特許拒絶査定不服審判
2021-012516
良好な加工性を有する高分子量マルチモーダルエラストマー組成物
- 審判番号
- 2021-012516
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-556788
- 請求日
- 2021年09月17日
- 審決日
- 2023年09月21日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク
- 【請求人代理人】赤松 利昭
- 【請求人代理人】内藤 忠雄
- 【請求人代理人】今井 千裕
- 【請求人代理人】朴 志恩
- 審判長/審判官
- 審判長 近野 光知
- 審判官 小出 直也
- 審判官 海老原 えい子
- 分類
- P18 .537-WZF(C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2018-556788「良好な加工性を有する高分子量マルチモーダルエラストマー組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月27日国際公開、WO2017/127185、平成31年 2月28日国内公表、特表2019-505656〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願発明
本願は、2016年(平成28年)12月15日(優先権主張外国庁受理2016年1月19日、同年10月25日 米国(US)、同年4月1日欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、その請求項1~9に係る発明は、令和3年9月17日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載されたとおりのものと認める。
第2 当審の判断
1 明確性に関する判断基準
特許法36条6項2号は、特許請求の範囲の記載に関し、特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨規定する。この趣旨は、特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には、特許の付与された発明の技術的範囲が不明確となり、第三者に不測の不利益を及ぼすことがあり得るため、そのような不都合な結果を防止することにある。そして、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
2 判断
(1)請求項1に係る発明について
ア 請求項1は、エラストマー組成物に係る発明であり、「前記エラストマー組成物から配合されたコンパウンドが、0.25~0.35の範囲内のコンパウンドムーニー粘度(ML,1+4@100℃)とエラストマームーニー粘度(ML,1+8@150℃)との比を有し、前記エラストマー組成物から配合されたコンパウンドが、ポリマー、カーボンブラック、炭酸カルシウム、パラフィン系プロセス油、ステアリン酸および酸化亜鉛加硫活性剤、ポリエチレングリコール加工助剤、酸化カルシウム吸湿剤、イオウ硬化剤、ジチオカーバメートおよびベンゾチアジルジスルフィド加硫活性剤、ジチオホスフェート加硫活性剤、ベンゼンスルホン酸アミドスコーチ防止剤、オキシベンゼンスルホニルヒドラジドおよびアゾジカルボンアミド発泡剤を配合されたものである、」との特定を有する。以下、「コンパウンドムーニー粘度(ML,1+4@100℃)とエラストマームーニー粘度(ML,1+8@150℃)との比」を、「粘度比」ということがある。)
当該特定は、エラストマー組成物と、これから形成されたコンパウンドとのムーニー粘度比を特定することにより、本願の請求項1に係る発明のエラストマー組成物を特定しようとするものであると解される。
イ ここで、粘度比は、エラストマームーニー粘度のみならず、コンパウンドムーニー粘度により変化することは明らかであり、さらに、コンパウンドムーニー粘度は、コンパウンドを形成する各成分の配合量によって変化することも明らかである(たとえば、パラフィン系プロセスオイルやポリエチレングリコール加工助剤の量が増減することにより、ムーニー粘度が変化するものと解される)。
しかしながら、請求項1には、コンパウンドに配合される配合成分が記載されているのみで、各成分の配合量は特定されていないから、コンパウンドムーニー粘度を一定に定めることができない。
ウ そうすると、粘度比が「0.25~0.35」の範囲内であるという特定を有するエラストマー組成物の技術的範囲は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるといえる。
エ 審判請求人は、審判請求書において、以下のとおり主張する。
本願明細書では、スポンジまたは発泡グレード用の典型的な配合物の構成としたものを用いて、実施例が比較例よりも優位に低い粘度比を有することが実証されており(実施例6の表14)、このことから、当業者は請求項1のコンパウンドがスポンジまたは発泡グレードコンパウンド用の典型的な配合物の構成であること及び主成分であるポリマーに他の添加物が、通常用いられる所定量で添加されたものであることを、当業者の技術常識として認識することができる(審判請求書3(3)(2)請求人の意見その1)。
上記主張について検討する。
表14に関して、本願明細書には、「これらの値が、エラストマー組成物サンプルC10、11および12について前に測定され報告されたムーニー粘度の再録とともに下の表14に報告される。」(【0108】)と記載されるのみであって、当該配合物が典型的な配合物であるとの記載はない。
また、仮に、請求項1のコンパウンドが、典型的な配合物の構成であり、主成分であるポリマーに他の添加物が、通常用いられる所定量で添加されたものであることを認識することができたとしても、技術常識に照らして、当該「典型的な配合物の構成」や「通常用いられる所定量」が一定のものとして決まらなければ、上記ア~ウのとおり、粘度比についての規定はやはり明確であるとはいえないところ、エラストマー組成物から構成される、発泡される組成物(コンパウンド)の配合に関しては、複数の文献がさまざまなものを報告している(例えば、特表2000-514476号公報の表1、2、5、6、特表2015―514825号公報の表2、特表2015-535551号公報)。
そうすると、請求項1のコンパウンドの配合を、各成分の配合量を含めて一定のものとして決めることはできないから、上記主張を採用して、本願発明が明確であるとはいえない。
(2)請求項2~9に係る発明について
請求項2~9は、請求項1を直接または間接的に引用するものであるから、3と同様の理由により、明確ではない。
(3)請求項4について
請求項4には、「前記リアクターブレンド」とあるが、これに先行する部分に「リアクターブレンド」なる記載がないので、「前記リアクターブレンド」が何を意味するのか不明である。
3 令和5年4月13日付けの拒絶理由通知に対して応答がなかったことについて
上記2について、当審は令和5年4月13日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。
そして、上記拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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