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意匠拒絶査定不服審判

2021-005096

産業用ロボット

審判番号
2021-005096
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2019-027714外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月20日
審決日
2021年06月23日
公報発行日
2021年08月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (K0-0)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

意願2019-27714「産業用ロボット」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 9項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は,令和1年(2019年)12月13日の意匠登録出願であって,令和2年7月9日付けの拒絶理由の通知に対し,同年8月19日に意見書が提出されたが,令和3年2月12日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年4月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「産業用ロボット」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。『斜視図1』及び『斜視図2』を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠

特許庁発行の意匠公報記載

意匠登録第1622587号

(意匠に係る物品,ロボットアーム)の意匠

(本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分)

第4 当審の判断

1.本願意匠

本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品は「産業用ロボット」である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能

本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,垂直多関節型の産業用ロボットにおけるアームの先端から2つ目の角部に設けたケーシング部分である。

本願部分は,産業用ロボットにおけるアームの先端から2つ目の角部であって,平面視でアームの直径(最小径における直径。以下同じ。)の約4分の3の位置を起点に,アームの長手方向から約30度の角度で区切った位置,大きさ及び範囲であり,産業用ロボットにおけるアームのケーシングとしての用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状

本願部分は,中央部がやや細く,端部がやや膨らんでいる略円筒形状のアームの角部分を,更にブリスターのように膨らませた形状の角部で,平面視でアームの直径の約4分の3の位置を起点に,アームの長手方向から約30度の角度で切った形状である。

当該切断面の形状は,卵形である。

本願部分の立体形状は,切断面を水平面に置いて山に見立てた場合,底面(切断面)の卵形の鈍い側(以下,単に「鈍い側」という。)に僅かに偏った位置に膨出した頂があるものであって,鈍い側の裾は,本の僅かにかぶさるようにはみ出しており(オーバーハングの状態),底面の卵形の鋭い側(以下,単に「鋭い側」という。)の裾は,へこみ曲線でなだらかになっている。

2.引用意匠

引用意匠は,上記「第3」の意匠公報の記載の内容によると,以下のとおりである。

なお,引用部分の形状の認定に際しては,本願部分と同じ向きとして認定する。

(1)意匠に係る物品

引用意匠の意匠に係る物品は「ロボットアーム」である。

(2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能

引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,垂直多関節型のロボットアームにおける先端から2つ目の角部に設けたケーシング部分である。

引用部分は,ロボットアームの先端から2つ目の角部であって,平面視でアームの直径の約2分の1の位置を起点に,アームの長手方向から約30度の角度で区切った位置,大きさ及び範囲であり,ロボットアームのケーシングとしての用途及び機能を有するものである。

(3)引用部分の形状

引用部分は,単純な円筒形状のアームの角部で,平面視でアームの直径の約2分の1の位置を起点に,アームの長手方向から約30度の角度で切った形状である。

当該切断面の形状は,卵形である。

引用部分の立体形状は,切断面を水平面に置いて山に見立てた場合,底面の鈍い側に僅かに偏った位置に頂があるものであって,鈍い側の裾は,直線状からはみ出ることなく頂に続き,底面の鋭い側の裾は,へこむことなく直線的である。

3.両意匠の対比

(1)意匠に係る物品の対比

本願意匠に係る物品は「産業用ロボット」であり,引用意匠に係る物品は「ロボットアーム」である。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比

本願部分は,産業用ロボットにおけるアームの先端から2つ目の角部に設けたケーシング部分であるのに対して,引用部分は,ロボットアームにおける先端から2つ目の角部に設けたケーシング部分である。

本願部分は,産業用ロボットにおけるアームの先端から2つ目の角部であって,平面視でアームの直径の約4分の3の位置を起点に,アームの長手方向から約30度の角度で区切った位置,大きさ及び範囲であるのに対して,引用部分は,ロボットアームの先端から2つ目の角部であって,アームの直径の約2分の1の位置を起点に,アームの長手方向から約30度の角度で区切った位置,大きさ及び範囲である。

そして,本願部分は,産業用ロボットにおけるアームのケーシングとしての用途及び機能を有するものであるのに対して,引用部分は,ロボットアームのケーシングとしての用途及び機能を有するものである。

(3)両部分の形状の対比

両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。

ア.共通点について

(ア)両部分共に,略円筒形状のアームの角部にて,平面視でアームの長手方向から約30度の角度で切った形状である。

(イ)切断面の形状は,卵形である。

(ウ)底面の鈍い側に僅かに偏った位置に頂がある。

イ.相違点について

(ア)頂の形状につき,本願部分は,膨出した頂としているのに対して,引用部分は,膨出していない頂としている。

(イ)鈍い側の裾の形状につき,本願部分は,本の僅かにかぶさるようにはみ出しているのに対して,引用部分は,直線状からはみ出ることなく頂に続いている。

(ウ)鋭い側の裾の形状につき,本願部分は,へこみ曲線でなだらかになっているのに対して,引用部分は,へこむことなく直線的である。

4.判断

(1)意匠に係る物品の類否判断

本願意匠に係る物品は「産業用ロボット」であり,引用意匠に係る物品は「ロボットアーム」であって,表記は異なるが,いずれも垂直多関節型の産業用ロボットであって,共通している(以下,共に「産業用ロボット」という。)。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価

両部分共に,産業用ロボットにおけるアームの先端から2つ目の角部に設けたケーシング部分である。

両部分の位置は,産業用ロボットにおけるアームの先端から2つ目の角部であるから,共通している。

本願部分は,アームの角部で,平面視でアームの直径の約4分の3の位置を起点に,アームの長手方向から約30度の角度で区切った大きさ及び範囲であるのに対して,引用部分は,アームの角部で,アームの直径の約2分の1の位置を起点に,アームの長手方向から約30度の角度で区切った大きさ及び範囲であるから,本願部分の方が大きく,範囲が広く,本願部分の大きさ及び範囲と引用部分の大きさ及び範囲は異なる。

両部分の用途及び機能は,共に,産業用ロボットにおけるアームのケーシングとしての用途及び機能を有するものであるから,共通している。

(3)両部分における形状の評価

ア.共通点について

共通点(イ)及び共通点(ウ)は,共通点(ア)とした結果表れる形状であるところ,共通点(ア)を検討すると,両意匠の出願前から見られる形状であるから,共通点(ア)ないし(ウ)の両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。

イ.相違点について

相違点(ア)及び相違点(イ)によって,膨出した分及びかぶさるようにはみ出している分本願部分の方が,頂が高く,ボリューム(嵩)があるように見え,両部分に別異な印象を与えると認められ,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(ア)ないし(ウ)によって,形状が異なるように見え,両部分に別異な印象を与えると認められ,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。

(4)小括

そうすると,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,上記のとおり,共通点は,類否判断に及ぼす影響は限定的であるのに対して,相違点によって類否判断に及ぼす影響は大きいものといえるものであり,両部分の形状は,類似するとは認められないものである。

(5)両意匠における類否判断

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の位置,並びに両部分の用途及び機能が共通している。

しかし,上記のとおり,両部分の大きさ及び範囲が異なり,両部分の形状は,類似するとは認められないものである。

よって,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5.結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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