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特許拒絶査定不服審判

2021-009425

手持型機器

審判番号
2021-009425
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-537761外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年07月15日
審決日
2022年06月08日
公報発行日
2022年11月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A45D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-537761「手持型機器」拒絶査定不服審判事件〔2018年(平成30年) 7月19日国際公開、WO2018/130798、令和 2年 5月21日国内公表、特表2020-513933〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、2017年(平成29年)1月12日を国際出願日とする特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

令和2年8月27日付け:拒絶理由通知
令和2年12月3日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年3月11日付け:拒絶査定
令和3年7月15日 :審判請求書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1-22に係る発明は、令和2年12月3日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-22に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項19に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項19】
ハウジングと、流体入口と流体出口との間に延びる流体流路と、該流体流路内のセラミックヒータとを備えた手持型機器であって、前記ハウジングは、前記ヒータを収容して前記流体流路を取り囲む湾曲したハウジングである、
ことを特徴とする機器。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項19に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1-2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.実願昭53-105619号(実開昭55-23672号)のマイクロフィルム

引用文献2.実願昭53-139348号(実開昭55-55104号)のマイクロフィルム

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1の記載

引用文献1には、以下の事項が記載されている。

(1)「本考案はヘアードライヤーに関し極めて小型化ならしめるヘアードライヤーを提供するものである。
一般にヘアードライヤーには手持ち式と卓上等に設置して使用する設置式とに大別され特に前者の手持ち式にあつては軽量、小型であることが望ましい。本考案では手持ち式でしかもヘアードライヤー本体が筒状体で該筒状体の部分が手持ち部と棒状型のヘアードライヤーで且つその先端に形成せる温風吹出口を少許屈曲せしめて使用性を向上せしめたヘアードライヤーに係るものである。
此種、先端の温風吹出口を少許屈曲せしめた棒状型とせるヘアードライヤーは第1図(「第」の文字は異体字。以下同様。)に示す如く構成としていた。即ち筒状ケース(1)内には送風フアン(2)と発熱ヒーター(3)を内蔵せしめ、前記筒状ケース(1)の前記送風フアン(2)を設置せしめる側を空気吹込口(4)ならしめ逆に前記発熱ヒーター(3)を設置せしめる側を温風吹出口(5)とし且つ前記温風吹出口(5)は前記筒状ケース(1)の軸心に対して所望角度(α)を有するよう前記筒状ケース(1)に屈曲部(6)を形成している。
そして、前記発熱ヒーター(3)はマイカー板材等から成る巻枠基板(7)に対して電気発熱体であるニクロム線(8)を巻回して形成したもので、前記巻枠基板(7)は短冊状のマイカー板材を断面十字型となるよう交差せしめその各端面に跨がつてニクロム線(8)を巻回して成り、該発熱ヒーター(3)は第1図に示す如く前記筒状ケース(1)の屈曲部(6)を除く直管部(9)に配置したものであつた。そのため前記屈曲部(6)から温風吹出口(5)までに無駄な空間部(10)が形成され、自ずと全体長さ寸法(L)は大るものを必要としていた。」(第1頁第14行-第3頁第5行)
(2)「(11)は筒状ケースで、直管部(12)の先端を少許屈曲せしめて屈曲部(13)を形成し、その先端部に温風吹出口(14)を形成し、又該筒状ケース(11)の他端に空気吸込口(15)を形成している。(16)は前記筒状ケース(11)の直管部(12)内に配置せしめ前記空気吸込口(15)から外気を吸引し前記温風吹出口(14)側へ送風せしめる送風フアンである。(17)は前記直管部(12)から前記屈曲部(13)に沿つて配置せる発熱ヒーターで巻枠部材(18)にニクロム線(19)を巻回せしめて構成したものである。前記巻枠部材(18)はマイカー板材を打抜き加工により得た平面路へ字状にした屈曲巻枠基板(20)と短冊基板(21)とを組合せて成り前記屈曲巻枠基板(20)に対して短冊基板(21)を断面十字型となるよう交差結合せしめたものである。そして該巻枠部材(18)の各端面に跨がつて前記ニクロム線(19)を巻回せしめて完成している。
上述の如く本案ヘアードライヤーは筒状ケースの一端に屈曲部を形成し、該屈曲部先端を温風吹出口ならしめ、且つ前記筒状ケース内の前記温風吹出口側に発熱ヒーターを位置せしめ、その後方に送風フアンを内蔵せしめたヘアードライヤーにおいて、前記発熱ヒーターのニクロム線を巻回せる巻枠部材を前記筒状ケースの屈曲部に沿つた屈曲巻枠基板とし、該発熱ヒーターを前記屈曲部内に位置せしめたものであるから従来の如く屈曲部内に無駄な空間部は形成されず筒状ケースの全体長さ寸法は従来のものより小となり極めて小型化ならしめることができる。又屈曲部内における巻枠部材により送風フアンからの風を整流する作用をなし、温風吹出口からは所望する方向に整流された温風が確実に吐出されるものである。」(第3頁第7行-第4頁第17行)
(3)「
[図:0001390180000001.jpg]
」(第1図)
(4)「
[図:0001390180000002.jpg]
」(第2図)
(5)「
[図:0001390180000003.jpg]
」(第3図)

(6)前記(2)によると、筒状ケース11の先端部に温風吹出口14を形成し、又該筒状ケース11の他端に空気吸込口15を形成し、送風フアン16により空気を空気吸込口15から温風吹出口14側へ送風するのであるから、空気吸込口15と温風吹出口14との間に延びる空気流路を備え、また、筒状ケース11は空気流路を取り囲むといえる。また、筒状ケース11内に発熱ヒーター17を位置せしめるものであるから、空気流路内に発熱ヒーター17が配置されているといえる。

(7)前記(4)、(5)から、平面状の短冊基板21が屈曲部13に沿って2つ配置されていることが看取される。

2 引用発明

前記1(1)-(7)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「筒状ケース11と、空気吸込口15と温風吹出口14との間に延びる空気流路と、前記空気流路内に配置され、屈曲部13に沿った平面路へ字状の屈曲巻枠基板20と前記屈曲部13に沿って2つ配置された平面状の短冊基板21とを組合せて成る巻枠部材18にニクロム線19を巻回せしめて構成した発熱ヒーター17とを備えた手持ち式ヘアードライヤーであって、前記筒状ケース11は、前記発熱ヒーター17を前記筒状ケース11の前記屈曲部13内に位置せしめ前記空気流路を取り囲み前記屈曲部13が形成された前記筒状ケース11である、
ヘアードライヤー。」

3 引用文献2の記載

(1)「この考案は、熱風吹出し式ヘヤドライヤーに使用するヒータ構造に関する。
従来のこの種ヒータの構造は、適宜絶縁支持部材の外側に線状或は帯状の発熱体をコイル状又は波状に巻付ける構造なるため、必然的に発熱体が支持部材の外方に突出状に露出し、従つてヒータをドライヤー本体の筒状部内に挿入した場合、発熱体が筒状部内壁に接しては危険なるため発熱体の外側と筒状部内壁との間に遮熱板を確実に囲繞介在してやらねばならず、この作業は極めて煩雑で組立作業性を悪くしている大きな原因となつている。
一方、この種ヘヤドライヤーではフアンモータに適正な電圧を供給するための抵抗体(巻線抵抗)が接続されるが、この抵抗体の形が大きいため風の吹出し抵抗となる不都合がある。
そこで、この考案では内部に発熱体を埋着したセラミツクヒータを用いることによつて遮熱板を介さなくとも本体筒状部内に安全に挿入させ、もつて組立作業性の能率を上げ、且セラミツクを使用するが故についでにこのセラミツク内部に上記抵抗をも埋着させ、もつて風の吹出しの抵抗要因を一掃しようとするものである。」(第1頁第11行-第3頁第3行)
(2)「(1)は板状のセラミツクヒータで、このヒータは2層のアルミナセラミツクシートの間に発熱体(2)(抵抗膜)を高ワツト密度を有するように波形状パターンにて配列して封入焼付けしたものによつて構成され、そしてセラミツク内部には同じく抵抗体(3)(膜)が埋入焼付けされている。
上記セラミツクヒータ(1)には風吹出し方向と平行の薄金属板製放熱フイン(4)が表裏に沿接されると共にビス(5)、ナツト(6)にて固定されている。
放熱フイン(4)の外縁は第2図(「第」の文字は異字体。以下、同様。)のようにドライヤ本体を構成する筒状部(a)の断面形状に適合する形状が選ばれ、各フインの先端が筒状部(a)の内壁に当接するようになつている。尚第3図はドライヤ本体の概略回路図で、この図で(T)はサーモスタツト、(S)はスイツチ、(M)はフアンモータである。」(第3頁第5行-第4頁第4行)
(3)「上述のように本考案によれば、ドライヤ本体に挿入されるヒータを内部に発熱体を埋着したセラミツクヒータにて構成するので、発熱体が外部に露出せず、従つてこのセラミツクヒータをドライヤ本体の筒状部内に挿入した際発熱体が筒状部に触れるようなことが全くなくなり、従つて従来のように遮熱板を介してヒータを筒状部に挿入する煩雑な手間を完全に省くことができる。
又このセラミツクヒータに風吹出し方向と平行の放熱フインを設けているので、熱風をよく分散放出することができる。
更に又、セラミツク部分にフアンモータ用の抵抗体をも一緒に埋着させたのでドライヤ本体の内部には風の抵抗となるものがなくなり、吹出し効果を一層よくすることができるもので実用上秀れた効果を有するものである。」(第5頁第4行-第6頁第4行)
(4)「
[図:0001390180000004.jpg]
」(第1図)
(5)「
[図:0001390180000005.jpg]
」(第2図)
(6)「
[図:0001390180000006.jpg]
」(第6図)

(7)前記(4)-(6)から、セラミツクヒータ1は、平面状であることが看取される。

4 引用文献2に記載された事項

前記3(1)-(7)から、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。

「ヘヤドライヤーにおいて、絶縁支持部材の外側に線状或は帯状の発熱体をコイル状又は波状に巻付ける構造のヒータに代えて、平面状のセラミツクヒータを用いる技術。」

第5 対比

本願発明と引用発明とをその機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、引用発明における「筒状ケース11」は本願発明における「ハウジング」に相当し、以下同様に、「空気吸込口15」は「流体入口」に、「温風吹出口14」は「流体出口」に、「空気流路」は「流体流路」に、「前記空気流路内に配置され」との事項は「該流体流路内の」との事項に、それぞれ相当する。

引用発明における「屈曲部13に沿った平面路へ字状の屈曲巻枠基板20と前記屈曲部13に沿って2つ配置された平面状の短冊基板21とを組合せて成る巻枠部材18にニクロム線19を巻回せしめて構成した発熱ヒーター17」と、本願発明における「セラミックヒータ」とは、「ヒータ」の限りで一致する。

引用発明における「手持ち式」は本願発明における「手持型」に相当し、以下同様に、「ヘアードライヤー」は「機器」に、「前記発熱ヒーター17を前記筒状ケース11の前記屈曲部13内に位置せしめ」との事項は「前記ヒータを収容して」との事項に、「取り囲み」との事項は「取り囲む」との事項に、「前記屈曲部13が形成された」との事項は「湾曲した」との事項に、それぞれ相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、

「ハウジングと、流体入口と流体出口との間に延びる流体流路と、該流体流路内のヒータとを備えた手持型機器であって、前記ハウジングは、前記ヒータを収容して前記流体流路を取り囲む湾曲したハウジングである、
機器。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>

ヒータに関して、本願発明は、「セラミック」ヒータであるのに対し、引用発明は、屈曲部13に沿った平面路へ字状の屈曲巻枠基板20と前記屈曲部13に沿って2つ配置された平面状の短冊基板21とを組合せて成る巻枠部材18にニクロム線19を巻回せしめて構成した発熱ヒーター17である点。

第6 判断

1 相違点1について

引用発明における「屈曲部13に沿った平面路へ字状の屈曲巻枠基板20と前記屈曲部13に沿って2つ配置された平面状の短冊基板21とを組合せて成る巻枠部材18にニクロム線19を巻回せしめて構成した発熱ヒーター17」と引用文献2に記載された事項における「セラミツクヒータ」とは、ヘアドライヤーにおいて、空気を加熱する点で共通の作用機能を有している。

また、ヘアドライヤーにおいて、遠赤外線を放射するセラミックヒータを用いることにより、熱効率をよくして髪の乾燥を促進したり、温風の温度ムラを少なくし乾燥時間を短縮できることは、当業者にとって技術常識である(必要に応じて、実願昭61-32656号(実開昭62-143410号)のマイクロフィルムの第3頁第10行-第4頁第14行、特開平5-168518号公報の【0001】、【0003】、【0005】、及び、実願昭61-60369号(実開昭62-175705号)のマイクロフィルムの第3頁第2行-第5頁第11行を参照。)。

そして、引用発明もヘアドライヤーである以上、熱効率向上や温度ムラ抑制によって髪の乾燥を促進することは自明の課題であるから、引用発明における「屈曲部13に沿った平面路へ字状の屈曲巻枠基板20と前記屈曲部13に沿って2つ配置された平面状の短冊基板21とを組合せて成る巻枠部材18にニクロム線19を巻回せしめて構成した発熱ヒーター17」に代えて、引用文献2に記載された事項における「セラミツクヒータ」を用いることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、引用発明において、引用文献2に記載された事項における「セラミツクヒータ」を用いるにあたり、引用発明における「発熱ヒーター17」の形状・構造に倣い、セラミックヒータの形状・構造を適宜変更することで、セラミックヒータを「前記筒状ケース11の前記屈曲部13内に位置せしめ」ることは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。

2 効果について

本願の発明の詳細な説明には、「管状ハウジングに直交するハンドルをハウジング上に保持し又は設け」(【0002】参照。)ると、「機器が大型になり、或いは長く及び/ 又は重くなることによって使いにくくなる」(【0003】参照。)という問題の解決策として、「長さを縮めて体積の一部を除去することができるという理由で湾曲構造を設けることである。」(【0003】参照。)と記載されている。さらに、「これには、曲線部において流体が乱流化し、結果として圧力損失及びノイズの発生を招き得るという問題がある」(【0003】参照。)ため、「湾曲したヘアドライヤの使用と湾曲したセラミックヒータの使用とを組み合わせて、ヒータの特徴を利用して曲線部を流れる流体の転向及び誘導を行うと同時にこの流体を加熱できるようにし」(【0003】参照。)、「これによって設計が小型化、静音化されるとともに、機器の出口から流れる流体が流体入口の位置にかかわらずあらゆる便利な角度で排出されるように画策することができる」(【0003】参照。)ことが記載されている。

ここで、本願発明(本願の請求項19に係る発明)は、「湾曲したハウジング」であることは特定されているが、ヒータが湾曲していることまでは特定されていないため、本願発明の効果は、ハウジングに湾曲構造を設けることで「機器が大型になり、或いは長く及び/ 又は重くなることによって使いにくくなる」という課題を解決して、小型化という効果を奏するに留まる。

そして、引用発明は、湾曲したハウジング(前記屈曲部13が形成された前記筒状ケース11)という、本願と同等の構成を備えているから、管状ハウジングに直交するハンドルをハウジング上に保持し又は設けたタイプのドライヤに比べて小型化されていることは明らかである。なお、引用文献1には、発熱ヒーターを筒状ケースの屈曲部内に位置せしめたことにより、筒状ケースの全体長さ寸法を従来のものより小型化ならしめることが記載されているが、引用発明において、発熱ヒーターとして引用文献2に記載された事項における「セラミツクヒータ」を用いたとしても、屈曲部13が形成された筒状ケース11により「小型化」という効果を奏することに変わりはないから、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知の事項から、当業者が予測できる範囲のものである。

3 請求人の主張について

審判請求人は、令和3年7月15日に提出された審判請求書の「【請求の理由】2(2)(3)」において、「審査官は、上記拒絶査定において、『出願人は意見書において『引用文献1におけるように、巻枠部材およびニクロム線加熱素子の巻きの方向を単純に変えることによっては、非線形形態を創出することができない。したがって、当業者は、引用文献1に記載された発明に引用文献2に記載された発明を単純に適用して、本願発明にあるような非線形のセラミックヒータに改変することはできないであろう(阻害事由の存在)』と主張している。しかしながら、上記拒絶理由通知書で引用された引用文献1に記載された発明では、上記拒絶理由通知で引用された引用文献1に記載された発明では、非線形的な流路に沿って、ヒータが全体的な形状として非線形的である(図2-3)からセラミックヒータに設計変更する際にも全体的な形状として非線形的なものとする特段の事情は見受けられない。よって、出願人の上記主張は採用できない。』との見解を述べられている。しかしながら、この審査官の見解、とりわけ『セラミックヒータに設計変更する際にも全体的な形状として非線形的なものとする特段の事情は見受けられない。』との見解には、首肯し得ない(当審注:当該記載中の「非線形的なものとする特段の事情は見受けられない」は、「非線形的なものとすることを阻害する特段の事情は見受けられない」を意味するものと考えられる。)」と主張し、また、「実際、本願以前には、湾曲したヘアドライヤの使用と組み合わされた湾曲したセラミックヒータの使用を開示ないし示唆する従来技術は存在しない。したがって、本願の独立請求項1に係る発明は、上記引用文献1-2に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できたものではなく、特許性を十分具備するものである。以上のことは、本願の独立請求項19、20に係る発明についても当てはまり、本願の独立請求項19、20に係る発明もまた、特許性を十分具備するものである。」と主張する。

しかしながら、本願発明(本願の請求項19に係る発明)では、「湾曲したハウジング」であることは特定されているものの、「セラミックヒータ」の形状については何ら特定されていないから、本願発明のセラミックヒータが湾曲していることを前提とした審判請求人の上記主張は、本願発明の発明特定事項に基づくものとはいえず、本願発明は、湾曲した形状のセラミックヒータに限らず様々な形状のもの、例えば、セラミックヒータが屈曲した形状のものなども含むものである。

そして、審判請求人の主張が、湾曲したハウジングに収容されたヒータは当然湾曲しているはずであるという主張であるとしても、引用発明では、「前記発熱ヒーター17を前記筒状ケース11の前記屈曲部13内に位置せしめ」るために、「発熱ヒーター17」の「巻枠部材18」の形状・構造を「屈曲部13に沿った平面路へ字状の屈曲巻枠基板20と前記屈曲部13に沿って2つ配置された平面状の短冊基板21とを組合せて成る」ものとしている。すなわち、引用発明の発熱ヒーター17は、屈曲した流路に沿って平面のまま途中で折れ曲がった形状となっているが、審判請求人が主張するような、湾曲した曲面形状となっているわけではない。また、引用文献2に記載された事項における「セラミツクヒータ」は、引用発明の「平面路へ字状の屈曲巻枠基板20」や「平面状の短冊基板21」と同様に平面状に形成されているから、引用発明の「発熱ヒーター17」に代えて、引用文献2に記載された事項における「セラミツクヒータ」を用いるにあたり、引用発明における「平面路へ字状の屈曲巻枠基板20」又は「平面状の短冊基板21」の形状・構造に倣い、セラミックヒータを屈曲部13に沿った平面路へ字状の形状とする、又は、屈曲部13に沿って平面状のまま2つ配置することなどにより、セラミックヒータを「前記筒状ケース11の前記屈曲部13内に位置せしめ」ることは当業者であれば考慮すべきことである。してみれば、セラミックヒータを湾曲させるまでもなく、平面状のまま用いるものであるから、引用発明の「発熱ヒーター17」に代えて、引用文献2に記載された事項における「セラミツクヒータ」を用いることを阻害する特段の事由はない。

よって、湾曲したセラミックヒータの使用を開示ないし示唆する従来技術は存在しないから、引用発明において、引用文献2に記載された事項における「セラミツクヒータ」を用いることには阻害事由が存在するとの審判請求人の主張を採用することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-009425

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