特許拒絶査定不服審判
2021-010750
古紙処理装置
- 審判番号
- 2021-010750
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-237137
- 請求日
- 2021年08月11日
- 審決日
- 2022年12月06日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】デュプロ精工株式会社
- 【請求人代理人】東山 香織
- 審判長/審判官
- 審判長 藤原 直欣
- 審判官 藤井 眞吾
- 審判官 塩治 雅也
- 分類
- P18 .121-Z (D21C) / P18 .575-Z (D21C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2016-237137「古紙処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年6月14日出願公開、特開2018-90934〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成28年12月6日に出願された特願2016-237137号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和2年10月14日付け 拒絶理由通知
令和2年12月15日 意見書及び手続補正書の提出
令和3年 4月28日付け 拒絶査定
令和3年 8月11日 審判請求書、手続補正書の提出(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「古紙を収容する古紙収容部と、古紙収容部に収容された古紙の分量を計測する計測部と、古紙収容部に収容された古紙を再生処理する再生処理部と、各部の動作を制御する制御部とを備え、
制御部は、稼働開始から稼働停止までの工程を逐次実行する自動制御機能部と、
自動制御機能部による稼働停止時刻を、前記計測部の計測値に基づいて算定する停止時刻算定機能部と、
前記停止時刻算定機能部において計測部の計測値に基づいて算定された稼働停止時刻を通知する停止時刻通知機能部と、
稼働開始時刻を設定する開始時刻設定機能部と、
開始時刻設定機能部で設定された時刻に稼働開始し、古紙収容部に収容された古紙を再生処理し、その後稼働停止する場合における稼働停止時刻を算定する停止時刻算定予約機能部とを備えた古紙処理装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和2年12月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「古紙を収容する古紙収容部と、古紙収容部に収容された古紙の分量を計測する計測部と、古紙収容部に収容された古紙を再生処理する再生処理部と、各部の動作を制御する制御部とを備え、
制御部は、稼働開始から稼働停止までの工程を逐次実行する自動制御機能部と、
自動制御機能部による稼働停止時刻を、前記計測部の計測値に基づいて算定する停止時刻算定機能部と、
前記停止時刻算定機能部において計測部の計測値に基づいて算定された稼働停止時刻を通知する停止時刻通知機能部とを備えた古紙処理装置。」
2.補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明の「制御部」について、「稼働開始時刻を設定する開始時刻設定機能部と、開始時刻設定機能部で設定された時刻に稼働開始し、古紙収容部に収容された古紙を再生処理し、その後稼働停止する場合における稼働停止時刻を算定する停止時刻算定予約機能部とを備え」たことを限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア.原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2011-122253号公報には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
古紙もしくは古紙の裁断紙片を再生原料として貯留する原料貯溜部と、再生原料を離解して再生パルプを調製する再生パルプ部と、再生パルプを抄紙して再生紙を調製する抄紙部と、各部の運転を制御する制御部と、原料貯留部に貯留する原料の分量を測定する分量測定センサを備え、
制御部は、運転開始から運転停止までの運転プロセスを逐次実行する自動運転制御機能部と、運転開始予定時刻と運転終了予定時刻の少なくとも何れか一方の予定時刻を任意に設定可能な時間設定機能部と、制御部の内部に配設する内部時計が前記予定時刻に達したときに運転開始と運転停止の少なくとも何れか一方のタイミングを自動運転制御機能部へ指示信号として入力するタイミング入力部と、分量測定センサで測定した原料の分量から再生可能な最大可能枚数内で、再生運転終了までに再生可能な再生予想枚数を算定する再生予想枚数算定機能部と、再生予想枚数算定機能部で算定した再生予想枚数を表示する表示手段を有することを特徴とする古紙処理装置。」
(イ)「【請求項8】
制御部は、再生予想枚数内で再生紙の再生目標枚数を設定する目標枚数設定機能部と、再生目標枚数の再生運転終了までに要する再生予想時間を算定する再生予想時間算定機能部を有し、表示手段に再生予想時間を表示することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の古紙処理装置。
【請求項9】
制御部は、分量測定センサで測定した原料の分量を再生するのに必要な再生予想時間を算定する再生予想時間算定機能部を備え、再生予想時間算定機能部は、時間設定機能部で設定した運転時間が再生予想時間を超えるときに警告手段で警告を発することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の古紙処理装置。」
(ウ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙を離解させた再生パルプから紙を製造する技術に関し、古紙の発生場所であるオフィス等に設置して紙を再生することができる小型の古紙処理装置に係るものである。」
(エ)「【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、古紙処理装置は、再生パルプ部1、脱墨パルプ部2、抄紙部3、仕上げ部4、排水処理部5を一体的に備え、古紙6から再生紙を調製(再生)するものであり、再生パルプ部1、脱墨パルプ部2、抄紙部3、仕上げ部4、排水処理部5の運転を制御する制御部7を有している。
(再生パルプ部)
再生パルプ部1は、古紙6の裁断紙片を離解して再生パルプを調製(再生)するものであり、再生原料の古紙6を定型のままに貯留する原料貯留部をなす定型用紙タンク11と、再生原料の古紙6を裁断処理して再生に適した所定の大きさに紙片化した裁断紙片を一時的に貯留する原料貯留部をなすシュレッダータンク12と、繊維量調整部13と、パルパー14と、繊維濃度調整部15を備えている。
【0034】
図2に示すように、シュレッダータンク12は、上方に向けて開放した上部開口121を有し、底面122が排出口123に向けて傾斜する傾斜面をなす。排出口123には裁断紙片61を排出する排出装置124を設けており、排出装置124は種々のものがあるが、ここでは複数の羽根を回転軸の周りに放射状に配置した構造をなす。シュレッダータンク12の上方には分量測定センサ125が配置してあり、分量測定センサ125はシュレッダータンク12の内部に貯留する再生原料としての裁断紙片の分量を測定するもので、光センサ等により嵩量を測定することで裁断紙片の分量を推量する。
【0035】
図示を省略するが、定型用紙タンク11にも再生原料としての定型の古紙6の分量を測定する分量測定センサが設けてある。
繊維量調整部13は、シュレッダータンク12の排出口123の下方に配置してあり、排出口123から排出する裁断紙片61を受け止める受け皿部131と、受け皿部131を支持する計量部132を備えており、計量部132は受け皿部131に投入した裁断紙片61の重量を計量し、計量に係る設定重量を変更することでパルパー14へ投入する裁断紙片61の量、すなわち繊維量を調整する。また、同様に繊維量調整部13は定型用紙タンク11から投入される定型の古紙6の重量を計量し、計量に係る設定重量を変更することでパルパー14へ投入する裁断紙片61の量、すなわち繊維量を調整する。」
(オ)「【0048】
図5に示すように、ドライヤー部35は、内部にヒーターを備えた乾燥ローラ353の周囲に搬送ベルト352を配置し、乾燥ローラ353の表面の温度を測定する温度センサ354を有している。
(仕上げ部)
仕上げ部4はカレンダー部41とカット部42を有しており、カレンダー部41は抄いた紙333を複数のプレスローラ411の間に通し、紙の平坦度を上げ、カット部42で所定のシートサイズにカットして再生紙100が完成する。
(排水処理部)
排水処理部5は、白水タンク51、排水処理部52の各槽体を有し、白水タンク51は抄紙排水系105を通してワイヤー部32から流入する再生パルプを含む排水を貯留し、再度各工程へ供給する。排水処理部52は脱墨排水系106を通して脱墨部23から流入する脱墨廃液を処理するものであり、フィルターに通して繊維、インク、トナーを除去し、薬剤の添加により中性化して公共下水等へ排水可能な水質にまで処理する。白水タンク51には補給水として上水を供給する補給水供給系107が連通している。
(制御部)
図6に示すように、制御部7は、CPU71に設定する機能回路として、以下の機能部を有している。つまり、再生パルプ部1の運転を制御する再生パルプ部制御機能部711と、脱墨パルプ部2の運転を制御する脱墨パルプ部制御機能部712と、抄紙部3の運転を制御する抄紙部制御機能部713と、仕上げ部4の運転を制御する仕上げ部制御機能部714と、排水処理部5の運転を制御する排水処理部制御機能部715と、稼動開始から稼動停止までの運転プロセスを逐次実行する自動運転制御機能部716と、分量測定センサ125から入力する裁断紙片の有無信号に応じて自動運転制御機能部716へ稼動開始の許可指示または不許可指示を入力する運転ロック制御機能部717と、調製(再生)する再生紙の目標枚数を設定する目標枚数設定機能部718と、調製(再生)した再生紙の枚数を数えるカウンター機能部719と、再生パルプ部1と脱墨パルプ部2と抄紙部3において運転終了時に所定の排水動作を行なう排水動作制御機能部720と、所定の洗浄動作を行なう洗浄動作制御機能部721と、分量測定センサ125で測定した原料の分量から再生可能な最大可能枚数内で、再生運転終了までに再生可能な再生予想枚数を算定する再生予想枚数算定機能部722と、運転開始予定時刻と運転終了予定時刻の少なくとも何れか一方の予定時刻を任意に設定する機能および運転時間を任意に設定する機能の少なくとも一つを有する時間設定機能部723と、再生運転の運転時間を積算する運転時間積算機能部724と、カウンター機能部719で積算する再生完了枚数が目標枚数設定機能部718で設定する再生目標枚数に達した時に再生運転を停止するか、運転時間積算機能部724で積算した運転時間が時間設定機能部723で設定する運転時間に達した時に再生運転を停止するかを選択設定する運転停止選択機能部725と、再生目標枚数の再生運転終了までに要する再生予想時間を算定する再生予想時間算定機能部726、再生運転終了後に省電力モードとオートパワーオフモードの何れを実行するか選択設定するパワーモード選択機能部727と、再生運転を停止している間の運転停止時間を測定する運転停止時間測定機能部728と、運転停止原因を判定する運転停止原因判定機能部729と、分量測定センサ125で測定した原料の分量を再生するのに必要な再生予想時間を算定し、時間設定機能部で設定した運転時間が再生予想時間を超えるときには後述する警告手段に警告を発する再生予想時間算定機能部730とを有している。
【0049】
また、制御部7は、自動運転制御機能部716へ稼動開始と稼動停止の少なくとも何れか一方のタイミングを指示信号として入力するタイミング入力部73と、警告手段を兼ねる液晶パネル等の表示部74と、ユーザが再生運転を中断指示する運転中断指示手段75を備えている。警告手段は表示部74の画像表示領域を区分するものであっても良く、表示部74と別途に設けることも可能であり、警報音、音声等によるものであっても良い。」
(カ)「【0051】
制御部7は、再生パルプ部1と脱墨パルプ部2と抄紙部3と仕上げ部4と排水処理部5における上述した運転を、それぞれ再生パルプ部制御機能部711、脱墨パルプ部制御機能部712、抄紙部制御機能部713、仕上げ部制御機能部714、排水処理部制御機能部715で制御する。
(運転制御)
ユーザは表示部74に設けるタッチパネル等の各種のスイッチを操作することにより、運転開始予定時刻と運転終了予定時刻の少なくとも何れか一方の予定時刻、あるいは運転を連続的に継続する運転時間を、制御部7の時間設定機能部723に設定する。運転開始予定時刻のみを設定する場合に、装置の運転を停止する再生運転終了までの運転可能時間は運転開始予定時刻から再生運転を完了するまでの不定的時間となり、運転終了予定時刻のみを設定する場合に、装置の運転を停止する再生運転終了までの運転可能時間は現在時刻から運転終了予定時刻までの限定的時間となり、運転開始予定時刻および運転終了予定時刻を設定する場合に、装置の運転を停止する再生運転終了までの運転可能時間は運転開始予定時刻から運転終了予定時刻までの限定的時間となる。
【0052】
運転を連続的に継続する運転時間を設定する場合に、装置の運転を停止する再生運転終了までの運転可能時間は現在時刻から設定した運転時間が満了するまでの限定的時間となり、運転開始予定時刻を合わせて設定する場合に運転可能時間は運転開始予定時刻から設定した運転時間が満了するまでの限定的時間となる。
【0053】
制御部7の再生予想枚数算定機能部722は、分量測定センサ125で測定した再生原料の分量から再生可能な最大可能枚数を算定するとともに、最大可能枚数内で、かつ再生運転終了までに再生可能な再生予想枚数を算定し、算定した再生予想枚数を表示部74に表示する。
【0054】
再生予想時間算定機能部730は、分量測定センサ125で測定した原料の分量を再生するのに必要な再生予想時間、すなわち再生予想枚数算定機能部722で算定した最大可能枚数を再生するのに必要な再生予想時間を算定するとともに、時間設定機能部で設定した運転時間が再生予想時間を超えるときには警告手段を兼ねる表示部74に警告を発する。例えば「○○時間で貯留原料を使いきります。」と警告表示する。また、原料の分量を測定する際に重さを測定することで、警告として「定型用紙タンク11に○○サイズの定型用紙を○○枚入れれば、設定された運転時間で稼動することが可能です。」と警告表示する。
【0055】
ユーザは表示部74に設けるタッチパネル等の各種のスイッチを操作することにより、再生予想枚数内で所望の再生紙の数を再生目標枚数として目標枚数設定機能部718に設定する。再生予想時間算定機能部726は、再生目標枚数の再生紙を再生する再生運転終了までに要する再生予想時間を算定し、再生予想時間を表示部74に表示する。再生目標枚数が再生予想枚数の全数である場合には再生目標枚数の設定を省略することが可能であり、再生予想時間算定機能部726は、再生予想枚数の全数を再生する再生運転終了までに要する再生予想時間を算定し、再生予想時間を表示部74に表示する。
【0056】
通常、再生運転は運転時間を基準に終了するが、ユーザは表示部74に設けるタッチパネル等の各種のスイッチを操作することにより、運転停止選択機能部725に再生目標枚数と運転時間の何れを基準として再生運転を停止するかを選択設定することができる。再生目標枚数を基準に設定すると、時間設定機能部723で設定する限定的時間に拘束されることなく、カウンター機能部719で積算する再生完了枚数が目標枚数設定機能部718で設定する再生目標枚数に達するまで再生運転を行う。運転時間を基準に設定すると、カウンター機能部719で積算する再生完了枚数が目標枚数設定機能部718で設定する再生目標枚数に達していなくとも、運転時間積算機能部724で積算した運転時間が時間設定機能部723で設定する限定的時間に達した時に再生運転を停止する。
【0057】
さらに、ユーザは表示部74に設けるタッチパネル等の各種のスイッチを操作することにより、パワーモード選択機能部727に省電力モードとオートパワーオフモードの何れか一方を選択設定する。省電力モードでは再生運転終了後に必要最小限の電力で古紙処理装置を待機状態とし、オートパワーオフモードでは再生運転終了後に古紙処理装置を完全に停止する。
【0058】
制御部7による自動運転の開始から停止までの制御は、図7に示すフローシートに沿って行う。つまり、停止状態900から稼動開始条件チェック910、稼動準備動作920、再生紙作製930、稼動停止条件チェック940、停止準備動作950の各工程を経て装置停止960となる。
【0059】
稼動開始条件チェック910では、図8に示すように、稼動開始信号の有無の判断911を行う。稼動開始信号は、タイミング入力部73から自動運転制御機能部716へ入力する指示信号であり、本実施の形態では時間設定機能部723で設定する予定時刻に内部時計が達したときに入力する指示信号である。
【0060】
稼動準備動作920では、図10に示すように、タンクへの注水921を行なう。そして、イニシャル動作時にポンプや配管などの残水を清水で洗浄排出することで、品質の低下を抑える。残りの部位へは必要に応じて所定のタイミングで注水を行なう。つまり、パルパー14および脱墨前希釈タンク22へ必要量の注水を行う。」
(キ)「
[図:0001403944000001.jpg]
」
(ク)「
[図:0001403944000002.jpg]
」
(ケ)引用文献1(上記(カ)【0054】)の「再生予想時間算定機能部730は、分量測定センサ125で測定した原料の分量を再生するのに必要な再生予想時間、すなわち再生予想枚数算定機能部722で算定した最大枚数を再生するのに必要な再生予想時間を算定するとともに、時間設定機能部で設定した運転時間が再生予想時間を超えるときには警告手段を兼ねる表示部74に警告を発する。例えば「○○時間で貯留原料を使い切ります。」と警告表示する。」との記載によれば、「○○時間」は「再生予想時間」であるから、表示部は、時間設定機能部で設定した運転時間が再生予想時間を超えるときには、再生予想時間を表示するものである。
イ.上記摘記事項ア.(ア)~(ケ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「古紙を再生原料として貯留する原料貯留部と、再生原料を離解して再生パルプを調整する再生パルプ部と、再生パルプを抄紙して再生紙を調整する抄紙部と、各部の運転を制御する制御部と、原料貯留部に貯留する原料の分量を測定する分量測定センサを備え、制御部は、運転開始から運転停止までの運転プロセスを逐次実行する自動運転制御機能部と、分量測定センサで測定した原料の分量を再生するのに必要な再生予想時間を算定する再生予想時間算定機能部と、運転開始予定時刻と運転終了予定時刻の少なくとも何れか一方の予定時刻を任意に設定する機能および運転時間を任意に設定する機能の少なくとも一つを有する時間設定機能部と、時間設定機能部で設定した運転時間が再生予想時間を超えるときには、再生予想時間を表示する表示部と、制御部の内部に配設する内部時計が予定時刻に達したときに運転開始と運転停止の少なくとも何れか一方のタイミングを自動運転制御機能部へ指示信号として入力するタイミング入力部を有する古紙処理装置。」
ウ.原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2016-175283号公報には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、シート製造装置およびシート製造方法に関する。」
(イ)「【0038】
1.構成
まず、本実施形態に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るシート製造装置100を模式的に示す図である。
【0039】
シート製造装置100は、図1に示すように、供給部10と、製造部102と、制御部140と、を備える。製造部102は、シートを製造する。製造部102は、粗砕部12と、解繊部20と、分級部30と、選別部40と、第1ウェブ形成部45と、混合部50と、堆積部60と、第2ウェブ形成部70と、シート形成部80と、切断部90と、を有している。
【0040】
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。供給部10は、例えば、粗砕部12に原料を連続的に投入するための自動投入部である。供給部10によって供給される原料は、繊維を含む単票の材料であり、例えば、古紙やパルプシートなどの繊維を含むものである。供給部10は、単票の材料を複数格納し、格納した材料を1枚ずつ外部に繰り出す機構を備える。また、供給部10は、積載された原料の量を検出する原料検出部(図示省略)を備える。」
(ウ)「【0070】
図2に、シート製造装置100の機能ブロック図を示す。シート製造装置100は、原料検出部110、残量検出部120、収容量検出部130、制御部140、記憶部150、表示部160、通信部170、受付部180を含む。シート製造装置100では、原料検出部110、残量検出部120及び収容量検出部130の少なくとも1つを省略してもよく、また、表示部160及び通信部170の少なくとも一方を備えていればよい。
【0071】
原料検出部110は、供給部10に積載された原料の量(残量)を検出し、検出結果を制御部140に出力する。原料検出部110は、「原料の量」として、例えば、供給部10に積載された単票シートの枚数(或いは、積載高さ)や、供給部10に積載された原料の重量を検出する。原料検出部110としては、接触式又は光学式のセンサーや重量センサー等を用いることができる。」
(エ)「【0080】
また、制御部140は、入力された開始時間に、入力された量及び種別のシートの製造を開始させる制御を行ってもよい。また、制御部140は、入力された量及び種別のシートを製造するのに要する時間を算出し、算出した時間と入力された開始時間とに基づいて製造完了時間を決定し、決定した製造完了時間を出力する制御を行ってもよい。」
(オ)「【0083】
2.表示例
図3は、表示部160に表示される表示画面(設定画面)の第1の例を示す図である。表示画面DIでは、ユーザーは、製造するシートのサイズと厚み(製造するシートの種別)、及び製造するシートの枚数(製造するシートの量)を入力(設定)することができる。図3に示す例では、製造するシートのサイズとして「A4」が選択され、製造するシートの厚みとして「通常」が選択され、製造するシートの枚数として「50枚」が入力されている。また、表示画面DIには、入力されたシートの種別及び枚数から算出された、当該シートを製造するのに要する時間(図3に示す例では、「15分」)が表示されている。
【0084】
また、図3に示す表示画面DIでは、ユーザーは、即時にシートの製造を開始するか、時間を指定して製造(予約製造)するかを選択することができ、予約製造することを選択した場合には、製造を完了させる製造完了時刻(完了時間の一例)を入力することができる。図3に示す例では、予約製造することが選択され、製造完了時刻として「午後3:30」が入力されている。また、表示画面DIには、現在時刻(図3に示す例では、「午前11:25」)が表示されている。なお、製造完了時刻として、現在時刻に、入力された種別及び枚数のシートの製造に要する時間を加算した時刻(図3に示す例では、「午前11:40」)より前の時刻を入力できないように構成することが望ましい。また、現在時刻に、入力された種別及び枚数のシートの製造に要する時間を加算した時刻を、製造完了時刻のデフォルト値(最短の製造完了時刻)として表示画面DIに表示してもよい。
【0085】
表示画面DIには、製造・予約実行ボタンSBが表示され、予約製造が選択された場合に、ユーザーが製造・予約実行ボタンSBを選択する操作を行うと、入力された種別及び枚数のシートの製造が、入力された製造完了時刻までに完了するように、自動的にシートの製造開始と製造停止が実行される。図3に示す例では、「A4」サイズの「通常」の厚みの「50枚」のシートの製造を「午後3:30」までに完了するために、「午後3:15」(入力された製造完了時刻から、入力された種別及び枚数のシートの製造に要する時間を減算した時刻)に当該シートの製造が開始される。なお、即時の製造開始が選択された場合には、ユーザーが製造・予約実行ボタンSBを選択する操作を行うと、入力された種別及び枚数のシートの製造が即時に開始される。
【0086】
このように、シートの種別及び量と製造完了時刻をユーザーが設定可能に構成し、設定された種別及び量のシートを設定された製造完了時刻までに製造するように構成することで、ユーザーが必要とする(ユーザーが入力した)種別及び量のシートをユーザーが必要とする時間までに提供することができ、ユーザーの利便性を向上することができる。
【0087】
図4は、表示部160に表示される表示画面の第2の例を示す図である。図4に示す表示画面DIでは、ユーザーは、予約製造することを選択した場合に、製造を開始させる製造開始時刻(開始時間の一例)を入力することができる。図4に示す例では、予約製造することが選択され、製造開始時刻として「午後3:15」が入力されている。
【0088】
また、図4に示す表示画面DIには、製造完了時刻(製造完了時間の一例)が表示される。製造完了時刻は、入力された製造開始時刻に、入力された種別及び枚数のシートの製造に要する時間を加算した時刻であり、図4に示す例では、製造完了時刻として、「午後3:30」が表示されている。
【0089】
図4に示す表示画面DIにおいて、予約製造が選択された場合に、ユーザーが製造・予約実行ボタンSBを選択する操作を行うと、入力された種別及び枚数のシートの製造が、入力された製造開始時刻に自動的に開始される。図4に示す例では、「A4」サイズの「通常」の厚みの「50枚」のシートの製造が「午後3:15」に開始される。
【0090】
このように、シートの種別及び量と製造開始時刻をユーザーが設定可能に構成し、設定された種別及び量のシートの製造を設定された製造開始時刻に開始するように構成することで、ユーザーが所望する時間(例えば、消費電力量のピークを避けることができ電気料金の安い深夜の時間帯)から製造を開始してユーザーが必要とする種別及び量のシートを提供することができ、ユーザーの利便性を向上することができる。また、入力された製造開始時刻から算出される製造完了時刻を表示することで、入力した製造開始時間を見直す機会をユーザーに与えることができる。」
(カ)「
[図:0001403944000003.jpg]
」
(キ)「
[図:0001403944000004.jpg]
」
(ク)「
[図:0001403944000005.jpg]
」
オ.上記摘記事項エ.(ア)~(ク)を総合すると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項1」、「引用文献2記載事項2」という。)が記載されている。
(引用文献2記載事項1)
「現在時刻に、シートの製造に要する時間を加算した製造完了時刻を表示する技術。」
(引用文献2記載事項2)
「入力された製造開始時刻に、供給部に積載された原料からシートを製造するのに要する時間を加算した製造完了時刻を表示する技術。」
(3)引用発明との対比
ア.本件補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「原料貯留部」、「分量測定センサ」、「制御部」、「運転」、「運転プロセス」、「自動運転制御機能部」、「時間設定機能部」は、それぞれ、本件補正発明の「古紙収容部」、「計測部」、「制御部」、「稼働」、「工程」、「自動制御機能部」、「開始時刻設定機能部」に相当する。
また、引用発明の「再生パルプ部」と「抄紙部」は、本件補正発明の「再生処理部」に相当する。
また、引用発明の「時間設定機能部で設定した運転時間が再生予想時間を超えるときには、再生予想時間を表示する表示部」は、本件補正発明の「前記停止時刻算定機能部において計測部の計測値に基づいて算定された稼働停止時刻を通知する停止時刻通知機能部」と、「計測部の計測値に基づいて算定された時間に関する情報を通知する通知機能部」の限りで一致する。
イ.そうすると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「古紙を収容する古紙収容部と、古紙収容部に収容された古紙の分量を計測する計測部と、古紙収容部に収容された古紙を再生処理する再生処理部と、各部の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、稼働開始から稼働停止までの工程を逐次実行する自動制御機能部と、
計測部の計測値に基づいて算定された時間に関する情報を通知する通知機能部と、
稼働開始時刻を設定する開始時刻設定機能部とを備えた古紙処理装置。」
<相違点1>
本件補正発明は、「自動制御機能部による稼働停止時刻を、前記計測部の計測値に基づいて算定する停止時刻算定機能部」を備えるのに対して、引用発明は、「分量測定センサで測定した原料の分量を再生するのに必要な再生予想時間を算定する再生予想時間算定機能部」を備える点。
<相違点2>
「計測部の計測値に基づいて算定された時間に関する情報を通知する通知機能部」に関して、本件補正発明は、「前記停止時刻算定機能部において計測部の計測値に基づいて算定された稼働停止時刻を通知する停止時刻通知機能部」を備えるのに対して、引用発明は、「時間設定機能部で設定した運転時間が再生予想時間を超えるときには、再生予想時間を表示する表示部」を備える点。
<相違点3>
本件補正発明は、「開始時刻設定機能部で設定された時刻に稼働開始し、古紙収容部に収容された古紙を再生処理し、その後稼働停止する場合における稼働停止時刻を算定する停止時刻算定予約機能部」を備えるのに対して、引用発明は、停止時刻算定予約機能部を備えない点。
(4)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア.<相違点1>及び<相違点2>について
(ア)引用発明は「運転開始予定時刻」を設定可能であるところ、同発明の「再生予想時間」を算定することについて検討すると、設定される「運転開始予定時刻」に算定された「再生予想時間」を併せた時間に関する情報が、「再生運転終了時刻」をも含む情報であることは明らかであるから、引用発明において、「再生運転終了時刻」を算定すべく構成することは、時間に関する情報の単なる選択であって、当業者が適宜なし得た設計事項であるといえる。
さらに、引用発明は、再生予想時間を表示する表示部を備えるものであるところ、上記設計事項とする時刻の表示へと変更することも、当業者が適宜なし得た設計事項であるといえる。
したがって、引用発明に基づき、相違点1及び2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易になし得たことである。
(イ)また、上記(2)オのとおり、引用文献2記載事項1は、現在時刻に、シートの製造に要する時間を加算した製造完了時刻を表示する技術であるところ、引用文献2記載事項1は、本件補正発明の用語で表現すれば、稼働停止時刻を、所定のシート量に基づいて算定し、所定のシート量に基づいて算定された稼働停止時刻を通知する技術といえる。
引用発明と引用文献2記載事項1は、いずれもシートを製造する装置に関するものであり、シートを製造する時間に関する情報を使用者に通知する機能が共通するから、引用発明において、引用文献2記載事項1を適用することで、相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易になし得たことである。
イ.<相違点3>について
(ア)引用発明は「運転開始予定時刻」を設定可能であるところ、同発明の「再生予想時間」を算定することについて検討すると、設定される「運転開始予定時刻」に算定された「再生予想時間」を併せた時間に関する情報が、「再生運転終了時刻」を含む情報、すなわち本件補正発明における「稼働停止時刻」であることは明らかであるから、引用発明において、「再生運転終了時刻」を算定することは、時間に関する情報の単なる選択であって、当業者が適宜なし得た設計事項であるといえる。
(イ)上記(2)オのとおり、引用文献2記載事項2は、入力された製造開始時刻に、供給部に積載された原料からシートを製造するのに要する時間を加算した製造完了時刻を表示する技術であるところ、引用文献2記載事項2は、本件補正発明の用語で表現すれば、開始時刻設定機能部で設定された時刻に稼働開始し、古紙収容部に収容された古紙を再生処理し、その後稼働停止する場合における稼働停止時刻を算定することといえる。
引用発明において、運転開始時刻を設定した際に、運転終了予定時刻を通知することは、利便性向上のために通常行われることであるから、引用発明に引用文献2記載事項2を適用することで、相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易になし得たことである。
ウ.そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2記載事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものであり、格別顕著なものということはできない。
エ.したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許受けることができないものである。
3.本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~7に係る発明は、令和2年12月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。
2.原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、引用文献1、2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができない、というものである。
3.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2の記載事項は、第2の[理由]2.(2)に記載したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は、第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、「制御部」が「稼働開始時刻を設定する開始時刻設定機能部と、開始時刻設定機能部で設定された時刻に稼働開始し、古紙収容部に収容された古紙を再生処理し、その後稼働停止する場合における稼働停止時刻を算定する停止時刻算定予約機能部」を備えたことに係る限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、第2の[理由]2.(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載事項1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2記載事項1、2に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-010750