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特許拒絶査定不服審判

2021-008078

水処理用添加剤および水処理システム

審判番号
2021-008078
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-003335
請求日
2021年06月21日
審決日
2022年12月20日
公報発行日
2023年03月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社クリーン・アース・バイオ
  • 【請求人代理人】下田 正寛
  • 【請求人代理人】安倍 逸郎
審判長/審判官
  • 審判長 日比野 隆治
  • 審判官 宮澤 尚之
  • 審判官 金 公彦
分類
P18 .121-Z (C02F) / P18 .575-Z (C02F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法49条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 3335「水処理用添加剤および水処理システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月 2日出願公開、特開2021-109154〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 請求人は、名称を「水処理用添加剤および水処理システム」とする発明について、令和2年1月14日に特許出願(特願2020-3335号、請求項数3。以下、「本願」という。)をし、令和2年9月30日付けで拒絶理由通知を受けたが、その指定期間内に応答をしなかったため、令和3年3月18日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)を受けた(原査定の謄本の送達日は、同年同月22日)。 そこで、請求人は、令和3年6月21日に本件拒絶査定不服審判の請求をし、同日付けで、願書に添付した特許請求の範囲及び明細書について手続補正(以下、「本件補正」という。)をした。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 1 結論 本件補正を却下する。 2 理由 (1) 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含むものであって、本件補正前後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 ア 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正前、すなわち、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 間欠曝気槽を有する水処理システムにおいて、この間欠曝気槽に投入し下水の有機汚濁物質、懸濁物質、浮遊物質を分解消滅させる水処理用添加剤であって、 酸素非発生型光合成微生物と、好気性内生胞子形成菌と、セラチア属細菌と、放線菌と、有した微生物複合体からなる水処理用添加剤。」 イ 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載 前記アの本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件補正により、次のとおりに補正された(下線部は補正箇所)。 「【請求項1】 間欠曝気槽を有する水処理システムにおいて、この間欠曝気槽に投入し下水の有機汚濁物質、懸濁物質、浮遊物質を分解消滅させる水処理用添加剤であって、 紅色硫黄微生物を除く酸素非発生型光合成微生物と、好気性内生胞子形成菌と、セラチア属細菌と、放線菌と、を有した微生物複合体からなる水処理用添加剤。」 (2) 本件補正の目的要件について 本件補正に係る特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「酸素非発生型光合成微生物」を、「紅色硫黄微生物」を除いた「酸素非発生型光合成微生物」に限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (3) 本件補正の独立特許要件について 前記(2)のとおり、本件補正に係る請求項1の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、当該補正が適法にされたものであるというためには、さらに、同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定(独立特許要件)に適合することが必要である。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討するに、当審は、本件補正発明は特許法第29条第2項所定の規定に違反するもの(進歩性が欠如するもの)、具体的には、後記引用文献1に記載された発明及び後記引用文献1~3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許を受けることができないものである、と判断する。 以下、その理由について詳述する。 ア 各引用文献とその記載事項 (ア) 引用文献1(特開2000-107782号公報)の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1は、「特開2000-107782号公報」である。そして、この刊行物には、「微生物担持装置および水浄化装置」(発明の名称)に関する、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した(以下、同様である。)。 a 「【請求項1】 全体の形状がほぼ球状であって、中空の収納空間を有し、この収納空間と外部とを連通する複数の透孔が形成される球殻と、 球殻に設けられ、球殻の回転を促進するための偏平な作動片と、 球殻の前記収納空間内に収納され、前記透孔から抜け出てしまわない形状を有し、微生物を付着担持する多孔質の材料から成る担体とを含み、 水にほぼ浮かぶことを特徴とする微生物担持装置。 ・・・ 【請求項6】 微生物は、好気性および嫌気性の複数種類の微生物を含み、これらの微生物のうちの少なくとも1つは、光合成を行うことを特徴とする請求項1~5のうちの1つに記載の微生物担持装置。 【請求項7】 浄化されるべき排水が供給され、排水中の少なくとも沈殿性物質を除去する第1処理槽と、 第1処理槽からの分離液が供給される第2処理槽であって、下部には、空気を噴出するノズルが配置され、内部に請求項1~6のうちの1つに記載される微生物担持装置が収納される第2処理槽と、 ノズルに空気を圧送する空気供給源とを含むことを特徴とする水浄化装置。 ・・・ 【請求項10】 空気供給源は、空気を間欠的に圧送することを特徴とする請求項7~9のうちの1つに記載の水浄化装置。」 b 「【0010】この微生物は、排水に含まれる有機物を分解する。微生物は、たとえば好気性微生物であって、排水中の腐敗性有機物を充分な溶存酸素の存在のもとで、生物化学的に酸化分解して、炭酸ガスと水にする。こうして担体の表面に生成固着した生物膜によって、排水が好気的な状態で浄化される。微生物はまた、嫌気性微生物であってもよく、排水中の有機物の分子内酸素を分解の過程でとって生きてゆき、これによって有機物は腐敗して消化され、有機酸に分解され、さらにメタン、炭酸ガス、硫化水素、アンモニアなどに分解される。本発明によれば、担体に担持される微生物は、たとえば10属80種以上の微生物を複合培養した微生物群であることが好ましく、このような微生物群を、EMと略称することがある。EMは、好気性光合成微生物と嫌気性光合成微生物とを含み、好気性であるアゾトバクタと、好気性であるVA菌根菌と、好気性である放射菌と、嫌気性である乳酸菌と、好気性である酵母菌などとを含み、これらの微生物は、光合成を行うものを含む。」 c 「【0047】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の水浄化装置1の全体の構成を示す断面図である。水洗便所からの汚水および台所、浴室、洗面所などからの雑排水などを含む排水は、流入管2から沈殿分離槽3に流入される。沈殿分離槽3で排水中の少なくとも沈殿性物質が除去されて固液分離される。この分離液は、移流管4を経て溢流してもう1つの沈殿分離槽5に導かれる。沈殿分離槽5からの分離液は、移流管6に導かれて処理槽7に流入される。沈殿分離槽3,5は、第1処理槽を構成し、処理槽7は、第2処理槽を構成する。処理槽7からの浄化された水は、沈殿板8が設けられた沈殿槽9から流出管10を経て排出される。 【0048】処理槽7の底付近である下部には、ノズル11が配置される。ノズル11には、ブロア12から空気が圧送される。制御回路13は、ブロア12の運転をオン/オフ制御してたとえば間欠運転を行う。ノズル11は、処理槽7の水面よりも下方に設けられていればよい。 【0049】処理槽7には、水面14よりも下方に、上下に間隔をあけて網15,16が配置される。これらの網15,16は、処理槽7を規定する側壁に固定される。上下の網15,16間の空間には、本発明に従う複数の微生物担持装置17が投入されて浸漬される。網15,16は、植物繊維または化学繊維などから成る網であってもよく、または金網などであってもよく、そのほかの網であってもよく、さらに金属などの板状体に多数の透孔が形成された部材を用いてもよい。」 d 「【0060】図11は、本発明に従って好適に用いることができる前述のEMと称する微生物群の特性を説明するための図である。この微生物群EMは、好気性微生物群EM1、たとえば Azotobacter SP(アゾトバクタ)または Erythrobacterlongusもしくは Thiobacillus thiooxidansと、嫌気性微生物群EM2、たとえばClostridium(紡錘状菌)またはDesulfouibriovulgarisもしくはHeliobacteriumchlorumと、好気性および嫌気性のいずれにも成る微生物群EM3、たとえばChromatium SP(緑色硫黄細菌)またはRhodospirillum rubrum(紅色硫黄細菌)もしくはRhclospseudo mononas SPとを含み、これらの重量比は、50:30:20であってもよい。EMのうち、発酵系微生物は、さらに光合成微生物、アゾトバクタである窒素固定菌、菌根菌、放線菌、乳酸菌、酵母菌に分けられる。これらの微生物はお互いに関連しながら作用する。各グループの微生物は好気性または嫌気性であり、その作用は次のとおりである。 【0061】(a)光合成微生物(好気性および嫌気性) 光合成微生物の代表的なものとして、光合成細菌類とラン藻類とがある。腐敗系微生物の作用で有機物の分解の途中で発生するメタン、炭酸ガスなどを、太陽光中の紫外線および赤外線を使って、光合成微生物は糖類、ビタミンなどを合成する。また有害な硫化水素を分解して硫黄にする。さらに生理活性物質も合成する。 【0062】(b)窒素固定菌(好気性) 窒素固定菌は、前記光合成微生物から糖類を受入れ、空気中の窒素と酸素とを化合させ、アミノ酸などを合成する窒素固定化を行う。 【0063】(c)菌根菌(好気性) 菌根菌(VA菌根菌が代表例)は、アミノ酸と生理活性物質とを栄養源として生活し、リン酸アルミニウムの形で存在する不活性化しているリン酸を活性化する。 【0064】(d)放線菌(好気性) 放線菌は、光合成微生物および窒素固定化菌の作出したアミノ酸や糖類を栄養源として生活し、主として抗生物質を作る。たとえばストレプトマイセス菌の作るストレプトマイシンがある。 【0065】(e)乳酸菌(嫌気性) 乳酸菌は、光合成微生物の作出した糖類と生ごみの中にあるリグニンおよびセルロースを栄養源としてこれらを分解し、乳酸関連物質を作る。乳酸関連物質は生理活性物質である。 【0066】(f)酵母菌(好気性) 酵母菌は、光合成菌の作出した糖類を分解して生理活性物質を作る。この生理活性物質は植物の細胞分裂を促進する。この他、酵母菌は、他の有効微生物の増殖を促進する栄養を作るという重要な働きをする。」 e 「【0084】本件発明者の実験結果を述べる。図1~図13に示される微生物担持装置17の球殻18の外径は100~300mm、好ましくは約150mmであり、その厚みは約2~3mmである。担体21~23の合計重量は約5~20gである。集合住宅の生活排水を、図1~図13に示される本発明の実施の一形態の水浄化装置1を用いて浄化処理を行った。生活排水のBOD289.6mg/L(ここでLは、リットルを示す)を、8.9mg/Lにすることができ、除去率97%(=(289.6-8.9)/289.6)を達成することができた。さらに排水の化学的酸素要求量(略称COD)91mg/Lを、13mg/Lにし、浮遊物質(略称SS)205mg/Lを4mg/Lにすることができ、しかもリン含有量8.4mg/Lを2.8mg/Lに低減することができ、画期的な効果を奏することができることを確認した。」 f 「【図1】 [図:0001394430000001.jpg] 」 g 「【図11】 [図:0001394430000002.jpg] 」 (イ) 引用文献2(特開2008-126169号公報)の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2は、「特開2008-126169号公報」である。そして、この刊行物には、「下水処理方法」(発明の名称)に関する、次の事項が記載されている。 a 「【0016】 この中継ポンプ場において、排水中の有機物を分解する機能を有する微生物を含む微生物製剤を管渠内に投入する。これにより、排水が管渠内を流下する間に、管渠内の好気性雰囲気を利用して微生物製剤から発生する微生物を増殖せしめ、下水処理場における腐敗の原因となる有機物をできるだけ分解することが可能であることを見出した。」 b 「【0018】 ところで、元々多くの菌が存在する管渠内に、有機物分解機能に優れる後述のバチルス属の菌のような微生物を投入しても、菌濃度が低下することによって菌の活力が低下し、微生物本来の分解性能を発揮することが難しいと予想された。さらに、微生物は水温や溶存酸素などの適した環境、好む餌などが満たされないと増殖・優占化しないため、バチルス属の菌が優占化していない条件の管渠に菌を投入しても、増殖・優占化させることは難しいと考えるのが常識で、目的とする効果が発揮できないと考えられた。しかし、意外にも微生物の投入により管渠内で微生物の増殖が見られ、下水処理場での臭気の低減化等の効果が得られる結果となった。」 c 「【0022】 微生物製剤の形状は管理上、長期安定に保存できる芽胞が好ましい。例えば、芽胞をつくるグラム陽性菌が取り扱いやすく好適である。菌自身が芽胞で安定であり、固体の混合物の状態で1年以上安定に生育できる。一方、芽胞にならない栄養細胞であるグラム陰性菌は麦ぬかや米ぬかと混合し固体化すると良い。グラム陰性菌の栄養細胞は麦ぬかや米ぬか等での混合物で乾燥させ固体の微生物製剤とすることができ、製剤としての保存期間が短いものの有効に使用できる。 【0023】 芽胞菌としては、バチルス属が有機物分解能が高く、また嫌気性菌の活動も押さえ臭気を少なくすることが出来、好適である。芽胞菌は長い下水管渠を流下して行く間に周囲の下水成分から栄養を得て、栄養細胞となり管渠内流下や管渠内壁に付着して、下水中の有機物分解を行い、また自らは分裂し増殖をしていく。」 d 「【0024】 中でもバチルス・トヨイ菌は、家畜の腸内で整腸効果をもたらす微生物として動物製薬としても使用されており、有機物の分解能が高く、しかも嫌気性状態でも活性が高く、増殖もし、管渠中は活動のための酸素濃度が必ずしも十分ではないが、動物腸内の状況に比較的類似した条件でも活性を保ち、活性汚泥菌としての活性が高くてもっとも好適な微生物である。」 (ウ) 引用文献3(特開平6-114397号公報)の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献3は、「特開平6-114397号公報」である。そして、この刊行物には、「底質・水質改善方法及び該方法に使用する改善剤セット」(発明の名称)に関する、次の事項が記載されている。 「【0014】本発明において用いる活性汚泥及び嫌気性汚泥(以下「TB」と称する)は、下水道処理施設や有機物廃水処理施設において好気性菌体、例えば Achromobacter属, Alcaligenes属, Pseudomonas属, Chromobacterium属, Paracolobacterium属, Escherichia属, Nitrosomonas属等の有機物分解細菌によって生物処理を行なっている曝気槽内の活性汚泥、及び嫌気性菌体、例えばFlavobacterium属, Desulfovibrio属, Methanobacterium属, Serratia属, Bacteroides属, Clostridium 属等の有機物分解細菌によって生物処理を行なっている消化槽内の嫌気性消化汚泥を、水分調整し、2~3週間かけて醗酵させた後、常法に従い米粒程度の大きさに造粒したものである。」 イ 引用文献1に記載された発明(引用1発明)の認定 引用文献1には、前記ア(ア)aに摘記したとおり、微生物を付着担持する多孔質の材料から成る担体を含む微生物担持装置について記載され(【請求項1】)、さらに、前記微生物は、好気性及び嫌気性の複数種類の微生物を含み、これらの微生物のうちの少なくとも1つは、光合成を行うことについて(【請求項6】)、及び、前記微生物担持装置が内部に収納される第2処理槽と、前記第2処理槽の下部に配置されたノズルに空気を間欠的に圧送する空気供給源とを含む水浄化装置について(【請求項7】、【請求項10】)、それぞれ記載されている。また、前記ア(ア)bに摘記したとおり、前記微生物としては、微生物を複合培養した微生物群EMが好ましいことについても記載されている。 そして、引用文献1には、前記ア(ア)c~gに摘記したとおり、前記微生物担持装置及び水浄化装置の実施の形態について詳述されており、具体的には、図1、11に記載された符号などを用いていうと、空気がノズル11を介して間欠圧送される処理槽7(前記第2処理槽)には、複数の微生物担持装置17が投入されて浸漬されること(同c及びf)、前記微生物として好適に用いることができる微生物群EMの一例は、好気性微生物群EM1、嫌気性微生物群EM2、好気性及び嫌気性のいずれにも成る微生物群EM3を含み、これらの重量比は50:30:20であること(同d及びg)、並びに、水浄化装置1を用いて、集合住宅の生活排水を浄化処理することで、BOD及び浮遊物質を低減することができたこと(同e)が記載されている。 これらの記載を「微生物担持装置」、さらにはその中の「微生物群EM」に注目して整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、まとめて「引用1発明」という。)が記載されていると認められる。 「空気が間欠圧送される第2処理槽を含む水浄化装置において、前記第2処理槽に投入して、集合住宅の生活排水のBOD及び浮遊物質を低減させるための微生物担持装置であって、 好気性微生物群EM1、嫌気性微生物群EM2、好気性及び嫌気性のいずれにも成る微生物群EM3が重量比で50:30:20であり、少なくとも1つの光合成を行う微生物を含む微生物群EMが付着担持する担体を含む微生物担持装置」及び「当該微生物担持装置における微生物群EM」 ウ 本願出願時の技術常識の認定 (ア) ここで、本願出願時の技術常識について整理しておくと、当該技術常識を把握するために新たに引用する後記参考文献1~4には、それぞれ次の事項が記載されている。 a 参考文献1(嶋田敬三、「1.光合成細菌」、低温科学、2009年、第67巻、第3~7頁)の記載事項 (a) 「シアノバクテリアを除く原核光合成生物を慣習的に“光合成細菌”と呼ぶ.大別すると紅色細菌,緑色イオウ細菌,緑色糸状(繊維状)細菌,ヘリオバクテリアのそれぞれ別の門(Phylum)に属する4つのグループに分けられる.いずれも酸素を発生しない“酸素非発生型光合成”を行う能力を持つ.」(第3頁左欄第1~6行) (b) 「過去現在を通じて多く用いられている光合成細菌はProteobacteria門αないしはβクラスに属するいわゆる紅色非イオウ細菌で,Rhodobacter (Rba.) sphaeroides, Rhodopseudomonas (Rps.) palustris, Rhodospirillum (Rsp.) rubrum, Rubrivivax (Rvi.) gelatinosus などの通性嫌気性の種が多い.」(第4頁左欄第37~42行) b 参考文献2(小林達治、「光合成細菌による廃液処理と資源化」、化学と生物、1970年、第8巻、第10号、第604~613頁)の記載事項 (a) 「光合成細菌は表1のごとく,1)Thiorhodaceae,2)Chlorobacteriaceae,3)Athiorhodaceaeの3科に分類されており,それぞれ13属,6属,2属にわけられてる(しかし,この分類はまだ確立されたものであるとはいい難い.最近,新種が見つかってきている)(3,4). Thiorhodaceaeは俗に紅色硫黄細菌(purple sulfur bacteria)といわれるもので紅色を呈し,Chlorobacteriaceaeは緑色硫黄細菌(green sulfur bacteria)である.・・・ [図:0001394430000003.jpg] ・・・ Athiorhodaceaeは俗に紅色非硫黄細菌(non-sulfur purple bacteria)といわれるもので,主に低級脂肪酸(表2参照)のような有機物を好んで利用する.」(第604頁左欄第10行~第605頁左欄第2行) (b) 「高等植物ならびに藻類は,光合成の際に多量の酸素を放出するが,光合成細菌はまったく酸素を放出しないという特徴を持っており,たとえば低級脂肪酸を利用する例をあげて説明すると,次式のごとく水素ガスを発生する (7,8).」(第605頁右欄第23~27行) c 参考文献3(小林淳平、「酸素を出さない光合成細菌の遺伝子工学的な有用物質生産」、生物工学、2018年、第96巻、第9号、第534~537頁)の記載事項 「読者の多くは光合成と聞いて何を思い浮かべるだろうか.小学校の理科で教わった,植物が水と二酸化炭素からデンプンを合成し,酸素を発生させるあの光合成を思い浮かべるのではないだろうか.この光合成は主に光化学系IIや光化学系Iから成り,光化学系IIによって水が分解され酸素が発生することから,酸素発生型光合成と呼ばれる.植物の他にもシアノバクテリアのような細菌も光合成を行い,大気中の酸素を生成するなど,太古から現在に至るまで,地球環境および生物の進化へ多大な影響を与え続けている.一方,酸素発生型光合成という呼称が存在することからも,“非”酸素発生型光合成も存在する.この非酸素発生型光合成は紅色硫黄細菌や緑色硫黄細菌などの光合成細菌が行い,これらの細菌は光化学系Iのみを持ち,酸素を生成しない.」(第534頁左欄第2~15行) d 参考文献4(小林達治他、「光合成細菌の分布とその存在意義」、日本土壌肥料学雑誌、1966年、第37巻、第9号、第447~450頁)の記載事項 「本報告では光合成細菌のうち紅色硫黄細菌 Thiorhodaceae( Thiospirillum, Rhodothece, Chromatium ),紅色無硫黄細菌 Athiorhodaceae( Rhodopseudomonas palustris, R. gelatinosa, R. capsulatus, R. spheroides;Rhodospirillum rubrum )の日本における分布を調査するとともにその存在する環境において光合成細菌がどのような意味で存在しているかの一端を知るという態度からそれらの菌体を集めて次のような実験をした。」(第447頁左欄第3~10行) (イ)a 参考文献1~3の前記記載(前記(ア)a(a)、b(a)、(b)、c参照)によれば、シアノバクテリア(ラン藻類)を除く原核光合成生物は、慣習的に「光合成細菌」と呼ばれており、この「光合成細菌」は、酸素を発生しない「酸素非発生型光合成」を行う能力を持つことや、この「光合成細菌」には、紅色硫黄細菌をはじめ、緑色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌などの多種類の細菌が存在することは、本願出願時の技術常識であるといえる。 b また、参考文献1、2、4の前記記載(前記(ア)a(b)、b(a)、d参照)によれば、Chromatium属の細菌は、紅色硫黄細菌であり、Rhodospirillum属の細菌、例えば、Rhodospirillum rubrumは、紅色非硫黄細菌であることも、本願出願時の技術常識であるといえる。 エ 本件補正発明と引用1発明との対比 (ア) 本件補正発明と引用1発明とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。 a 引用1発明の「第2処理槽」は、「空気が間欠圧送され」ているので、本件補正発明の「間欠曝気槽」に相当する。 b 引用1発明の「水浄化装置」は、本件補正発明の「水処理システム」に相当する。 c 引用1発明の「微生物群EM」は、本件補正発明の「微生物複合体」に相当する。 d 引用1発明の「微生物群EMが付着担持する担体を含む微生物担持装置」は、本件補正発明の「微生物複合体」にあたる「微生物群EM」から構成されるものであって、最終的に「前記第2処理槽に投入して、集合住宅の生活排水のBOD及び浮遊物質を低減させ」るものであるし、引用1発明の「当該微生物担持装置における微生物群EM」それ自体も、帰するところ同様に機能するものであることから、引用1発明の「微生物担持装置」あるいは「当該微生物担持装置における微生物群EM」は、本件補正発明の「下水の有機汚濁物質、懸濁物質、浮遊物質を分解消滅させる水処理用添加剤であって」、「微生物複合体からなる水処理用添加剤」に相当するものということができる。 (イ) 以上の点に照らすと、本件補正発明と引用1発明との一致点及び相違点は、それぞれ、次のように認定することができる。 a 一致点 「間欠曝気槽を有する水処理システムにおいて、この間欠曝気槽に投入し下水の有機汚濁物質、懸濁物質、浮遊物質を分解消滅させる水処理用添加剤であって、微生物複合体からなる水処理用添加剤。」 b 相違点 本件補正発明の「微生物複合体」は、「紅色硫黄微生物を除く酸素非発生型光合成微生物と、好気性内生胞子形成菌と、セラチア属細菌と、放線菌と」を有しているのに対して、引用1発明の「微生物群EM」は、「好気性微生物群EM1、嫌気性微生物群EM2、好気性及び嫌気性のいずれにも成る微生物群EM3が重量比で50:30:20であり、少なくとも1つの光合成を行う微生物を含む」ものであるが、これを構成する微生物の具体的な種類が明らかでない点。 オ 相違点の検討 (ア) 引用文献1の【0061】(前記ア(ア)d参照)には、「光合成微生物の代表的なものとして、光合成細菌類とラン藻類とがある。」と記載されていることから、前記ウ(イ)aで整理した技術常識をふまえると、引用1発明の「少なくとも1つの光合成を行う微生物」としては、酸素を発生しない「酸素非発生型光合成」を行う能力を持つ「光合成細菌」が、一つの選択肢として予定されていることが分かる。 また、同【0060】(前記ア(ア)d参照)には、「好気性および嫌気性のいずれにも成る微生物群EM3、たとえばChromatium SP(緑色硫黄細菌)またはRhodospirillum rubrum(紅色硫黄細菌)・・・とを含み」と記載されているところ、前記ウ(イ)bで整理した技術常識をふまえると、当該記載中の「Chromatium SP」は「紅色硫黄細菌」のことであり、同様に「Rhodospirillum rubrum」は「紅色非硫黄細菌」のことであって、いずれも「光合成細菌」に属するものと理解するのが合理的である。そうすると、当該記載には、細菌名とその括弧内の種類とに齟齬があると認められるものの、少なくとも「紅色硫黄細菌」以外の「光合成細菌」が挙示されているといえる。 加えて、同【0064】(前記ア(ア)d参照)には、「放線菌(好気性)」について、「放線菌は、光合成微生物および窒素固定化菌の作出したアミノ酸や糖類を栄養源として生活し、主として抗生物質を作る。」と記載されていることから、引用1発明の「好気性微生物群EM1」としては、「放線菌」が選択肢とされていると共に、当該「放線菌」の機能として、「光合成微生物」と共存することで抗生物質が作られることを理解することができる。 以上の事項を併せ考えると、引用文献1には、引用1発明における「少なくとも1つの光合成を行う微生物」として、「酸素非発生型光合成」を行う、「紅色硫黄細菌」以外の「光合成細菌」(光合成微生物)を選択すると共に、この光合成細菌の作り出したアミノ酸や糖類から抗生物質を作るために、「好気性微生物群EM1」の一種として「放線菌」を加えることにつき、十分な示唆(動機付け)が存するものというべきであるから、このような示唆に基づいて、引用1発明における「微生物群EM」として、「紅色硫黄微生物を除く酸素非発生型光合成微生物」と「放線菌」を用いることは、当業者にとって容易想到の事項といえる。 (イ) 本件補正発明の「好気性内生胞子形成菌」は、本願明細書の【0019】に「好気性内生胞子形成菌であるバチルス菌」と記載されているように「バチルス菌」を包含するものである。 そして、引用文献2には、「管渠内の好気性雰囲気を利用して微生物製剤から発生する微生物を増殖せしめ、下水処理場における腐敗の原因となる有機物をできるだけ分解する」「微生物」として「バチルス属の菌のような微生物を投入」すること(前記ア(イ)a及びb参照)、「バチルス属の菌」は、「芽胞菌」であって、「有機物分解機能に優れ」、「長期安定に保存できる」こと(前記ア(イ)b及びc参照)、及び、「バチルス・トヨイ菌」は、「有機物の分解能が高く、しかも嫌気性状態でも活性が高く、増殖」すること(前記ア(イ)d参照)が記載されており、「芽胞菌」である「バチルス属の菌」、特に「バチルス・トヨイ菌」が、好気性雰囲気及び嫌気性雰囲気のいずれでも増殖することが示されている。 他方、引用1発明の「微生物群EM」は、「担体」に「付着担持」して「微生物担持装置」の一部として、「空気が間欠圧送される第2処理槽」に投入されるものであるから、当該微生物群の一種として、好気性雰囲気及び嫌気性雰囲気に適し、有機物分解機能に優れるとともに、長期安定に保存できる、引用文献2に記載されたバチルス属の菌、特に、バチルス・トヨイ菌を加えることは、単に好適な素材を選択したにすぎないのであって、当業者が容易に想到し得たことである。 (ウ) 引用文献3には、「下水道処理施設や有機物廃水処理施設」での「嫌気性菌体」として「Flavobacterium属, Desulfovibrio属, Methanobacterium属, Serratia属, Bacteroides 属, Clostridium 属等の有機物分解細菌」が例示されているから(前記ア(ウ)参照)、引用1発明の「嫌気性微生物群EM2」の一種として「Serratia属」の有機物分解細菌を選択することは、当業者にとって格別困難な事項であるとはいえない。 (エ) 最後に、本件補正発明により奏される効果について検討する。 本件補正発明により奏される効果は、本願明細書の【0015】に記載された、(i)「酸素非発生型光合成微生物、好気性微生物、通性嫌気性微生物により、酸素の有無を問わず有機物の分解が可能となる。これにより、間欠曝気であっても汚泥を消滅させることが可能となり、曝気による必要エネルギーを抑えることが可能となり、活性汚泥の維持費の低下につながる」こと、(ii)「酸素非発生型光合成微生物により生成されたアミノ酸やブドウ糖は、悪臭の原因物質を吸着することが可能であり、悪臭を低減させることが可能となる」こと、及び、(iii)「酸素非発生型光合成微生物により生成されたアミノ酸は、放線菌によって抗生物質を生成し、微生物複合体の生存環境を整えることが可能となる」ことといえる。 しかしながら、引用1発明は、「空気が間欠圧送される第2処理槽」に投入して「集合住宅の生活排水のBOD及び浮遊物質を低減させるための微生物担持装置」であって、当該「微生物担持装置」は、「好気性微生物群EM1、嫌気性微生物群EM2、好気性及び嫌気性のいずれにも成る微生物群EM3」を有し、さらに、「光合成を行う微生物」を含むものであるから、酸素の有無を問わず生活排水の有機物の分解が可能となること、及び、空気を間欠圧送することで曝気のための必要エネルギーを抑制できることは、当業者であれば容易に予測できる事項にすぎない。したがって、前記(i)の本件補正発明の効果は格別なものではない。 また、引用文献1には、「腐敗系微生物の作用で有機物の分解の途中で発生するメタン、炭酸ガスなどを、太陽光中の紫外線および赤外線を使って、光合成微生物は糖類、ビタミンなどを合成する」こと(前記ア(ア)d【0061】)、及び、「放線菌は、光合成微生物および窒素固定化菌の作出したアミノ酸や糖類を栄養源として生活し、主として抗生物質を作る」こと(前記ア(ア)d【0064】)が記載されていることからして、悪臭を低減させることや、微生物複合体の生存環境を整えることも、当業者が容易に予測できる範囲のものにすぎない。したがって、前記(ii)、(iii)の本件補正発明の効果も格別なものではない。 してみると、本件補正発明により奏される前記効果は、いずれも格別顕著なものでないから、本願明細書の記載や技術常識に照らしても、本件補正発明の前記相違点に係る構成、すなわち微生物複合体として特定のものを選択することにより、引用1発明に対して有利な効果を発現するものとは認められない。 (オ) 以上のとおり、前記相違点に係る本件補正発明の構成の推考困難性及び当該構成による効果の予測性のいずれの観点から検討してみても、引用1発明において当該構成を採用することは、当業者にとって容易なことといわざるを得ない。 カ 請求人の主張についての検討 (ア) 請求人は、審判請求書において、(i)引用文献1に記載された「紅色硫黄細菌」は絶対嫌気性であるため、本件補正発明の「紅色硫黄微生物を除く酸素非発生型光合成微生物」の持つ「酸素の供給があれば光エネルギーに関係なく好気性微生物のように有機物を分解することが可能である。また、酸素の供給がない場合には、光エネルギーにより有機物を分解することが可能である」という効果を奏することが予測できないこと、(ii)「紅色硫黄細菌」は、悪臭の原因になり得る硫黄成分を生成するため、悪臭の低減を目的とする本件補正発明を発明するにあたっては阻害要因となること、(iii)引用文献1で用いられている「EM」は学術的に証明されておらず、その中に含まれる微生物についても、学術的に立証されたものでないこと、及び、(iv)本件補正発明と引用1発明では、間欠運転の目的が異なることを論拠として、本件補正発明は、引用文献1~3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものでない旨を主張している。 (イ) そこで、請求人の前記主張について検討する。 a (i)及び(ii)の論拠について 本件補正発明では、「紅色硫黄微生物を除く酸素非発生型光合成微生物」が好気性及び嫌気性の微生物であることは特定されていない。また、引用文献1には、前記オ(ア)で検討したとおり、引用1発明の「少なくとも1つの光合成を行う微生物」として、「酸素非発生型光合成」を行う、「紅色硫黄細菌」以外の「光合成細菌」(光合成微生物)を選択することについて記載されているから、前記(i)及び(ii)の論拠は採用できない。 b (iii)の論拠について 引用文献1には、前記ア(ア)dに摘記したとおり、「微生物群EM」が「好気性微生物群EM1」、「嫌気性微生物群EM2」及び「好気性及び嫌気性のいずれにも成る微生物群EM3」から構成されることが具体的に記載されている。また、当該微生物群EM1~3の微生物について、引用文献1~3に挙示された微生物から選択可能であることは、前記オ(ア)~(ウ)で検討したとおりあるから、前記(iii)の論拠は採用できない。 c (iv)の論拠について 前記オ(エ)で検討したとおり、本件補正発明の奏する効果は、間欠運転の目的のいかんに関わらず、結局のところ、引用文献1の記載事項などから当業者が容易に予測できる範囲のものにすぎないから、前記(iv)の論拠は採用できない。 キ 本件補正の独立特許要件についてのまとめ 以上の検討によれば、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1~3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は独立特許要件に適合しない。 3 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、本件補正については、前記1の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(前記第2の2(1)ア参照)。 2 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、令和2年9月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由であって、要するに、この出願の請求項1~3に係る発明は、この出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2000-107782号公報 2.特開2008-126169号公報 3.特開平6-114397号公報 4.特開2017-64666号公報 5.特開平10-146600号公報 (なお、引用文献4、5は、請求項2に対して通知された周知文献) 3 引用文献の記載事項及び引用1発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~3の記載事項は、前記第2の2(3)アに記載したとおりである。また、引用文献1に記載された発明(引用1発明)は、前記第2の2(3)イにおいて認定したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2(3)にて、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討した本件補正発明における「紅色硫黄微生物を除く酸素非発生型光合成微生物」から「紅色硫黄微生物を除く」ことを省いたものである。 そうしてみると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに当該発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の2(3)で検討したとおり、引用文献1に記載された発明及び引用文献1~3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明についても、同様の理由により、引用文献1に記載された発明及び引用文献1~3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第4 むすび 前記第3で検討したとおり、本願発明、すなわち、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、同法第49条第2号に該当するため拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-008078

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