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特許拒絶査定不服審判

2021-001875

携帯端末、方法及びプログラム

審判番号
2021-001875
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-059703外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月10日
審決日
2021年09月28日
公報発行日
2021年11月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2020- 59703「携帯端末、方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
【理 由】

第1 手続の経緯

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本願は、令和2年3月30日の出願であって、令和2年7月6日付けで拒絶理由が通知され、令和2年9月9日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和2年10月30日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和3年2月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、令和3年6月1日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和3年8月6日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和2年10月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-5、7-9に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

A.特開2014-164482号公報

B.特開2014-155207号公報

C.特開2012-032871号公報

D.国際公開第2015/145544号

E.特開2016-184296号公報

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-5、7-9に係る発明は、引用文献1-8に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開2014-164482号公報(原査定の引用文献A)

2.特開2014-155207号公報(原査定の引用文献B)

3.特開2012-032871号公報(原査定の引用文献C)

4.国際公開第2015/145544号(原査定の引用文献D)

5.特開2016-184296号公報(原査定の引用文献E)

6.特開2015-098136号公報(当審において新たに引用した文献)

7.特開2012-256155号公報(当審において新たに引用した文献)

8.特開平03-263249号公報(当審において新たに引用した文献)

第4 本願発明

本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和3年8月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
産業用機器の所定部分の内部を示す第1AR(Augmented Reality)画像、及び、前記産業用機器の正しい動作状態を示す第2AR画像を表示するように構成された表示部と、
前記表示部を制御するように構成された制御部と、
前記制御部により切り替え可能に構成される、第1モード又は第2モードの、ユーザによる選択を受け付けるように構成された受付部とを備え、
前記制御部は、前記第1モードが選択された場合に前記第1AR画像を表示するように前記表示部を制御する一方、前記第2モードが選択された場合に前記第1AR画像を非表示とするように前記表示部を制御し、
前記第1モードが選択された場合に、前記第1AR画像の少なくとも一部は、前記表示部において前記所定部分と重なる位置に表示され、
前記制御部は、前記第1AR画像が前記表示部に表示される場合に、前記第2AR画像を前記第1AR画像に並べて表示するように前記表示部を制御するように構成されている、携帯端末。」

なお、本願発明2-5の概要は以下のとおりである。

本願発明2-3は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明4、5は、それぞれ本願発明1に対応する方法、プログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1及び引用発明

(1) 引用文献1

当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0021】-【0022】

「【0021】
本発明によれば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mount Display)と拡張現実(AR:Augmented Reality)とを組み合わせ、フィールドエンジニア等の作業者が求める情報や作業者に周知させたい情報を、保守、点検、修理等のメンテナンス作業時にリアルタイムに視覚的に作業者に提供することができる。
【0022】
具体的には、作業者の目線を検知して、作業者がHMDを通して視認している映像と同等の映像をカメラで取得し、取得した映像にデータベースに格納された各種の情報を画像化又は映像化して、HMDに単独で又は重畳して表示する。これにより、作業者は、例えば、現実に視認している配管やチャンバに重ねて、温度やガス種、圧力等の視認不可能な情報を取得することができるため、安全に作業を行うことができるようになる。また、作業の進行にしたがって適切な作業マニュアルをリアルタイムにHMDに表示することにより、積極的に作業支援を行うことが可能になる。更に、作業者が視認した部位について、消耗部品の交換時期等を表示させることにより、より細かなメンテナンスが可能となる。」

イ 段落【0038】-【0043】

「【0038】
基板処理システム100Aは、大略的に、基板処理装置10の制御部21、ヘッドマウントディスプレイ30(以下「HMD30」と記す)、表示制御装置40及び顧客先ホストコンピュータ45とにより構成される。また、表示制御装置40は、大略的に、データベースコンピュータ41と画像作成コンピュータ42とにより構成される。
【0039】
作業者は、図2に示すように、眼鏡タイプのHMD30を装着するものとする。作業者は、HMD30を装着した状態では、一般的な眼鏡やサングラスを使用したときと同様に、HMD30を通して基板処理装置10を視認することができる。
【0040】
HMD30は、作業者の目線を検知することにより、作業者の視野のうちの作業者が着目している領域の映像を中心として撮影(取得)するカメラを備えている。なお、HMD30に付随するカメラは、作業者の操作によって、一部を拡大して映像を取得するズーム機能を備えていてもよい。また、カメラは、作業者がHMD30を装着したときの正面視線に合わせて、作業者の視野と同等又はより広い範囲の映像を取得することができるものであってもよい。カメラは、1つであってもよいし、複数の視点で複数の映像を同時に取得することができるように複数であってもよい。
・・・(中略)・・・
【0043】
HMD30は、画像作成コンピュータ42から供給される画像や映像を、作業者が視認することができるように、作業者の視認映像に重畳して表示し或いは作業者の直接の視認映像を隠して表示し、或いは、作業者の視野範囲の端の領域(作業者が視線を動かすことで視認することができる位置)に表示することができる。」

ウ 段落【0056】-【0059】

「【0056】
第2の例では、表示制御装置40は、基板処理装置10の内部を可視化する。つまり、表示制御装置40は、外部からは視認が困難な基板処理装置10の内部部位の2Dグラフィック又は3Dグラフィックを作成し、作成したグラフィック映像をHMD30に表示する。これにより、作業者が、基板処理装置10の内部の状況を把握し、各種の駆動部位の稼働状態を確認することができるようにする。
【0057】
例えば、真空雰囲気での処理を行うプロセスモジュール12の真空チャンバは、アルミニウム等の不透明な材料で構成されているため、覗き窓からの目視で得られる情報は多くはない。そこで、作業者が、基板処理装置10の外部からプロセスモジュール12を見たときにプロセスモジュール12の外面に設けられたバーコードを視認すると、その位置からプロセスモジュール12の内部を透視したときの簡潔なグラフィック映像(支援情報画像)が、図2の視認映像BのようにHMD30に表示される。
【0058】
視認映像Bのグラフィック映像は、データベースコンピュータ41が制御部21に対して、基板処理装置10の稼働状況を問い合わせ、制御部21から取得する稼働状況に関わる情報を画像作成コンピュータ42で映像化することにより作成することができ、制御部21から継続して情報を取得することにより、動画としての表示が可能となる。
【0059】
グラフィック映像をHMD30に表示する際には、HMD30に対する表示操作により、作業者は、HMD30にスクリーンが掛かった状態となってプロセスモジュール12の外壁を直視することができず、グラフィック映像のみが見えるようにしてもよい。一方、外壁をシースルーするようにグラフィック映像を映し出すこともできる。また、図2では2Dグラフィック映像を示したが、3Dグラフィック映像であってもよい。更に、視認するバーコードに応じて、プロセスモジュール12のみのグラフィック映像のみを、第1搬送装置17のみのグラフィック映像のみを、或いはウエハWの位置のみを示すグラフィック映像のみを、HMD30に表示するようにしてもよい。なお、視認映像Bには、便宜上、フォーク17bを示す符号「17b」等を示しているが、これらの符号はHMD30に実際に表示されるものではない。」

(2) 引用発明

よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mount Display)と拡張現実(AR:Augmented Reality)とを組み合わせ、
表示制御装置40は、大略的に、データベースコンピュータ41と画像作成コンピュータ42とにより構成され、
作業者は、眼鏡タイプのHMD30を装着し、作業者は、HMD30を装着した状態では、一般的な眼鏡やサングラスを使用したときと同様に、HMD30を通して基板処理装置10を視認することができ、
HMD30は、作業者の目線を検知することにより、作業者の視野のうちの作業者が着目している領域の映像を中心として撮影(取得)するカメラを備えており、
続きを表示(全11行)
HMD30は、画像作成コンピュータ42から供給される画像や映像を、作業者が視認することができるように、作業者の視認映像に重畳して表示し或いは作業者の直接の視認映像を隠して表示し、或いは、作業者の視野範囲の端の領域(作業者が視線を動かすことで視認することができる位置)に表示することができ、
表示制御装置40は、外部からは視認が困難な基板処理装置10の内部部位の2Dグラフィック又は3Dグラフィックを作成し、作成したグラフィック映像をHMD30に表示し、
作業者が、基板処理装置10の外部からプロセスモジュール12を見たときにプロセスモジュール12の外面に設けられたバーコードを視認すると、その位置からプロセスモジュール12の内部を透視したときの簡潔なグラフィック映像(支援情報画像)が、HMD30に表示され、
グラフィック映像は、データベースコンピュータ41が制御部21に対して、基板処理装置10の稼働状況を問い合わせ、制御部21から取得する稼働状況に関わる情報を画像作成コンピュータ42で映像化することにより作成することができ、
グラフィック映像をHMD30に表示する際には、HMD30に対する表示操作により、作業者は、HMD30にスクリーンが掛かった状態となってプロセスモジュール12の外壁を直視することができず、グラフィック映像のみが見えるようにしてもよく、一方、外壁をシースルーするようにグラフィック映像を映し出すこともでき、
更に、視認するバーコードに応じて、プロセスモジュール12のみのグラフィック映像のみを、第1搬送装置17のみのグラフィック映像のみを、或いはウエハWの位置のみを示すグラフィック映像のみを、HMD30に表示するようにしてもよい、
HMD30及び表示制御装置40。」

2 引用文献2-8

(1) 引用文献2

当審拒絶理由に引用した引用文献2の段落【0040】、【0076】、【0080】-【0081】には、以下の記載がある。

「【0040】
入力情報取得部110は、例えば、タッチパッド14や十字キー16、電源スイッチ18などに対する操作入力に応じた信号を取得する。なお、入力情報取得部110は、種々の方法を用いて、使用者からの操作入力を取得することができる。例えば、図2に示すタッチパッド14や十字キー16による操作入力のほか、フットスイッチ(使用者の足により操作するスイッチ)による操作入力を取得してもよい。また、例えば、画像表示部20に赤外線センサー等の視線検知部を設けた上で、使用者の視線を検知し、視線の動きに対応付けられたコマンドによる操作入力を取得してもよい。また、例えば、カメラ61を用いて使用者のジェスチャーを検知し、ジェスチャーに対応付けられたコマンドによる操作入力を取得してもよい。ジェスチャー検知の際は、使用者の指先や、使用者の手に付けられた指輪や、使用者の手にする医療器具等を動き検出のための目印にすることができる。フットスイッチや視線による操作入力を取得可能とすれば、使用者が手を離すことが困難である作業(例えば手術)においても、入力情報取得部110は、使用者からの操作入力を取得することができる。」
「【0076】
重畳用画像生成処理の終了後、図5のステップS110において重畳情報生成部142は、重畳情報CP1を表示させる。具体的には、重畳情報生成部142は、画像処理部160に対して、重畳用画像生成処理によって生成された重畳情報CP1を送信する。重畳情報CP1を受信した画像処理部160は、重畳情報CP1に対して、図2で説明した表示処理を実行する。この結果、図4に示すように、ヘッドマウントディスプレイ100の使用者の視野VRには、重畳情報CP1が虚像VIとして表示される。本実施形態におけるヘッドマウントディスプレイ100は、使用者が虚像を視認すると同時に外景も視認可能な光学透過型のヘッドマウントディスプレイである。このため、ヘッドマウントディスプレイ100の使用者は、右光学像表示部26および左光学像表示部28を透過して見える外景SCの中の実像(医師が持つメスの刃先が患者の右手小指の第2間接に当てられている様子)と、虚像VIとして見える重畳情報CP1とが、重畳された状態で視認可能となる。」
「【0080】
図5において、重畳情報生成部142は、入力情報取得部110から現在表示中の虚像を非表示とする旨を指示する「非表示」指示を受信した場合(ステップS112:非表示)、処理をステップS118へ遷移させる。重畳情報生成部142は、現在表示中の虚像VI(重畳情報CP1または他の重畳情報)を非表示とする(ステップS118)。具体的には、重畳情報生成部142は、画像処理部160に対する重畳情報CP1または他の重畳情報の送信を停止する。これにより、表示されるべき画像データーがなくなるため、虚像VIを非表示とすることができる。なお、重畳情報CP1または他の重畳情報の送信の停止に代えて、重畳情報生成部142は、表示制御部190に対して、画像を非表示とする旨の要求を送信してもよい。この場合、表示制御部190は、LCD制御部によるLCDの駆動をOFFとする制御信号、または、バックライト制御部によるバックライトの駆動をOFFとする制御信号を送信することにより、虚像VIを非表示とすることができる。
【0081】
このように、ステップS118によれば、ヘッドマウントディスプレイ100の使用者は、使用者自らの意思によって、現在表示中の虚像VIを非表示とすることができる。例えば、光学像表示部を透過して見る実像に注視したい場合、使用者は、意図的に虚像VIを消すことができる。このため、ヘッドマウントディスプレイ100における使用者の利便性を向上させることができる。」

(2) 引用文献3

当審拒絶理由に引用した引用文献3の段落【0059】-【0062】には、以下の記載がある。

「【0059】
図12に巡視端末10によって表示される巡視画面の一例を示している。同図は巡視対象が発変電所に設置されている変圧器である場合である。同図に示すように、この巡視画面1200には、カメラ17によって撮影された、巡視現場3のリアルタイムな映像が表示される領域(以下、映像表示領域1211と称する。)と、サーバ装置20から送られてくる巡視画面に基づく巡視項目や巡視結果の入力欄が表示される情報表示領域1212とが設けられている。
【0060】
同図では映像表示領域1211に変圧器の映像が表示され、変圧器の映像に重ねて変圧器に関する情報12111が拡張現実手法によって表示されている。ユーザは情報表示領域1212を利用して巡視項目の確認や巡視結果の入力を行う。尚、映像表示領域1211や情報表示領域1212には過去の巡視結果などの巡視の履歴に関する情報なども適宜表示される。
【0061】
巡視画面の下方には、受信ボタン1221、画面表示ボタン1222、及び送信ボタン1223が設けられている。受信ボタン1221は、ユーザが巡視画面の表示を要求する場合に操作される。図10に示した端末位置情報の送信(S1011)は、例えばこの受信ボタン1221が操作されることにより行われ、これを契機として図10に示した一連の処理が開始される。
【0062】
画面表示ボタン1222は、拡張現実手法による情報を映像表示領域1211に表示させるか否かを切り替えるためのボタンである。このボタンが操作される度に、拡張現実手法による情報の表示/非表示が交互に切り替わる。」

(3) 引用文献4について

当審拒絶理由に引用した引用文献4の段落[0084]には、以下の記載がある。

「[0084] (変形例8)
HMD1は、計測部16に含まれる加速度センサ等によりユーザの歩行速度を検出し、検出した歩行速度に応じてAR情報の表示又は非表示を切り替えてもよい。この場合、HMD1は、検出した歩行速度が閾値以上の場合には、AR情報を非表示にする。上述の閾値は、例えば、視認性の悪化の程度を勘案し、実験等により設定される。これにより、ユーザの高速移動時に、HMD1が表示するAR情報が頻繁に切り替わることに起因してAR情報の表示が煩雑化するのを好適に抑制することができる。」

(4) 引用文献5について

当審拒絶理由に引用した引用文献5の段落【0115】-【0116】には、以下の記載がある。

「【0115】
図12の例では、端末10の画面41に、実物体50-4~50-6に対して、GPSによる位置測位に対応したARオブジェクトデータ52-4~52-6が表示されている。また、図12の例では、所定の範囲の認識枠53として円形の認識枠が画面41に表示されている。
【0116】
また、図12の例では、端末10又は撮像部12の位置を中心にして、その周囲に存在する各オブジェクトデータ52-4~52-6の位置情報を表示するレーダマップ60が表示されている。図12(A)の例では、オブジェクトデータ52の表示範囲設定が可能であるため、空間的に表示状態を継続させる範囲を設定できる。これは、例えばGPSを用いた端末10の位置情報や向き情報からオブジェクトデータ52を表示する場合、オブジェクトデータ52は世界座標系の一意の位置(緯度,経度,高度)に設定されているため、ARマーカや実物体等のように、「認識範囲」という限定がないからである。」

(5) 引用文献6について

当審拒絶理由に引用した引用文献6の段落【0044】には、以下の記載がある。

「【0044】
また、ガイダンス140の表示についても、作業者が電気式の操作キー104を操作することによって、ガイダンス140の表示/非表示を切り換えることもできるし、成形条件指定部160の項目毎に、ガイダンス140の表示/非表示を支援情報変換テーブル180に併せて記憶しておくこともできる。この場合、作業者が操作を間違いやすい成形条件設定項目130についてガイダンス140を表示するように設定しておくことが好ましい。さらに、ガイダンス140の表示と入力待ち状態となった成形条件設定項目130を指示するマーク142の表示の双方を表示するように構成することも可能である。」

(6) 引用文献7について

当審拒絶理由に引用した引用文献7の段落【0064】-【0067】には、以下の記載がある。

「【0064】
具体的には、メインフロー表示部5、及びサブフロー表示部6に入力段階を表示するとともに、現在の入力段階に対応する入力項目を作業内容表示部7に表示した入力支援情報により、入力支援装置10は、オペレーターに対して入力作業手順をナビゲーションすることができる。これにより、入力支援装置10は、オペレーターが入力作業を確実にすすめられるよう入力支援することができる。
【0065】
そして、入力方法切換ボタン59により、入力支援装置10は、入力支援情報の表示を必要とするオペレーターと、表示を不要とするオペレーターとの双方に対応して入力支援することができる。
【0066】
これにより、業務経験が浅いオペレーターは、入力支援情報を表示することで、入力作業を正確、かつ一定の作業効率で行うことができる。一方、業務経験が豊富なオペレーターは、入力支援情報の表示、非表示を任意に選択できるので、入力作業がやり易い方を選択することができる。
【0067】
従って、入力支援情報の表示、非表示を入力方法切換ボタン59で選択可能にしたことにより、入力支援装置10は、オペレーターの業務経験に応じたより効率的な入力支援をすることができる。」

(7) 引用文献8について

当審拒絶理由に引用した引用文献8の3ページ左上欄7-19行には、以下の記載がある。

「表示画面2は、ガイダンスの画面表示領域2aと検索状況の画面表示領域2bを同一画面上に表示し、ホストからの信号の内容やユーザーの入力内容をトリガーとして様々に変更又は切り替えができるように処理できる。操作ガイダンスが登録部1aに登録されていても、表示、非表示を切り替えるキー(図示せず)を設けることによりユーザーの希望によりガイダンスの表示、非表示を切り替えられる。そして、表示画面2には、ユーザが直接検索方法又は検索状況を見えるように表示し、実行部1aによる操作ガイダンスの内容と通信処理部1bによって実行されるホストとのやり取りする内容を同時に表示する。」

2.対比・判断

(1) 本願発明1について

本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明において、「ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mount Display)と拡張現実(AR:Augmented Reality)とを組み合わせ」、「表示制御装置40は、基板処理装置10の内部を可視化し、つまり、表示制御装置40は、外部からは視認が困難な基板処理装置10の内部部位の2Dグラフィック又は3Dグラフィックを作成し、作成したグラフィック映像をHMD30に表示し」ていることは、本願発明1の「産業用機器の所定部分の内部を示す第1AR(Augmented Reality)画像、及び、前記産業用機器の正しい動作状態を示す第2AR画像を表示するように構成された表示部」を備えることと、「産業用機器の所定部分の内部を示す第1AR(Augmented Reality)画像を表示するように構成された表示部」を備える点で共通するといえる。

イ 引用発明の「表示制御装置40」は、「外部からは視認が困難な基板処理装置10の内部部位の2Dグラフィック又は3Dグラフィックを作成し、作成したグラフィック映像をHMD30に表示し」ているから、本願発明1の「前記表示部を制御するように構成された制御部」に相当する。

ウ 引用発明において、「HMD30は、画像作成コンピュータ42から供給される画像や映像を、作業者が視認することができるように、作業者の視認映像に重畳して表示し或いは作業者の直接の視認映像を隠して表示し、或いは、作業者の視野範囲の端の領域(作業者が視線を動かすことで視認することができる位置)に表示することができ、

表示制御装置40は、外部からは視認が困難な基板処理装置10の内部部位の2Dグラフィック又は3Dグラフィックを作成し、作成したグラフィック映像をHMD30に表示し、

作業者が、基板処理装置10の外部からプロセスモジュール12を見たときにプロセスモジュール12の外面に設けられたバーコードを視認すると、その位置からプロセスモジュール12の内部を透視したときの簡潔なグラフィック映像(支援情報画像)が、HMD30に表示され」ることは、本願発明1の「前記制御部は、前記第1モードが選択された場合に前記第1AR画像を表示するように前記表示部を制御する一方、前記第2モードが選択された場合に前記第1AR画像を非表示とするように前記表示部を制御し、前記第1モードが選択された場合に、前記第1AR画像の少なくとも一部は、前記表示部において前記所定部分と重なる位置に表示され」ることと、「前記制御部は、前記第1AR画像を表示するように前記表示部を制御するように前記表示部を制御し、前記第1AR画像の少なくとも一部は、前記表示部において前記所定部分と重なる位置に表示され」る点で共通するといえる。

エ 引用発明の「HMD30及び表示制御装置40」は、本願発明1の「携帯端末」と、「装置」である点で共通するといえる。

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]

「産業用機器の所定部分の内部を示す第1AR(Augmented Reality)画像を表示するように構成された表示部と、
前記表示部を制御するように構成された制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1AR画像を表示するように前記表示部を制御するように前記表示部を制御し、
前記第1AR画像の少なくとも一部は、前記表示部において前記所定部分と重なる位置に表示される、装置。」

[相違点1]

本願発明1は、「表示部」が、「産業用機器の所定部分の内部を示す第1AR(Augmented Reality)画像」に加えて、「前記産業用機器の正しい動作状態を示す第2AR画像」を表示するように構成されているのに対して、引用発明は、「基板処理装置10の内部を可視化し、つまり、表示制御装置40は、外部からは視認が困難な基板処理装置10の内部部位の2Dグラフィック又は3Dグラフィックを作成し」て表示することに加えて、「前記産業用機器の正しい動作状態を示す第2AR画像」を表示することが特定されていない点。

[相違点2]

本願発明1は、「前記制御部により切り替え可能に構成される、第1モード又は第2モードの、ユーザによる選択を受け付けるように構成された受付部」を備えるのに対して、引用発明では、第1モード又は第2モードを選択する「受付部」を備えることが特定されていない点。

[相違点3]

本願発明1では、「前記制御部は、前記第1モードが選択された場合に前記第1AR画像を表示するように前記表示部を制御する一方、前記第2モードが選択された場合に前記第1AR画像を非表示とするように前記表示部を制御し、前記第1モードが選択された場合に、前記第1AR画像の少なくとも一部は、前記表示部において前記所定部分と重なる位置に表示される」のに対して、引用発明では、AR画像を表示する「第1モード」と、AR画像を非表示とする「第2モード」の選択について特定されていない点。

[相違点4]

本願発明1は、「前記制御部は、前記第1AR画像が前記表示部に表示される場合に、前記第2AR画像を前記第1AR画像に並べて表示するように前記表示部を制御するように構成されている」のに対して、引用発明は、「第2AR画像」を第1AR画像に並べて表示することが特定されていない点。

[相違点5]

本願発明1は、「携帯端末」に係るのに対して、引用発明は、「HMD30及び表示制御装置40」に係る点。

3.当審の判断

事案に鑑みて、「第2AR画像」に関する点で相互に関連する、上記[相違点1]、及び、[相違点4]について、先に検討する。

本願発明1の上記[相違点1]、及び、[相違点4]に係る、「表示部」が、「産産業用機器の所定部分の内部を示す第1AR(Augmented Reality)画像、及び、前記産業用機器の正しい動作状態を示す第2AR画像を表示するように構成され」ており、「前記制御部は、前記第1AR画像が前記表示部に表示される場合に、前記第2AR画像を前記第1AR画像に並べて表示するように前記表示部を制御するように構成されている」ことは、上記引用文献1-8には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2) 請求項2-5について

本願発明2-5も、本願発明1の上記[相違点1]、及び、[相違点4]に係る、「表示部」が、「産産業用機器の所定部分の内部を示す第1AR(Augmented Reality)画像、及び、前記産業用機器の正しい動作状態を示す第2AR画像を表示するように構成され」ており、「前記制御部は、前記第1AR画像が前記表示部に表示される場合に、前記第2AR画像を前記第1AR画像に並べて表示するように前記表示部を制御するように構成されている」ことと、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定についての判断

令和3年8月6日付けの補正により、補正後の請求項1-5は、本願発明1の上記[相違点1]、及び、[相違点4]に係る、「表示部」が、「産産業用機器の所定部分の内部を示す第1AR(Augmented Reality)画像、及び、前記産業用機器の正しい動作状態を示す第2AR画像を表示するように構成され」ており、「前記制御部は、前記第1AR画像が前記表示部に表示される場合に、前記第2AR画像を前記第1AR画像に並べて表示するように前記表示部を制御するように構成されている」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Eには記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-5は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Eに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-001875

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