審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2021-005889

サービス提供装置、サービス提供システム、ネットワークシステム、サービス提供方法およびプログラム

審判番号
2021-005889
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-090899外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年05月07日
審決日
2022年11月29日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 90899「サービス提供装置、サービス提供システム、ネットワークシステム、サービス提供方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月27日出願公開、特開2021-149906〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 8項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、令和2年3月18日を出願日とする特願2020-47127号の特許出願の一部を、令和2年5月25日に分割出願した特願2020-90899号であって、手続の概要は以下のとおりである。

令和2年10月12日(起案日):拒絶理由通知書
令和2年12月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 2月 5日(起案日):拒絶査定
令和3年 5月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 7月 7日(起案日):拒絶理由通知書(当審、最初)
令和4年 9月12日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明

令和4年9月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

【請求項7】(下線は、補正箇所。)

サービス提供者のサービス提供システムから提供される取引対象物の利用権限を記憶するブロックチェーンと通信可能なサービス提供装置であって、

通信端末から前記取引対象物に対する取引要求を受信する取引要求受信手段と、

前記取引対象物の前記利用権限の変更要求を、前記ブロックチェーンに対して送信する変更要求送信手段と、

前記変更要求に応じて前記ブロックチェーンによって変更された利用権限を有する前記通信端末に対して、前記サービス提供システムから前記取引対象物に付随する付随データを提供する提供手段と、

を備えるサービス提供装置。

第3 拒絶の理由

令和4年7月7日付けの当審が通知した拒絶理由のうち、上記補正後の請求項7に対応する補正前の請求項7に対して通知した拒絶の理由は、次のとおりのものである。

本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用例4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用例4

三宅成也、再エネの価値を最大化させるトレーサブルな電力の供給、日本、2019.07.25掲載

URL:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/pdf/033_06_01.pdf

第4 引用例の記載及び引用発明

引用例4には、以下の事項が記載されている。

[図:0001393516000001.jpg]

[図:0001393516000002.jpg]

[図:0001393516000003.jpg]

これらの記載によれば、以下の事項がみてとれる。

(ア)8頁には、表題として「ブロックチェーンで発電所と需要家をつなぐ「ENECTパワープール」」との記載があり、同頁の図を見ると、図の左側に「再エネ発電事業者」、「FIT切れ住宅太陽光プロシューマー」、「EV所有者」などの電力を供給する事業者が記載され、そこから電力は「ENECTパワープール、再エネ電源を集約する共有BGプール」に送られてプールされ、右側の「RE100系企業」、「環境重視の自治体」、「再エネ比率を高めたい新電力」などの需要家に供給されていることが理解できる。

(イ)上記図の上部には、その中央に「ENECTION、ブロックチェーンP2P電力取引システム」(以下、「P2P電力取引システム」という。)と記載され、その上部には「予約にもとづき各発電量と需要量を30分単位で個別にマッチング」と記載されている。

また、P2P電力取引システムの左側の電力を供給する事業者と右側の需要家に向かって破線矢印が記載され、これとは別に、下方に「マッチング約定結果」と記載された矢印が、「パブリック・ブロックチェーン(NEM)」に向いて記載されている。

したがって、P2P電力取引システムは、予約にもとづき各発電量と需要量を30分単位で個別にマッチングしたマッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーン(NEM)に送る処理を行っていることが理解できる。

(ウ)9頁の右上には、「需要家ごとに希望の電源からどれだけ供給されたかを30分単位で可視化」と記載され、同頁左上の図を見ると、左側の電力を供給する事業者(「青森xx風力」、「xx太陽光」、「xxバイオマス」、「xx市民発電」)から、ユーザー(「xxコーヒー」、「xxJapan」、「xx大学」)に電力が供給されていることが分かる。

上記(ア)とあわせて、電力を供給する事業者は、それぞれ、電源となる装置(「再エネ発電事業者」であれば「再エネ発電装置」、「FIT切れ住宅太陽光プロシューマー」であれば「住宅太陽光発電装置」、「青森xx風力」であれば「風力発電装置」、「xx太陽光」であれば「太陽光発電装置」など)を備えていることは明らかである。(以下「電源となる装置」を単に「電源」という。)

上記電源からユーザへの電力の移動は、同頁の「発電量と需要量を取得・マッチングしパブリック・ブロックチェーンのトークンにより電気を個別取引化」、電源側の<M>(スマートメータ)(<M>は丸の中にMの文字を示す。以下同じ。)の「30分毎の発電量を計測」及び<M>から発電ウォレットに矢印が記載されていること、「発電kWhに応じて各発電ウォレットにトークンを配布」、中央の「マッチング結果に従いトークン移動」、ユーザ側のスマートメータ<M>から需要ウォレットに矢印が伸び「30分毎」などと記載されていることからみて、電源側で30分ごとに発電量を計測しこれをバランシング・グループにて取得すると、これに見合うトークンを発電ウォレットに配布し、ユーザから30分ごとに需要量を取得すると、発電量と需要量をマッチングし、マッチング結果に応じてこれに見合うトークンを発電ウォレットから需要ウォレットに移動することが理解できる。

ここで、上記9頁におけるマッチングの説明は、上記8頁のP2P電力取引システムの「予約にもとづき各発電量と需要量を30分単位で個別にマッチング」と一致するから、8頁のP2P電力取引システムは、少なくとも、電源から30分ごとの発電量を取得すること、電力需要家側から30分ごとの需要量を取得すること、上記取得した発電量と需要量とにもとづき30分単位でマッチングを行うこと、マッチングした結果をパブリック・ブロックチェーンに送ること、の各処理を行っているといえ、P2P電力取引システムが行うマッチングは、上記9頁に記載されたマッチングであるといえるから、P2P電力取引システムは、バランシング・グループを有するものと認められる。

また、上記P2P電力取引システムにて各処理を行うため、電源と需要家は、それぞれ、P2P電力取引システムが、発電量を取得するための発電量を送信する装置、需要量を取得するための需要量を送信する装置を有していることは明らかであり、「電力需要家側から30分ごとの需要量を取得すること」は、需要家側の需要量を送信する装置から30分ごとの需要量を取得することであるといえる。

(エ)9頁の左下には、「発電量と需要量を取得・マッチングしパブリック・ブロックチェーンのトークンにより電気を個別取引化」の記載があるところ(「パブリックブロックチェーン」の記載については、8頁の「パブリック・ブロックチェーン」の記載に統一した。)、引用例のトークンは、パブリック・ブロックチェーンで発行され、上記発電ウォレットに配布され、マッチング結果に従い需要ウォレットに移動されるトークンであり、パブリック・ブロックチェーンは、P2P電力取引システムから、マッチング約定結果が送られるパブリック・ブロックチェーンであることは明らかであるから、P2P電力取引システムがパブリック・ブロックチェーンに送るマッチング約定結果は、上記(ウ)の発電ウォレットに配布され需要ウォレットに移動されたトークンであることは明らかである。

いいかえると、マッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーンに送ることは、パブリック・ブロックチェーンで発行され、発電ウォレットに配布され、マッチング結果に従い需要ウォレットに移動されるトークンを送ることであるといえる。

そして、9頁の図の最下部に「電力のトラッキングシステムとして特許出願中」とあることから、上記9頁に記載されたシステムは、トラッキングシステムでもあるといえ、「パブリック・ブロックチェーンのトークンにより電気を個別取引化」するものであって、トラッキングするのであるから、パブリック・ブロックチェーンによりトークンの移動をトラッキングしていることは明らかである。よって、上記トークンをパブリック・ブロックチェーンに送ることで、パブリック・ブロックチェーンによりトークンの移動をトラッキングしているといえる。

以上のことから、マッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーンに送ることは、パブリック・ブロックチェーンによりトークンの移動をトラッキングすることであるといえる。

(オ)12頁の図を見ると、Bの例では、トレーサビリティありの電源を指定して、非化石証書(トラッキング付き)を発行していることが理解できるから、9頁に記載されたシステムは、トレーサビリティありの電源を指定して、非化石証書(トラッキング付き)を発行可能であるといえる。

以上のことから、引用例4には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「電力を供給する事業者が備える電源と需要家とP2P電力取引システムとENECTパワープールとパブリック・ブロックチェーンとを備えるシステムであって、
電源から発電される電力をENECTパワープールでプールし、
ENECTパワープールでプールされた電力は需要家に供給され、
P2P電力取引システムは、予約にもとづき各発電量と需要量を30分単位で個別にマッチングし、マッチングしたマッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーンに送る処理を行い、
続きを表示(全18行)
上記予約にもとづき各発電量と需要量を30分単位で個別にマッチングすることは、
電源から30分ごとの発電量を取得すること、
上記取得した発電量に見合うパブリック・ブロックチェーンで発行されたトークンを発電ウォレットに配布すること、
需要家側の需要量を送信する装置から30分ごとの需要量を取得すること、
上記取得した発電量と需要量とにもとづき30分単位でマッチングを行うこと、
上記マッチングの結果として、需要量に見合ったトークンを発電ウォレットから需要ウォレットに移動すること、
であり、
マッチングしたマッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーンに送ることは、
パブリック・ブロックチェーンによりトークンの移動をトラッキングすることであり、
需要家は、30分毎に需要量を送信する装置
を備え、
需要家ごとに希望の電源からどれだけ供給されたかを30分単位で可視化することができ、
トレーサビリティありの電源を指定して、非化石証書(トラッキング付き)を発行可能である、
システム。」

第5 対比

本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。

(ア)引用発明の「電力」は、電源と需要家の間でトークンを介して取引される「取引対象物」であり、上記電源を備える「電力を供給する事業者」は、取引対象物である電力を提供しているから「サービス提供者」であり、「電力を供給する事業者」が備える装置である「電源」は、サービス提供者の「サービス提供システム」であるといえる。

したがって、引用発明の「電力」、「電力を供給する事業者」、「電源」は、それぞれ、本願発明の「取引対象物」、「サービス提供者」、「サービス提供システム」に相当する。

(イ)引用発明の「P2P電力取引システム」と「ENECTパワープール」は、「P2P電力取引システム」が、予約にもとづき各発電量と需要量を30分単位で個別にマッチングし、マッチングしたマッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーンに送る処理を行い、「ENECTパワープール」が「電源から発電される電力をENECTパワープールでプールし」、「ENECTパワープールでプールされた電力は需要家に供給」されるから、引用発明の「P2P電力取引システム」と「ENECTパワープール」は、あわせて、「ブロックチェーンと通信可能」であって、「サービス提供システムから提供される取引対象物」である「電力」を提供する「サービス提供装置」である。

また、引用発明のパブリック・ブロックチェーンは、サービス提供装置の一部であるP2P電力取引システムからマッチング約定結果が送られるから、マッチング約定結果を記憶しているといえる。

また、「上記予約にもとづき各発電量と需要量を30分単位で個別にマッチングすることは、

電源から30分ごとの発電量を取得すること、

上記取得した発電量に見合うパブリック・ブロックチェーンで発行されたトークンを発電ウォレットに配布すること、

需要家側の需要量を送信する装置から30分ごとの需要量を取得すること、

上記取得した発電量と需要量とにもとづき30分単位でマッチングを行うこと、

上記マッチングの結果として、需要量に見合ったトークンを発電ウォレットから需要ウォレットに移動すること、

であり、

マッチングしたマッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーンに送ることは、

パブリック・ブロックチェーンによりトークンの移動をトラッキングすることであ」る。

ここで、「需要量に見合ったトークンを発電ウォレットから需要ウォレットに移動する」ことは、上記移動により、移動前は発電ウォレットで管理されていた電力が、需要ウォレットに移動され、需要家が希望の電源からどれだけ供給されたかを可視化することができるものとなっていることから、トークンに対応する電力が需要家に割り当てられ、需要家で管理され需要家で利用可能な電力となることを示し、電力の利用権限が需要家に変更されることを示すものといえる。

したがって、引用発明における、「マッチング約定結果」は、マッチングの結果として電力の利用権限が需要家に変更された結果を示すものであり、上記マッチング約定結果を記憶することは電力の利用権限を記憶することといえる。

よって、引用発明の「マッチングしたマッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーンに送ること」は、パブリック・ブロックチェーンにマッチング約定結果、すなわち、電力の利用権限を記憶することであって、本願発明の「取引対象物の利用権限を記憶する」ことに相当する。

以上によれば、引用発明の「P2P電力取引システム」と「ENECTパワープール」は、あわせて、本願発明の「サービス提供者のサービス提供システムから提供される取引対象物の利用権限を記憶するブロックチェーンと通信可能なサービス提供装置」に相当する。

(ウ)引用発明では、「P2P電力取引システム」は、「需要家側の需要量を送信する装置から30分ごとの需要量を取得する」から、需要家側にある送信する装置は通信端末と称してもよいことは明らかであって、当該通信端末から需要量を取得する受信手段を有している。

そして、「P2P電力取引システム」は、「上記取得した発電量と需要量とにもとづき30分単位でマッチングを行うこと、/上記マッチングの結果として、需要量に見合ったトークンを発電ウォレットから需要ウォレットに移動すること」を行っているところ、上記移動は、電力の利用権限が需要家に変更されることを示すことは上記のとおりであるから、需要量は、電力が需要家に取引される量を要求する取引要求であるといえる。

したがって、引用発明の「P2P電力取引システム」は、本願発明の「通信端末から前記取引対象物に対する取引要求を受信する取引要求受信手段」に相当する構成を備えているといえる。

(エ)引用発明の「P2P電力取引システム」は、電源の発電量と需要家の需要量とをマッチングし、上記マッチング約定結果はパブリック・ブロックチェーンに送られるから、ブロックチェーンに対して送信する送信手段を備えている。

そして、「P2P電力取引システム」が、パブリック・ブロックチェーンに送信するマッチング約定結果は、上記(イ)のとおり「マッチングの結果として電力の利用権限が需要家に変更された結果」を示すものであり、上記結果を送信することにより、パブリック・ブロックチェーンでは、変更後の利用権限が記憶されるのであるから、P2P電力取引システムからパブリック・ブロックチェーンに対して電力の利用権限が需要家に変更されたことを送信することは、「ブロックチェーン」に「取引対象物(電力)の利用権限の変更要求(利用権限が需要家に変更されたことを記憶させることの要求)」を「送信」するものといえる。

したがって、引用発明の「P2P電力取引システム」は、本願発明の「前記取引対象物の前記利用権限の変更要求を、前記ブロックチェーンに対して送信する変更要求送信手段」に相当する構成を備えているといえる。

(オ)引用発明は、「トレーサビリティありの電源を指定して、非化石証書(トラッキング付き)を発行可能である」。

上記「非化石証書(トラッキング付き)」は、指定された電源からの電力が非化石電源で発電されたものであることを証明するものであるから、前記取引対象物に付随する付随データである。

ここで「マッチングしたマッチング約定結果をパブリック・ブロックチェーンに送ることは、/パブリック・ブロックチェーンによりトークンの移動をトラッキングすることであ」るから、上記「非化石証書(トラッキング付き)」は、ブロックチェーンによりトークンの移動をトラッキングすることにより実現していることが当然想定される。

してみると、本願発明と引用発明とは、「ブロックチェーンを利用して、前記取引対象物に付随する付随データを提供する提供手段」を備えている点で共通する。

もっとも、本願発明の「提供手段」は、「前記変更要求に応じて前記ブロックチェーンによって変更された利用権限を有する前記通信端末に対して、前記サービス提供システムから前記取引対象物に付随する付随データを提供する提供手段」であるところ、引用発明の「提供手段」は、ブロックチェーンを利用している点で本願発明と共通するのみで、「前記変更要求に応じて前記ブロックチェーンによって変更された利用権限を有する前記通信端末に対して、前記サービス提供システムから前記取引対象物に付随する付随データを提供する提供手段」であることは特定されていない点で相違する。

(カ)まとめ(一致点・相違点)

以上の対比によれば、本願発明と引用発明とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

<一致点>

サービス提供者のサービス提供システムから提供される取引対象物の利用権限を記憶するブロックチェーンと通信可能なサービス提供装置であって、

通信端末から前記取引対象物に対する取引要求を受信する取引要求受信手段と、

前記取引対象物の前記利用権限の変更要求を、前記ブロックチェーンに対して送信する変更要求送信手段と、

を備えるサービス提供装置と、

ブロックチェーンを利用して、前記取引対象物に付随する付随データを提供する提供手段を備える、

システム。

<相違点>

本願発明の「提供手段」は、「前記変更要求に応じて前記ブロックチェーンによって変更された利用権限を有する前記通信端末に対して、前記サービス提供システムから前記取引対象物に付随する付随データを提供する提供手段」であるのに対し、引用発明の「提供手段」は、「前記変更要求に応じて前記ブロックチェーンによって変更された利用権限を有する前記通信端末に対して、前記サービス提供システムから前記取引対象物に付随する付随データを提供する提供手段」であるという特定事項を備えていない点。

第6 判断

上記相違点について、判断する。

引用発明の「トレーサビリティありの電源を指定して、非化石証書(トラッキング付き)を発行可能である」の特定事項について検討する。

非化石証書の取引は、通常下図のようにされることが一般的に周知の事項であるところ、これを、引用発明に当てはめると、同図の「再生エネ発電所」、「非化石価値取引市場、小売電力事業者」、「需要家」が、それぞれ、引用発明の「電源」、「P2P電力取引システム」、「需要家」に対応することは明らかであり、引用発明は、トラッキングがブロックチェーンによって行われるものであるから、引用発明において、非化石証書が同図のように、「電源」から、(「非化石価値取引市場、小売電力事業者」を介して)マッチング約定し、電力を供給した需要家(側の装置)に対して提供される構成とし、上記相違点の構成とすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。

本願出願前周知技術の例

[図:0001393516000004.jpg]

再生エネの調達環境を変える「非化石証書」とは?、ニュースイッチ by 日刊工業新聞社[on line]、2018年04月27日、検索日令和4年10月28日

<URL>https://newswitch.jp/p/12756

また、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知の事項から導き出される作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-005889

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決274件(株式会社リコー)
  • 2025-007265拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)ミーティングデバイス、遠隔会議システム
    同じ当事者: 株式会社リコー
  • 2024-020908拒絶査定不服審判 / 2026-06-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ロボット
    同じ当事者: 株式会社リコー
  • 2023-020100拒絶査定不服審判 / 2026-05-12 / 請求不成立液滴吐出装置用の液セット
    同じ当事者: 株式会社リコー
  • 2024-017031拒絶査定不服審判 / 2026-05-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)エレクトロクロミック素子
    同じ当事者: 株式会社リコー
  • 2025-013712拒絶査定不服審判 / 2026-04-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)細胞含有容器及び神経系細胞含有スフェロイドの製造方法
    同じ当事者: 株式会社リコー
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,129件(121・G06Q)
  • 2025-007249拒絶査定不服審判 / 2026-08-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)顧客管理装置、顧客管理方法、及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q
  • 2026-004837拒絶査定不服審判 / 2026-08-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q
  • 2025-013567拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
    共通の審決分類: 121・G06Q
  • 2025-011274拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)案内ロボット制御装置、案内ロボット制御方法、及びコンピュータプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q
  • 2024-007053拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)機器性能値予測方法、システム、およびプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存