2021-005760
マルチ変調ディスプレイにおいて局所暗化するシステム及び方法
- 審判番号
- 2021-005760
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-187269外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年05月06日
- 審決日
- 2022年07月04日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 【請求人代理人】本田 淳
- 分類
- P18 .537-WZ (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第44条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成26年10月29日を国際出願日とする外国語特許出願の特願2016-552225号(パリ条約による優先権主張2013年11月3日、アメリカ合衆国)の一部を、特許法44条1項の規定により平成30年10月2日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
同年12月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月11日 :手続補正書(方式)の提出
同年 7月 5日付け:前置報告書
同年 8月11日 :上申書
同年 5月 2日 :意見書の提出
なお、令和4年2月3日付けで合議体が通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、同年5月2日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年5月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】プロジェクタ・ディスプレイ・システムであって、光源と、入力画像データを受信し、制御信号を出力するコントローラと、続きを表示(全14行)前記光源から光を受け取る第1の変調器であって、前記第1の変調器が、前記制御信号を前記コントローラから受信して入力画像のバイナリハーフトーン画像をレンダリングするように構成されている、前記第1の変調器と、前記第1の変調器から受信した前記バイナリハーフトーン画像をぼやけさせるブラーリング光学システムと、ブラーハーフトーン画像を前記ブラーリング光学システムから受信し、前記制御信号を前記コントローラから受信して所望のスクリーン画像を形成するように投射されるパルス幅変調画像をレンダリングするように構成された第2の変調器とを備え、システムは、前記入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張して拡張入力画像xd(m,n)を生成し、ディザパターンの閾値htLevel(m,n)に基づいて上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)を決定し、ここで、xd(m,n)>htLevel(m,n)の場合、bu(m,n)=xd(m,n)であり、前記入力画像の輝度レベルに前記第2の変調器のコントラスト比を乗算してスケーリングされた入力画像を生成し、前記スケーリングされた入力画像の領域を前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小して縮小入力画像xe(m,n)を生成し、前記閾値htLevel(m,n)に基づいて下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)を決定し、ここで、xe(m,n)≦htLevel(m,n)の場合、bl(m,n)=xe(m,n)であり、前記上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)および前記下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)を点毎のOR演算により結合して前記バイナリハーフトーン画像を生成するように構成されている、プロジェクタ・ディスプレイ・システム。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は請求項1~12に対して通知されたものであるところ、そのうち請求項1についての拒絶理由の概要は、次のとおりである。
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
記
(1) 理由1
請求項1の「前記入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張して拡張入力画像xd(m,n)を生成」、「前記スケーリングされた入力画像の領域を前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小して縮小入力画像xe(m,n)を生成」が表す内容が不明である。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。
(2) 理由2
請求項1の「ディザパターンの閾値htLevel(m,n)に基づいて上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)を決定し、ここで、xd(m,n)>htLevel(m,n)の場合、bu(m,n)=xd(m,n)であり、
前記入力画像の輝度レベルに前記第2の変調器のコントラスト比を乗算してスケーリングされた入力画像を生成し、
前記スケーリングされた入力画像の領域を前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小して縮小入力画像xe(m,n)を生成し、
前記閾値htLevel(m,n)に基づいて下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)を決定し、ここで、xe(m,n)≦htLevel(m,n)の場合、bl(m,n)=xe(m,n)であり、
前記上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)および前記下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)を点毎のOR演算により結合して前記バイナリハーフトーン画像を生成する」が表す内容が不明である。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。
第4 当審の判断
1 理由1について
(1) 明細書の記載
本願明細書には、ブラーカーネル、拡張入力画像及び縮小入力画像について、以下記載されている。なお、下線は当審合議体によるものである。
「 【0036】(4)小さなハロー:ハローは、暗い背景上の明るい物体の周囲の暗クリッピングである。暗い背景上の小さく明るい物体は明クリッピングされないため、明るい物体でのブラーライトフィールドは、その明るい物体よりも大きくなり得る。ライトフィールドは低減された空間帯域幅を有するため、明るい物体のごく近くは暗くないことがある。明るい物体に近いライトフィールドのレベルは、主DMDによって可能な限り低減し得るが、それでもなお所望のスクリーンレベルよりも大きく、暗クリッピングを生じさせることがある。幾つかの場合、暗クリッピングは、トゥルーブラックを超えるレベルを表し得、暗細部の損失及びコントラストの消失を示すことが多い。ハローは、暗クリッピングによって生じる主な視覚的アーチファクトであるが、暗クリッピングは、ブラーライトフィールドが高コントラスト高周波数パターンを表すことができない任意の局所領域で生じるおそれがある。局所領域の空間的広がりは、ライトフィールドの帯域幅によって決まり得、ライトフィールドの帯域幅はブラーカーネル又はPSFのサイズによって決まり得る。」
「 【0051】この実施形態では、ハーフトーン画像は、空間ディザパターンを使用することによって形成し得る。ディザパターンは、ピクセルの矩形ブロックにわたって定義し得、パターンをタイリング(tiling)することによって画像フレーム全体にわたって繰り返し得る。ブラーカーネルはパターンを平滑化するため、パターンのサイズは、ブラーカーネルのサイズに関連し得る。カーネルのサイズは、最小非ゼロ光レベルも決め得る。例えば、ディザパターンの1つのピクセルをオンにし、他の全てピクセルをオフにすることで、最小レベルが生成され得る。」
「 【0054】【表2】[図:0001391375000001.jpg]この実施形態では、任意の特定の入力ピクセルについて、ブラーハーフトーン画像の対応するピクセルのレベルはより高くあるべきである。そのピクセルで所望のより高いレベルを達成するために、ブラーカーネルの空間的広がり内の入力画像の全ての近傍ピクセルは評価され得る。例えば、所望のレベル未満のレベルを有する任意の近傍ピクセルはオンにされ得る。この情報の一実施形態は以下のように実施され得る。」
「 【0059】図3Aは、適切なバイナリハーフトーン画像を生成する方法の一実施形態を示す。ハーフトーン画像モジュール300は、入力画像データ301を受信し得、302において、画像データをブラーカーネルの広がりまで拡張して、拡張入力画像x(m,n)を生成し得る。その結果生成されるバイナリハーフトーン画像b(m,n)は、x(m,n)>htLevel(m,n)の場合、b(m,n)=1に設定され得、ここで、htLevel(m,n)はマップとして表2の値として与えられ得る。例えば、バイナリハーフトーン画像b(m,n)は、画像フレーム全体にわたってタイリングされる。バイナリハーフトーン画像はb(m,n)として返され得る。図3Aに示されるような実施形態は、特殊な条件及び/又は簡略化された条件下のライトフィールドの場合(例えば、ライトフィールドが完全にオンになっている場合)、利用し得る。【0060】一実施形態では、拡張演算子が利用されて、最小上限に近いものが達成され得る。他の実施形態は、カーネル下の要素の最大を提供し得る非線形フィルタを利用し得る。続きを表示(全16行)上限及び下限を利用する実施形態ライトフィールドが完全オン以外である(例えば、光は、本明細書で考察する理由により、完全オン未満の何らかのグレースケール値である)状況では、上限及び下限を利用することが望ましいことがある。【0061】図3Bは、バイナリハーフトーン画像の上限を特定する一方法を示す。入力画像301はブロック302に入力され得、ブロック302はブラーカーネルの広がりまで拡張する。その中間結果は、304bにおいて閾値を受け得る(すなわち、b(m,n)は、htLevel(m,n)よりも高い場合、x(m,n)に設定され得る)。このブロックは、303bにおいて、上限バイナリハーフトーン画像を設定する。【0062】一実施形態では、上限バイナリハーフトーン画像がこの方法によって見つけられる場合、入力画像ピクセルが明クリッピングされない可能性が高い。しかし、幾つかのピクセルは暗クリッピングされ得る。【0063】図3Cは、バイナリハーフトーン画像の下限を特定する一方法を示す。下限バイナリハーフトーン画像は、上限画像と同様にして見つけられる。同じディザパターン及び閾値マップが、各閾値に1レベルのオフセットが追加された状態で使用し得る。入力画像を拡張させるのではなく、入力画像は縮小され得る。縮小とは拡張と同様のプロセスであるが、縮小は暗ピクセルの周囲で行われ得る。例えば、システムが画像を反転させ、次に拡張を通常通り実行し、次に、結果として生成された画像を再び反転させる場合、その結果は画像の縮小である。拡張の場合、円盤等の何らかの形状によって画定されるピクセル近傍の幾らかの領域では、その他のピクセルがこのピクセルよりも高い場合、その他のピクセルをこのピクセルのレベルに設定することが可能である。縮小の場合、同じことを行うことが可能であるが、その他のピクセルがこのピクセルのレベル未満である場合、その他のピクセルをこのピクセルのレベルに設定する。拡張は、ピクセルを局所領域の最大に設定する傾向があり、縮小はピクセルを局所領域の最小に設定する傾向がある。その後、対応する拡張画像ピクセルが閾値よりも大きい場合、ハーフトーンピクセルをオンにするのではなく、対応する拡張画像ピクセルが閾値未満の場合、ハーフトーンピクセルはオフにされ得る。【0064】図3Cでは、入力画像301は、主DMD305のコントラスト比で乗算されて(306において)、主DMDが下限を達成し得るライトフィールドレベルを確立する。画像は、302cにおいて縮小され得、304cに示されるように閾値処理され得る。入力画像のこのスケーリングは、画像レベルを大幅に増大させ、一般的な画像で非常に多くの場合、レベルを最大ライトフィールドレベルよりも高くする。ライトフィールドは、これが該当するあらゆる場所で最大レベルに設定し得る。【0065】下限バイナリハーフトーン画像がこの方法によって見つけられる場合、入力画像ピクセルは暗クリッピングされない可能性が高いが、幾つかの入力画像ピクセルは明クリッピングされ得る。」
「 【0109】(中略)以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。(中略)続きを表示(全18行)[付記2]プロジェクタ・ディスプレイ・システムにおいて入力画像データから所望のスクリーン画像を投射する方法であって、前記プロジェクタ・ディスプレイ・システムは、光源と、入力画像データを受信し、制御信号を出力するコントローラと、前記コントローラから制御信号を受信し、前記光源から光を受け取る前置変調器と、前記前置変調器から光を受け取るブラーリング光学システムと、制御信号を前記コントローラから受信し、光を前記ブラーリング光学システムから受け取る主変調器とを備え、前記方法は、前記入力画像データからバイナリハーフトーン画像を作成すること、前記バイナリハーフトーン画像からブラーバイナリハーフトーン画像を作成すること、前記ブラーバイナリハーフトーン画像からパルス幅変調画像を作成すること、前記パルス幅変調画像から所望のスクリーン画像を投射することを含み、前記入力画像データからバイナリハーフトーン画像を作成することは、前記入力画像データから空間ディザパターンを作成することを更に含む、方法。[付記3]前記入力画像データから空間ディザパターンを作成することは、ブラーカーネル範囲まで前記入力画像データを拡張させること、拡張画像データを閾値処理して、バイナリ値にすることを更に含む、付記2に記載の方法。」
(2) 理由1についての当審の判断
「前記入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張」すること、及び「前記スケーリングされた入力画像の領域」を「前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小」することについて、「入力画像」と「ブラーカーネル」とにより、どのような演算等により画像処理を行い、どのような画像を生成するかについて、上記(1)の明細書の記載事項及び明細書のその他の記載のいずれにも、何も説明されておらず、また技術常識ともいえないため、これらの記載が表す技術内容が不明である。
(3) 請求人の主張について
意見書における請求人の主張、及び当該主張に対する当審合議体の見解は、次のとおりである。
ア 主張1-1及び1-2
(ア) 請求人の主張
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請求人は、意見書1頁33行~2頁46行において、次の主張をしている(以下「主張1-1」という。また、下線は、請求人が付した。以下同様である。)。
「本願明細書の段落[0061]には、「図3Bは、バイナリハーフトーン画像の上限を特定する一方法を示す。入力画像301はブロック302に入力され得、ブロック302はブラーカーネルの広がりまで拡張する。その中間結果は、304bにおいて閾値を受け得る(すなわち、b(m,n)は、htLevel(m,n)よりも高い場合、x(m,n)に設定され得る)。このブロックは、303bにおいて、上限バイナリハーフトーン画像を設定する。」と記載され(下線部は強調表示)、段落[0063]には、「図3Cは、バイナリハーフトーン画像の下限を特定する一方法を示す。下限バイナリハーフトーン画像は、上限画像と同様にして見つけられる。同じディザパターン及び閾値マップが、各閾値に1レベルのオフセットが追加された状態で使用し得る。入力画像を拡張させるのではなく、入力画像は縮小され得る。縮小とは拡張と同様のプロセスであるが、縮小は暗ピクセルの周囲で行われ得る。例えば、システムが画像を反転させ、次に拡張を通常通り実行し、次に、結果として生成された画像を再び反転させる場合、その結果は画像の縮小である。拡張の場合、円盤等の何らかの形状によって画定されるピクセル近傍の幾らかの領域では、その他のピクセルがこのピクセルよりも高い場合、その他のピクセルをこのピクセルのレベルに設定することが可能である。縮小の場合、同じことを行うことが可能であるが、その他のピクセルがこのピクセルのレベル未満である場合、その他のピクセルをこのピクセルのレベルに設定する。拡張は、ピクセルを局所領域の最大に設定する傾向があり、縮小はピクセルを局所領域の最小に設定する傾向がある。その後、対応する拡張画像ピクセルが閾値よりも大きい場合、ハーフトーンピクセルをオンにするのではなく、対応する拡張画像ピクセルが閾値未満の場合、ハーフトーンピクセルはオフにされ得る。」と記載され(下線部は強調表示)、段落[0051]には、「この実施形態では、ハーフトーン画像は、空間ディザパターンを使用することによって形成し得る。ディザパターンは、ピクセルの矩形ブロックにわたって定義し得、パターンをタイリング(tiling)することによって画像フレーム全体にわたって繰り返し得る。ブラーカーネルはパターンを平滑化するため、パターンのサイズは、ブラーカーネルのサイズに関連し得る。」と記載されている(下線部は強調表示)。したがって、上記の記載から、当業者であれば、「入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張」は、入力画像の領域(ディザパターンのサイズ)をブラーカーネルの空間的範囲(ブラーカーネルの最大の局所領域)まで拡張することを意味し、「入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで縮小」は、入力画像の領域(ディザパターンのサイズ)をブラーカーネルの空間的範囲(ブラーカーネルの最小の局所領域)まで縮小することを意味していると理解することができるものと思料する。そして、上記の記載から、当業者であれば、拡張が、円盤等の何らかの形状によって画定されるピクセル近傍の幾らかの領域では、その他のピクセルがこのピクセルよりも高い場合(即ち、xd(m,n)>htLevel(m,n))、その他のピクセルをこのピクセルのレベルに設定することであり、縮小が、その他のピクセルがこのピクセルのレベル未満である場合(即ち、xe(m,n)≦htLevel(m,n))、その他のピクセルをこのピクセルのレベルに設定することであることを理解することができるものと思料する。また、縮小については、拡張と同様のプロセスであるが、縮小は暗ピクセルの周囲で行われ得、例えば、システムが画像を反転させ、次に拡張を通常通り実行し、次に、結果として生成された画像を再び反転させる場合、その結果が画像の縮小となるような1つの例としてのやり方があることを、当業者であれば、理解することができるものと思料する。よって、「前記入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張」すること、及び「前記スケーリングされた入力画像の領域」を「前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小」することについて、明細書の記載を参酌すれば、閾値(htLevel(m,n))を用いた演算により画像処理することにより「拡張」や「縮小」を行うことができることが明確であるものと思料する。」
また、請求人は、意見書3頁24行~44行において、次の主張をしている(以下「主張1-2」という。)。
「上記で意見を述べたように、「入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張」は、入力画像の領域(ディザパターンのサイズ)をブラーカーネルの空間的範囲(ブラーカーネルの最大の局所領域)まで拡張することを意味し、「入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで縮小」は、入力画像の領域(ディザパターンのサイズ)をブラーカーネルの空間的範囲(ブラーカーネルの最小の局所領域)まで縮小することを意味していることから、入力画像の領域をブラーカーネルの最大の局所領域に設定するか、または最小の局所領域に設定することが明細書には記載されていると解釈できることから、本願の明細書の入力画像に関する「拡張」、「縮小」の用語は技術的に適切であるものと思料する。また、本願明細書の段落[0061]および図3Bには、入力画像の拡張処理により上限バイナリハーフトーン画像を決定するフローが説明および示され、段落[0063]および図3cには、入力画像の縮小処理により下限バイナリハーフトーン画像を決定するフローが説明および示されていることから、「拡張入力画像」および「縮小入力画像」の生成処理が別々に行われることは明らかであり、「拡張入力画像」および「縮小入力画像」の個々の生成処理において、上記で意見を述べたように、閾値(htLevel(m,n))を用いた演算により「拡張」や「縮小」を行うことができることも明確であり、当業者であれば、上記の技術事項を理解することができるものと思料する。よって、請求項1に記載された「前記入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張して拡張入力画像xd(m,n)を生成」、「前記スケーリングされた入力画像の領域を前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小して縮小入力画像xe(m,n)を生成」は明確であるものと思料する。」
(イ) 主張1-1及び1-2についての当審合議体の見解
a 請求人は、「前記入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張」すること、及び「前記スケーリングされた入力画像の領域」を「前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小」することについて、明細書の記載を参酌すれば、閾値(htLevel(m,n))を用いた演算により画像処理することにより「拡張」や「縮小」を行うことができることが明確であると主張しており、要するに、「拡張」や「縮小」のための演算処理は、閾値(htLevel(m,n))を用いた演算処理のことであると主張しているものと理解される。
b(a) しかしながら、段落【0063】には、「拡張は、ピクセルを局所領域の最大に設定する傾向があり、縮小はピクセルを局所領域の最小に設定する傾向がある。その後、対応する拡張画像ピクセルが閾値よりも大きい場合、ハーフトーンピクセルをオンにするのではなく、対応する拡張画像ピクセルが閾値未満の場合、ハーフトーンピクセルはオフにされ得る。」と記載されており、「拡張画像ピクセル」と「閾値」の大小を比較していること、すなわち、拡張のための演算処理を行った後に、閾値を用いた演算処理を行っていることが読み取れるから、これらの演算処理が同じ演算処理でないことは明らかである。
(b) そして、請求項1、段落【0059】、【図3-1】、【図3-2】の記載によれば、「拡張」や「縮小」のための演算処理は、拡張入力画像xd(m,n)や縮小入力画像xe(m,n)を生成するものであって、閾値(htLevel(m,n))を用いた演算処理は、拡張入力画像xd(m,n)や縮小入力画像xe(m,n)から、上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)や下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)を生成するものであることが読み取れるから、当該記載からも、これらの演算が同じ演算処理でないことは明らかである。
(c) そうすると、「拡張」や「縮小」のための演算処理は、閾値を用いた演算処理と同じ演算処理であるから、どのような演算処理であるのか明確であるとの請求人の上記主張は、明細書の記載と矛盾しており、明細書の記載に基づくものでないから採用できない。
c また、請求人は、「拡張」とはブラーカーネルの空間的範囲(最大の局所領域)まで拡張すること、「縮小」とはブラーカーネルの空間的範囲(最小の局所領域)まで縮小することを意味すると主張しているが、「入力画像の領域」の大きさと、「ブラーカーネルの最大の局所領域」及び「ブラーカーネルの最小の局所領域」の大きさの関係について不明であり、明細書に記載されておらず自明でもないから、本願請求項1の「拡大」及び「縮小」が表す内容が依然として不明であるから、これについても採用できない。
(4) 小括
以上検討のとおり、前記主張1-1及び1-2は、採用できないものであり、前記理由1についての当審の判断を左右するものではない。
したがって、請求項1に記載の「前記入力画像の領域をブラーカーネルの空間的範囲まで拡張」すること、「前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小」することは、明細書の記載及び意見書における主張を参酌しても、依然として、その意味は明確でない。
2 理由2について
(1) 明細書の記載
本願明細書には、バイナリハーフトーン画像を生成することについて、以下記載されている。なお、下線は当審合議体によるものである。
「 【0054】【表2】[図:0001391375000002.jpg]」
「 【0059】図3Aは、適切なバイナリハーフトーン画像を生成する方法の一実施形態を示す。ハーフトーン画像モジュール300は、入力画像データ301を受信し得、302において、画像データをブラーカーネルの広がりまで拡張して、拡張入力画像x(m,n)を生成し得る。その結果生成されるバイナリハーフトーン画像b(m,n)は、x(m,n)>htLevel(m,n)の場合、b(m,n)=1に設定され得、ここで、htLevel(m,n)はマップとして表2の値として与えられ得る。例えば、バイナリハーフトーン画像b(m,n)は、画像フレーム全体にわたってタイリングされる。バイナリハーフトーン画像はb(m,n)として返され得る。図3Aに示されるような実施形態は、特殊な条件及び/又は簡略化された条件下のライトフィールドの場合(例えば、ライトフィールドが完全にオンになっている場合)、利用し得る。」
「 【0061】図3Bは、バイナリハーフトーン画像の上限を特定する一方法を示す。入力画像301はブロック302に入力され得、ブロック302はブラーカーネルの広がりまで拡張する。その中間結果は、304bにおいて閾値を受け得る(すなわち、b(m,n)は、htLevel(m,n)よりも高い場合、x(m,n)に設定され得る)。このブロックは、303bにおいて、上限バイナリハーフトーン画像を設定する。」
「 【0063】図3Cは、バイナリハーフトーン画像の下限を特定する一方法を示す。下限バイナリハーフトーン画像は、上限画像と同様にして見つけられる。同じディザパターン及び閾値マップが、各閾値に1レベルのオフセットが追加された状態で使用し得る。入力画像を拡張させるのではなく、入力画像は縮小され得る。縮小とは拡張と同様のプロセスであるが、縮小は暗ピクセルの周囲で行われ得る。例えば、システムが画像を反転させ、次に拡張を通常通り実行し、次に、結果として生成された画像を再び反転させる場合、その結果は画像の縮小である。拡張の場合、円盤等の何らかの形状によって画定されるピクセル近傍の幾らかの領域では、その他のピクセルがこのピクセルよりも高い場合、その他のピクセルをこのピクセルのレベルに設定することが可能である。縮小の場合、同じことを行うことが可能であるが、その他のピクセルがこのピクセルのレベル未満である場合、その他のピクセルをこのピクセルのレベルに設定する。拡張は、ピクセルを局所領域の最大に設定する傾向があり、縮小はピクセルを局所領域の最小に設定する傾向がある。その後、対応する拡張画像ピクセルが閾値よりも大きい場合、ハーフトーンピクセルをオンにするのではなく、対応する拡張画像ピクセルが閾値未満の場合、ハーフトーンピクセルはオフにされ得る。【0064】図3Cでは、入力画像301は、主DMD305のコントラスト比で乗算されて(306において)、主DMDが下限を達成し得るライトフィールドレベルを確立する。画像は、302cにおいて縮小され得、304cに示されるように閾値処理され得る。入力画像のこのスケーリングは、画像レベルを大幅に増大させ、一般的な画像で非常に多くの場合、レベルを最大ライトフィールドレベルよりも高くする。ライトフィールドは、これが該当するあらゆる場所で最大レベルに設定し得る。」
「 【0066】上限及び下限を結合してハーフトーン画像及びライトフィールドを形成本明細書に記載の規則に従い、上限及び下限バイナリハーフトーン画像は結合されて、ハーフトーン画像及びライトフィールドを形成し得る。図3Dに示されるように、上限画像303b及び下限画像303cは、バイナリハーフトーン画像(303d)が上限画像及び下限画像のうちの大きい方になり得るように、点毎にOR演算し得る(302dにおいて)。」
「【図3-1】[図:0001391375000003.jpg]」
「【図3-2】[図:0001391375000004.jpg]」
上記記載事項を総合すると、バイナリハーフトーン画像を生成することに関して、以下の事項が読み取れる。
ア 受信した入力画像データ301を、ブラーカーネルの広がりまで拡張して、拡張入力画像x(m,n)を生成する(【0059】)。バイナリハーフトーン画像b(m,n)は、x(m,n)>htLevel(m,n)の場合、b(m,n)=1に設定され得、ここで、htLevel(m,n)はマップとして表2の値として与えられ得る(【0054】、【0059】)。
イ 上限バイナリハーフトーン画像は、b(m,n)は、htLevel(m,n)よりも高い場合、x(m,n)に設定され得る(【0061】)。また、【図3-1】のBには、b(m,n)=x(m,n)>htLevel(m,n)の式が示されている。
ウ 下限バイナリハーフトーン画像は、上限画像と同様にして見つけられる。同じディザパターン及び閾値マップが、各閾値に1レベルのオフセットが追加された状態で使用し得る(【0063】)。受信した入力画像301を、主DMD305のコントラスト比で乗算し、縮小され得、閾値処理され得る(【0064】)。また、【図3-2】のCには、閾値処理の式として、b(m,n)=x(m,n)≦htLevel(m,n)が示されている。
エ 上限及び下限バイナリハーフトーン画像は結合されて、ハーフトーン画像を形成し得る。上限画像303b及び下限画像303cは、バイナリハーフトーン画像(303d)が上限画像及び下限画像のうちの大きい方になり得るように、点毎にOR演算し得る(302dにおいて)(【0066】)。
(2) 理由2についての当審の判断
ア 請求項1には、「ディザパターンの閾値htLevel(m,n)に基づいて上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)を決定し、ここで、xd(m,n)>htLevel(m,n)の場合、bu(m,n)=xd(m,n)であり」と記載されている。
しかしながら、拡張入力画像xd(m,n)は、上記1に示したとおり、入力画像にどのような演算処理を行って算出した値か不明であり、その値が、通常の階調値で示される値か、1か0で示されるハーフトーン画像の値なのか明らかでなく、さらに上記(1)のアで示したとおり、htLevel(m,n)が、段落【0054】の表2で示されたものである場合、閾値は正規化されているから、0から1の間の閾値となっており、xd(m,n)と、0から1の間の閾値と比較して、どのような値が得られるのかも不明である。
そして、上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)は、通常1か0で表現されるバイナリハーフトーン画像であるとすると、xd(m,n)が通常の階調値である場合、すなわち1か0の値でない場合に、bu(m,n)=xd(m,n)であるという意味も明らかでない。
よって、請求項1に記載の「上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)」が、どのような値であるのか明らかでない。
イ 請求項1には、「前記入力画像の輝度レベルに前記第2の変調器のコントラスト比を乗算してスケーリングされた入力画像を生成し、前記スケーリングされた入力画像の領域を前記ブラーカーネルの空間的範囲まで縮小して縮小入力画像xe(m,n)を生成し、前記閾値htLevel(m,n)に基づいて下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)を決定し、ここで、xe(m,n)≦htLevel(m,n)の場合、bl(m,n)=xe(m,n)であり」と記載されている。
しかしながら、上記アと同様、縮小入力画像xe(m,n)は、スケーリングされた入力画像にどのような演算処理を行って算出した値か不明であり、その値が、通常の階調値で示される値か、1か0で示されるハーフトーン画像の値なのか明らかでなく、さらに上記(1)のア及びウで示したとおり、htLevel(m,n)が、段落【0054】の表2で示された各閾値に1レベルのオフセットが追加されたものであったとすると、1から2の間の閾値となるところ、xe(m,n)と、1から2の間の閾値と比較して、どのような値が得られるのかも不明である。
そして、下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)は、通常1か0で表現されるバイナリハーフトーン画像であるところ、xe(m,n)が通常の階調値である場合、すなわち1か0の値でない場合に、bl(m,n)=xe(m,n)であるという意味も明らかでない。
よって、請求項1に記載の「下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)」が、どのような値であるのか明らかでない。
ウ 請求項1には、「前記上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)および前記下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)を点毎のOR演算により結合して前記バイナリハーフトーン画像を生成する」と記載されている。
しかしながら、上記ア及びイで示したとおり、「上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)」及び「下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)」がどのような値であるか不明である以上、そのOR演算により結合された「バイナリハーフトーン画像」についても、当然どのような値であるのか明らかでない。
また、【0059】には、バイナリハーフトーン画像b(m,n)は、x(m,n)>htLevel(m,n)の場合、b(m,n)=1とすると記載されており、上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)及び下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)の点毎のOR演算により生成しているものでないから、バイナリハーフトーン画像b(m,n)が、OR演算により生成されるのか、OR演算により生成されないのかが明らかでない。
(3) 請求人の主張について
意見書における請求人の主張及び当該主張に対する当審合議体の見解は、次のとおりである。
ア 主張2
(ア) 請求人の主張
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請求人は、意見書4頁22~45行において、次の主張をしている(以下「主張2」という。)。
「本願明細書の段落[0059]には、「図3Aは、適切なバイナリハーフトーン画像を生成する方法の一実施形態を示す。ハーフトーン画像モジュール300は、入力画像データ301を受信し得、302において、画像データをブラーカーネルの広がりまで拡張して、拡張入力画像x(m,n)を生成し得る。その結果生成されるバイナリハーフトーン画像b(m,n)は、x(m,n)>htLevel(m,n)の場合、b(m,n)=1に設定され得、ここで、htLevel(m,n)はマップとして表2の値として与えられ得る。例えば、バイナリハーフトーン画像b(m,n)は、画像フレーム全体にわたってタイリングされる。バイナリハーフトーン画像はb(m,n)として返され得る。」と記載され(下線部は強調表示)、段落[0103]には、「例えば、10×10ピクセル格子で繰り返されて、比較的平坦な場を達成するPSFでは、100個の前置ピクセルのうちの1つをオンにする必要があり得る。最初の非ゼロレベルは1/100になり、ハーフトーンタイルサイズは10×10になり、離散レベルの数は101になる。」と記載されている(下線部は強調表示)。上記の記載から、拡張入力画像x(m,n)の場合、上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)は、タイルの単位で、htLevel(m,n)のマップ(表2)を用いて、xd(m,n)>htLevel(m,n)の場合、xd(m,n)の値(即ち、上限値「1」)が設定され、それ以外の場合、「0」が設定され、縮小入力画像xe(m,n)の場合、下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)は、タイルの単位で、htLevel(m,n)のマップ(表2)を用いて、xe(m,n)≦htLevel(m,n)の場合、xe(m,n)の値(即ち、下限値「1」)が設定され、それ以外の場合、「0」が設定されることは、当業者であれば理解することができるものと思料する。よって、「上限バイナリハーフトーン画像」又は「下限バイナリハーフトーン画像」が算出される方法、およびbu(m,n)=xd(m,n)及びbl(m,n)=xe(m,n)の数式が示す事項は明確であるものと思料する。」
(イ) 主張2についての当審合議体の見解
請求人は、【0059】の記載から、「上限バイナリハーフトーン画像」又は「下限バイナリハーフトーン画像」が算出される方法は明確であると主張しているが、【0059】の記載は、上限及び下限バイナリハーフトーン画像の算出についての記載ではなく、「バイナリハーフトーン画像」の算出についての記載であり、この記載から、一義的に上限又は下限バイナリハーフトーン画像の算出方法が導出されるともいえない。
また、請求人は、拡張入力画像x(m,n)の場合、上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)は、xd(m,n)>htLevel(m,n)の場合、xd(m,n)の値(即ち、上限値「1」)が設定され、それ以外の場合、「0」が設定され、縮小入力画像xe(m,n)の場合、下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)は、xe(m,n)≦htLevel(m,n)の場合、xe(m,n)の値(即ち、下限値「1」)が設定され、それ以外の場合、「0」が設定されることは、当業者であれば理解することができると主張しているが、上記1で検討したとおり、そもそも拡張入力画像xd(m,n)及び縮小入力画像xe(m,n)がどのような処理により求められる画像であるのか明確でないから、元となる画像から「上限バイナリハーフトーン画像」又は「下限バイナリハーフトーン画像」を算出することについても明確でないことも明らかである。
よって、当該主張2は採用できない。
イ 主張3
(ア) 請求人の主張
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請求人は、意見書4頁46行~5頁10行において、次の主張をしている(以下「主張3」という。)。
「拒絶理由通知書には、「イ 「上限バイナリハーフトーン画像」又は「下限バイナリハーフトーン画像」が0か1で表現されるものではなく、多階調値で表現されるようなものであった場合、「前記上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)および前記下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)を点毎のOR演算により結合」することの「OR演算」がどのように演算されるものかが技術的に不明である。」と記載されている。そこで、上記の指摘事項に対して以下に意見を述べる。本願明細書の段落[0066]における「上限及び下限を結合してハーフトーン画像及びライトフィールドを形成」に関する記載項目欄には、「本明細書に記載の規則に従い、上限及び下限バイナリハーフトーン画像は結合されて、ハーフトーン画像及びライトフィールドを形成し得る。図3Dに示されるように、上限画像303b及び下限画像303cは、バイナリハーフトーン画像(303d)が上限画像及び下限画像のうちの大きい方になり得るように、点毎にOR演算し得る(302dにおいて)。」と記載されている。上記の記載から、OR演算が、上限バイナリハーフトーン画像bu(m,n)および下限バイナリハーフトーン画像bl(m,n)に対してタイルの単位で点毎に行われるものであることは当業者であれば理解することができるものと思料する。」
(イ) 主張3についての当審合議体の見解
請求人の主張は、当審拒絶理由における、「上限バイナリハーフトーン画像」又は「下限バイナリハーフトーン画像」がどのような数値で表現され、「OR演算」がどのように行われるかについての具体的な釈明を行っていないことから、「上限バイナリハーフトーン画像」又は「下限バイナリハーフトーン画像」が0か1で表現されるものではなく、多階調値で表現されるようなものであった場合に「OR演算」がどのように演算されるものかについて技術的に不明であるとの指摘に対する回答になっていない。
よって、当該主張3は採用できない。
ウ 主張4
(ア) 請求人の主張
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請求人は、意見書5頁18~30行において、次の主張をしている(以下「主張4」という。)。
「上記したように、本願明細書の段落[0059]の記載「図3Aは、適切なバイナリハーフトーン画像を生成する方法の一実施形態を示す。ハーフトーン画像モジュール300は、入力画像データ301を受信し得、302において、画像データをブラーカーネルの広がりまで拡張して、拡張入力画像x(m,n)を生成し得る。その結果生成されるバイナリハーフトーン画像b(m,n)は、x(m,n)>htLevel(m,n)の場合、b(m,n)=1に設定され得、ここで、htLevel(m,n)はマップとして表2の値として与えられ得る。」から、拡張入力画像xd(m,n)がhtLevel(m,n)以下の場合に0が設定されることは当業者であれば容易に理解することができるものと思料する。また、段落[0063]の記載「図3Cは、バイナリハーフトーン画像の下限を特定する一方法を示す。下限バイナリハーフトーン画像は、上限画像と同様にして見つけられる。」の記載から(下線部は強調表示)、縮小入力画像xe(m,n)がhtLevel(m,n)より大きい場合、0が設定されることは当業者であれば容易に理解することができるものと思料する。」
(イ) 主張4についての当審合議体の見解
請求人は、拡張入力画像x(m,n)が、x(m,n)>htLevel(m,n)の場合、バイナリハーフトーン画像b(m,n)=1に設定され得るから、拡張入力画像xd(m,n)がhtLevel(m,n)以下の場合に、0に設定されること、同じく、縮小入力画像xe(m,n)がhtLevel(m,n)より大きい場合、0に設定されることは、当業者であれば容易に理解することができると主張している。
しかしながら、x(m,n)>htLevel(m,n)の場合、b(m,n)=1に設定されることが示されているとしても、そのことから、x(m,n)がhtLevel(m,n)以下の場合、必ず0が一義的に設定されるとは限らず、このことは、縮小入力画像xe(m,n)についても同様である。
よって、当該主張4は採用できない。
(4) 小括
以上検討のとおり、前記主張2~4はいずれも採用できないものであり、前記理由2についての当審の判断を左右するものではない。
したがって、請求項1に記載の「上限バイナリハーフトーン画像」、「下限バイナリハーフトーン画像」、及び、これらの画像のOR演算により生成される「バイナリハーフトーン画像」がどのような画像であるのか、明細書の記載及び意見書における主張を参酌しても、依然として明確でない。
3 まとめ
前記1及び2で検討したとおり、本願の請求項1に係る発明は、明細書の記載及び意見書における主張を参酌しても、依然として明確でない。
第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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