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意匠拒絶査定不服審判

2021-007708

電動モータバイク

審判番号
2021-007708
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2020-015533外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年06月14日
審決日
2021年08月18日
公報発行日
2021年10月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (G2-3)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

意願2020- 15533「電動モータバイク」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 7項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は、2020年1月24日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権主張を伴う、令和2年(2020年)7月27日に出願された意匠登録出願であって、同年11月17日付けの拒絶理由の通知に対し、令和3年(2021年)2月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年3月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願の意匠

本願の意匠は、意匠に係る物品を「電動モータバイク」とし、その形状、模様若しくは色彩またはこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、物品の部分として意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠は、以下のウェブサイトに掲載された「電動モーターバイク」の意匠としたものであり、拒絶理由通知書によれば、本願部分と対比、判断する部分を引用意匠の本願部分に対応する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。

表題     【西海岸】日本にも来る!Super73はバイクから生まれたおしゃれな電動自転車!

媒体のタイプ [online]

掲載年月日  2019年9月10日

検索日    2020年11月6日

情報の情報源 インターネット

情報のアドレス https://moto-be.com/super73

第4 当審の判断

以下において、本願意匠の意匠法第3条第1項第3号の該当性、すなわち、本願意匠が引用意匠に類似する意匠であるか否かについて検討し、判断する。

1 対比

(1)意匠に係る物品の対比

本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも電動モーターバイクに係り、共通する。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比

本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は、いずれも電動モーターバイクのうち、タイヤ、リム及びその軸(ハブ)部で構成される前輪部及び後輪部、ペダル及びクランク部、並びにチェーンホイール及びチェーンカバー部を除いた部分とすることから、主に、前輪を挟む二本のフロントフォーク、ハンドル、フレーム、座部及びバッテリー部とする、電動モーターバイクの用途及び機能の一部を構成するものであり、共通する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比

両部分の位置、大きさ及び範囲は、いずれも電動モーターバイクのうち、前輪部及び後輪部、ペダル及びクランク、並びにチェーンホイール及びチェーンカバー部を除いた部分とするものであり、共通する。

(4)両部分の形状等の対比

両部分の形状等を対比すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。

ア 両部分の形状等の共通点

(共通点1)全体の構成

主な構成を、フロントフォーク、前輪用泥よけ、及びフロントフォーク支持部を介してその上方をハンドルとする「ハンドル部」、骨格となる「本体フレーム部」、「バッテリー部」及び「座部」、並びに「後輪用の泥よけ部」とする点。

(共通点2)ハンドル部

(共通点2-1)ハンドル部の全体構成

ハンドル部は、フロントフォーク、前輪用泥よけ、フロントフォーク支持部、ハンドル支持部、及びハンドルによる構成とし、上側のフロントフォーク支持部の中央下面からヘッドライトが支持された態様する点。

(共通点2-2)フロントフォークは、前輪の中心に小さな連結部を設けることで前輪の中心より僅かに本体側の位置から水平に対して約65度の角度で直線状に伸び、

(共通点2-3)本体フレーム部のうち、フロントフォークと平行となるハンドル軸が貫通するフレーム(以下「ヘッドフレーム」という。)を上下で挟む2つのフロントフォーク支持部を有し、上側の支持部でフロントフォークを受け、

(共通点2-4)上側のフロントフォーク支持部の正面視中央に、矩形状に表れるハンドル支持部を有し、

(共通点2-5)ハンドルは、角部をアール状とした略倒L字状の棒材を左右対称に配し、下方と角部のアールが始まる上方の2カ所に水平横棒を挟み、下方の横棒をハンドル支持部に接合したもので、

(共通点2-6)ハンドル下端と上側のフロントフォーク支持部との間に僅かなすき間を設けた態様とした点。

(共通点3)本体フレーム部

(共通点3-1)本体フレーム部の全体構成

本体フレーム部は、最も長い上部の「上部フレーム」、上部フレーム前端が接合する「ヘッドフレーム」、ヘッドフレームと接続し、斜め下方へ向かう「前下フレーム」、前下フレーム下端と後輪ハブを結ぶ「下部フレーム」、及び上部フレーム上の座部下方から後輪ハブを結ぶ「後部フレーム」による構成とし(本体フレーム部を構成する各フレームを、以下「各構成フレーム」という。)、ヘッドフレームは、他のフレームより太く、その他は略同径の管材とする点。

(共通点3-2)本体フレーム部の側面視における態様

ヘッドフレームに上部フレームと前下フレームが近接して接合することによって、上部フレーム、前下フレーム、下部フレーム、そして後部フレームによって略菱形の鈍角側の上辺の一部が突出した態様としている点。

(共通点3-3)上部フレームの態様

上部フレームは、2本の管材を横に平行状に並べたもので、ヘッドフレームとの接合部から、後輪の中心軸よりやや後方まで伸び、後方に向かって僅かに上がった態様とするもので、

(共通点3-4)前下フレームの態様

前下フレームは、2本の管材を横に平行状に並べ、下部フレームに緩やかなアールを伴って繋がる態様とするもので、前輪側の面に薄いシート状の前輪用泥よけを取り付けたもので、

(共通点3-5)下部フレームの態様

下部フレームは、前下フレームから連接し、後方に向かって左右に広がった後、平行状に後輪を挟む態様とし、

(共通点3-6)後部フレームの態様

後部フレームは、後輪の中心に小さな連結部を設けることで後輪の中心より僅かに本体側の位置から斜め方向に直線状に伸び、上部フレームの後端から約1/3の位置で接合する態様とする点。

(共通点4)座部の態様

後方に向かって上面が上に反った形状とする座部を、上部フレームの側面視略中央より後ろ側に直接取り付けている点。

(共通点5)バッテリー部の態様

側面視方向に長いバッテリー部を、上部フレームの側面視略中央より前側の上面に取り付けている点。

イ 両部分の形状等の相違点

(相違点1)ハンドル部

(相違点1-1)2カ所の水平横棒のうち、下方の横棒について、本願部分は、下端部に位置しているのに対し、引用部分は、下端の僅かに上の位置である点。

(相違点1-2)本願部分のハンドルは、側面視垂直より僅かに本体側に倒れた態様とするのに対し、引用意匠のハンドルは、水平に対して約65度の角度とするフロントフォークからそのまま真っ直ぐ伸びた態様とする点。

(相違点2)本体フレーム部

(相違点2-1)本体フレーム部の側面視における態様

(ア)本願部分の上部フレームと前下フレームによって形成されるコーナー部(以下「ヘッドフレーム接合コーナー部」という。)は、角張っているのに対し、引用部分は、大きなアール状となっている点。

(イ)本願部分は、そのヘッドフレーム接合コーナー部に、小さな補強板を有しているのに対し、引用部分は、補強板を有していない点。

(ウ)また、本願部分は、上部フレームの後ろ側と後部フレームによって形成されるコーナー部に、大きな補強板を有しているのに対し、引用部分は、大きな補強板ではなく、上部フレームの略後端部から後部フレームの下方に繋がるフレームによって支持する態様としている点。

(相違点2-2)後部フレームの背面視における態様

本願部分は、2本の独立した後部フレームが、上部フレームに直線状に接合されているのに対し、引用部分の後部フレームは、1本の逆さU字状である点。

(相違点3)座部の態様

本願部分は、上部フレームの約1/2の長さのするロングタイプとし、側面視略中央から後端部近くの位置に取り付けられているのに対し、引用部分は、上部フレームの約1/4の長さとし、側面視略中央から後ろ側に取り付けられ、上部フレームの後部が空いているため、荷台として使用可能な態様としている点。

(相違点4)バッテリー部の態様

本願部分のバッテリーは、側面視、横の長さ:高さを約2:1とし、上面を略凸円弧状とするのに対し、引用部分のバッテリーは、同約8:3とし、上面はおおむね水平直線状とする点。

(相違点5)色彩及び明暗調子

本願部分は、色彩及び明暗調子を有さない、線図によって表されたものであるのに対し、引用部分は、写真画像によって表されたもので、全体を黒色としたものである点。

3 両意匠の類否判断

(1)意匠に係る物品の類否判断

両意匠の意匠に係る物品は共通しており、同一である。

(2)両部分の用途及び機能の類否判断

両部分の用途及び機能は共通しており、同一である。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価

両部分の位置、大きさ及び範囲は共通しており、同一である。

(4)両部分の形状等の類否判断

両意匠の意匠に係る物品である電動モーターバイクは、自転車と同じく、足でペダルを踏んで進むものであり、その力を電力によるモーターが補助するものであることから、基本的には自転車と同様に、着座のしやすさ、着座した際の漕ぎやすさ等の機能的な要件、及び形状等によって表されるスピード感等の印象に加え、バッテリーをどこにどのように取り付けるのかといった点についても、購入者である需要者は注視して観察するものということができる。

したがって、本体フレーム部の構成、ハンドル部や座部の態様に加え、バッテリーの態様も需要者の注意を強く惹く部分であるということができる。

ア 両部分の形状等の共通点及び相違点の評価

(ア)共通点についての評価

(共通点1)全体の構成

全体の構成における共通点(1)は、当該物品分野において、よく見られる構成とするものであり、両部分の形状等の類否判断に及ぼす影響は、小さい。

(共通点2)ハンドル部

ハンドル部の全体構成における(共通点2-1)は、当該物品分野において、よくみられる構成にすぎず、両部分の類否判断に及ぼす影響は、小さい。

一方、ハンドル部の具体的態様における(共通点2-2)ないし(共通点2-6)は、下記参考意匠1に見られるように本願意匠の出願前より公知となっており、両部分のみの特徴ということはできず、両部分の類否判断に及ぼす影響は、限定的なものといわざるを得ない。

(共通点3)本体フレーム部

本体フレーム部の全体構成における(共通点3-1)は、両部分の基調を形成するものであるが、本願意匠の出願前より公然知られた態様であり(下記参考意匠1、参考意匠2参照)、両部分の形状等の類否判断に及ぼす影響は、限定的なものにとどまる。

一方、本体フレーム部の具体的態様における(共通点3-2)ないし(共通点3-6)は、需要者が注視するフレーム部の骨格にあたるものであるが、(共通点3-2)における側面視略菱形の鈍角側の上辺の一部が突出したフレーム態様とする点は、本願意匠の出願前より公然知られており(下記参考意匠3参照)、両部分の形状等の類否判断に及ぼす影響は、限定的なものにとどまる。

(共通点4)座部の態様

座部の上面の態様における(共通点4)は、よく見られる態様にすぎず、両部分の形状等の類否判断に及ぼす影響は、小さい。

(共通点5)バッテリー部の態様

バッテリー部の態様における(共通点5)は、需要者にとって目に付きやすい位置に配したもので、両部分の類否判断に及ぼす影響は、大きい。

参考意匠1(別紙第3参照)

表題     Super 73 Z1 電動モーターバイク 36V リチウムイオンバッテリー 500ワット リアハブモーター フルスロットル Eバイク

媒体のタイプ [online]

掲載年月日  2019年11月21日

検索日    2021年7月29日

情報の情報源 インターネット

情報のアドレス

https://www.amazon.co.jp/Super-73-%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC73-Z1%E3%80%82/dp/B081JK987R

に掲載された「電動モーターバイク」の意匠

参考意匠2(別紙第4参照)

特許庁意匠課公知資料番号HJ28013685号の「電動モーターバイク」の意匠

参考意匠3(別紙第5参照)

米国非営利法人インターネット・アーカイブ(The Internet Archive)が運営するインターネット・アーカイブ(Wayback Machine)により、2019年12月7日付けで保存・公開されている「今、一番ストリート映えするE-BIKE!|MonoMax(モノマックス)/宝島社の雑誌MonoMaxの公式サイト」に掲載された、第1/11頁(第2/11頁では、上段左側)に表された「電動モーターバイク」の意匠(出力日:令和3年7月27日)

インターネット・アーカイブURL:

https://web.archive.org/web/20191207104741/https:/monomax.jp/archives/58881/

(イ)相違点についての評価

(相違点1)ハンドル部

下方の水平横棒における(相違点1-1)は、僅かな位置の相違にすぎず、両部分の全体の形状等の中にあっては、埋没する程度のものであり、両部分の形状等の類否判断に及ぼす影響は、小さい。

また、ハンドルの角度における(相違点1-2)も、当該物品分野においてよく見られる態様の範囲にすぎず、両部分の類否判断に及ぼす影響は、小さい。

(相違点2)本体フレーム部

本体フレーム部の側面視における態様における(相違点2-1)のうち、(ア)については、いずれの態様も、本願出願前より見られるものの、後部フレームの背面視における態様における(相違点2-2)と合わせ、引用部分のフレームが、全体的に角を丸くした柔らかな印象を需用者に与えているのに対し、本願部分のフレームは、全体的に直線的でシャープの印象を与えるものであり、両部分の形状等の類否判断に及ぼす影響は、極めて大きい。

一方、ヘッドフレーム接合コーナー部の小さな補強板の有無における(相違点2-1)の(イ)については、限られた部分における相違にすぎず、類否判断に及ぼす影響は、小さい。

(相違点2-1)の(ウ)については、本願部分がフレームを用いないで、補強板によって支える態様としたことで、すっきりとした印象を需用者に与えているのに対し、引用部分は、支持フレームを用いること自体はよく見られる態様であるが、支持フレーム自体、上部フレームの略後端部から後部フレームの下方にわたり、目立つ態様とするものであるから、両部分の形状等の類否判断に一定の影響を及ぼすものと認められる。

(相違点3)座部の態様

座部は、参考意匠2にも見られるように、ロングタイプのものもあり、また、種々のものに取り替えることも可能ではあるが、両部分の座部を対比した場合、引用部分は、短いタイプの座部とすることによって、上部フレームの後部が荷台として使用可能となるもので、その点において、需要者に異なる印象を与えるものでるから、両部分の形状等の類否判断に一定の影響を及ぼすものと認められる。

(相違点4)バッテリー部の態様

バッテリー部の形状における相違点4は、取付け位置に係る(共通点5)に比べれば、部分的なものということもできるが、使用時に目立つ位置であることから、両部分の形状等の類否判断に一定の影響を及ぼすものである。

(相違点5)色彩及び明暗調子について

両部分の色彩及び明暗調子における(相違点5)は、色彩及び明暗調子を有する引用部分の態様が、全体を黒色としたもので、従来からよくある態様のものであることから、両部分の形状等に及ぼす影響は、小さい。

イ 両部分の形状等の共通点及び相違点の評価に基づく類否判断

両部分の形態における共通点、相違点の評価に基づき、両部分を総合的に観察した場合、両部分の共通点は、バッテリー部の取付け態様に係る(共通点5)が両部分の形状等の類否判断に及ぼす影響は、大きいものの、その他の共通点が及ぼす影響は、いずれも小さい、あるいは限定的なものである。

これに対し、相違点は、ハンドル部における(相違点1-1)及び(相違点1-2)、本体フレーム部における小さな補強板の有無に係る(相違点2-1)の(イ)、及び色彩及び暗調子についての(相違点5)が両部分の形状等の類否判断に及ぼす影響は、いずれも小さいものの、本体フレーム部の側面視における(相違点2-1)の(ア)と後部フレームの態様における(相違点2-2)が合わさることによるフレーム全体の印象の違いが類否判断に及ぼす影響は、極めて大きく、(相違点2-1)の(ウ)、(相違点3)及び(相違点4)は、いずれも類否判断に一定の影響及ぼすものと認められる。

これら、共通点及び相違点の評価を総合すると、両部分の形状等は、共通点の一部に類否判断に及ぼす影響が大きいと評価できる点はあるものの、本体フレーム部の印象における相違点が及ぼす影響は、極めて大きく、その他一定の影響を及ぼす相違点についても考慮すれば、共通点が類否判断に及ぼす影響よりも、相違点が及ぼす影響の方が大きく、両部分の形状等は、類似しない。

(5)小活

両意匠は、「意匠に係る物品」、両部分の「用途及び機能」及び「位置、大きさ及び範囲」が同一であるが、両部分の形状等は類似しない。

第5 むすび

以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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