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特許拒絶査定不服審判

2021-006071

半導体装置、及び半導体装置の製造方法

審判番号
2021-006071
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-082948外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年05月12日
審決日
2021年12月22日
公報発行日
2022年01月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 82948「半導体装置、及び半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日出願公開、特開2018-182193、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は,平成29年4月19日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年11月13日付け :拒絶理由通知書
令和3年1月13日 :意見書及び手続補正書の提出
令和3年2月5日付け :拒絶査定
令和3年5月12日 :審判請求書の提出
令和3年9月1日付け :拒絶理由通知書
令和3年10月22日 :意見書及び手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1~4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明4」という。)は,令和3年10月22日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される発明であり,そのうちの本願発明1及び3は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
半導体基板上に形成された電極膜と,
前記電極膜上に形成された無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜,または無電解Niめっき皮膜/無電解Pdめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜からなるUBMと,
を有する半導体装置であって,
前記無電解Auめっき皮膜表面の表面粗さRaが0.050μm以下であり,前記無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜,または無電解Niめっき皮膜/無電解Pdめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜による電極膜の被覆率が99%以上であり,
前記電極膜は,アルミニウム系,銅系,または金系である,
半導体装置。」
「【請求項3】
半導体基板に形成された電極膜の表面をプラズマクリーニングする工程と,無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜,または無電解Niめっき皮膜/無電解Pdめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって,
前記電極膜は,アルミニウム系,銅系,または金系であり,
前記プラズマクリーニングする工程は,クリーニングガスとしてアルゴンを用い,電力400W以上,かつ処理時間600秒以上,で行い,
前記半導体装置は,前記無電解Auめっき皮膜表面の表面粗さRaが0.050μm以下であり,前記無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜,または無電解Niめっき皮膜/無電解Pdめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜による電極膜の被覆率が99%以上である,
半導体装置の製造方法。」

なお,本願発明2は本願発明1を減縮した発明であり,本願発明4は本願発明3を減縮した発明である。

第3 引用例の記載と引用発明

1.引用例1について

(1)引用例1の記載

原査定(令和3年2月5日付け拒絶査定)の拒絶の理由で引用された引用例1(特開2013-194291号公報)には,次の記載がある。

「【0012】
次に,実施の形態1による半導体装置の製造方法を説明する。予め,図示省略した拡散層が設けられた半導体基板1の,第1の主面1aに第1の主電極110であるAl合金電極2を形成後,所望の厚さに半導体基板1を研削する。その後,第2の主面1bに第2の主電極210であるバリヤメタル3,Ni電極4,Au電極5を,例えば真空成膜法で設ける。
保護膜6は,無機物の場合はAl合金電極2の形成後,有機物の場合はNi電極4,Au電極5を形成後に成膜する。
本願発明の実施の形態1の特徴の1つは,第1の主電極110のAl合金電極2上および第2の主電極210上のAu電極5と,異なる離れた個所にある異種金属表面に同時にメッキを施すことにある。そのために前述したAl合金へのジンケート処理によるメッキ手法を利用する。まず,ウエハレベルでの第1の主電極110および第2の主電極210に対して,まず,プラズマクリーニング,脱脂,酸洗いといった表面を清浄にする処理,第1ジンケート処理,ジンケート剥離,第2ジンケート処理の順番に実施する。・・・・・
続きを表示(全11行)
前記前処理後のウエハ全体を無電解Niメッキ液に浸漬すると,Al合金電極2およびAu電極5の表面に無電解Niメッキ層7が析出する。そして,無電解Niメッキ層7を付着させた後に,無電解Auメッキ層8を施すことで,メッキ用に特別な処置を施さなくとも,図1で示した半導体装置の第1の主面1a側,第2の主面1b側を同時に無電解Niメッキ層7と無電解Auメッキ層8をすることができる。
【0013】
この実施の形態1のプラズマクリーニング条件と利用した薬液とその条件は以下の通りである。なお利用したウエハのサイズは8インチで,真空成膜によるNi電極4の膜厚は0.5um,Au電極5の膜厚は0.08umである。表1において,ステップ2から8の工程後には全て超純水による洗浄を実施した。
【0014】
[図:0001380872000001.jpg]
【0015】
上記条件で,第1の主電極110上の無電解Niメッキ層7を5.3um,無電解Auメッキ層8を0.04um,第2の主電極210上の無電解Niメッキ層7を4.8um,無電解Auメッキ層8を0.04um形成できた。また無電解Niメッキ層7の中のP濃度は6.2wt%であり,その膜は非晶であった。」

(2)引用発明1

引用例1の段落0012から,引用例1には,半導体装置の製造方法について次の事項が記載されていると理解できる。

ア 半導体基板1の上にAl合金電極2を形成後,プラズマクリーニングにより表面を清浄にする処理を行うこと。

イ 当該処理後のウエハ全体を無電解Niメッキ液に浸漬してAl合金電極2の表面に無電解Niメッキ層7を析出させること。

ウ 無電解Niメッキ層7を付着させた後に無電解Auメッキ層8を施すこと。

上記イ,ウから,引用例1には,Al合金電極の表面に無電解Niメッキ層7を形成し,その後,無電解Auメッキ層8を形成することが記載されているものと理解できる。

また,引用例1の段落0014の表1から,引用例1には,O2ガスを利用し,電力800W,真空度10Paで2分間プラズマクリーニングを行うことが記載されていると理解できる。

以上によれば,引用例1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「半導体基板1にAl合金電極2を形成後,プラズマクリーニングにより表面を清浄にする処理を行う工程と,
Al合金電極2の表面に無電解Niメッキ層7を形成し,その後,無電解Auメッキ層8を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって,
プラズマクリーニングは,O2ガスを利用し,電力800W,真空度10Paで2分間行うものである,
半導体装置の製造方法。」

2.引用例2~3の記載

(1)引用例2の記載

原査定の拒絶の理由で引用された引用例2(特開2005-268374号公報)には,次の記載がある。

「【0026】
まず,図2(A)に示すように,半導体素子11の主面上で半導体素子を形成する時に電極パッド12の形成部位を保護膜13で開口させる。このパッド開口部分に無電解メッキによってニッケルのメッキ皮膜を成長させることにより,図2(B)に示すように,電極パッド12の開口部分にニッケルからなる第2のバンプ層16を形成する。この場合,第2のバンプ層16は電極パッド12のパッド開口部で,パッド表面を覆うようにメッキ被膜が成長することにより形成されるため,第2のバンプ層16の外径は電極パッド12の開口径に対応したものとなる。また,電極パッド12がアルミニウムで形成されている場合は,無電解メッキによって生成されるニッケルとの密着性が低くなることも懸念される。したがって,ニッケルの無電解メッキを行う前に,例えばアルゴンガスを用いたプラズマクリーニング法によって電極パッド12の表面をウェットクリーニングすることにより,電極パッド12の表面に形成されている有機汚染物や酸化膜などを除去することが望ましい。」

(2)引用例3の記載

原査定の拒絶の理由で引用された引用例3(特開昭56-123377号公報)には,次の記載がある。

「本発明は基板表面の10~30Åの厚さのきわめてうすい酸化物例えばナチュラル・オキサイド,また表面を十分水流した後に残存する汚物,ハイドロカーボン,水酸化物,さらにまたはこれらの局部性による表面張力物理吸着力やバラツキを除去せんとしたもので」(2頁左下欄10~14行)

「誘導エネルギ発生源(1)は0.1~100MHzの高周波エネルギであっても,また1~10GHzのマイクロ波を用いてもよく,またそのエネルギは10~1000Wで十分であった。かかる反応系に対し前記したうすい酸化物(基板が珪素にあっては酸化珪素)が5~30Åの膜厚で形成されている試料を第1図の如くに設置した。その後ロータリーポンプ(13)により真空引を行なう,・・・その後アルゴンを(3)より100~1000cc/分導入した。・・・
・・・さらに誘導エネルギを加えた後,15~50分例えば10~30分かかるプラズマ中に基板を放置した。」(3頁右上欄7行~左下欄8行)

(3)引用例2~3に記載された技術的事項

上記によれば,引用例2~3の記載には以下の技術的事項が記載されているものと理解できる。

・プラズマクリーニング法におけるクリーニングガスとして,アルゴンガスを用いること。

第4 対比・判断

1.本願発明3について

(1)本願発明3と引用発明1の対比

事案に鑑み,本願発明3と引用発明1を対比する。

ア 引用発明1における「半導体基板1」,「Al合金電極2」,「無電解Niメッキ層7」及び「無電解Auメッキ層8」が,本願発明3における「半導体基板」,「電極膜」,「無電解Niめっき皮膜」及び「無電解Auめっき皮膜」に,それぞれ相当する。

イ 引用発明1における,「半導体基板1にAl合金電極2を形成後,プラズマクリーニングにより表面を清浄にする処理を行う工程」は,本願発明3における「半導体基板に形成された電極膜の表面をプラズマクリーニングする工程」に相当する。

ウ 引用発明1は「Al合金電極2の表面に無電解Niメッキ層7を形成し,その後,無電解Auメッキ層8を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法」であるから,本願発明3と引用発明1は,ともに「無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法」である点で共通する。

エ 上記アのとおり,引用発明1は「Al合金電極2」は本願発明3における「電極膜」に相当するから,本願発明3と引用発明1は,ともに「前記電極膜は,アルミニウム系」である点で共通する。

オ 引用発明1における「プラズマクリーニング」は,「O2ガスを利用し,電力800W,真空度10Paで2分間行う」ものであるから,本願発明3と引用発明1は,「前記プラズマクリーニングする工程」を「電力400W以上,かつ処理時間600秒以上」で行う点で共通する。

以上のア~オによれば,本願発明3と引用発明1の一致点及び相違点は以下のとおりである。

(一致点)

「半導体基板に形成された電極膜の表面をプラズマクリーニングする工程と,無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって,
前記電極膜は,アルミニウム系であり,
前記プラズマクリーニングする工程は,電力400W以上,かつ処理時間600秒以上,で行う,
半導体装置の製造方法。」

(相違点1)

「プラズマクリーニングする工程」について,本願発明3では,「クリーニングガスとしてアルゴンを用い」るのに対し,引用発明1では,「O2ガスを利用」している点。

(相違点2)

本願発明3では,「前記半導体装置は,前記無電解Auめっき皮膜表面の表面粗さRaが0.050μm以下であり,前記無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜,または無電解Niめっき皮膜/無電解Pdめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜による電極膜の被覆率が99%以上である」のに対し,引用発明1では,「無電解Auメッキ層8」の表面粗さRa,「無電解Niメッキ層7/無電解Auメッキ層8」による「Al合金電極2」の被覆率について特定されていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑み,はじめに相違点2について検討する。

引用例2~3には,上記第3の2.(3)で示した技術的事項について記載されているものの,電極膜表面に無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜を形成した際の無電解Auめっき皮膜の表面粗さRaや,電極膜の被覆率については記載も示唆もされていない。また,上記相違点2に係る表面粗さRa及び被覆率とすることが,当業者の周知技術であると認めることはできない。

したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本願発明3は引用発明1及び引用例2~3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

2.本願発明1~2,4について

本願発明1~2,4は,本願発明3と同じく「前記無電解Auめっき皮膜表面の表面粗さRaが0.050μm以下であり,前記無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜,または無電解Niめっき皮膜/無電解Pdめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜による電極膜の被覆率が99%以上である」との技術的事項を備える発明であるから,本願発明3と同じ理由により,当業者であっても,引用発明1及び引用例2~3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断

原査定は,請求項1~4について上記引用例1~3に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。

しかしながら,令和3年10月22日提出の手続補正書により補正された本願の請求項1~4は,それぞれ「前記半導体装置は,前記無電解Auめっき皮膜表面の表面粗さRaが0.050μm以下であり,前記無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜,または無電解Niめっき皮膜/無電解Pdめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜による電極膜の被覆率が99%以上である」との事項を有するものとなっており,上記のとおり,本願発明1~4は,上記引用発明1及び上記引用例2~3に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。

したがって,原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について

当審では,本願の請求項3及び請求項3を引用する請求項4に係る発明は,発明の詳細な説明に記載されたものではないとの拒絶理由を通知しているが,令和3年10月22日提出の手続補正書による補正により,補正前の請求項3に「前記半導体装置は,前記無電解Auめっき皮膜表面の表面粗さRaが0.050μm以下であり,前記無電解Niめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜,または無電解Niめっき皮膜/無電解Pdめっき皮膜/無電解Auめっき皮膜による電極膜の被覆率が99%以上である,」との限定が付加された結果,この拒絶理由は解消した。

第7 結言

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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2021-006071

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