザのユーザアイコンを配置するクライアント端末と通信可能な情報処理装置において(【0009】)、
ユーザアイコン配置位置受信部321で受信したアイコンの配置位置、資料アイコン配置位置受信部322で受信したアイコンの配置位置に基づいて、会議に参加する各ユーザ(アイコン配置領域に配置されているユーザアイコンの示すユーザ)の会議中の資料の閲覧・編集権限(共有設定)を決定する資料共有ユーザ決定部324を備えること(【0061】)。」
3 引用文献3について
(1)引用文献3に記載された事項
当審拒絶理由で引用した引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付したものである。)
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理システム、共有資料作成装置、共有資料作成方法、記録媒体およびプログラムに関し、特に、ネットワークを介して複数のユーザが共有資料を共同で作成するためのシステムに用いて好適なものである。」
イ 「【0049】
さらに、共有資料サーバ110は、編集ユーザが編集権を掌握するための編集制御の操作を可能か否かを判断し(S606)、編集制御を操作可能なユーザには編集制御を操作可能な編集制御権を付与する(S607)。なお、編集制御権は、上記図4に示した初期設定処理におけるユーザ登録(S406)において、作成ユーザのアクセスレベル1204の設定により設定される。複数の編集ユーザが同時にアクセスしてきた場合には、全ての編集ユーザに共有資料を同時に編集させることは不可能である。よって、編集制御権を有する編集ユーザが編集権の操作を行い、共有資料サーバ110にて定義される同時編集可能人数内に共有資料の編集権を付与して編集させる。」
(2)引用文献3記載の技術的事項
上記(1)によれば、引用文献3には、次の技術的事項が記載されているといえる。
<引用文献3記載の技術的事項>
「ネットワークを介して複数のユーザが共有資料を共同で作成するためのシステムにおいて(【0001】)、
編集制御権を有する編集ユーザが編集権の操作を行い、共有資料サーバ110にて定義される同時編集可能人数内に共有資料の編集権を付与して編集させる(【0049】)。」
4 引用文献4について
(1)引用文献4に記載された事項
当審拒絶理由で引用した引用文献4には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付したものである。)。
ア 「テレワーク(リモートワーク)で欠かせないツールとなっているのがビデオ会議だ。統合コラボレーションツール「Lark」が搭載するビデオ会議機能を前回見てきたが、今回はビジネスでビデオ会議をより活用できるようサポートしてくれる機能にスポットを当ててみる。テレワーク中にビデオ会議を何度も経験し、「相手の顔を見ながら話せるだけでなく、こういう機能があったらもっと便利だな」と物足りなく思った人もいるのではないか。「Lark」のビデオ会議には、そうした願いの一部を先取りした機能が用意されている。」
イ 「デスクトップ共有自体は、上記のように他のツールにも搭載されている機能だ。「Lark」のユニークなところは、参加者側からすれば閲覧するだけのいわゆる画面共有ばかりでなく、ドキュメントファイルそのものを共有して参加者が操作できる「マジックシェア」機能を備える点である。」
ウ 「共有ボタンを押して開くメニュー画面で「マジックシェア」のアイコンをクリックすると、初期状態では「ドキュメントを新規作成」「シートを新規作成」のメニューが現れる。ここで作成したドキュメントファイルや表計算シートは、ビデオ会議で単に画面を共有するだけでなく、参加者側でスクロールしたり、書き込みや編集を行ったりすることが可能となっている。また、ローカルに保存してあるファイルをインポートすることで、Word、Excel、PowerPointといったOfficeファイルやPDFファイルなどを取り込み、同機能で共有することもできる。もちろん、参加者の権限も設定できる。」
(2)引用文献4記載の技術的事項
上記(1)によれば、引用文献4には、次の技術的事項が記載されているといえる。
<引用文献4記載の技術的事項>
「統合コラボレーションツール「Lark」が搭載するビデオ会議機能において((1)ア)、
ドキュメントファイルそのものを共有して参加者が操作できる「マジックシェア」機能を備え((1)イ)、
作成したドキュメントファイルや表計算シートは、ビデオ会議で単に画面を共有するだけでなく、参加者側でスクロールしたり、書き込みや編集を行ったりすることが可能であり、参加者の権限も設定できる((1)ウ)。」
5 引用文献5について
(1)引用文献5に記載された事項
当審拒絶理由で引用した引用文献5には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付したものである。)。
ア 「チャットやビデオ会議はコミュニケーションのうえでもちろん重要な機能だが、プロジェクトなどチームメンバーとのコラボレーションという視点で見たとき、欠かせないのがファイルに関する作業だろう。統合コラボレーションツール「Lark」では、オンラインでドキュメントやスプレッドシートを共同編集したり、クラウドストレージでファイルを共有したりすることが可能だ。今回はこうしたドキュメント/ファイルまわりの機能について焦点を当てる。
イ 「このほか、クラウドストレージに保存したファイル/フォルダについては、ユーザー単位で共有権限を設定(閲覧可能、編集可能、所有者に変更、削除)できる。アクセスのためのリンク共有も行うことができ、共有するとそのメンバーにチャットで連絡されるのも便利だ。このように、チャットなど他機能と緊密に連携しながら、他のメンバーとの多様な共同作業を実現してくれるのが、「Lark」のコラボレーションで最大の特色といえるだろう。」
(2)引用文献5記載の技術的事項
上記(1)によれば、引用文献5には、次の技術的事項が記載されているといえる。
<引用文献5記載の技術的事項>
「統合コラボレーションツール「Lark」では、オンラインでドキュメントやスプレッドシートを共同編集したり、クラウドストレージでファイルを共有したりすることが可能であり((1)ア)、
クラウドストレージに保存したファイル/フォルダについては、ユーザー単位で共有権限を設定(閲覧可能、編集可能、所有者に変更、削除)できる((1)イ)。」
6 引用文献Aについて
(1)引用文献Aに記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献Aには、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付したものである。)。
ア 「【0042】
(実施形態1)
実施形態1の端末操作装置は、操作を希望する処理対象ごとに個別に操作権を設定し、アクティブとなっている処理対象の操作権を持つ電子会議参加者が、当該取得した操作権に基づいて当該処理対象への操作入力を行なう端末操作装置である。
【0043】
本実施形態1にかかる他端末操作装置の全体構成の概略と本装置による処理流れの全体像を図面を参照しつつ説明する。
【0044】
図1は、端末操作装置を実現したネットワーク全体の構成の概略を示した図である。
【0045】
図1において、1は、共有画面を表示する表示部としての大型プロジェクタなどの共有画面表示装置、2は、共有画面表示装置1を直接制御する端末である被操作端末、3は、電子会議参加者が各自利用する操作端末であり、3a,3bと複数存在しても良い。第1の情報処理端末である操作端末3は通信機能が実装された通常構成のパーソナルコンピュータで良い。被操作端末2と操作端末3は、ネットワーク5により接続されており、操作端末3は後述する方法で共有画面上で被操作端末2上にある処理対象について個別に操作権を獲得し、付属のポインタ入力装置から当該処理対象制御が可能である。なお、図1では、操作端末は3a,3bの2つ図示したが、会議参加者の人数に応じて増減しても良い。」
イ 「【0062】
次に、本発明の端末操作装置の操作権を詳しく説明する。最初に操作権設定付与の管理単位について説明し、次に、操作権管理テーブル21による操作権の管理方法、さらに、操作入力時におけるアクティブ状態となる操作権の特定方法について説明する。
【0063】
操作権設定付与の管理単位について説明する。操作権は操作権管理対象ごとに設定され、各操作端末からの要求に応じて付与する。操作権管理対象は、例えば、アプリケーションのウィンドウ単位、マルチディスプレイとして複数提供された共有画面表示装置1の単位、一つの共有画面表示装置1の表示画面を分割した画面領域単位などである。」
(2)引用文献A記載の技術的事項
上記(1)によれば、引用文献Aには、次の技術的事項が記載されているといえる。
<引用文献A記載の技術的事項>
「操作を希望する処理対象ごとに個別に操作権を設定し、アクティブとなっている処理対象の操作権を持つ電子会議参加者が、当該取得した操作権に基づいて当該処理対象への操作入力を行なう端末操作装置であって、
被操作端末と操作端末は、ネットワークにより接続されており、操作端末は共有画面上で被操作端末上にある処理対象について個別に操作権を獲得し、付属のポインタ入力装置から当該処理対象制御が可能であり(【0042】、【0045】)、
操作権は操作権管理対象ごとに設定され、各操作端末からの要求に応じて付与される(【0063】)、
端末操作装置。」
7 引用文献Bについて
(1)引用文献Bに記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献Bには、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付したものである。)。
ア 「【0022】
<実施形態に係るシステムの概要>
図1は、本実施形態に係る情報処理システム100のハードウェア構成の概略を示す図である。本実施形態に係る情報処理システム100は、テレビジョン受像機等の外部ディスプレイ3に接続される据置型の第一情報処理装置1と、内蔵ディスプレイ26、カメラ29およびマイクロフォン28を有する可搬型(手持ち型、携帯型等)の第二情報処理装置2と、を備える。第二情報処理装置2は可搬型であるため、ユーザが自由に持ち歩くことができ、第二情報処理装置2の内蔵ディスプレイ26はユーザによる使用中、当該ユーザによって占有可能である。なお、第二情報処理装置2は、第一情報処理装置1のコントローラであってもよい。また、第二情報処理装置2は、ディスプレイ付の操作装置であってもよい。」
イ 「【0081】
図10Cは、本実施形態において、ビデオチャットを行いながら「お絵描きチャット」を行う場合のディスプレイ割当の例を示す図である。ここで、「お絵描きチャット」とは、ビデオチャット中に、ビデオチャットの参加者によって編集可能な編集可能画像を用意し、ビデオチャットを行いながらこの編集可能画像に手書きで描いた線や図形を追加したり削除したりする編集を行うことで参加者間のコミュニケーションを図ることをいう。編集可能画像は、操作受付部(図示は省略する)によって受け付けられた、タッチパネル27等のポインティングデバイスを介したユーザ操作に応じて編集される。例えば、ポインティングデバイスを介して指示される位置の変化に対応する軌跡が、編集可能画像上に特定され、この軌跡に沿って編集可能画像に線や図形等が追加される。編集可能画像は、参加者のうちの1人のみによって編集可能であってもよいし、複数の参加者によって同時に編集可能であってもよい。図10Cに示す例では、第一情報処理装置1に接続される外部ディスプレイ3には、通信相手画像およびユーザ画像に加えて、「お絵描きチャット」用の編集可能画像が表示される。編集可能画像の表示内容は、編集権限を有するユーザによる編集内容がリアルタイムで反映され、更新される。内蔵ディスプレイ26には、主に編集可能画像の内容が表示される。なお、編集可能画像の編集は、内臓ディスプレイ26に設けられたタッチパネル27等への入力によって行われる。」
(2)引用文献B記載の技術的事項
上記(1)によれば、引用文献Bには、次の技術的事項が記載されているといえる。
<引用文献B記載の技術的事項>
「テレビジョン受像機等の外部ディスプレイに接続される据置型の第一情報処理装置と、内蔵ディスプレイ、カメラおよびマイクロフォンを有する可搬型(手持ち型、携帯型等)の第二情報処理装置と、を備える情報処理システム(【0022】)であって、
第一情報処理装置に接続される外部ディスプレイには、通信相手画像およびユーザ画像に加えて、「お絵描きチャット」用の編集可能画像が表示され(【0081】)、
可搬型の第二情報処理装置の内蔵ディスプレイには、主に編集可能画像の内容が表示され、編集可能画像の編集は、内臓ディスプレイに設けられたタッチパネル等への入力によって行われ(【0081】)、
ビデオチャット中に、ビデオチャットの参加者によって、ビデオチャットを行いながらこの編集可能画像に手書きで描いた線や図形を追加したり削除したりする編集を行うことで参加者間のコミュニケーションを図るものであり、
編集可能画像は、参加者のうちの1人のみによって編集可能であってもよいし、複数の参加者によって同時に編集可能であってもよく、
編集可能画像の表示内容は、編集権限を有するユーザによる編集内容がリアルタイムで反映され、更新される、(【0081】)、
情報処理システム(【0022】)。」
第5 進歩性(特許法第29条第2項)について
1 対比
本願発明と引用発明を、以下で対比する。
(1)引用発明の「共用データ閲覧編集システム」は、ネットワークを介して接続される複数のクライアントが電子会議などにおいて共用データの閲覧編集を行う際に使用されるシステム、すなわち、ミーティングの支援を行うシステムであることから、引用発明の「共用データ閲覧編集システム」は、本願発明と同様の「ミーティング支援システム」であるといえる。
(2)引用発明の「共用データ」はサーバ1の「記憶部12」に記憶されるものであって、当該「共用データ」、「記憶部12」は本願発明の「プレゼンテーション資料」、「プレゼンテーション資料記憶部(3)」にそれぞれ相当することから、引用発明の「共用データ」を記憶する「記憶部12」は、本願発明の「プレゼンテーション資料を記憶するプレゼンテーション資料記憶部(3)」に相当する。
(3)引用発明の「クライアント2」の「利用者」は本願発明の「参加者」に相当し、引用発明の「送受信部13」は「共用データ」を含む情報を当該「クライアント2」に送信して「共用データ」を共有させていることから、引用発明の「クライアント2」に「共用データ」を含む情報を送信することにより、「利用者」と「共有データ」を共有する「送受信部13」は、本願発明の「参加者とプレゼンテーション資料を共有するための資料共有部(7)」に相当する。
(4)引用発明の「更新部111」は「クライアント2」の「利用者」が編集した内容にデータの更新を行うものであって、本願発明の「プレゼンテーション資料更新部(9)」に対応するものであることから、引用発明の複数の「利用者」が「共用データ」を「編集」した際に「記憶部12」に記憶された「共用データ」を「更新」する「更新部111」と、本願発明の「前記権限付与部(5)が資料操作権原を与えた複数の有権原参加者からの操作に基づいて、前記プレゼンテーション資料記憶部(3)に記憶されるプレゼンテーション資料を操作し、更新するプレゼンテーション資料更新(9)」とは、「複数の参加者からの操作に基づいて、前記プレゼンテーション資料記憶部(3)に記憶されるプレゼンテーション資料を操作し、更新するプレゼンテーション資料更新部(9)」を備える点で共通する。
(5)引用発明は、「共用データにアクセスするすべての利用者が、共用データに対して他者の編集状況をタイムリーに反映させることで、常に最新のデータを閲覧及び編集することを可能」とし、「クライアント2は、サーバ1から受信したデータを編集し、編集したデータをサーバ1に送信することによって、サーバ1に格納されている共用データ121をリアルタイムに編集する」ものであって、当該「データを編集」することはリアルタイムで複数の「クライアント2」の「利用者」に共有されることから、引用発明の「送受信部11」が複数の「利用者」に「記憶部12」に記憶された「共用データ」を共有し、複数の「利用者」が「共用データ」を「編集」したときに、当該「共用データ」が複数の「利用者」に共有されることは、本願発明の「前記資料共有部(7)が複数の参加者に、前記プレゼンテーション資料記憶部(3)に記憶されたあるプレゼンテーション資料を共有している場合であって、前記複数の参加者が前記あるプレゼンテーション資料を操作したときに、更新後の前記あるプレゼンテーション資料が、前記複数の参加者にリアルタイムに共有される」ことに相当する。
(6)引用発明の「サーバ1」は「WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などのネットワーク3」において用いられるものであって、引用発明の「サーバ1」と本願発明の「ウェブサーバ」とは、いずれも、「サーバ」である点で共通しており、引用発明の「記憶部12」は「サーバ1」に設けられていることから、引用発明の「共用データ」を格納する「記憶部12」が「サーバ1」に設けられることと、本願発明の「前記プレゼンテーション資料記憶部(3)は、ウェブサーバ上に存在する」こととは、「前記プレゼンテーション資料記憶部(3)は、サーバ上に存在する」点で共通する。
2 一致点及び相違点
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
プレゼンテーション資料を記憶するプレゼンテーション資料記憶部(3)と、
参加者とプレゼンテーション資料を共有するための資料共有部(7)と、
複数の参加者からの操作に基づいて、前記プレゼンテーション資料記憶部(3)に記憶されるプレゼンテーション資料を操作し、更新するプレゼンテーション資料更新部(9)と、
を有し、
前記資料共有部(7)が複数の参加者に、前記プレゼンテーション記憶部(3)に記憶されたあるプレゼンテーション資料を共有している場合であって、前記複数の有権原参加者が前記あるプレゼンテーション資料を操作したときに、更新後の前記あるプレゼンテーション資料が、前記複数の参加者にリアルタイムに共有される、
ミーティング支援システムであって、
前記プレゼンテーション資料記憶部(3)は、サーバ上に存在する、ミーティング支援システム。」
<相違点1>
本願発明は「参加者に資料操作権原を与える権限付与部(5)」を備えるのに対し、引用発明は当該「権限付与部」を備えていない点。
<相違点2>
本願発明は「資料操作権原を与えた参加者」が「プレゼンテーション資料を操作」するのに対し、引用発明は利用者全員が共用データを編集できる点。
<相違点3>
本願発明は、「前記あるプレゼンテーション資料に含まれるコンテンツであるある画像コンテンツを、前記権限付与部(5)から前記資料操作権限を与えられた2以上の参加者が前記ある画像コンテンツを移動させる指示を前記ミーティング支援システムが受け取った場合、前記プレゼンテーション資料更新部(9)は、前記ある画像コンテンツの色を変化させ、前記2以上の参加者の指示に従って、前記画像コンテンツを移動させられる状態として、前記更新後の前記あるプレゼンテーション資料」とするのに対し、引用発明は、共用データの特定の領域に対して特定の利用者のみ編集するものであって、2以上の参加者が前記ある画像コンテンツを移動させる指示をし、前記2以上の参加者の指示に従って、前記画像コンテンツを移動させられる状態とするものではない点。
<相違点4>
本願発明は「サーバ」が「ウェブサーバ」であるのに対し、引用発明ではサーバの種別について特定されていない点。
3 相違点についての判断
上記相違点3について検討する。
引用文献1~5には、本願発明の「前記あるプレゼンテーション資料に含まれるコンテンツであるある画像コンテンツを、前記権限付与部(5)から前記資料操作権限を与えられた2以上の参加者が前記ある画像コンテンツを移動させる指示を前記ミーティング支援システムが受け取った場合、前記プレゼンテーション資料更新部(9)は、前記ある画像コンテンツの色を変化させ、前記2以上の参加者の指示に従って、前記画像コンテンツを移動させられる状態として、前記更新後の前記あるプレゼンテーション資料」とすることについて、2以上の参加者が前記ある画像コンテンツを同時に移動させる指示をし、前記2以上の参加者の指示に従って、前記画像コンテンツを移動させられる状態とすることは記載も示唆もされていないから、引用文献1~5の記載事項から相違点3に係る構成を導出できない。
そして、本願発明1は、相違点3に係る構成を有することにより、「プレゼンテーション資料を複数の参加者が操作でき、操作した後のプレゼンテーション資料をリアルタイムで共有できる。その結果、この発明によれば、ミーティングに、双方向性や一体感を与えることができるミーティング支援システムを提供できる」(段落【0009】)という効果を奏するものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明と、引用文献2~5に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものはない。
第6 明確性(特許法第36条第6項第2号)について
当審拒絶理由の明確性要件違反の理由2(1)は、請求項1に記載された「プレゼンテーション資料」と「第1プレゼンテーション資料」の異同関係が不明であって、明確でないというものであるが、当該記載は平成4年5月20日に提出された手続補正書による補正により、「第1プレゼンテーション資料」が「あるプレゼンテーション資料」と補正されたため、本願特許請求の範囲は明確となった。
第7 原査定の理由について
上記第5に示した相違点3に対応する構成は、引用文献A、Bのいずれにも記載されていない。よって、本願発明は、原査定の拒絶理由において引用された引用文献A、Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と、引用文献2~5に記載された技術的事項とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本願発明は、引用文献A、Bに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本願特許請求の範囲の記載は明確である。
したがって、原査定の理由及び当審拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-013037