特許拒絶査定不服審判
2021-005607
トラステッドデバイス
- 審判番号
- 2021-005607
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-080786外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年04月30日
- 審決日
- 2022年03月25日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .561-Z (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条、特許法第44条、特許法第164条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 80786「トラステッドデバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月29日出願公開,特開2019-145152〕について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本願は,2014年6月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年6月18日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2016-520737号の一部を,特許法44条1項の規定により,平成31年4月22日に新たな特許出願としたものであって,
平成31年4月22日付けで明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出され,同日付けで審査請求がなされると共に手続補正がなされ,令和2年4月16日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して令和2年8月17日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,令和2年12月23日付けで審査官により拒絶査定がなされ(謄本送達;令和3年1月5日),これに対して令和3年4月30日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,令和3年8月11日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。
第2.令和3年4月30日付けの手続補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年4月30日付け手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
令和3年4月30日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,令和2年8月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】
認証動作によって,装置を物理的に所持しているユーザを認証し,それによって前記装置を認証済み状態に切り替える回路と,
前記装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリングし,前記装置が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記装置の認証済み状態を継続し,前記装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える回路であって,前記ユーザに継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含む,前記装置の物理的な所持をモニタリングする前記回路と,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する回路と,
前記装置が前記認証済み状態にあり且つ前記ユーザに継続して物理的に所持される場合,前記目標デバイスと通信をする回路と,を含む装置。
【請求項2】
さらにボタンを含み,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する前記回路は,ユーザによる前記ボタンの押下に応答して通信を確立するように構成される,
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記目標デバイスは,複数の異なる目標デバイスの1つである,請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記目標デバイスとの前記通信は,アプリケーションプログラムインターフェースキー,デジタル証明書,ユーザ識別標識,パスワードおよび暗号化署名付きデータの一つ以上を含むクレデンシャルを通信することを含む,請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記目標デバイスとの前記通信は,後続の認証において使用可能な,アプリケーションプログラムインターフェースキー,デジタル証明書,ユーザ識別標識,パスワード,チャレンジレスポンスプロトコルの一部として署名のために前記装置に送信されるデータを含む暗号化署名付きデータ,アクセス制御データおよび/または認証データの1つまたは複数を含むクレデンシャルの作成を含む,請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記目標デバイスとの前記通信は,構成データ,パーソナライズ嗜好,ネットワーク設定,規約,領収書,コンピュータプログラム,データログ,取引記録およびクレデンシャルの少なくとも1つを含む情報の転送を含む,請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置はいずれのクレデンシャルを使用すべきかを自動的に選択する,請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記装置はいずれの情報を使用すべきかを自動的に選択する,請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記自動的な選択に使用される自動選択基準はユーザによって構成される,請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は,自動的に行われた選択を手動で変更することを可能にする,請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記装置の前記所持をモニタリングする回路は,
留め具が閉じた状態にあるときに前記ユーザに取り付けられている前記装置を保持するための留め具であって,前記留め具が前記閉じた状態から脱して変化した場合,前記回路が前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える,留め具と, 前記ユーザから検出される電気信号,及び前記装置と前記ユーザとの間の接触領域の温度の一つ以上を使用して前記装置と前記ユーザとの間の接触を検出する回路と,
前記装置および前記ユーザによって装着されている近接性デバイスの近接を検出する回路と,
前記ユーザの化学的特性を検出する化学検出器と,
前記装置が前記装置の物理的に所持の状態にある間に前記ユーザが動いたとして前記装置の動きを検出する回路と,
前記ユーザのインプラントの近接を検出する回路と,
温度センサを有し,前記装置を通る熱流束を検出するように構成された回路と,のうちの少なくとも一つを含む,一つ以上の検出回路を含む,請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置の物理的な所持をモニタリングする回路は,複数の検出回路を含み,前記複数の検出回路からの検出結果を組み合わせて,前記装置が前記ユーザによって物理的に所持されている保持確率を求め,前記保持確率が閾値確率レベルを下回る場合,前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替えるように構成される,請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置の物理的な所持をモニタリングする回路は,前記認証動作からの時間が増大するにつれて前記保持確率を低減するように構成される,請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記認証動作はパスワードを受信し処理することを含む,請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記認証をする回路は,
前記ユーザの一つ以上のバイオメトリック特徴を認識するバイオメトリック認識回路と,
前記ユーザの指紋を認識する指紋認識回路と,前記ユーザの顔を認識する顔認識回路と,
前記ユーザの一つ以上の化学的特性を認識する化学認識回路と,
前記ユーザのECG信号を認識するECG認識回路と,
前記ユーザの一つ以上の生体インピーダンス特性を認識する生体インピーダンス回路と,
前記ユーザの歩行を認識する歩行認識回路と,前記ユーザのインプラントを認識するインプラント認識回路と,
のうちの少なくとも一つを含む,請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記装置の物理的な所持をモニタリングする前記回路は,前記装置が以前の陽性の認証動作から前記ユーザが物理的に保持されたままである確率を示すために保持確率を生成する,請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記目標デバイスと通信する前記回路は,
前記目標デバイスと前記装置との間の,閾値距離に満たない距離の検出と,
前記ユーザが前記目標デバイスに触れていることの検出と,
前記目標デバイスのボタンの前記ユーザによる押下の検出と,
前記目標デバイスを指定するメッセージの受信と,
前記ユーザによるデバイスのリストからの前記目標デバイスの選択と,
のうちの少なくとも一つに応答して前記目標デバイスとの通信をトリガするように構成される,請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記目標デバイスと通信する前記回路は,前記装置と任意の他のデバイスとの間の通信の利用可能性とは無関係に,前記目標デバイスと通信するように構成される,請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記目標デバイスとの前記通信に関連する情報を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む,請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は,ウェアラブルデバイス,および
腕時計の少なくとも1つである,請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記認証された識別標識を使用した前記通信に使用するための識別標識データを記憶するように構成された回路を含み,前記識別標識データは,各々が関連付けられる秘密データを有する一つ以上の公的識別標識識別子を含む,請求項1に記載の装置。
【請求項22】
信頼できる処理の方法であって,
認証回路が,認証動作によって装置を物理的に所持しているユーザを認証し,それによって前記装置を認証済み状態に切り替え,
検出回路が,前記認証動作の後に前記装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリングし,前記装置がユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記装置の認証済み状態を継続し,前記装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替え,前記装置の物理的な所持のモニタリングは,前記装置が前記ユーザに継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含み,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出し,
前記装置が前記認証済みで且つ前記ユーザに継続して物理的に所持された状態にある場合,前記目標デバイスと通信をする,
方法。
【請求項23】
ディスプレイと,
認証動作によって,腕時計を継続して物理的に所持しているユーザを検出し,前記腕時計を継続して物理的に所持しているユーザの検出に応答して,前記腕時計を認証済み状態に切り替える回路と,
前記認証動作の後に前記ユーザによる前記腕時計の継続した物理的な所持をモニタリングし,前記腕時計が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記腕時計の認証済み状態を継続し,前記腕時計が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記腕時計を認証済み状態から脱して切り替える回路であって,前記腕時計の物理的な所持をモニタリングする前記回路は,前記腕時計が継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含む回路と,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する回路と,
前記腕時計が前記認証済み状態にあり且つ前記ユーザに継続して物理的に所持される場合,前記目標デバイスと通信をする回路と,
を含む腕時計。
【請求項24】
前記認証動作はユーザによって入力されたパスワードを受信することを含む,請求項23に記載の腕時計。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】
装置であって,
認証動作によって,前記装置を物理的に所持しているユーザを認証し,それによって前記装置を認証済み状態に切り替える認証回路と,
前記認証動作の後に前記装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリングし,前記装置が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記装置の認証済み状態を継続し,前記装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える保持モニタリング回路であって,前記装置が前記ユーザに継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含む,前記装置の物理的な所持をモニタリングする前記保持モニタリング回路と,
を含み,
前記保持モニタリング回路は,前記装置が以前の認証動作から前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままである保持確率を求め,前記保持確率が閾値確率レベルを下回って降下する場合,前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替えるように構成され,前記認証動作からの時間が増加するにつれて前記装置が前記ユーザに物理的に所持される保持確率を低減するように構成され,
前記装置は,さらに,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する通信回路と,
前記装置が前記認証済み状態にあり且つ前記ユーザに継続して物理的に所持される場合,前記目標デバイスと通信をする通信回路と,を含み,
前記認証回路は,前記ユーザを識別するときに誤判定の許容される確率で認証動作を許容するように構成されており,前記許容される確率は,前記保持確率が増加するにつれて低減する,
装置。
【請求項2】
さらにボタンを含み,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する前記通信回路は,ユーザによる前記ボタンの押下に応答して通信を可能にするように構成される,
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記目標デバイスは,複数の異なるデバイスの1つである,請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記目標デバイスとの前記通信は,アプリケーションプログラムインターフェースキー,デジタル証明書,ユーザ識別標識,パスワードおよび暗号化署名付きデータの1つ以上を含むクレデンシャルを通信することを含む,請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記目標デバイスとの前記通信は,構成データ,パーソナライズ嗜好,ネットワーク設定,規約,領収書,コンピュータプログラム,データログ,取引記録およびクレデンシャルの少なくとも1つを含む情報の転送を含む,請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置はいずれのクレデンシャルを使用すべきかを自動的に選択する,請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記装置はいずれの情報を使用すべきかを自動的に選択する,請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記自動的な選択に使用される自動選択基準はユーザによって構成される,請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は,自動的に行われた選択をユーザが手動で変更することを可能にする,請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記装置の物理的な所持をモニタリングする保持モニタリング回路は,
留め具が閉じた状態にあるときに前記ユーザに取り付けられている前記装置を保持するための留め具であって,前記留め具が前記閉じた状態から脱して変化した場合,前記保持モニタリング回路が前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える,留め具と,
前記ユーザから検出される電気信号,及び前記装置と前記ユーザとの間の接触領域の温度の1つ以上を使用して前記装置と前記ユーザとの間の接触を検出する回路と,
前記装置および前記ユーザによって装着されている近接性デバイスの近接を検出する回路と,
前記ユーザの化学的特性を検出する化学検出器と,
前記装置が前記装置の物理的に所持の状態にある間に前記ユーザが動いたとして前記装置の動きを検出する回路と,
前記ユーザ内のインプラントの近接を検出する回路と,
温度センサを有し,前記装置を通る熱流束を検出するように構成された回路と,のうちの少なくとも1つを含む,1つ以上の検出回路を含む,請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記認証動作はパスワードを受信し処理することを含む,請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記認証をする認証回路は,
前記ユーザの1つ以上のバイオメトリック特徴を認識するバイオメトリック認識回路と,
前記ユーザの指紋を認識する指紋認識回路と,
前記ユーザの顔を認識する顔認識回路と,
前記ユーザの1つ以上の化学的特性を認識する化学認識回路と,
前記ユーザのECG信号を認識するECG認識回路と,
前記ユーザの1つ以上の生体インピーダンス特性を認識する生体インピーダンス回路と,
前記ユーザの歩行を認識する歩行認識回路と,
前記ユーザ内のインプラントを認識するインプラント認識回路と,
のうちの少なくとも1つを含む,請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記装置の物理的な所持をモニタリングする前記保持モニタリング回路は,前記装置が以前の陽性の認証動作から前記ユーザが物理的に保持されたままである確率を示すために保持確率を生成する,請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記目標デバイスと通信する前記通信回路は,
前記目標デバイスと前記装置との間の,閾値距離に満たない距離の検出と,
前記ユーザが前記目標デバイスに触れていることの検出と,
前記目標デバイスのボタンの前記ユーザによる押下の検出と,
前記目標デバイスを指定するメッセージの受信と,
前記ユーザによるデバイスのリストからの前記目標デバイスの選択と,
のうちの少なくとも1つに応答して前記目標デバイスとの通信をトリガするように構成される,請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記目標デバイスと通信する前記通信回路は,前記装置と任意の他のデバイスとの間の通信の利用可能性とは無関係に,前記目標デバイスと通信するように構成される,請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記目標デバイスとの前記通信に関連する情報を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む,請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は,ウェアラブルデバイス,および 腕時計の少なくとも1つである,請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記認証された識別標識を使用した前記通信に使用するための識別標識データを記憶するように構成された回路を含み,前記識別標識データは,各々が関連付けられる秘密データを有する1つ以上の公的識別標識識別子を含む,請求項1に記載の装置。
【請求項19】
信頼できる処理の方法であって,
認証回路が,認証動作によって装置を物理的に所持しているユーザを認証し,それによって前記装置を認証済み状態に切り替えることと,
検出回路が,前記認証動作の後に前記装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリングし,前記装置がユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記装置の認証済み状態を継続し,前記装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替えることであって,前記装置の物理的な所持のモニタリングは,前記装置が前記ユーザに継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含むことと,
を含み,
前記検出回路は,前記装置が以前の認証動作から前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままである保持確率を求め,前記保持確率が閾値確率レベルを下回って降下する場合,前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替えるように構成され,前記認証動作からの時間が増加するにつれて前記装置が前記ユーザに物理的に所持される保持確率を低減するように構成され,
前記方法は,さらに,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出することと,
前記装置が前記認証済みで且つ前記ユーザに継続して物理的に所持された状態にある場合,前記目標デバイスと通信することと,
を含み,
前記認証回路は,前記ユーザを識別するときに誤判定の許容される確率で認証動作を許容するように構成されており,前記許容される確率は,前記保持確率が増加するにつれて低減する,
方法。
【請求項20】
腕時計であって,
ディスプレイと,
認証動作によって,前記腕時計を継続して物理的に所持しているユーザを検出し,前記腕時計を継続して物理的に所持しているユーザの検出に応答して,前記腕時計を認証済み状態に切り替える認証回路と,
前記認証動作の後に前記ユーザによる前記腕時計の継続した物理的な所持をモニタリングし,前記腕時計が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記腕時計の認証済み状態を継続し,前記腕時計が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記腕時計を認証済み状態から脱して切り替える保持モニタリング回路であって,前記腕時計の物理的な所持をモニタリングする前記保持モニタリング回路は,前記腕時計が継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含む保持モニタリング回路と,
を含み,
前記保持モニタリング回路は,前記腕時計が以前の認証動作から前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままである保持確率を求め,前記保持確率が閾値確率レベルを下回って降下する場合,前記腕時計を前記認証済み状態から脱して切り替えるように構成され,前記認証動作からの時間が増加するにつれて前記腕時計が前記ユーザに物理的に所持される保持確率を低減するように構成され,
前記腕時計は,さらに,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する通信回路と,
前記腕時計が前記認証済み状態にあり且つ前記ユーザに継続して物理的に所持される場合,前記目標デバイスと通信をする通信回路と,を含み,
前記認証回路は,前記ユーザを識別するときに誤判定の許容される確率で認証動作を許容するように構成されており,前記許容される確率は,前記保持確率が増加するにつれて低減する,
腕時計。
【請求項21】
前記認証動作はユーザによって入力されたパスワードを受信することを含む,請求項20に記載の腕時計。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。
2.補正の適否
(1)新規事項
本件手続補正が,特許法17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か,即ち,本件手続補正が,平成31年4月22日付けで提出された明細書,請求の範囲の日本語による翻訳文,及び,国際出願の願書に添付した図面(以下,これを「当初明細書等」という)に記載した事項の範囲内でなされたものであるかについて,以下に検討する。
補正後の請求項1に,
「認証回路は,前記ユーザを識別するときに誤判定の許容される確率で認証動作を許容するように構成されており,前記許容される確率は,前記保持確率が増加するにつれて低減する」(以下,これを「引用記載1」という),
と記載されているが,当初明細書等には,引用記載1と同等の記載は存在しない。
そこで,当初明細書等の記載内容から,引用記載1の構成が読み取れるかを検討すると,
当初明細書等には,その段落【0028】に,
「いくつかの実施形態において,保持確率の測度と組み合わさった後続の認証を受けて,それほど正確でない認証動作が許容されてもよいということがあり得,例えば,ユーザが目標デバイスを物理的に所持したままである可能性が高いことを保持確率が示す場合に,たとえさらなる認証動作が要求されているとしても,その新たな認証動作において,そうでない場合よりも高い割合の誤判定が許容されることになる。」(以下,これを「引用記載2」という),
同じく,当初明細書等の段落【0070】に,
「図7は,計算される保持確率(ステップ56)が時間とともにどのように変化し得るかを概略的に示すグラフである。トラステッドデバイスが最初に認証されて認証済み状態になると,保持確率が,再認証をトリガするための閾値を上回る高い値まで増大される。この保持確率はその後,最後に認証されてからの時間とともに漸進的に減少する。AとBとの間の期間において,トラステッドデバイス2がユーザによって物理的に所持されたままであることを,2つの保持検出器が報告している。したがって,保持確率が減衰する割合は低い。時刻BとCとの間で,トラステッドデバイス2がユーザによって継続して物理的に所持されていることを単一の保持検出器のみが適切に報告しており,したがって,保持確率が減衰する割合は増大する。時刻CとDとの間で,2つの検出器が再び,デバイスが継続して保持されていることを報告しており,したがって,減衰する割合は低減するが,それにもかかわらず,時刻Dにおいて再認証をトリガするための閾値まで下降する。時刻Dにおいて,再認証動作がトリガおよび実施されるが,時刻Aの前に行われた最初の認証よりも高い割合の誤判定が許容される。時刻Eにおいて,いずれの保持検出器もデバイスの物理的所持を報告していないことによって,または,デバイスが取り外されていることを時計留め具14のようなマスタ検出器が示すことによって示され得るように,ユーザがデバイスを物理的に所持しなくなる。」(以下,これを「引用記載3」という)
という記載が存在している。
引用記載2の,
「ユーザが目標デバイスを物理的に所持したままである可能性が高いことを保持確率が示す場合に,たとえさらなる認証動作が要求されているとしても,その新たな認証動作において,そうでない場合よりも高い割合の誤判定が許容されることになる」,
という記載内容と,引用記載3の,
「AとBとの間の期間において,トラステッドデバイス2がユーザによって物理的に所持されたままであることを,2つの保持検出器が報告している。したがって,保持確率が減衰する割合は低い。時刻BとCとの間で,トラステッドデバイス2がユーザによって継続して物理的に所持されていることを単一の保持検出器のみが適切に報告しており,したがって,保持確率が減衰する割合は増大する。時刻CとDとの間で,2つの検出器が再び,デバイスが継続して保持されていることを報告しており,したがって,減衰する割合は低減するが,それにもかかわらず,時刻Dにおいて再認証をトリガするための閾値まで下降する。時刻Dにおいて,再認証動作がトリガおよび実施されるが,時刻Aの前に行われた最初の認証よりも高い割合の誤判定が許容される」,
という記載内容から,当初明細書等には,
“保持確率が高い状態が継続していた後の再認証動作においては,高い割合の誤判定が許容される”ものであることが読み取れる。
即ち,上記引用の当初明細書等の記載内容からは,
“保持確率が増加すれば,誤判定が許容される確率が高くなる”
と読める。
したがって,当初明細書等の上記引用の記載内容からは,引用記載1にあるような,
“(誤判定が許容される)確率は,保持確率が増加するにつれて低減する”という構成を読み取ることはできない。
そして,上記引用の当初明細書等の記載内容以外の,当初明細書等の記載内容を検討しても引用記載1の内容を読み取ることはできない。
よって,本件手続補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。
3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,特許法17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3.本願発明について
令和3年4月30日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,令和2年8月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,上記「第2.令和3年4月30日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次のとおりのものである。
「認証動作によって,装置を物理的に所持しているユーザを認証し,それによって前記装置を認証済み状態に切り替える回路と,
前記装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリングし,前記装置が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記装置の認証済み状態を継続し,前記装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える回路であって,前記ユーザに継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含む,前記装置の物理的な所持をモニタリングする前記回路と,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する回路と,
前記装置が前記認証済み状態にあり且つ前記ユーザに継続して物理的に所持される場合,前記目標デバイスと通信をする回路と,を含む装置。」
第4.原審の拒絶査定の理由
原審における令和2年12月23日付けの拒絶査定(以下,これを「原審拒絶査定」という)の拒絶の理由は,この出願の請求項1に係る発明は,本願の原出願の第1国出願前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,本願の原出願の第1国出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
引用文献1:特表2005-538430号公報
引用文献2:特開2001-195145号公報
第5.引用文献に記載の事項及び引用文献に記載の発明
1.引用文献に記載の事項
(1)原審における令和2年4月16日付けの拒絶理由に引用された,本願の原出願の第1国出願前に既に公知である,特表2005-538430号公報(公表日;2005年12月15日,以下,これを「引用文献1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
A.「【0005】
[発明の要約]
使用ベースの状況セキュリティの方法および汎用装置を,説明し提供する。実施形態において,汎用装置を,腕時計として実施する。この腕時計を,認証されたユーザに対し無線トランザクションを補助するように構成し,かつ認証されたユーザの一部を取り巻くよう,認証されたユーザが着用するように,構成する。無線トランザクションは,いかなるタイプ(たとえば,クレジットカードタイプ,デビットカードタイプ,アクセス制御タイプ等)のものであってもよい。さらに,腕時計は,認証されたユーザが腕時計の使用を開始した後にその腕時計を着用し続けるか否かに基づき,腕時計の使用を制御する確認機構を備える。
【0006】
特に,腕時計は,状況セキュリティ確認方式を実行し,そこでは,認証された使用を,腕時計の所有のみでなくその動作状況によっても確定する。動作状況により,腕時計は,その腕時計がアクティブ/セキュアステータス(active/secure status)状態にあるかまた非アクティブ状態にあるかに基づき,無線リンクを介して任意の外部サービス対話を受け入れるかまたは拒否することができるようになる。さらに,腕時計自体のストラップ内にデータチャネルを統合することにより,腕時計の使用を開始した認証されたユーザによりその腕時計が着用されているか否かの確認が可能になる。腕時計を取り外すことにより,その状況セキュリティが無効になって時計が非アクティブ状態になり,無線リンクを介するすべての外部対話が不能になる。」(下線は,当審にて,説明の都合上,付加したものである。以下,同じ。)
B.「【0013】
図1は,本発明の実施形態による腕時計100を示す。本発明の汎用装置100を,認証されたユーザの身体の一部を取り巻くよう,認証されたユーザが着用するように,構成する。実施形態では,汎用装置100を,図1に示すように腕時計100として実施する。別法として,汎用装置100を,腕輪またはアームバンド等,いかなる指,手,腕,足,脚,ウエスト,手首または他の身体着用品として実施してもよい。腕時計100は他の構成を有してもよい,ということを理解しなければならない。
【0014】
特に,腕時計100は,1つまたは複数のアプリケーションと,セキュア認証/識別データと,トランザクションデータと,をホストするとともに,使用ベース状況セキュリティ確認方式を実行することにより合法のユーザによる腕時計100の使用および所有を確認することができる,電子回路50を備える。腕時計100を,認証されたユーザに対し無線トランザクションを補助するように構成し,認証されたユーザの手首等,認証されたユーザの一部を取り巻くよう,認証されたユーザが着用するように構成する。無線トランザクションは,いかなるタイプ(たとえば,クレジットカードタイプ,デビットカードタイプ,アクセス制御タイプ等)のものであってもよい。さらに,腕時計100は,認証されたユーザが腕時計100の使用を開始した後にその腕時計100を着用し続けるか否かに基づいて腕時計100の使用を制御する確認メカニズムを含む。確認メカニズムは,送信要素40と,受信要素30と,データチャネル80と,データチャネル80のステータスを監視する監視コンポーネント(電子回路50に組み込まれている)と,を備える。
【0015】
さらに,腕時計100は,状況セキュリティ確認方式を実行し,そこでは,腕時計100の所有によるのみではなくその動作状況によっても,認証された使用を確定する。動作状況により,腕時計100は,その腕時計100がアクティブ/セキュアステータス状態にあるかまたは非アクティブ状態にあるかに基づき,無線リンクを介して任意の外部サービス対話を受け入れるかまたは拒否することができる。特に,腕時計100には,腕時計100自体の第1および第2のストラップ10および20内に,腕時計100がその腕時計100の使用を開始した認証されたユーザによって着用されているか否かの確認を可能にする,データチャネル80が統合されている。腕時計100を取り外すことにより,その状況セキュリティが無効になって腕時計は非アクティブ状態となり,無線リンクを介するすべての外部対話が不可能になる。」
C.「【0018】
図1に示すように,腕時計本体90は,主機能部としての機能を果たす。腕時計本体90は,盤面60を介して時刻および日付機能を提供する。さらに,腕時計本体90は,セキュアデータ記憶能力と,無線トランザクション能力と,確認メカニズムのための暗号化エンジンと,を提供する。さらに,腕時計100には,腕時計100自体の第1および第2のストラップ10および20内に,腕時計100がその腕時計100の使用を開始した認証されたユーザによって着用されているか否かの確認を可能にする,データチャネル80が統合されている。腕時計本体90は,埋込み電子機器サブシステム50と,データチャネル80を通してデータを送信する送信要素40と,データチャネル80を通して送信されたデータを受信する受信要素30と,認証されたユーザが腕時計100を着用しているか否かを検知する任意のバイオセンサ70と,を有する。送信要素40と受信要素30との間のデータの正常な伝送は,腕時計100が認証されたユーザによって着用されていることを示す。さらに,データチャネル80を,認証されたユーザが腕時計100の着用を停止する場合に動作不能とされるように構成する。特に,送信要素40によって送信されるデータは,データチャネル80の完全性およびステータスを監視することにより無許可の干渉を回避するために,周期的に送信され時間変化する。特に,暗号化エンジンは,データチャネル80によるデータのセキュアな送信を補助する。さらに,腕時計100は,留め金またはストラップ接続機構85を備える。」
D.「【0020】
腕時計100は,第1および第2のストラップ10および20に統合されたデータチャネル80の完全性を確実にすることにより,低コストかつ頑強な認証ソリューションを提供することができる。データチャネル80自体の完全性に加えて,生体認証測定技術(たとえば,皮膚温度,光反射,湿度)を使用して,認証されたユーザの身体が存在するか存在しないかを検出する機能を提供する,任意のバイオセンササブシステム70および71を使用することによって,セキュリティを強化することができる。
【0021】
図3は,本発明の実施形態による図1の腕時計100をセキュアに動作させる方法300を示すフローチャートを示す。図1および図2を参照する。
【0022】
ブロック310において,ユーザは腕時計100を着用する。さらに,ブロック320において,ユーザは,セキュリティ初期化手続きを踏む。この手続きは,認証されたユーザに対して種々の無線トランザクションを補助する腕時計100のアプリケーションホスティング機能を,ユーザが一般的に運用することを可能にする前に,ユーザを認証する。初期化手続きは,単純な腕時計ベースの動作(たとえば,腕時計自体にPIN番号を入力する)であってもよく,あるいは,ブロック325における外部セキュリティシステムを含むより複雑なセキュリティ手続き(たとえば,網膜スキャンハードウェアを備えた外部装置を使用して,一意のユーザ確認を提供することができ,これを暗号化RFデータ通信リンク302を介して腕時計100に伝送する)であってもよい。いかなる初期化方法が選択されても,そのタスクは,ユーザと腕時計100のストラップに統合されたデータチャネル80との両方を確認することにより,腕時計100の認証された使用を起動することである。任意のバイオセンシングサブシステム70を使用する場合,初期化プロセスはまた,ユーザの身体の存在も確認する。
【0023】
ユーザが認証されると,腕時計100は,アクティブ/セキュアステータス状態に入り(ブロック330),無線トランザクションおよびサービスを補助するように構成された1つまたは複数のアプリケーションの実行を開始する(ブロック370)。無線トランザクションおよびサービスはいかなるタイプ(たとえば,クレジットカードタイプ,デビットカードタイプ,アクセス制御タイプ等)のものであってもよい。
【0024】
ブロック375において,外部装置によって腕時計100に対し,情報を要求するかまたは腕時計100によってホストされる特定のアプリケーションによってサポートされる無線トランザクションを開始するために問合せがなされると,ブロック380において,その特定のアプリケーションは,腕時計100がアクティブ/セキュアステータス状態で動作しているか否かをチェックする。腕時計100がアクティブ/セキュアステータス状態で動作していない場合,ブロック390において,特定のアプリケーションは,その特定のアプリケーションに対するユーザアクセスを拒否する。動作している場合,特定のアプリケーションは,ブロック385において,問合せの妥当性をチェックする(たとえば,ユーザが特定のサービスに加入したか,ユーザが特定のサービスに対して勘定を払ったか)。問合せが有効でない場合,ブロック390において,特定のアプリケーションは,その特定のアプリケーションが提供するサービスに対するユーザアクセスを拒否する。有効である場合,ブロック395において,特定のアプリケーションは,その特定のアプリケーションがサポートする所望のサービスまたはトランザクションを実行する。
【0025】
ブロック335,340,345,350および355において,ストラップに統合されたデータチャネル80の完全性を監視する。特に,周期的な間隔で,データチャネル80にデータを送信することにより,腕時計100のアクティブ/セキュアステータス状態を確認する。時間変化する暗号化データパケットを送受信することにより,データチャネル80は攻撃または傍受に対しよりセキュアになる。確認プロセスは,ホストされるアプリケーションまたは腕時計100に格納されるセキュアデータとは無関係に,データチャネル80による送信のためにそれ自体のデータを使用する。
【0026】
ブロック350において,認証されたユーザが腕時計100を取り外したことを示してデータチャネルが動作不能となったために,アクティブ/セキュアステータス状態の変化が検出されると,腕時計100は,そのアクティブ/セキュアステータス状態およびアプリケーションデータを消去し(ブロック360)その後非アクティブ状態すなわちオフに切り替わる(ブロック365)。オフに切り替わると,他人は腕時計100を使用してサービスまたはトランザクションを実行することができない。オフに切り替わると,腕時計100は,ユーザにより,腕時計100を着用し上述した初期化手続きを再実行した後にのみ再起動することができる。任意のバイオセンシングサブシステム(ブロック340)は,ユーザの存在を,データチャネル80のステータスおよび完全性の監視に対する補足として確定することにより,追加のレベルのセキュリティを提供する。バイオセンサによって検出される異常な変化により,上述したようにブロック360および365における動作が実行されることになる。」
E.「【0027】
図4は,本発明の別の実施形態による腕時計400を示し,光データチャネル480Aおよび480Bを示す。腕時計400は,第1および第2のプラスチックストラップ450および451とバックルファスナ485とを有する。実施形態では,バックルファスナ485は,もっとも低コストな時計で使用されるものの典型である。各ストラップ454および450を,光学光路480Aおよび480Bが統合されるように製造する。光学光路480Aおよび480Bは,腕時計400の光データチャネルを形成する。これを,各ストラップに光ファイバを埋め込むことによって達成してもよい。別法として,これを,適当な光学特性を有する材料から各ストラップを製造することによって達成してもよい。」
(2)原審拒絶査定において
原審拒絶査定において,周知技術を例示するために示された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2001-195145号公報(2001年7月19日公開,以下,これを「周知文献」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
F.「【0012】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照して,この発明にかかる情報処理装置,個人認証方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(情報処理システムの構成)図1は,本実施の形態にかかる情報処理装置を含む個人認証システムの構成例を示す説明図である。図1において,外部装置(パーソナルコンピュータ)100と,情報処理装置(腕時計型情報処理装置)101と,から構成される。
【0013】外部装置100は,パーソナルコンピュータのほか,携帯電話,PDAや,ドア・個人用の金庫・かばん・財布等の開閉をおこなうロック機構システム,各種システムの主電源のオン/オフ制御機構システム,家電製品の制御システム,自動車のドア・トランク・給油口の開閉をおこなうロック機構システム等,操作に認証が必要なシステムが考えられる。
【0014】また,情報処理装置(腕時計型情報処理装置)101は,外部装置100との間の短距離無線通信をおこなう。情報処理装置101は,本実施の形態においては腕時計型の情報処理装置であるので,通常,所有者(使用者)が常に腕に着用しており,それにより,所有者(使用者)と外部装置100との距離が,短距離無線通信が可能な距離にあるのか否かを判断することもできる。」
G.「【0025】送信部305は,セキュリティーの高いデジタル通信であり,たとえば,スペクトラム拡散方式等をもちいることできる。さらに,データ自体を暗号化するようにしてもよい。送信部305は,図2に示したI/F205によりその機能を実現することができる。また,着脱検出部308は,腕時計型情報処理装置101を腕から外したことを検知する。具体的には,着脱センサ204によりその機能を実現する。着脱センサ204としては,たとえば,温度センサ(たとえば,体温を認識し,着脱の際の温度変化を検知する),圧力センサ(たとえば,腕との密着度を認識し,着脱の際の密着度に基づく圧力を検知する),脈波センサ(たとえば,着脱の際の脈波の有無を検知する),光センサ(たとえば,着用することにより遮断される光を検知する)等をもちいることができる。
【0026】着脱センサ204により腕時計型情報処理装置101が腕から外されたことを検知した場合は,その情報を送信部307から外部装置100へ送信し,後述する認証を無効にする。これにより,腕時計型情報処理装置101が盗難等にあった場合でも,外部装置101のセキュリティーを担保することができる。また,外部装置100は,受信部309と,更新情報記憶部310と,認証部311と,を含む構成である。ここで,受信部309は,情報処理装置101から送信された認証用データ,さらには照合日時に関する情報のうち最新の情報を受信する。さらに受信したデータをデコードする。受信部309は,図示は省略するが,図2に示したI/F205と同様のハードウエアによりその機能を実現することができる。」
2.引用文献1に記載の発明
(1)上記Aの「汎用装置を,腕時計として実施する。この腕時計を,認証されたユーザに対し無線トランザクションを補助するように構成し,かつ認証されたユーザの一部を取り巻くよう,認証されたユーザが着用するように,構成する」という記載,上記Bの「腕時計100は,1つまたは複数のアプリケーションと,セキュア認証/識別データと,トランザクションデータと,をホストするとともに,使用ベース状況セキュリティ確認方式を実行することにより合法のユーザによる腕時計100の使用および所有を確認することができる,電子回路50を備える」という記載,及び,上記Dの「ユーザは腕時計100を着用する。さらに,ブロック320において,ユーザは,セキュリティ初期化手続きを踏む。この手続きは,認証されたユーザに対して種々の無線トランザクションを補助する腕時計100のアプリケーションホスティング機能を,ユーザが一般的に運用することを可能にする前に,ユーザを認証する。初期化手続きは,単純な腕時計ベースの動作(たとえば,腕時計自体にPIN番号を入力する)であってもよく,あるいは,ブロック325における外部セキュリティシステムを含むより複雑なセキュリティ手続き(たとえば,網膜スキャンハードウェアを備えた外部装置を使用して,一意のユーザ確認を提供することができ,これを暗号化RFデータ通信リンク302を介して腕時計100に伝送する)であってもよい。いかなる初期化方法が選択されても,そのタスクは,ユーザと腕時計100のストラップに統合されたデータチャネル80との両方を確認することにより,腕時計100の認証された使用を起動することである」という記載,同じく,上記Dの「ユーザが認証されると,腕時計100は,アクティブ/セキュアステータス状態に入り(ブロック330),無線トランザクションおよびサービスを補助するように構成された1つまたは複数のアプリケーションの実行を開始する」という記載から,引用文献1においては,
“腕時計として実施する汎用装置であって,ユーザを認証するセキュア認証をホストする電子回路を備え,前記ユーザが認証されると,前記腕時計は,アクティブ/セキュアステータス状態に入”るものであることが読み取れる。
(2)上記Aの「腕時計自体のストラップ内にデータチャネルを統合することにより,腕時計の使用を開始した認証されたユーザによりその腕時計が着用されているか否かの確認が可能になる。腕時計を取り外すことにより,その状況セキュリティが無効になって時計が非アクティブ状態になり」という記載,上記Bの「腕時計100は,認証されたユーザが腕時計100の使用を開始した後にその腕時計100を着用し続けるか否かに基づいて腕時計100の使用を制御する確認メカニズムを含む。確認メカニズムは,送信要素40と,受信要素30と,データチャネル80と,データチャネル80のステータスを監視する監視コンポーネント(電子回路50に組み込まれている)と,を備える」という記載,同じく,上記Bの「腕時計100がその腕時計100の使用を開始した認証されたユーザによって着用されているか否かの確認を可能にする,データチャネル80が統合されている。腕時計100を取り外すことにより,その状況セキュリティが無効になって腕時計は非アクティブ状態となり,無線リンクを介するすべての外部対話が不可能になる」という記載,上記Cの「腕時計100には,腕時計100自体の第1および第2のストラップ10および20内に,腕時計100がその腕時計100の使用を開始した認証されたユーザによって着用されているか否かの確認を可能にする,データチャネル80が統合されている。腕時計本体90は,埋込み電子機器サブシステム50と,データチャネル80を通してデータを送信する送信要素40と,データチャネル80を通して送信されたデータを受信する受信要素30と,認証されたユーザが腕時計100を着用しているか否かを検知する任意のバイオセンサ70と,を有する。送信要素40と受信要素30との間のデータの正常な伝送は,腕時計100が認証されたユーザによって着用されていることを示す。さらに,データチャネル80を,認証されたユーザが腕時計100の着用を停止する場合に動作不能とされるように構成する」という記載,上記Dの「データチャネル80自体の完全性に加えて,生体認証測定技術(たとえば,皮膚温度,光反射,湿度)を使用して,認証されたユーザの身体が存在するか存在しないかを検出する機能を提供する,任意のバイオセンササブシステム70および71を使用することによって,セキュリティを強化することができる」という記載,同じく,上記Dの「認証されたユーザが腕時計100を取り外したことを示してデータチャネルが動作不能となったために,アクティブ/セキュアステータス状態の変化が検出されると,腕時計100は,そのアクティブ/セキュアステータス状態およびアプリケーションデータを消去し(ブロック360)その後非アクティブ状態すなわちオフに切り替わる(ブロック365)」という記載,及び,同じく,上記Dの「任意のバイオセンシングサブシステム(ブロック340)は,ユーザの存在を,データチャネル80のステータスおよび完全性の監視に対する補足として確定することにより,追加のレベルのセキュリティを提供する」という記載から,引用文献1においては,
“腕時計本体は,前記腕時計の使用を開始した認証されたユーザによりその腕時計が着用されているか否かの確認を可能にするデータチャネルと,認証された前記ユーザの身体が存在するか存在しないかを検出する機能を提供するバイオセンサと,を有し,前記腕時計を取り外すことにより,前記腕時計は非アクティブ状態となり,無線リンクを介するすべての外部対話が不可能になるよう構成される”ものであることが読み取れる。
(3)上記Bの「腕時計100は,その腕時計100がアクティブ/セキュアステータス状態にあるかまたは非アクティブ状態にあるかに基づき,無線リンクを介して任意の外部サービス対話を受け入れるかまたは拒否することができる」という記載,上記(1)に引用した上記Dの記載内容,同じく,上記Dの「外部装置によって腕時計100に対し,情報を要求するかまたは腕時計100によってホストされる特定のアプリケーションによってサポートされる無線トランザクションを開始するために問合せがなされると,ブロック380において,その特定のアプリケーションは,腕時計100がアクティブ/セキュアステータス状態で動作しているか否かをチェックする」という記載,同じく,上記Dの「動作している場合,特定のアプリケーションは,ブロック385において,問合せの妥当性をチェックする」という記載,及び,同じく,上記Dの「有効である場合,ブロック395において,特定のアプリケーションは,その特定のアプリケーションがサポートする所望のサービスまたはトランザクションを実行する」という記載から,引用文献1においては,
“ユーザが認証されると,腕時計は,アクティブ/セキュアステータス状態に入り,前記アクティブ/セキュアステータス状態で,外部装置によって前記腕時計に対し,情報を要求するかまたは前記腕時計によってホストされる特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを開始するために問合せがなされると,前記問合せの妥当性をチェックし,前記問合せが有効である場合,前記特定のアプリケーションは,前記特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを実行する”ものであることが読み取れる。
(4)以上,上記(1)~(3)において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。
「腕時計として実施する汎用装置であって,ユーザを認証するセキュア認証をホストする電子回路を備え,前記ユーザが認証されると,前記腕時計は,アクティブ/セキュアステータス状態に入るものであって,
前記腕時計本体は,前記腕時計の使用を開始した認証されたユーザにより前記腕時計が着用されているか否かの確認を可能にするデータチャネルと,
認証された前記ユーザの身体が存在するか存在しないかを検出する機能を提供するバイオセンサと,を有し,
前記腕時計を取り外すことにより,前記腕時計は非アクティブ状態となり,無線リンクを介するすべての外部対話が不可能になるよう構成され,
前記アクティブ/セキュアステータス状態のとき,外部装置によって前記腕時計に対し,情報を要求するかまたは前記腕時計によってホストされる特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを開始するために問合せがなされると,前記問合せの妥当性をチェックし,前記問合せが有効である場合,前記特定のアプリケーションは,前記特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを実行する,腕時計として実施する汎用装置。」
第6.本願発明と引用発明との対比及び相違点についての当審の判断
1.本願発明と引用発明との対比
(1)引用発明においては,「ユーザ」は「腕時計」を装着している状態で「認証」され,「ユーザ」が「認証」されると「アクティブ/セキュアステータス状態」になるものであるから,
引用発明における「腕時計」が,
本願発明における「装置」に相当し,
引用発明における“腕時計が,アクティブ/セキュアステータス状態”となることが,
本願発明における「装置を認証済み状態に切り替える」ことに相当するので,
引用発明における「ユーザが認証されると,前記腕時計は,アクティブ/セキュアステータス状態に入る」ことが,
本願発明における「それによって,前記装置を認証済み状態に切り替える」ことに相当し,
引用発明において,「腕時計」が有する「電子回路」は,「ユーザを認証するセキュア認証をホストする」ものであって,それによって,「腕時計」が,「アクティブ/セキュアステータス状態」に移行するものであるから,
引用発明において,「腕時計として実施する汎用装置」は,“セキュア認証をホストすることでユーザ認証を行い,それによって,腕時計が,アクティブ/セキュアステータス状態に移行する電子回路”を有するものであって,
本願発明における「認証動作によって,前記装置を物理的に所持しているユーザを認証し,それによって前記装置を認証済み状態に切り替えるように構成されている認証回路」に相当するものである。
そして,上記検討の引用発明における「電子回路」の構成は,
引用発明における「腕時計として実施する汎用装置であって,ユーザを認証するセキュア認証をホストする電子回路を備え,前記ユーザが認証されると,前記腕時計は,アクティブ/セキュアステータス状態に入るもの」を言い換えたものであることは明らかであるから,以上の検討より,
引用発明における「腕時計として実施する汎用装置であって,ユーザを認証するセキュア認証をホストする電子回路を備え,前記ユーザが認証されると,前記腕時計は,アクティブ/セキュアステータス状態に入るもの」である「汎用装置」が,
本願発明における「認証動作によって,前記装置を物理的に所持しているユーザを認証し,それによって前記装置を認証済み状態に切り替える回路」に相当する。
(2)(1)において言及したとおり,引用発明における「腕時計」が,
本願発明における「装置」に相当し,
引用発明において,「データチャネル」は,「腕時計の使用を開始した認証されたユーザにより前記腕時計が着用されているか否かの確認を可能にする」ものであって,
引用発明において,「アクティブ/セキュアステータス状態」とは,“ユーザが,腕時計を着用している間,継続されるもの”であり,その間は,“ユーザが認証された状態が維持される”ことは,引用発明の構成から,明らかであるから,
引用発明において,「腕時計の使用を開始した認証されたユーザにより前記腕時計が着用されているか否かの確認」することが,
本願発明における「装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリング」することに相当し,
引用発明における「アクティブ/ステータス状態のとき」が,
本願発明における「装置が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合」に相当し,
引用発明において,“ユーザが認証された状態が継続される”ことが,
本願発明における「装置の認証済み状態を継続」することに相当し,
引用発明において,「腕時計を取り外すことにより,その状況セキュリティが無効になって前記腕時計は非アクティブ状態とな」ることが,
本願発明における「装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える」ことに相当するので,
引用発明における「ユーザが認証されると,前記腕時計は,アクティブ/セキュアステータス状態に入るもの・・・(中略)・・・腕時計を取り外すことにより,その状況セキュリティが無効になって前記腕時計は非アクティブ状態となり,無線リンクを介するすべての外部対話が不可能になるよう構成」と,
本願発明における「装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリングし,前記装置が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記装置の認証済み状態を継続し,前記装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える回路であって,前記ユーザに継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含む,前記装置の物理的な所持をモニタリングする前記回路」とは,
“装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリングし,前記装置が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記装置の認証済み状態を継続し,前記装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える回路”である点で共通する。
(3)引用発明における「外部装置」は,「腕時計」の通信相手であり,
本願発明における「目標デバイス」も,「装置」の通信相手であるので,
引用発明における「外部装置」が,
本願発明における「目標デバイス」に相当し,
引用発明における「外部装置によって前記腕時計に対し,情報を要求するかまたは前記腕時計によってホストされる特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを開始するために問合せ」が,
本願発明における「目標デバイスとの通信を確立するための要求」に相当し,
引用発明において,「外部装置によって前記腕時計に対し,情報を要求するかまたは前記腕時計によってホストされる特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを開始するために問合せがなされると,問合せの妥当性をチェック」するということは,
引用発明において,当該「問合せ」を検出する手段が存在することに他ならないから,
引用発明における「外部装置によって前記腕時計に対し,情報を要求するかまたは前記腕時計によってホストされる特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを開始するために問合せ」を“検出する手段”が,
本願発明における「目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する回路」に相当する。
(4)引用発明においては,「問合せが有効である場合,前記特定のアプリケーションは,前記特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを実行する」ものであって,このことは,「外部装置」との「通信」を行うことに他ならず,このことから,「腕時計」が,「外部装置」との間で「通信」を行うための“通信手段”を有していることは明らかである。
そして,当該“外部装置との通信”は,“腕時計が,アクティブ/セキュアステータス状態のとき”に行われるものであり,
引用発明における「アクティブ/セキュアステータス状態」が,
本願発明における「装置が前記認証済み状態」に相当し,
引用発明において,「アクティブ/セキュアステータス状態」にあるということは,「ユーザ」が,「腕時計」を「着用」状態にあること,即ち,
本願発明でいうところの“装置がユーザに継続して物理的に所持されている状態”に他ならないので,
引用発明における「問合せが有効である場合,前記特定のアプリケーションは,前記特定のアプリケーションがサポートする無線トランザクションを実行する」ための“通信手段”が,
本願発明における「装置が前記認証済み状態にあり且つ前記ユーザに継続して物理的に所持される場合,前記目標デバイスと通信する回路」に相当する。
(5)以上,上記(1)~上記(4)において検討した事項から,本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。
[一致点]
認証動作によって,前記トラステッドデバイスを物理的に所持しているユーザを認証し,それによって,前記装置を認証済み状態に切り替える回路と,
前記装置のユーザによる継続した物理的な所持をモニタリングし,前記装置が前記ユーザによって継続して物理的に所持されたままであると判断される場合は前記装置の認証済み状態を継続し,前記装置が前記ユーザによってもはや継続して物理的に所持されていないと判断される場合は前記装置を前記認証済み状態から脱して切り替える回路と,
目標デバイスとの通信を確立するための要求を検出する回路と,
前記装置が前記認証済み状態にあり且つ前記ユーザに継続して物理的に所持される場合,前記目標デバイスと通信する回路と,を含む装置。
[相違点]
“認証済み状態から脱して切り替える回路”に関して,
本願発明においては,「ユーザに継続して物理的に所持された場合に光から遮蔽される光検出器を含む」ものであるのに対して,
引用発明においては,「認証された前記ユーザの身体が存在するか存在しないかを検出する機能を提供するバイオセンサを有する」ものである点。
2.相違点についての当審の判断
上記F,及び,上記Gに引用した周知文献の記載内容にもあるとおり,“腕時計型情報処理装置の着脱を,着用することにより遮断される光を検出する光センサを用いる”こと(上記F,及び,上記Gの下線を付加した記載等を参照)は,本願の原出願の第1国出願前に当業者には,周知の技術事項であり,引用発明と,周知文献に記載の「腕時計型情報処理装置」とは,ほぼ同様の構成を有するものであって,引用発明においても,上記Eに引用した記載にもあるとおり,方式は異なるものの「光」を用いて,「ユーザ」の「腕時計」の着脱の検出を行っているので,
引用発明において,バイオセンサに代えて,周知文献に記載の「光センサ」を用いて,「腕時計」の着脱を検出するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点は,格別のものではない。
第7.むすび
したがって,本願発明は,引用発明,及び,周知文献に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
以上に検討したとおりであるから,その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-005607