商標拒絶査定不服審判
2021-010321
ムロマチガラスコーゲー、ムロマチグラスコーゲー、ムロマチガラスアート、ムロマチグラスアート、ムロマチガラス、ムロマチグラス
- 審判番号
- 2021-010321
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-156533
- 請求日
- 2021年08月03日
- 審決日
- 2022年03月15日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ハリズリー
- 【請求人代理人】水野 勝文
- 【請求人代理人】和田 光子
- 【請求人代理人】保崎 明弘
- 【請求人代理人】鈴木 亜美
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .13 -Z (W2135) / T18 .16 -Z (W2135) / T18 .272-Z (W2135)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-156533拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおり、「室町硝子工芸」の文字と「MUROMACHI GLASS ART」を二段に表してなり、第21類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年12月13日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年12月17日付けで拒絶理由の通知がされ、同3年1月29日受付の意見書及び手続補正書が提出され、指定商品及び指定役務については、別掲2のとおりに補正されたが、同年5月11日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和3年8月3日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、上段に「室町硝子工芸」の文字を、下段に「MUROMACHI GLASS ART」の文字を横書きで表してなるところ、その構成中「室町」の文字は、「京都市を南北に走る室町通り沿道の地区。東京都中央区北西部、日本橋室町の地域。」の意味を有し、「硝子」の文字は、「ガラス。」の意味を有し、「工芸」の文字は「実用性と美的価値とを兼ね備えた工作物を作ること。また、その作品。」の意味を有する語であるから、全体として、「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域の実用性と美的価値とを兼ね備えたガラス製の作品」ほどの意味合いを理解させるものである。そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造又は販売される実用性と美的価値とを兼ね備えたガラス製の商品」であること、すなわち、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造又は販売されるガラス製の商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。また、本願商標を、その指定役務中の小売等役務に使用した場合、これに接する需要者は、当該小売等役務の取扱商品が「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造又は販売される実用性と美的価値とを兼ね備えたガラス製の商品」であること、すなわち、当該小売等役務に係る取扱商品の品質を理解するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造又は販売されるガラス製の商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」以外の小売等役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲3に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和3年12月22日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 証拠調べに対する請求人の意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、要旨以下のように述べた。
(1)日本国内に「室町」の地名は多数存在しており、また、「室町」の文字は、「室町幕府」や「室町時代」、「室町家」、さらには「室町文化」をも想起しうる語でもある。そのため、証拠調べ通知書に記載された情報をもって、本願商標を構成する「室町」の文字が地名のみを表すとはいえない。
(2)「硝子工芸」や「ガラス工芸」の語が、ガラスを用いた工芸・美術の総称を意味することや、そのような意味で使用されている事例が存在することについて否定はしないが、記載された情報のいずれも、地名としても使用される語と「硝子工芸(ガラス工芸)」とを組み合わせたものについて識別力がないことを示す事実ではない。
(3)「室町」という地域において「硝子工芸品」が盛んに製造されているとか、「硝子工芸品」の販売地として知られているという事実はないし、本願商標を構成する「室町硝子」の文字をインターネット上で検索しても、検出されるサイトは、請求人もしくは請求人の商品に関するものばかりであり、「室町硝子工芸」が商品の品質を表示するものとして一般に使用されていると認められる事実も確認できない。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「室町硝子工芸」の文字と「MUROMACHI GLASS ART」の文字を二段に表してなるところ、その構成中の「室町」の文字部分は、「京都市室町地区。東京都日本橋室町地域。」(別掲3の1)を意味する語であり、下段の「MUROMACHI」の文字は、その読みを表したものと認められる。そして、原審において示されたとおり(別掲4)、商取引において、当該語が「京都市室町地区。」又は「東京都日本橋室町地域。」を表すものとして用いられている実情が認められる。また、「硝子工芸」の文字部分は、「ガラスを用いた工芸・美術の総称」(別掲3の2)を意味する語であり、下段の「GLASS ART」の文字は、その英語表記であるところ、いずれも平易な英単語であること及び上段に「硝子工芸」の文字があることから、これを英語表記したものと容易に理解できるものである。
そうすると、本願商標を構成する「室町硝子工芸」及び「MUROMACHI GLASS ART」の文字からは、「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域の硝子を用いた工芸品」の意味を理解させるものというのが相当である。
また、当審における証拠調べ通知において示したとおり、硝子を用いた工芸品の製造や販売を手がける者を「~硝子工芸(ガラス工芸)」と称している実情からすれば、地名と「硝子工芸」の文字を結合し、その欧文字表記を普通に用いられる方法で表示したにすぎない本願商標を、本願の指定商品に使用しても、需要者は、「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造、販売される硝子を用いた工芸品」と理解するというべきであって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、これを「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造、販売される硝子を用いた工芸品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記(1)のとおりの意味を理解させるところ、これを本願の指定役務中、「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造、販売される硝子を用いた工芸品」の小売等役務に使用しても、本願商標は、小売等役務の取扱商品の品質を認識させるものであるから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、これを「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造、販売される硝子を用いた工芸品」の小売等役務以外の小売等役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、日本国内に「室町」の地名は多数存在しており、「室町」の文字は、「室町幕府」や「室町時代」、「室町家」、さらには「室町文化」をも想起しうる語でもあるから、本願商標を構成する「室町」の文字が地名のみを表すとはいえない旨主張する。
しかしながら、「室町」の語は、別掲3の1のとおり、日常的に使用される辞典類において、「京都市室町地区」又は「東京都日本橋室町地域」と記載されており、別掲4のとおり、その意味で商取引において実際に用いられている語であることから、我が国に「室町」の名称を有する地が多数あるとしても、「京都市室町地区」又は「東京都日本橋室町地域」を指す「室町」が圧倒的に著名であるといえ、「室町」の語に接する一般的な取引者、需要者には、通常、「京都市室町地区」又は「東京都日本橋室町地域」を指す「室町」を認識させるものというのが相当である。
また、「室町幕府」、「室町時代」及び「室町文化」は、それぞれ「幕府」、「時代」及び「文化」の語が結合して当該観念を生じるものであり、かつ、いずれも京都の「室町」の地の名称がその由来でもあるから、当該観念を生じる場合があるとしても、そのことをもって地名の観念が生じないということにはならない。なお、「室町家」については、「藤原北家閑院流西園寺家の一門の公家・華族。公家としての家格は羽林家、華族としての家格は伯爵家。別名、四辻家、花亭家。西園寺家・洞院家・清水谷家とともに西園寺流四家のひとつ。」(出典:weblio辞書)であるが、家名として、本願指定商品及び指定役務の分野において、特に知られている等の事情も認められず、請求人は特段の立証もしていないことから、本願指定商品及び指定役務の一般的な取引者、需要者が、「室町」の語から当該家名を想起するとは到底認められない。
イ 請求人は、「室町」の語が地名として使用されることがあることは否定しないが、少なくとも、別掲4の事例は、「室町店」の記載であり、「室町」のみの使用ではなく、「〇〇店」の記載からは地名もしくは場所名を当然に認識するので、これらの事案を根拠に本願商標構成中の「室町」が地名とのみ認識されるとの判断は明らかに誤りである旨、また、固有名詞の後に「室町」が付加された構成は、当該固有名詞と「室町」が分離されやすい態様であり、当該事例についても、本願商標の「室町」の語が地名のみを示すことを裏付ける証拠とはなり得ない旨主張する。
しかしながら、原審が示した別掲4の事例は、請求人が、原審の意見書において、「室町」の文字が「東京都中央区北西部、日本橋室町の地域」であれば「日本橋室町」、「京都市を南北に走る室町通り沿道の地区」であれば「京都(市)室町」と表記するのが自然である旨主張したことに対して、「日本橋室町」や「京都室町」ではなく、単に「室町」の語がいずれかの地名として用いられている事例を示しているのであって、当該事例のみをもって本願商標を構成する「室町」の語が地名としてのみ認識されることを裏付けようとしているわけではないことは明らかであり、請求人の主張は失当である。
ウ 請求人は、「硝子工芸」や「ガラス工芸」の語が、ガラスを用いた工芸・美術の総称を意味することや、そのような意味で使用されている事例が存在することについて否定はしないが、証拠調べ通知書に記載された情報のいずれも、地名としても使用される語と「硝子工芸(ガラス工芸)」とを組み合わせたものについて識別力がないことを示す事実ではない旨、また、「室町」という地域において「硝子工芸品」が盛んに製造されているとか、「硝子工芸品」の販売地として知られているという事実はないし、本願商標を構成する「室町硝子」の文字をインターネット上で検索しても、検出されるサイトは、請求人もしくは請求人の商品に関するものばかりであり、「室町硝子工芸」が商品の品質を表示するものとして一般に使用されていると認められる事実も確認できない旨主張する。
しかしながら、本願商標の文字から「京都市室町地区又は東京都日本橋室町地域において製造、販売される硝子を用いた工芸品」の意味を理解させるものというのが相当であることは上記(1)のとおりであり、加えて、「工芸品」の分野においては、例えば、経済産業省が認定している伝統工芸品(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/pdf/densan_shitei191120.pdf)に照らし合わせれば、「地名+商品名」の構成からなる名称が大多数であって、当該地に原材料や工法が密接に関連することが多いといえるから、地名と結合させて、その地の工芸品であると認識されることが一般的であるといえる。そうすると、証拠調べ通知において示した事例が「地名+硝子工芸(ガラス工芸)」ではないとしても、地名と認識される「室町」の語と、工芸品と認識される「硝子工芸」の語を結合し、その欧文字(英語)表示を伴った本願商標の構成からは、前記意味合いを認識させるとみるのが自然である。そして、一般に認識する場合とは、商標が商品又は役務の特徴等を表示するものとして、現実に用いられていることを要するものではないから、「室町硝子工芸」の文字が商品の品質を表示するものとして一般に使用されていると認められる事実がないことは、本件の判断を左右するものではない。
エ よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(4)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同項6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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