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特許拒絶査定不服審判

2021-009957

ネットワーク制御装置、通信システム、ネットワーク制御方法、及びプログラム

審判番号
2021-009957
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-180538外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年07月27日
審決日
2022年06月15日
公報発行日
2022年07月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-180538「ネットワーク制御装置、通信システム、ネットワーク制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月11日出願公開、特開2019- 57801、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 23項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成29年9月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年10月 6日付け :拒絶理由通知書
令和 2年12月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 4月23日付け :拒絶査定(原査定)
令和 3年 7月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年 2月16日付け :拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 4年 4月25日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和3年4月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由2(進歩性)

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項 1-7

・引用文献等 A-E

<引用文献等一覧>

A.特開2008-48114号公報

B.特開2011-135422号公報

C.特開2012-175561号公報

D.特開2015-119384号公報

E.特開2006-42262号公報

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1(明確性)

この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記

請求項1には、「第1ゲートウェイ装置と第2ゲートウェイ装置とを選択する選択部」と記載されているところ、この「選択する」とは、

(1)「第1ゲートウェイ装置」と「第2ゲートウェイ装置」のいずれかを選択するという意味であるのか、

(2)「第1ゲートウェイ装置」と「第2ゲートウェイ装置」のそれぞれを選択するという意味であるのか、

把握することができず、上記記載により特定しようとする技術的内容が明確でない。

換言すれば、上記(1)の意味は、本願の発明の詳細な説明には記載されていないことから、結局、本願の発明の詳細な説明のように、上記(2)を意味しているならば、請求項1において「1つの第1ゲートウェイ装置」及び「1つの第2ゲートウェイ装置」を採用すると、上記記載により特定しようとする技術的内容が明確でない。

請求項6についても、請求項1と同様に、「選択ステップ」は、「第1ゲートウェイ装置と第2ゲートウェイ装置とを選択する」のであるから、選択対象である「第1ゲートウェイ装置」も「第2ゲートウェイ装置」も、その数が「1つ」の場合は、「選択」するものとはいえず、不明確な記載である。

請求項2~5は請求項1を引用する形式の従属項であり、請求項7は請求項6を引用する形式の従属項であるので、請求項2~4及び7についても上記拒絶理由が内在する。

理由2(進歩性)

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項 1-2、5-7

・引用文献等 2、4-8

<引用文献等一覧>

2.特開2011-135422号公報(拒絶査定時の引用文献B)

4.特開2015-119384号公報(拒絶査定時の引用文献D)

5.特開2006-42262号公報(拒絶査定時の引用文献E)

6.特開2010-193192号公報

7.特表2017-527151号公報

8.特開2016-82373号公報

第4 本願発明

本願の請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和4年4月25日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、このうち、本願発明1及び2は、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
端末と、当該端末との間でVPNを構築するSaaS(Software as a Service)と、前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置と、前記SaaSと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の第2ゲートウェイ装置とを備えるシステムに対する制御を実行するネットワーク制御装置であって、
前記端末と前記複数の第1ゲートウェイ装置との間の第1アクセスネットワークの区間である第1区間の品質と、前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の第2ゲートウェイ装置との間の通信事業者により提供されるバックボーンネットワークの区間である第2区間の品質と、前記複数の第2ゲートウェイ装置と前記SaaSとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間の品質とを収集する品質収集部と、
前記品質収集部により収集された前記第1区間の品質、前記第2区間の品質、及び前記第3区間の品質に基づいて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路を構成する第1ゲートウェイ装置と第2ゲートウェイ装置とを選択する選択部と、
前記端末と前記SaaSとの間の通信が前記経路を経由するように経路制御を実行する経路制御部とを備え、
前記品質収集部は、前記第1区間、前記第2区間、及び前記第3区間のそれぞれについて複数種類の品質を収集し、前記選択部は、当該複数種類の品質のそれぞれについて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の複数の候補経路の順位付けを行い、当該順位と、前記複数種類の品質における各品質の重みとに基づいて、前記複数の候補経路の中から、使用する経路を選択する
ことを特徴とするネットワーク制御装置。」
「 【請求項2】
端末と、当該端末との間でVPNを構築するSaaS(Software as a Service)と、前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置と、前記SaaSと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の第2ゲートウェイ装置とを備えるシステムに対する制御を実行するネットワーク制御装置であって、
前記端末と前記複数の第1ゲートウェイ装置との間の第1アクセスネットワークの区間である第1区間の品質と、前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の第2ゲートウェイ装置との間の通信事業者により提供されるバックボーンネットワークの区間である第2区間の品質と、前記複数の第2ゲートウェイ装置と前記SaaSとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間の品質とを収集する品質収集部と、
前記品質収集部により収集された前記第1区間の品質、前記第2区間の品質、及び前記第3区間の品質に基づいて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路を構成する第1ゲートウェイ装置と第2ゲートウェイ装置とを選択する選択部と、
前記端末と前記SaaSとの間の通信が前記経路を経由するように経路制御を実行する経路制御部とを備え、
前記システムにおいて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路上に付加機能提供装置が備えられており、
前記品質収集部により収集された品質に基づいて、前記付加機能提供装置により提供される付加機能を有効化又は無効化する付加機能制御部を更に備える
ことを特徴とするネットワーク制御装置。」

なお、本願発明3は、本願発明1又は2のうちいずれか1項を減縮した発明であり、本願発明4は、本願発明1-3のうちいずれか1項を減縮した発明であり、また、本願発明5及び6は、それぞれ本願発明1及び2に対応する方法の発明であり、実質的にカテゴリ表現が異なるだけの発明である。また、本願発明7は、本願発明1-3のうちいずれか1項に対応するプログラムの発明であり、実質的にカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 当審拒絶理由の理由1(明確性)について

当審では、本願の請求項1-7において、「第1ゲートウェイ装置と第2ゲートウェイ装置とを選択する選択部」と記載されているところ、この「選択する」とは、(1)「第1ゲートウェイ装置」と「第2ゲートウェイ装置」のいずれかを選択するという意味であるのか、(2)「第1ゲートウェイ装置」と「第2ゲートウェイ装置」のそれぞれを選択するという意味であるのか、把握することができず、上記記載により特定しようとする技術的内容が明確でなく、換言すれば、上記(1)の意味は、本願の発明の詳細な説明には記載されていないことから、結局、本願の発明の詳細な説明のように、上記(2)を意味しているならば、「1つの第1ゲートウェイ装置」及び「1つの第2ゲートウェイ装置」を採用すると、上記記載により特定しようとする技術的内容が明確でない旨の拒絶の理由を通知しているところ、

令和4年4月25日に提出された手続補正において、「1つ又は複数の第1ゲートウェイ装置」及び「1つ又は複数の第2ゲートウェイ装置」を、それぞれ「複数の第1ゲートウェイ装置」及び「複数の第2ゲートウェイ装置」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第6 当審拒絶理由の理由2(進歩性)等の引用文献、引用発明について

1.令和4年2月16日付けの拒絶理由(当審拒絶理由)に引用された引用文献

(1)引用文献2、引用発明について

当審拒絶理由に引用された引用文献2(拒絶査定時の引用文献B)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は強調のため当審にて付与。以下同様。)。

「【0009】
本発明の課題は,上記のような仕組みを実現して,通信品質要求の厳しい傾向にあるミッションクリティカルな通信サービスに対しても柔軟に信頼性が高い通信経路を確保することである。
【0010】
すなわち,ある通信端末が通信ネットワークを介してあるアプリケーションサーバに接続してサービスを享受しようとした場合に,通信特性の異なる複数の経路を含む有線区間と通信特性の異なる複数の経路を含む無線区間を含む通信ネットワーク環境下において,通信端末とアプリケーションサーバとの間で要求する要求通信品質に対して,特許文献2のように有線区間の単一経路内,あるいは,無線区間の単一経路内で前記要求通信品質を満たすように経路を制御するだけでなく,有線区間の複数の経路間,あるいは,無線区間の複数の経路間で前記要求通信品質を満たすように経路選択を制御することである。
【0011】
さらに,上述の要求通信品質の変更や,前記経路の通信特性の変化に対して,動的に経路選択を制御することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を達成するため、本発明においては、複数の経路を有する無線通信区間と複数の経路を有する有線通信区間とに接続された通信制御装置、あるいはそれを利用する通信システムにおいて、通信制御装置を、無線通信区間の複数の経路と,有線通信区間の複数の経路の通信特性を取得する手段を備え,無線通信区間に接続された端末と有線通信区間に接続されたサーバとの間でデータ通信要求があった場合に、無線通信区間と有線通信区間とによる通信特性が,データ通信要求で指定された通信品質を満たす(例えば,通信時間の総和が指定した遅延時間以下となる,通信帯域の最小値が指定したデータレート以上となる)ように、無線通信区間の複数の経路及び有線通信区間の複数の経路の中からそれぞれ経路を選択し,該選択した経路を通信端末およびサーバへ通知する構成とする。」
「【実施例1】
【0020】
図1に,第1の実施例によるシステムの全体概念を示す。ここでは同図の(a)のアプリケーションの視点(アプリ視点),同図の(b)の仮想ネットワーク(仮想Network: NW)視点,同図の(c)の物理ネットワーク(物理NW)視点の3つの視点から本実施例によるシステムを概説する。
【0021】
第1の(a)アプリ視点では,端末側のアプリケーションプロセスAP1とアプリケーションサーバ側のアプリケーションプロセスAP2との間において,ある通信品質(最大許容遅延時間が100ms,最大許容ジッタが10ms,最低必要帯域が10Mbps等で指定)で通信セッションを張りたいという要求を示している。本実施例によるシステムは,この通信品質の要求を満足するように,使用する仮想ネットワーク(仮想NW)や無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)を調停する。
【0022】
第2の(b)仮想NW視点では,アプリ視点で示した要求を元に,モバイルアプリケーション基盤サーバ1(または通信制御装置)が主導して,端末側のAP1とサーバ側のAP2との間の通信品質の調整を行う様子を示している。モバイルアプリケーション基盤サーバ1は,各RAN1,RAN2から収集する無線品質情報や無線リソース使用状況の情報と,仮想NW調停サーバ4を介して収集する各仮想ネットワーク5のリンク情報とを元に,アプリケーションが要求する通信品質を確保できるよう調停を行う。この結果,調停がうまくいけば最終的にAP1-AP2間において要求される通信品質での通信が可能となるが,要求する通信品質の調整ができなかった場合には,例えば端末側のAP1とサーバ側のAP2がネゴシエーションを行い,アプリケーションとしての要求品質自体を低くすることで接続性を確保することになる。
【0023】
最後に(c)物理NW視点では,アプリケーションの通信セッションのためのIPレベルでのEnd-to-Endのネットワークのつながりを示している。端末は,RAN1もしくはRAN2の無線アクセスネットワークを用い,それぞれのRANを終端するゲートウェイ(Gateway: GW)を介して仮想ネットワーク網に接続し,その先のアプリケーションサーバ70とのやり取りを行う。ここで,GW同士はモバイルネットワークゲートウェイ(Mobile Network Gateway: MN-GW)2を介して接続される。」
「【図1】
[図:0001385962000001.jpg]
」
「【0025】
図2に実環境を想定した第1の実施例のシステム構成図の一例を示す。本構成においては,RAN側の情報を集約して主にRANを調整するモバイルアプリケーション基盤サーバ1と,仮想NW側の情報を集約し複数の仮想NWを主に調整する仮想NW調停サーバ4が互いに連携しながら,アプリケーション(端末A61,端末B62あるいはアプリケーションサーバA71,アプリケーションサーバB72)で要求される通信品質を満たすEnd-to-Endの通信リンクを確立する。
【0026】
まず初めに無線側の説明を行う。RAN3としてはRAN1 31とRAN2 32の2つのサブシステムが利用でき,端末61あるいは62は2つのRANを切り替えてもしくは同時に2つのRANを利用できる機能を有するとする。各RANはそれぞれのGW311,321で終端され,各GW同士は上述の通りMN-GW2に接続され,MN-GW2によってRANの切り替えが可能な構成となっている。モバイルアプリケーション基盤サーバは各GWからRAN内の情報を集約する。一方で仮想NW側は,仮想NW調停サーバ4が,仮想NW5内の仮想化対応ルータ51の接続を切り替える機能を持ち,随時複数の仮想NWリンクを確保し管理している。
【0027】 端末A61からアプリケーションサーバA71への接続要求がモバイルアプリケーション基盤サーバ1に届くと,モバイルアプリケーション基盤サーバ1と仮想NW調停サーバ4間はそれぞれのRANや仮想NWの情報を元に要求に見合う組合せを決めるために調停を行う。使用する仮想NWリンクやRANが決定すると,仮想NW調停サーバ4は使用する仮想NWリンクに切り替えを行い,また,モバイルアプリケーション基盤サーバ1はMN-GW2にRAN切り替えの指示を出しRANの切り替えが行われ,最終的に端末-アプリケーションサーバ間での通信が行われる。
【0028】
また,使用しているRANや仮想NWの品質が劣化した場合にも,再度モバイルアプリケーション基盤サーバ1-仮想NW調停サーバ4間で調停を行い,RAN内の通信品質の改善,RAN間の切り替え,仮想NWリンク内の通信品質の改善,仮想NW内のリンクの切り替えにより,アプリケーションより本来要求されていた通信品質を確保するように動作する。万が一,上記調停によっても要求された品質を実現できない場合には,端末内のAP1とアプリケーションサーバ内のAP2のアプリケーションプロセス同士が直接やり取りを行い,アプリケーションが要求する通信品質を下げる。これにより,最初に要求された品質での通信はできないが,通信品質の劣化による接続の切断等は防ぐことが可能であり,最低限の接続性は確保される。」
「【図2】
[図:0001385962000002.jpg]
」
「【0035】
図4の(a)の無線NW通信状況テーブル131は,モバイルアプリケーション基盤サーバが管理対象とする無線アクセスネットワーク(RAN)の通信状況を保持するテーブルである。図では3つのRAN(RAN#1,RAN#2,RAN#3)の通信状況に関して,各RANを利用した場合の帯域幅(”Band Width”),遅延時間(”Delay”)の例を示している。これらの値は,例えば,ある特定の時間(例えば10秒間)での平均値とすればよいし,あるいはほぼ保障できる値としてもよい。また,同テーブルの“アプリ識別(Identifier: ID)”は各RANをどのアプリケーションが使用しているかを保持しており,図では,”AP#1”が”RAN#1”を使用しており,”RAN#2”と”RAN#3”は使用しているアプリケーションがない場合の例を示している。このテーブルの値は,モバイルアプリケーション基盤サーバが各RANのゲートウェイに問合せた結果によって更新される。
【0036】
図4の(b)の有線NW通信状況テーブル132は,モバイルアプリケーション基盤サーバが管理対象とする有線ネットワークの通信状況を保持するテーブルである。図では3つの仮想ネットワーク(VN#1,VN#2,VN#3)の通信状況に関して,各仮想ネットワークを利用した場合の帯域幅(”Band Width”),遅延時間(”Delay”)の例を示している。これらの値は,例えば,ある特定の時間(無線ネットワークも変動が少なく安定していることから,例えば1分間)での平均値とすればよいし,あるいはほぼ保障できる値としてもよい。また,同テーブルの“アプリ識別ID”は各仮想ネットワークをどのアプリケーションが使用しているかを保持しており,図では,”AP#1”が”VN#1”を使用しており,”VN#2”と”VN#3”は使用しているアプリケーションがない場合の例を示している。このテーブルの値は,モバイルアプリケーション基盤サーバが仮想ネットワーク調停サーバに問合せた結果によって更新される。
【0037】
図4の(c)のアプリケーション管理テーブル133は,モバイルアプリケーション基盤サーバが管理しているアプリケーションの状況を保持するテーブルである。図では,アプリケーション”AP#1”が”192.168.121.14/24”で識別される端末と”192.168.100.10/24”で識別されるサーバとの間で通信しており,そのアプリケーションが要求する帯域幅が”10Mbps”,要求する遅延時間が”120msec”であり,さらに割当てられ使用している無線アクセスネットワークが”RAN#1”,使用している仮想ネットワークが”VN#1”であることを示している。このテーブルの値は,アプリケーション基盤サーバがアプリケーションの経路を調停して割当てる経路が更新されると同時に更新される。」
「【図4】
[図:0001385962000003.jpg]
」

したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>

「ある通信端末が通信ネットワークを介してあるアプリケーションサーバに接続してサービスを享受しようとした場合に、通信特性の異なる複数の経路を含む有線区間と通信特性の異なる複数の経路を含む無線区間を含む通信ネットワーク環境下において、通信端末とアプリケーションサーバとの間で要求する要求通信品質に対して、有線区間の複数の経路間、あるいは、無線区間の複数の経路間で前記要求通信品質を満たすように経路選択を制御するため、複数の経路を有する無線通信区間と複数の経路を有する有線通信区間とに接続された通信制御装置、あるいはそれを利用する通信システムにおいて、
通信制御装置を、無線通信区間の複数の経路と、有線通信区間の複数の経路の通信特性を取得する手段を備え、無線通信区間に接続された端末と有線通信区間に接続されたサーバとの間でデータ通信要求があった場合に、無線通信区間と有線通信区間とによる通信特性が、データ通信要求で指定された通信品質を満たす(例えば、通信時間の総和が指定した遅延時間以下となる、通信帯域の最小値が指定したデータレート以上となる)ように、無線通信区間の複数の経路及び有線通信区間の複数の経路の中からそれぞれ経路を選択し、該選択した経路を通信端末およびサーバへ通知する構成とし、
端末側のアプリケーションプロセスAP1とアプリケーションサーバ側のアプリケーションプロセスAP2との間において、ある通信品質(最大許容遅延時間が100ms、等で指定)で通信セッションを張りたいという要求を示し、この通信品質の要求を満足するように、使用する仮想ネットワーク(仮想NW)や無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)を調停し、
モバイルアプリケーション基盤サーバ1または通信制御装置が主導して、端末側のAP1とサーバ側のAP2との間の通信品質の調整を行い、端末は、RAN1もしくはRAN2の無線アクセスネットワークを用い、それぞれのRANを終端するゲートウェイ(Gateway: GW)を介して仮想ネットワーク網に接続し、その先のアプリケーションサーバ70とのやり取りを行い、ここで、GW同士はモバイルネットワークゲートウェイ(Mobile Network Gateway: MN-GW)2を介して接続され、
続きを表示(全13行)
RAN側の情報を集約して主にRANを調整するモバイルアプリケーション基盤サーバ1と、仮想NW側の情報を集約し複数の仮想NWを主に調整する仮想NW調停サーバ4が互いに連携しながら、アプリケーション(端末A61、端末B62あるいはアプリケーションサーバA71、アプリケーションサーバB72)で要求される通信品質を満たすEnd-to-Endの通信リンクを確立し、
RAN3としてはRAN1 31とRAN2 32の2つのサブシステムが利用でき、端末61は2つのRANを切り替えてもしくは同時に2つのRANを利用できる機能を有し、各RANはそれぞれのGW311、321で終端され、各GW同士は上述の通りMN-GW2に接続され、MN-GW2によってRANの切り替えが可能な構成となっており、
モバイルアプリケーション基盤サーバは各GWからRAN内の情報を集約し、一方で仮想NW側は、仮想NW調停サーバ4が、仮想NW5内の仮想化対応ルータ51の接続を切り替える機能を持ち、随時複数の仮想NWリンクを確保し管理し、
端末A61からアプリケーションサーバA71への接続要求がモバイルアプリケーション基盤サーバ1に届くと、モバイルアプリケーション基盤サーバ1と仮想NW調停サーバ4間はそれぞれのRANや仮想NWの情報を元に要求に見合う組合せを決めるために調停を行い、使用する仮想NWリンクやRANが決定すると、仮想NW調停サーバ4は使用する仮想NWリンクに切り替えを行い、また、モバイルアプリケーション基盤サーバ1はMN-GW2にRAN切り替えの指示を出しRANの切り替えが行われ、最終的に端末-アプリケーションサーバ間での通信が行われ、
また、使用しているRANや仮想NWの品質が劣化した場合にも、再度モバイルアプリケーション基盤サーバ1-仮想NW調停サーバ4間で調停を行い、RAN内の通信品質の改善、RAN間の切り替え、仮想NWリンク内の通信品質の改善、仮想NW内のリンクの切り替えにより、アプリケーションより本来要求されていた通信品質を確保するように動作し、
無線NW通信状況テーブル131は、モバイルアプリケーション基盤サーバが管理対象とする無線アクセスネットワーク(RAN)の通信状況を保持するテーブルであり、3つのRAN(RAN#1,RAN#2,RAN#3)の通信状況に関して、各RANを利用した場合の帯域幅、遅延時間の例を示し、
有線NW通信状況テーブル132は、モバイルアプリケーション基盤サーバが管理対象とする有線ネットワークの通信状況を保持するテーブルであり、3つの仮想ネットワーク(VN#1,VN#2,VN#3)の通信状況に関して、各仮想ネットワークを利用した場合の帯域幅、遅延時間の例を示し、
アプリケーション管理テーブル133は、モバイルアプリケーション基盤サーバが管理しているアプリケーションの状況を保持するテーブルであり、アプリケーション”AP#1”が”192.168.121.14/24”で識別される端末と”192.168.100.10/24”で識別されるサーバとの間で通信しており、そのアプリケーションが要求する帯域幅が”10Mbps”、要求する遅延時間が”120msec”であり、さらに割当てられ使用している無線アクセスネットワークが”RAN#1”、使用している仮想ネットワークが”VN#1”であることを示し、このテーブルの値は、アプリケーション基盤サーバがアプリケーションの経路を調停して割当てる経路が更新されると同時に更新される、
通信制御装置。」

(2)引用文献4及び5の記載事項について

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ア 引用文献4の記載事項について

当審拒絶理由に引用された引用文献4(拒絶査定時の引用文献D)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0012】
図1は、本実施の形態におけるネットワーク品質計測装置1を含む全体構成図である。図1の左側のLAN200Aは、ルータ2Aを介してネットワーク100に接続され、右側のLAN200Bは、ルータ2Bを介してネットワーク100に接続される。LAN200AからLAN200Bへ送信されるパケットは、ルータ2A、ネットワーク100、ルータ2Bを経由してLAN200Bに届く。このパケットは、ルータ2AのLAN側に設定したキャプチャポイントとルータ2BのLAN側に設定したキャプチャポイントでキャプチャされ、キャプチャファイル3A,3Bそれぞれにキャプチャ時刻とともに記載される。LAN200BからLAN200Aへ送信されるパケットも同様に、ルータ2B、ネットワーク100、ルータ2Aを経由してLAN200Aに届き、上記2箇所のキャプチャポイントでキャプチャされてキャプチャファイル3A,3Bそれぞれに記載される。」
「【0020】
入力部11は、2つのキャプチャファイル3A,3Bを読み込み(ステップS11)、対向するルータ2A,2BのWAN側アドレスを宛先、送信元とするパケットを抽出する(ステップS12)。具体的には、キャプチャファイル3Aからは、ルータ2BのWAN側アドレスを宛先あるいは送信元とするパケットを抽出し、キャプチャファイル3Bからは、ルータ2AのWAN側アドレスを宛先あるいは送信元とするパケットを抽出する。なお、ルータ2A,2B間がVPN接続されている場合は、対向ルータ2A,2BのLAN側アドレスを宛先、送信元とするパケットを抽出する。」
「【図1】
[図:0001385962000004.jpg]
」

イ 引用文献5の記載事項について

当審拒絶理由に引用された引用文献5(拒絶査定時の引用文献E)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明はVPNを構成するユーザ宅内の中継システム(ルータやLANスイッチ等)がキャリアネットワークの状態を常に監視し,通信に影響を与えるくらいに品質が悪化した時にキャリアネットワークに接続している中継システムがトラフィック制御を行うことによって,キャリアネットワークの状態に応じたトラフィック制御を実現する。これにより,キャリアネットワークの品質が良い場合にはネットワークの性能を最大まで利用し,悪化した時にも重要な通信を確保することが可能となる。
【0019】
図1は本発明の原理構成を示す図である。図中,1A~1Dはキャリアネットワークに構築されたVPNの各拠点のシステム群(ルータ,LANスイッチ等の中継システムを含む),10a~10dは各拠点のシステム群1A~1D(以下,1A~1Dを単にVPNの拠点という)に設けられたデータ等の送受信の制御を行うトラフィック制御部(中継システム)であり,通信先(相手拠点)別のルートが設定されたルーティングテーブル(図示省略)を備える。11aは拠点1Aがキャリアネットワークを経由して他のネットワークと接続する各パスの状態を計測して認識するパス状態認識部,12aは拠点1Aに設けられたパス状態認識部11aにより認識したキャリアネットワーク内のパス状態に応じてパスに応じて伝送速度の制御や,相手と接続するルートの制御等の各種のトラフィック制御方法から最適な方法を判定するトラフィック制御方法判断部である。2はキャリアネットワークを表し,3-1~3-6はキャリアネットワーク上でVPNネットワークを構成するVPN機器である。」
「【図1】
[図:0001385962000005.jpg]
」

ウ 小括

上記ア及びイで示したように、引用文献4及び5には、ネットワークにおける通信間の接続として「VPN」接続が開示されている。

(3)引用文献6及び7の記載事項について

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ア 引用文献6の記載事項について

当審拒絶理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0103】
ここで、図11~図15を用いて、様々な情報をアクセス関連情報として用いた例について説明する。なお、図11は、アクセスメディア種別をアクセス関連情報として用いた場合のアクセス制御例を示す図であり、図12は、アクセスメディア品質をアクセス関連情報として用いた場合のアクセス制御例を示す図であり、図13は、端末情報をアクセス関連情報として用いた場合のアクセス制御例を示す図であり、図14は、利用地域をアクセス関連情報として用いた場合のアクセス制御例を示す図であり、図15は、ユーザIDをアクセス関連情報として用いた場合のアクセス制御例を示す図である。
【0104】
例えば、本願が開示するアクセス制御装置は、IP-VPN、インターネットなどのアクセスメディア種別をアクセス関連情報としてアプリケーションサーバに送信することができる。したがって、アプリケーションサーバ(SaaS事業者)は、図11に示すように、セキュリティレベルの高いIP-VPNで接続される端末にはサービスを提供し、セキュリティレベルの低いインターネットで接続される端末にはサービスを提供しないように制御することができる。」
「【図11】
[図:0001385962000006.jpg]
」

イ 引用文献7の記載事項について

当審拒絶理由に引用された引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0045】
ネットワークサービスプロバイダ106は各々、NSP106のネットワーク加入者が、クラウドエクスチェンジ200を経由してCSP110によって提供されるクラウドサービスにアクセスできる、トランジットネットワークと関連するネットワークサービスプロバイダを表してもよい。概して、CSP110の顧客は、ネットワーク回線事業者、大企業、マネージドサービスプロバイダ(MSP)だけでなく、クラウドエクスチェンジ200を経由してCSP110によって提供されるクラウドベースのサービスのような、Software‐as‐a‐Service(SaaS)、Platform-aaS(PaaS)、Infrastructure-aaS(IaaS)、Virtualization-aaS(VaaS)、及びdata Storage-aaS(dSaaS)の顧客も含んでもよい。」
「【図2】
[図:0001385962000007.jpg]
」
「【図4】
[図:0001385962000008.jpg]
」

ウ 小括

上記ア及びイで示したように、引用文献6及び7には、アプリケーションサーバとして「SaaS」が開示されている。

(4)引用文献8の記載事項について

折りたたみ中(クリックで表示)

当審拒絶理由に引用された引用文献8には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【背景技術】
【0002】
インターネット等のIPネットワーク上において、VPN(Virtual Private Network)を提供するための技術として、L2TP(L2 Tunneling Protocol)を用いることが知られている。通信装置間において、L2TPを用いたL2TPトンネルが設定され、それぞれの通信装置は、L2TPトンネルを介してデータを送受信する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、メイン回線に障害が発生した際に、複数のバックアップ回線の中から、予め定められた優先度に従い、使用するバックアップ回線を選択した場合、次のような問題が発生する。L2TPトンネルは、インターネット等のIPネットワーク上に設定される。そのため、トラヒックの変動等により、通信品質もしくは通信環境は常に一定ではなく、変化する可能性がある。このような状況において、予め定められた優先度に従い、使用するバックアップ回線を選択した場合、複数のバックアップ回線のうち、通信品質の低い回線を選択する可能性があるという問題がある。」
「【0024】
(実施の形態2)
続いて、図2を用いて本発明の実施の形態2にかかる通信システムの構成例について説明する。図2の通信システムは、ユーザ端末101、ルータ201、ゲートウェイ401、ゲートウェイ402、ゲートウェイ403、SWハブ501及びサーバ601を有している。
【0025】
ユーザ端末101は、例えば、携帯電話端末、スマートフォン端末、タブレット型端末もしくはパーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置であってもよい。ユーザ端末101は、無線回線もしくは有線回線を介してルータ201と接続する。例えば、ユーザ端末101が、携帯電話端末である場合、基地局を介してルータ201と通信を行ってもよい。また、ユーザ端末101とルータ201との間に、データを中継する通信装置が配置されていてもよい。
【0026】
ルータ201は、図1の中継装置10に対応する。ルータ201は、サーバ601との間の通信経路として、複数の通信経路を有する。具体的には、ルータ201は、ゲートウェイ401を介した通信経路と、ゲートウェイ402を介した通信経路と、ゲートウェイ403を介した通信経路とを有する。ユーザ端末101から送信されたデータは、いずれのゲートウェイを介した場合でも、SWハブ501を介してサーバ601へ到達する。」
「【図2】
[図:0001385962000009.jpg]
」
「【0029】
続いて、図3を用いて本発明の実施の形態2にかかるルータ201の構成例について説明する。ルータ201は、インタフェース211、インタフェース221、L2TPトンネル管理部231、優先度管理部241、HELLO応答時間管理部251及び通信状態管理部261を有している。
【0030】
インタフェース211及びインタフェース221は、図1の通信部11に対応する。L2TPトンネル管理部231及びHELLO応答時間管理部251は、図1の管理部12に対応する。優先度管理部241及び通信状態管理部261は、図1の選択部13に対応する。
続きを表示(全22行)
【0031】
インタフェース211は、ユーザ端末101と通信するために用いられるインタフェースである。インタフェース211は、例えば、Ethernet(登録商標)インタフェースであってもよい。インタフェース221は、ゲートウェイ401、ゲートウェイ402及びゲートウェイ403と通信するために用いられるインタフェースである。インタフェース221は、例えば、Ethernet(登録商標)インタフェースであってもよい。
【0032】
ゲートウェイ401、ゲートウェイ402及びゲートウェイ403と通信するために、それぞれのゲートウェイ毎にインタフェースが用いられてもよく、一つのインタフェース221が用いられてもよい。
【0033】
L2TPトンネル管理部231は、ゲートウェイ401~ゲートウェイ403との間におけるL2TPトンネルの構築を行う。例えば、L2TPトンネル管理部231は、L2TPトンネルの構築を行う際に必要なパラメータ等を管理する。また、L2TPトンネル管理部231は、L2TPトンネルを介して送信するL2TP制御メッセージの生成等を行ってもよい。L2TPトンネルを介して送信するL2TP制御メッセージは、例えば、HELLOメッセージであってもよい。HELLOメッセージは、主に、対向する装置に送信し、応答メッセージの有無に応じて、障害が発生しているか否かを判定するために用いられる。
【0034】
優先度管理部241は、Vendor-specific Attribute Value Pair(以下、ベンダー固有AVP、と称する)に含まれるpriority情報を用いてL2TPトンネルの優先度を決定する。もしくは、優先度管理部241は、HELLOメッセージの応答時間を用いてL2TPトンネルの優先度を決定する。
【0035】
ゲートウェイ401~ゲートウェイ403は、ベンダー固有AVPにpriority情報を定めたL2TP制御メッセージをルータ201へ送信する。優先度管理部241は、インタフェース221を介して、それぞれのゲートウェイが設定したpriority情報を受信する。優先度管理部241は、priority情報を分析し、最も高い優先度を設定したゲートウェイとの間の通信経路をメイン回線として設定する。優先度管理部241は、障害が発生する前に、複数の通信経路のなかからメイン回線を選択する際に、ゲートウェイ401~ゲートウェイ403から送信されたpriority情報を用いてメイン回線の選択を行ってもよい。
【0036】
HELLOメッセージの応答時間は、L2TPトンネル管理部231がインタフェース221を介してそれぞれのゲートウェイへHELLOメッセージを送信し、その応答メッセージを受信するまでの時間である。応答時間は、通信経路の通信環境等に応じて異なる。例えば、応答時間は、通信経路における電波環境、トラヒック状況等に応じて変化する。応答時間は、通信環境もしくは通信品質が良好な通信経路ほど短くなる。そのため、優先度管理部241は、HELLOメッセージの応答時間が最も短い通信経路を、メイン回線として選択してもよい。
【0037】
優先度管理部241は、メイン回線に障害が発生し、複数のバックアップ回線から代替経路を選択する際に、HELLOメッセージの応答時間を用いて、代替経路を選択してもよい。
【0038】
HELLO応答時間管理部251は、L2TPトンネルごとのHELLOメッセージの応答時間を記憶する。言い換えると、HELLO応答時間管理部251は、通信経路ごとのHELLOメッセージの応答時間を記憶する。
【0039】
通信状態管理部261は、優先度管理部241においてメイン回線として選択したL2TPトンネルを通信可能状態とし、それ以外のL2TPトンネルを通信不可状態とするように制御する。優先度管理部241は、L2TPトンネルを通信可能状態とする場合、ベンダー固有AVPのactivity情報にupを設定し、L2TPトンネルを通信不可状態とする場合、ベンダー固有AVPのactivity情報にdownを設定する。L2TPトンネル管理部231は、activity情報を設定したベンダー固有AVPを有するL2TP制御メッセージを、インタフェース221を介して、ゲートウェイ401~ゲートウェイ403へ送信する。」
「【図3】
[図:0001385962000010.jpg]
」

したがって、当該引用文献8には、次の技術的事項(以下、「引用文献8技術事項」という。)が記載されていると認められる。

<引用文献8技術事項>

「ユーザ端末101、ルータ201、ゲートウェイ401、ゲートウェイ402、ゲートウェイ403、SWハブ501及びサーバ601を有している通信システムにおいて、
ユーザ端末101は、無線回線もしくは有線回線を介してルータ201と接続し、
ルータ201は、サーバ601との間の通信経路として、複数の通信経路を有し、具体的には、ルータ201は、ゲートウェイ401を介した通信経路と、ゲートウェイ402を介した通信経路と、ゲートウェイ403を介した通信経路とを有し、ユーザ端末101から送信されたデータは、いずれのゲートウェイを介した場合でも、SWハブ501を介してサーバ601へ到達し、
ルータ201は、インタフェース211、インタフェース221、L2TPトンネル管理部231、優先度管理部241、HELLO応答時間管理部251及び通信状態管理部261を有し、
続きを表示(全13行)
インタフェース211は、ユーザ端末101と通信するために用いられるインタフェースであり、インタフェース221は、ゲートウェイ401、ゲートウェイ402及びゲートウェイ403と通信するために用いられるインタフェースであり、
ゲートウェイ401、ゲートウェイ402及びゲートウェイ403と通信するために、それぞれのゲートウェイ毎にインタフェースが用いられてもよく、一つのインタフェース221が用いられてもよく、
L2TPトンネル管理部231は、ゲートウェイ401~ゲートウェイ403との間におけるL2TPトンネルの構築を行い、L2TPトンネルの構築を行う際に必要なパラメータ等を管理し、L2TPトンネルを介して送信するL2TP制御メッセージの生成等を行い、
L2TPトンネルは、インターネット等のIPネットワーク上に設定され、
L2TPトンネルを介して送信するL2TP制御メッセージは、HELLOメッセージであってもよく、
HELLOメッセージの応答時間は、L2TPトンネル管理部231がインタフェース221を介してそれぞれのゲートウェイへHELLOメッセージを送信し、その応答メッセージを受信するまでの時間であり、応答時間は、通信経路の通信環境等に応じて異なり、例えば、応答時間は、通信経路における電波環境、トラヒック状況等に応じて変化し、通信環境もしくは通信品質が良好な通信経路ほど短くなり、そのため、優先度管理部241は、HELLOメッセージの応答時間が最も短い通信経路を、メイン回線として選択し、
HELLO応答時間管理部251は、L2TPトンネルごとのHELLOメッセージの応答時間を記憶し、言い換えると、HELLO応答時間管理部251は、通信経路ごとのHELLOメッセージの応答時間を記憶し、
通信状態管理部261は、優先度管理部241においてメイン回線として選択したL2TPトンネルを通信可能状態とし、それ以外のL2TPトンネルを通信不可状態とするように制御する、
通信システム。」

2.原査定の拒絶の理由に引用された引用文献

(1)引用文献Aの記載事項について

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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【背景技術】
【0002】
・・・(中略)・・・
【0005】
ところで、限られたネットワーク資源の有効活用や、QoS制御、または事業者の運用上の都合により、パス設定時に必ず経由すべき箇所を指定する(inclusive route指定する)場合がある。このinclusive route指定を考慮して経路計算を行うには、始点ノードと指定ノード(inclusive route指定したノード)1、指定ノード1と指定ノード2、以下同様に指定ノードNと終点ノード、という具合に区間に分けて、各区間独立に経路計算を行い、最後にそれら経路を足し合わせることでend-to-endの経路を得る。」
「【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を、第1の実施の形態および第2の実施の形態に分けて説明する。
【0026】
続きを表示(全19行)
≪第1の実施の形態≫
まず、本発明の第1の実施の形態の経路計算装置を説明する。この経路計算装置は、inclusive route指定により区切られた区間それぞれに、end-to-endの遅延制約値を分割し割り当て、各区間に割り当てられた遅延制約値を満たす経路を計算することを特徴とする。
【0027】
図1は、第1の実施の形態の経路計算装置を説明する図である。図1に示すように、ネットワークは、ノード2(2A,2B,2C,2D)と、このノード2との間に設定されるパスの経路計算を行う経路計算装置1とを含んで構成される。このノード2と経路計算装置1とは、通信可能に接続されている。
【0028】
なお、このネットワークは、TDM(Time Division Multiplexing)やWDM(Wavelength Division Multiplexing)等の回線交換ネットワーク、または、IP(Internet Protocol)やイーサネット(登録商標)、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)により実現され、ノード2は、MPLS網のMPLSルータ、パケット網のルータ、光網の光クロスコネクト等により実現される。ここで、ノード2Aからノード2Dまでの間にはパス(論理パス)が設定される。
【0029】
<動作概要>
ここで、第1の実施の形態の経路計算装置1の動作概要を、図1を参照しながら説明する。
【0030】
まず、経路計算装置1は、始点ノード(ノード2A)から終点ノード(ノード2D)までの経路において、中継ノード(ノード2B,2C)の指示入力を受け付ける。つまりinclusive route指定において経由すべきノード(inclusive node)の入力を受け付ける。また、経路計算装置1は、このノード2Aからノード2Dまでの経路における遅延時間の上限値(end-to-endの遅延制約値)の入力を受け付ける。例えば、「遅延制約値=30ms以下」という情報の入力を受け付ける。
【0031】
経路計算装置1は、中継ノードで区切られた各区間#1~区間#3それぞれに、end-to-endでの遅延制約値を分割し、割り当てる。例えば、end-to-endでの遅延制約値を各区間に均等に10msずつ分割し、割り当てる。そして、経路計算装置1は、各区間に割り当てられた遅延制約値を満たす経路を計算する。つまり、ここでは図示を省略しているが、区間#1~区間#3はそれぞれリンク接続されたノードが設置され、遅延制約値を満たすには、どのリンクを経由すればよいかを計算(探索)する。計算した結果、すべての区間について、遅延制約値を満たす経路を計算できれば(経路を発見できれば)、その経路を計算結果として出力する。一方、遅延制約値を満たす経路を計算できない区間(第1の区間)があれば、その区間に、遅延制約を満たす経路を計算できた区間(第2の区間)において余った遅延制約値を分け与える。
【0032】
例えば、図1に例示するネットワークにおいて、経路計算装置1が、区間#1および区間#3については、遅延制約値10msを満たす経路を発見できたが、区間#2においては、遅延制約値10msを満たす経路を発見できなかったとき、区間#1および区間#3において余った遅延制約値(その区間の遅延制約値から実際の遅延時間を差し引いた値)を、区間#2へ分け与える。すなわち、区間#1および区間#2において、遅延制約値が5ms余った場合、この値を区間#2に分け与えて、この区間の遅延制約値を10ms+5ms+5ms=20msに変更する。そして、経路計算装置1は、その結果、この区間#2についてend-to-endの遅延制約値20msを満たす経路を計算する。」
「【0073】
≪第2の実施の形態≫
次に、第2の実施の形態の経路計算装置を説明する。第2の実施の形態の経路計算装置は、inclusive route指定により区切られた各区間における最短経路の遅延時間の合計値が、end-to-endでの遅延制約値を超えるとき、リンクコストの大きい区間から順に、遅延時間が最短となる経路の再計算を行い、end-to-endでの遅延制約値以下となる経路を探索(計算)することを特徴とする。
【0074】
<動作概要>
図4は、第2の実施の形態の経路計算装置を説明する図である。ネットワークの構成は第1の実施の形態と同様なので、説明を省略する。なお、ノード2Aからノード2Dまでの経路におけるend-to-endでの遅延制約値は、第1の実施の形態と同様に、30ms以下として説明する。
【0075】
まず、経路計算装置1aは、中継ノードで区切られた各区間#1~区間#3それぞれの最短経路を計算する。そして、各区間ごとに、その最短経路における実際の遅延時間を計算し、合計する。つまり、end-to-endでの最短経路の実際の遅延時間を求める。ここで、end-to-endでの最短経路の実際の遅延時間が、遅延制約値(30ms)を超えていなければ、その最短経路を計算結果として出力する。一方、end-to-endでの最短経路の実際の遅延時間が、前記した遅延制約値を超えていれば以下の処理を行う。
【0076】
すなわち、経路計算装置1aは、中継ノードで区切られた各区間のうち、まず、リンクコストが最も大きい区間について、経路再計算を行う。例えば、リンクコストが最も大きい区間#3について、この区間において取りうる経路のうち、遅延時間が最も短くなる経路を計算する。そして、経路計算装置1aは、計算後におけるend-to-endの遅延時間が、遅延制約値以下となっているか否かを確認し、計算後におけるend-to-endの遅延時間が、遅延制約値以下となっていれば、区間#3の経路を、再計算した経路に置き換えたものを出力する。」
「【図1】
[図:0001385962000011.jpg]
」
「【図4】
[図:0001385962000012.jpg]
」

したがって、当該引用文献Aには、段落【0026】以降に記載された「第1の実施形態」として、次の技術的事項(以下、「引用文献A技術事項1」という。)が記載されていると認められる。また、同じく引用文献Aには、段落【0073】以降に記載された「第2の実施形態」として、後述の技術的事項(以下、「引用文献A技術事項2」という。)が記載されていると認められる。

<引用文献A技術事項1>

「パス設定時に必ず経由すべき箇所を指定するinclusive route指定により区切られた区間それぞれに、end-to-endの遅延制約値を分割し割り当て、各区間に割り当てられた遅延制約値を満たす経路を計算する第1の実施の形態の経路計算装置であって、
ネットワークは、ノード2(2A,2B,2C,2D)と、このノード2との間に設定されるパスの経路計算を行う経路計算装置1とを含み、ノード2Aからノード2Dまでの間にはパス(論理パス)が設定され、
経路計算装置1は、始点ノード(ノード2A)から終点ノード(ノード2D)までの経路において、中継ノード(ノード2B,2C)の指示入力を受け付け、つまりinclusive route指定において経由すべきノード(inclusive node)の入力を受け付け、また、経路計算装置1は、このノード2Aからノード2Dまでの経路における遅延時間の上限値(end-to-endの遅延制約値)の入力を受け付け、例えば、「遅延制約値=30ms以下」という情報の入力を受け付け、
経路計算装置1は、中継ノードで区切られた各区間#1~区間#3それぞれに、end-to-endでの遅延制約値を分割し、割り当て、例えば、end-to-endでの遅延制約値を各区間に均等に10msずつ分割し、割り当て、そして、経路計算装置1は、各区間に割り当てられた遅延制約値を満たす経路を計算し、つまり、区間#1~区間#3はそれぞれリンク接続されたノードが設置され、遅延制約値を満たすには、どのリンクを経由すればよいかを計算(探索)し、計算した結果、すべての区間について、遅延制約値を満たす経路を計算できれば(経路を発見できれば)、その経路を計算結果として出力し、
一方、遅延制約値を満たす経路を計算できない区間(第1の区間)があれば、その区間に、遅延制約を満たす経路を計算できた区間(第2の区間)において余った遅延制約値を分け与え、
例えば、経路計算装置1が、区間#1および区間#3については、遅延制約値10msを満たす経路を発見できたが、区間#2においては、遅延制約値10msを満たす経路を発見できなかったとき、区間#1および区間#3において余った遅延制約値(その区間の遅延制約値から実際の遅延時間を差し引いた値)を、区間#2へ分け与え、すなわち、区間#1および区間#2において、遅延制約値が5ms余った場合、この値を区間#2に分け与えて、この区間の遅延制約値を10ms+5ms+5ms=20msに変更し、その結果、この区間#2についてend-to-endの遅延制約値20msを満たす経路を計算する、
経路計算装置1。」

<引用文献A技術事項2>

「inclusive route指定により区切られた各区間における最短経路の遅延時間の合計値が、end-to-endでの遅延制約値を超えるとき、リンクコストの大きい区間から順に、遅延時間が最短となる経路の再計算を行い、end-to-endでの遅延制約値以下となる経路を探索(計算)する経路計算装置であって、
ネットワークの構成は第1の実施の形態と同様であり、なお、ノード2Aからノード2Dまでの経路におけるend-to-endでの遅延制約値は、第1の実施の形態と同様に、30ms以下とし、
まず、経路計算装置1aは、中継ノードで区切られた各区間#1~区間#3それぞれの最短経路を計算し、そして、各区間ごとに、その最短経路における実際の遅延時間を計算し、合計し、つまり、end-to-endでの最短経路の実際の遅延時間を求め、ここで、end-to-endでの最短経路の実際の遅延時間が、遅延制約値(30ms)を超えていなければ、その最短経路を計算結果として出力し、
一方、end-to-endでの最短経路の実際の遅延時間が、前記した遅延制約値を超えていれば以下の処理を行い、
すなわち、経路計算装置1aは、中継ノードで区切られた各区間のうち、まず、リンクコストが最も大きい区間について、経路再計算を行い、例えば、リンクコストが最も大きい区間#3について、この区間において取りうる経路のうち、遅延時間が最も短くなる経路を計算し、そして、経路計算装置1aは、計算後におけるend-to-endの遅延時間が、遅延制約値以下となっているか否かを確認し、計算後におけるend-to-endの遅延時間が、遅延制約値以下となっていれば、区間#3の経路を、再計算した経路に置き換えたものを出力する、
経路計算装置1a。」

(2)引用文献Cの記載事項について

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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Cには、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0071】
<第2実施形態>
第1実施形態では環境変化に応じてアダプティブに送信側、受信側のプロトコルを変更する場合を説明したが、プロトコルを変更するだけに限らず、圧縮やキャッシュといった機能をアダプティブに変更するようにしてもよい。以下の第2実施形態ではFTPではなくWEBアプリケーションを想定している。
【0072】
続きを表示(全15行)
図16に通信装置の第2実施形態の構成図を示す。図16において図5と同一部分には同一符号を付す。図16に示す通信装置30は、WAN高速化装置18、又は移動端末11上の仮想WAN高速化アプライアンスを指す。通信装置30は、通信インタフェース部21、プロトコル部22-1~22-n、切替制御部23、通信品質監視部24、最適プロトコル選択部25、最適パラメタ決定部26、データバッファ部27、アプリ部28、アプリケーション監視部31、キャッシュ/デデュープ部32、データ圧縮伸張部33を含む。
【0073】
通信インタフェース部21は、接続しているネットワークからパケットを受信し、又はネットワークにパケットを送信する処理部である。
【0074】
プロトコル部22-1~22-nは、輻輳制御の異なるルールセットを適用した輻輳制御処理を実施する処理部である。例えばプロトコル部22-1はTCPの一変種であるRenoの処理を行い、プロトコル部22-1はTCPの別の一変種であるBICの処理を行う。
【0075】
切替制御部23は、最適プロトコル選択部25がプロトコルの切り替えが必要であると判断した際に、対向装置と制御メッセージを交換し、同期を取りながらプロトコルを切り替える処理部である。切替制御部23内のパラメタステート引継部23aはプロトコル部22-1~22-n間の状態を含むパラメタの引き継ぎを行う。
【0076】
通信品質監視部24は、データリンク層やプロトコル部22の通信品質を監視する処理部である。
【0077】
最適プロトコル選択部25は、通信品質監視部24の収集したデータリンク層情報やプロトコル部22が対向装置と通信を行った結果取得した品質情報を基に、最適なトランスポート層プロトコルを選択する処理部である。」
「【0089】
最適プロトコル選択部25は、アプリケーション監視部31が検出したトラフィックの特性、ネットワークの通信品質と図19に示す機能選択テーブル、及び図20に示すプロトコル選択テーブルを利用して特性に適合した最適な機能及びプロトコルを選択する。図19では、圧縮なし(つまり圧縮可)、かつバルク転送ではキャッシュ/デデュープ部32及びデータ圧縮伸張部33の機能を選択し、圧縮あり(つまり圧縮不可)、かつトランザクションの散発的転送ではキャッシュ/デデュープ部32及びデータ圧縮伸張部33の機能を使わないことを示している。また、図20では平均廃棄率を3段階に分け、平均廃棄率の各段階において3段階の平均帯域変動率とバルク転送又はトランザクションの散発的転送で3段階の平均遅延時間に応じてTCPプロトコルWestwood,BIC,CUBIC,htcp,scalableなどを設定している。」
「【図4】
[図:0001385962000013.jpg]
」
「【図16】
[図:0001385962000014.jpg]
」
「【図19】
[図:0001385962000015.jpg]
」
「【図20】
[図:0001385962000016.jpg]
」

したがって、当該引用文献Cには、次の技術的事項(以下、「引用文献C技術事項」という。)が記載されていると認められる。

<引用文献C技術事項>

「WAN高速化装置18、又は移動端末11上の仮想WAN高速化アプライアンスを指す通信装置30は、通信インタフェース部21、プロトコル部22-1~22-n、切替制御部23、通信品質監視部24、最適プロトコル選択部25を含み、
通信インタフェース部21は、接続しているネットワークからパケットを受信し、又はネットワークにパケットを送信する処理部であり、
プロトコル部22-1~22-nは、輻輳制御の異なるルールセットを適用した輻輳制御処理を実施する処理部であり、
切替制御部23は、最適プロトコル選択部25がプロトコルの切り替えが必要であると判断した際に、対向装置と制御メッセージを交換し、同期を取りながらプロトコルを切り替える処理部であり、
通信品質監視部24は、データリンク層やプロトコル部22の通信品質を監視する処理部であり、
最適プロトコル選択部25は、通信品質監視部24の収集したデータリンク層情報やプロトコル部22が対向装置と通信を行った結果取得した品質情報を基に、最適なトランスポート層プロトコルを選択する処理部であり、
最適プロトコル選択部25は、アプリケーション監視部31が検出したトラフィックの特性、ネットワークの通信品質と機能選択テーブル、及びプロトコル選択テーブルを利用して特性に適合した最適な機能及びプロトコルを選択する、
通信装置30。」

第7 当審拒絶理由の理由2(進歩性)についての対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と上記引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア

(ア)引用発明の「端末A61」は、本願発明1の「端末」に相当する。また、引用発明の「アプリケーションサーバA71」は、前記「端末A61」が「通信ネットワークを介して」、「接続してサービスを享受しようと」するサーバのことであるから、本願発明1の「SaaS(Software as a Service)」とは、端末が享受するサービスとしてのアプリケーションソフトウェアを備える「アプリケーションを備えるサーバ」である点で共通する。

そして、引用発明において、「端末A61」と「アプリケーションサーバA71」との間の経路は、「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」と、「仮想ネットワーク(仮想NW)」から構成され、当該ネットワークにおいて、「アプリケーション(端末A61, アプリケーションサーバA71)で要求される通信品質を満たすEnd-to-Endの通信リンク」が「確立」されることから、「アプリケーションサーバA71」が「端末A61」との間で「End-to-Endの通信リンク」が「確立」される上記ネットワーク(上記「RAN」及び「仮想NW」)は、本願発明1における前記「SaaS」が、前記「端末」との間で構築する「VPN」すなわち「Virtual Private Network(仮想専用ネットワーク)」とは、「ネットワーク」である点で共通する。

(イ)引用発明の「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」は、本願発明1の「第1アクセスネットワーク」に相当する。そして、引用発明の「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」は、少なくとも「複数の経路」として、「RAN1」と「RAN2」を含み、「端末は,RAN1もしくはRAN2の無線アクセスネットワークを用い,それぞれのRANを終端するゲートウェイ(Gateway: GW)を介して仮想ネットワーク網に接続」するものであって、「各RANはそれぞれのGW311,321で終端され」ることから、引用発明において、「端末A61」と「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」に含まれる「RAN1」と「RAN2」をそれぞれ終端する「GW311,321」は、本願発明1の「前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置」に相当する。

(ウ)引用発明では、「端末は,RAN1もしくはRAN2の無線アクセスネットワークを用い,それぞれのRANを終端するゲートウェイ(Gateway: GW)を介して仮想ネットワーク網に接続し,その先のアプリケーションサーバ70とのやり取りを行」うところ、「仮想ネットワーク網」を「仮想NW視点」で図示した上記引用文献1の【図1】(b)を参照すると、引用発明の「仮想ネットワーク網」における「有線通信区間」は、「VN1」、「VN2」及び「VN3」で示された複数(3つ)のネットワーク区間と、それぞれの区間の終端点から3つの線(いずれもアプリケーションサーバ70に直接接続される線)で示されるアクセスネットワーク区間があることが見て取れる。

よって、引用発明の「仮想ネットワーク網」における上記「アクセスネットワーク」は、本願発明1の「第2アクセスネットワーク」に相当し、したがって、引用発明の「仮想ネットワーク網」における上記「3つの線(いずれもアプリケーションサーバ70に直接接続される線)で示されるアクセスネットワーク」に接続される「終端点」は、本願発明1の「前記SaaSと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の第2ゲートウェイ装置」とは、「前記アプリケーションを備えるサーバと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の終端点」である点で共通する。

(エ)引用発明の「通信システム」は、上記(ア)~(ウ)を踏まえると、少なくとも上記「端末A61」と「アプリケーションサーバA71」と、両者間の経路である「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」と、「仮想ネットワーク(仮想NW)」とを含み、「GW311,321」を含むことから、本願発明1の「システム」に相当する。また、引用発明の「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」は、「RAN側の情報を集約して主にRANを調整する」サーバであり、引用発明の「仮想NW調停サーバ4」は、「仮想NW側の情報を集約し複数の仮想NWを主に調整する」サーバであるから、両サーバは互いに連携して、上記「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」と「仮想ネットワーク(仮想NW)」からなる「通信システム」を制御するものといえる。そして、引用発明の「通信制御装置」は、上記「通信システム」の制御を実行するものといえることから、上記「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」と「仮想NW調停サーバ4」の連携による制御を実行する装置を指すものといえる。よって、当該「通信制御装置」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「ネットワーク制御装置」に相当するといえる。

(オ)以上(ア)~(エ)から、引用発明の「通信制御装置」は、本願発明1の「端末と、当該端末との間でVPNを構築するSaaS(Software as a Service)と、前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置と、前記SaaSと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の第2ゲートウェイ装置とを備えるシステムに対する制御を実行するネットワーク制御装置」とは、「端末と、当該端末との間でネットワークを構築するアプリケーションを備えるサーバと、前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置と、前記アプリケーションを備えるサーバと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の終端点とを備えるシステムに対する制御を実行するネットワーク制御装置」である点で共通する。

イ

(ア)引用発明の「無線通信区間」は、上記ア(イ)を踏まえると、「端末」と「RANを終端するゲートウェイ」である「GW311,321」の間の「複数の経路」である少なくとも「RAN1」と「RAN2」を有する「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」の区間であるから、本願発明1の「前記端末と前記複数の第1ゲートウェイ装置との間の第1アクセスネットワークの区間である第1区間」に相当する。したがって、引用発明の「無線通信区間の複数の経路」の「通信特性」は、本願発明1の「第1区間の品質」に相当する。

(イ)上記ア(ウ)を踏まえると、上記の「VN1」、「VN2」及び「VN3」で示された複数(3つ)のネットワーク区間は、本願発明1の「前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の第2ゲートウェイ装置との間の通信事業者により提供されるバックボーンネットワークの区間である第2区間」とは、「前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の終端点との間のネットワークの区間である第2区間」である点で共通し、また上記後者の、それぞれの区間の終端点から3つの線(いずれもアプリケーションサーバ70に直接接続される線)で示されるアクセスネットワーク区間は、本願発明1の「前記複数の第2ゲートウェイ装置と前記SaaSとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間」とは、「前記複数の終端点と前記アプリケーションを備えたサーバとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間」である点で共通する。

したがって、引用発明の「有線通信区間の複数の経路の通信特性」は、本願発明1の「前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の第2ゲートウェイ装置との間の通信事業者により提供されるバックボーンネットワークの区間である第2区間の品質と、前記複数の第2ゲートウェイ装置と前記SaaSとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間の品質」とは、「前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の終端点との間のネットワークの区間である第2区間の品質と、前記複数の終端点と前記アプリケーションを備えたサーバとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間の品質」である点で共通する。

(ウ)引用発明の「通信制御装置」は、「無線通信区間の複数の経路と,有線通信区間の複数の経路の通信特性を取得する手段を備え」、「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」の「無線NW通信状況テーブル131」において「モバイルアプリケーション基盤サーバが管理対象とする無線アクセスネットワーク(RAN)の通信状況を保持」し、また、「有線NW通信状況テーブル132」において「モバイルアプリケーション基盤サーバが管理対象とする有線ネットワークの通信状況を保持」することから、上記「無線通信区間の複数の経路と,有線通信区間の複数の経路の通信特性を取得する手段」は、本願発明1の「第1区間の品質」と、「第2区間の品質」と、「第3区間の品質」とを「収集する」「品質収集部」に相当する。

ウ

引用発明においては、「モバイルアプリケーション基盤サーバは各GWからRAN内の情報を集約し,一方で仮想NW側は,仮想NW調停サーバ4が,仮想NW5内の仮想化対応ルータ51の接続を切り替える機能を持ち,随時複数の仮想NWリンクを確保し管理し」、そして、「モバイルアプリケーション基盤サーバ1と仮想NW調停サーバ4間はそれぞれのRANや仮想NWの情報を元に要求に見合う組合せを決めるために調停を行い,使用する仮想NWリンクやRANが決定すると,仮想NW調停サーバ4は使用する仮想NWリンクに切り替えを行い,また,モバイルアプリケーション基盤サーバ1はMN-GW2にRAN切り替えの指示を出しRANの切り替えが行われ,最終的に端末-アプリケーションサーバ間での通信が行われ」ることから、

引用発明の「無線通信区間の複数の経路」の「通信特性」である「RAN(RAN#1,RAN#2,RAN#3)の通信状況」に基づいて、「RAN切り替え」すなわち「RANを終端するゲートウェイ(Gateway: GW)」である「GW311,321」の切り替えを行い、また、「有線通信区間の複数の経路の通信特性」である「仮想ネットワーク(VN#1,VN#2,VN#3)の通信状況」に基づいて、「仮想NW5内の仮想化対応ルータ51の接続を切り替え」る「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」は、前記ア及びイを踏まえると、本願発明1の「前記品質収集部により収集された前記第1区間の品質、前記第2区間の品質、及び前記第3区間の品質に基づいて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路を構成する第1ゲートウェイ装置と第2ゲートウェイ装置とを選択する選択部」とは、「前記品質収集部により収集された前記第1区間の品質、前記第2区間の品質、及び前記第3区間の品質に基づいて、前記端末と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の通信の経路を構成する第1ゲートウェイ装置を選択する選択部」である点で共通する。

エ

上記ウで示したように、引用発明の「モバイルアプリケーション基盤サーバ」は、「GW311,321」の切り替えを行い、また、「仮想NW5内の仮想化対応ルータ51の接続を切り替え」ることにより、「最終的に端末-アプリケーションサーバ間での通信が行われ」るように「経路を調停」することから、本願発明1の「前記端末と前記SaaSとの間の通信が前記経路を経由するように経路制御を実行する経路制御部」とは、「前記端末と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の通信が前記経路を経由するように経路制御を実行する経路制御部」である点で共通する。

オ

引用発明の「無線通信区間の複数の経路」の「通信特性」である「RAN(RAN#1,RAN#2,RAN#3)の通信状況」及び「有線通信区間の複数の経路の通信特性」である「仮想ネットワーク(VN#1,VN#2,VN#3)の通信状況」は、いずれも「帯域幅、遅延時間」が含まれていることから、引用発明の「無線通信区間の複数の経路と,有線通信区間の複数の経路の通信特性を取得する手段」が「RAN(RAN#1,RAN#2,RAN#3)の通信状況」及び「仮想ネットワーク(VN#1,VN#2,VN#3)の通信状況」の「帯域幅、遅延時間」を取得することは、上記イ(ウ)を踏まえると、本願発明1の「前記品質収集部は、前記第1区間、前記第2区間、及び前記第3区間のそれぞれについて複数種類の品質を収集」することに相当する。

カ

引用発明の「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」は、「有線区間の複数の経路間、あるいは、無線区間の複数の経路間で」、「要求通信品質を満たすように経路選択を制御する」ものであって、「無線通信区間と有線通信区間とによる通信特性が、データ通信要求で指定された通信品質を満たす(例えば、通信時間の総和が指定した遅延時間以下となる、通信帯域の最小値が指定したデータレート以上となる)ように、無線通信区間の複数の経路及び有線通信区間の複数の経路の中からそれぞれ経路を選択」することから、引用発明の上記「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」が「経路を選択」することは、上記ウを踏まえると、本願発明1の「前記選択部は、当該複数種類の品質のそれぞれについて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の複数の候補経路の順位付けを行い、当該順位と、前記複数種類の品質における各品質の重みとに基づいて、前記複数の候補経路の中から、使用する経路を選択する」こととは、「前記選択部は、複数の経路の中から、使用する経路を選択する」点で共通する。

(2)一致点・相違点

以上のことから、本願発明1と引用発明とは、以下の点において一致、及び相違する。

<一致点>

「 端末と、当該端末との間でネットワークを構築するアプリケーションを備えるサーバと、前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置と、前記アプリケーションを備えるサーバと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の終端点とを備えるシステムに対する制御を実行するネットワーク制御装置であって、
前記端末と前記複数の第1ゲートウェイ装置との間の第1アクセスネットワークの区間である第1区間の品質と、前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の終端点との間のネットワークの区間である第2区間の品質と、前記複数の終端点と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間の品質とを収集する品質収集部と、
前記品質収集部により収集された前記第1区間の品質、前記第2区間の品質、及び前記第3区間の品質に基づいて、前記端末と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の通信の経路を構成する第1ゲートウェイ装置を選択する選択部と、
前記端末と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の通信が前記経路を経由するように経路制御を実行する経路制御部とを備え、
前記品質収集部は、前記第1区間、前記第2区間、及び前記第3区間のそれぞれについて複数種類の品質を収集し、前記選択部は、複数の経路の中から、使用する経路を選択する
ことを特徴とするネットワーク制御装置。」

<相違点>

相違点1

端末とアプリケーションサーバとの間で構築されるネットワークは、本願発明1では、「VPN」であるのに対し、引用発明には、VPNとの特定はされていない点。

相違点2

端末と通信するアプリケーションを備えるサーバは、本願発明1では、「SaaS(Software as a Service」であるのに対し、引用発明には、そのような特定はされていない点。

相違点3

システムにおいて、本願発明1には、「前記SaaSと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の第2ゲートウェイ装置」があるのに対し、引用発明には、アプリケーションを備えるサーバと3つの線で図示されたアクセスネットワークとの間の終端点に「複数の第2ゲートウェイ装置」があるとの特定がされていない点。

相違点4

第2区間のネットワークは、本願発明1では、「通信事業者により提供されるバックボーンネットワーク」であるのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。

相違点5

選択部が選択するのは、「第1ゲートウェイ装置」の他に、本願発明1では、「第2ゲートウェイ装置」があるのに対し、引用発明には、「複数の第2ゲートウェイ装置」が特定されていないため、選択部の選択対象として「第2ゲートウェイ装置」が特定されていない点。

相違点6

複数の経路の中から、使用する経路を選択する選択部は、本願発明1では、「複数種類の品質のそれぞれについて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の複数の候補経路の順位付けを行い、当該順位と、前記複数種類の品質における各品質の重みとに基づいて、」選択するのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。

(2)相違点についての検討

事案に鑑みて、上記相違点6について先に検討する。

複数の経路の中から、使用する経路を選択するのに、上記相違点6に係る本願発明1の「複数種類の品質のそれぞれについて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の複数の候補経路の順位付けを行い、当該順位と、前記複数種類の品質における各品質の重みとに基づいて、」選択する構成は、引用文献2及び引用文献4-8のいずれにも、記載も示唆もされておらず、本願出願前に周知技術であるともいえない。

特に、引用発明(引用文献2に記載された発明)は、「有線区間の複数の経路間、あるいは、無線区間の複数の経路間で」、「要求通信品質を満たすように経路選択を制御する」ものであって、「無線通信区間と有線通信区間とによる通信特性が、データ通信要求で指定された通信品質を満たす(例えば、通信時間の総和が指定した遅延時間以下となる、通信帯域の最小値が指定したデータレート以上となる)ように、無線通信区間の複数の経路及び有線通信区間の複数の経路の中からそれぞれ経路を選択」するものの、上記相違点6に係る本願発明1のような「複数の候補経路の順位付け」及び「複数種類の品質における各品質の重み」に関する構成は開示されておらず、さらに、「当該順位と」、「重みとに基づいて」選択する構成についても開示されていない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献4-8に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2について

(1)対比

本願発明2と上記引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

なお、次に示す本願発明2と引用発明との対比の「ア」-「エ」は、本願発明1と本願発明2の両者の同一の構成部分に関するところであるから、上記「1.本願発明1について」の(1)対比の「ア」-「エ」と同内容である。

ア

(ア)引用発明の「端末A61」は、本願発明2の「端末」に相当する。また、引用発明の「アプリケーションサーバA71」は、前記「端末A61」が「通信ネットワークを介して」、「接続してサービスを享受しようと」するサーバのことであるから、本願発明2の「SaaS(Software as a Service)」とは、端末が享受するサービスとしてのアプリケーションソフトウェアを備える「アプリケーションを備えるサーバ」である点で共通する。

そして、引用発明において、「端末A61」と「アプリケーションサーバA71」との間の経路は、「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」と、「仮想ネットワーク(仮想NW)」から構成され、当該ネットワークにおいて、「アプリケーション(端末A61, アプリケーションサーバA71)で要求される通信品質を満たすEnd-to-Endの通信リンク」が「確立」されることから、「アプリケーションサーバA71」が「端末A61」との間で「End-to-Endの通信リンク」が「確立」される上記ネットワーク(上記「RAN」及び「仮想NW」)は、本願発明2における前記「SaaS」が、前記「端末」との間で構築する「VPN」すなわち「Virtual Private Network(仮想専用ネットワーク)」とは、「ネットワーク」である点で共通する。

(イ)引用発明の「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」は、本願発明2の「第1アクセスネットワーク」に相当する。そして、引用発明の「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」は、少なくとも「複数の経路」として、「RAN1」と「RAN2」を含み、「端末は,RAN1もしくはRAN2の無線アクセスネットワークを用い,それぞれのRANを終端するゲートウェイ(Gateway: GW)を介して仮想ネットワーク網に接続」するものであって、「各RANはそれぞれのGW311,321で終端され」ることから、引用発明において、「端末A61」と「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」に含まれる「RAN1」と「RAN2」をそれぞれ終端する「GW311,321」は、本願発明2の「前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置」に相当する。

(ウ)引用発明では、「端末は,RAN1もしくはRAN2の無線アクセスネットワークを用い,それぞれのRANを終端するゲートウェイ(Gateway: GW)を介して仮想ネットワーク網に接続し,その先のアプリケーションサーバ70とのやり取りを行」うところ、「仮想ネットワーク網」を「仮想NW視点」で図示した上記引用文献1の【図1】(b)を参照すると、引用発明の「仮想ネットワーク網」における「有線通信区間」は、「VN1」、「VN2」及び「VN3」で示された複数(3つ)のネットワーク区間と、それぞれの区間の終端点から3つの線(いずれもアプリケーションサーバ70に直接接続される線)で示されるアクセスネットワーク区間があることが見て取れる。

よって、引用発明の「仮想ネットワーク網」における上記「アクセスネットワーク」は、本願発明2の「第2アクセスネットワーク」に相当し、したがって、引用発明の「仮想ネットワーク網」における上記「3つの線(いずれもアプリケーションサーバ70に直接接続される線)で示されるアクセスネットワーク」に接続される「終端点」は、本願発明2の「前記SaaSと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の第2ゲートウェイ装置」とは、「前記アプリケーションを備えるサーバと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の終端点」である点で共通する。

(エ)引用発明の「通信システム」は、上記(ア)~(ウ)を踏まえると、少なくとも上記「端末A61」と「アプリケーションサーバA71」と、両者間の経路である「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」と、「仮想ネットワーク(仮想NW)」とを含み、「GW311,321」を含むことから、本願発明2の「システム」に相当する。また、引用発明の「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」は、「RAN側の情報を集約して主にRANを調整する」サーバであり、引用発明の「仮想NW調停サーバ4」は、「仮想NW側の情報を集約し複数の仮想NWを主に調整する」サーバであるから、両サーバは互いに連携して、上記「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」と「仮想ネットワーク(仮想NW)」からなる「通信システム」を制御するものといえる。そして、引用発明の「通信制御装置」は、上記「通信システム」の制御を実行するものといえることから、上記「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」と「仮想NW調停サーバ4」の連携による制御を実行する装置を指すものといえる。よって、当該「通信制御装置」は、後述する相違点を除き、本願発明2の「ネットワーク制御装置」に相当するといえる。

(オ)以上(ア)~(エ)から、引用発明の「通信制御装置」は、本願発明2の「端末と、当該端末との間でVPNを構築するSaaS(Software as a Service)と、前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置と、前記SaaSと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の第2ゲートウェイ装置とを備えるシステムに対する制御を実行するネットワーク制御装置」とは、「端末と、当該端末との間でネットワークを構築するアプリケーションを備えるサーバと、前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置と、前記アプリケーションを備えるサーバと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の終端点とを備えるシステムに対する制御を実行するネットワーク制御装置」である点で共通する。

イ

(ア)引用発明の「無線通信区間」は、上記ア(イ)を踏まえると、「端末」と「RANを終端するゲートウェイ」である「GW311,321」の間の「複数の経路」である少なくとも「RAN1」と「RAN2」を有する「無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)」の区間であるから、本願発明2の「前記端末と前記複数の第1ゲートウェイ装置との間の第1アクセスネットワークの区間である第1区間」に相当する。したがって、引用発明の「無線通信区間の複数の経路」の「通信特性」は、本願発明2の「第1区間の品質」に相当する。

(イ)上記ア(ウ)を踏まえると、上記の「VN1」、「VN2」及び「VN3」で示された複数(3つ)のネットワーク区間は、本願発明2の「前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の第2ゲートウェイ装置との間の通信事業者により提供されるバックボーンネットワークの区間である第2区間」とは、「前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の終端点との間のネットワークの区間である第2区間」である点で共通し、また上記後者の、それぞれの区間の終端点から3つの線(いずれもアプリケーションサーバ70に直接接続される線)で示されるアクセスネットワーク区間は、本願発明2の「前記複数の第2ゲートウェイ装置と前記SaaSとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間」とは、「前記複数の終端点と前記アプリケーションを備えたサーバとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間」である点で共通する。

したがって、引用発明の「有線通信区間の複数の経路の通信特性」は、本願発明2の「前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の第2ゲートウェイ装置との間の通信事業者により提供されるバックボーンネットワークの区間である第2区間の品質と、前記複数の第2ゲートウェイ装置と前記SaaSとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間の品質」とは、「前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の終端点との間のネットワークの区間である第2区間の品質と、前記複数の終端点と前記アプリケーションを備えたサーバとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間の品質」である点で共通する。

(ウ)引用発明の「通信制御装置」は、「無線通信区間の複数の経路と,有線通信区間の複数の経路の通信特性を取得する手段を備え」、「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」の「無線NW通信状況テーブル131」において「モバイルアプリケーション基盤サーバが管理対象とする無線アクセスネットワーク(RAN)の通信状況を保持」し、また、「有線NW通信状況テーブル132」において「モバイルアプリケーション基盤サーバが管理対象とする有線ネットワークの通信状況を保持」することから、上記「無線通信区間の複数の経路と,有線通信区間の複数の経路の通信特性を取得する手段」は、本願発明2の「第1区間の品質」と、「第2区間の品質」と、「第3区間の品質」とを「収集する」「品質収集部」に相当する。

ウ

引用発明においては、「モバイルアプリケーション基盤サーバは各GWからRAN内の情報を集約し,一方で仮想NW側は,仮想NW調停サーバ4が,仮想NW5内の仮想化対応ルータ51の接続を切り替える機能を持ち,随時複数の仮想NWリンクを確保し管理し」、そして、「モバイルアプリケーション基盤サーバ1と仮想NW調停サーバ4間はそれぞれのRANや仮想NWの情報を元に要求に見合う組合せを決めるために調停を行い,使用する仮想NWリンクやRANが決定すると,仮想NW調停サーバ4は使用する仮想NWリンクに切り替えを行い,また,モバイルアプリケーション基盤サーバ1はMN-GW2にRAN切り替えの指示を出しRANの切り替えが行われ,最終的に端末-アプリケーションサーバ間での通信が行われ」ることから、

引用発明の「無線通信区間の複数の経路」の「通信特性」である「RAN(RAN#1,RAN#2,RAN#3)の通信状況」に基づいて、「RAN切り替え」すなわち「RANを終端するゲートウェイ(Gateway: GW)」である「GW311,321」の切り替えを行い、また、「有線通信区間の複数の経路の通信特性」である「仮想ネットワーク(VN#1,VN#2,VN#3)の通信状況」に基づいて、「仮想NW5内の仮想化対応ルータ51の接続を切り替え」る「モバイルアプリケーション基盤サーバ1」は、前記ア及びイを踏まえると、本願発明2の「前記品質収集部により収集された前記第1区間の品質、前記第2区間の品質、及び前記第3区間の品質に基づいて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路を構成する第1ゲートウェイ装置と第2ゲートウェイ装置とを選択する選択部」とは、「前記品質収集部により収集された前記第1区間の品質、前記第2区間の品質、及び前記第3区間の品質に基づいて、前記端末と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の通信の経路を構成する第1ゲートウェイ装置を選択する選択部」である点で共通する。

エ

上記ウで示したように、引用発明の「モバイルアプリケーション基盤サーバ」は、「GW311,321」の切り替えを行い、また、「仮想NW5内の仮想化対応ルータ51の接続を切り替え」ることにより、「最終的に端末-アプリケーションサーバ間での通信が行われ」るように「経路を調停」することから、本願発明2の「前記端末と前記SaaSとの間の通信が前記経路を経由するように経路制御を実行する経路制御部」とは、「前記端末と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の通信が前記経路を経由するように経路制御を実行する経路制御部」である点で共通する。

(2)一致点・相違点

以上のことから、本願発明2と引用発明とは、以下の点において一致、及び相違する。

<一致点>

「 端末と、当該端末との間でネットワークを構築するアプリケーションを備えるサーバと、前記端末と第1アクセスネットワークを介して接続される複数の第1ゲートウェイ装置と、前記アプリケーションを備えるサーバと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の終端点とを備えるシステムに対する制御を実行するネットワーク制御装置であって、
前記端末と前記複数の第1ゲートウェイ装置との間の第1アクセスネットワークの区間である第1区間の品質と、前記複数の第1ゲートウェイ装置と前記複数の終端点との間のネットワークの区間である第2区間の品質と、前記複数の終端点と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の第2アクセスネットワークの区間である第3区間の品質とを収集する品質収集部と、
前記品質収集部により収集された前記第1区間の品質、前記第2区間の品質、及び前記第3区間の品質に基づいて、前記端末と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の通信の経路を構成する第1ゲートウェイ装置を選択する選択部と、
前記端末と前記アプリケーションを備えるサーバとの間の通信が前記経路を経由するように経路制御を実行する経路制御部とを備える
ことを特徴とするネットワーク制御装置。」

<相違点>

相違点7

端末とアプリケーションサーバとの間で構築されるネットワークは、本願発明2は、「VPN」であるのに対し、引用発明には、VPNとの特定はされていない点。

相違点8

端末と通信するアプリケーションを備えるサーバは、本願発明2は、「SaaS(Software as a Service」であるのに対し、引用発明には、そのような特定はされていない点。

相違点9

システムにおいて、本願発明2は、「前記SaaSと第2アクセスネットワークを介して接続される複数の第2ゲートウェイ装置」があるのに対し、引用発明には、アプリケーションを備えるサーバと3つの線で図示されたアクセスネットワークとの間の終端点に「複数の第2ゲートウェイ装置」があるとの特定がされていない点。

相違点10

第2区間のネットワークは、本願発明2は、「通信事業者により提供されるバックボーンネットワーク」であるのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。

相違点11

選択部が選択するのは、「第1ゲートウェイ装置」の他に、本願発明2は、「第2ゲートウェイ装置」があるのに対し、引用発明には、「複数の第2ゲートウェイ装置」が特定されていないため、選択部の選択対象として「第2ゲートウェイ装置」が特定されていない点。

相違点12

システムにおいて、本願発明2には、「前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路上に付加機能提供装置が備えられており、前記品質収集部により収集された品質に基づいて、前記付加機能提供装置により提供される付加機能を有効化又は無効化する付加機能制御部を更に備える」のに対し、引用発明には、そのような特定はされていない点。

(2)相違点についての検討

事案に鑑みて、上記相違点12について先に検討する。

上記相違点12に係る本願発明2の「前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路上に付加機能提供装置が備えられており、前記品質収集部により収集された品質に基づいて、前記付加機能提供装置により提供される付加機能を有効化又は無効化する付加機能制御部を更に備える」構成は、引用文献2及び引用文献4-8のいずれにも、記載も示唆もされておらず、本願出願前に周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明2は、当業者であっても引用発明及び引用文献4-8に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3.本願発明3-7について

本願発明3は、本願発明1又は2のうちいずれか1項を減縮した発明であり、また、本願発明4は、本願発明1-3のうちいずれか1項を減縮した発明であるため、両者は、上記相違点6に係る本願発明1の「複数の経路の中から、使用する経路を選択する」のに、「複数種類の品質のそれぞれについて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の複数の候補経路の順位付けを行い、当該順位と、前記複数種類の品質における各品質の重みとに基づいて、」選択する構成と同一の構成を備えるか、又は上記相違点12に係る本願発明2の「前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路上に付加機能提供装置が備えられており、前記品質収集部により収集された品質に基づいて、前記付加機能提供装置により提供される付加機能を有効化又は無効化する付加機能制御部を更に備える」構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1又は本願発明2と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-8に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

また、本願発明5は、本願発明1に対応する方法の発明であるため、実質的に上記相違点6に係る本願発明1の「複数の経路の中から、使用する経路を選択する」のに、「複数種類の品質のそれぞれについて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の複数の候補経路の順位付けを行い、当該順位と、前記複数種類の品質における各品質の重みとに基づいて、」選択する構成と同一の構成を備えるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-8に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

また、本願発明6は、本願発明2に対応する方法の発明であるため、実質的に上記相違点12に係る本願発明2の「前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路上に付加機能提供装置が備えられており、前記品質収集部により収集された品質に基づいて、前記付加機能提供装置により提供される付加機能を有効化又は無効化する付加機能制御部を更に備える」構成と同一の構成を備えるから、本願発明2と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-8に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

また、本願発明7は、本願発明1-3のうちいずれか1項に対応するプログラムの発明であるため、実質的に、上記相違点6に係る本願発明1の「複数の経路の中から、使用する経路を選択する」のに、「複数種類の品質のそれぞれについて、前記端末と前記SaaSとの間の通信の複数の候補経路の順位付けを行い、当該順位と、前記複数種類の品質における各品質の重みとに基づいて、」選択する構成と同一の構成を備えるか、又は上記相違点12に係る本願発明2の「前記端末と前記SaaSとの間の通信の経路上に付加機能提供装置が備えられており、前記品質収集部により収集された品質に基づいて、前記付加機能提供装置により提供される付加機能を有効化又は無効化する付加機能制御部を更に備える」構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1又は本願発明2と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-8に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第8 原査定についての判断

理由2(進歩性)について

令和4年4月25日になされた補正により、補正後の請求項1-7は、上記相違点6に係る構成、又は上記相違点12に係る構成を有するものとなった。これらの構成は、原査定における引用文献B、D及びE(当審拒絶理由における引用文献2、4及び5)、また、引用文献A及びCには記載されておらず、本願出願前における周知技術でもない。

特に、引用文献Cには、「通信品質監視部24の収集したデータリンク層情報やプロトコル部22が対向装置と通信を行った結果取得した品質情報を基に、最適なトランスポート層プロトコルを選択する処理部であ」る「最適プロトコル選択部25は、アプリケーション監視部31が検出したトラフィックの特性、ネットワークの 通信品質と機能選択テーブル、及びプロトコル選択テーブルを利用して特性に適合した最適な機能及びプロトコルを選択」する「WAN高速化装置18、又は移動端末11上の仮想WAN高速化アプライアンスを指す通信装置30」(本願発明2の「付加機能提供装置」に相当する。)の記載がされているものの、前記「通信装置30」は、「取得した品質情報を基に」、「最適」な「プロトコルを選択」するものであって、上記相違点12に係る本願発明2のような「付加機能を有効化又は無効化する」構成は開示されていない。

よって、本願発明1-7は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Eに基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の拒絶の理由2(進歩性)を維持することはできない。

第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-009957

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