特許拒絶査定不服審判
2021-001397
ディスプレイにおける、および、ディスプレイに関連する改良
- 審判番号
- 2021-001397
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-557071
- 請求日
- 2021年02月01日
- 審決日
- 2022年07月29日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】野河 信久
- 【請求人代理人】井上 正
- 【請求人代理人】飯野 茂
- 【請求人代理人】河野 直樹
- 【請求人代理人】金子 早苗
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬川 勝久
- 審判官 野村 伸雄
- 審判官 吉野 三寛
- 分類
- P18 .113-WZ (G02B) / P18 .121-WZ (G02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-557071「ディスプレイにおける、および、ディスプレイに関連する改良」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月17日国際公開、WO2016/181108、平成30年 8月16日国内公表、特表2018-523147〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)5月4日(パリ条約による優先権主張 2015年5月8日(英国)、2015年5月8日(欧州特許庁))の出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。
平成30年11月 6日付け:拒絶理由の通知
平成31年 2月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 7月12日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)の通知
令和 元年10月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 3月24日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)の通知
令和 2年 6月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 9月29日付け:令和2年6月29日の手続補正についての
補正却下の決定、拒絶査定
令和 3年 2月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 5月10日 :上申書
令和 3年10月22日付け:拒絶理由の通知
令和 4年 4月21日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明は、令和4年4月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるところ、その本願発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ユーザによって装着される2つの視覚アセンブリを備え、それぞれの1つの視覚アセンブリは各々の目用である両眼用ディスプレイデバイスであって、各視覚アセンブリは:
外のシーンからの外光を受けるために、および、その結果を前記両眼用ディスプレイデバイスの透明で平坦な導波路ディスプレイ部品に向けるために構成された正の光学強度を有する外側の光学部品を備え、
前記透明で平坦な導波路ディスプレイ部品は、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応する各々のディスプレイデバイス上に表示されたキャラクタ、オブジェクト、または、シンボルを含む同じ表示画像を運ぶ画像担持光を、前記各々のディスプレイデバイスから入力し、表示のために、前記導波路ディスプレイ部品の平坦な面を介して、前記導波路ディスプレイ部品によって前記平坦な面に導かれる実質的にコリメートされた画像担持光を出力するために、および、前記画像担持光と同時に見るために、前記平坦な面を通して、前記外側の光学部品から前記導波路ディスプレイ部品に向けられた前記外光を伝達するために構成され、
前記導波路ディスプレイ部品から前記外光と実質的にコリメートされた前記画像担持光との両方を受けるために、および、各視覚アセンブリに実質的に共通の仮想焦点を生成するために、受け取られた前記画像担持光に発散を与え、表示のためにその結果を出力するために構成される負の光学強度を有する内側の光学部品をも備え、
ここにおいて、両目によって前記同じ表示画像を見る視差は、前記2つの視覚アセンブリのための前記同じ表示画像において、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応し、前記導波路ディスプレイ部品に前記画像担持光を入力する前記各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置に表示された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与えることによって、前記仮想焦点に関連付けられた焦点深度に応じて調整され、ここにおいて、前記シフトを与えることは、前記画像担持光の円錐の軸を非平行にし、見る者に向かう方向に発散するようにして、視覚効果を与えるものであり、
これにより、使用に際し、前記画像担持光によって運ばれる前記同じ画像は、前記両眼用ディスプレイデバイスを通して見られたときに、三次元(3D)画像として前記外のシーン上に重畳される、
両眼用ディスプレイデバイス。」
第3 拒絶の理由
令和3年10月22日付けで当審が通知した請求項1に関する拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
[理由]1.(新規性)本件出願の請求項1に係る発明は、その最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1又は引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
[理由]2.(進歩性)本件出願の請求項1に係る発明は、その最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基いて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特表2014-505899号公報
引用文献2.国際公開第2013/170074号
第4 引用文献について
1 引用文献1
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「【0008】
[0009] 図1は、1つの実施形態のヘッドマウント型ディスプレイ・システム10を示す。システム10は、ビデオ・ディスプレイ・アイウェアの例である。これは、一般のメガネやサングラスと似ている。しかし、このシステムは、シースルー・ディスプレイ・デバイス12Aおよび12Bを含み、これらは、装着者に見えるようにディスプレイ・イメージを投影する。特に、ディスプレイ・イメージは、装着者の目の前に直接的に投影される。従って、システム10はウェアラブル・マウント14を含み、これが、表示デバイスを、装着者の目の前の短い距離の位置に配置する。図1において、ウェアラブル・マウントは、従来のメガネのフレームの形である。
【0009】
[0010] 表示デバイス12Aおよび12Bは、少なくとも部分的に透明であり、装着者は、外部シーンおよびディスプレイ・イメージを見ることができる。1つのシナリオでは、ディスプレイ・イメージと外部シーンの様々なサブジェクト(対象物)とが異なる焦点面を占有し、装着者は、外部サブジェクト(外部の対象物)からディスプレイ・イメージへ、またはその逆に、焦点を変えることになる。他のシナリオでは、後に説明するように、ディスプレイ・イメージと少なくとも1つの外部サブジェクトとが同じ焦点面を共有する。
【0010】
[0011] 更に図1を参照すると、システム10はコントローラ16を含み、コントローラ16は、ディスプレイ・デバイス12Aおよび12Bの内部コンポーネントを制御して、ディスプレイ・イメージを形成し且つ外部シーンを見ることができるようにする。1つの実施形態では、コントローラ16は、ディスプレイ・デバイス12Aおよび12Bを制御して同じディスプレイ・イメージを同時に投影し、装着者の右目および左目が同時に同じイメージを受けるようにする。別の実施形態では、表示デバイスは、少し異なる複数のイメージを同時に投影し、装着者に立体イメージ、即ち、3次元イメージを知覚させる。図2は、別の例示的なヘッドマウント型ディスプレイ・システム18を示す。システム18は、バイザー20を備えるヘルメットであり、バイザー20の背面にディスプレイ・デバイス12Aおよび12Bが配される。システム18は、ビデオ・ゲームから飛行にいたるまでの範囲の応用において使用することができる。
【0011】
[0012] 図3は、1つの実施形態における例示的なシースルー・ディスプレイ・デバイス12の構成を示す。表示デバイスは、照明器22およびイメージ形成器24を含む。1つの実施形態では、照明器は、白の発光ダイオード(LED)などのような、白色光源を含む。照明器は、更に、白色光源からの放射をコリメートし、その放射をイメージ形成器へ向けるための適切な光学系を備える。イメージ形成器は、液晶ディスプレイ(LCD)アレイなどのような、光弁の矩形アレイを備える。アレイの光弁は、それらを通して送られるコリメートされた光の量を空間的に変化させ時間的に変調させるように構成され、それにより、例えば、ディスプレイ・イメージのピクセルを形成する。更に、イメージ形成器は、光弁とともに適切な光フィルタリング・エレメントを備え、それによりカラーのディスプレイ・イメージを形成することができる。
【0012】
[0013] 別の実施形態では、照明器は1以上の変調型レーザーを備え、イメージ形成器は、レーザーの放射を変調と同期してラスター化して、ディスプレイ・イメージを形成するように構成される。更に別の実施形態では、イメージ形成器24は、ディスプレイ・イメージを形成するように構成された変調型カラーLEDの矩形アレイを備える。カラーLEDのアレイは、それ自体が光を発するので、表示デバイスから照明器16を省略することができる。」
「【0014】
[0015] 更に図3を参照すると、イメージ形成器24は、ディスプレイ・イメージをシースルー・マルチパス光学系26へ投影するように構成される。マルチパス光学系は、ディスプレイ・イメージをビューワーの瞳孔28へ反射するように構成される。なお、このビューワーとは、ディスプレイ・デバイスが装備されるヘッドマウント型ディスプレイ・システムの装着者である。マルチパス光学系はまた、ビューワーの瞳孔へ、表示デバイスの外部にあり且つビューワーの向かい側にある外部シーン30のイメージを送るように、構成される。このように、マルチパス光学系は、ディスプレイ・イメージと外部イメージとの双方を、同じ軸Aに沿って瞳孔へ案内するように構成される。図3に示されるシーン30は、静止または運動している1以上の前景サブジェクト32を含む。前景サブジェクトは、背景サブジェクト34の前方に、即ち、背景サブジェクトと表示デバイスとの間に、配置される。」
「【0019】
[0020] これらの問題に鑑みて、図3の表示デバイス12は、仮想ディスプレイ・イメージを調節可能(移動可能)な焦点面に投影するように構成される。焦点面は、背景サブジェクト34への距離および他のファクタに応じて、動的に調節される。従って、表示デバイス12は、適応型発散レンズ38および発散レンズ・ドライバ40Aを備える。適応型発散レンズは、光パワーを調節可能な適応型発散光学系の一例である。これは、マルチパス光学系とビューワーの瞳孔との間に配され、ディスプレイ・イメージおよび外部イメージを調節可能に発散させるように構成され、ターゲット焦点面(目標とされる焦点面)でディスプレイ・イメージに焦点が合わされる。発散レンズ・ドライバは、適応型発散レンズと結合されるものであり、レンズの光パワーを調節するように構成される。このドライバは、コントローラ16からの制御信号に応じて適応型発散レンズの焦点距離を制御するように構成される。このように、仮想ディスプレイ・イメージの焦点面を前後に動かすことができ、例えば、無限大から有限の深度まで動かすことができる。一方、コントローラは1以上の形態の入力を受信し、それらの入力は、以下に説明するように、コントローラが焦点面の望ましいターゲット位置を決定することを可能にする。
【0020】
[0021] 1つの実施形態では、適応型発散レンズ38の焦点距離は変化し、それにより、仮想ディスプレイ・イメージの焦点面を、無限遠と30センチメートルとの間で、例えば、連続的または固定の増分の適切な微細な間隔で、移動させる。幾つかの実施形態では、増分は、逆格子空間(reciprocal space)において線形的に配列される。例えば、4、5、10、100の増分などがある。1つの実施形態では、増分は、2分の1ジオプターの刻みで配列される。1つの実施形態では、適応型発散レンズは、焦点距離が25センチメートルである場合に、最大の光パワーが-4ジオプターである。別の実施形態では、適応型発散レンズは、発散レンズの複合スタックを備え、その中の少なくとも1つのレンズは光パワーを変更可能である。
【0021】
[0022] 適応型発散レンズ38は、ビューワーの目の直ぐ前に配されるので、また、光パワーを有するので、更には、その光パワーは変化するので、このレンズは、このレンズを通って送られるシーン30の外部イメージの焦点をぼかす原因となりやすい。従って、表示デバイス12は、適応型収束レンズ42および収束レンズ・ドライバ40Bも含む。適応型収束レンズは、光パワーを調節可能な適応型収束光学系の一例である。これは、適応型発散レンズと相対してマルチパス光学系の反対側に配され、外部イメージを調節可能に収束させるように構成され、ターゲット焦点面で外部イメージに焦点が合わされる。収束レンズ・ドライバは、適応型収束レンズと結合されるものであり、レンズの光パワーを調節するように構成される。このドライバは、コントローラ16からの制御信号に応じて適応型収束レンズの焦点距離を制御するように構成される。1つの実施形態では、適応型収束レンズの焦点距離が、適応型発散レンズによりもたらされるバージェンスを適応型収束レンズにより全く逆にするように調節され、その結果として、シーン30の外部イメージへ光パワーが適用されないようにする。1つの実施形態では、発散レンズおよび収束レンズの焦点距離は、調和して調節される。即ち、一方が増加すると(即ち、正方向に向かうと)、他方が減少する(即ち、負方向に向かう)。1つの実施形態では、増加および減少は同じ量である。別の実施形態では、あり得る非理想的性質の補償を行うために、増加と減少とは異なる。これらおよび他の実施形態において、このような調節は一斉に行われる。換言すると、適応型発散レンズの調節と適応型収束レンズの調節との間の遅延は僅かなものであるか、またはこれらの調節の間に遅延は無い。例えば、調節はプッシュ・プル(push-pull)様式で行われる。」
「【0034】
[0035] ここで考慮する実施形態では、背景サブジェクトまでの概算された距離は、コントローラにより受信され様々に使用されるデータである。例えば、以下に説明するように、そのデータは、ディスプレイ・イメージおよび外部イメージに対する焦点面の選択を制御するか、または選択を通知する。幾つかの実施形態では、このデータは、例えば、52におけるディスプレイ・イメージの形成の様式を制御するためにも使用される。例えば、左目と右目とは、「無限遠の位置」のサブジェクトを見るときのみ、平行した光学軸に沿ってアライメントされることが知られている。しかし、サブジェクトとビューワーとが近づくと、左目の光学軸と右目の光学軸とは収束してサブジェクトの位置で交差する。従って、サブジェクトと同じ焦点面でディスプレイ・イメージが楽に見られるようにする場合には、サブジェクトとビューワーとが近づいたときに、左目用のディスプレイ・イメージを右へ移動させ、右目用のディスプレイ・イメージを左へ移動させる。1つの実施形態では、そのような移動は、幾何学および視覚の原理に従ってコントローラ16により行われる。」
図1、図3は以下のとおりである。
[図:0001392478000001.jpg]
[図:0001392478000002.jpg]
図1から、表示デバイス12Aと表示デバイス12Bの2つの表示デバイスが見て取れる。
図3から、平坦なシースルー・マルチパス光学系26が見て取れる。
(2)上記記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる(以下、引用発明1の認定の根拠にした段落番号等を参考までに括弧内に付した。)。
「ディスプレイ・イメージを形成することができるイメージ形成器24を含み、(【0010】、【0012】)
イメージ形成器24は、ディスプレイ・イメージをシースルー・マルチパス光学系26へ投影し、
平坦なシースルー・マルチパス光学系26は、ディスプレイ・イメージをビューワーの瞳孔へ反射するように構成され、また、ビューワーの瞳孔へ、表示デバイスの外部にあり且つビューワーの向かい側にある外部シーンのイメージを送るように、構成され、このように、ディスプレイ・イメージと外部イメージとの双方を、瞳孔へ案内するように構成され、(【0014】、図3)
光パワーを調節可能な適応型発散レンズ38を備え、適応型発散レンズ38は、シースルー・マルチパス光学系26とビューワーの瞳孔との間に配され、ディスプレイ・イメージおよび外部イメージを調節可能に発散させるように構成され、適応型発散レンズ38の焦点距離を制御し、仮想ディスプレイ・イメージの焦点面を前後に動かすことができ、(【0014】、【0019】)
光パワーを調節可能な適応型収束レンズ42も含み、適応型収束レンズ42は、適応型発散レンズ38と相対してシースルー・マルチパス光学系26の反対側に配され、外部イメージを調節可能に収束させるように構成され、(【0014】、【0021】)
左目と右目とは、「無限遠の位置」のサブジェクトを見るときのみ、平行した光学軸に沿ってアライメントされ、サブジェクトとビューワーとが近づくと、左目の光学軸と右目の光学軸とは収束してサブジェクトの位置で交差することから、コントローラ16により、サブジェクトと同じ焦点面でディスプレイ・イメージが楽に見られるようにする場合には、サブジェクトとビューワーとが近づいたときに、左目用のディスプレイ・イメージを右へ移動させ、右目用のディスプレイ・イメージを左へ移動させ、(【0034】)
仮想ディスプレイ・イメージを調節可能(移動可能)な焦点面に投影するように構成され、(【0019】)
ヘッドマウント型ディスプレイ・システム10に含まれ、(【0008】)
装着者の右目および左目に少し異なる複数のイメージを同時に投影し、3次元イメージを知覚させる2つの表示デバイス。(【0010】、図1)」
2 引用文献2
(1)引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「
[図:0001392478000003.jpg]
[図:0001392478000004.jpg]
[図:0001392478000005.jpg]
[図:0001392478000006.jpg]
」
(22頁19行~25頁6行
訳は、特表2015-525365号公報を使用。
訳:
【0074】
ディスプレイ101が少なくとも2つの動的フォーカス光学コンポーネント121を備える少なくとも1つの例示の実施形態では、装置200は、動的フォーカス光学コンポーネント121のうちの1つに対して設定された第1セットの焦点設定から生じる、表現、ディスプレイを介して視認される情報、またはその組み合わせの知覚される奥行きのずれを判断することにより、フォーカスの不一致を判断する手段(例えばプロセッサ202、カメラ/センサー294)を用いて構成されてもよい。その結果、装置200は、ずれに基づいて、別の動的フォーカス光学コンポーネント121の別のセットの焦点設定を決定することができる。例として、ディスプレイ101に提示される表現107と、ディスプレイを介して視認される情報との間の任意のずれまたは誤りを補正するために、第2の、または別の動的フォーカス光学要素に、第2の、または別のセットの焦点設定を適用することができる。光学コンポーネントを使用したフォーカス補正のプロセスのさらなる説明が、図7A~図7Dに関して下記で提供される。
【0075】
少なくとも1つの例示の実施形態では、装置は、光学フォーカス調整に加えて、フォーカス距離に基づいて、該1つ以上の動的フォーカス光学コンポーネントの、少なくとも1つの両眼連動設定を決定する手段(例えばプロセッサ202)を用いて構成されてもよい。少なくとも1つの例示の実施形態では、両眼連動とは、両眼視を提供するために垂直軸の周りを両眼が回転するプロセスを指す。例えば、眼に近い物体ほど、典型的には、両眼がより大きく内側に回転することを要し、無限遠に向かって離れた物体に対しては、両眼が平行に近づく。したがって、装置200は、特定のフォーカス距離に対して適切なレベルの両眼連動に近づけるために、動的フォーカス光学コンポーネント121をどのような物理的構成とするかを決定してもよい。少なくとも1つの例示の実施形態では、該少なくとも1つの両眼連動設定は、該1つ以上の動的フォーカス光学要素の傾き設定を含む。両眼光学コンポーネントの傾き両眼連動設定の例示を、下記、図7Cおよび図7Dに関して提供する。様々な実施形態において記載されるようにフォーカスおよび両眼連動設定の調整を可能にすることにより、装置200が、眼精疲労につながり得る潜在的な視覚的誤りを軽減または解消することができる。
【0076】
少なくとも1つの例示の実施形態では、装置200は、フォーカスまたはその他視覚的誤りの補正を決定するために、光学および非光学両方の技術の使用を組み合わせる手段(例えばプロセッサ202、カメラ/センサー294)を用いて構成することができる。したがって、動作605において、装置200は、動的フォーカス光学コンポーネントの焦点設定に少なくとも部分的に基づいて表現107を決定する手段(例えばプロセッサ202)を実行し、該手段を用いて構成されてもよい。例えば、光学焦点設定によりぼかし効果が既にもたらされている場合、表現は、ぼかし効果を含むとしても、動的フォーカス光学コンポーネントなしのディスプレイ101と比較した場合ほどは含まなくてよい。他の場合には、表現107は、例えば所与の焦点設定でディスプレイ101上での奥行きまたはフォーカス効果を付加または強化する追加効果を持つように決定されてもよい。
【0077】
動作607に示されているように、装置200は、フォーカス距離の変化を判断し、続いて、その変化に基づいて動的フォーカス光学コンポーネント121の該少なくとも1つの焦点設定を更新させる手段(例えばプロセッサ202、カメラ/センサー294)を実行し、該手段を用いて構成することができる。少なくとも1つの例示の実施形態では、装置200は、実質的にリアルタイムで、継続的に、定期的に、スケジュールに従って、要求に応じてなどという形で、変化がないかどうかフォーカス距離を監視してもよい。このように、ユーザが視線またはフォーカスを変更するのに伴い、装置200は、新たなフォーカス距離に一致するよう、光学コンポーネントのフォーカスを動的に調整することができる。
【0078】
図7A~図7Dは、本発明の少なくとも1つの例示の実施形態による、動的フォーカス光学コンポーネントを使用してフォーカス補正を提供するディスプレイの透視図である。上記図1Bに関して説明したように、典型的なニア・アイ透過型ディスプレイ101は、固定フォーカスで、物理的世界の光景の上にデータの表現107(例えば仮想画像)を提示する。これは、典型的には無限遠のフォーカス距離に固定されている表現107と、ディスプレイを介して視認される実際の物体または情報との間のフォーカスの不一致をもたらし得る。図7Aに示されているように、少なくとも1つの例示の実施形態では、レンズ701が、眼113とライトガイド123との間に設けられる。例として、この単一のレンズ701は、仮想画像(例えば表現107)をより近くに引き寄せる効果を有する。透過型でないディスプレイ101の場合、単一のレンズで、ディスプレイ上に提示される仮想画像または表現107のフォーカス距離を有効に変更することができる。
【0079】
一方、透過型ディスプレイ101の場合、ディスプレイを介して視認される物体103の画像の知覚される奥行きも近く引き寄せられ、その結果、潜在的なフォーカスの不一致は保持される。図7Bの実施形態では、第2のレンズ703がライトガイド123と物体103との間に配置され、物体103の知覚される奥行きを、その実際の奥行きに有効に変更する。したがって、単一のレンズは、ディスプレイが不透明または非透過型である場合に、ディスプレイ101上の表現107または画像のフォーカス距離を変更するのに有効となり得る。その一方で、デュアルレンズ・システムは、仮想物体(例えば表現107)と組み合わさった実際の物体(例えば物体103)をディスプレイ101が提示する場合に、視覚的誤りおよびフォーカスの不一致を補正するのに有効となり得る。
【0080】
少なくとも1つの例示の実施形態では、図7Bのデュアルレンズ・システムが、レンズとして動的フォーカス光学コンポーネント121を用いて構成される場合、システムは、仮想画像と、ディスプレイを介して視認される情報とを組み合わせるにあたり、より高い柔軟性を提供することができる。図6の動作607に関して説明されるように、2つのレンズの焦点設定を調整して、フォーカスの不一致の調整を行うことができる。例えば、ユーザによって決定されたフォーカス距離にデータの表現107を提示するよう、第1のレンズ701の焦点設定を調整することができる。次に、ディスプレイ101を介して視認される情報の知覚される奥行きのずれを使用して、第2のレンズ703の焦点設定を決定することができる。少なくとも1つの例示の実施形態では、ディスプレイ101を介して視認されるとき、情報の意図されるまたは実際の奥行きに知覚距離を移動するべく、知覚距離の任意のずれを補正するように第2のレンズ703の焦点設定が決定される。
【0081】
図7Cは、少なくとも1つの例示の実施形態による、ユーザの左眼および右眼709aおよび709bに対応する動的フォーカス光学要素707aおよび707bを備える両眼ディスプレイ705を示す。調節またはフォーカス矛盾に加え、両眼連動も、適切なフォーカス距離に整合していない場合に眼精疲労に影響を及ぼし得る。少なくとも1つの例示の実施形態では、動的フォーカス光学要素707aおよび707bは、輻輳を光学的に調整する手段である。図7Cに示されているように、物体711を視認するとき(特に、物体711がディスプレイ705に近いとき)、眼709aおよび709bは、典型的には、内側へ回転して、物体711を網膜の視野(例えば中心窩領域)内に持ってきて、物体711の整合のとれた両眼視を提供しなければならない。図7Cの例では、それぞれの動的フォーカス光学要素707aおよび707bを収容するサブディスプレイ713aおよび713bは、輻輳のための調整を行うよう物理的に回転する手段を備える。
【0082】
図7Dは、少なくとも1つの例示の実施形態による、各動的フォーカス要素719aおよび719bを収容するサブディスプレイ717aおよび717b上に光が投射される角度を変更することによって輻輳のための調整を行うことができる、両眼ディスプレイ715を示す。例えば、ディスプレイ715は、サブディスプレイ717aおよび717bを物理的に回転させず、その代わりに、物体711に対して輻輳を行うために眼709aおよび709bが内側へ回転されるべき角度を表現する角度αを求める手段を備えてもよい。その結果、ディスプレイ715は、角度αに合わせてサブディスプレイ717aおよび717bに投射される光の角度を変更する手段(例えばレンダリング・エンジン721aおよび721b)を備えてもよい。このように、サブディスプレイ717aおよび717bは、上記図7Cに関して記載されたように物理的に回転しなくてもよい。」
図7B、図7Dは以下のとおりである。
[図:0001392478000007.jpg]
[図:0001392478000008.jpg]
図7Bの記載から、平坦なライトガイド123が、見て取れる。
図7Dの記載から、サブディスプレイ717aおよび717bは、ユーザの左眼709aおよび右眼709bに対応していること、ライトガイドに対してユーザの左眼709a側に凹の第1のレンズおよび右眼709b側に凹の第2のレンズを備え、ライトガイドに対して物体711側であって物体711と左眼709aの間の凸の第3レンズおよび物体711と右眼709bの間の凸の第4レンズを備えることが、見て取れる。
(2)上記記載から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる(以下、引用発明2の認定の根拠にした当審訳の段落番号等を参考までに括弧内に付した。)。
「平坦なライトガイドと、(【0079】、図7B)
ライトガイドに対してユーザの左眼709a側に凹の第1のレンズおよび右眼709b側に凹の第2のレンズを備え、ライトガイドに対して物体711側であって物体711と左眼709aの間の凸の第3レンズおよび物体711と右眼709bの間の凸の第4レンズを備え、(図7D)
サブディスプレイ717aおよび717bに投射される光の角度を変更する手段(例えば、レンダリング・エンジン721aおよび721b)を備え、サブディスプレイ717aおよび717b上に光が投射される角度を変更することによって輻輳のための調整を行い、眼に近い物体ほど、典型的には、両眼がより大きく内側に回転することを要し、無限遠に向かって離れた物体に対しては、両眼が平行に近づく両眼連動設定の調整を可能にし、(【0075】、【0082】)
仮想画像は、奥行きを付加または強化する追加効果を持つように決定され、(【0076】、【0079】)
仮想画像と、視認される物体の画像とを組み合わせる(【0079】、【0080】)
ユーザの左眼および右眼に対応しているサブディスプレイ717aおよび717b。(図7D)」
第5 対比、判断
1 引用文献1を主引用例とした場合
(1)本願発明と引用発明1を対比する。
ア 引用発明1の「装着者」は、本願発明の「ユーザ」に、
引用発明1の「右目および左目に少し異なる複数のイメージを同時に投影」する「2つの表示デバイス」は、本願発明の「2つの視覚アセンブリを備え、それぞれの1つの視覚アセンブリは各々の目用である両眼用ディスプレイデバイス」に、
引用発明1の「外部イメージ」は、本願発明の「外のシーンからの外光」に、
引用発明1の「『ディスプレイ・イメージと外部シーンのイメージとの双方を、瞳孔へ案内するように構成され、』『平坦なシースルー・マルチパス光学系26』」は、本願発明の「透明で平坦な導波路ディスプレイ部品」に、
引用発明1の「適応型収束レンズ42」は、本願発明の「正の光学強度を有する外側の光学部品」に、
引用発明1の「ディスプレイ・イメージ」は、本願発明の「画像担持光」に、
引用発明1の「適応型発散レンズ38」は、本願発明の「負の光学強度を有する内側の光学部品」に、
引用発明1の「3次元イメージ」は、本願発明の「三次元(3D)画像」に
それぞれ相当する。
イ 本願発明の「ユーザによって装着される2つの視覚アセンブリを備え、それぞれの1つの視覚アセンブリは各々の目用である両眼用ディスプレイデバイス」の構成について
引用発明1の「2つの表示デバイス」は、「ヘッドマウント型ディスプレイ・システム10に含まれ」るものであるから、装着者に装着されるものといえる。
そして、引用発明1の「装着者の右目および左目に少し異なる複数のイメージを同時に投影し、3次元イメージを知覚させる2つの表示デバイス」は、「ヘッドマウント型ディスプレイ・システム10に含まれ」るものである。
そうすると、引用発明1は上記構成を備えているものといえる。
ウ 本願発明の「各視覚アセンブリは:外のシーンからの外光を受けるために、および、その結果を前記両眼用ディスプレイデバイスの透明で平坦な導波路ディスプレイ部品に向けるために構成された正の光学強度を有する外側の光学部品を備え」の構成について
引用発明1の「2つの表示デバイス」は、それぞれの表示デバイスが、適応型収束レンズ42、平坦なシースルー・マルチパス光学系26、適応型発散レンズ38を含んでいるといえる。
そして、引用発明1の「表示デバイス」は、「光パワーを調節可能な適応型収束レンズ42も含み、適応型収束レンズ42は、適応型発散レンズ38と相対して」、「ディスプレイ・イメージと外部イメージとの双方を、瞳孔へ案内するように構成され」る「平坦な」「シースルー・マルチパス光学系26の反対側に配され、外部イメージを調節可能に収束させるように構成され」ている。
そうすると、引用発明1は上記構成を備えているものといえる。
エ 本願発明の「前記透明で平坦な導波路ディスプレイ部品は、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応する各々のディスプレイデバイス上に表示されたキャラクタ、オブジェクト、または、シンボルを含む同じ表示画像を運ぶ画像担持光を、前記各々のディスプレイデバイスから入力し、表示のために、前記導波路ディスプレイ部品の平坦な面を介して、前記導波路ディスプレイ部品によって前記平坦な面に導かれる実質的にコリメートされた画像担持光を出力するために、および、前記画像担持光と同時に見るために、前記平坦な面を通して、前記外側の光学部品から前記導波路ディスプレイ部品に向けられた前記外光を伝達するために構成され」の構成について
引用発明1の「2つの表示デバイス」は、それぞれの表示デバイスが、イメージ形成器24を含んでいるといえる。
そして、引用発明1の「2つの表示デバイス」は、「ディスプレイ・イメージを形成することができるイメージ形成器24を含」んでおり、引用発明1の「イメージ形成器24は、ディスプレイ・イメージをシースルー・マルチパス光学系26へ投影し」ており、引用発明1の「平坦なシースルー・マルチパス光学系26は、ディスプレイ・イメージをビューワーの瞳孔へ反射するように構成され、また、ビューワーの瞳孔へ、表示デバイスの外部にあり且つビューワーの向かい側にある外部シーンのイメージを送るように、構成され、このように、ディスプレイ・イメージと外部イメージとの双方を、瞳孔へ案内するように構成され」ている。
そうすると、引用発明1は上記構成を備えているものといえる。
オ 本願発明の「前記導波路ディスプレイ部品から前記外光と実質的にコリメートされた前記画像担持光との両方を受けるために、および、各視覚アセンブリに実質的に共通の仮想焦点を生成するために、受け取られた前記画像担持光に発散を与え、表示のためにその結果を出力するために構成される負の光学強度を有する内側の光学部品をも備え」の構成について
引用発明1の「適応型発散レンズ38は、シースルー・マルチパス光学系26とビューワーの瞳孔との間に配され、ディスプレイ・イメージおよび外部イメージを調節可能に発散させるように構成され、適応型発散レンズ38の焦点距離を制御し、仮想ディスプレイ・イメージの焦点面を前後に動かすことができ」るものである。また、引用発明1の「2つの表示デバイス」は、「光パワーを調節可能な適応型収束レンズ42も含み、」「サブジェクトと同じ焦点面でディスプレイ・イメージが楽に見られる」ものであることから、ディスプレイ・イメージが楽に見られるように共通の焦点面を生成しているといえる。
そうすると、引用発明1は上記構成を備えているものといえる。
カ 本願発明の「ここにおいて、両目によって前記同じ表示画像を見る視差は、前記2つの視覚アセンブリのための前記同じ表示画像において、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応し、前記導波路ディスプレイ部品に前記画像担持光を入力する前記各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置に表示された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与えることによって、前記仮想焦点に関連付けられた焦点深度に応じて調整され、ここにおいて、前記シフトを与えることは、前記画像担持光の円錐の軸を非平行にし、見る者に向かう方向に発散するようにして、視覚効果を与えるものであり」の構成について
(ア)引用発明1の「2つの表示デバイス」は、「ディスプレイ・イメージを形成することができるイメージ形成器24を含み、」「左目と右目とは、「無限遠の位置」のサブジェクトを見るときのみ、平行した光学軸に沿ってアライメントされ、サブジェクトとビューワーとが近づくと、左目の光学軸と右目の光学軸とは収束してサブジェクトの位置で交差することから、コントローラ16により、サブジェクトと同じ焦点面でディスプレイ・イメージが楽に見られるようにする場合には、サブジェクトとビューワーとが近づいたときに、左目用のディスプレイ・イメージを右へ移動させ、右目用のディスプレイ・イメージを左へ移動させる」ものである。
ここで、引用発明1の「2つの表示デバイス」は、「ディスプレイ・イメージを形成することができるイメージ形成器24を含」んでいるから、左目用のディスプレイ・イメージの右へ移動させる場合及び右目用のディスプレイ・イメージを左へ移動させる場合に、イメージ形成器24で形成するディスプレイ・イメージをイメージ形成器24上で新たな位置へ移動させているものと考えるのが自然である。
このことは、引用文献1の図3において、イメージ形成器24と瞳孔28との間にディスプレイ・イメージ移動させる部材がないことからも首肯される。
また、引用発明1の「2つの表示デバイス」が、「左目と右目とは、「無限遠の位置」のサブジェクトを見るときのみ、平行した光学軸に沿ってアライメントされ、サブジェクトとビューワーとが近づくと、左目の光学軸と右目の光学軸とは収束してサブジェクトの位置で交差することから、コントローラ16により、サブジェクトと同じ焦点面でディスプレイ・イメージが楽に見られるようにする場合」に、サブジェクトが無限遠の位置でもサブジェクトとビューワーとが近づいていてもディスプレイ・イメージが楽に見られるよう、ディスプレイ・イメージの焦点面を調整しているものといえる。
そうすると、引用発明1の「ディスプレイ・イメージを形成することができるイメージ形成器24を含み、」「左目と右目とは、「無限遠の位置」のサブジェクトを見るときのみ、平行した光学軸に沿ってアライメントされ、サブジェクトとビューワーとが近づくと、左目の光学軸と右目の光学軸とは収束してサブジェクトの位置で交差することから、コントローラ16により、サブジェクトと同じ焦点面でディスプレイ・イメージが楽に見られるようにする場合には、サブジェクトとビューワーとが近づいたときに、左目用のディスプレイ・イメージを右へ移動させ、右目用のディスプレイ・イメージを左へ移動させる」は、本願発明の「ここにおいて、両目によって前記同じ表示画像を見る視差は、前記2つの視覚アセンブリのための前記同じ表示画像において、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応し、前記導波路ディスプレイ部品に前記画像担持光を入力する前記各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置に表示された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与えることによって、前記仮想焦点に関連付けられた焦点深度に応じて調整され」に相当する。
(イ)引用発明1の「適応型発散レンズ38は、シースルー・マルチパス光学系26とビューワーの瞳孔との間に配され、ディスプレイ・イメージおよび外部イメージを調節可能に発散させるように構成され」るものであるから、適応型発散レンズ38により、ディスプレイ・イメージを円錐の形状にして、ビューワーに向かう方向に発散させているものといえる。
ここで、引用発明1の「2つの表示デバイス」は、「左目用のディスプレイ・イメージを右へ移動させ、右目用のディスプレイ・イメージを左へ移動させる」ものであり、左目用のディスプレイ・イメージの移動する方向と右目用のディスプレイ・イメージの移動する方向が逆であることから、左目用のディスプレイ・イメージの円錐の軸と右目用のディスプレイ・イメージの円錐の軸とは非平行となっているものも含むと考えるのが自然である。
(ウ)上記(ア)及び(イ)から、引用発明1は上記構成を備えているものといえる。
キ 本願発明の「これにより、使用に際し、前記画像担持光によって運ばれる前記同じ画像は、前記両眼用ディスプレイデバイスを通して見られたときに、三次元(3D)画像として前記外のシーン上に重畳される、両眼用ディスプレイデバイス。」の構成について
引用発明1の「平坦なシースルー・マルチパス光学系26は、ディスプレイ・イメージと外部イメージとの双方を、瞳孔へ案内するように構成され」ており、「2つの表示デバイス」は、「装着者の右目および左目に少し異なる複数のイメージを同時に投影し、3次元イメージを知覚させる」ものである。
そうすると、引用発明1は上記構成を備えているものといえる。
ク 以上から、本願発明と引用発明1との間に特段差異はない。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。
(2)仮に、本願発明と引用発明1との間の相違点があるとしても、引用発明1において、本願発明と引用発明1との間の相違点に係る構成とすることは、当業者が適宜設計変更する程度のことにすぎない。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 引用文献2を主引用例とした場合
(1)本願発明と引用発明2を対比する。
ア 引用発明2の「ユーザ」は、本願発明の「ユーザ」に、
引用発明2の「左眼および右眼に対応しているサブディスプレイ717aおよび717b」は、本願発明の「2つの視覚アセンブリを備え、それぞれの1つの視覚アセンブリは各々の目用である両眼用ディスプレイデバイス」に、
引用発明2の「平坦なライトガイド」は、本願発明の「透明で平坦な導波路ディスプレイ部品」に、
引用発明2の「ライトガイドに対して物体711側であって物体711と左眼709の間の凸の第3レンズおよび物体711と右眼709の間の凸の第4レンズ」は、本願発明の「正の光学強度を有する外側の光学部品」に、
引用発明2の「投射される光」は、本願発明の「画像担持光」に、
引用発明2の「ライトガイドに対してユーザの左眼709a側に凹の第1のレンズおよび右眼709b側に凹の第2のレンズ」は、本願発明の「負の光学強度を有する内側の光学部品」に、
それぞれ相当する。
イ 本願発明の「ユーザによって装着される2つの視覚アセンブリを備え、それぞれの1つの視覚アセンブリは各々の目用である両眼用ディスプレイデバイスであって」の構成について
引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「ユーザの左眼および右眼に対応している」ものである。そして、引用文献2の図7Dの記載、及び、引用文献2の背景技術として、頭部装着型ディスプレイ(例えば眼鏡)が例示されていることから、サブディスプレイ717aおよび717bはユーザによって装着されるものといえる。
そうすると、引用発明2は上記構成を備えているものといえる。
ウ 本願発明の「各視覚アセンブリは:外のシーンからの外光を受けるために、および、その結果を前記両眼用ディスプレイデバイスの透明で平坦な導波路ディスプレイ部品に向けるために構成された正の光学強度を有する外側の光学部品を備え」の構成について
引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、それぞれのサブディスプレイ717a、サブディスプレイ717bが、ライトガイドに対して物体711側であって物体711と左眼709aの間の凸の第3レンズおよび物体711と右眼709bの間の凸の第4レンズ、平坦なライトガイド、ライトガイドに対してユーザの左眼709a側に凹の第1のレンズおよび右眼709b側に凹の第2のレンズを含んでいるといえる。
また、引用発明2の「物体の画像」は「視認される」ので、上記凸の第3レンズおよび凸の第4レンズは、物体からの光を受け、その後、ライトガイドに向けるものといえる。
そして、引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「物体の画像」が「視認される」ために、「ライトガイドに対して物体711側であって物体711と左眼709の間の凸の第3レンズおよび物体711と右眼709の間の凸の第4レンズを備え」るものである。
そうすると、引用発明2は上記構成を備えているものといえる。
エ 本願発明の「前記透明で平坦な導波路ディスプレイ部品は、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応する各々のディスプレイデバイス上に表示されたキャラクタ、オブジェクト、または、シンボルを含む同じ表示画像を運ぶ画像担持光を、前記各々のディスプレイデバイスから入力し、表示のために、前記導波路ディスプレイ部品の平坦な面を介して、前記導波路ディスプレイ部品によって前記平坦な面に導かれる実質的にコリメートされた画像担持光を出力するために、および、前記画像担持光と同時に見るために、前記平坦な面を通して、前記外側の光学部品から前記導波路ディスプレイ部品に向けられた前記外光を伝達するために構成され」の構成について
引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「平坦なライトガイド」「を備え」、「サブディスプレイ717aおよび717bに投射される光の角度を変更する手段(例えば、レンダリング・エンジン721aおよび721b)を備え」ていることから、レンダリング・エンジン721aおよび721bで作製された画像を投射する光を、平坦なライトガイドに入力しているものといえる。
また、引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「仮想画像と、視認される物体の画像とを組み合わせる」ものであることから、仮想画像と物体の画像を見るために、ライトガイドは、ライトガイドに向けられた物体の画像を透過しているものといえる。
そうすると、引用発明2は上記構成を備えているものといえる。
オ 本願発明の「前記導波路ディスプレイ部品から前記外光と実質的にコリメートされた前記画像担持光との両方を受けるために、および、各視覚アセンブリに実質的に共通の仮想焦点を生成するために、受け取られた前記画像担持光に発散を与え、表示のためにその結果を出力するために構成される負の光学強度を有する内側の光学部品をも備え」の構成について
引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「仮想画像と、視認される物体の画像とを組み合わせる」ものであることから、「ユーザの左眼709a側に凹の第1のレンズおよび右眼709b側に凹の第2のレンズ」は、ライトガイドからの物体の画像と仮想画像との両方を受けためのものであり、また、「仮想画像」とするために共通の仮想焦点を生成するためのものといえる。また、引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「ライトガイドに対してユーザの左眼709a側に凹の第1のレンズおよび右眼709b側に凹の第2のレンズ」を備え、凹の第1のレンズ及び凹の第2のレンズは、ともに凹レンズであることから、受け取られた光に発散を与え、出力しているものといえる。
そうすると、引用発明2は上記構成を備えているものといえる。
カ 本願発明の「ここにおいて、両目によって前記同じ表示画像を見る視差は、前記2つの視覚アセンブリのための前記同じ表示画像において、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応し」の構成について
引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「サブディスプレイ717aおよび717b上に光が投射される角度を変更することによって輻輳のための調整を行い、眼に近い物体ほど、典型的には、両眼がより大きく内側に回転することを要し、無限遠に向かって離れた物体に対しては、両眼が平行に近づく両眼連動設定の調整を可能にし」ているから、仮想画像に関連付けられた焦点深度(眼に近い物体、無限遠に向かって離れた物体)に応じて、サブディスプレイ717aおよび717b上に光が投射される角度を変更することによって輻輳のための調整を行っているものといえる。
そうすると、引用発明2は上記構成を備えているものといえる。
キ 本願発明の「これにより、使用に際し、前記画像担持光によって運ばれる前記同じ画像は、前記両眼用ディスプレイデバイスを通して見られたときに、三次元(3D)画像として前記外のシーン上に重畳される、両眼用ディスプレイデバイス。」の構成について
引用発明2の「仮想画像は、奥行きを付加または強化する追加効果を持つように決定され」るものであるから、仮想画像は、奥行きを付加された三次元(3D)画像といえる。そして、引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「仮想画像と、視認される物体の画像とを組み合わせる」ものであるから、奥行きが付加された三次元(3D)画像の仮想画像と視認される物体の画像が組み合わせるものといえる。
また、引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「ユーザの左眼および右眼に対応している」。
そうすると、引用発明2は上記構成を備えているものといえる。
ク 以上のことから、本願発明と引用発明2との一致点および相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「ユーザによって装着される2つの視覚アセンブリを備え、それぞれの1つの視覚アセン ブリは各々の目用である両眼用ディスプレイデバイスであって、各視覚アセンブリは:
外のシーンからの外光を受けるために、および、その結果を前記両眼用ディスプレイデ バイスの透明で平坦な導波路ディスプレイ部品に向けるために構成された正の光学強度を有する外側の光学部品を備え、
前記透明で平坦な導波路ディスプレイ部品は、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応する各々のディスプレイデバイス上に表示されたキャラクタ、オブジェクト、または、シンボルを含む同じ表示画像を運ぶ画像担持光を、前記各々のディスプレイデバイスから入力し、表示のために、前記導波路ディスプレイ部品の平坦な面を介して、前記導波路ディスプレイ部品によって前記平坦な面に導かれる実質的にコリメートされた画像担持光を出力するために、および、前記画像担持光と同時に見るために、前記平坦な面を通して、前記外側の光学部品から前記導波路ディスプレイ部品に向けられた前記外光を伝達するために構成され、
前記導波路ディスプレイ部品から前記外光と実質的にコリメートされた前記画像担持光との両方を受けるために、および、各視覚アセンブリに実質的に共通の仮想焦点を生成するために、受け取られた前記画像担持光に発散を与え、表示のためにその結果を出力するために構成される負の光学強度を有する内側の光学部品をも備え、
ここにおいて、両目によって前記同じ表示画像を見る視差は、前記2つの視覚アセンブリのための前記同じ表示画像において、前記2つの視覚アセンブリの各々に対応し、
これにより、使用に際し、前記画像担持光によって運ばれる前記同じ画像は、前記両眼用ディスプレイデバイスを通して見られたときに、三次元(3D)画像として前記外のシーン上に重畳される、
両眼用ディスプレイデバイス。」
【相違点1】
本願発明は「前記導波路ディスプレイ部品に前記画像担持光を入力する前記各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置に表示された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与えることによって、前記仮想焦点に関連付けられた焦点深度に応じて調整され、ここにおいて、前記シフトを与えることは、前記画像担持光の円錐の軸を非平行にし、見る者に向かう方向に発散するようにして、視覚効果を与えるものであ」るのに対し、引用発明2は、そのようなものか明らかでない点。
(2)判断
以下、相違点1について検討する。
ア まず、本願発明の「各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置に表示された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与える」との特定事項では、各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置にキャラクタ、オブジェクト、または、シンボルが表示され、各々のディスプレイデバイス自体を移動させ、キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与えることも含まれると解されるとして検討する。
(ア)引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「サブディスプレイ717aおよび717bに投射される光の角度を変更する手段(例えばレンダリング・エンジン721aおよび721b)を備え」ており、サブディスプレイ717aおよび717bに投射される光の角度を変更することは、レンダリング・エンジン721aおよび721bで作製された画像の位置を変更することといえる。
このことは、引用文献2の図7Dにおいて、レンダリング・エンジン721aおよび721bが、ライトガイドに垂直な点線上から、角度αに合わせて位置を変更していることが把握できることからも首肯できる。
そして、引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「サブディスプレイ717aおよび717b上に光が投射される角度を変更することによって輻輳のための調整を行い、眼に近い物体ほど、典型的には、両眼がより大きく内側に回転することを要し、無限遠に向かって離れた物体に対しては、両眼が平行に近づく両眼連動設定の調整を可能にし」ているから、仮想画像に関連付けられた焦点深度(眼に近い物体、無限遠に向かって離れた物体)に応じて、サブディスプレイ717aおよび717b上に光が投射される角度を変更することによって輻輳のための調整を行っているものといえる。
(イ)ところで、引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「ライトガイドに対してユーザの左眼709a側に凹の第1のレンズおよび右眼709b側に凹の第2のレンズ」を備えていることから、凹の第1のレンズ及び凹の第2のレンズにより、仮想画像は円錐の形状にして、ユーザに向う方向に発散させているものといえる。
ここで、引用発明2の「サブディスプレイ717aおよび717b」は、「サブディスプレイ717aおよび717bに投射される光の角度を変更する手段(例えばレンダリング・エンジン721aおよび721b)を備え、サブディスプレイ717aおよび717b上に光が投射される角度を変更することによって輻輳のための調整を行い、眼に近い物体ほど、典型的には、両眼がより大きく内側に回転することを要し、無限遠に向かって離れた物体に対しては、両眼が平行に近づく両眼連動設定の調整を可能にし」ているから、サブディスプレイ717aに投射される光の角度を変更する手段とサブディスプレイ717bに投射される光の角度を変更する手段とは、両眼連動に対応し、離れる方向又は近づく方向に移動するものといえる。
したがって、ユーザの左眼の仮想画像の円錐の軸とユーザの右眼の仮想画像の円錐の軸とは非平行となっているものも含むと考えるのが自然である。
(ウ)そうすると、相違点1は実質的な相違点とは言えない。
したがって、本願発明は、引用文献2に記載された発明である。
イ 仮に、本願発明の「各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置に表示された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与える」との特定事項が、各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置にキャラクタ、オブジェクト、または、シンボルが表示され、各々のディスプレイデバイス自体を移動させ、キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与えることを含まないとして検討する。
(ア)引用文献2の図7Dにおいて、レンダリング・エンジン721aおよび721bが、ライトガイドに垂直な点線上から、角度αに合わせて位置を変更していることが把握できる。
そして、画像表示装置上で、キャラクタ、オブジェクト、または、シンボル等を動かすか、画像表示装置自体を動かすことによって、結果的にキャラクタ、オブジェクト、または、シンボル等を動かすようにするかは、データとして動かすか機械的に動かすかの違いであり、設計的な事項といえる。
また、「前記シフトを与えることは、前記画像担持光の円錐の軸を非平行にし、見る者に向かう方向に発散するようにして、視覚効果を与えるものであり」については、上記ア(イ)を参照されたい。
(イ)そうすると、引用発明2において相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項にすぎない。
(ウ)そして、相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明2の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(エ)したがって、本願発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 審判請求人の主張について
1 審判請求人は、令和4年4月21日付け提出の意見書において、
(1)「引用発明1には、・・・(略)・・・イメージ形成器24が、「2つの視覚アセンブリの各々に対応する」ように設けられていることは記載されておりません。」
(2)「引用文献1には、本願発明の構成要件Eにおける「前記2つの視覚アセンブリの各々に対応し、前記導波路ディスプレイ部品に前記画像担持光を入力する前記ディスプレイデバイスのそれぞれの表示野に生成された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルの新たな位置へのシフトを与えること」については記載も示唆もされておりません。」
(3)「引用文献2には、「角度αに合わせてサブディスプレイ717aおよび717bに投射される光の角度を変更する手段」を設けることが記載されているにすぎず、本願発明のように、「前記ディスプレイデバイスのそれぞれの表示野において所定の位置に生成された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与えること」については記載も示唆もされておりません。」
旨主張している。
2 上記主張について検討する。
(1)上記1(1)について
上記第5の1(1)エで説示したとおりである。
(2)上記1(2)について
上記第5の1(1)カで説示したとおりである。
(3)上記1(3)について
上記第5の2(2)で説示したとおり、本願発明の「各々のディスプレイデバイスの表示野における所定の位置に表示された前記キャラクタ、オブジェクト、または、シンボルに、新たな位置へのシフトを与える」との特定事項では、引用発明2の態様も含み、そうでなくても、設計的な事項といえ、引用発明2から容易になし得た事項である。
以上から、審判請求人の上記主張は、採用することができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-001397