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特許拒絶査定不服審判

2021-009953

端末装置、および通信方法

審判番号
2021-009953
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-565466外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年07月27日
審決日
2022年04月19日
公報発行日
2022年08月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04W)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-565466「端末装置、および通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日国際公開、WO2017/135044、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2017年(平成29年)1月19日(優先権主張 平成28年2月2日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年 8月23日 上申書及び手続補正書の提出

令和2年 6月10日付け 拒絶理由通知書

令和2年 8月 6日 意見書及び手続補正書の提出

令和2年 9月 1日付け 拒絶理由通知書

令和2年11月 5日 意見書及び手続補正書の提出

令和3年 4月21日付け 拒絶査定

令和3年 7月27日 審判請求書及び手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和3年4月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項1ないし4に対して、引用文献等1及び2

<引用文献等一覧>

1.国際公開第2015/186994号(以下、「引用文献1」という。)

2.特開2014-027429号公報(以下、「引用文献2」という。)

第3 本願発明

本願の請求項1及び2に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、令和3年7月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
基地局装置と通信する端末装置であって、
DCIフォーマットを受信する受信部と、
前記DCIフォーマットに基づいて、PUSCHを送信する送信部と、
続きを表示(全20行)
を備え、
第1のサブキャリア間隔に関する第1のPUSCH設定と、第2のサブキャリア間隔に関する第2のPUSCH設定とが設定され、
前記第1のサブキャリア間隔と前記第2のサブキャリア間隔とは、前記端末装置がサポートしているオペレーティングバンドに基づいて設定され、
所定のセルにおいて、前記第1のサブキャリア間隔が適用される第1のPUSCHの送信と、前記第2のサブキャリア間隔が適用される第2のPUSCHの送信とが同じタイミングで生じ、かつ、前記第1のPUSCHの送信電力と前記第2のPUSCHの送信電力の合計が最大送信電力を超える場合には、
前記送信部は、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの各々に含まれる制御情報の数に基づいて、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定する、
端末装置。
【請求項2】
基地局装置と通信を行う端末装置に用いられる通信方法であって、前記端末装置のコンピュータが、
DCIフォーマットを受信する受信過程と、
前記DCIフォーマットに基づいて、PUSCHを送信する送信過程と、
を有し、
第1のサブキャリア間隔に関する第1のPUSCH設定と、第2のサブキャリア間隔に関する第2のPUSCH設定とが設定され、
前記第1のサブキャリア間隔と前記第2のサブキャリア間隔とは、前記端末装置がサポートしているオペレーティングバンドに基づいて設定され、
所定のセルにおいて、前記第1のサブキャリア間隔が適用される第1のPUSCHの送信と、前記第2のサブキャリア間隔が適用される第2のPUSCHの送信とが同じタイミングで生じ、かつ、前記第1のPUSCHの送信電力と前記第2のPUSCHの送信電力の合計が最大送信電力を超える場合には、
前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの各々に含まれる制御情報の数に基づいて、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定する送信過程を有する、
通信方法。」

第4 引用文献、引用発明及び技術的事項

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由で引用され、本願優先日前に公開された国際公開第2015/186994号(引用文献1)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「[58] DCI can serve several purposes. A DCI format in a respective PDCCH can schedule a PDSCH transmission or a PUSCH transmission conveying data information to or from UE 116, respectively (see also REF 2). In some implementations, UE 116 monitors a DCI format 3 or a DCI format 3A (jointly referred to as DCI format 3/3A) that provide Transmission Power Control (TPC) commands to a group of UEs for transmissions of PUSCHs or PUCCHs. DCI format 3 provides 2-bit TPC commands while DCI format 3A provides 1-bit TPC commands. A DCI format typically includes Cyclic Redundancy Check (CRC) bits in order for UE 116 to confirm a correct detection. A DCI format type is identified by a Radio Network Temporary Identifier (RNTI) that scrambles the CRC bits (see also REF 2). For a DCI format scheduling a PDSCH or a PUSCH to a single UE, the RNTI can be a Cell RNTI (C-RNTI) and serves as a UE identifier. For a DCI format providing TPC commands to a group of UEs, the RNTI can be a TPC-PUSCH-RNTI or a TPC-PUCCH-RNTI depending on whether the TPC commands are intended for adjusting a power of PUSCH transmissions or of PUCCH transmissions, respectively. Each RNTI type can be configured to UE 116 through higher-layer signaling such as RRC signaling (and a C-RNTI is unique to each UE) from eNB 102.」(段落[58])

(当審仮訳:[58] DCIは、さまざまな目的を果たすことができる。それぞれのPDCCH内のDCIフォーマットは、UE116へデータ情報を伝達するPDSCHの送信、又はUE116からデータ情報を伝達するPUSCHの送信をそれぞれスケジューリングできる(REF2も参照)。いくつかの実施形態では、UE116はDCIフォーマット3が、PUSCHまたはPUCCHの送信のためのUEのグループへ送信電力制御(TPC)コマンドを提供することを目的とするDCIフォーマット3A(DCIフォーマット3/3Aと呼ばれる)を監視する。DCIフォーマット3は、DCIフォーマット3Aは、1ビットのTPCコマンドを提供する2ビットのTPCコマンドを提供する。DCIフォーマットは、典型的には、UE116のために巡回冗長検査(CRC)ビットを含む正確な検出を確認することができる。このことは、CRCビット(2)をスクランブルするDCIフォーマット形式は、RNTI(Radio Network Temporary Identifier)により識別される。単一のUEへのPDSCHまたはPUSCHをスケジューリングするDCIフォーマットに対して、RNTIは、セルRNTI(C-RNTI)となることができ、UE識別子として機能する。UEのグループにTPCコマンドを提供するDCIフォーマットに対して、RNTIは、TPCコマンドがPUSCHの送信またはPUCCHの送信の電力を調整するためのものであるかどうかに依存して、それぞれTPC-PUSCH-RNTI 又はTPC-PUCCH-RNTIとすることができる。各RNTIタイプは、eNB102からRRCシグナリング(C-RNTIは各UEに固有)のような上位層シグナリングを介してUE116に構成することができる。)

(2)「[158] FIGURE 11 illustrates an exemplary power allocation by a UE in a SF when the UE has a first PUSCH transmission that includes UCI, a second PUSCH transmission that includes UCI, other PUSCH transmissions, and a sum of a nominal power for the first PUSCH transmission and of a nominal power for the second PUSCH transmission exceeds a maximum transmission power in the SFaccording to this disclosure.・・・(中略)・・・
[159] In a SF i, UE 116 has a first PUSCH transmission that includes UCI in a first cell with a nominal power・・・(中略)・・・a second PUSCH transmission that includes UCI in a second cell with a nominal power・・・(中略)・・・power allocation to the PUSCH transmission in the first cell is prioritized 1110.
Depending on the UCI type or on a configuration by the network, UE 116 can determine whether to suspend the PUSCH transmission in the second cell or whether to transmit the PUSCH in the second cell with a reduced power compared to its nominal one 1120.」(段落[158]及び[159])

(当審仮訳:[158] 図11は、本開示による、UEがUCIを含む第1のPUSCHの送信、UCIを含む第2のPUSCHの送信、他のPUSCHの送信を有し、第1のPUSCHの送信のための公称電力と第2のPUSCHの送信のための公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合の、SFでのUEによる例示的な電力割り当てを図示する。・・・(中略)・・・

[159] SF iにおいて、UE116は公称電力による第1のセルでのUCIを含む第1のPUSCHの送信と・・・(中略)・・・公称電力による第2のセルでのUCIを含む第2のPUSCHの送信を有し・・・(中略)・・・第1のセルでのPUSCHの送信への電力割り当てが優先される 1110。UCIの種類またはネットワークによる構成に応じて、UE116は、第2のセルでのPUSCHの送信を中断するか、又はその公称電力と比較して低減された電力で第2のセルにおいてPUSCHを送信するか否かを決定することができる 1120。)

(3)FIGURE 11(図11)として以下の図が記載されている。

「
[図:0001387085000001.jpg]
」

引用文献1の上記記載、及び通信分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記「(1)」の「各RNTIタイプは、eNB102からRRCシグナリング(C-RNTIは各UEに固有)のような上位層シグナリングを介してUE116に構成することができる。」との記載から、UE116がeNB102と通信することは明らかである。また、上記「(1)」の「それぞれのPDCCH内のDCIフォーマットは、UE116へデータ情報を伝達するPDSCHの送信、又はUE116からデータ情報を伝達するPUSCHの送信をそれぞれスケジューリングできる」との記載から、PDCCHを受信することによりUE116が当該PDCCH内のDCIフォーマットを受信することが明らかであり、UE116が受信するための受信部を備えることも明らかであるから、UE116は、DCIフォーマットを受信する受信部を備えるといえる。更に、UE116は、PUSCHの送信をスケジューリングするDCIフォーマットを含むPDCCHを受信して、当該DCIフォーマットのスケジューリングに従ってPUSCHを送信することが明らかであり、UE116が送信するための送信部を備えることも明らかであるから、UE116は、DCIフォーマットのスケジューリングに従って、PUSCHを送信する送信部を備えるといえる。

してみれば、引用文献1には、eNB102と通信するUE116であって、DCIフォーマットを受信する受信部と、前記DCIフォーマットのスケジューリングに従って、PUSCHを送信する送信部を備えるUE116が記載されているといえる。

イ 上記「(2)」の「図11は、本開示による、UEがUCIを含む第1のPUSCHの送信、UCIを含む第2のPUSCHの送信、他のPUSCHの送信を有し、第1のPUSCHの送信のための公称電力と第2のPUSCHの送信のための公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合の、SFでのUEによる例示的な電力割り当てを図示する。」との記載について、SFがサブフレームを意味することが技術常識であることも踏まえると、「第1のPUSCHの送信のための公称電力と第2のPUSCHの送信のための公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合」との記載は同じサブフレームでの送信であるから、第1のPUSCHの送信と第2のPUSCHの送信が同じタイミングといえる。そして、「UEがUCIを含む第1のPUSCHの送信、UCIを含む第2のPUSCHの送信」を有することは、UEにおいて送信すべき、UCIを含む第1のPUSCH、UCIを含む第2のPUSCHが「生じ」た結果であることは明らかである。そうすると、「UEがUCIを含む第1のPUSCHの送信、UCIを含む第2のPUSCHの送信」を有し、「第1のPUSCHの送信のための公称電力と第2のPUSCHの送信のための公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合」とは、UEにおいて、第1のPUSCHの送信と、第2のPUSCHの送信とが同じタイミングで生じ、かつ、前記第1のPUSCHの公称電力と前記第2のPUSCHの公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合と言い換えることができる。

また、「SF iにおいて、UE116は公称電力による第1のセルでのUCIを含む第1のPUSCHの送信と・・・(中略)・・・公称電力による第2のセルでのUCIを含む第2のPUSCHの送信を有し・・・(中略)・・・第1のセルでのPUSCHの送信への電力割り当てが優先される・・・(中略)・・・UCIの種類またはネットワークの構成に応じて、UE116は、第2のセルでのPUSCHの送信を中断するか、又はその公称電力と比較して低減された電力で第2のセルにおいてPUSCHを送信するか否かを決定することができる」との記載によれば、送信部が送信する際に送信電力を設定することが技術常識であることも踏まえると、送信部は、第1のPUSCHと第2のPUSCHとの送信電力を設定するといえる。

してみれば、上記「(2)」の「図11は、本開示による、UEがUCIを含む第1のPUSCHの送信、UCIを含む第2のPUSCHの送信、他のPUSCHの送信を有し、第1のPUSCHの送信のための公称電力と第2のPUSCHの送信のための公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合の、SFでのUEによる例示的な電力割り当てを図示する。」との記載、及び「SF iにおいて、UE116は公称電力による第1のセルでのUCIを含む第1のPUSCHの送信と・・・(中略)・・・公称電力による第2のセルでのUCIを含む第2のPUSCHの送信を有し・・・(中略)・・・第1のセルでのPUSCHの送信への電力割り当てが優先される・・・(中略)・・・UCIの種類またはネットワークの構成に応じて、UE116は、第2のセルでのPUSCHの送信を中断するか、又はその公称電力と比較して低減された電力で第2のセルにおいてPUSCHを送信するか否かを決定することができる」との記載によれば、第1のPUSCHの送信と、第2のPUSCHの送信とが同じタイミングで生じ、かつ、前記第1のPUSCHの公称電力と前記第2のPUSCHの公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合には、送信部は、第1のPUSCHと第2のPUSCHとの送信電力を設定するといえる。

したがって、上記「ア」及び「イ」を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。

「eNB102と通信するUE116であって、
DCIフォーマットを受信する受信部と、
前記DCIフォーマットのスケジューリングに従って、PUSCHを送信する送信部と、
を備え、
第1のPUSCHの送信と、第2のPUSCHの送信とが同じタイミングで生じ、かつ、前記第1のPUSCHの公称電力と前記第2のPUSCHの公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合には、
前記送信部は、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定する、
UE116。」

2 引用文献2について

原査定の拒絶の理由で引用され、本願優先日前に公開された特開2014-027429号公報(引用文献2)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付した。)

「【0041】
また、ワイドエリアにはドップラシフトの影響が小さい低周波数帯が割り当てられるため、サブキャリア間隔は小さく設定されている。これに対し、ローカルエリアにはドップラシフトの影響が大きな高周波数帯が割り当てられるため、ワイドエリアよりもサブキャリア間隔は大きく設定されている。また、ワイドエリアは、環境の変化が大きく周波数選択性が変動するため、リソースブロック幅が小さく設定されている。これに対し、ローカルエリアは、環境の変化が小さく周波数選択性がフラットになるため、リソースブロック幅が大きく設定されている。」

上記記載によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「ワイドエリアにはサブキャリア間隔が小さく設定され、ローカルエリアにはサブキャリア間隔が大きく設定される。」

第5 対比及び判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア eNBを基地局装置と言い換えられることと、UEを端末装置と言い換えられることとは技術常識であるから、引用発明の「eNB102と通信するUE116」は、本願発明1の「基地局装置と通信する端末装置」に含まれるといえる。

イ 引用発明の「DCIフォーマットを受信する受信部」は、本願発明1の「DCIフォーマットを受信する受信部」に相当する。

してみれば、本願発明1の「DCIフォーマットを受信する受信部」を備える「端末装置」と、引用発明の「DCIフォーマットを受信する受信部」を備える「UE116」とは、DCIフォーマットを受信する受信部を備える端末装置である点で共通する。

ウ 引用発明の「前記DCIフォーマットのスケジューリングに従って、PUSCHを送信する」ことは、本願発明1の「前記DCIフォーマットに基づいて、PUSCHを送信する」ことに含まれるといえる。

してみれば、本願発明1の「前記DCIフォーマットに基づいて、PUSCHを送信する送信部」を備える「端末装置」と、引用発明の「前記DCIフォーマットのスケジューリングに従って、PUSCHを送信する送信部」を備える「UE116」とは、DCIフォーマットに基づいて、PUSCHを送信する送信部を備える端末装置である点で共通する。

エ 本願発明1の「所定のセルにおいて、前記第1のサブキャリア間隔が適用される第1のPUSCHの送信と、前記第2のサブキャリア間隔が適用される第2のPUSCHの送信とが同じタイミングで生じ、かつ、前記第1のPUSCHの送信電力と前記第2のPUSCHの送信電力の合計が最大送信電力を超える場合には、

前記送信部は、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの各々に含まれる制御情報の数に基づいて、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定する」ことと、引用発明の「第1のPUSCHの送信と、第2のPUSCHの送信とが同じタイミングで生じ、かつ、前記第1のPUSCHの公称電力と前記第2のPUSCHの公称電力の合計がSFでの最大送信電力を超える場合には、

前記送信部は、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定する」こととは、送信部は、第1のPUSCHと第2のPUSCHの送信電力を設定する点で共通する。

したがって、上記「ア」ないし「エ」を総合すれば、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>

「基地局装置と通信する端末装置であって、
DCIフォーマットを受信する受信部と、
前記DCIフォーマットに基づいて、PUSCHを送信する送信部と、
を備え、
前記送信部は、第1のPUSCHと第2のPUSCHとの送信電力を設定する、
端末装置。」

<相違点>

本願発明1においては、「第1のサブキャリア間隔に関する第1のPUSCH設定と、第2のサブキャリア間隔に関する第2のPUSCH設定とが設定され、

前記第1のサブキャリア間隔と前記第2のサブキャリア間隔とは、前記端末装置がサポートしているオペレーティングバンドに基づいて設定され、

所定のセルにおいて、前記第1のサブキャリア間隔が適用される第1のPUSCHの送信と、前記第2のサブキャリア間隔が適用される第2のPUSCHの送信とが同じタイミングで生じ、かつ、前記第1のPUSCHの送信電力と前記第2のPUSCHの送信電力の合計が最大送信電力を超える場合には、

前記送信部は、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの各々に含まれる制御情報の数に基づいて」、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定するものであるのに対して、引用発明においては当該発明特定事項について特定されていない点。

(2)相違点についての判断

上記相違点について検討するにあたり、事案に鑑みて、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項の一部である、「前記送信部は、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの各々に含まれる制御情報の数に基づいて」、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定する点について先に検討する。

「前記送信部は、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの各々に含まれる制御情報の数に基づいて」、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定することは、引用文献1及び引用文献2に記載も示唆もされておらず、また、通信分野における周知技術であるともいえない。

したがって、引用発明において、上記相違点に係る本願発明1の上記発明特定事項の一部を採用することは、当業者といえども、容易に想到し得たとはいえない。

よって、本願発明1の上記相違点の他の発明特定事項について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2について

本願発明2は、「基地局装置と通信を行う端末装置に用いられる通信方法」の発明であって、「基地局装置と通信する端末装置」の発明である本願発明1の発明特定事項に対応する発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明2は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定についての判断

令和3年7月27日にされた手続補正により、本願発明1及び2は、いずれも、「前記送信部は、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの各々に含まれる制御情報の数に基づいて、前記第1のPUSCHと前記第2のPUSCHとの送信電力を設定する」という発明特定事項、又は対応する発明特定事項を、少なくとも備えるものとなっている。してみれば、上記「第5」の「1」及び「2」で説示したとおり、当業者であっても、本願発明1及び2は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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