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特許拒絶査定不服審判

2021-002458

マルチタッチ用タッチモジュール

審判番号
2021-002458
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-230366外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月25日
審決日
2022年01月06日
公報発行日
2022年02月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-230366「マルチタッチ用タッチモジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月16日出願公開、特開2019- 75137、請求項の数(39)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2015年(平成27年)6月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年6月2日 韓国、2014年6月5日 韓国、2014年6月9日 韓国)を国際出願日とする出願である特願2016-571187号の一部を、平成30年12月7日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年 3月 6日付け :拒絶理由通知書
令和 2年 6月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年10月23日付け :拒絶査定(原査定)
令和 3年 2月25日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和2年10月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-40に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2011-134298号公報

2.国際公開第2014/077657号

第3 本願発明

本願請求項1-39に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明39」という。)は、令和 3年 2月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-39に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-39は、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
静電式タッチスクリーンにタッチされるタッチモジュールにおいて、
静電式タッチスクリーンの静電変化を誘導する材質を含んでなり、あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部;
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記設計上の幾何学的関係に対応する指定個数のタッチ部を配置固定するかまたは前記内部領域を通じて前記設計上の幾何学的関係に対応する指定個数のタッチ部と接触するタッチ膜;および
続きを表示(全122行)
前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成されるフレーム部であって、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、前記フレーム部;
を具備し、
前記設計上の幾何学的関係は、
前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含んでなることを特徴とする、マルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項2】
前記タッチ膜はタッチ部による静電式タッチを静電式タッチスクリーンに伝達可能な材質を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項3】
前記タッチ膜は、
前記複数のタッチ部が形成する幾何学的関係を視覚的に露出されないように遮断する材質を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項4】
前記タッチ部は、収縮後復元可能な材質を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項5】
前記タッチ部は、少なくとも一つのタッチ部の高さを他のタッチ部の高さより高く配置固定することを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項6】
前記タッチ部は、最も高いタッチ部から順次静電式タッチスクリーンに静電式でタッチされることを特徴とする、請求項5に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項7】
前記フレーム部は、人体の静電容量を前記タッチ部に印加することを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項8】
前記設計上の幾何学的関係は、各タッチ部の中点間の距離関係と角度関係のうち一つ以上の関係を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項9】
前記設計上の幾何学的関係は、
前記指定タッチ部の中点と残りのタッチ部の中点間の距離関係と角度関係のうち一つ以上の関係を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項10】
前記設計上の幾何学的関係は、前記指定タッチ部を通じて定められる基準点と各タッチ部の中点間の距離関係と角度関係のうち一つ以上の関係を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項11】
前記フレーム部は、前記設計上の幾何学的関係に対応する複数のタッチ部を配置固定し、
前記タッチ膜は、前記内部領域を通じて前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項12】
前記タッチ膜は、タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に、一側方向から加えられる押圧力によって前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項11に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項13】
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする前に前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と前記タッチ膜を一定間隔以上離隔した状態で維持するスプリングをさらに具備してなることを特徴とする、請求項11に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項14】
前記タッチ膜は、
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする前に前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と一定間隔以上離隔していてタッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に、一側方向から加えられる押圧力によって前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項11に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項15】
前記フレーム部は、
前記複数のタッチ部のうち少なくとも一つのタッチ部の高さを他のタッチ部の高さより高く配置固定することを特徴とする、請求項11に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項16】
前記タッチ膜は、
前記フレーム部に配置固定された最も高い高さのタッチ部と接触状態を維持することを特徴とする、請求項15に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項17】
前記タッチ膜は、前記設計上の幾何学的関係に対応する複数のタッチ部のうち一部のタッチ部を配置固定し、
前記フレーム部は、前記設計上の幾何学的関係に対応する複数のタッチ部のうち残りのタッチ部を配置固定するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項18】
前記タッチ膜は、
前記内部領域を通じて前記フレーム部に配置固定された残りのタッチ部と接触することを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項19】
前記フレーム部は、
前記タッチ膜の内部領域に配置固定された一部のタッチ部と接触することを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項20】
前記フレーム部は、
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に、一側方向から加えられる押圧力によって前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項21】
前記タッチ膜は、タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に、一側方向から加えられる押圧力によって前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項22】
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする前に前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と前記タッチ膜を一定間隔以上離隔した状態で維持するか、または前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と前記フレーム部を一定間隔以上離隔した状態で維持するスプリングをさらに具備してなることを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項23】
前記フレーム部は、タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする前に前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と一定間隔以上離隔していてタッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に、一側方向から加えられる押圧力によって前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項24】
前記タッチ膜は、
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする前に前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と一定間隔以上離隔していてタッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に、一側方向から加えられる押圧力によって前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項25】
前記フレーム部は、
前記フレーム部に配置固定された少なくとも一つのタッチ部の高さを他のタッチ部の高さより高く配置固定することを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項26】
前記タッチ膜は、
前記フレーム部に配置固定された最も高い高さのタッチ部と接触状態を維持することを特徴とする、請求項25に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項27】
前記タッチ膜は、
前記内部領域に配置固定された一つのタッチ部の高さを他のタッチ部の高さより高く配置固定することを特徴とする、請求項17に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項28】
前記フレーム部は、
前記タッチ膜の内部領域に配置固定された最も高い高さのタッチ部と接触状態を維持することを特徴とする、請求項26に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項29】
前記タッチ膜は、前記内部領域に前記設計上の幾何学的関係に対応する複数のタッチ部を配置固定し、
前記フレーム部は、前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項30】
前記フレーム部は、
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に、一側方向から加えられる押圧力によって前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項29に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項31】
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする前に前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と前記フレーム部を一定間隔以上離隔した状態で維持するスプリングをさらに具備してなることを特徴とする、請求項29に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項32】
前記フレーム部は、
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする前に前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と一定間隔以上離隔していてタッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に、一側方向から加えられる押圧力によって前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項29に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項33】
前記タッチ膜は、
前記複数のタッチ部のうち少なくとも一つのタッチ部の高さを他のタッチ部の高さより高く配置固定することを特徴とする、請求項29に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項34】
前記フレーム部は、
前記内部領域に配置固定された最も高い高さのタッチ部と接触状態を維持することを特徴とする、請求項32に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項35】
静電式タッチスクリーンにタッチされるタッチモジュールにおいて、
静電式タッチスクリーンの静電変化を誘導する材質を含んでなり、あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部;
前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部を前記設計上の幾何学的関係に配置固定するフレーム部;および
前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域を通じて前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触するタッチ膜;を具備し、
前記フレーム部は、前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成され、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置され、
前記設計上の幾何学的関係は、
前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含んでなる、
マルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項36】
静電式タッチスクリーンにタッチされるタッチモジュールにおいて、
静電式タッチスクリーンの静電変化を誘導する材質を含んでなり、あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部;
前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部のうち一部のタッチ部を配置固定するタッチ膜;および
前記複数のタッチ部のうち前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部を除く残りのタッチ部を配置固定するフレーム部であって、前記フレーム部は、前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成され、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、フレーム部;を具備し、
前記設計上の幾何学的関係は、
前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含んでなる、マルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項37】
前記タッチ膜は、前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触し、
前記フレーム部は、前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触することを特徴とする、請求項36に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項38】
静電式タッチスクリーンにタッチされるタッチモジュールにおいて、
静電式タッチスクリーンの静電変化を誘導する材質を含んでなり、あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部;
前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部を前記設計上の幾何学的関係に配置固定するタッチ膜;および
前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触するフレーム部であって、前記フレーム部は、前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成され、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、フレーム部;を具備し、
前記設計上の幾何学的関係は、
前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含んでなる、マルチタッチ用タッチモジュール。
【請求項39】
前記タッチ部は、少なくとも一つのタッチ部の高さを他のタッチ部の高さより高く配置固定することを特徴とする、請求項35、36または38のいずれか一項に記載のマルチタッチ用タッチモジュール。」

第4 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、強調のため当審にて付与。以下同様。)

「【0012】
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係る情報処理システムは、使用者である人の指が接触することにより所定の動作を行うマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置と、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに接触して、当該情報処理装置に対して固有のイベントを発生させる駆動装置とを備える。また、駆動装置は、情報処理装置に実装乃至格納された所定のプログラムに応じた所定の情報処理やイベント等の動作を開始或いは駆動するためのものでる。なお、本発明の情報処理装置のマルチタッチディスプレイは、静電容量方式のマルチタッチセンサーを備えたものであり、具体的には、液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイにシート状の静電容量方式マルチタッチセンサーを積層したものである。この種のマルチタッチディスプレイは、マルチタッチパネルまたはマルチタッチスクリーンとも呼ばれ、また、単に、タッチディスプレイ、タッチパネルまたはタッチスクリーンとも呼ばれる。典型的には、この種のマルチタッチディスプレイは、いわゆる投影型静電容量方式タッチスクリーンセンサーを典型とする静電容量方式タッチスクリーンセンサーを備えている。この種のマルチタッチディスプレイは、人の指等の静電的な導電体乃至導通体との静電結合による静電容量の変化を検知して所定の動作を行うものであり、人の指以外にも、人の指に相当する(人の指と同様にマルチタッチディスプレイに接触または略接触状態で静電容量を変化させる)「指相当物」であれば、マルチタッチ動作を行うようになっている。したがって、本発明で使用する用語である「指相当物」には、タッチディスプレイに接触することで、指を直接的に接触した場合と同様のタッチイベント等の所定の処理乃至動作を開始乃至実行させうるすべての物を含む。即ち、本発明では、マルチタッチディスプレイとして、(投影型静電容量式等の)静電容量方式タッチパネルを使用するため、指相当物は、指と同様に、接触または近接によってタッチディスプレイの静電容量を変化させうる物体(静電的な導通体)であればよい。」
「【0014】
駆動部の露出部22は、ベース部の底面に設けられてマルチタッチディスプレイと同一外形とされた対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなる。露出部22は、人の指先の面積以上の面積を有する露出面を有している。露出部22の露出面は、好ましくは、使用者が手でベース部を把持したときに自然とその指(特に親指)が触れるベース部の側面の下側領域に設けるが、掌が触れるベース部の上面付近に設けることも可能である。接触部26は、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面においてマルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体からなる。詳細には、接触部26は、所定外形(円形、矩形等)の平板状をなす頭部と、頭部の中心から直交して軸方向に延設されるよう頭部に一体形成された針状の穿刺部とからなる(いわゆる押しピンと同様の形状をなしている)。接触部26の穿刺部は、絶縁部25を貫通して導通部23に穿刺され、まず、導通部23と電気的に導通している。また、接触部26の穿刺部は、更に保持部24に穿刺され、保持部24により抜止状態で定位置に保持されている。更に、穿刺部は、保持部24をも貫通して導通部としても機能する露出部22に穿刺され、露出部22とも電気的に導通している。この場合、露出部22は、図1に示すような半楕円形状の露出面を有すると共に、当該露出面からベース部の内部へと延設されるブロック状とする。或いは、露出部22は、図1に示すような半楕円形状の金属箔乃至金属フィルムをベース部の側面の所定領域に接着等により貼付固定して形成してもよい。この場合、露出部22の下縁部を導通部23の側面を覆うように当該側面に密接して(導電性接着材等によって)貼付固定し、露出部22から導通部23への電気的導通を確保する必要があるが、接触部26の穿刺部を露出部22まで延設して穿刺する必要はない。一方、露出部22を上記のように露出面からベース部の内部へと延設されるブロック状とした場合、露出部22の下縁部を導通部23の側面を覆うように当該側面に密接する必要はない。」
「【0016】
実施の形態1の駆動装置20は、例えば、図4(b)に示すように、情報処理装置10として、基部11の主要面積を占めるマルチタッチディスプレイ12を備えるものに適用することができる。この場合、マルチタッチディスプレイ12は、4行3列の合計12個の矩形状(角丸正方形状)のボタン13を接触領域として設定配置している。また、マルチタッチディスプレイ12は、12個のボタン13のうち、任意の3個の組を構成するボタン13X(例えば、図4(b)でハッチングをした組み合わせの3個のボタン13X)を同時駆動(マルチタッチ)可能となっている。なお、図4(b)中、ボタン13Yは、3点タッチされるボタン13X以外のボタンを示す。これに対応して、駆動装置20は、図3に示すように、3列4行の合計12個の接触部26を、互いに離間した状態で配置できるよう、ベース部の対向面の面積及び寸法(及びこれに対応する絶縁部25の面積及び寸法)を設定している。実施の形態1では、情報処理装置10の3点タッチに対応して、駆動装置20には3個の接触部26が配設される。即ち、マルチタッチディスプレイ12の任意の3個の組を構成するボタン13Xの配置に対応する位置に、3個の接触部26Xの円形の頭部が、絶縁部25の下面から露出した状態で当該下面に密接配置されている。なお、図3では、駆動装置20の絶縁部25の下面には、3列4行の合計12個の接触部26が描画されているが、これは、情報処理装置10の3点タッチの全ての組み合わせに対応するために必要な接触部26の配置位置(合計12個のボタン13に対応する合計12個の配置)を説明するための便宜上のものであり、実際は、(図4(b)に示す3点タッチに対応する場合は)図3中にハッチングで示す3個の接触部26Xのみが配設され、これら以外の接触部26Yは、情報処理装置の他の3点タッチの組み合わせに対応するときに対応する3個のものが使用される(即ち、対応する3か所の位置で絶縁部25に配設される)。
【0017】
更に、実施の形態1の駆動装置20は、前記複数(図の例では3個)の接触部26の全てを完全に遮蔽する(覆う)遮蔽部27をベース部の対向面に配設し、当該複数の接触部26の全てを外部から視認不能としている。遮蔽部27は、絶縁部25の下面に対応する外形の非透明なシート材料乃至フィルム材料からなり、接着等により絶縁部25の下面全体を覆うように貼付される。なお、遮蔽部27は、絶縁材料からなる一方で、接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状とされている。これにより、絶縁部25の下面と接触部26の下面が面一となった状態で、薄層状の遮蔽部27により完全に覆われて遮蔽され、駆動装置20のマルチタッチディスプレイ12への接触面乃至当接面は、遮蔽部27の表面(下面)となる。そして、駆動装置20の遮蔽部27の下面をマルチタッチディスプレイ12に密接した状態では、露出部26は、遮蔽部27の厚みを隔ててマルチタッチディスプレイ12のボタン13と近接し、ボタン13の駆動作用の点では、密接した場合と同様の略密接状態になっているといえる(即ち、ボタン13部分の静電容量を変化させることができる程度の近接状態となっている)。なお、遮蔽部27を設けない場合は、接触部26がマルチタッチディスプレイ12のボタン13に直接的に密接する。」
「【図1】
[図:0001381499000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001381499000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001381499000003.jpg]
」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「マルチタッチディスプレイに接触して、情報処理装置に対して固有のイベントを発生させる駆動装置において、
マルチタッチディスプレイは、静電容量方式のマルチタッチセンサーを備えたものであり、
露出部22は、ベース部の底面に設けられてマルチタッチディスプレイと同一外形とされた対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなり、
露出部22の露出面は、使用者が手でベース部を把持したときに自然とその指(特に親指)が触れるベース部の側面の下側領域に設け、
接触部26は、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面においてマルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体からなり、
前記複数の接触部26の全てを完全に遮蔽する(覆う)遮蔽部27をベース部の対向面に配設し、当該複数の接触部26の全てを外部から視認不能としており、
遮蔽部27は、接着等により絶縁部25の下面全体を覆うように貼付され、
遮蔽部27は、絶縁材料からなる一方で、接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状とされており、
絶縁部25の下面と接触部26の下面が面一となった状態で、薄層状の遮蔽部27により完全に覆われて遮蔽されている
駆動装置。」

2.引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0071] More specifically, FIG. 1 is a schematic diagram illustrating a configuration of a system in which, when the touch stamp 200 including N (N ≧ 5) touch units 300 made of a rubber-elastic conductive material is touched on a capacitive touch screen 505 provided in a user's wireless terminal 500, authentication of whether a geometrical position relation of N touch points touched on the capacitive touch screen 505 matches a designed geometrical position relation of the N touch units 300 provided in the touch stamp 200 is performed.」

(当審による対訳)

「[0071]より具体的には、図1は、ユーザの無線端末500に備えられた静電容量方式のタッチスクリーン505に、ゴム弾性を有する導電性材質からなるN(N ≧ 5)個のタッチ部300を含むタッチスタンプ200がタッチされた場合、静電容量方式のタッチスクリーン505にタッチされたN個のタッチ点の幾何位置関係が、タッチスタンプ200に備えられたN個のタッチ部300の設計上の幾何位置関係と一致するか否かを認証するシステムの構成を概略的に示す図である。」

「[0078] The handle portion 205 is made of a conductive material capable of delivering a user's capacitance or the conductive material is applied or plated thereon. The conductive material of the handle portion 205 is electrically connected to the N touch units 300. The handle portion 205 may be manufactured in various designs depending on requirements of the stamp-using client that uses the touch stamp 200.」

(当審による対訳)

「[0078] ハンドル部分205は、ユーザの静電容量を送達することができる導電性材料で作製されるか、又は導電性材料がその上に適用又はめっきされる。ハンドル部205の導電材料は、N個のタッチユニット300に電気的に接続される。ハンドル部分205は、タッチスタンプ200を使用するスタンプ使用クライアントの要件に応じて様々な設計で製造することができる。」

「[0097] According to the embodiment of the invention, the touch stamp 200 may further include a housing portion 225 that protects the touch unit 300 and the flat portion 400. The housing portion 225 may include a guide portion 220 that guides the adapter portion 215 and/or the flat portion 400 in a vertical direction while the touch stamp 200 is standing as illustrated in FIG. 2A, and a spring portion 210 that keeps the touch unit 300 fixed in the flat portion 400 to float at a certain height or more from the floor. Depending on embodiments, the guide portion 220 and the spring portion 210 may not be provided. In this case, the N touch units 300 fixed in the flat portion 400 may be exposed outside the housing portion 225.」

(当審による対訳)

「[0097] 本発明の実施形態によれば、タッチスタンプ200は、タッチユニット300及び平坦部400を保護するハウジング部225をさらに含むことができる。図2Aに示すように、ハウジング部225は、タッチスタンプ200が立てられた状態でアダプタ部215及び/または平板部400を垂直方向にガイドするガイド部220を含むことができる。また、平面部400に固定されたタッチユニット300を床面から一定以上の高さに浮かせるバネ部210を有する。実施形態によっては、ガイド部220及びバネ部210を設けなくてもよい。この場合、平面部400に固定されたN個のタッチユニット300は、ハウジング部225の外部に露出される。」

「[0123] For the simultaneous touch condition, it is determined whether N touch units 300 included in the touch stamp 200 are touched simultaneously on the capacitive touch screen 505. The simultaneous touch condition may be applied when N touch units 300 provided in the flat area 405 of the touch stamp 200 are designed and manufactured to have the same height (or a similar height within an allowed range) and the touch unit 300 of the touch stamp 200 manufactured in such a way is touched on the flat capacitive touch screen 505.」

(当審による対訳)

「[0123] 同時タッチ条件の場合、タッチスタンプ200に含まれるN個のタッチユニット300が静電容量式タッチスクリーン505上で同時にタッチされたかどうかが判定される。同時タッチ条件は、タッチスタンプ200の平面領域405に備えられたN個のタッチ部300が同一の高さ(または許容範囲内で類似の高さ)を有するように設計及び製造され、このように製造されたタッチスタンプ200のタッチ部300が平面静電容量方式のタッチスクリーン505にタッチされる場合に適用されてもよい。」

図1-3B

「
[図:0001381499000004.jpg]
[図:0001381499000005.jpg]
」

したがって、上記引用文献2には次の技術的事項が記載されていると認められる。

「静電容量方式のタッチスクリーン505に、ゴム弾性を有する導電性材質からなるN(N ≧ 5)個のタッチ部300を含むタッチスタンプ200がタッチされた場合、静電容量方式のタッチスクリーン505にタッチされたN個のタッチ点の幾何位置関係が、タッチスタンプ200に備えられたN個のタッチ部300の設計上の幾何位置関係と一致するか否かを認証するシステムにおいて、
ハンドル部分205は、ユーザの静電容量を送達することができる導電性材料で作製され、
ハンドル部205の導電材料は、N個のタッチユニット300に電気的に接続され、
タッチスタンプ200は、タッチユニット300及び平坦部400を保護するハウジング部225をさらに含み、
平面部400に固定されたタッチユニット300を床面から一定以上の高さに浮かせるバネ部210を有し、
タッチスタンプ200の平面領域405に備えられたN個のタッチ部300が、許容範囲内で類似の高さを有するように設計された
システム。」

第5 対比・判断

1.本願発明1について

(1) 対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「マルチタッチディスプレイ」は、「静電容量方式のマルチタッチセンサーを備えたもの」であることから、本願発明1における「静電式タッチスクリーン」に相当する。

また、引用発明の「駆動装置」は、「マルチタッチディスプレイに接触して」使用するものであって、「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体」からなる「複数の接触部26」を有することから、後述する相違点を除き、本願発明1における「マルチタッチ用」の「タッチモジュール」に相当する。

イ.引用発明の「導電体」は、「静電変化を誘導する材質」からなることは技術常識であるから、引用発明の「導電体からな」る「接触部26」は、本願発明1の「静電変化を誘導する材質を含んでな」る「タッチ部」に相当する。

また、引用発明において、「接触部26は、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面においてマルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、引用発明の「マルチタッチディスプレイ」において「接触領域」が「複数配置」される位置は「所定」であることと、本願発明1の「静電式タッチスクリーン」において「投影される」位置は「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係」であることは、「所定の位置関係」である点で共通しており、また、引用発明における「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、当該「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることと、本願発明1の「複数のタッチ部」の「配置される」位置が「設計上の幾何学的関係」であることは、「所定の位置関係」である点で共通している。

したがって、引用発明の「複数の接触部26」と、本願発明1の「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部」とは、「所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部」である点で共通する。

ウ.引用発明の「駆動装置」が備える「遮蔽部27」は、「ベース部の対向面に配設し、当該複数の接触部26の全てを外部から視認不能」としており、「接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状とされ」たものであることから、引用発明の「駆動装置」を「マルチタッチディスプレイに接触して」使用する際に当該「遮蔽部27」が「マルチタッチディスプレイ12」に接触する方の面は、本願発明1の「タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域」に相当する。 したがって、引用発明の当該「遮蔽部27」は、本願発明1の「タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでな」る「タッチ膜」に相当する。

また、引用発明の「遮蔽部27」は、「接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状」であることから、「マルチタッチディスプレイ」に接触しない方の面は、本願発明1の「前記接触領域の反対方向に具備された内部領域」に相当する。

また、上記「イ.」を踏まえると、引用発明の「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置」され、当該「配置」される「位置」は「所定」であることから、引用発明の「複数の接触部26」は本願発明1の「指定個数のタッチ部」に相当する。

また、引用発明の「接触部26」は、「絶縁部25の下面と接触部26の下面が面一となった状態で、薄層状の遮蔽部27により完全に覆われて遮蔽されて」おり、さらに「遮蔽部27」は、「接着等により絶縁部25の下面全体を覆うように貼付され」ることから、「接触部26」と「遮蔽部27」とは、「接触」し、また、「配置固定」されているともいえる。

以上のことから、引用発明の「遮蔽部27」と、本願発明1の「タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記設計上の幾何学的関係に対応する指定個数のタッチ部を配置固定するかまたは前記内部領域を通じて前記設計上の幾何学的関係に対応する指定個数のタッチ部と接触するタッチ膜」とは、「タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記所定の位置関係に対応する指定個数のタッチ部を配置固定するかまたは前記内部領域を通じて前記所定の位置関係に対応する指定個数のタッチ部と接触するタッチ膜」である点で共通する。

エ.引用発明において、「露出部22は、ベース部の底面に設けられてマルチタッチディスプレイと同一外形とされた対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなり、露出部22の露出面は、使用者が手でベース部を把持したときに自然とその指(特に親指)が触れるベース部の側面の下側領域に設け」られており、上記「ウ.」を踏まえると、引用発明の「複数の接触部26」は、「遮蔽部27」と「ベース部」の間の空間に「配置」されることから、引用発明において、「使用者が手で」「把持」することにより「触れる」こととなる「ベース部」及び「露出部22」と、本願発明1の「前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成されるフレーム部であって、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、前記フレーム部」とは、「前記複数のタッチ部は、フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、前記フレーム部」である点で共通する。

オ.上記「イ.」で述べたとおり、引用発明の「接触部26」は、本願発明1の「タッチ部」に相当するから、引用発明の「複数の接触部26」のうちのいずれか1つの「接触部26」は、本願発明1の「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの」「タッチ部」に相当する。

そして、引用発明における「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置」され、当該「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることから、上記「イ.」を踏まえると、「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることと、本願発明1の「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含」む「前記設計上の幾何学的関係」であることとは、「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つのタッチ部を所定の位置に固定して配置する位置関係を含」む「前記所定の位置関係」である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「静電式タッチスクリーンにタッチされるタッチモジュールにおいて、
静電式タッチスクリーンの静電変化を誘導する材質を含んでなり、所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部;
タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記所定の位置関係に対応する指定個数のタッチ部を配置固定するかまたは前記内部領域を通じて前記所定の位置関係に対応する指定個数のタッチ部と接触するタッチ膜;および
前記複数のタッチ部は、フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、前記フレーム部;
を具備し、
前記所定の位置関係は、
前記複数のタッチ部のうちいずれか一つのタッチ部を所定の位置に固定して配置する位置関係を含んでなることを特徴とする、マルチタッチ用タッチモジュール。」

(相違点1)

「所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部」について、本願発明1では、「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係」及び「設計上の幾何学的関係」との特定はされていない点。

(相違点2)

「前記所定の位置関係に対応する指定個数のタッチ部を配置固定するタッチ膜」について、本願発明1では、「前記設計上の幾何学的関係に対応する指定個数のタッチ部を配置固定するタッチ膜」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「設計上の幾何学的関係」との特定はされていない点。

(相違点3)

「前記所定の位置関係に対応する指定個数のタッチ部と接触するタッチ膜」について、本願発明1では、「前記設計上の幾何学的関係に対応する指定個数のタッチ部と接触するタッチ膜」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「設計上の幾何学的関係」との特定はされていない点。

(相違点4)

「フレーム部」について、本願発明1では、「前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成されるフレーム部」であるのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。

(相違点5)

「前記所定の位置関係」について、本願発明1では、「前記設計上の幾何学的関係は、前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含んでなる」ものであるのに対し、引用発明には、下線部で示した構成が特定されていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑み、相違点4について検討すると、相違点4に係る本願発明1の「前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成されるフレーム部」という構成は、上記引用文献2に記載も示唆もされておらず、また、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-34について

本願発明2-34は、本願発明1の上記相違点4に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明35について

(1) 対比

上記本願発明35と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「マルチタッチディスプレイ」は、「静電容量方式のマルチタッチセンサーを備えたもの」であることから、本願発明35における「静電式タッチスクリーン」に相当する。また、引用発明の「駆動装置」は、「マルチタッチディスプレイに接触して」使用するものであって、「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体」からなる「複数の接触部26」を有することから、後述する相違点を除き、本願発明35における「マルチタッチ用」の「タッチモジュール」に相当する。

イ.引用発明の「導電体」は、「静電変化を誘導する材質」からなることは技術常識であるから、引用発明の「導電体からな」る「接触部26」は、本願発明35の「静電変化を誘導する材質を含んでな」る「タッチ部」に相当する。

また、引用発明において、「接触部26は、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面においてマルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、引用発明の「マルチタッチディスプレイ」において「接触領域」が「複数配置」される位置は「所定」であることと、本願発明35の「静電式タッチスクリーン」において「投影される」位置は「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係」であることは、「所定の位置関係」である点で共通しており、また、引用発明における「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、当該「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることと、本願発明35の「複数のタッチ部」の「配置される」位置が「設計上の幾何学的関係」であることは、「所定の位置関係」である点で共通している。

したがって、引用発明の「複数の接触部26」と、本願発明35の「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部」とは、「所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部」である点で共通する。

ウ.引用発明において、「露出部22は、ベース部の底面に設けられてマルチタッチディスプレイと同一外形とされた対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなり、露出部22の露出面は、使用者が手でベース部を把持したときに自然とその指(特に親指)が触れるベース部の側面の下側領域に設け」られていることから、引用発明において、「使用者が手で」「把持」することにより「触れる」こととなる「ベース部」及び「露出部22」は、本願発明35の「フレーム部」に相当する。また、「接触部26」は、「前記ベース部の対向面においてマルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、上記「イ.」を踏まえると、引用発明の「ベース部」及び「露出部22」と、本願発明35の「前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部を前記設計上の幾何学的関係に配置固定するフレーム部」とは、「所定の位置関係に対応する前記複数のタッチ部を前記所定の位置関係に配置固定するフレーム部」である点で共通する。

エ.引用発明の「駆動装置」が備える「遮蔽部27」は、「ベース部の対向面に配設し、当該複数の接触部26の全てを外部から視認不能」としており、「接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状とされ」たものであることから、引用発明の「駆動装置」を「マルチタッチディスプレイに接触して」使用する際に当該「遮蔽部27」が「マルチタッチディスプレイ12」に接触する方の面は、本願発明35の「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域」に相当する。したがって、引用発明の当該「遮蔽部27」は、本願発明35の「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでな」る「タッチ膜」に相当する。

また、引用発明の「遮蔽部27」は、「接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状」であることから、「マルチタッチディスプレイ」に接触しない方の面は、本願発明35の「前記接触領域の反対方向に具備された内部領域」に相当する。

また、引用発明の「接触部26」は、「絶縁部25の下面と接触部26の下面が面一となった状態で、薄層状の遮蔽部27により完全に覆われて遮蔽されて」おり、さらに「遮蔽部27」は、「接着等により絶縁部25の下面全体を覆うように貼付され」ることから、「接触部26」と「遮蔽部27」とは、「接触」しているといえる。

以上のことから、引用発明の「遮蔽部27」は、本願発明35の「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域を通じて前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触するタッチ膜」に相当する。

オ.上記「エ.」で述べたとおり、引用発明の「ベース部」及び「露出部22」は、本願発明35の「フレーム部」に相当し、また、「ベース部」及び「露出部22」と「遮蔽部27」との間の空間に「接触部26」が配置されていることから、引用発明の「接触部26」は、本願発明35の「前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置され」る「前記複数のタッチ部」に相当する。

カ.上記「イ.」で述べたとおり、引用発明の「接触部26」は、本願発明35の「タッチ部」に相当するから、引用発明の「複数の接触部26」のうちのいずれか1つの「接触部26」は、本願発明35の「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの」「タッチ部」に相当する。

そして、引用発明における「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置」され、当該「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることから、上記「イ.」を踏まえると、「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることと、本願発明35の「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含」む「前記設計上の幾何学的関係」であることとは、「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つのタッチ部を所定の位置に固定して配置する位置関係を含」む「前記所定の位置関係」である点で共通する。

したがって、本願発明35と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「静電式タッチスクリーンにタッチされるタッチモジュールにおいて、
静電式タッチスクリーンの静電変化を誘導する材質を含んでなり、あらかじめ設計された所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部;
前記所定の位置関係に対応する前記複数のタッチ部を前記所定の位置関係に配置固定するフレーム部;および
前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域を通じて前記フレーム部に配置固定されたタッチ部と接触するタッチ膜;を具備し、
前記複数のタッチ部は、フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置され、
前記所定の位置関係は、
前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を所定の位置に固定して配置する位置関係を含んでなる、
マルチタッチ用タッチモジュール。」

(相違点6)

「所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部」について、本願発明35では、「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係」及び「設計上の幾何学的関係」との特定はされていない点。

(相違点7)

「前記所定の位置関係に対応する前記複数のタッチ部を前記所定の位置関係に配置固定するフレーム部」について、本願発明35では、「前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部を前記設計上の幾何学的関係に配置固定するフレーム部」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「設計上の幾何学的関係」との特定はされていない点。

(相違点8)

「フレーム部」について、本願発明35では、「前記フレーム部は、前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成され」るのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。

(相違点9)

「前記所定の位置関係」について、本願発明35では、「前記設計上の幾何学的関係は、前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含んでなる」ものであるのに対し、引用発明には、下線部で示した構成が特定されていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑み、相違点8について検討すると、相違点8に係る本願発明35の「前記フレーム部は、前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成され」るという構成は、上記引用文献2に記載も示唆もされておらず、また、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明35は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4.本願発明36について

(1) 対比

上記本願発明36と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「マルチタッチディスプレイ」は、「静電容量方式のマルチタッチセンサーを備えたもの」であることから、本願発明36における「静電式タッチスクリーン」に相当する。

また、引用発明の「駆動装置」は、「マルチタッチディスプレイに接触して」使用するものであって、「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体」からなる「複数の接触部26」を有することから、後述する相違点を除き、本願発明36における「マルチタッチ用」の「タッチモジュール」に相当する。

イ.引用発明の「導電体」は、「静電変化を誘導する材質」からなることは技術常識であるから、引用発明の「導電体からな」る「接触部26」は、本願発明36の「静電変化を誘導する材質を含んでな」る「タッチ部」に相当する。

また、引用発明において、「接触部26は、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面においてマルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、引用発明の「マルチタッチディスプレイ」において「接触領域」が「複数配置」される位置は「所定」であることと、本願発明36の「静電式タッチスクリーン」において「投影される」位置は「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係」であることは、「所定の位置関係」である点で共通しており、また、引用発明における「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、当該「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることと、本願発明36の「複数のタッチ部」の「配置される」位置が「設計上の幾何学的関係」であることは、「所定の位置関係」である点で共通している。

したがって、引用発明の「複数の接触部26」と、本願発明36の「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部」とは、「所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部」である点で共通する。

ウ.引用発明の「駆動装置」が備える「遮蔽部27」は、「ベース部の対向面に配設し、当該複数の接触部26の全てを外部から視認不能」としており、「接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状とされ」たものであることから、引用発明の「駆動装置」を「マルチタッチディスプレイに接触して」使用する際に当該「遮蔽部27」が「マルチタッチディスプレイ12」に接触する方の面は、本願発明36の「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域」に相当する。したがって、引用発明の当該「遮蔽部27」は、本願発明36の「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでな」る「タッチ膜」に相当する。

また、引用発明の「遮蔽部27」は、「接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状」であることから、「マルチタッチディスプレイ」に接触しない方の面は、本願発明36の「前記接触領域の反対方向に具備された内部領域」に相当する。

また、引用発明の「接触部26」は、「絶縁部25の下面と接触部26の下面が面一となった状態で、薄層状の遮蔽部27により完全に覆われて遮蔽されて」おり、さらに「遮蔽部27」は、「接着等により絶縁部25の下面全体を覆うように貼付され」ることから、「接触部26」と「遮蔽部27」とは、「配置固定」しているといえる。

以上のことから、引用発明の「遮蔽部27」は、本願発明36の「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部のうち一部のタッチ部を配置固定するタッチ膜」とは、「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記所定の位置関係に対応する前記複数のタッチ部を配置固定するタッチ膜」である点で共通する。

エ.引用発明において、「露出部22は、ベース部の底面に設けられてマルチタッチディスプレイと同一外形とされた対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなり、露出部22の露出面は、使用者が手でベース部を把持したときに自然とその指(特に親指)が触れるベース部の側面の下側領域に設け」られており、上記「ウ.」を踏まえると、引用発明の「複数の接触部26」は、「遮蔽部27」と「ベース部」の間の空間に「配置」されることから、引用発明において、「使用者が手で」「把持」することにより「触れる」こととなる「ベース部」及び「露出部22」と、本願発明36の「前記複数のタッチ部のうち前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部を除く残りのタッチ部を配置固定するフレーム部であって、前記フレーム部は、前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成され、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、フレーム部」とは、「前記複数のタッチ部を配置固定するフレーム部であって、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、フレーム部」である点で共通する。

オ.上記「イ.」で述べたとおり、引用発明の「接触部26」は、本願発明36の「タッチ部」に相当するから、引用発明の「複数の接触部26」のうちのいずれか1つの「接触部26」は、本願発明36の「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの」「タッチ部」に相当する。

そして、引用発明における「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置」され、当該「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることから、上記「イ.」を踏まえると、「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることと、本願発明36の「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含」む「前記設計上の幾何学的関係」であることとは、「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つのタッチ部を所定の位置に固定して配置する位置関係を含」む「前記所定の位置関係」である点で共通する。

したがって、本願発明36と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「 静電式タッチスクリーンにタッチされるタッチモジュールにおいて、
静電式タッチスクリーンの静電変化を誘導する材質を含んでなり、所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部;
前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記所定の位置関係に対応する前記複数のタッチ部を配置固定するタッチ膜;および
前記複数のタッチ部を配置固定するフレーム部であって、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、フレーム部;を具備し、
前記所定の位置関係は、
前記複数のタッチ部のうちいずれか一つのタッチ部を所定の位置に固定して配置する位置関係を含んでなる、マルチタッチ用タッチモジュール。」

(相違点10)

「所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部」について、本願発明36では、「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係」及び「設計上の幾何学的関係」との特定はされていない点。

(相違点11)

「前記所定の位置関係に対応する指定個数のタッチ部を配置固定するタッチ膜」について、本願発明36では、「前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部のうち一部のタッチ部を配置固定するタッチ膜」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「設計上の幾何学的関係」及び「一部のタッチ部」を配置固定することについての特定はされていない点。

(相違点12)

「フレーム部」について、本願発明36では、「前記複数のタッチ部のうち前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部を除く残りのタッチ部を配置固定する」、及び「前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成されるフレーム部」であるのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。

(相違点13)

「前記所定の位置関係」について、本願発明36では、「前記設計上の幾何学的関係は、前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含んでなる」ものであるのに対し、引用発明には、下線部で示した構成が特定されていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑み、相違点12について検討すると、相違点12に係る本願発明36の「前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成されるフレーム部」という構成は、上記引用文献2に記載も示唆もされておらず、また、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明36は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

5.本願発明37について

本願発明37は、本願発明36の上記相違点12に係る構成を備えるものであるから、本願発明36と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

6.本願発明38について

(1) 対比

上記本願発明38と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「マルチタッチディスプレイ」は、「静電容量方式のマルチタッチセンサーを備えたもの」であることから、本願発明38における「静電式タッチスクリーン」に相当する。

また、引用発明の「駆動装置」は、「マルチタッチディスプレイに接触して」使用するものであって、「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体」からなる「複数の接触部26」を有することから、後述する相違点を除き、本願発明38における「マルチタッチ用」の「タッチモジュール」に相当する。

イ.引用発明の「導電体」は、「静電変化を誘導する材質」からなることは技術常識であるから、引用発明の「導電体からな」る「接触部26」は、本願発明38の「静電変化を誘導する材質を含んでな」る「タッチ部」に相当する。

また、引用発明において、「接触部26は、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面においてマルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、引用発明の「マルチタッチディスプレイ」において「接触領域」が「複数配置」される位置は「所定」であることと、本願発明38の「静電式タッチスクリーン」において「投影される」位置は「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係」であることは、「所定の位置関係」である点で共通しており、また、引用発明における「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される」ことから、当該「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることと、本願発明38の「複数のタッチ部」の「配置される」位置が「設計上の幾何学的関係」であることは、「所定の位置関係」である点で共通している。

したがって、引用発明の「複数の接触部26」と、本願発明38の「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部」とは、「所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部」である点で共通する。

ウ.引用発明の「駆動装置」が備える「遮蔽部27」は、「ベース部の対向面に配設し、当該複数の接触部26の全てを外部から視認不能」としており、「接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状とされ」たものであることから、引用発明の「駆動装置」を「マルチタッチディスプレイに接触して」使用する際に当該「遮蔽部27」が「マルチタッチディスプレイ12」に接触する方の面は、本願発明38の「タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域」に相当する。したがって、引用発明の当該「遮蔽部27」は、本願発明38の「タッチモジュールを静電式タッチスクリーンにタッチする時点に前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでな」る「タッチ膜」に相当する。

また、引用発明の「遮蔽部27」は、「接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状」であることから、「マルチタッチディスプレイ」に接触しない方の面は、本願発明38の「前記接触領域の反対方向に具備された内部領域」に相当する。

また、引用発明の「接触部26」は、「絶縁部25の下面と接触部26の下面が面一となった状態で、薄層状の遮蔽部27により完全に覆われて遮蔽されて」おり、さらに「遮蔽部27」は、「接着等により絶縁部25の下面全体を覆うように貼付され」ることから、「接触部26」と「遮蔽部27」とは、「配置固定」しているといえる。

以上のことから、引用発明の「遮蔽部27」は、本願発明38の「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部を前記設計上の幾何学的関係に配置固定するタッチ膜」とは、「前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記所定の位置関係に対応する前記複数のタッチ部を前記所定の位置関係に配置固定するタッチ膜」である点で共通する。

エ.引用発明において、「露出部22は、ベース部の底面に設けられてマルチタッチディスプレイと同一外形とされた対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなり、露出部22の露出面は、使用者が手でベース部を把持したときに自然とその指(特に親指)が触れるベース部の側面の下側領域に設け」られており、上記「ウ.」を踏まえると、引用発明の「複数の接触部26」は、「遮蔽部27」と「ベース部」の間の空間に「配置」され「ベース部」と「接触」することから、引用発明において、「使用者が手で」「把持」することにより「触れる」こととなる「ベース部」及び「露出部22」と、本願発明38の「前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触するフレーム部であって、前記フレーム部は、前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成され、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、フレーム部」とは、「前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触するフレーム部であって、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、フレーム部」である点で共通する。

オ.上記「イ.」で述べたとおり、引用発明の「接触部26」は、本願発明38の「タッチ部」に相当するから、引用発明の「複数の接触部26」のうちのいずれか1つの「接触部26」は、本願発明38の「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの」「タッチ部」に相当する。

そして、引用発明における「接触部26」は「マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置」され、当該「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることから、上記「イ.」を踏まえると、「接触部26」の「配置される」「位置」が「所定」であることと、本願発明38の「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含」む「前記設計上の幾何学的関係」であることとは、「前記複数のタッチ部のうちいずれか一つのタッチ部を所定の位置に固定して配置する位置関係を含」む「前記所定の位置関係」である点で共通する。

したがって、本願発明38と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「 静電式タッチスクリーンにタッチされるタッチモジュールにおいて、
静電式タッチスクリーンの静電変化を誘導する材質を含んでなり、所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部;
前記静電式タッチスクリーンに接触する接触領域を含んでなり、前記接触領域の反対方向に具備された内部領域に前記所定の位置関係に対応する前記複数のタッチ部を前記所定の位置関係に配置固定するタッチ膜;および
前記タッチ膜の内部領域に配置固定されたタッチ部と接触するフレーム部であって、前記複数のタッチ部は、前記フレーム部と前記タッチ膜によって形成される空間内に配置される、フレーム部;を具備し、
前記所定の位置関係は、
前記複数のタッチ部のうちいずれか一つのタッチ部を所定の位置に固定して配置する位置関係を含んでなる、マルチタッチ用タッチモジュール。」

(相違点14)

「所定の位置関係で静電式タッチスクリーンに投影される所定の位置関係に配置される複数のタッチ部」について、本願発明38では、「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係で静電式タッチスクリーンに投影される設計上の幾何学的関係に配置される複数のタッチ部」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「あらかじめ設計された固有の幾何学的関係」及び「設計上の幾何学的関係」との特定はされていない点。

(相違点15)

「前記所定の位置関係に対応する前記複数のタッチ部を前記所定の位置関係に配置固定するタッチ膜」について、本願発明38では、「前記設計上の幾何学的関係に対応する前記複数のタッチ部を前記設計上の幾何学的関係に配置固定するフレーム部」であるのに対し、引用発明には、下線部で示した「設計上の幾何学的関係」との特定はされていない点。

(相違点16)

「フレーム部」について、本願発明38では、「前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成されるフレーム部」であるのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。

(相違点17)

「前記所定の位置関係」について、本願発明38では、「前記設計上の幾何学的関係は、前記複数のタッチ部のうちいずれか一つの指定タッチ部を設計上の指定された位置に固定して配置する幾何学的関係を含んでなる」ものであるのに対し、引用発明には、下線部で示した構成が特定されていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑み、相違点16について検討すると、相違点16に係る本願発明38の「前記タッチ膜へ向かう又は前記タッチ膜から離れる方向に移動可能に構成されるフレーム部」という構成は、上記引用文献2に記載も示唆もされておらず、また、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明38は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

7.本願発明39について

本願発明39は、上記相違点8、12、または16のいずれかに係る構成を備えるものであるから、本願発明35、36、または38のいずれかと同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断

審判請求時の手続補正により補正された請求項1-34は、上記相違点4に対応する構成を有するものとなっており、請求項35は、上記相違点8に対応する構成を有するものとなっており、請求項36-37は、上記相違点12に対応する構成を有するものとなっており、請求項38は、上記相違点16に対応する構成を有するものとなっており、請求項39は、上記相違点8、12、または16のいずれかに対応する構成を有するものとなっている。

したがって、上記のとおり、本願発明1-39は、上記引用文献1、2に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-002458

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