2021-011650
端末装置、コアネットワーク内装置、端末装置の通信制御方法及びコアネットワーク内装置の通信制御方法
- 審判番号
- 2021-011650
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-534456外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年09月01日
- 審決日
- 2022年05月11日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】シャープ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
- 分類
- P18 .121-WY (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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本願は、2016年(平成28年)8月8日(優先権主張 平成27年8月7日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 元年 8月 8日 手続補正書、上申書の提出
令和 2年10月22日付け 拒絶理由通知書
令和 2年12月25日 意見書の提出
令和 3年 5月26日付け 拒絶査定
令和 3年 9月 1日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年12月 8日 上申書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和3年5月26日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1及び2、5及び6、8及び9、並びに12及び13に対して、引用文献1及び2
・請求項 4、7、11、及び14に対して、引用文献1ないし3
<引用文献等一覧>
1.特表2013-529402号公報
2.特表2014-510496号公報
3.特表2014-514831号公報
第3 本願発明について
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和3年9月1日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】端末装置であって、コアネットワークに、ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージの通信を要求するための識別情報を含むアタッチ要求メッセージを送信し、前記コアネットワークから、前記アタッチ要求メッセージに対する応答として、アタッチ受諾メッセージを受信し、続きを表示(全26行)前記アタッチ受諾メッセージを受信した後に、前記コアネットワークへ、前記NASメッセージを送信する、送受信部と、前記アタッチ受諾メッセージに含まれる識別情報に基づいて、前記NASメッセージの通信が可能になったことを検出する、制御部と、を備え、前記端末装置は、前記NASメッセージの通信の使用を要求する際に、前記NASメッセージの通信を要求するための識別情報を、前記端末装置のNASレイヤからRRC(Radio Resource Control)レイヤに通知する、ことを特徴とする端末装置。【請求項2】前記端末装置は、スモールデータの送信と、マシン型通信と、をサポートする、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。【請求項3】前記端末装置は、前記アタッチ受諾メッセージとともに、デフォルトEPS(Evolved Packet System)ベアラコンテキストアクティブ化要求メッセージを受信し、前記デフォルトEPSベアラコンテキストアクティブ化要求メッセージは、確立するPDN(Packet Data Network)コネクションが前記NASメッセージの通信を行うためのPDNコネクションであることを示す情報を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。【請求項4】端末装置の通信制御方法であって、コアネットワークに、ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージの通信を要求するための識別情報を含むアタッチ要求メッセージを送信するステップと、前記コアネットワークから、前記アタッチ要求メッセージに対する応答として、アタッチ受諾メッセージを受信するステップと、前記アタッチ受諾メッセージに含まれる識別情報に基づいて、前記NASメッセージの通信が可能になったことを検出するステップと、前記アタッチ受諾メッセージを受信した後に、前記コアネットワークへ、前記NASメッセージを送信するステップと、を備え、前記端末装置は、前記NASメッセージの通信の使用を要求する際に、前記NASメッセージの通信を要求するための識別情報を、前記端末装置のNASレイヤからRRC(Radio Resource Control)レイヤに通知する、ことを特徴とする端末装置の通信制御方法。」
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
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1.引用文献1について
原査定の拒絶理由で引用された、特表2013-529402号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)
(1) 「【0022】図1Bは、例示的なWTRU102の系統図である。図1Bに示すように、WTRU102は、プロセッサ118と、トランシーバ120と、送信/受信要素122と、スピーカ/マイクロフォン124と、キーパッド126と、ディスプレイ/タッチパッド128と、ノンリムーバブルメモリ130と、リムーバブルメモリ132と、電源134と、全地球測位システム(GPS)チップセット136と、他の周辺機器138とを含むことができる。WTRU102は、実施形態と整合性を保った上で、上述の要素の任意の組み合わせを含んでよいことを認識されたい。」
(2) 「【0050】実施形態において、WTRU410は、例えば、小データ伝送などの、MTCアプリケーションまたはフィーチャ用の通信ネットワークの能力を要求する情報要素(IE)を含むことができる、RRC接続要求402を送信できる。RRC接続要求402は、WTRU410が、MTCデバイスになることができるか、またはMTCフィーチャ、グループなどに属する能力をサポートできる、情報を含むことができる。それに応答して、それぞれの通信ネットワークである、E?UTRAN420は、新しいIEに変更されることができるRRC接続設定メッセージ404を送信できる。新しいIEは、例えば、限定したMTCフィーチャまたはアプリケーション用のデータを転送するための1または複数の特定の方法を表示できる。WTRU410は、自身に送信された新しいIEを認識できるし、WTRU410は、新しいIEと関連付けられた情報を復号して、ネットワークのMTCまたは他の能力にアクセスできる。例えば、WTRU410は、受信したIEに基づいて、通信ネットワーク420が制御プレーンメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートできると判定でき、その場合、WTRU420は、新しいIEを使用して、短いデータ(または小データ)をRRC接続設定完了メッセージ406内にカプセル化できる。」
(3) 「【0055】別の実施形態において、図6Aおよび図6Bの例示的なメッセージ交換で示すように、非アクセス層(NAS)シグナリングを使用できる。NASアタッチ受諾メッセージを拡張して、低いデータ利用などの、1または複数のサポートされるMTC能力に関する情報を含むことができる。その情報を使用して、どのMTC能力が、それぞれの無線通信ネットワークによってサポートされ得るかをWTRUに表示できる。例えば、図6Aに示すように、WTRU610は、小データ伝送に対するネットワーク620のMTC能力を要求するIEを含むことができる、アタッチ要求602を送信できる。代替として、アタッチ要求602は、WTRUはMTCデバイスであるという情報を含むことができる。【0056】アタッチ要求602に応答して、通信ネットワーク620は、例えば、小データを転送するのに使用されることができる1または複数の特定の方法を表示する新しいIEを含むことができる、変更されたアタッチ受諾604を送信できる。代替として、通信ネットワーク620は、WTRU610から明示的な要求がなくても小データを転送するための1または複数の特定の方法を表示する新しいIEを送信できる(例えば、通信ネットワークは、一部またはすべてのWTRUに情報を送信できる)。【0057】WTRU610は、新しいIEを認識できるし、新しいIEと関連付けられた情報を復号して、ネットワーク620のMTC能力にアクセスできる。通信ネットワーク620がNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートする場合、WTRU610は、新しいIEを使用して、短いデータをアタッチ完了メッセージ606内にカプセル化できる。【0058】図6Aに示すように、WTRU610は、アタッチ受諾604の後にアタッチ完了メッセージを送信できる。オフライン小データ伝送ソリューションが、MTCデータを搬送するためにアタッチ完了メッセージ606を使用する場合、MTCデバイス610は、データをアタッチ完了メッセージ606に付加できる。その場合、MTCデバイス610は、図6Aに示すように、アタッチ完了メッセージ606の直前に送信され得るアタッチ受諾メッセージ604内で通信されるので、ネットワーク620のMTCデバイス能力を必ずしも記憶しなくてよい。また、NASアタッチ/トラッキングエリア更新(TAU)/ルーティングエリア更新(RAU)/位置更新受諾メッセージ(複数)も、MTC関連データを送信するのにアタッチ/TAU/RAU/移動体加入者一時識別子(TMSI)再割り振り完了メッセージ(複数)を使用できることを、MTCデバイスに通知するために変更されることができる。」
(4) 「[図:0001387145000001.jpg]」(図1B)
(5) 「[図:0001387145000002.jpg]」(図6A)
引用文献1の上記記載、及び移動体通信分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
ア 上記(1)及び(4)によれば、引用文献1には、トランシーバ(120)とプロセッサ(118)とを備えたWTRU(102)が、記載されているといえる。
イ 上記(3)の【0055】の記載及び上記(5)によれば、引用文献1には、WTRU(610)が、ネットワーク(620)に、小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求するIEを含むアタッチ要求(602)を送信することが、記載されているといえる。
ウ 上記(3)の段落【0056】及び【0057】、並びに上記(5)によれば、引用文献1には、前記WTRU(610)が、前記ネットワーク(620)から、前記アタッチ要求(602)に応答して、アタッチ受諾(604)を受信することが、記載されているといえる。
エ 上記(3)の段落【0057】及び【0058】、並びに上記(5)によれば、引用文献1には、前記WTRU(610)は、前記ネットワーク(620)がNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートする場合、前記アタッチ受諾(604)を受信した後に、前記ネットワーク(620)へ、短いデータをカプセル化したアタッチ完了メッセージ(606)を送信することが、記載されているといえる。
オ 上記(3)の段落【0056】及び【0057】、並びに上記(2)によれば、引用文献1には、前記WTRU(610)は、前記アタッチ受諾(604)に含まれる新しいIEを認識し、前記新しいIEと関連付けられた情報を復号して、前記ネットワーク(620)がNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートできると判定することが、記載されているといえる。
以上を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「トランシーバとプロセッサとを備えたWTRUであって、ネットワークに、小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求するIEを含むアタッチ要求を送信し、前記ネットワークから、前記アタッチ要求に応答して、アタッチ受諾を受信し、前記ネットワークがNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートする場合、前記アタッチ受諾を受信した後に、前記ネットワークへ、短いデータをカプセル化したアタッチ完了メッセージを送信し、前記アタッチ受諾に含まれる新しいIEを認識し、前記新しいIEと関連付けられた情報を復号して、前記ネットワークがNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートできると判定する、WTRU。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶理由で引用された、特表2014-510496号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。
(1) 「【0013】例えば、データを送信しなければならないときに、サービス要求手順によって、非アクセス層シグナリング接続がユーザ機器とMMEとの間で確立された後、ユーザ機器およびMMEは、CONNECTED状態となる。IDLE状態からCONNECTED状態への遷移を開始する最初の上りリンクの非アクセス層メッセージとしては、アタッチ要求、トラッキング・エリア更新要求、サービス要求(もしくは拡張サービス要求)、またはデタッチ要求がある。最初の非アクセス層メッセージを送信するために、ユーザ機器は、まず初めに、無線インターフェース(Uuインターフェース)を介してeNodeBへの無線リソース制御(RRC)接続を確立する。RRC接続を確立する間に、ユーザ機器とeNodeBとが同期され、非アクセス層メッセージを転送するために使用可能なシグナリング無線ベアラ(SRB)が確立される。これについては、後ほど図5を参照しながらより詳細に説明する。」
(2) 「【0429】[さらなる代替的な例]さらに、上記の例はすべて、小データ送信を受信し、ネットワークにアタッチするようにユーザ機器をトリガ/ページングすることによってMMEが手順を開始する場合に関する。しかし、ユーザ機器が、上りリンクの小データを送信する必要があり、NASシグナリング接続の確立を開始することもあり得る。その目的で、ユーザ機器は、RRC接続の確立を開始する。ユーザ機器は、上りリンクで小データを送信するためにさまざまなオプションを使用することができる。【0430】第1のオプションによれば、ユーザ機器は、NAS拡張サービス要求メッセージで上りリンクの小データをカプセル化する。新しい情報要素が、これに関連して提供され得る。これは、無線リンクの暗号化が行われず、NAS ESRメッセージが暗号化されない可能性があるので、セキュリティが重要でないデータに適用され得る。【0431】第2のオプションによれば、ユーザ機器は、送信される小データに対する必要なセキュリティを保証するために、MMEへの上りリンクNASトランスポート・メッセージで上りリンクの小データをカプセル化することができる。NASシグナリング接続の後の上りリンクNASトランスポート・メッセージが確立され、無線リンクを介して、RRC上りリンク(下りリンク)情報転送メッセージが使用される。【0432】第2のオプションが使用されるとき、ユーザ機器は、NASシグナリング接続を確立するために、最初に、MMEにNASサービス要求を送信する。ユーザ機器が「小データ」送信MTC機能用に構成されており(またはユーザ機器が未処理の上りリンク・データがその機能に属することを知っており)、小データが制御プレーンを介して送信されるべきであるので、ユーザ機器は、NASを介した所望の転送をMMEに指示することができる。その目的のために、ユーザ機器は、NASメッセージ、例えば、特別なフラグを有するサービス要求か、または新しいフラグもしくは情報要素を有する拡張サービス要求かのどちらかを送信する。サービス要求は拡張の余地が限られているので、拡張サービス要求を送信することが好ましい。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶理由で引用された、特表2014-514831号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。
(1) 「【0231】NASシグナリングを拡張して、休止モードをサポートすることができる。WTRUは、休止モードをアクティブ化する必要があるとWTRUが判定するので、または休止挙動を既に使用しているが休止挙動での動作のために追加のリソースを必要とするのでのいずれかで、休止挙動での動作のために追加のリソースが必要であると判定することができる。WTRUは、その場合にNASサービス要求手続を開始することを許可されるものとすることができる。WTRUは、現在のRRCモード(たとえば、CONNECTED、DORMANT、IDLE)および/または休止挙動をサポートするEMM状態(たとえば、EMM?CONNECTED、EMM?DORMANT、EMM?IDLE)でNASサービス要求手続を開始することができる。WTRUは、接続モードでNASサービス要求を送信することを許可されるものとすることができる。この手続は、ネットワークによって受け入れられる場合に、WTRUに関してアクティブである専用ベアラ(1つまたは複数)またはデフォルトベアラ(1つまたは複数)の追加リソースのセットアップをトリガすることができる。あるいは、WTRUは、ネットワークがWTRUの現在割り当てられているリソースに対する変更を開始する場合に、NAS応答を受信することができる。この応答は、新しいNASメッセージまたは既存のセッション管理メッセージもしくはモビリティ管理メッセージ(たとえば、追加のIEを伴う)とすることができる。【0232】WTRUは、たとえば休止モードを非アクティブ化する必要があるとWTRUが判定するので、追加のリソースが必要であると判定することができる。WTRUは、その場合に、NASサービス要求手続を開始することを許可されるものとすることができる。言い替えると、WTRUは、RRCモード(たとえば、CONNECTED、DORMANT、IDLE)および/または休止挙動をサポートするEMM状態(たとえば、EMM?CONNECTED、EMM?DORMANT、EMM?IDLE)でNASサービス要求手続を開始することができる。あるいは、WTRUは、ネットワークがWTRUの現在割り当てられているリソースに対する変更を開始する場合に、NASサービス要求を受信することができる。【0233】WTRUによって開始されたNASサービス要求手続に起因する、または、ネットワークによって開始されたNASサービス要求手続(すなわち、ページングとそれに続くWTRUからのNASサービス要求と)もしくはWTRUによるNASサービス要求(または類似するNAS手続)をトリガする任意の専用NASメッセージに起因する追加リソースのセットアップは、WTRUが休止挙動を終了するかこれを非アクティブ化することをもたらすことができる。あるいは、WTRUは、NASサービス要求またはNASサービス更新などの類似するNASメッセージを送信する前に、NASセッション管理メッセージ(EPSベアラコンテキストをセットアップし、変更し、または非アクティブ化することを要求するため)を直接に送信することを許可されるものとすることができる。拡張されたNASサービス要求を使用して、休止挙動のアクティブ化または非アクティブ化を要求することができる。【0234】上で説明した拡張されたNASサービス要求に似て、新しいNASサービス更新メッセージを導入して、WTRUの専用リソースを変更し、かつ/または休止挙動のアクティブ化もしくは非アクティブ化を要求することができる。NASサービス更新の挙動は、拡張されたNASサービス要求に関して上で説明したものに類似するものとすることができる。【0235】WTRUは、追加のユーザプレーンリソースを要求するかNASセッション管理手続を実行するために、NAS層でのモビリティ管理に関係する上で説明した実施形態のいずれをも実行することができる。さらにまたはあるいは、WTRUは、実施形態の次の1つまたは組合せのいずれをも実行することができる。WTRUは、休止モードである間に使用できる無線ベアラ(たとえば、XRB)の管理を実行することができる。たとえば、WTRUは、少なくとも1つの無線ベアラのセットアップもしくは再アクティブ化、または少なくとも1つの無線ベアラの分解もしくは非アクティブ化を実行することができる。WTRUは、WTRUが休止モードを終了する時に使用できる無線ベアラ(たとえば、1つまたは複数のEPS RAB)の管理を実行することができる。WTRUは、少なくとも1つの無線ベアラのセットアップもしくは再アクティブ化、または少なくとも1つの無線ベアラの分解もしくは非アクティブ化を実行することができる。」
(2) 「【0253】あるいは、WTRUがMMEからNASメッセージを受信する場合に、WTRUは、休止モードを終了する要求の結果を検証し、要求が受け入れられる場合には、WTRU NASは、休止モードの終了を反映するためにその状態または他のパラメータを変更することができる。WTRU NASは、休止モードを終了できることをWTRU RRCに示すことができる。WTRU NASは、任意のRRC状態を変更するためにRRCをトリガすることができる。その後、WTRUは、ユーザプレーントラフィックに関する通常モード(すなわち、休止モードではない)での動作のためにセットアップされるデータラジオベアラを使用することができる(516)。」
(3) 「【0259】NASが、休止モードに入り、出ることを知り、かつ、そのような遷移が、NASによってトリガされまたは制御され得る場合に、NASは、休止モードへ出入りするすべての遷移に関してRRC(または任意の他の層、たとえば、ESMまたはMACなどのより下の層)に知らせることができる。【0260】NASなどのエンティティは、休止モードへの遷移に関する指示(たとえば、RRCまたはMMEなどの他のエンティティから)の受信時に、WTRUでの動作の現在のモードを示すパラメータを使用しまたはセットすることができる。たとえば、WTRUが休止モードで動作しつつあることの指示の受信時に、NASは、WTRUの動作のモードを示すフラグまたは任意の他のパラメータを定義しまたは使用することができる。休止フラッグを定義することができ(たとえば、ブールパラメータ)、ここで、真(または1)は、WTRUが休止モードであることを示すことができ、偽(または0)は、WTRUが通常モードである(すなわち、休止モードではない)ことを示すことができる。この挙動は、WTRU内の他のエンティティ/層(たとえば、RRC、MAC、またはNASのESMエンティティ)に適用することができる。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
本願発明1と引用発明を対比する。
(1) 引用発明の「WTRU」は、端末装置の一種である無線送信受信ユニットを意味することが、移動体通信分野の技術常識である。
そうすると、引用発明の「WTRU」は、本願発明1の「端末装置」に含まれる。
(2) 引用発明において、WTRUがアタッチ要求を送信しまたアタッチ要求に応答してアタッチ受諾を受信する「ネットワーク」が、「コアネットワーク」であることは、移動体通信分野の技術常識である。
また、引用発明の「小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求するIE」は、送信元であるWTRUが、小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求していることを、送信先であるネットワークに伝えるための情報であることは明らかであるから、小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求する識別情報と言い換えることができる。
さらに、引用発明の「アタッチ要求」がアタッチ要求メッセージとして送信されることも、当業者には明らかである。
そうすると、本願発明1の「コアネットワークに、ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージの通信を要求するための識別情報を含むアタッチ要求メッセージを送信」することと、引用発明の「ネットワークに、小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求するIEを含むアタッチ要求を送信」することは、「コアネットワークに、識別情報を含むアタッチ要求メッセージを送信」する点で、共通する。
ただし、アタッチ要求メッセージに含まれる「識別情報」について、本願発明1では「ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージの通信を要求するための」ものであるのに対して、引用発明では「小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求する」ものである点で、本願発明1と引用発明は相違する。
(3) 上記(2)で検討したとおり、引用発明の「ネットワーク」は「コアネットワーク」であるといえる。
また、引用発明の「アタッチ受諾」がアタッチ受諾メッセージとして受信されることは、当業者には明らかである。
そうすると、引用発明の「前記ネットワークから、前記アタッチ要求に応答して、アタッチ受諾を受信」することは、本願発明1の「前記コアネットワークから、前記アタッチ要求メッセージに対する応答として、アタッチ受諾メッセージを受信」することに相当する。
(4) 本願発明1の「前記NASメッセージ」は、「ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージ」を指すことが明らかである。
一方、引用発明において、アタッチ完了メッセージにカプセル化される「短いデータ」は、NASメッセージに重ねてWTRUから送信されるデータを意味するから、「ユーザデータ」に含まれるといえる。
また、引用発明の「アタッチ完了メッセージ」が「NASメッセージ」に含まれることは、移動体通信分野の技術常識である。
そうすると、引用発明の「短いデータをカプセル化したアタッチ完了メッセージ」は、本願発明の「ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージ」に含まれるから、本願発明1の「前記アタッチ受諾メッセージを受信した後に、前記コアネットワークへ、前記NASメッセージを送信する」ことと、引用発明の「前記ネットワークがNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートする場合、前記アタッチ受諾を受信した後に、前記ネットワークへ、短いデータをカプセル化したアタッチ完了メッセージを送信」することは、「前記アタッチ受諾メッセージを受信した後に、前記コアネットワークへ、ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージを送信する」点で、共通する。
(5) 引用発明において、「ネットワークに、小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求するIEを含むアタッチ要求を送信し、前記ネットワークから、前記アタッチ要求に応答して、アタッチ受諾を受信し、前記ネットワークがNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートする場合、前記アタッチ受諾を受信した後に、前記ネットワークへ、短いデータをカプセル化したアタッチ完了メッセージを送信」することを、「トランシーバ」が行うことは明らかであるから、当該「トランシーバ」は、本願発明1の「送受信部」に相当する。
(6) 引用発明の「新しいIE」は、前記新しいIEと関連付けられた情報の復号を通じて、ネットワークがNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートできることを、WTRUが判定するための情報であることは明らかであるから、本願発明1の「識別情報」に含まれるといえる。
そうすると、引用発明の「アタッチ受諾に含まれる新しいIE」は、本願発明1の「アタッチ受諾メッセージに含まれる識別情報」に含まれる。
また、引用発明の「ネットワークがNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートできると判定する」ことは、WTRUにとって、「短いデータをカプセル化したアタッチ完了メッセージ」の送信が可能になった、すなわち、「ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージ」の送信が可能になったと判定することを意味する。
したがって、引用発明の「前記アタッチ受諾に含まれる新しいIEを認識し、前記新しいIEと関連付けられた情報を復号して、前記ネットワークがNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートできると判定する」ことは、本願発明1の「前記アタッチ受諾メッセージに含まれる識別情報に基づいて、前記NASメッセージの通信が可能になったことを検出する」ことに含まれる。
(7) 引用発明において、「前記アタッチ受諾に含まれる新しいIEを認識し、前記新しいIEと関連付けられた情報を復号して、前記ネットワークがNASメッセージ上でデータのピギーバッグをサポートできると判定する」ことを、「プロセッサ」が行うことは明らかであるから、当該「プロセッサ」は、本願発明1の「制御部」に相当する。
(8) 本願発明1は、「前記端末装置は、前記NASメッセージの通信の使用を要求する際に、前記NASメッセージの通信を要求するための識別情報を、前記端末装置のNASレイヤからRRC(Radio Resource Control)レイヤに通知する」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明では当該発明特定事項が特定されていない点で、本願発明1と引用発明は相違する。
以上のことから、本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「 端末装置であって、コアネットワークに、識別情報を含むアタッチ要求メッセージを送信し、前記コアネットワークから、前記アタッチ要求メッセージに対する応答として、アタッチ受諾メッセージを受信し、前記アタッチ受諾メッセージを受信した後に、前記コアネットワークへ、ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージを送信する、送受信部と、前記アタッチ受諾メッセージに含まれる識別情報に基づいて、前記NASメッセージの通信が可能になったことを検出する、制御部と、を備える、ことを特徴とする端末装置。」
(相違点1)
アタッチ要求メッセージに含まれる「識別情報」について、本願発明1では「ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージの通信を要求するための」ものであるのに対して、引用発明では「小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求する」ものである点。
(相違点2)
本願発明1は、「前記端末装置は、前記NASメッセージの通信の使用を要求する際に、前記NASメッセージの通信を要求するための識別情報を、前記端末装置のNASレイヤからRRC(Radio Resource Control)レイヤに通知する」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明では当該発明特定事項が特定されていない点。
上記相違点1について検討すると、引用発明の「小データ伝送に対するネットワークのMTC能力を要求するIE」に代えて、「ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージの通信を要求するための識別情報」を採用することは、引用文献1ないし3のいずれにも記載されておらず、また周知技術であるともいえない。
そうすると、引用発明において、上記相違点1に係る発明特定事項を含むものとすることは、当業者であっても、引用文献2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易になし得たこととはいえない。
そして、相違点2について論及するまでもなく、引用発明において、上記相違点1及び2に係る発明特定事項を含むものとすることは、当業者であっても、引用文献2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易になし得たこととはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、並びに引用文献2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
3.本願発明4について
本願発明4は、「端末装置」の発明である本願発明1を、「端末装置の通信制御方法」の発明としたものである。
そして、本願発明4は、少なくとも、上記「1.」で検討した(相違点1)に係る発明特定事項と同じ、「ユーザデータを含むNAS(non-access stratum)メッセージの通信を要求するための識別情報」という発明特定事項を含むから、本願発明4は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、並びに引用文献2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 原査定についての判断
本願発明1ないし4は、上記「第5」の「1.」ないし「3.」のとおり、当業者であっても、引用発明、並びに引用文献2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし4は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明、並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-011650