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特許拒絶査定不服審判

2021-003459

給湯装置

審判番号
2021-003459
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-069636外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年03月16日
審決日
2021年10月28日
公報発行日
2022年01月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F24H) / P18 .572-Z (F24H) / P18 .575-Z (F24H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 69636「給湯装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月 8日出願公開、特開2018-173180〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年3月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年9月9日付けで拒絶理由通知 令和2年10月30日に意見書及び手続補正書の提出 令和2年12月23日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和3年3月16日に拒絶査定不服審判の請求及びその請求と同時に手続補正書の提出 第2 令和3年3月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年3月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) 本件補正は、本件補正前に下記(2)のとおりであった特許請求の範囲の記載を、下記(1)のとおり補正するものである。 (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。) 「 【請求項1】 供給される水を加熱して高温水を作り給湯部へ給湯する給湯装置において、 前記高温水を貯留する貯湯タンクが筐体内に収容され、 前記筐体の壁と前記貯湯タンクとの間に商用電源停電時の電源となる蓄電池が配置され、前記貯湯タンクから放出される熱によって前記蓄電池の急激な温度低下が抑制され、 前記筐体の壁と前記蓄電池との間に断熱材が配置され、 前記貯湯タンクに貯留される前記高温水を外部の給湯部へ送り出す給湯管と電磁開閉弁と前記電磁開閉弁を制御する制御部を更に設け、 前記制御部は前記商用電源の停電を検出する停電検出回路を含み、前記商用電源の停電時に前記蓄電池を電源とする ことを特徴する給湯装置。 【請求項2】 前記蓄電池は前記貯湯タンクの外側面に熱接触状態に配置された、 ことを特徴する請求項1に記載の給湯装置。 【請求項3】 前記蓄電池は、前記貯湯タンクの外側面と前記筐体の壁との間隔が狭い部分に配置された、 ことを特徴する請求項1乃至2のいずれかに記載の給湯装置。 【請求項4】 前記貯湯タンクが円筒状をなし前記筐体は立方形状をなし、 前記蓄電池は、前記筐体内の前記筐体の隅部分に配置された、 ことを特徴する請求項1乃至3のいずれかに記載の給湯装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和2年10月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 供給される水を加熱して高温水を作り給湯部へ給湯する給湯装置において、 前記高温水を貯留する貯湯タンクが筐体内に収容され、 前記筐体の壁と前記貯湯タンクとの間に商用電源停電時の電源となる蓄電池が配置され、前記貯湯タンクから放出される熱によって前記蓄電池の急激な温度低下が抑制される ことを特徴する給湯装置。 【請求項2】 前記筐体の壁と前記蓄電池との間に断熱材が配置され、 前記貯湯タンクに貯留される前記高温水を外部の給湯部へ送り出す給湯管と電磁開閉弁と前記電磁開閉弁を制御する制御部を更に設け、 前記制御部は前記商用電源の停電時に前記蓄電池を電源とする ことを特徴する請求項1に記載の給湯装置。 【請求項3】 前記蓄電池は前記貯湯タンクの外側面に熱接触状態に配置された、 ことを特徴する請求項1または2に記載の給湯装置。 【請求項4】 前記蓄電池は、前記貯湯タンクの外側面と前記筐体の壁との間隔が狭い部分に配置された、 ことを特徴する請求項1乃至第3のいずれかに記載の給湯装置。 【請求項5】 前記貯湯タンクが円筒状をなし前記筐体は立方形状をなし、 前記蓄電池は、前記筐体内の前記筐体の隅部分に配置された、 ことを特徴する請求項1乃至第4のいずれかに記載の給湯装置。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項2の記載を、本件補正後の請求項1において他の請求項の記載を引用しないものとし、さらに、「制御部」について、「前記商用電源の停電時に前記蓄電池を電源とする」という機能を達成するための「前記商用電源の停電を検出する停電検出回路を含み」という構成の限定を付加するものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 <特許法第29条第2項(進歩性)について> (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)の請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものである。 (2)引用文献 ア 引用文献1 (ア)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-40711号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付したものである。以下同様。) 「【0001】 本発明は、貯湯タンクと、電気器具に電力を供給する二次電池を備える湯温調節システムに関する。 【背景技術】 【0002】 この種の温調システムとしては、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1のリチウムイオン電池(二次電池)の設置構造は、図3に示すように、屋外に配置される貯湯式給湯器80と、リチウムイオン電池90と、を備える。貯湯式給湯器80は、屋外に配置される給湯器本体81を備え、この給湯器本体81は、貯湯槽82を備える。貯湯槽82は、貯湯槽本体82aと、貯湯槽本体82aの表面を被覆する保温層82bと、貯湯槽本体82a及び保温層82bを収納するケース82cとからなる。また、給湯器本体81内には、リチウムイオン電池90が貯湯槽82の近傍に設けられている。このリチウムイオン電池90は、給湯器本体81を含む家庭用の電気器具等の電力源として用いられる。また、リチウムイオン電池90は、その作動温度が5~40℃である。」 「【0016】 以下、本発明の湯温調節システムを家での湯温調節システムに具体化した一実施形態を図1~図2にしたがって説明する。 図1に示すように、建築物としての家11において、屋根11aには電力供給装置としての太陽光発電機12が設置されている。この太陽光発電機12は、商用電源(図示せず)に電気的に接続されるとともに、商用電源からの電力供給により駆動可能になっている。また、家11の建屋11b内には湯消費部としての風呂13及び電気器具としての照明器具31が設置されている。照明器具31は、太陽光発電機12と電気的に接続されるとともに、太陽光発電機12で発電した電力によって点灯可能になっている。家11の外には、貯湯タンク16が設置されている。そして、貯湯タンク16には、適温(約80℃)に暖められた湯が貯められている。 【0017】 貯湯タンク16には、湯が循環する循環路17の一部が連結されるとともに、この循環路17は太陽光発電機12に連結されている。循環路17には循環ポンプ18が設けられるとともに、太陽光発電機12及び循環ポンプ18は、制御部28に信号接続されている。そして、制御部28の制御により、循環ポンプ18が駆動されると、循環路17で湯が強制循環する。循環路17の湯は、太陽光発電機12からの廃熱により暖められるようになっている。また、貯湯タンク16と風呂13とは、供給管19によって接続されるとともに、供給管19には供給ポンプ20が設けられている。そして、貯湯タンク16の湯は、供給ポンプ20の駆動により風呂13に供給されるようになっている。 【0018】 貯湯タンク16の表面全体には、多数の二次電池22が接合される(接触している)とともに、各二次電池22の熱は、貯湯タンク16に直接伝達されるようになっている。そして、二次電池22から貯湯タンク16に伝達された熱は、貯湯タンク16内の湯に伝達される。よって、本実施形態では、貯湯タンク16が、二次電池22で発生する熱を湯に伝達する熱伝導部材として機能する。 【0019】 二次電池22は、ナトリウムイオン電池よりなる。ナトリウムイオン電池は、ナトリウム化合物が融点以上の温度で液体となった溶融塩(イオン液体)を用いたものであり、正極材料に亜クロム酸ナトリウムを用い、負極材料にナトリウム合金を用いている。そして、ナトリウムイオン電池の作動温度範囲は57~190℃であり、適正な作動温度は70~80℃である。このため、二次電池22は、効率良く出力するために適正な作動温度(70~80℃)に維持されるのが好ましく、また、二次電池22の適正な作動温度は、貯湯タンク16に貯められた湯の温度とほぼ同じになっている。 【0020】 多数の二次電池22は、一纏まりの断熱材23によって全体が覆われるとともに、断熱材23によって貯湯タンク16全体も覆われている。そして、断熱材23によって貯湯タンク16及び二次電池22が外気と遮断され、貯湯タンク16と二次電池22とが同じ温度に維持されている。また、二次電池22には、循環路17の一部が連結されるとともに、循環路17の湯は、二次電池22と熱交換可能になっている。」 「【0044】 ○ 実施形態では、二次電池22としてナトリウムイオン電池を用いたが、作動温度範囲が貯湯タンク16の湯の温度に近いもので有れば、その他の種類のものに変更してもよい。 【0045】 ○ 実施形態では、電力供給装置として太陽光発電機12に具体化したが、ガスで駆動される燃料電池に変更してもよい。 ○実施形態では、二次電池22及び太陽光発電機12で貯湯タンク16の湯を暖めるようにしたが、二次電池22と電気給湯器を併用して湯を暖めるようにしてもよい。この場合、電気給湯器は、ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯機であり、冷媒として、フロンではなく二酸化炭素を使用している機種が好ましい。 【0046】 ○ 実施形態では、太陽光発電機12で発電された電力によって二次電池22に電力供給(充電)したが、二次電池22を商用電源と電気的に接続し、二次電池22を商用電源を用いて充電してもよい。 【0047】 ○ 実施形態では、建築物として家11に具体化したが、家以外にも工場、ビル等に具体化してもよい。 ○ 実施形態では、湯消費部として風呂13に貯湯タンク16を接続したが、風呂13以外にもキッチン、トイレ、洗面所等に貯湯タンク16を接続してもよい。」 「【図1】 [図:0001380796000001.jpg] 」 (イ)上記(ア)及び図面の記載から認められる事項 上記(ア)及び図面の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 a 上記(ア)の段落0001及び0016並びに図1の記載によれば、引用文献1には、湯温調節システムが記載されている。 b 上記(ア)の段落0016~0018,0045及び0046並びに図1の記載によれば、湯温調節システムにおいて、供給される水を商用電源を用いて充電される二次電池22と電気給湯器を併用して加熱して約80℃に暖められた湯を作り風呂13へ供給することが認められる。 c 上記(ア)の段落0016及び0046並びに図1の記載によれば、湯温調節システムにおいて、約80℃に暖められた湯を貯める貯湯タンク16が家11の外に設置されることが認められる。 d 上記(ア)の段落0018及び図1の記載によれば、湯温調節システムにおいて、貯湯タンク16の表面全体には、二次電池22が接合され、前記二次電池22の熱は、前記貯湯タンク16に直接伝達されることが認められる。 e 上記(ア)の段落0020及び図1の記載によれば、湯温調節システムにおいて、二次電池22は、一纏まりの断熱材23によって全体が覆われるとともに、前記断熱材23によって貯湯タンク16全体も覆われることが認められる。 f 上記(ア)の段落0017及び0046並びに図1の記載によれば、湯温調節システムにおいて、貯湯タンク16に貯留される約80℃に暖められた湯を風呂13、キッチン、トイレ、洗面所等へ送り出す供給管19と供給ポンプ20とを更に設けることが認められる。 (ウ)引用発明 上記(ア)及び(イ)から、本件補正発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「供給される水を商用電源を用いて充電される二次電池22と電気給湯器を併用して加熱して約80℃に暖められた湯を作り風呂13、キッチン、トイレ、洗面所等へ供給する湯温調節システムにおいて、 前記約80℃に暖められた湯を貯める貯湯タンク16が家11の外に設置され、 前記貯湯タンク16の表面全体には、前記二次電池22が接合され、前記二次電池22の熱は、前記貯湯タンク16に直接伝達されるようにされ、 前記二次電池22は、一纏まりの断熱材23によって全体が覆われるとともに、前記断熱材23によって前記貯湯タンク16全体も覆われ、 前記貯湯タンク16に貯留される前記約80℃に暖められた湯を前記風呂13、キッチン、トイレ、洗面所等へ送り出す供給管19と供給ポンプ20とを設ける湯温調節システム。」 イ 引用文献2 (ア)引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の出願前に頒布された特開平9-60970号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、貯湯式電気温水器に関するものであり、特に停電時に給水を可能にする給水装置を備えた貯湯式電気温水器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】貯湯式電気温水器の貯湯タンクには、数百リットルの温水が貯められている。そこで最近は、災害時や渇水時に緊急用の水を確保する手段として貯湯式電気温水器の貯湯タンクを利用することが考えられている。例えば、貯湯式電気温水器の貯湯タンクの胴部下部にカランを取付けて、タンク上部に設けられた逃し弁とカランを開けて給水できるようにする技術が実用化されている。また貯湯式電気温水器の給水管に給水側を遮断する切換弁と逆流サイホン防止コックとを一体化して取付け、タンク上部の逃し弁と切換弁及びコックを開けて給水できるようにする技術も実用化されている。 ・・・ 【0005】本発明の他の目的は、簡単な操作で断水時でしかも停電時に、多量の水を比較的短時間のうちに給水できる貯湯式電気温水器を提供することにある。」 「【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、貯湯式電気温水器の貯湯タンク内の水を停電時に利用することを可能にする給水装置を備えた貯湯式電気温水器を対象とする。 【0009】本発明では、給水装置を、非常用電源と、この非常用電源を電源として貯湯タンク内の水を吐出するポンプと、ポンプの制御装置とから構成する。このような構成にすると、地震が発生した時などの緊急時に断水と停電が同時に発生しても、非常用電源により制御装置を通してポンプを稼働させることにより、貯湯式電気温水器の貯湯タンク内から短時間のうちに多量にしかも貯湯タンク内の貯水全量を給水することが可能となる。」 「【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の貯湯式電気温水器の一実施例の構成を示す概略図である。本図において、1は電気温水器本体であり、破線で示した貯湯タンク1aの中にヒータHが挿入された構造となっている。貯湯タンク1aには、その下部から給水管元管3及び給水管3aを通して水道管2より水が給水され、その水圧で貯湯タンク1aの上部から給湯管11を通して給湯する。貯湯タンク1a上部の給湯管11には貯湯タンクが所定の負圧になると開く負圧防止弁付き逃し弁12を設けている。なお、貯湯タンクの下部には排水管13が設けられており、弁14を開くことにより排水できるようにしている。 【0019】4は貯湯タンク1aに接続され、災害時などの緊急時に貯湯タンク1a内の水を給水する給水装置である。給水装置4は、商用電源を電源とする充電器41aで浮動充電されるバッテリ41bを備えた非常用電源41と、貯湯タンク1a内の水を吐出する加圧ポンプとしてのポンプ42と、このポンプ42の駆動を制御する制御装置43とを主要な構成要素として構成されている。ポンプ42の吸入口は、水の流れの有無を検出する流れ検出手段を構成するフロースイッチ44と緊急用給水管45とを介して三方切換弁からなる電動切換弁46に接続されている。この電動切換弁46は、給水元管3と給水管3aとの間に接続されており、常時は水道管2より貯湯タンク1aに水を流し、緊急時には貯湯タンク1aから緊急用給水管45に水を流すように切換えられるもので、後述する給水指令信号に基く電気信号に応答して動作する。また、ポンプ42の吐出口側には逆流を防止するバキュームブレーカ付きの逆止弁47が取付けられている。バキュームブレーカ付きの逆止弁47は、ポンプ42を止めたときにホース継手48に接続した接続延長ホースの内水によるサイホン効果で水の供給側(貯湯タンク1aまたは水道元管3側)に発生する負圧を大気圧に戻すために設ける。 【0020】本実施例では、逆止弁47の先にホース継手48が取付けられている。このホース継手48に長い接続延長ホースを接続すれば、貯湯タンク1a内の水を消火用水として使用することができる。非常事態の発生に迅速に対処するためには、ホース継手48に長い接続延長ホースを常時接続した状態にしておくのが好ましい。 【0021】制御装置43には、ポンプ42、フロースイッチ44、電動切換弁46及び手動スイッチ49が電気的に接続されている。そして制御装置43は非常用電源41を動作用電源として動作する。制御装置43は、手動スイッチ49から給水指令信号が出力されると、電動切換弁46を切換える切換指令信号を出力し、フロースイッチ44が水の流れを検出すると、ポンプ42の駆動回路に動作開始指令を出力してポンプ動作を開始させることにより、貯湯タンク1aから給水装置4を通して水を給水するようにポンプ42を制御する。手動スイッチ49として、1回目のスイッチ動作でオン状態を維持し、2回目のスイッチ動作でオフ状態になるスイッチを用いると、制御装置43は手動スイッチ49がオン状態にあって給水指令信号が出力され続けている間ポンプ42の運転を継続する。但し、貯湯タンク1a内の水がなくなると、フロースイッチ44が水の流れを検出しなくなるため、給水指令信号が入力されていても、制御装置43はポンプ42の運転を停止させる。貯湯タンク1aの内部に水が残っている状態で、手動スイッチ49がオフ状態になると、制御装置43はポンプ42の運転を停止させる。なお手動スイッチ49の構成に応じて制御装置43の構成及び動作を適宜に変更してもよい。本実施例では、ポンプ42の運転を停止させる際及びポンプ42が運転を停止した後(フロースイッチ44がオフ状態になった時)に、必ず電動切換弁46を元の状態に戻す切換指令信号を出力するように構成している。しかしながらポンプ42の運転を停止したときに、必ずしも電動切換弁46を元の状態に戻す必要はないため、電動切換弁46の復帰動作をポンプ42の運転と切り離して別個に制御するようにしてもよい。 【0022】上記の動作をする制御装置43の構成は任意であり、制御装置43の制御中心部にマイクロコンピュータを利用してもよい。 【0023】また本実施例では、貯湯式電気温水器の安全操作と誤動作防止のために給水管3には止水栓5、逆止弁6、減圧弁7が取付けられている。 【0024】以上の構成において、本発明による貯湯式電気温水器における災害時の動作について説明する。先ず緊急給水を行うときには、手動スイッチ49を押してオン状態にして、制御装置43に給水指令信号を出力する。制御装置43は、給水指令信号を受信すると、電動切換弁46を貯湯タンク1aから給水装置4に水が流れるように切換える。そして貯湯タンク1a内の水がフロースイッチ44に流れ込み、フロースイッチ44がオン状態になると、制御装置43には水の流れを検出したことを示す信号が送信される。フロースイッチ44から水の流れを検出したことを示す信号が送信されると、制御装置43はポンプ42の駆動装置に指令を出力してポンプ42の運転を開始し、緊急給水を開始する。」 「【0027】図3は本発明の他の実施例の貯湯式電気温水器の要部の構造を示す概略図である。同図において、1aは電気温水器本体1の内側に収納されている貯湯タンクで、この貯湯タンク1aの内部にヒータHが設けられている。また、貯湯タンク1aの外部は保温材15でくるまれており、その外部は外筒ケース16で覆われている。貯湯タンク1aの下部は長めの3本のタンク脚17で支えられており、貯湯タンク1aの下部には部品収納空間が形成されている。本実施例では、この部品収納空間に充電器41a及びバッテリ41bからなる非常用電源41とポンプ42とが配置されている。このように構成すると、給水装置4を構成する重量の重い部品の大部分を貯湯タンク1aの下部に配置することができ、給水装置4を一体型構造にした場合でも、全体の重心を下側に位置させることができる。しかも貯湯式電気温水器のコンパクト化を図って、設置スペースを少なくすることができる。 【0028】 【発明の効果】本発明によれば、スイッチ操作でポンプを駆動して貯湯タンクから給水するようにしているため、災害時や渇水時などの断水時に、多量にしかも貯湯タンク内の貯水全量を給水することができる。」 「 [図:0001380796000002.jpg] [図:0001380796000003.jpg] 」 (イ)引用文献2の技術事項 上記(ア)から、本件補正発明に倣って整理すると、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「貯湯式電気温水器において、貯湯タンク1aに貯留される水をホース継手48へ送り出す緊急用給水管45と電動切換弁46とポンプ42と前記電動切換弁46及び前記ポンプ42を制御する制御装置43を更に設け、 前記制御装置43は、手動スイッチ49から出力される給水指令信号を受信するようにされ、商用電源の停電時に充電器41dで充電されるバッテリ41bを動作用電源とするものであり、 前記電動切換弁46は、給水元管3と給水管3aとの間に接続されており、常時は水道管2より前記貯湯タンク1aに水を流し、商用電源の停電時に前記手動スイッチ49から前記給水指令信号が出力されると、前記制御装置43により前記貯湯タンク1aから前記緊急用給水管45に水を流すように切換えられること。」 ウ 引用文献3 本件補正により追加された事項に対応して周知例として新たに引用する文献であって、本願の出願前に頒布された特開平4-261613号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 「【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成の従来例の電源回路では、注水ポンプ駆動用モーター22が交流電源のみから電力供給されるように構成されているため、例えば湯を沸かした後、給湯器をコンセントに接続できない場所に運んで給湯したいときや、停電時等のように、交流電源からの電力供給がない場合、モーター22が駆動されず、注水できないという問題点があった。 【0005】本発明は、このような問題点を解決するもので、交流電力が供給されない場合にも注水することができる給湯器の提供を目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の給湯器は、注水ポンプ駆動用モーターと、このモーターに電力を供給する交流電源および電池電源と、これら交流電源および電池電源とモーターとの間に介在して交流電源からのモーターへの電力供給を優先すると共に交流電源から電力供給されない場合に電池電源からのモーターへの電力供給に切り換える切換手段とを具備することを特徴とするものである。 【0007】 【作用】本発明は上記構成により、注水ポンプのモーターの電源回路が交流電源より電力供給する系統と電池より電力供給する系統に分かれ、モーターは交流電源の電力を優先的に供給されていることから、通常時には交流電源により駆動され、交流電源から電力供給されない場合は、切換手段の動作によって電池電源からの電力供給に切り換えられてモーターが駆動されるので、停電時や交流電源に接続できない場所においても注水することが可能となる。 【0008】 【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。図1はこの実施例の給湯器における注水ポンプ駆動用モーターの電源回路のブロック図である。11は注水ポンプ、12はモーター、13はスイッチ、14は整流器、15は変圧器、16は交流電源、17は電池電源としての蓄電池、18は切換手段としての切換回路である。 【0009】この切換回路18は前記交流電源16および蓄電池17とモーター12との間に介在して交流電源16からのモーター12への電力供給を優先すると共に、交流電源16から電力供給されない場合に蓄電池17からのモーター12への電力供給に切り換えるもので、ダイオード19a,19b,19cと、抵抗20とにより構成されている。 【0010】次に、上記のように構成された電源回路の動作を説明する。まず、スイッチ13が接続されると、交流電源16から交流電力が供給されている場合、交流電源16の電圧が変圧器15で下げられ、整流器14により直流電流に変換される。変換された直流電流は切換回路18のダイオード19aを通ってモーター12に流れてポンプ11が動作する。 【0011】一方、蓄電池17は切換回路18のダイオード19b、抵抗20を経て供給される直流電流によって充電されている。いま、交流電源16の電力が供給されない場合、蓄電池17が放電し、ダイオード19cを通ってモーター12に電流が流れ、ポンプ11が動作する。 【0012】このように本実施例では、電池電源として蓄電池17を使用しているので、電池交換が不要になって好都合であるが、本発明では電池交換が必要ではあるが、小型軽量を図ることができる利点を有する乾電池等を使用できることは勿論のことである。 【0013】 【発明の効果】以上説明したように本発明の給湯器は、注水ポンプ駆動用モーターの電力供給を交流電源の電力と電池電源の電力を使用し、かつ交流電源からのモーターへの電力供給を優先すると共に交流電源から電力供給されない場合に電池電源からのモーターへの電力供給に切り換える切換手段を設けることにより、交流電力が供給されない場合にも、電池電源によって電力供給できるので、モーターを駆動して注水することが可能となるという優れた効果を発揮するものとなった。」 「 [図:0001380796000004.jpg] 」 エ 引用文献4 本件補正により追加された事項に対応して周知例として新たに引用する文献であって、本願の出願前に頒布された特開2013-224764号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。 「【0001】 ここで開示する技術は、給湯装置や暖房装置といった熱供給装置に関する。特に、電気とガス(詳しくは可燃性ガス、以下同じ)を併用するハイブリッド式の熱供給装置に関する。」 「【0027】 コントローラ14は、停電検出センサ56を備えている。停電検出センサ56は、商用電力の供給経路に設けられており、停電の発生を検知することができる。コントローラ14は、停電検出センサ56によって停電を検出すると、電源を商用電源からバッテリ電源54へ切り替えることができる。ここで、停電検出センサ56の構成については特に限定されない。例えば、停電検出センサ56は、商用電力の供給経路の電圧を監視するものであってもよい。あるいは、停電検出センサ56は、停電の発生を間接的に検知するもの、例えば、地震計を有するものや、緊急地震速報の受信手段を有するものであってもよい。」 「 [図:0001380796000005.jpg] 」 オ 引用文献5 本件補正により追加された事項に対応して周知例として新たに引用する文献であって、本願の出願前に頒布された特開昭2013-88060号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、バーナーによって水を加熱して湯を供給する給湯器に関する。」 「【0025】 給湯器10には、バーナー15、ポンプ18、ファン19、開閉弁23、混合弁24、比例弁25、温度センサ26~28、循環ポンプ29及びヒータ32、32a、32bをはじめとする多くの電動機器(電力を供給されて作動する機器)が設けられ、これらの電動機器には制御装置33(電動機器の一例)が接続されている。 制御装置33は、商用電源11と電動機器を電気的に接続する電力供給回路33a及び各種プログラムが搭載されたマイクロコンピュータ33b(演算器の一例)を備えている。なお、電力供給回路33a及びマイクロコンピュータ33bもそれぞれ電動機器である。 【0026】 通常時、即ち商用電源11が電力を供給可能な状態の時、電力供給回路33aに接続された電動機器(マイクロコンピュータ33bを含む)には、電力供給回路33aを介して商用電源11からの電力が供給される。 マイクロコンピュータ33bは、図2に示すように、バーナー15、ポンプ18、ファン19、開閉弁23、混合弁24、比例弁25、温度センサ26~28、循環ポンプ29及びヒータ32、32a、32bに信号接続され、指令信号を送信することによって、これらの電動機器を作動させることができる。 【0027】 給湯器10には、図1に示すように、二次電池12が設けられ、停電時、即ち商用電源11からの電力供給が停止した時には、電動機器に対して二次電池12から電力が供給される。 二次電池12は、交流電力を直流電力に変換するコンバータ35を介して商用電源11に電気的に接続され、通常時、商用電源11からの電力供給によって充電される。二次電池12としては、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池等を採用することができる。 【0028】 二次電池12の電力出力側には、インバータ36が設けられている。インバータ36は、停電時に二次電池12から電力を供給されて作動し、二次電池12から出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ36から出力される交流電力は電力供給回路33aに供給される。 【0029】 インバータ36と制御装置33の間には、電力供給回路33aへの電力の送り元を切り替えるスイッチ37が設けられている。 スイッチ37は、商用電源11から供給されていた電源が遮断されると、インバータ36と電力供給回路33aを電気的に接続し、インバータ36と電力供給回路33aを電気的に接続している状態で商用電源11からの電力供給が再開されると、商用電源11と電力供給回路33aを電気的に接続する。スイッチ37をこのように切り替えることによって、通常時、商用電源11からの電力が電力供給回路33aに供給され、停電時に、二次電池12からの電力がインバータ36を介して電力供給回路33aに供給されるようにする。」 「【図1】 [図:0001380796000006.jpg] 」 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ア 後者の「約80℃に暖められた湯」は、前者の「高温水」に相当し、以下同様に、「風呂13、キッチン、トイレ、洗面所等」は「給湯部」に、「供給する」は「給湯する」に、「湯温調節システム」は「給湯装置」に、「貯める」は「貯留する」に、「貯湯タンク16」は「貯湯タンク」に、「二次電池22」は「蓄電池」に、「断熱材23」は「断熱材」に、「接合され」は「配置され」に、それぞれ相当する。 イ 後者の「供給される水を商用電源を用いて充電される二次電池22と電気給湯器を併用して加熱」する態様は、前者の「供給される水を加熱」する態様に相当する。 ウ 後者の「貯湯タンク16が家11の外に設置され」は、前者の「貯湯タンクが筐体内に収容され」に、「貯湯タンクが所定箇所に設置され」という点で一致する。 エ 後者の「前記二次電池22」は、前者の「商用電源停電時の電源となる蓄電池」に、「蓄電池」という点で一致する。 オ 後者の「前記貯湯タンク16の表面全体には、前記二次電池22が接合され」る態様は、前者の「前記筐体の壁と前記貯湯タンクとの間」に「蓄電池が配置され」る態様に、「前記貯湯タンクの近傍に蓄電池が配置され」るという点で一致する。 カ 後者の「前記二次電池22の熱は、前記貯湯タンク16に直接伝達されるようにされ」る態様は、二次電池22と電気給湯器を併用して貯湯タンク16内の湯が暖められるところ、二次電池22の作動温度は、貯湯タンク16に貯められた湯の温度とほぼ同じになっており(引用文献1の段落0019)、二次電池22の温度が貯湯タンクの温度より低くなる場合、貯湯タンクから放出される熱が二次電池22に伝達され、二次電池22の温度低下が抑制されることは明らかであるから、前者の「前記貯湯タンクから放出される熱によって前記蓄電池の急激な温度低下が抑制され」る態様に相当する。 キ 後者の「前記二次電池22は、一纏まりの断熱材23によって全体が覆われるとともに、前記断熱材23によって貯湯タンク16全体も覆われ」る態様は、前者の「前記筐体の壁と前記蓄電池との間に断熱材が配置され」る態様に、「前記蓄電池の近傍に断熱材が配置され」るという点で一致する。 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「供給される水を加熱して高温水を作り給湯部へ給湯する給湯装置において、 前記高温水を貯留する貯湯タンクが所定箇所に設置され、 前記貯湯タンクの近傍に蓄電池が配置され、前記貯湯タンクから放出される熱によって前記蓄電池の急激な温度低下が抑制され、 前記蓄電池の近傍に断熱材が配置される、給湯装置。」 [相違点1] 「貯湯タンクが所定箇所に設置され」ることに関し、本件補正発明では、「貯湯タンクが筐体内に収容され」るのに対して、引用発明では、「貯湯タンク16が家11の外に設置され」る点。 [相違点2] 「蓄電池」に関し、本件補正発明では、「商用電源停電時の電源となる蓄電池」であるのに対して、引用発明では、「前記二次電池22」が「商用電源停電時の電源となる」ものではない点。 [相違点3] 「前記貯湯タンクの近傍に蓄電池が配置され」ることに関し、本件補正発明では、「前記筐体の壁と前記貯湯タンクとの間」に「蓄電池が配置され」るのに対して、引用発明では、「前記貯湯タンク16の表面全体には、前記二次電池22が接合され」る点。 [相違点4] 「前記蓄電池の近傍に断熱材が配置され」ることに関し、本件補正発明では、「前記筐体の壁と前記蓄電池との間に断熱材が配置され」るのに対して、引用発明では、「前記二次電池22は、一纏まりの断熱材23によって全体が覆われるとともに、前記断熱材23によって貯湯タンク16全体も覆われ」る点。 [相違点5] 本件補正発明では、「前記貯湯タンクに貯留される前記高温水を外部の給湯部へ送り出す給湯管と電磁開閉弁と前記電磁開閉弁を制御する制御部を更に設け、 前記制御部は前記商用電源の停電を検出する停電検出回路を含み、前記商用電源の停電時に前記蓄電池を電源とする」のに対して、引用発明では、「前記貯湯タンク16に貯留される前記約80℃に暖められた湯を前記風呂13、キッチン、トイレ、洗面所等へ送り出す供給管19と供給ポンプ20とを設ける」ものであり、そのような構成は備えていない点。 (4)判断 ア 相違点1、3および4について 相違点1、3及び4は、いずれも、主に「筐体」の有無により生じた相違点であるから、以下まとめて判断する。 引用発明において、貯湯タンク16の表面全体に二次電池22が接合され、該二次電池22は、断熱材23によって全体が覆われるところ、貯湯タンク16が家11の外に設置されることから、二次電池22及び断熱材23の風雨や外的な衝撃に対する保護を図る必要があることは当業者が認識することであり、また、例えば、引用文献1(特に、段落0002及び図3)及び引用文献2(特に段落0027及び図3)にも記載があるように、貯湯タンクの外側に筐体を設けることは、本願の出願前にごく普通に行われていることを考慮すると、引用発明において、貯湯タンク16及び二次電池22を覆う断熱材23の外側に筐体を設けることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、引用発明において、貯湯タンク16及び二次電池22を覆う断熱材23の外側に筐体を設けることにより、貯湯タンク16(貯湯タンク)が筐体内に収容され、前記筐体の壁と前記貯湯タンク16との間に二次電池22(蓄電池)が配置され、前記筐体の壁と前記二次電池22との間に前記断熱材23(断熱材)が配置されたものとなることは明らかである。 そうすると、引用発明において、上記相違点1、3及び4に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2及び5について 引用文献2の技術事項について本件補正発明との対応を検討すると、引用文献2の技術事項における「貯湯式電気温水器」、「貯湯タンク1a」、「制御装置43」、「充電器41dで充電されるバッテリ41b」及び「動作用電源」は、本件補正発明における「給湯装置」、「貯湯タンク」、「制御部」、「蓄電池」及び「電源」に相当する。 また、引用文献2の技術事項における「ホース継手48」は、本件補正発明における「外部の給湯部」と、「外部の給水部」という点で一致する。 また、引用文献2の技術事項における「緊急用給水管45」は、本件補正発明における「給湯管」と、「給水管」という点で一致する。 さらに、引用文献2の技術事項における「電動切換弁46」は、「給水元管3と給水管3aとの間に接続されており、常時は水道管2より前記貯湯タンク1aに水を流し、商用電源の停電時に前記手動スイッチ49から前記給水指令信号が出力されると、前記制御装置43により前記貯湯タンク1aから前記緊急用給水管45に水を流すように切換えられる」ところ、緊急用給水管45の管路を通常時は閉じ、停電時に手動スイッチ49から給水指令信号が出力されると、前記緊急用給水管45の管路を開くものといえるから、本件補正発明の「電磁開閉弁」に相当する。 そうすると、引用文献2の技術事項は、「給湯装置において、貯湯タンクに貯留される水を外部の給水部へ送り出す給水管と電磁開閉弁と前記電磁開閉弁を制御する制御部を更に設け、 前記制御部は、商用電源の停電時に蓄電池を電源とすること。」ということができる。 そして、引用発明と引用文献2の技術事項とは、貯湯タンクを備えた給湯装置という点で技術分野が共通し、また、湯水を供給する上で停電時に湯水の供給を確保することは当然に考慮されることであるから、引用発明に停電時に水の確保が可能な引用文献2の技術事項を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、上記適用の際、引用発明における二次電池22を、引用文献2の技術事項におけるバッテリ41bに代えて兼用させ、商用電源停電時の電源とすることは、装置の簡素化のために当業者が適宜なし得た設計的事項である。 さらに、上記(2)ウ~オの引用文献3~5の記載から理解できるように、給湯装置において、制御部に商用電源の停電を検出する停電検出回路を含み、商用電源の停電時に蓄電池を電源とすることは、本願の出願前に周知の技術(以下「周知技術」という。)であり、当該周知技術は給湯装置において、停電時に特別な操作を要することなく湯水の供給を確保することを可能とするものであるから、引用発明に引用文献2の技術事項を適用するにあたり、周知技術を合わせて採用することは、当業者が適宜なし得ることである。 そして、引用発明に引用文献2の技術事項及び周知技術を適用したものにおいて、停電が発生した直後からしばらくの間は、約80℃近くの湯が供給されることは、技術常識からみて明らかであるから、「貯湯タンクに貯留される高温水を外部の給湯部へ送り出す給湯管」を備えたものになるといえる。 したがって、引用発明において、引用文献2の技術事項及び周知技術を適用することにより、上記相違点2及び5に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 請求人の主張について (ア)請求人は、審判請求書の3ページ17~25行において、「引用文献2には、停電時に手動スイッチから給水指令信号が出力されると、バッテリを非常用電源とする制御装置が加圧ポンプを制御して給水を可能とすることが記載されている。 つまり、引用文献2では停電を検出して自動制御することが目的ではなく、停電になって給湯が必要な場合のみ手動スイッチを操作して給湯を可能にすることが目的である。 すなわち、引用文献1に記載されたものにおいて、給湯するための構成として、引用文献2に記載されたものを採用するとしても、当業者であっても本願発明を容易に想到し得ることはできない。」と主張する。 しかし、上記イで検討したとおり、引用発明に引用文献2の技術事項及び周知技術を適用することにより、上記相違点5に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであり、これにより停電を検出して自動的に給湯が可能となるから、請求人の上記主張は採用できない。 (イ)また、請求人は審判請求書の3ページ26行~4ページ12行において、「更に、補正後の本願発明は『前記筐体の壁と前記蓄電池との間に断熱材が配置され』た構成を備える。本願発明の給湯装置は断熱材を貯湯タンクの周囲に直接配置するのではなく、貯湯タンクの周囲に配置された蓄電池の外側であって、筐体と蓄電池との間に配置している。これにより、空気温度を有効利用して蓄電池の電池性能の低下を抑制するという効果に加え、蓄電池に伝わる低外気温の影響を軽減させることができ、総合的に蓄電池の電池性能の低下を抑制することができる(段落[0021])。 筐体と蓄電池との間に断熱材が配置されていることから、蓄電池に伝わる低外気温の影響を軽減だけでなく、停電状態における貯湯タンクの冷却も抑制することができるため、停電状態となった場合であっても温度低下の少ない湯を、性能低下の少ない蓄電池を用いて確実に給湯を維持できるものとなる(段落[0023])。 引用文献1および2には、停電時であっても単に電源を確保できるだけでなく、蓄電池の電池性能の低下まで抑制できるような構成についてその開示も示唆もなく、当業者であっても、引用文献を組み合わせて補正後の本願発明を容易に想到し得ることはできない。」と主張する。 しかし、上記アで検討したとおり、引用発明において、上記相違点1、3及び4に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであり、これにより、段熱材を貯湯タンクの周囲に配置された蓄電池の外側であって、筐体と蓄電池との間に配置したものとなるから、請求人の上記主張は採用できない。 ウ 効果について そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 エ まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和2年10月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1及び2に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の一部は、以下のとおりである。 <理由1(進歩性)について> 本願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2013-40711号公報 引用文献2:特開平9-60970号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2、それらの記載並びに引用発明及び引用文献2の技術事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明と引用発明とは、前記第2の[理由]2(3)の対比を踏まえると、前記相違点1ないし4及び次の点で相違し、その余は一致する。 [相違点5-2] 本願発明では、「前記貯湯タンクに貯留される前記高温水を外部の給湯部へ送り出す給湯管と電磁開閉弁と前記電磁開閉弁を制御する制御部を更に設け、 前記制御部は前記商用電源の停電時に前記蓄電池を電源とする」のに対して、引用発明では、「前記貯湯タンク16に貯留される前記約80℃に暖められた湯を前記風呂13、キッチン、トイレ、洗面所等へ送り出す供給管19と供給ポンプ20とを設ける」ものであり、そのような構成は備えていない点。 そして、上記相違点5-2に係る本願発明の構成は、前記第2の[理由]2(3)に示した上記相違点5の本件補正発明の構成から、「制御部」についての「前記商用電源の停電を検出する停電検出回路を含み」との限定事項を省いたものである。 そうすると、前記第2の[理由]2(4)の判断を踏まえると、本願発明は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができないものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-003459

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