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意匠拒絶査定不服審判

2021-008105

モータースクーター

審判番号
2021-008105
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2020-015974外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1704996
請求日
2021年06月21日
審決日
2021年11月29日
公報発行日
2022年01月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (G2-3)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2020- 15974「モータースクーター」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 7項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和2年7月31日に出願された意匠登録出願であって、同年11月17日付の拒絶理由の通知に対し、令和3年1月6日に意見書が提出されたが、同年3月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願の意匠

本願の意匠は、意匠に係る物品を「モータースクーター」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

そして、その引用意匠は、特許庁発行の意匠公報記載、意匠登録第1649428号 (意匠に係る物品、モータースクーター)の意匠としたものである(別紙第2参照)。

第4 当審の判断

以下において、本願意匠の意匠法第3条第1項第3号の該当性、すなわち、本願意匠が引用意匠に類似する意匠であるか否かについて検討し、判断する。

1 対比

(1)意匠に係る物品の対比

本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「モータースクーター」であり、共通する。

(2)両意匠の形状等の対比

両意匠の形状等を対比すると、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。

ア 共通点

(ア)主な外装の構成

(a)主な外装の構成を、ハンドルカバー部、フロントカバー部、フロアステップ部、及びリアカバー部とする点。

(b)ハンドルカバー部は、ハンドルカバー、ポジショニングランプ、及びメーターカバーによる構成とする点。

(c)フロントカバー部は、フロントトップカバー、ヘッドライト、ウィンカー、及び脚部の風よけを兼ねるフロントサイドカバーによる構成とする点。

(d)フロアステップ部は、足を載せるフロアステップと側面を覆うフロアステップサイドカバーによる構成とする点。

(e)リアカバー部は、リアカバー、リアカバー上面のシート、後端部上面のグラブレール、一段下のテールランプ、その下の後輪用の泥よけ(リアフェンダー)による構成とする点。

(イ)各部の形状

(a)ハンドルカバー部

(a-1)モータースクーターの前方側に該当する右側面図の方向から見て(右側面視)、左右に張り出したハンドルカバーは、左右の上端部から前方中央へ向かって、上に向く面と側面との稜線が扁平略V字状に表れる態様とする点。

(a-2)中央先端部に配されたポジショニングランプは、扁平逆台形状とする点。

(a-3)ポジショニングランプの上方に配されたメーターカバーは、その先端部に細いガーニッシュ(以下「メーターカバーガーニッシュ」という。)を備えている点。

(b)フロントカバー部

(b-1)フロントトップカバーは、前方側を先細りとし、後方側(ハンドル寄り)を左右に突き出した態様とするもので、右側面視において中央縦方向に僅かな凸弧状の盛り上がり部(以下「中央盛り上がり部」という。)を有し、前方側先端部に略U字状のガーニッシュ(以下「フロントカバーガーニッシュ」という。)を備えている点。

(b-2)ウィンカーは、フロントトップカバーの左右に配される左右対称の略逆「ハ」の字状とするもので、後方側から、内側(中央側)へ扁平台形状の突出部を有し、そこから前方側に向かって先端が尖った先細り状とする点。

(b-3)右側面視中央、フロントトップカバーの下に配されたヘッドライトは、扁平略M字状とする点。

(b-4)フロントサイドカバーは、正面図の方向から見て(正面視)縦長の略三角形状とするもので、ウィンカーと接する辺及び前輪の後ろに相当する辺のやや内側に、シート側の辺を共通とする縦長略三角形にえぐれた凹面(以下「えぐれ面」という。)を有する点。

(c)フロアステップ部

(c-1)フロアステップは、左右の足載せ部がフラットに繋がった構成とする点。

(c-2)フロアステップサイドカバーは、前方側をフロントサイドカバーとの接合部、後方側をリアカバーとの接合部とし、正面視、後方側へ向かってやや末広がり状に、僅かに斜め上に伸びる態様とする点。

(d)リアカバー部

(d-1)リアカバーは、正面視、後方側へ向かって先細り状に斜め上に延伸し、後端部は、グラブレール部との間に僅かな隙間を有するもので、上辺をゆるやかな凸弧状としつつ、後方側から約5/6近辺で曲率を高め、急激に下方に向けて曲がった態様とする点。また、側面視、翼の断面形状のように外側に膨らんだ形状とするもので、正面視においては、上辺のやや下に、上辺の形状に沿ったキャラクターラインを有する点。

(d-2)シートは、正面視、フロントカバー部からリアカバー部までの長さ(以下、「全長」という。)の約半分の長さとするもので、後ろから全長の約1/5の長さまでを略水平とし、そこから下降斜面を経て、再度略水平とし、先端部を下降斜面とする構成とし、後ろ側の斜面の長さは先端部の斜面の長さの約1/3とする点。

(d-3)テールランプは、薄い略六角形状の下辺を中央へ向かって山状に押し上げた態様とする点。

(d-4)リアフェンダーは、正面視、リアカバーの後端やや内側から、略水平の突出部と、その先端寄りから同約60度の角度で下方に伸び、先端部を僅かに後方側へ跳ねさせ、後輪の中心軸の高さ近くまでとする構成としている点。また、左側面視、先端に向かって先細りとなっている点。

(ウ)明暗調子

主にハンドルカバー、フロントトップカバー、フロントサイドカバー、フロアステップサイドカバー、リアカバーを明調子とし、シート、フロアステップ等を暗調子による構成とする点。

イ 相違点

(ア)ハンドルカバー部

本願意匠は、扁平逆台形状のポジショニングランプの上辺左右端部から、ポジショニングランプの高さ幅と略同幅とする暗調子のパネル(以下「ハンドルカバー暗調子パネル」という。)がポジショニングランプの左右辺と同角度で全体を明調子とするメーターカバー左右に配され、メーターカバーの前方側先端部に略U字状とするメーターカバーガーニッシュを、ポジショニングランプと左右のハンドルカバー暗調子パネルの一部に挟み込むように設けた態様とするのに対し、引用意匠は、扁平逆台形状のポジショニングランプの左右辺と同角度で全体を暗調子とするメーターカバーにつながり、メーターカバーとの間に、右側面視、扁平M字状のメーターカバーガーニッシュを設けた態様とする点。

(イ)フロントカバー部

(イ-1)右側面視における態様

(a)本願意匠は、フロントトップカバーの右側面視における上辺を、中央に凸弧状、その左右に凹弧状とし、中央の凸弧状の左右の中腹から下方に向けて狭V字状のキャラクターラインを、中央盛り上がり部の奥側から左右対称に設け、前方側となる先端部には、略U字状のフロントカバーガーニッシュを備えているのに対し、引用意匠は、フロントトップカバーの同上辺を、中央に凸弧状、その左右を略水平状とし、中央の凸弧状の上辺を底辺とする略逆台形状の暗調子のカバーを、中央盛り上がり部の奥側に配し、ハンドルカバーにおける暗調子のメーターカバー、その先端部の扁平台形状のポジショニングランプと連続するように設け、その左右に狭いV字状のキャラクターラインは有しないが、暗調子のカバーは、明調子の枠で囲まれた態様としている点。

(b)本願意匠のフロントカバーガーニッシュの上端部は、ウィンカーの扁平台形状突出部にはまり込む態様としているのに対し、引用意匠のウィンカーの扁平台形状突出部にはまり込むのは、ガーニッシュではなく、フロントトップカバーとする点。

(c)本願意匠は、ウィンカーとヘッドライト、フロントサイドカバーとフロントカバーガーニッシュに囲まれた部分に、逆ハ字状の暗調子パネルを左右対称に配した態様とするのに対し、引用意匠は、ウィンカーとヘッドライト、フロントサイドカバーとフロントトップカバーの前方側に、本願意匠よりも幅広とする略U字状のフロントカバーガーニッシュを備え、逆ハ字状の暗調子パネルは配されていない点。

(イ-2)フロントサイドカバーの態様

本願意匠のフロントサイドカバーは、正面視における横幅:高さを約4:10とするのに対し、引用意匠は、同約3:10とするもので、本願意匠の方が肉厚感が強く、引用意匠は薄く軽快な印象を与えている点。

(ウ)フロアステップ部及びリアカバー部の態様

(ウ-1)本願意匠は、フロアステップのシート側の垂直面(暗調子)が、正面視では、リアカバーの前方側端部に高さのある略平行四辺形状の凹部として表れているのに対し、引用意匠は、シート側垂直面(暗調子)は、リアカバーの前方側端部に薄い縦長の三角形状に表れ、加えて上を向いている暗調子の足載せ部の面が、平面視において細い横長三角形状に表れ、正面視においても後方へ向かって斜め上に延伸した細い横長三角形状に表れ、リアカバーにおける正面視前方側端部に縦長の三角形に加え、その下に斜め後ろ方向に延伸する横長三角形の凹部を有する態様としている点。

(ウ-2)本願意匠のリアカバーは、正面視、共通点(d-1)に示す上辺の形状に沿ったキャラクターライン(以下「上辺側キャラクターライン」という。)に繋がるキャラクターラインは存在しないが、引用意匠のリアカバーは、上辺側キャラクターラインの前方側の先端から後方斜め上に折り返す短いキャラクターラインがあり、折り返しのキャラクターラインに囲まれた部分がわずかに凹んだ態様としている点。

(ウ-3)テールランプの態様

本願意匠は、テールランプを、すべて暗調子としているのに対し、引用意匠は、横長長方形状の中央部のみを暗調子とし、その両端は明調子とする点。

2 類否判断

(1)両意匠の意匠に係る物品の類否判断

両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両意匠の形状等の類否判断

ア 共通点及び相違点の評価

両意匠は、モータースクーターに係るもので、需要者は、購入者であり、斜め前方、斜め後方から見た各外装の態様、とりわけフロント周りの態様等について注視するものということができる。

A 共通点の評価

(A)主な外装の構成における共通点(ア)(a)ないし(e)は、当該物品分野において、通常見られる構成であり、両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

(B)各部の形状におけるハンドルカバー部の共通点(a)のうち、共通点(a-1)は、下記参考意匠1に見られるように、両意匠独自の態様ではなく、類否判断に及ぼす影響は小さい。共通点(a-2)は、この点だけをみれば、発光部でもあり、需要者が注視する点ではあるが、ハンドルカバー部は、ポジショニングランプ単体で創作されたものではなく、相違点(ア)を考慮すれば、相違点の中に埋没する程度のものにすぎない。また、メーターカバーガーニッシュにおける共通点(a-3)も、パネルの外周に沿ってガーニッシュを配すること自体は、当該物品分野においてよく見られる態様であり、ハンドルカバー部における全体の相違点(ア)の中にあっては、この共通点も、埋没する程度の部分的なものにすぎず、これら共通点(a-2)及び共通点(a-3)が類否判断に及ぼす影響は小さい。

(C)フロントカバー部

(C-1)フロントカバー部における共通点(b)のうち、フロントトップカバーの態様及びその左右に配されたウィンカーの態様における共通点(b-1)及び(b-2)といった、フロントカバー部における右側面視の上面に相当する部分は、フロントカバーガーニッシュと合わせ、一体となって創作されたもので、これらを一体として見た場合、相違点(イ-1)(a)ないし(c)を考慮すれば、いずれの共通点も相違点の中に埋没する程度のものにすぎず、類否判断に及ぼす影響は小さい。

(C-2)ヘッドライトにおける共通点(b-3)は、ヘッドライト自体は、発光部であり、需要者が着目する部分ということができるが、両意匠のヘッドライトは、共にフロントトップカバーと左右のフロントサイドカバーに囲まれた、やや下向きの面の中に配されたもので、フロントトップカバーやウィンカー等の上向きの面によるものと比べて、全体の中で目立たない部分であり、また、同様の面構成自体は参考意匠1や下記参考意匠2にも見られることから、この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は、限定的なものにすぎない。

(C-3)フロントサイドカバーにおける共通点(b-4)も、明暗調子の態様は異なるものの、参考意匠1及び参考意匠2に縦長の略三角形状とする点や、「えぐれ面」が表れており、この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

(D)フロアステップ部における共通点(c)は、共通点(c-1)及び(c-2)のいずれも、当該種物品分野において従来からよく見られる態様にすぎず、類否判断に及ぼす影響は小さい。

(E)リアカバー部

(E-1)リアカバー部における共通点(d)のうち、リアカバーのキャラクターラインにおける共通点(d-1)は、同様な態様が参考意匠1に見られ、また、シートにおける共通点(d-2)及びリアフェンダーにおける共通点(d-3)のいずれも同様の態様が参考意匠1や参考意匠2にも見られるように、両意匠独自の態様とはいえず、類否判断に及ぼす影響は小さい。

(E-2)テールランプにおける共通点(d-3)は、意匠全体の中にあってはごく小さな部分にすぎず、類否判断に及ぼす影響は、限定的なものにすぎない。

(F)明暗調子における共通点(ウ)は、当該物品分野においてよく見られる態様にすぎず、類否判断に及ぼす影響は小さい。

参考意匠1(別紙第3参照)

特許庁発行の意匠公報記載

意匠登録第1569843号「モータースクーター」の意匠

参考意匠2(別紙第4参照)

特許庁発行の意匠公報記載

意匠登録第1450749号「モータースクーター」の意匠

B 相違点の評価

(A)ハンドルカバー部における相違点(ア)は、需要者が注視する部分でもあり、類否判断に及ぼす影響は大きい。

(B)フロントカバー部

(B-1)フロントカバー部における右側面視の態様は、ウィンカーの形状における共通点(b-2)のように、一部に共通点はあるものの、フロントカバー部における右側面視の上面に相当する部分は、フロントカバーガーニッシュと合わせ、一体となって創作されたもので、これらを一体として見た場合、相違点(イ-1)(a)に示す、引用意匠のハンドルカバーにおける暗調子のメーターカバーと連続した態様とした点、及び、同(b)及び(c)に示す、フロントトップカバーとウィンカー、フロントカバーガーニッシュの態様における相違点は、需要者に両意匠に異なる印象を与えるものであり、類否判断に大きな影響を及ぼす。

(B-2)フロントサイドカバーの態様における相違点(イ-2)は、確かに肉厚感の印象に影響を及ぼすが、それほど大きなものでもなく、意匠全体の中にあっては、部分的なものすぎず、類否判断に及ぼす影響は限定的である。

(C)フロアステップ部及びリアカバー部の態様

(C-1)相違点(ウ-1)は、リアカバーの前方側の形状等の相違としてあらわれてくることから、類否判断に一定の影響を及ぼす。

(C-2)相違点(ウ-2)は、引用意匠が上辺側キャラクターラインの前方側に変化を有するものではあるが、意匠全体の中では部分的なものにすぎず、また、上辺側キャラクターライン自体の共通点(d-1)を考慮すれば、類否判断に及ぼす影響は限定的なものにすぎない。

(C-3)テールランプの態様における相違点(ウ-3)は、意匠全体の中にあってはごく小さな部分にすぎず、類否判断に及ぼす影響は、限定的なものにすぎない。

イ 総合評価に基づく両意匠の形状等の類否判断

両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、両意匠全体を総合的に観察し、判断する。

前記ア「B」に説示したとおり、リアカバーのキャラクターライン前方側の態様における相違点(ウ-2)のように、一部に類否判断に及ぼす影響が限定的なものにすぎないものもあるが、ハンドルカバー部における相違点(ア)及びフロントカバー部における相違点(イ-1)(a)ないし(c)は、いずれも類否判断に及ぼす影響が大きく、リアカバー前方側の形状等における相違点(ウ-1)は、一定の影響を及ぼすものである。

これに対し、共通点は、前記ア「A」に説示したとおり、いずれも類否判断に及ぼす影響が小さい、あるいは限定的なものにすぎないものである。

これら評価を総合すると、両意匠の形状等は、相違点が共通点を凌駕するものであり、類似しない。

ウ 小括

両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠の形状等は類似しない。

よって、両意匠は類似しない。

第5 むすび

以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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