2021-003899
遊技機
- 審判番号
- 2021-003899
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-010178外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年03月26日
- 審決日
- 2022年02月08日
- 公報発行日
- 2022年03月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社三共
- 分類
- P18 .121-WY (A63F) / P18 .537-WY (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成26年6月13日に出願した特願2014-122787号の一部を平成31年1月24日に新たな特許出願(特願2019-10178号)としたものであって、令和1年11月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月25日に意見書が提出され、令和2年5月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月17日に意見書が提出されたところ、同年12月10日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和3年3月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、これに対し、当審において、同年10月13日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月10日に意見書及び手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願発明は以下のとおりの発明である(なお、AないしLについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、C 可変表示に関する情報を、保留記憶として記憶する保留記憶手段と、D 前記保留記憶手段に記憶された保留記憶に対応して保留表示を表示する保留表示手段と、E 保留表示の表示態様を通常態様とは異なる態様に変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段と、F 可変表示を開始するときに、当該可変表示に対応する保留表示を対応表示として表示可能な対応表示手段と、G 対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させるときと、対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させないときとで共通で実行される共通演出と、当該共通演出を実行した後に対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させる成功演出または対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させない失敗演出とを実行可能な対応表示演出実行手段と、を備え、J 一の可変表示の実行中における第1タイミングと、当該第1タイミングよりも後の第2タイミングと、を含む複数タイミングのうち、前記第2タイミングにおいて前記共通演出が実行されるときは、前記第1タイミングにおいて前記共通演出が実行されるときよりも、前記成功演出が実行される割合が高く、K 前記対応表示演出実行手段は、前記変化演出が実行される場合に、前記共通演出を実行せず、J1 前記第1タイミングはリーチ成立前のタイミングであり、前記第2タイミングはリーチ成立後のタイミングであるL ことを特徴とする遊技機。」
第3 引用例の記載、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-87491号公報(平成26年5月15日出願公開、以下「引用例1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。
1 「【技術分野】【0001】本発明は、遊技媒体が始動領域を通過した後に、可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて識別情報の可変表示を行い、識別情報の表示結果が特定表示結果になったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御するパチンコ遊技機等の遊技機に関する。・・・略・・・【発明が解決しようとする課題】【0007】特許文献1に記載されている遊技機は、実行中の可変表示に対応する保留表示によって遊技者に可変表示中の演出に関連する情報(例えば、仮停止の回数)を提供するが、実行中の可変表示に対応する保留表示は、識別情報の特定表示結果に対する期待度(例えば、大当り図柄が停止表示される可能性の高低)を変化可能に表している訳ではない。【0008】そこで、本発明は、識別情報の可変表示中に表示される実行中の可変表示に対応する保留表示を利用して特定表示結果に対する期待度を遊技者に報知して、遊技の興趣をより向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」
2 「【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明による遊技機は、遊技媒体(例えば、遊技球)が始動領域(例えば、第1始動入賞口13、第2始動入賞口14)を通過した後に、可変表示の開始条件(例えば、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれの可変表示も実行されていない状態で、かつ、大当り遊技状態でもないこと)が成立したことにもとづいて識別情報の可変表示を行い、可変表示の表示結果が特定表示結果(例えば、大当り図柄)になったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、大当り遊技状態)に制御する遊技機であって、遊技媒体が始動領域を通過したときに、可変表示の表示結果を特定表示結果とするか否かを決定するための数値データ(例えば、大当り決定用乱数)を抽出する数値データ抽出手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560において、ステップS215A,S215Bの処理を実行する部分)と、遊技媒体が始動領域を通過したが開始条件が成立していない識別情報の可変表示について、所定の上限数(例えば、4)を限度に、数値データ抽出手段により抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段(例えば、第1保留記憶バッファ、第2保留記憶バッファ)と、保留記憶の数に応じた保留表示を表示部(例えば、演出表示装置)に表示する保留表示手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100において、ステップS6006,S6008,S6016,S6017の処理を実行する部分)と、識別情報の可変表示を開始するときに、当該可変表示に対応する保留表示を可変表示対応保留表示として所定領域(例えば、保留ボックス9F)に表示する可変表示対応保留表示手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100において、ステップS818の処理を実行する部分)と、当該可変表示の実行中に、可変表示の表示結果が特定表示結果になるか否かに応じて、所定領域に表示されている可変表示対応保留表示の態様を特定態様(例えば、「赤」)に変化させる保留表示変化手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100において、ステップS844,S845,S846,S847の処理を実行する部分)とを備え、保留表示変化手段は、可変表示の表示結果が特定表示結果になるか否かに応じて、複数のタイミングのうちいずれのタイミングで特定態様に変化させるかの割合を異ならせる(図31参照:例えば、「リーチ演出中に実行」を含むパターンに割り当てられている判定値数は、大当りの場合の方が、スーパーリーチはずれの場合よりも多い)ことを特徴とする。
そのような構成によれば、識別情報の可変表示中に表示される実行中の可変表示に対応する保留表示に遊技者をより注目させて、遊技の興趣をより向上させることができる。
【0010】
(2)上記の(1)の遊技機において、保留記憶にもとづいて開始される可変表示の表示結果が特定表示結果になるか否かを当該可変表示が開始される前に判定する保留判定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560において、ステップS221,S223の処理を実行する部分)を備え、保留表示手段は、当該可変表示が開始される前に、保留判定手段により特定表示結果になると判定された場合と特定表示結果にならないと判定された場合とで、異なる割合で特定態様で保留表示を表示する(図31参照:例えば、大当りの場合に使用される保留予告演出決定テーブルでは、スーパーリーチはずれの場合に使用される保留予告演出決定テーブルに比べて、始動入賞時に保留表示の表示態様が「赤」になるパターン(パターン5)に多くの判定値が割り合てられている)ように構成されていてもよい。
そのような構成によれば、可変表示が開始される前においても保留表示に遊技者を注目させることができる。
【0011】
(3)上記の(1)または(2)の遊技機において、保留表示手段は、保留記憶にもとづく可変表示が開始される前に、複数の態様(例えば、「青」、「黄」、「赤)のうちのいずれかの態様で保留表示を表示し、保留表示変化手段は、可変表示が開始される前の保留表示の態様に応じて、実行中の可変表示に対応する保留表示の態様を変化させる割合を異ならせる(図31参照:例えば、「リーチ前」および「リーチ演出中」)に着目すると、可変表示開始前の保留表示の態様が「黄」である場合に比べて、「青」である場合の方が、高い割合で、可変表示開始後に、保留表示の態様が変化する)ように構成されていてもよい。
そのような構成によれば、可変表示が開始される前においても保留表示に遊技者を注目させることができる。
【0012】
(4)上記の(1)~(3)の遊技機において、保留表示変化手段は、表示部に所定画像を表示し、所定領域に表示されている実行中の可変表示に対応する保留表示に当該所定画像が作用することによって当該実行中の可変表示に対応する保留表示の態様が変化するような表示演出を行い(図27[左側](C)、図27[右側](E)参照)、保留表示の態様を変化させるタイミングに関わらず、共通のタイミングで所定画像の表示を開始する(図27参照)ように構成されていてもよい。
そのような構成によれば、所定画像が表示されることによって遊技者の期待感を高めることができるとともに、実行中の可変表示に対応する保留表示の態様を変化させるタイミングが所定画像によって容易に把握されることが防止される。
【0013】
(5)上記の(1)~(4)の遊技機において、保留表示手段は、保留記憶にもとづく可変表示が開始される前に、可変表示の表示結果が特定表示結果になる期待度に応じた態様で保留表示を表示することによって、可変表示開始前保留予告を実行し(図31参照:例えば、大当りの場合に使用される保留予告演出決定テーブルでは、スーパーリーチはずれの場合に使用される保留予告演出決定テーブルに比べて、始動入賞時に保留表示の表示態様が「赤」になるパターン(パターン5)に多くの判定値が割り合てられている)、所定演出(例えば、通常予告演出やスーパーリーチ演出)を実行する所定演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100において、ステップS824~S826,S841~S843の処理を実行する部分)と、所定演出実行手段が所定演出を演出実行しているときに、可変表示開始前保留予告の実行を制限する制限手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100において、ステップS851~S854,S6005,S6007,S6015,S6017の処理を実行する部分)を備えていてもよい。
そのような構成によれば、所定演出が把握されづらくなることが防止され、所定演出の効果を阻害しないようにすることができる。」
3 「【0222】図26は、保留表示の変化例を示す説明図である。図26には、始動入賞にもとづく演出図柄の可変表示(変動)が開始される前に保留表示の態様(表示態様)が変化する変動開始前態様変化の例が示されている。なお、図26には、可変表示(変動)が開始される前の時点として、始動入賞が生じたときが例示されている。【0223】図26に示す例では、左中右の図柄表示エリア9L,9C,9Rにおいて演出図柄の可変表示が実行されているときに(図26(A)参照)、新たな始動入賞が発生すると、保留表示の数が1増えるが、新たな始動入賞に対応する保留表示(保留表示Aとする。)は、通常態様とは異なる態様で表示されることがある(図26(B)参照)。続きを表示(全26行)【0224】その後、保留表示Aにもとづく可変表示を開始可能な状態になると(図26(C)参照)、演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)は、可変表示を開始するときに、保留表示Aを保留ボックス9Fの内部に表示する(図26(D,E)参照)。なお、演出制御用マイクロコンピュータ100は、通常の表示領域から保留表示Aを消去する。【0225】図27は、保留表示の変化の他の例を示す説明図である。図27の左側には、演出図柄の可変表示(変動)が開始された後であってリーチになる前に保留表示の態様が変化するリーチ前態様変化の例が示されている。【0226】図27[左側]に示す例では、可変表示を開始可能な状態になると(図27[左側](A)参照)参照)、演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)は、可変表示を開始するときに、開始される可変表示に対応する保留表示(保留表示Bとする。)を保留ボックス9Fの内部に表示する(図27[左側](B)参照)参照)。なお、演出制御用マイクロコンピュータ100は、通常の表示領域から保留表示Bを消去する。【0227】その後、リーチになる前に、演出制御用マイクロコンピュータ100は、表示画面(例えば、保留表示部9Fの近傍)に所定のキャラクタ画像9aを表示する(図27[左側](C)参照)参照)。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、保留ボックス9Fの内部で保留表示の態様を変化させる(図27[左側](C)参照)参照)。【0228】そして、リーチになった後、最終停止図柄が導出表示される(図27[左側](D,E)参照)参照)【0229】図27[右側]に示す例では、可変表示を開始可能な状態になると(図27[右側](A)参照)参照)、演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)は、可変表示を開始するときに、開始される可変表示に対応する保留表示(保留表示Cとする。)を保留ボックス9Fの内部に表示する(図27[右側](B)参照)参照)。なお、演出制御用マイクロコンピュータ100は、通常の表示領域から保留表示Cを消去する。【0230】その後、リーチになる前に、演出制御用マイクロコンピュータ100は、表示画面(例えば、保留表示部9Fの近傍)に所定のキャラクタ画像9aを表示する(図27[右側](C)参照)参照)。この時点では、保留ボックス9Fの内部で保留表示の態様は変化しない。【0231】そして、リーチになった後、演出制御用マイクロコンピュータ100は、保留ボックス9Fの内部で保留表示の態様を変化させる(図27[右側](D,E)参照)参照)。【0232】なお、可変表示開始時を起点として、図27[右側]においてキャラクタ画像9aの表示が開始される時点は、図27[左側]においてキャラクタ画像9aの表示が開始される時点と同じである。【0233】また、この実施の形態では、キャラクタ画像9aのみが使用されるが、複数種類のキャラクタ画像から選択して使用するようにしてもよい。その場合、演出制御用マイクロコンピュータ100は、大当りになる場合に、はずれになる場合に比べて、特定のャラクタ画像を高い割合で選択する。また、キャラクタ画像の違いに応じて、保留表示の態様を変化させる割合を異ならせてもよい。【0234】また、この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100は、キャラクタ画像9aを表示した場合に、リーチになる前またはリーチになった後に保留表示の態様が必ず変化するように制御するが、すなわち、保留表示の態様を変化させない場合(図31におけるパターン1,4,5参照)にはキャラクタ画像9aを表示しないが、リーチになる前およびリーチになった後に保留表示の態様を変化させない場合にも、キャラクタ画像9aを表示するようにしてもよい。」
4 「【0249】図31は、ステップS6002の処理で使用される保留予告演出決定テーブルの一例を示す説明図である。図31に例示する保留予告演出決定テーブルには、始動入賞時の保留表示の態様、リーチ前の保留表示の態様、およびリーチ後の保留表示の態様と、判定値とが、対応して設定されている。なお、図31には、判定値数が示されている。・・・略・・・【0258】なお、図31に示す保留予告演出決定テーブルにおける判定値の割り当て方は一例であり、他の例を用いてもよい。その場合、大当りの場合に使用される保留予告演出決定テーブルでは、スーパーリーチはずれの場合に使用される保留予告演出決定テーブルに比べて、最終的に「赤」の態様(特定態様)になるパターンに割り当てられる判定値数の比率が高く、最終的に「黄」の態様になるパターンに割り当てられる判定値数の比率が中程度であり、最終的に「青」の態様(特定態様)になるパターンに割り当てられる判定値数の比率が最も低いことが好ましい。」
5 「【0322】なお、上記の実施の形態では、「可変表示が開始される前」として始動入賞時を例にしたが、「可変表示が開始される前」は、始動入賞にもとづく可変表示が開始される前であれば、始動入賞時に限られない。例えば、当該始動入賞よりも前に生じた始動入賞にもとづいて可変表示が開始されるときや、第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dにおいて保留表示がシフトされるときであってもよい。」
6 「【図26】[図:0001382222000001.jpg]【図27】[図:0001382222000002.jpg]・・・略・・・【図31】[図:0001382222000003.jpg]」
7 上記1ないし6からみて、引用例1には、実施形態として、次の発明が記載されている。なお、aないしlについては本願発明のAないしLに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 識別情報の可変表示を行い、可変表示の表示結果が特定表示結果になったときに遊技者にとって有利な大当り遊技状態に制御する遊技機であって(【0009】)、c 遊技媒体が始動領域を通過したが開始条件が成立していない識別情報の可変表示について、数値データ抽出手段により抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段と(【0009】)、d 保留記憶の数に応じた保留表示を表示部に表示する保留表示手段(【0009】)と、f 識別情報の可変表示を開始するときに、当該可変表示に対応する保留表示を可変表示対応保留表示として所定領域(例えば、保留ボックス9F)に表示する可変表示対応保留表示手段(【0009】)と、続きを表示(全12行)e 当該可変表示の実行中に、可変表示の表示結果が特定表示結果になるか否かに応じて、所定領域に表示されている可変表示対応保留表示の態様を特定態様(例えば、「赤」)に変化させる保留表示変化手段(【0009】)と、を備え、g、j、j1 保留表示変化手段は、表示部に所定画像を表示し、所定領域に表示されている実行中の可変表示に対応する保留表示に当該所定画像が作用することによって当該実行中の可変表示に対応する保留表示の態様が変化するような表示演出を行い、保留表示の態様を変化させるタイミングに関わらず、共通のタイミングで所定画像の表示を開始するものであり(【0012】)、具体的には、リーチになる前にキャラクタ画像9aを表示した場合に、リーチになる前またはリーチになった後に保留表示の態様が必ず変化し、リーチになる前およびリーチになった後に保留表示の態様を変化させない場合にも、キャラクタ画像9aを表示し(【0227】、【0230】、【0234】)、可変表示の表示結果が特定表示結果になるか否かに応じて、複数のタイミングのうちいずれのタイミングで特定態様に変化させるかの割合を異ならせ(【0009】)、k 演出図柄の可変表示が実行されているときに、新たな始動入賞が発生すると、保留表示の数が1増えるが、新たな始動入賞に対応する保留表示(保留表示Aとする。)は、通常態様とは異なる態様で表示されることがあり(【0223】)、その後、保留表示Aにもとづく可変表示を開始可能な状態になると、可変表示を開始するときに、保留表示Aを保留ボックス9Fの内部に表示し(【0224】)、可変表示を開始するときに、開始される可変表示に対応する保留表示(保留表示Bとする。)を保留ボックス9Fの内部に表示し(【0226】)、その後、リーチになる前に、キャラクタ画像9aを表示し、保留ボックス9Fの内部で保留表示の態様を変化させる(【0227】)、l 遊技機(【0009】)。」(以下「引用発明」という。)
第4 対比・判断
1 対比
ア 本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)特定事項A、Lについて
引用発明の「識別情報の可変表示」、「遊技者にとって有利な大当り遊技状態」及び「遊技機」は、それぞれ本願発明の「可変表示」、「遊技者にとって有利な有利状態」及び「遊技機」に相当する。
そうすると、引用発明の「a 識別情報の可変表示を行い、可変表示の表示結果が特定表示結果になったときに遊技者にとって有利な大当り遊技状態に制御する遊技機」は、本願発明の「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。
また、引用発明のlは、本願発明の特定事項Lに相当する。
(イ)特定事項Cについて
引用発明の「c 遊技媒体が始動領域を通過したが開始条件が成立していない識別情報の可変表示について、数値データ抽出手段により抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段」は、本願発明の「C 可変表示に関する情報を、保留記憶として記憶する保留記憶手段」に相当する。
(ウ)特定事項Dについて
引用発明の「d 保留記憶の数に応じた保留表示を表示部に表示する保留表示手段」は、本願発明の「D 前記保留記憶手段に記憶された保留記憶に対応して保留表示を表示する保留表示手段」に相当する。
(エ)特定事項Eについて
引用発明のeにおいて、保留表示変化手段は、可変表示対応保留表示の態様を特定態様(例えば、「赤」)に変化させるものであり、変化前の保留表示の態様が通常態様といえるから、引用発明のeの「保留表示変化手段」は、本願発明の「E 保留表示の表示態様を通常態様とは異なる態様に変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段」に相当する。
(オ)特定事項Fについて
引用発明のfの「可変表示対応保留表示手段」は、識別情報の可変表示を開始するときに、当該可変表示に対応する保留表示を可変表示対応保留表示として所定領域に表示するから、本願発明の「F 可変表示を開始するときに、当該可変表示に対応する保留表示を対応表示として表示可能な対応表示手段」に相当する。
(カ)特定事項Gについて
引用発明のg、j、j1の「所定画像」又は「キャラクタ画像9a」は、保留表示の態様が変化する場合及び保留表示の態様が変化しない場合の双方で表示されるものであり、技術常識からみて、保留表示の態様の変化は、期待度の高い表示態様に変化させるものであるから、引用発明のg、j、j1の「『所定画像』又は『キャラクタ画像9a』」の表示は、本願発明の「対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させるときと、対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させないときとで共通で実行される共通演出」に相当する。
また、引用発明のg、j、j1の「当該実行中の可変表示に対応する保留表示の態様が変化する」ことは、本願発明の「前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させる成功演出」に相当する。同様に、引用発明のg、j、j1の「保留表示の態様が変化させない」ことは、本願発明の「対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させない失敗演出」に相当する。
そうすると、引用発明のg、j、j1は、本願発明の「G 対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させるときと、対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させないときとで共通で実行される共通演出と、当該共通演出を実行した後に対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させる成功演出または対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させない失敗演出とを実行可能な対応表示演出実行手段」を備える。
(キ)特定事項J、J1について
引用発明のg、j、j1の「リーチになる前」、「リーチになった後」及び「リーチになる前またはリーチになった後」は、それぞれ本願発明の「一の可変表示の実行中における第1タイミング」、「当該第1タイミングよりも後の第2タイミング」及び「一の可変表示の実行中における第1タイミングと、当該第1タイミングよりも後の第2タイミングと、を含む複数タイミング」に相当する。
そうすると、引用発明のg、j、j1は、本願発明の「J1 前記第1タイミングはリーチ成立前のタイミングであり、前記第2タイミングはリーチ成立後のタイミングである」との特定事項を備える。
また、引用発明のg、j、j1において、保留表示変化手段は、保留表示の態様を変化させるタイミングに関わらず、共通のタイミング(第1タイミング)で所定画像の表示(共通演出)を開始するものであり、具体的には、リーチになる前(第1タイミング)にキャラクタ画像9aを表示する(共通演出)ものである。
そうすると、引用発明のg、j、j1 と、本願発明の特定事項Jとは、「J’一の可変表示の実行中における第1タイミングと、当該第1タイミングよりも後の第2タイミングと、を含む複数タイミングのうち、」「前記第1タイミングにおいて前記共通演出が実行され」る点で一致する。
(ク)特定事項Kについて
引用発明のkにおいて、演出図柄の可変表示が実行されているときに、新たな始動入賞が発生すると、保留表示の数が1増えるが、新たな始動入賞に対応する保留表示(保留表示Aとする。)は、通常態様とは異なる態様で表示されることがあり、その後、保留表示Aにもとづく可変表示を開始可能な状態になると、可変表示を開始するときに、保留表示Aを保留ボックス9Fの内部に表示し、可変表示を開始するときに、開始される可変表示に対応する保留表示(保留表示Bとする。)を保留ボックス9Fの内部に表示し、その後、リーチになる前に、キャラクタ画像9aを表示し、保留ボックス9Fの内部で保留表示の態様を変化させるものである。
要するに、引用発明のkにおいて、保留表示が通常態様と異なる態様で表示済みの場合に、キャラクタ画像9aの表示(共通演出)をしないものである。
そうすると、引用発明のkは、本願発明の「K 前記対応表示演出実行手段は、前記変化演出が実行される場合に、前記共通演出を実行せず、」との特定事項を備える。
イ 上記アからみて、本願発明と引用発明とは、
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、B 前記有利状態において、遊技媒体が進入容易な第1状態と遊技媒体が進入困難な第2状態とに変化可能な可変手段と、C 可変表示に関する情報を、保留記憶として記憶する保留記憶手段と、D 前記保留記憶手段に記憶された保留記憶に対応して保留表示を表示する保留表示手段と、続きを表示(全12行)E 保留表示の表示態様を通常態様とは異なる態様に変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段と、F 可変表示を開始するときに、当該可変表示に対応する保留表示を対応表示として表示可能な対応表示手段と、G 対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させるときと、対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させないときとで共通で実行される共通演出と、当該共通演出を実行した後に対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させる成功演出または対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させない失敗演出と、を実行可能な対応表示演出実行手段と、を備え、H 遊技状態として、通常状態と、通常状態よりも前記有利状態に制御されやすい特別状態があり、J’一の可変表示の実行中における第1タイミングと、当該第1タイミングよりも後の第2タイミングと、を含む複数タイミングのうち、前記第1タイミングにおいて前記共通演出が実行され、K 前記対応表示演出実行手段は、前記変化演出が実行される場合に、前記共通演出を実行せず、J1 前記第1タイミングはリーチ成立前のタイミングであり、前記第2タイミングはリーチ成立後のタイミングであるL 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点(特定事項J)
「一の可変表示の実行中における第1タイミングと、当該第1タイミングよりも後の第2タイミングと、を含む複数タイミング」を有するものに関し、
本願発明では、「前記第2タイミングにおいて前記共通演出が実行されるときは、前記第1タイミングにおいて前記共通演出が実行されるときよりも、前記成功演出が実行される割合が高」いのに対し、
引用発明では、保留表示の態様を変化させるタイミングに関わらず、共通のタイミングで所定画像の表示(共通演出)を開始するものであり、具体的には、リーチになる前(第1タイミング)にキャラクタ画像9aの表示(共通演出)を実行するものであり、そもそも、キャラクタ画像9aの表示(共通演出)を、リーチになった後(第2タイミング)を含む複数のタイミングで実行するものではない点。
2 判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、可変表示の表示結果が特定表示結果になるか否かに応じて、複数のタイミングのうちいずれのタイミングで特定態様に変化させるかの割合を異ならせているものの、所定画像の表示又はキャラクタ画像9aの表示(共通演出)については、保留表示の態様を変化させるタイミングに関わらず、共通のタイミング、すなわち、リーチになる前(第1タイミング)のみで実行するものであり、そもそも、キャラクタ画像9aの表示(共通演出)を、リーチになった後(第2タイミング)を含む複数のタイミングで実行するものではない。
そして、上記相違点に係る本願発明の特定事項については、周知技術ともいえない。
そうすると、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の特定事項のようになすことは当業者が容易に想到し得たものではない。
また、本願発明は、引用例1にない上記相違点に係る特定事項を少なくとも備えることで、引用例1にない、示唆演出の実行タイミングにも注目させることができ、遊技に対する興趣を向上させることができるという特有の作用効果を奏するものである。
してみると、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、本件補正前の請求項1について上記引用例1に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、本件補正前の請求項1に係る発明は、特定事項Jとして「一の可変表示の実行中における第1タイミングと、当該第1タイミングよりも後の第2タイミングと、を含む複数タイミングのうち、前記第2タイミングにおいて前記共通演出が実行されるときは、前記第1タイミングにおいて前記共通演出が実行されるときよりも、前記成功演出が実行される割合が高く、」を有するものとなっており、本願発明も同様に特定事項Jを有するから、上記第4の2のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由(特許法第36条第6項第1号)について
1 当審では、請求項1の「実行中の可変表示に対応して対応表示を表示可能な対応表示手段」という点は、発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正において「可変表示を開始するときに、当該可変表示に対応する保留表示を対応表示として表示可能な対応表示手段」(特定事項F)と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
2 当審では、請求項1の「当該共通演出を実行した後に対応表示の表示態様を変化させる成功演出または対応表示の表示態様を変化させない失敗演出とを実行可能な対応表示演出実行手段」という点は、発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正において「対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させるときと、対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させないときとで共通で実行される共通演出と、当該共通演出を実行した後に対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させる成功演出または対応表示の表示態様を前記有利状態に制御される期待度が高い表示態様に変化させない失敗演出とを実行可能な対応表示演出実行手段」(特定事項G)と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、本願の特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないということもできない。
したがって、原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-003899